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特許7499387情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/02 20240101AFI20240606BHJP
   A01G 23/00 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
G06Q50/02
A01G23/00 551Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023105786
(22)【出願日】2023-06-28
【審査請求日】2023-06-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517438147
【氏名又は名称】高橋 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100140936
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 功一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 綾子
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/008074(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第111695498(CN,A)
【文献】瀬戸亨一郎,画像解析による原木材積測定法の開発と年輪紋様の情報化に関する研究,東京大学大学院農学生命科学研究科生物材料科学専攻 博士論文,2013年03月25日,pp. 1-57
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
A01G 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木情報を扱うことが可能な第1機器と、前記木情報を管理するデータベースを扱うことが可能な第2機器と、を用いて、木を管理する情報処理システムであって、
前記第1機器は、
伐採された複数の木のそれぞれの切株の切断面に関する切断面情報を取得することと、
前記複数の木が伐採された伐採地を特定するための位置情報を取得することと、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記第2機器に送信することと、を実行し、
前記第2機器は、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記第1機器から取得することと、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記データベースに関連付けて格納することと、
取引対象の複数の木の流通過程において、画像取得部により取得された前記取引対象の複数の木のそれぞれの切断面に関する画像情報である複数の第1画像情報と、前記データベースに格納されている前記切断面情報である第2画像情報との比較結果に基づいて、前記複数の第1画像情報に係る切断面に対向する切株の切断面に係る複数の前記第2画像情報が前記データベースから抽出され、かつ、当該抽出された複数の前記第2画像情報のそれぞれに関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合に、前記取引対象の複数の木が当該伐採地において伐採されたことを証明する証明情報を出力することと、を実行する、
情報処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の情報処理システムであって、
前記複数の第1画像情報は、前記取引対象の複数の木のそれぞれの一方の切断面を含む画像情報である第3画像情報と、当該複数の木のそれぞれの他方の切断面を含む画像情報である第4画像情報とを含み、
前記第2機器は、
前記取引対象の複数の木の流通過程において、前記第3画像情報及び前記第4画像情報に含まれる複数の切断面のうちから、前記第2画像情報に係る切株の切断面に対向する第1切断面と、前記第1切断面を有する木における他の切断面と、前記第1切断面を有する1本の木が複数に分割された場合の分割後の各木における各切断面とを順次抽出する抽出処理を実行し、
前記抽出処理において前記第3画像情報及び前記第4画像情報に含まれる全ての切断面が抽出され、かつ、前記第1切断面に係る複数の前記第2画像情報のそれぞれに関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合に、前記取引対象の複数の木が当該伐採地において伐採されたことを証明する前記証明情報を出力する、
情報処理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の情報処理システムであって、
前記第1機器は、被写体を撮像して画像情報を生成する画像取得部と、前記第1機器が存在する位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部とを備え、
前記第1機器は、
前記画像取得部により生成された画像情報であって、前記伐採された複数の木のそれぞれの切株の切断面に関する画像情報を前記切断面情報として取得し、
前記画像取得部により当該画像情報が生成されたタイミングで前記位置情報取得部により取得された位置情報を、前記伐採された複数の木の伐採地を特定するための位置情報として取得する、
情報処理システム。
【請求項4】
伐採された複数の木のそれぞれの切株の切断面に関する切断面情報と、前記複数の木が伐採された伐採地を特定するための位置情報とが関連付けて格納されているデータベースを扱うことが可能な情報処理装置であって、
取引対象の複数の木の流通過程において、画像取得部により取得された前記取引対象の複数の木のそれぞれの切断面に関する画像情報である複数の第1画像情報と、前記データベースに格納されている前記切断面情報である第2画像情報との比較結果に基づいて、前記複数の第1画像情報に係る切断面に対向する切株の切断面に係る複数の前記第2画像情報が前記データベースから抽出され、かつ、当該抽出された複数の前記第2画像情報のそれぞれに関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合に、前記取引対象の複数の木が当該伐採地において伐採されたことを証明する証明情報を出力する制御を実行する制御部
を備える情報処理装置。
【請求項5】
木情報を扱うことが可能な第1機器と、前記木情報を管理するデータベースを扱うことが可能な第2機器と、を用いて、木を管理する情報処理方法であって、
前記第1機器が、
伐採された複数の木のそれぞれの切株の切断面に関する切断面情報を取得することと、
前記複数の木が伐採された伐採地を特定するための位置情報を取得することと、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記第2機器に送信することと、を実行し、
前記第2機器が、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記第1機器から取得することと、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記データベースに関連付けて格納することと、
取引対象の複数の木の流通過程において、画像取得部により取得された前記取引対象の複数の木のそれぞれの切断面に関する画像情報である複数の第1画像情報と、前記データベースに格納されている前記切断面情報である第2画像情報との比較結果に基づいて、前記複数の第1画像情報に係る切断面に対向する切株の切断面に係る複数の前記第2画像情報が前記データベースから抽出され、かつ、当該抽出された複数の前記第2画像情報のそれぞれに関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合に、前記取引対象の複数の木が当該伐採地において伐採されたことを証明する証明情報を出力することと、を実行する、
情報処理方法。
【請求項6】
木情報を扱うことが可能な第1機器と、前記木情報を管理するデータベースを扱うことが可能な第2機器と、を用いて、木を管理する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は、
前記第1機器が、
伐採された複数の木のそれぞれの切株の切断面に関する切断面情報を取得することと、
前記複数の木が伐採された伐採地を特定するための位置情報を取得することと、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記第2機器に送信することと、を実行し、
前記第2機器が、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記第1機器から取得することと、
前記切断面情報及び前記位置情報を前記データベースに関連付けて格納することと、
取引対象の複数の木の流通過程において、画像取得部により取得された前記取引対象の複数の木のそれぞれの切断面に関する画像情報である複数の第1画像情報と、前記データベースに格納されている前記切断面情報である第2画像情報との比較結果に基づいて、前記複数の第1画像情報に係る切断面に対向する切株の切断面に係る複数の前記第2画像情報が前記データベースから抽出され、かつ、当該抽出された複数の前記第2画像情報のそれぞれに関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合に、前記取引対象の複数の木が当該伐採地において伐採されたことを証明する証明情報を出力することと、を実行する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伐採された木を管理するための情報処理システム、情報処理装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅等に用いられる木材を流通させる木材の流通経路が存在する。例えば、森林の木が伐採されると、その伐採された木は木材を扱う市場に運ばれる。その市場において木の売買が行われ、木を購入したものによりその木が角材や板材等に加工され、住宅等に使用される。例えば、流通させる木材を管理する管理方法として、市場に流通させる木材にICタグを取り付け、このICタグを利用して木材を管理する管理方法が存在する(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-168664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来技術では、1本のネジによりICタグを木材に固定するため、1本の木に対して1以上のICタグ及びネジ等が必要となり、ICタグの固定に係る費用が増加する。また、ICタグを木材に固定するための作業が必要となるため、その作業が煩雑となる。そこで、伐採された木の管理に係る費用を抑制し、その管理のための作業を簡略化して、伐採された木の管理をより適切に行うことが重要である。
【0005】
本発明は、伐採された木の管理をより適切に行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、木情報を扱うことが可能な第1機器と、前記木情報を管理するデータベースを扱うことが可能な第2機器と、を用いて、木を管理する情報処理システムである。前記第1機器は、伐採された複数の木のそれぞれの切株の切断面に関する切断面情報を取得することと、前記複数の木が伐採された伐採地を特定するための位置情報を取得することと、前記切断面情報及び前記位置情報を前記第2機器に送信することと、を実行する。前記第2機器は、前記切断面情報及び前記位置情報を前記第1機器から取得することと、前記切断面情報及び前記位置情報を前記データベースに関連付けて格納することと、取引対象の複数の木の流通過程において、画像取得部により取得された前記取引対象の複数の木のそれぞれの切断面に関する画像情報である複数の第1画像情報と、前記データベースに格納されている前記切断面情報である第2画像情報との比較結果に基づいて、前記複数の第1画像情報に係る切断面に対向する切株の切断面に係る複数の前記第2画像情報が前記データベースから抽出され、かつ、当該抽出された複数の前記第2画像情報のそれぞれに関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合に、前記取引対象の複数の木が当該伐採地において伐採されたことを証明する証明情報を出力することと、を実行する。また、本発明の一態様は、それらの各処理を実行する情報処理方法、及び、その方法を実現する情報処理装置、並びにその方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、伐採された木の管理をより適切に行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、森林の木を伐採して輸送車に積載するまでの流れを模式的に示す図である。
図2図2は、情報処理システムの構成例を示す図である。
図3図3は、電子機器の機能構成例を示すブロック図である。
図4図4は、木情報DBの構成例を示す図である。
図5図5は、情報処理装置の機能構成例を示すブロック図である。
図6図6は、木情報DBを示す図である。
図7図7は、電子機器から出力される情報の遷移例を示す図である。
図8図8は、電子機器から出力される情報の遷移例を示す図である。
図9図9は、電子機器から出力される情報の遷移例を示す図である。
図10図10は、電子機器から出力される情報の遷移例を示す図である。
図11図11は、木に関する情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、木に関する情報の登録処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、木の切断面を木毎に推定する場合の推定方法を簡略化して示す図である。
図14図14は、木の切断面を木毎に推定する場合の推定方法を簡略化して示す図である。
図15図15は、複数の木に関する木情報を取得する取得処理の一例を示すフローチャートである。
図16図16は、木を集荷する集荷場所において木に関する情報を取得する例を示す図である。
図17図17は、木を集荷する集荷場所において木の伐採地を証明する例を示す図である。
図18図18は、木の流通時の証明処理の一例を示すフローチャートである。
図19図19は、木の切株の画像を飛行体を用いて取得する例を示す図である。
図20図20は、木情報DBの構成例を示す図である。
図21図21は、木情報DBを示す図である。
図22図22は、木に関する情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。
図23図23は、木の流通時の証明処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0010】
[木を伐採する場合の作業例]
図1は、森林の木を伐採して輸送車TR1に積載するまでの流れを模式的に示す図である。図1(1)では、森林10の木11乃至15をユーザP0(例えば、1人又は複数人の伐採業者)が伐採した後に、伐採された複数の木21を輸送車TR1(例えば、トラック)で運ぶ場合の例を簡略化して示す。図1(2)には、伐採された木の切断面22を簡略化して示す。なお、図1(2)に示す例については、後述する。
【0011】
例えば、ユーザP0により森林10の木11乃至15が伐採された後には、木11乃至15の切株16乃至20が残ることになる。
【0012】
ここで、木が山等で伐採された後には、乾燥(例えば、天然乾燥、葉枯らし乾燥、丸太乾燥)、製材(例えば、製材所での製材、施工現場での製材)等の各種処理(例えば、乾燥、製材、加工、施工)が施され、住宅用、家具用の木材、建築補助材等の最終的な用途に使用される。ただし、本実施形態では、説明を容易にするため、乾燥処理等の一部を省略して示す。
【0013】
[電子機器及び情報処理装置を用いて伐採した木を管理する例]
図2は、電子機器100及び情報処理装置200を用いて伐採した木を管理する管理システム(情報処理システムTS1)の構成例を示す図である。図2では、木30をユーザP0が伐採した後に、木30に関する情報(例えば、木の切断面の画像)を電子機器100により取得し、木30に関する情報を情報処理装置200に送信して登録する場合の流れの一例を簡略化して示す。また、図2では、伐採した木30を3分割して運ぶ場合の例を示す。
【0014】
電子機器100は、例えば、画像情報を取得することが可能な画像取得機能を備える機器(例えば、スマートフォン、タブレット端末)、又は、画像取得機能を備える機器(例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ)から画像情報を取得可能(例えば、有線又は無線を利用してデータ通信が可能)な機器(例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末)である。例えば、電子機器100は、携帯型の情報処理装置の一例である。なお、情報処理システムTS1により提供される木管理サービスを利用するためのアプリケーション(木管理アプリ)をインストールした電子機器のみを利用対象としてもよく、木管理アプリの有無に関わらず、木管理システムを利用可能としてもよい。
【0015】
図2(1)に示すように、ユーザP0は、木30を伐採する場合に電子機器100を用いる。なお、図2(1)では、説明を容易にするため、ユーザP0が電子機器100を保持する例を示すが、実際にユーザP0が木30を伐採する際には、安全を考慮して電子機器100を利用することが重要である。また、電子機器100は、他の人物に使用させてもよい。また、木30を伐採する人物は、ユーザP0以外の人物でもよい。
【0016】
図2(2)に示すように、ユーザP0により木30が伐採された後には、木30の切株31が残る。また、図2(2)では、伐採された木30が長いため、木30を切断して3分割する例を示す。図2では、3分割された木30を、伐採された木32乃至34として示す。
【0017】
図2(3)に示すように、ユーザP0は、木30を伐採した後に、伐採された木32乃至34の切断面の画像を電子機器100により取得する。なお、木の切断面と称する場合には、木の切口、木の端面、木の切断面等の意味を含むものとする。また、木の切断面の画像と称する場合には、木口面の画像、木の切口の模様を含む画像、木の端面の模様を含む画像、木の端面の年輪を含む画像等を意味するものとする。
【0018】
図2(4)に示すように、ユーザP0は、伐採された木32乃至34の切断面の画像情報を取得した後に、その取得した画像情報を電子機器100から情報処理装置200に送信する操作を行う。電子機器100が無線通信機能(例えば、携帯電話網を利用した無線通信、無線LAN(Local Area Network)を利用した無線通信)を備える場合には、無線を利用して電子機器100は情報処理装置200に情報を送信する。例えば、ネットワークNW1を介して情報処理装置200に情報を送信することが可能である。なお、ネットワークNW1は、公衆回線網、インターネット等のネットワークである。また、電子機器100が無線通信機能を備えない場合等には、有線回線(例えば、ケーブル)や記録媒体(各種メモリ)を利用して電子機器100は情報処理装置200に情報を提供する。電子機器100から情報処理装置200に送信される情報については、図4を参照して詳細に説明する。
【0019】
[電子機器の機能構成例]
図3は、電子機器100の機能構成例を示すブロック図である。
【0020】
電子機器100は、通信部101と、位置情報取得部102と、画像取得部103と、制御部104と、記憶部105と、操作部106と、表示部107と、音出力部108とを有する。なお、電子機器100は、バッテリを内蔵又は装着してバッテリを電源として用いるようにしてもよく、バッテリを内蔵せずに外部からの電源を用いるようにしてもよい。
【0021】
通信部101は、制御部104の制御に基づいて、他の機器との間で、有線通信又は無線通信を利用して各種情報のやりとりを行うものである。なお、本実施形態では、主に、通信部101が、他の機器との間で無線通信を利用して各種情報のやりとりを行う例を示す。例えば、無線通信を利用して各種情報のやりとりを行う場合には、通信部101は、アンテナ(図示せず)を介して、電波の送受信を行う。例えば、通信部101は、無線通信として、無線LAN(例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelity))、Bluetooth(登録商標)(IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.15.1)、ZigBee(登録商標)(IEEE802.15.4)、WiMax、赤外線通信などの各種の無線通信規格の無線通信のうちの少なくとも1つを行うことができるものとする。また、通信部101は、無線通信として、例えば、公衆網(例えば、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)、6G(6th Generation)、LTE(Long Term Evolution)等の標準規格)を用いるようにしてもよい。なお、これらは、無線通信の一例であり、他の無線通信規格の無線通信等に本実施形態を適用するようにしてもよい。なお、通信部101は、所定範囲内に存在する通信機器との間で無線通信を行うとともに、携帯電話会社等の通信事業者が設置する基地局を介して所定のネットワーク(例えば、インターネット)に接続して無線通信を行うようにしてもよい。
【0022】
位置情報取得部102は、電子機器100が存在する位置に関する位置情報を取得するものであり、取得した位置情報を制御部104に出力する。位置情報取得部102は、例えば、GPS(Global Positioning System:全地球測位システム)信号を受信してそのGPS信号に基づいて位置情報を算出するGPS受信機により実現することができる。また、その算出された位置情報には、GPS信号の受信時における緯度、経度、高度等の位置に関する各データが含まれる。また、他の位置情報の取得方法により位置情報を取得する位置情報取得装置を用いるようにしてもよい。例えば、周囲に存在する無線LANによるアクセスポイント情報を用いて位置情報を導き出し、この位置情報を取得する位置情報取得装置を用いるようにしてもよい。また、例えば、通話や通信に利用する基地局の位置情報を用いて位置情報を導き出し、この位置情報を取得する位置情報取得装置を用いるようにしてもよい。また、例えば、ナビゲーション装置による位置推定技術を用いて位置情報を導き出し、この位置情報を取得する位置情報取得装置を用いるようにしてもよい。例えば、各種センサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ)によるセンサ情報と、地図情報とに基づいて、自機器の位置を推定することができる。
【0023】
画像取得部103は、制御部104の制御に基づいて、被写体を撮像して画像(画像データ)を生成するものであり、生成された画像を制御部104に出力する。画像取得部103は、例えば、レンズ(例えば、被写体からの光を集光する複数のレンズ)により集光された被写体からの光を入射する撮像素子(イメージセンサ、画像センサ)、その撮像素子により生成された画像データについて所定の画像処理を施す画像処理部等により構成される。撮像素子として、例えば、CCD(Charge Coupled Device)型、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型の撮像素子を用いることができる。なお、レンズは、制御部104の制御に基づいて、各部(例えば、ズームレンズ、フォーカスレンズ、絞り)が制御されるようにしてもよい。
【0024】
制御部104は、記憶部105に記憶されている制御プログラムに基づいて電子機器100の各部を制御するものである。また、制御部104は、時刻を管理することができる計時回路(例えば、RTC(Real Time Clock))から時刻情報を取得して用いることができる。制御部104は、例えば、CPU(Central Processing Unit)により実現される。なお、CPUは、制御装置(制御回路)及び演算装置(演算回路)からなる中央処理装置(電子機器)の一例である。
【0025】
記憶部105は、各種情報を記憶するメモリである。例えば、記憶部105には、電子機器100が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、木管理アプリ、木情報DB110(図4参照))が記憶される。なお、記憶部105については、取り外し可能な記憶部とするようにしてもよく、電子機器100に内蔵される記憶部としてもよい。また、電子機器100には、取り外し可能な記憶部と、内蔵される記憶部との双方を設けるようにしてもよい。記憶部105として、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせを用いることができる。
【0026】
操作部106は、電子機器100を操作するための操作入力を受け付けるものである。例えば、操作部106は、各種の操作部材(例えば、スイッチ、ボタン)やタッチパネル等のユーザインタフェースとすることができる。
【0027】
表示部107は、制御部104の制御に基づいて各種情報を出力する表示部である。表示部107として、例えば、有機EL(Electro Luminescence)パネル、LCD(Liquid Crystal Display)パネル等の表示パネルを用いることができる。なお、操作部106及び表示部107については、使用者がその指を表示面に接触又は近接することにより操作入力を行うことが可能なタッチパネルを用いて一体で構成することができる。ただし、操作部106及び表示部107については、別体で構成するようにしてもよく、操作部106については、操作部材により操作を受け付けるようにしてもよい。また、タッチパネル等のユーザインタフェースとは別体の操作部材を設け、この操作部材により操作を受け付けるようにしてもよい。また、操作部に相当する画像を壁等に投影して、その画像を利用して操作(例えば、ユーザの指で指す動作)を行うことが可能なユーザインタフェースとしてもよい。
【0028】
音出力部108は、制御部104の制御に基づいて、各種音声を出力する音出力部(例えば、スピーカ)である。
【0029】
[木情報DBの構成例]
図4は、電子機器100により取得される情報(伐採された木に関する情報)を格納するデータベース(木情報DB110)の構成例を示す図である。図4では、主に、図2に示す木30に関する情報を記憶する場合の例を示す。また、図4に示す各情報は、制御部104の制御に基づいて、記憶部105の木情報DB110に格納される。なお、木情報DB110に格納される木情報については、伐採された木に関する情報であるため、伐採情報と称することも可能である。また、以降で説明する木情報についても同様に伐採情報と称することも可能である。
【0030】
木情報DB110には、木識別情報111と、切断面識別情報112と、画像情報113と、位置情報114と、時刻情報115とが関連付けて格納される。
【0031】
木識別情報111は、伐採された木を識別するための情報である。木識別情報111として、例えば、数字(例えば、通し番号)、文字、記号等の組み合わせ等を用いることができる。例えば、世界に存在する各木を識別することができる程度の数の情報(例えば、数字、文字、記号等の組み合わせ)を用いることができる。
【0032】
切断面識別情報112は、伐採された木の切断面の画像を識別するための情報である。例えば、伐採された木の切断面について、伐採された木の下側(伐採前の地面側)から順番に付与する番号(例えば、通し番号)を識別情報とすることができる。例えば、図2を参照すると、伐採された木30の切断面のうち、最も下側の切断面31a(切株の切断面)については0が付与される。また、伐採された木30の切断面のうち、下側から2番目の切断面32a(切株の切断面に対向する端面)については1が付与され、下側から3番目の切断面32b(切断面32aに対向する端面)については2が付与される。同様に、下側から4番目の切断面33aについては3が付与され、下側から5番目の切断面33bについては4が付与され、下側から6番目の切断面34aについては5が付与され、下側から7番目の切断面34bについては6が付与される。このように、伐採された木の切断面のうち、下側からN番目の切断面については「N-1」が付与される。
【0033】
ここで、例えば、伐採された木が分割されない場合には、2つの切断面が形成される。その2つの切断面は、切株の切断面とこれに対向する切断面(伐採された木側の切断面)である。また、伐採された木が2つに分割された場合には、4つの切断面が形成される。その4つの切断面は、切株の切断面、これに対向する切断面(伐採された木側の切断面)、2つに分割された各木の切断面(対向する2つの切断面)である。また、伐採された木が3つに分割された場合には、6つの切断面が形成される。その6つの切断面は、切株の切断面、これに対向する切断面(伐採された木側の切断面)、3つに分割された各木の切断面(対向する2組の切断面)である。図2を参照すると、伐採された木30が3つ以上に分割されているため、7つ以上の切断面31a、…、34bが形成される。
【0034】
画像情報113は、画像取得部103により取得された画像情報(木の切断面に関する切断面情報)である。例えば、伐採された木の切断面が含まれる画像に関する情報が画像情報113として記憶される。なお、図4では、説明を容易にするため、伐採された木の切断面のみを画像情報113として簡略化して示す。なお、本実施形態では、切断面情報として画像情報を用いる例を示すが、木の切断面を特定することが可能な他の情報を切断面情報として用いてもよい。例えば、切断面の画像に含まれる年輪の模様のみを抽出し、この年輪の模様に関する情報(例えば、年輪の模様のみの画像情報)を切断面情報として用いてもよい。なお、この年輪の模様を抽出する抽出方法については、公知の画像認識技術(例えば、輪郭抽出、エッジ検出)を用いることが可能である。また、画像取得部103により取得された画像(木の切断面に関する画像を含む)を三次元画像化処理により三次元画像化し、この三次元画像化された画像情報を切断面情報として用いてもよい。また、切断面情報を取得する機器として、各種の撮像装置、画像処理装置、カメラ(例えば、赤外線カメラ、遠赤外線カメラ)等の各種機器(例えば、電磁波、音波等の波動情報を利用して画像その他各種情報を取得可能な機器)を用いることが可能である。
【0035】
位置情報114は、画像情報113が取得された際に位置情報取得部102により取得された位置情報(例えば、緯度、経度、高度)である。なお、図4では、説明を容易にするため、緯度、経度、高度を○等で簡略化して示す。
【0036】
時刻情報115は、画像情報113及び位置情報114が取得された際の時刻に関する情報(例えば、日時)である。例えば、画像情報113及び位置情報114が取得された際に、制御部104は、計時回路から取得された時刻を時刻情報115として木情報DB110に格納する。
【0037】
[情報処理装置の機能構成例]
図5は、情報処理装置200の機能構成例を示すブロック図である。
【0038】
情報処理装置200は、通信部201と、制御部202と、記憶部203と、操作部204と、表示部205と、音出力部206とを有する。
【0039】
通信部201は、制御部202の制御に基づいて、他の機器との間で、有線通信又は無線通信を利用して各種情報のやりとりを行うものである。
【0040】
制御部202は、記憶部203に記憶されている制御プログラムに基づいて情報処理装置200の各部を制御するものである。また、制御部202は、時刻を管理することができる計時回路(例えば、RTC)から時刻情報を取得して用いることができる。制御部202は、例えば、CPUにより実現される。
【0041】
記憶部203は、各種情報を記憶するメモリである。例えば、記憶部203には、情報処理装置200が各種処理を行うために必要となる各種情報(例えば、制御プログラム、木情報DB210(図6参照))が記憶される。なお、記憶部203については、取り外し可能な記憶部とするようにしてもよく、情報処理装置200に内蔵される記憶部としてもよい。また、情報処理装置200には、取り外し可能な記憶部と、内蔵される記憶部との双方を設けるようにしてもよい。記憶部203として、例えば、ROM、RAM、SRAM、HDD、SSD、又は、これらの組み合わせを用いることができる。
【0042】
操作部204は、情報処理装置200を操作するための操作入力を受け付けるものである。例えば、操作部204は、各種の操作部材(例えば、スイッチ、ボタン)やタッチパネル等のユーザインタフェースとすることができる。
【0043】
表示部205は、制御部202の制御に基づいて各種情報を出力する表示部である。表示部205として、例えば、有機ELパネル、LCDパネル等の表示パネルを用いることができる。なお、操作部204及び表示部205については、使用者がその指を表示面に接触又は近接することにより操作入力を行うことが可能なタッチパネルを用いて一体で構成することができる。ただし、操作部204及び表示部205については、別体で構成するようにしてもよく、操作部204については、操作部材により操作を受け付けるようにしてもよい。また、タッチパネル等のユーザインタフェースとは別体の操作部材を設け、この操作部材により操作を受け付けるようにしてもよい。また、操作部に相当する画像を壁等に投影して、その画像を利用して操作(例えば、ユーザが指で指す動作)を行うことが可能なユーザインタフェースとしてもよい。
【0044】
音出力部206は、制御部202の制御に基づいて、各種音声を出力する音出力部(例えば、スピーカ)である。
【0045】
[木情報DBの構成例]
図6は、情報処理装置200に記憶される情報(伐採された木に関する情報)の一例(木情報DB210)を示す図である。図6に示す情報は、1又は複数の電子機器(電子機器100を含む)により取得された情報であり、定期的又は不定期(例えば、ユーザ操作に応じて)に各電子機器から情報処理装置200に送信される。図6では、主に、図4に示す木30に関する情報を記憶する場合の例を示す。また、図6に示す各情報は、制御部202の制御に基づいて、記憶部203の木情報DB210に格納される。
【0046】
木情報DB210には、送信機器識別情報211と、木識別情報212と、切断面識別情報213と、画像情報214と、位置情報215と、画像取得時刻情報216と、受信時刻情報217とが関連付けて格納される。
【0047】
なお、図6に示す木識別情報212、切断面識別情報213、画像情報214、位置情報215及び画像取得時刻情報216は、図4に示す木識別情報111、切断面識別情報112、画像情報113、位置情報114及び時刻情報115に対応するものであるため、ここでの説明を省略する。なお、図16乃至図18を参照して説明する木の証明を実行する場合には、画像情報214に格納されている画像情報のうち、切断面識別情報213「0」に対応する画像情報を使用しない。このため、画像情報214に格納されている画像情報のうち、切断面識別情報213「0」に対応する画像情報の格納を省略してもよい。
【0048】
送信機器識別情報211は、伐採された木に関する情報を送信した機器(例えば、電子機器100)を識別するための情報である。送信機器識別情報211として、例えば、各機器を識別することが可能な情報を用いることができる。例えば、端末識別情報、IMEI(International Mobile Equipment Identity)、MAC(Media Access Control address)アドレスなどの機器の固有の情報を用いることができる。また、この情報は、各電子機器が、送信対象となる情報(木に関する情報)に含めて情報処理装置200に送信される。なお、図6では、説明を容易にするため、電子機器100に関する送信機器識別情報を「ABCD」として示し、他の送信機器識別情報を「EFGH」等として示す。
【0049】
受信時刻情報217は、木に関する情報を情報処理装置200が受信した時刻に関する情報(例えば、日時)である。
【0050】
なお、図6では、木情報DB210に格納する木に関する情報の一例を示すが、各木に関する他の情報を木情報DB210に格納してもよい。例えば、伐採された木の所有者に関する情報(例えば、生産者名、住所)、伐採場所の土地に関する情報(例えば、土壌情報、斜面情報、日当たりに関する情報、高度に関する情報、天候に関する情報)、伐採された木に関する情報(品種、育成方法、伐採日、品質に関する情報(木の形状等)、乾燥等の情報)、木の流通に関する情報(例えば、出荷日、切断日)を木情報DB210に格納してもよい。そして、木の証明情報を生成する際に、これらの各情報のうちの少なくとも一部を証明情報に含めることが可能である。なお、それらの各情報については、ユーザによる手動操作により格納してもよく、自動で格納してもよい。例えば、各種情報が関連付けられているデータベース(例えば、地形情報DB、地図情報DB)等に基づいて、伐採された木の所有者に関する情報、伐採場所の土地に関する情報、伐採された木に関する情報等を取得可能な場合には、そのデータベース等から必要な情報を自動で取得して格納することが可能である。また、電子機器100において取得されたそれらの各情報を情報処理装置200が取得して格納してもよい。
【0051】
[木の年輪について]
ここで、伐採された木の切断面には、丸形状(又は略丸形状)の中心(又は略中心)から同心円状に広がる年輪が存在する。この同心円状の年輪については、木の生育環境に応じて一定の法則があることが知られている。例えば、丸形状(又は略丸形状)の切断面において、ある方向の年輪が密となり、その方向とは反対方向の年輪が広くなることが多い。そこで、これらの法則を利用して、木情報DB110、210に格納される画像情報を判定に利用し易い状態とすることが好ましい。例えば、図1(2)に示す例では、丸形状(又は略丸形状)の切断面22において、点線の楕円EL1で示すように、矢印方向SD1の上側の年輪が密となり、点線の楕円EL2で示すように、矢印方向SD1の下側の年輪が広くなっている。
【0052】
例えば、公知の画像認識技術(例えば、エッジ検出)を利用して各切断面の画像に含まれる各木の輪郭を抽出可能である。これにより、各切断面の画像に含まれる各木の丸の形状(又は略丸形状)を取得可能である。また、各木の切断面には、丸形状(又は略丸形状)の中心(又は略中心)から同心円状の年輪が存在する。この同心円状の年輪についても、公知の画像認識技術を利用して、各同心円状の年輪の形状(模様)を抽出可能である。この年輪の形状については、上述したように、ある方向の年輪が密となり、その方向とは反対方向の年輪が広くなることが多い。そこで、年輪が密となる方向を第1特定方向(例えば、図1(2)に示す矢印方向SD1の上側)とし、年輪が広くなる方向を第2特定方向(例えば、第1特定方向とは逆方向(例えば、図1(2)に示す矢印方向SD1の下側))とするように、切断面の画像について回転処理を施すようにする。また、判定対象となる木の切断面の画像についても同様に、年輪が密となる方向を第1特定方向とし、年輪が広くなる方向を第2特定方向とするように、切断面の画像について回転処理を施した後に、判定処理を実行することが好ましい。これにより、画像の一致処理の判定精度を向上させることが可能である。なお、木の育成環境、他の要因によっては、上述した法則が成り立たないことも想定される。このような場合には、年輪が密となる方向を第1特定方向とする回転処理、又は、年輪が広くなる方向を第2特定方向とする回転処理の何れかを実行することが可能である。
【0053】
[木に関する情報の特徴の抽出例、その特徴を用いた木の同一又は類似の判定例]
次に、木情報DB210に格納されている画像情報214を用いて木の同一性を判定する判定方法について説明する。具体的には、木の伐採後にその木が流通している過程において、その木と、木情報DB210に画像情報214が格納されている木とが同一であるか否かを判定する判定方法について説明する。
【0054】
流通過程に存在する木と、木情報DB210に画像情報214が格納されている木とが同一であることを判定する場合には、流通過程に存在する木の切断面の画像を取得する。例えば、図16(2)に示すように、撮像装置300を用いて、流通過程に存在する木の切断面の画像を取得することが可能である。ここでは、木情報DB210に画像情報214が格納されている木の切断面の画像を第1画像と称し、流通過程に存在する木の切断面の画像を第2画像と称して説明する。
【0055】
例えば、同一画像又は類似画像を検索するための公知の画像認識技術(例えば、エッジ検出)を利用して、各切断面の画像に含まれる各木の丸の形状(又は略丸形状)と、各同心円状の年輪の形状(模様)とを抽出可能である。なお、各画像を比較し易いように、上述した回転処理と同様に、抽出された木の丸形状(又は略丸形状)に含まれる年輪の密度に基づいて各画像について回転処理を施してもよい。
【0056】
それらの技術を用いて、木情報DB210に格納されている各第1画像と、判定対象となる木の第2画像とのそれぞれについて、各木の丸形状(又は略丸形状)と、各同心円状の年輪の形状(模様)とを抽出する。そして、各第1画像と第2画像とのそれぞれの各木の丸形状(又は略丸形状)と各同心円状の年輪の形状(模様)とを比較して、第2画像と同一(又は類似)と判定される第1画像を木情報DB210から抽出する。この画像の同一性判定処理については、公知の画像認識技術を用いることが可能である。例えば、ハッシュ値による同一画像検索、色の比較による類似画像検索、画像の特徴を抽出して比較する類似画像検索等の画像検索技術を用いることが可能である。
【0057】
例えば、第1画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)と、第2画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)とを比較し、これらの一致度を判定する。なお、画像サイズが異なることも想定される。そこで、この比較の際には、一方の画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)のサイズを基準として、他の画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)のサイズを変更して比較する。
【0058】
そして、一致度が所定値未満である場合には、これらの各画像は一致しないと判定する。一方、一致度が所定値以上である場合には、第1画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)と、第2画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)とを合わせた状態で、各画像に含まれる年輪の形状(模様)を比較し、これらの一致度を判定する。そして、一致度が所定値未満である場合には、これらの各画像は一致しないと判定する。一方、一致度が所定値以上である場合には、これらの各画像は一致すると判定する。この一致度の判定方法については、各画像に含まれる年輪の形状(模様)の一致度合いを算出し、この一致度合いが所定値(例えば90%乃至95%)以上となったことを条件に、一致すると判定することが可能である。又は、各画像に含まれる年輪の形状(模様)の不一致部分を差分値として算出し、この差分値が所定値(例えば5%乃至10%)未満となったことを条件に、一致すると判定することが可能である。なお、上述した各所定値は、説明を容易にするための例示であり、実際に使用する値については、実験、シミュレーション等に基づいて適宜設定可能である。
【0059】
なお、他の画像の特徴を用いて木の一致を判定してもよい。例えば、指紋の隆線の端点、分岐点の位置及び方向等を特徴点として認証を行う指紋照合技術を適用して、年輪の線等を特徴点として一致判定を行う木の一致判定処理を実行してもよい。また、例えば、各画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)内の画像から特徴を抽出し、この抽出された特徴量に基づいて画像の同一性を判定する画像認識技術を用いることが可能である。この画像の特徴として、例えば、画像の輝度値、特徴点(例えば、2値化画像の線の変曲点、交点、端点、中心点)を用いることができる。また、例えば、各画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)内の画像から特徴を抽出し、この抽出された特徴量に基づいて画像の同一性を判定するAI(Artificial Intelligence:人工知能)を用いた画像認識技術等を用いることも可能である。
【0060】
なお、実際に木を伐採したり切断したりする場合には、木の切断面が必ずしも平面形状にならないことも想定される。例えば、複数方向からの切断により、木の切断面に段差が形成されたり、一部が突出したりすることも想定される。このような場合には、その切断面のうちの平面部分のみを判定対象の画像として用いてもよく、段差等が生じている部分を含めた全体を判定対象の画像として用いてもよい。
【0061】
また、木の乾燥、製材等の各種処理が施されることにより、木の切断面の一部又は全部が変形することも想定される。これらの場合には、例えば、人工知能(AI)を利用して同一性又は類似度を判定可能である。例えば、人工知能を利用して、切断面の変形前と変形後との各画像を予め学習しておき、この学習データを判定に用いるようにする。この場合には、変形後の切断面について、その学習データを用いて、変更前の切断面との一致度を判定するための評価値を算出し、その評価値に基づいて、変形後の切断面を抽出することができる。なお、これらの抽出方法は、一例であり、他の画像処理方法、統計的手法、学習的手法等を用いて変形後の切断面を抽出してもよい。
【0062】
[対向する切断面の抽出例]
次に、木の切断面に対向する他の切断面を画像から抽出する抽出方法について説明する。ここで、木を切断する場合には、何らかの工具(例えば、チェーンソー)を用いて木を切断することが多い。例えば、チェーンソーを用いて木を切断する場合には、チェーンソーの幅程度だけ離れた位置に2つの切断面が形成される。すなわち、2つの切断面については、完全に同一の模様(年輪)となるわけではなく、チェーンソーの幅程度だけ離れた分、少しだけ異なる模様(年輪)となることが多い。そこで、これらの相違を考慮して、木の切断面に対向する他の切断面を画像から抽出することが好ましい。
【0063】
例えば、上述した同一画像又は類似画像を検索するための公知の画像認識技術を利用して、木の切断面に対向する他の切断面を画像から抽出することが可能である。なお、各画像を比較し易いように、上述した回転処理と同様に、抽出された木の丸形状(又は略丸形状)に含まれる年輪の密度に基づいて各画像について回転処理を施してもよい。
【0064】
また、例えば、各画像に含まれる木の丸形状(又は略丸形状)内の画像から特徴を抽出し、この抽出された特徴量に基づいて画像の同一性を判定するAIを用いた画像認識技術等を用いることも可能である。例えば、木の切断面の画像と、これに対向する切断面の画像とを予め学習しておき、この学習データを判定に用いるようにする。そして、対象となる木の切断面の画像と、他の切断面の画像とについて、その学習データを用いて、対象となる木の切断面に対する、他の切断面の評価値を算出し、その評価値に基づいて、対象となる木の切断面に対向する切断面を抽出することができる。なお、これらの抽出方法は、一例であり、他の画像処理方法、統計的手法、学習的手法等を用いて対向する切断面を抽出してもよい。
【0065】
[木に関する情報の取得時におけるユーザに対する情報の出力例]
図7乃至図10は、電子機器100から出力される情報(画像情報、音情報)の遷移例を示す図である。図7乃至図10では、1本の木を伐採する毎に伐採した木に関する情報を情報処理装置200に送信して登録する例を示す。なお、複数の木を伐採する毎にそれらの伐採した木に関する情報を情報処理装置200に送信して登録するようにしてもよい。また、所定期間(例えば、1日)内に伐採した複数の木に関する情報を情報処理装置200にまとめて送信して登録するようにしてもよい。
【0066】
また、図7乃至図10では、操作部106及び表示部107がタッチパネルにより構成されている場合の例を示す。また、図7乃至図10に示す各画面は、記憶部105に記憶されているプログラムに基づいて、制御部104により表示部107に表示される。また、図7乃至図10に示す各画面は、タッチパネル(操作部106及び表示部107)において受け付けられたユーザ操作に基づいて、制御部104により表示部107に順次表示される。同様に、図7乃至図10に示す各音声情報は、記憶部105に記憶されているプログラムに基づいて、制御部104により音出力部108から出力される。また、図7乃至図10に示す各音声情報は、タッチパネル(操作部106及び表示部107)において受け付けられたユーザ操作に基づいて、制御部104により音出力部108から順次出力される。なお、図7乃至図10では、指などを用いてユーザ操作をする例を示すが、体の他の部分を用いてユーザ操作(例えば、目の動きによる操作、音声による操作)を行うようにしてもよい。
【0067】
最初に、ユーザは、電子機器100において木に関する情報を登録するための登録処理を起動するための操作を行う。この操作が行われると、図7(1)に示す画面が表示部107に表示され、図7(1)に示す音情報が音出力部108から出力される。
【0068】
図7(1)に示す画面は、木を伐採する伐採作業を開始するユーザが、電子機器100において木に関する情報を登録するための登録処理を起動するための操作(例えば、木管理アプリの起動操作)を行うと表示される画面である。図7(1)に示す画面には、例えば、音出力部108から出力される音情報に対応する文字情報とともに、開始ボタン51及び戻るボタン52が表示される。なお、戻るボタン52は、直前の画面に戻る場合に押下されるボタンである。また、以降で示す各戻るボタンも、戻るボタン52と同様に、直前の画面に戻る場合に押下されるボタンである。
【0069】
図7(1)に示す画面において、ユーザが開始ボタン51を押下する操作を行うと、図7(2)に示す画面が表示部107に表示される。なお、木の伐採作業は長時間を要することが多く、伐採作業を効率的に行うことができるように、図7(2)に示す画面が表示部107に表示されている際には、音情報を出力しないようにする。ただし、ユーザに対して登録作業を促すため、定期的又は不定期に、図7(2)に示す画面に表示される文字情報に対応する音情報を音出力部108から出力させるようにしてもよい。
【0070】
図7(2)に示す画面は、1本又は複数の木を伐採したユーザが、電子機器100において木に関する情報を登録するための登録操作を開始するために表示される画面である。図7(2)に示す画面には、例えば、登録操作の開始を促す文字情報とともに、終了ボタン53及び中止ボタン54が表示される。中止ボタン54は、木に関する情報を登録するための登録処理を中止して初期画面に戻る場合に押下されるボタンである。
【0071】
図7(2)に示す画面において、ユーザが終了ボタン53を押下する操作を行うと、図7(3)に示す画面が表示部107に表示され、図7(3)に示す音情報が音出力部108から出力される。
【0072】
図7(3)に示す画面は、1本又は複数の木を伐採したユーザが、電子機器100において木に関する情報を登録するための登録操作を開始するために表示される画面である。図7(3)に示す画面には、例えば、伐採した木の切株の画像を取得する旨の文字情報とともに、切株画像を取得ボタン55及び戻るボタン56が表示される。
【0073】
図7(3)に示す画面において、ユーザが切株画像を取得ボタン55を押下する操作を行うと、図8(1)に示す画面が表示部107に表示され、図8(1)に示す音情報が音出力部108から出力される。
【0074】
図8(1)に示す画面は、電子機器100を用いて、伐採された木の切株の画像をユーザが撮影するための撮影操作をするために表示される画面である。図8(1)に示す画面には、例えば、画像取得部103により取得された画像(画像取得部103のレンズに入射される被写体の画像)を表示する表示領域DA1と、伐採した木の切株の画像を取得する旨の文字情報とともに、撮影ボタン61及び戻るボタン62が表示される。なお、図8(1)では、画像取得部103により取得された画像として、伐採された木の切株の画像が表示されている例を簡略化して示す。
【0075】
図8(1)に示す画面が表示部107に表示されているときに、ユーザは、切株の切断面の画像が表示領域DA1内に表示されるように、画像取得部103のレンズを切株の切断面に向ける。そして、ユーザは、切株の切断面の画像が表示領域DA1に表示されているときに、撮影ボタン61を押下する撮影操作を行う。撮影ボタン61を押下する撮影操作が行われた場合には、制御部104は、その撮影操作が行われたタイミングで画像取得部103により取得された画像を取得する。そして、制御部104は、その取得された画像に木の切断面が含まれるか否かを判断する。
【0076】
なお、画像取得部103により取得された画像に木の切断面(年輪)が含まれるか否かについては、公知の画像認識技術を用いて判断することができる。例えば、上述したように、公知の画像認識技術を利用して、画像取得部103により取得された画像に含まれる各木の丸の形状(又は略丸形状)と、年輪の形状(模様)とを抽出可能である。そこで、画像取得部103により取得された画像に木の丸の形状(又は略丸形状)が含まれ、かつ、その丸形状内に含まれる年輪の形状(模様)の画像の鮮鋭度が閾値以上(すなわち、ボケの程度が閾値未満)であることを条件に、画像取得部103により取得された画像に木の切断面(年輪)が含まれると判定可能である。なお、画像の鮮鋭度については、公知の画像認識技術を用いて算出することが可能である。
【0077】
このように、図8(1)に示す画面において、ユーザが撮影ボタン61を押下する撮影操作を行うと、制御部104は、その撮影操作に基づいて取得された画像に木の切断面が含まれるか否かを判断する。そして、その取得された画像に木の切断面が含まれていない場合には、図8(2)に示す画面が表示部107に表示され、図8(2)に示す音情報が音出力部108から出力される。一方、その取得された画像に木の切断面が含まれている場合には、図8(3)に示す画面が表示部107に表示され、図8(3)に示す音情報が音出力部108から出力される。
【0078】
図8(2)に示す画面は、図8(1)に示す撮影ボタン61の押下操作(撮影操作)に基づく画像の取得に失敗した場合に表示される画面である。なお、本実施形態では、押下操作と称する場合には、タッチパネルに表示されている操作標識(例えば、アイコン、ボタン)を選択する選択操作、タッチ操作等を実行する場合も含むものとする。例えば、制御部104は、図8(1)に示す撮影ボタン61の押下操作(撮影操作)に基づいて取得された画像に木の切断面が含まれていない場合、その取得された画像に含まれる木の切断面の面積が面積閾値を基準として小さい場合、その取得された画像に含まれる木の切断面のボケの程度がボケ閾値を基準として悪い場合等に、画像の取得に失敗したと判断する。また、対象となる物体を撮影するための公知技術を用いて、対象となる切断面の画像取得に成功したか否かを判定してもよく、人工知能(AI)を利用して対象となる切断面の画像取得に成功したか否かを判定してもよい。
【0079】
なお、面積閾値については、後述する木の切断面を用いた木の証明ができる程度の値を設定することができる。この面積閾値については、実験、シミュレーション等に基づいて適宜設定可能である。また、ボケ閾値についても、後述する木の切断面(年輪)を用いた木の証明ができる程度の値を設定することができる。このボケ閾値についても、実験、シミュレーション等に基づいて適宜設定可能である。
【0080】
図8(2)に示す画面が表示部107に表示された場合には、図8(1)に示す例と同様に、ユーザは、切株の切断面の画像の撮影操作を再度行う。なお、切株の切断面の画像として、適切な画像が取得できるまで、撮影操作を行う。そして、切株の切断面の画像として、適切な画像が取得できた場合には、図8(3)に示す画面が表示部107に表示され、図8(3)に示す音情報が音出力部108から出力される。
【0081】
図8(3)に示す画面は、図8(1)に示す撮影ボタン61の押下操作(撮影操作)に基づく画像の取得に成功した場合に表示される画面である。図8(3)に示す画面には、例えば、切株の切断面の画像の取得に成功した旨のメッセージとともに、OKボタン65及び戻るボタン66が表示される。OKボタン65は、図8(3)に示す画面の内容を確認した後に、次の撮影に進むための操作を行うボタンである。図8(3)に示す画面において、ユーザがOKボタン65を押下する押下操作を行うと、制御部104は、図9(1)に示す画面を表示部107に表示させる。また、OKボタン65が押下されると、撮影ボタン61の押下操作(撮影操作)に基づく画像に関する情報が、記憶部105の木情報DB110に格納される。例えば、図4に示すように、木に関する情報が格納される。
【0082】
これ以降については、ユーザは、図9(1)乃至(3)に示す画面を参照しながら、切株の切断面に対向する木の切断面から、木の上側に向かうように、木の切断面の撮影操作を繰り返し行う。そして、伐採した木の全ての切断面を撮影した場合には、ユーザは、図9(3)に示す画面における終了ボタン76を押下する。なお、OKボタン75(図9(3)参照)が押下されると、撮影ボタン71(図9(1)参照)の押下操作(撮影操作)に基づく画像に関する情報が、記憶部105の木情報DB110に格納される。例えば、図4に示すように、木に関する情報が格納される。
【0083】
なお、ユーザの誤操作、勘違い等により同一の切断面が複数回撮影されることも想定される。そこで、同一の切断面が複数回撮影されることを防止するため、同一の切断面が撮影されたことが検出された場合に、その旨の警告表示や警告音の出力を行い、正しい切断面の再度の撮影を促すようにしてもよい。例えば、画像の同一性判定(切断面の年輪の同一性判定又は類似度判定)に基づいて、同一の切断面が撮影されたことを検出可能である。この画像の同一性判定(又は類似度判定)については、上述した各画像処理技術を用いることが可能である。
【0084】
また、各センサを用いて、同一の切断面が複数回撮影されたことを検出してもよい。例えば、電子機器100がほとんど移動されていない状態で切断面が複数回撮影された場合には、同一の切断面が複数回撮影された可能性がある。そこで、電子機器100に備えられている各種センサ(例えば、加速度センサ、ジャイロセンサ)を用いて、電子機器100が所定量以上移動しているか否かを判定することができる。そして、切断面の撮影毎に電子機器100が所定量以上移動しているか否かを判定し、切断面の撮影毎に電子機器100が所定量未満しか移動していない場合には、同一の切断面が複数回撮影されたと判定することができる。一方、切断面の撮影毎に電子機器100が所定量以上移動している場合には、異なる切断面が撮影されたと判定することができる。
【0085】
また、対向する木の切断面の模様は、同一又は略同一となることが多い。例えば、図2(2)に示す切株の切断面31a及び木の切断面32aと、切株の切断面32b及び木の切断面33aと、切株の切断面33b及び木の切断面34aとのそれぞれは、同一又は略同一の模様となる。そこで、これらの関係に基づいて、適切な画像が取得できたか否かを判定してもよい。例えば、切株の切断面と、その次に撮影された木の切断面との画像の類似度を判定し、その類似度が基準よりも高い場合には、切株の切断面の次に撮影された木の切断面が、異なる順序で撮影されたと判定し、その旨の警告表示や警告音の出力を行い、ユーザに正しい切断面を撮影することを促してもよい。なお、画像の類似度については、公知の画像認識技術を用いることができる。
【0086】
また、伐採された木が複数に分割され、それらの各部分が積み立てられていることも想定される。この場合には、複数の切断面を一度の撮影により取得してもよい。この場合には、一度に撮影された画像(複数の切断面を含む画像)を表示部107に表示させ、ユーザは、その画像に含まれる複数の切断面を見ながら、切り株からの順序を手動操作により順次指定することができる。また、伐採された複数の木が複数に分割され、それらの各部分が積み立てられていることも想定される。この場合についても、複数の木の各切断面を一度の撮影により取得してもよい。この場合には、一度に撮影された画像(複数の木の各切断面を含む画像)を表示部107に表示させ、ユーザは、その画像に含まれる複数の切断面を見ながら、同一の木の切り株からの順序を手動操作により、伐採された木毎に、順次指定することができる。このように、複数の切断面を一度の撮影により取得して、ユーザ操作により各切断面の画像を取得してもよく、自動で取得してもよい。なお、自動で取得する例については、図13乃至図15等で示す。
【0087】
図9(3)に示す終了ボタン76を押下する押下操作がされた場合には、図10(1)に示す画面が表示部107に表示される。図10(1)に示す画面には、伐採された木の切断面の画像の取得が終了した旨と、それらの各画像を確認する旨と、表示ボタン81及び戻るボタン82とが表示される。また、図10(1)に示す画面に表示されるメッセージとともに、そのメッセージに対応する音声を音出力部108から出力させてもよい。なお、伐採された木の切断面の画像の全ての撮影が終了していない場合には、戻るボタン82を押下し、図9(1)に示す画面を表示させることができる。一方、伐採された木の切断面の画像の全ての撮影が終了している場合には、表示ボタン81を押下し、図10(2)に示す画面を表示させることができる。
【0088】
図10(2)に示す画面は、図8(1)から図9(3)に示す画面を用いて取得された画像(伐採された木の切断面の画像)の一覧が表示される画面である。また、この画面には、確認ボタン83及び再度撮影ボタン84が表示される。なお、この例では、伐採された木の切断面の各画像の一覧を同一画面に表示する例を示すが、伐採された木の切断面の各画像の一部のみをユーザ操作により順次表示させてもよい。
【0089】
ユーザは、図10(2)に示す画面に表示されている複数の画像(伐採された木の切断面の画像)と、伐採された木の実際の切断面とを目視で比較する。そして、その目視で確認した結果、図10(2)に示す画面に表示されている複数の画像と、伐採された木の実際の切断面とが一致する場合には、その伐採された木の切断面の画像を適切に取得できたと判断することができる。この場合には、ユーザは、確認ボタン83を押下する。確認ボタン83が押下されると、図10(3)に示す画面に表示される。一方、その目視で確認した結果、両者が一致しない場合には、その伐採された木の切断面の画像を適切に取得できなかったと判断することができる。この場合には、ユーザは、再度撮影ボタン84を押下する。再度撮影ボタン84が押下されると、伐採された木の切断面を取得するための画面(例えば、図8(1)又は図9(1)に示す画面)が表示される。この画面を用いて、ユーザは、撮影に失敗した画像又は全ての画像の取得操作を順次行う。
【0090】
図10(3)に示す画面は、図8(1)から図9(3)に示す各画面を用いて取得された画像(伐採された木の切断面の画像)を登録するための画面である。また、この画面には、登録ボタン85及び戻るボタン86が表示される。登録ボタン85が押下されると、図10(2)に示す画面に表示されていた各画像に関する情報が、記憶部105の木情報DB110に格納される。また、記憶部105の木情報DB110に格納された情報(図10(2)に示す画面に表示されていた各画像に関する情報)が電子機器100から情報処理装置200に送信される。そして、情報処理装置200は、電子機器100から送信された情報を記憶部203に格納する。例えば、図6に示すように、木に関する情報が格納される。
【0091】
[木の伐採時における電子機器の動作例]
図11は、電子機器100における木に関する情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。なお、この取得処理は、記憶部105に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御部104により実行される。また、この取得処理は、木の伐採作業を開始するための操作に基づいて開始される。また、この取得処理では、図1乃至図10を適宜参照して説明する。
【0092】
ステップS501において、制御部104は、伐採した木の切株の画像を取得する旨の指示を出力する出力処理を実行する。例えば、表示部107での文字表示又は画像表示や、音出力部108からの音声出力により出力される。例えば、図7(1)乃至(3)に示す各画面が表示部107に表示され、図7(1)乃至(3)に示す各音声が音出力部108から出力される。そして、図7(3)に示す切株画像を取得ボタン55が押下されると、図8(1)に示す表示画面が表示部107に表示され、図8(1)に示す音声情報が音出力部108から出力される。
【0093】
ステップS502において、制御部104は、木に関する情報の取得指示があったか否かを判断する。例えば、図8(1)に示す撮影ボタン61が押下されたか否かが判断される。そして、撮影ボタン61が押下された場合には、木に関する情報の取得指示があったと判定され、撮影ボタン61が押下されていない場合には、木に関する情報の取得指示がないと判定される。木に関する情報の取得指示があった場合には、画像取得部103により木に関する情報が取得され、ステップS503に進む。一方、木に関する情報の取得指示がない場合には、ステップS501に戻る。
【0094】
ステップS503において、制御部104は、画像取得部103により取得された木に関する情報(画像)を取得して解析する。例えば、図8(1)乃至(3)で示したように、木に関する画像(切断面)を解析することが可能である。
【0095】
ステップS504において、制御部104は、切株の適切な画像が取得されたか否かを判断する。切株の適切な画像が取得された場合には、ステップS506に進む。一方、切株の適切な画像が取得されなかった場合には、ステップS505に進む。
【0096】
ステップS505において、制御部104は、同一の切株の画像を再度取得する旨の指示を出力し、ステップS502に戻る。例えば、図8(2)に示す画面が表示部107に表示され、図8(2)に示す音声が音出力部108から出力される。
【0097】
ステップS506において、制御部104は、電子機器100の現在地を示す位置情報を取得する。この位置情報は、位置情報取得部102により取得され、制御部104に出力される。
【0098】
ステップS507において、制御部104は、ステップS503で取得された切株の画像と、ステップS506で取得された位置情報とを関連付けて記憶部105の木情報DB110(図4参照)に格納する。例えば、切断面識別情報112「0」に関連付けて、ステップS503で取得された切株の画像が画像情報113に格納され、ステップS506で取得された位置情報が位置情報114に格納され、これらの取得時刻が時刻情報115に格納される。なお、ステップS503で取得された切株の画像については、切断面の丸形状(又は略丸形状)が所定サイズとなるように各種の画像処理(例えば、サイズ変更、切取処理)を施して格納してもよく、上述した回転処理を実行して格納してもよい。
【0099】
ステップS508において、制御部104は、伐採した木の切断面の画像を下から順次取得する旨の指示を出力する。例えば、図8(3)に示す画面が表示部107に表示され、図8(3)に示す音声が音出力部108から出力される。そして、OKボタン65の押下操作がされた場合には、図9(1)に示す画面が表示部107に表示され、図9(1)に示す音声が音出力部108から出力される。
【0100】
ステップS509乃至S514の各処理は、切株以外の切株面の画像を取得する処理であり、切株面の画像を取得する点については、ステップS502乃至S507の各処理に対応する。このため、ここでの説明を省略する。例えば、ステップS509で撮影ボタン71(図9(1)参照)が押下され、切断面の適切な画像が取得されなかった場合には、ステップS512で図9(2)に示す画面が表示部107に表示され、図8(2)に示す音声が音出力部108から出力される。また、例えば、ステップS509で撮影ボタン71(図9(1)参照)が押下され、切断面の適切な画像が取得された場合には、図9(3)に示す画面が表示部107に表示され、図9(3)に示す音声が音出力部108から出力される。
【0101】
ステップS515において、制御部104は、終了指示があったか否かを判断する。例えば、図9(3)に示す画面において終了ボタン76を押下する押下操作がされた場合には、終了指示があったと判断される。終了指示があった場合には、ステップS516に進む。一方、終了指示がなかった場合には、ステップS508に戻る。
【0102】
ステップS516において、制御部104は、ステップS515までの各処理で取得された各画像(伐採された木の切断面の画像)を表示部107に表示させる。この場合には、制御部104は、木情報DB110(図4参照)の画像情報113に格納された画像情報に基づいて、各画像(伐採された木の切断面の画像)を表示させることが可能である。例えば、図10(2)に示す画面が表示部107に表示される。
【0103】
ステップS517において、制御部104は、表示部107に表示された各画像を確認した後に行われる確認操作があったか否かを判断する。例えば、図10(2)に示す画面において確認ボタン83を押下する押下操作がされた場合には、確認操作があったと判断される。確認操作があった場合には、ステップS519に進む。一方、確認操作がなかった場合には、ステップS518に進む。
【0104】
ステップS518において、制御部104は、表示部107に表示された各画像を確認した後に行われる再度撮影操作があったか否かを判断する。この再度撮影操作は、表示部107に表示された各画像を確認したユーザが、各画像の少なくとも一部を再度撮影する必要があると判断した場合に行われる操作である。例えば、図10(2)に示す画面において再度撮影ボタン84を押下する押下操作がされた場合には、再度撮影操作があったと判断される。再度撮影操作があった場合には、ステップS501に戻る。一方、再度撮影操作がなかった場合には、ステップS516に戻る。
【0105】
ステップS519において、制御部104は、ステップS516で表示された各画像に関する木情報(記憶部105の木情報DB110)を情報処理装置200に送信する。この場合に、情報処理装置200に送信される情報には、電子機器100を識別する送信機器識別情報を含めて送信される。なお、図11では、説明を省略するが、図10(3)に示す画面(伐採された木の切断面の画像を登録するための画面)を表示部107に表示させ、この画面において登録ボタン85が押下されることを条件に、ステップS519の処理を実行してもよい。
【0106】
[木情報を登録する場合における情報処理装置の動作例]
図12は、情報処理装置200における木に関する情報の登録処理の一例を示すフローチャートである。なお、この登録処理は、記憶部203に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御部202により実行される。また、この登録処理は、制御周期毎に常時実行される。また、この登録処理では、図1乃至図11を適宜参照して説明する。
【0107】
ステップS521において、制御部202は、電子機器から送信される木情報の受信を監視する監視処理を実行する。すなわち、制御部202は、伐採された木に関する木情報を通信部201が受信したか否かを監視する。
【0108】
ステップS522において、制御部202は、木情報を受信したか否かを判定する。木情報を受信した場合には、ステップS523に進む。一方、例えば、木情報を受信していない場合には、登録処理の動作を終了する。
【0109】
ステップS523において、制御部202は、ステップS521、S522で受信した木情報と、その木情報を送信した電子機器とを関連付けて記憶部203の木情報DB210(図6参照)に格納する。例えば、電子機器100からの木情報を受信した場合には、制御部202は、電子機器100を識別する送信機器識別情報を送信機器識別情報211(図6参照)に格納し、電子機器100から受信した木情報に含まれる各情報を、木識別情報212、切断面識別情報213、画像情報214、位置情報215、画像取得時刻情報216(図6参照)のそれぞれに格納する。そして、制御部202は、その木情報を電子機器100から受信した時刻を受信時刻情報217(図6参照)に格納する。これにより、電子機器100から受信した木情報の木情報DB210への登録処理が完了する。
【0110】
[伐採された木の切断面を推定する例]
以上では、伐採された木の切断面を切断面毎に撮影して各切断面の画像を取得する例を示した。ここで、伐採された木の切断面を切断面毎に撮影する作業は、作業者の負担が増加するおそれがある。そこで、ここでは、伐採されて積み立てられた複数の木の各切断面の画像を取得し、これらの各切断面の画像に基づいて、各木の切断面を推定する例について説明する。
【0111】
図13図14は、伐採された木の切断面を木毎に推定する場合の推定方法を簡略化して示す図である。
【0112】
図13(1)には、切株701、711、721、731、741の木700、710、…、740の構成例を示す。なお、切株721、731の木の構成は、木700、710、740の構成と同じであるため、ここでの図示を省略する。
【0113】
切株701から伐採された木700は、4つの切断面により4つの木702乃至705に切断されたものとする。また、木702乃至704の各切断面を切断面A1乃至A6で示す。なお、木705については、木の流通から除外するものとする。また、切株701の切断面Aと、木702の両端の切断面A1、A2と、木703の両端の切断面A3、A4と、木704の両端の切断面A5、A6とが、木を管理するための画像として記録される。また、切株701の切断面Aに対向する切断面は、木702の切断面A1であり、木702の切断面A2に対向する切断面は、木703の切断面A3であり、木703の切断面A4に対向する切断面は、木704の切断面A5であり、木705の切断面A6に対向する切断面は、木705の切断面A7であるものとする。
【0114】
また、木710、740の構成及び切断面の関係についても同様とする。なお、図13に示す例では、説明を容易にするため、伐採された木の4か所を切断して、取引対象となる木を3つに分割する例を示すが、切断箇所や分割数については、これに限定されない。
【0115】
図13(2)には、伐採した木の切株701、711、721、731、741を含む画像610の一例を示す。ただし、図13(2)に示す画像610内に示す切株に対応する円内には、説明を容易にするため、図13(1)に示す切断面A乃至Eと同様の符号を付して示す。画像610については、ユーザU0が高い位置から電子機器100を利用して撮影してもよく、他の機器(例えば、ドローン等の飛行体)を利用して撮影してもよい。
【0116】
また、例えば、点線の枠611乃至615で示すように、画像610に含まれる木の切株701、711、721、731、741の画像を抽出して用いることが可能である。なお、木の切株701、711、721、731、741の画像を抽出する抽出方法については、上述したように、公知の画像抽出方法を用いることができる。
【0117】
図14(1)には、伐採された複数の木650が積まれた状態を示す。この例では、伐採された木の切断面を切断面毎に撮影する代わりに、伐採された複数の木650が1か所に積まれた後に、複数の木650の切断面をまとめて撮影する例を示す。具体的には、図14(1)に示すように、伐採されて積まれた複数の木650の各切断面の両側の画像を電子機器100の画像取得部103により取得する。このように取得された画像660、670を図14(2)に示す。
【0118】
図14(2)には、複数の木700、710、…、740の各切断面の両端側を含む画像660、670を示す。なお、画像660は、伐採されて1か所に積み立てられた複数の木700、710、…、740について、各切断面の一方の端部が含まれるように撮影された画像である。また、画像670は、伐採されて1か所に積み立てられた複数の木700、710、…、740について、各切断面の他方の端部が含まれるように撮影された画像である。また、これらの各画像660、670は、電子機器100を用いて生成される。このように生成された画像660、670については、記憶部105に関連付けて格納される。
【0119】
なお、図14(2)に示す画像660、670内に示す切断面に対応する円内には、説明を容易にするため、図13(1)に示す切断面A1乃至A5、B1乃至B5、…、E1乃至E5と同様の符号を付して示す。また、画像660、670内には、図14(1)に示す状態と同様に、3段で積まれている複数の木が含まれる。具体的には、下段に6個の木が積まれ、中段に5個の木が積まれ、上段に4個の木が積まれている。なお、図14(1)(2)では、説明を容易にするため、木の隙間等を簡略化して示す。
【0120】
上述したように、切株の切断面Aと切断面A1とは、略同一となる。同様に、切株の切断面B乃至Eと切断面B1乃至E1との関係も同様である。そこで、電子機器100の制御部104は、切株の切断面A乃至Eと略同一の切断面、すなわち、切断面A1乃至E1を、画像660、670から抽出する。例えば、上述したように、公知の画像認識技術を用いて、画像660、670から切断面A1乃至E1を抽出することが可能である。例えば、電子機器100の制御部104は、切株の切断面Aと略同一の切断面A1を画像660から抽出する。同様に、電子機器100の制御部104は、切株の切断面B乃至Eと略同一の切断面B1乃至E1を画像660、670から抽出する。これ以降は、説明を容易にするため、木710の切断面を特定する方法を説明するが、木720、730、740、750の切断面を特定する方法についても同様である。
【0121】
次に、切断面A1を有する木702の他の切断面A2を画像660、670から抽出する。この例では、切断面A1が画像660に含まれるため、切断面A1の逆側の切断面A2は、画像670に含まれることになる。そこで、電子機器100の制御部104は、切断面A1が抽出された画像660とは異なる画像670から切断面A2を抽出する。ここで、画像660及び画像670に含まれる木702乃至704、木712乃至714、…、木742乃至744の関係は、左右対称の関係になる。
【0122】
例えば、木702は、画像660において、最下段の左端(切断面A1)に配置され、画像670において、最下段の右端(切断面A2)に配置される。また、例えば、木703は、画像660において、最下段の右端(切断面A3)に配置され、画像670において、最下段の左端(切断面A4)に配置される。また、例えば、木704は、画像660において、最上段の左端(切断面A6)に配置され、画像670において、最上段の右端(切断面A5)に配置される。他の木についても同様である。
【0123】
次に、電子機器100の制御部104は、切断面A2と略同一の切断面、すなわち、切断面A3を画像660、670から抽出する。図14(2)に示す例では、画像660の最下段の右端に切断面A3が配置されているため、電子機器100の制御部104は、切断面A3を画像660から抽出する。
【0124】
次に、切断面A3を有する木703の他の切断面A4を画像660、670から抽出する。この例では、切断面A3が画像660に含まれるため、切断面A4は画像670に含まれることになる。そこで、電子機器100の制御部104は、切断面A3が抽出された画像660とは異なる画像670から切断面A4を抽出する。
【0125】
次に、電子機器100の制御部104は、切断面A4と略同一の切断面、すなわち、切断面A5を画像660、670から抽出する。図14(2)に示す例では、画像670の最上段の右端に切断面A5が配置されているため、電子機器100の制御部104は、切断面A5を画像670から抽出する。
【0126】
次に、切断面A5を有する木704の他の切断面A6を画像660、670から抽出する。この例では、切断面A5が画像670に含まれるため、切断面A6は画像660に含まれることになる。そこで、電子機器100の制御部104は、切断面A5が抽出された画像670とは異なる画像660から切断面A6を抽出する。
【0127】
次に、電子機器100の制御部104は、切断面A6と略同一の切断面、すなわち、切断面A7を画像660、670から抽出する。しかし、図14(2)に示す例では、切断面A7を有する木705は、木の流通から除外されるため、画像660、670に含まれない。この場合には、電子機器100の制御部104は、切株701から切断された木は、木702乃至704であり、木702乃至704の切断面は、切断面A1乃至A6であると判断できる。そこで、電子機器100の制御部104は、抽出された切断面A1乃至A6を、切株の切断面Aに関連付けて記憶部105に格納する。
【0128】
[伐採された複数の木に関する木情報を取得する場合の動作例]
図15は、伐採された複数の木に関する木情報を取得する取得処理の一例を示すフローチャートである。なお、この取得処理は、記憶部105に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御部104により実行される。また、この取得処理は、木の伐採作業が終了して所定操作が行われたことに基づいて開始される。なお、この取得処理では、木の両端の切断面を含む2つの画像を用いて木情報を取得する例を示すが、木の両端の切断面を含む4以上の画像(ただし、偶数個の画像)を用いて木情報を取得する場合についても適用可能である。
【0129】
ステップS531において、制御部104は、伐採された複数の木の位置情報と切株の画像とを取得する。例えば、図8(1)に示す画面を用いて撮影された切株の画像と、この撮影時の位置情報とを記憶部105に関連付けて格納しておき、これらの各切株の画像と各位置情報とを記憶部105から取得することが可能である。また、例えば、図13(2)に示すように、伐採された複数の木の切株を1つの画像として撮影してもよく、1又は複数の切株を1つの画像として撮影し、それらの各画像を合成して用いてもよい。
【0130】
ステップS532において、制御部104は、伐採されて積まれた複数の木の両端の切断面の2つの画像を取得する。例えば、図14(1)に示すように、電子機器100を用いて撮影された2つの画像(画像取得部103により取得された2つの画像)を記憶部105に関連付けて格納しておき、これらの各画像を記憶部105から取得することが可能である。
【0131】
ステップS533において、制御部104は、ステップS532で取得された2つの画像について、各画像のそれぞれの撮像時における上下方向を特定する。例えば、スマートフォン等の撮像装置には、機器の動きや状態を検出するセンサ(例えば、ジャイロセンサ、加速度センサ)が設けられていることが多い。このセンサを用いて撮像時における画像の上下方向を画像の属性情報として記録しておき、この属性情報に基づいて画像の上下方向を取得可能である。例えば、図14(2)に示す矢印AR1、AR2のように、画像660、670の上下方向が特定される。また、図14(2)に示す矢印AR3、AR4のように、画像660、670の上下方向が特定されることに応じて、画像660、670の左右方向が特定される。
【0132】
ステップS534において、制御部104は、ステップS532で取得された2つの画像に含まれる各木の構成に基づいて、各木の対称性があるか否かを判定する。例えば、伐採された複数の木が積まれている状態で、それらの各切断面を撮影した場合には、その積まれた木の構成は、左右対称(又は、略左右対称)となると想定される。
【0133】
例えば、公知の画像認識技術(例えば、エッジ検出)を利用して2つの画像に含まれる各木の輪郭を抽出可能である。これにより、2つの画像に含まれる各木の丸の形状(又は略丸形状)を取得可能である。そこで、2つの画像のうちの一方の画像に含まれる木の構成と、2つの画像のうちの他方の画像を左右反転した画像に含まれる木の構成とを比較し、上下方向及び左右方向の木の数が一致することを条件に、各木の対称性があると判定可能である。又は、それらの数の一致とともに、比較対象となる2つの画像に含まれる各木の輪郭の画像の差分値を算出し、その差分値が閾値以内であることを条件に、各木の対称性があると判定してもよい。このように、各木の対称性があると判定された場合には、制御部104は、2つの画像に含まれる各木について、それぞれ対象となる各木を関連付けて保持しておく。
【0134】
例えば、図14(2)に示す画像660、670については、3段で積まれている複数の木が含まれ、下段に6個の木が積まれ、中段に5個の木が積まれ、上段に4個の木が積まれている。このため、一方の画像660に含まれる木の構成と、他方の画像670を左右反転した画像に含まれる木の構成とを比較した場合には、上下方向及び左右方向の木の数が一致することになる。また、それらの比較対象となる2つの画像に含まれる各木の配置は、略同様であるため、比較対象となる2つの画像に含まれる各木の輪郭の画像の差分値が閾値以内となる。このため、画像660、670に含まれる各木の対称性があると判定される。この場合には、制御部104は、画像660、670に含まれる各木について、それぞれ対象となる各木を関連付けて保持しておく。例えば、画像660に含まれる木B5と、これに対応する位置に存在する画像670に含まれる木B6とが関連付けて保持される。他の木についても同様に対応する各木の組み合わせが保持される。
【0135】
ステップS535において、制御部104は、ステップS534での判定結果で各木の対称性があると判定されたか否かを判定する。例えば、ステップS532で取得された2つの画像に含まれる木の数が異なる場合、2つの画像に含まれる木の構成が大きく異なるような場合には、各木の対称性がないと判定される。各木の対称性があると判定された場合には、ステップS536に進む。一方、各木の対称性がないと判定された場合には、ステップS546に進む。
【0136】
ステップS546において、制御部104は、ステップS532で取得された2つの画像には異なる木が含まれると判定する。この場合には、ステップS549において、その判定結果をユーザに通知する。例えば、同一の木が含まれる2つの画像を取得することを指示する指示情報を出力してもよい。
【0137】
ステップS536において、制御部104は、ステップS531で取得された切株の画像に含まれる切株のうちから1つの切株を対象切株として選択し、その対象切株の切断面に対向する切断面を、ステップS532で取得された2つの画像から抽出する。例えば、図13(1)に示す切株701の画像が対象切株として選択された場合には、その対象切株の切断面Aに対向する切断面として、画像660(図14(2)参照)から木702の切断面A1が抽出される。また、制御部104は、抽出された切断面A1の画像660における位置を保持しておく。なお、対向する切断面の抽出方法については、上述した抽出方法を用いることが可能である。
【0138】
ステップS537において、制御部104は、ステップS536で、対象切株の切断面に対向する切断面が抽出されたか否かを判定する。対象切株の切断面に対向する切断面が抽出された場合には、ステップS538に進む。一方、対象切株の切断面に対向する切断面が抽出されない場合には、ステップS547に進む。
【0139】
ステップS547において、制御部104は、ステップS532で取得された2つの画像には、ステップS531で取得された切株の画像に含まれる対象切株が含まれないと判定する。この場合には、ステップS549において、その判定結果をユーザに通知する。例えば、切株の画像と、2つの画像との正しい組み合わせを取得することを指示する指示情報を出力してもよい。
【0140】
ステップS538において、制御部104は、ステップS536で抽出された切断面(対象切株の切断面に対向する切断面)の他の端面の切断面を他の画像から特定する。上述したように、ステップS534で、2つの画像に含まれる各木の対称性があると判定された場合には、2つの画像に含まれる各木について、それぞれ対象となる各木が関連付けて保持される。そこで、この保持された情報を用いて、他の端面の切断面を特定することが可能である。例えば、画像660に含まれる木(切断面A1)と、これに対応する位置に存在する画像670に含まれる木(切断面A2)とが関連付けて保持される。このため、ステップS536で抽出された切断面A1の他の端面の切断面A2を画像670から特定することが可能である。
【0141】
ステップS539において、制御部104は、ステップS538で特定された切断面に対向する切断面を、ステップS532で取得された2つの画像から抽出する。例えば、ステップS538で画像670に含まれる切断面A2が特定された場合には、切断面A2に対向する切断面として、画像660(図14(2)参照)から木703の切断面A3が抽出される。また、制御部104は、抽出された切断面A3の画像660における位置を保持しておく。なお、対向する切断面の抽出方法については、ステップS536で示した抽出方法と同様である。
【0142】
ステップS540において、制御部104は、ステップS539で切断面が抽出されたか否かを判定する。切断面が抽出された場合には、他の端面の切断面も存在するため、ステップS538に戻り、他の端面の切断面の抽出処理を実行する。一方、切断面が抽出されない場合には、ステップS532で取得された2つの画像に含まれる切断面の抽出処理が終了したと判定して、ステップS541に進む。
【0143】
ステップS541において、制御部104は、対象切株と、ステップS536、S538、S539で抽出(又は特定)された各切断面とを関連付けて記憶部105に格納する。これらの各情報については、ステップS544で木情報DB110(図4参照)に記録される。
【0144】
ステップS542において、制御部104は、ステップS531で取得された切株の画像に含まれる各切株について、全ての切株を対象切株としたか否かを判定する。全ての切株を対象切株としていない場合には、他の切株について、上述した各処理を実行するため、ステップS536に戻る。一方、全ての切株を対象切株とした場合には、全ての切株について上述した各処理が終了したため、ステップS543に進む。
【0145】
ステップS543において、制御部104は、ステップS532で取得された2つの画像において、ステップS538、S539で抽出(又は特定)されていない切断面が存在するか否かを判定する。その2つの画像において、そのような切断面が存在しない場合には、ステップS544に進む。一方、その2つの画像において、そのような切断面が存在する場合には、ステップS548に進む。
【0146】
ステップS544において、制御部104は、ステップS531で取得された切株の画像に含まれる全ての切株と、ステップS536、S538、S539で抽出(又は特定)された各切断面と、位置情報とを関連付けて木情報DB110に格納する。例えば、ステップS531で取得された切株の画像に含まれる全ての切株について、各情報を木情報DB110(図4参照)に記録する。この場合には、木識別情報111には、記録対象となる切株の数だけ識別情報が格納される。また、切断面識別情報112には、切株と、ステップS536、S538、S539で抽出(又は特定)された各切断面とを合計した数だけ識別情報が格納される。例えば、図14(2)を参照すると、切株の切断面Aについては、画像660、670に含まれる切断面A1乃至A6が関連付けて格納される。この場合に、画像情報113には、切株の切断面Aの画像と、画像660、670から抽出された切断面A1乃至A6の画像とが格納される。なお、画像の抽出方法については、公知の画像処理技術を用いることが可能である。また、位置情報114には、ステップS531で取得された切株の画像に関連付けられている位置情報が格納される。また、時刻情報115には、ステップS531で取得された切株の画像に関連付けられている時刻情報、上述した抽出処理が終了した時刻等が格納される。
【0147】
ステップS545において、制御部104は、木情報DB110に格納された各情報を情報処理装置200に送信する。この送信については、図11に示すステップS519の送信処理と同様である。
【0148】
ステップS548において、制御部104は、ステップS532で取得された2つの画像には、ステップS531で取得された切株の画像に含まれる木以外の木が含まれると判定する。この場合には、ステップS549において、その判定結果をユーザに通知する。例えば、切株の画像と、2つの画像との正しい組み合わせを取得することを指示する指示情報を出力してもよい。
【0149】
[伐採した木を集荷する場所における木に関する情報の取得例]
図16は、伐採された木32乃至34(図2参照)を集荷する集荷場所において木32乃至34に関する情報を取得する例を示す図である。
【0150】
図16(1)には、輸送車TR1に積載された木32乃至34が木材集荷所に到着した状態を示す。図16(2)には、木32乃至34の各切断面を撮像装置300により撮影して画像を取得する例を示す。
【0151】
図16(1)に示すように、伐採された木32乃至34が木材集荷所に到着した場合には、木32乃至34がどこで伐採されたものであるかを証明するため、木32乃至34に関する情報を取得する。例えば、図16(2)に示すように、木32乃至34の各切断面を撮像装置300により撮影して画像を取得することができる。なお、木32乃至34の各切断面の撮影については、輸送車TR1に積載された状態で行うようにしてもよく、輸送車TR1から降ろした後に行うようにしてもよい。また、撮像装置300は、有線通信又は無線通信を利用して画像を情報処理装置200に送信することが可能な機器(例えば、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、スマートフォン)である。なお、記録媒体を使用して、撮像装置300により生成された画像を情報処理装置200に移動させてもよい。
【0152】
情報処理装置200は、撮像装置300から取得した画像を用いて、木32乃至34の同一性を証明する。具体的には、図16(3)に示すように、制御部202は、撮像装置300から取得した画像と、記憶部203の木情報DB210に記憶されている画像情報とを比較して証明する。この証明方法については、図17を参照して詳細に説明する。
【0153】
[伐採した木を集荷する場所における木の証明例]
図17は、伐採された木32乃至34(図2参照)を集荷する集荷場所において木32乃至34の伐採地を証明する例を示す図である。
【0154】
図17(1)には、伐採地が特定された場合の証明例を示す。図16(3)に示すように、撮像装置300から取得した画像と、記憶部203の木情報DB210に記憶されている画像情報とを比較し、その比較結果に基づいて、撮像装置300から取得した画像に含まれる各木と、記憶部203の木情報DB210に木情報が格納されている木との同一性が確認できた場合には、制御部202は、撮像装置300から取得した画像に含まれる各木の伐採地を証明する証明情報を生成する。例えば、制御部202は、撮像装置300から取得した画像ファイルに、伐採地に関する情報を付与したファイルを生成する。例えば、木32乃至34の画像に、伐採地に関する文字情報「これらの木は、群馬県□郡□町▽で伐採されたものであることを証明する。」等の証明情報を付与した画像ファイル811、812を生成する。なお、これらの証明情報は、一例であり、他の方法により証明情報を生成してもよい。
【0155】
図17(2)には、伐採地が特定されなかった場合の証明例を示す。図16(3)に示すように、撮像装置300から取得した画像と、記憶部203の木情報DB210に記憶されている画像情報とを比較し、その比較結果に基づいて、撮像装置300から取得した画像に含まれる各木と、記憶部203の木情報DB210に木情報が格納されている木との同一性が確認できなかった場合には、制御部202は、撮像装置300から取得した画像に含まれる各木の伐採地が不明であることを証明する証明情報を生成する。例えば、制御部202は、撮像装置300から取得した画像ファイルに、伐採地が不明であることを示す情報を付与したファイルを生成する。例えば、木32乃至34の画像に、伐採地が不明であることを示す文字情報「これらの木の伐採地は不明ものであることを証明する。」等の証明情報を付与した画像ファイル821、822を生成する。なお、これらの証明情報は、一例であり、他の方法により証明情報を生成してもよい。
【0156】
[木の流通時における動作例]
図18は、情報処理装置200における木の流通時の証明処理の一例を示すフローチャートである。なお、この証明処理は、記憶部203に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御部202により実行される。また、この証明処理は、木の証明作業を開始するための所定操作に基づいて開始される。また、この証明処理では、同一の伐採地で伐採された木を取引対象とする場合の例を示す。なお、この証明処理では、木の両端の切断面を含む2つの画像を用いて木の伐採地を証明する例を示すが、木の両端の切断面を含む4以上の画像(ただし、偶数個の画像)を用いて木の伐採地を証明する場合についても適用可能である。
【0157】
ステップS561において、制御部202は、取引対象の木の切断面の画像を取得する。例えば、図16(2)に示すように、外部機器である撮像装置300により生成された画像(木の切断面の画像)を取得することが可能である。なお、情報処理装置200が撮像装置を備える場合には、その撮像装置により生成された画像(木の切断面の画像)を取得してもよい。
【0158】
ステップS562において、制御部202は、ステップS561で取得された切断面の画像と、記憶部203の木情報DB210(図6参照)の画像情報214とを比較し、画像情報214のうちから、その取得された切断面の画像を抽出する。この抽出処理は、上述した画像検索技術を用いることが可能である。
【0159】
ステップS563において、制御部202は、ステップS562で抽出された全ての切断面の画像が画像情報214から抽出されたか否かを判定する。抽出された全ての切断面の画像が画像情報214から抽出された場合には、ステップS564に進む。一方、抽出された全ての切断面の画像が画像情報214から抽出されなかった場合には、ステップS568に進む。なお、画像情報214に格納されている画像情報のうちの切株の画像情報(切断面識別情報213「0」)については、ステップS562で抽出された各切断面の画像のうちに対向する切断面の画像は存在するが、同一となる画像は存在しない。このため、画像情報214に格納されている画像情報のうち、切断面識別情報213「0」以外の画像情報が抽出対象となる。
【0160】
ステップS564において、制御部202は、ステップS562で抽出された全ての切断面の画像の位置情報が同一の伐採地であるか否かを判定する。抽出された全ての切断面の画像の位置情報が同一の伐採地である場合には、ステップS565に進む。一方、抽出された全ての切断面の画像の位置情報が同一の伐採地でない場合には、ステップS568に進む。
【0161】
例えば、制御部202は、ステップS562で抽出された全ての切断面の画像に対応する位置情報215(図6参照)を取得し、この位置情報に基づいて、切断面の画像の位置情報が同一の伐採地であるか否かを判定可能である。例えば、位置情報215から取得された位置情報により特定される各位置が、所定範囲内(例えば、伐採地を特定する程度の範囲)に含まれる場合には、切断面の画像の位置情報が同一の伐採地であると判定可能である。一方、位置情報215から取得された位置情報により特定される各位置が、所定範囲内(例えば、伐採地を特定する程度の範囲)に含まれない場合(例えば、各位置が大きく異なる場合(例えば、数十km乃至数百km程度異なる場合))には、切断面の画像の位置情報が同一の伐採地でないと判定可能である。ここで、切株の位置が同一の伐採地であると判定できる木については、その木の他の切断面の木についても、その伐採地であると推定可能である。そこで、ステップS562で抽出された全ての切断面の画像に対応する位置情報215のうちから切株に対応する位置情報(切断面識別情報213(図6参照)が「0」)のみを取得し、この切株に対応する位置情報に基づいて、切断面の画像の位置情報が同一の伐採地であるか否かを判定してもよい。
【0162】
ステップS565において、制御部202は、抽出された登録画像の位置情報に基づいて取引対象の木の伐採地を特定する。例えば、上述したように、各切株の画像に関連付けられている位置情報に基づいて、取引対象の木の伐採地を特定可能である。例えば、記憶部203に地図情報を格納しておき、この地図情報と、各切株の画像に関連付けられている位置情報とに基づいて、その位置情報に対応する住所を特定可能である。
【0163】
ステップS566において、制御部202は、ステップS565で特定された取引対象の木の伐採地に関する証明情報を生成する。例えば、ステップS561で取得された切断面の画像と、ステップS565で特定された取引対象の木の伐採地とを関連付けた情報を証明情報として生成する。例えば、図17(1)に示すように、ステップS561で取得された切断面の画像に、ステップS565で特定された取引対象の木の伐採地を記載したファイル(例えば、画像ファイル)が生成される。なお、図17(1)では、画像ファイルを生成する例を示すが、他の情報ファイル(例えば文字情報ファイル)を生成してもよい。
【0164】
ステップS567において、制御部202は、ステップS566で生成されたファイルを出力する出力処理を実行する。例えば、制御部202は、ステップS566で生成されたファイルを表示部205に表示したり、そのファイルに相当する音声情報を音出力部206から出力したり、印刷機器から印刷して出力したりすることが可能である。また、制御部202は、そのファイル情報を通信部201を介して外部装置(例えば、携帯機器(例えばスマートフォン、タブレット端末)、固定機器(例えば、パーソナルコンピュータ))に出力し、その外部装置の表示部や音出力部からそのファイル情報を出力させてもよい。
【0165】
ステップS568において、制御部202は、取引対象の木の伐採地は不明と判定する。すなわち、ステップS561で取得された切断面の画像に含まれる木の伐採地は不明と判定される。なお、取引対象の木のうちの一部のみの伐採地を特定してもよい。例えば、ステップS562で抽出された切断面の画像のうち、画像情報214から抽出された画像に対応する木については、その伐採地を特定し、他の画像に対応する木については伐採地が不明と判定してもよい。この場合には、伐採地に関する証明情報を木毎に生成することが可能である。
【0166】
ステップS569において、制御部202は、取引対象の木の伐採地は不明とする証明情報を生成する。例えば、ステップS561で取得された切断面の画像に、伐採地が不明であることを示す情報を付加した証明情報を生成する。例えば、図17(2)に示すように、ステップS561で取得された切断面の画像に、伐採地が不明であることを示す情報を付加したファイル(例えば、画像ファイル)が生成される。このファイルについては、ステップS567で出力される。
【0167】
このように、制御部202は、ステップS561で取得された切断面の画像と、記憶部203の木情報DB210(図6参照)の画像情報214とを比較し、一度の検索処理で複数の画像検索を実行することが可能である。この場合には、1本の木の全ての登録画像に相当する切断面が、ステップS561で取得された切断面の画像に含まれることを条件に、その木が伐採された位置を証明してもよい。なお、これらの証明処理は一例であり、他の証明方法により木の証明をしてもよい。例えば、一度の検索処理ではなく、1つの切断面毎に画像検索を順次実行してもよい。
【0168】
[飛行体を用いて切株の画像を取得する例]
上述したように、飛行体を用いて伐採地の上から1又は複数の切株の画像を取得することが可能である。そこで、以下では、飛行体を用いて伐採地の上から1又は複数の切株の画像を取得する例を示す。
【0169】
[飛行体を用いて伐採地の上から切株の画像を取得する例]
図19は、伐採された木の切株911乃至915の画像を飛行体900を用いて取得する例を簡略化して示す図である。
【0170】
飛行体900は、無線通信を利用して飛行する飛行体や、人工知能(AI)を利用して自律的に飛行する飛行体である。飛行体900として、例えば、無線飛行機、無線ヘリコプター、無線気球、ドローン等を用いることができる。図19では、ユーザP0が遠隔操作機器901を用いて飛行体900を操作する例を示す。遠隔操作機器901は、無線通信を利用して飛行体900を操作するための機器である。なお、電子機器100(例えばスマートフォン)を用いて飛行体900を操作するようにしてもよい。
【0171】
飛行体900は、飛行中に空中から地上の画像を取得することが可能な画像取得部902を備える。画像取得部902は、カメラ機器や画像センサ等により構成される。
【0172】
図19(1)に示すように、ユーザP0は、木の伐採が終了した後に、伐採した木の切株911乃至915の上空を飛行するように、遠隔操作機器901を用いて飛行体900を操作する。そして、ユーザP0は、伐採した木の切株911乃至915の全てが撮像範囲に含まれるように、飛行体900を上空で待機させ、遠隔操作機器901を用いて伐採した木の切株911乃至915の画像を取得するための操作を行う。このように取得された画像920を図19(2)に示す。なお、木の切株911乃至915の全てが撮像範囲に含まれる画像を取得する代わりに、木の切株911乃至915のうちの少なくとも一部が撮像範囲に含まれる画像を順次取得し、これらの各画像を用いて、木の切株911乃至915の画像を取得してもよい。例えば、複数の画像を合成することにより、木の切株911乃至915を含む合成画像を生成してもよい。
【0173】
図19(2)に示すように、飛行体900の画像取得部902は、伐採した木の切株911乃至915を含む画像920を取得する。このように取得された画像920については、電子機器100に送信される。そして、電子機器100の制御部104は、画像920について所定の画像処理を行い、木の切株911乃至915の画像を切株毎に抽出する。例えば、点線の矩形921乃至925で示すように、木の切株911乃至915の画像が抽出される。なお、木の切株911乃至915の画像を抽出する抽出方法については、公知の画像抽出技術を用いることができる。
【0174】
そして、電子機器100の制御部104は、抽出された木の切株911乃至915の画像(点線の矩形921乃至925で示す)と、位置情報取得部102により取得された位置情報とを関連付けて記憶部105に格納する。この格納例を図20に示す。また、電子機器100の制御部104は、それらの情報を情報処理装置200に送信する。そして、情報処理装置200の制御部202は、受信した情報を記憶部203に格納する。この格納例を図21に示す。ここで、飛行体900から離れた場所に電子機器100が存在することも想定される。このような場合には、位置情報取得部102により取得された位置情報の代わりに、飛行体900の位置情報取得部により取得された位置情報を用いてもよい。
【0175】
[木情報DBの構成例]
図20は、電子機器100により取得される情報(伐採された木に関する情報)を格納するデータベース(木情報DB930)の構成例を示す図である。図20では、図19に示す木の切株911乃至915に関する情報を記憶する場合の例を示す。また、図20に示す各情報は、制御部104の制御に基づいて、記憶部105の木情報DB930に格納される。
【0176】
木情報DB930には、伐採地識別情報931と、切株識別情報932と、画像情報933と、位置情報934と、時刻情報935とが関連付けて格納される。
【0177】
伐採地識別情報931は、複数の木が伐採された場所を識別するための情報である。伐採地識別情報931として、例えば、数字(例えば、通し番号)、文字、記号等の組み合わせ等を用いることができる。例えば、世界に存在する各木を識別することができる程度の数の情報(例えば、数字、文字、記号等の組み合わせ)を用いることができる。
【0178】
切株識別情報932は、伐採された木の切株の切断面の画像を識別するための情報である。例えば、伐採された木の切株のうち、所定規則に基づいて順番に付与される番号(例えば、通し番号)を識別情報とすることができる。例えば、画像に含まれる切株のうちの左上を1番とし、その1番の切株から時計回りに番号を付与することを所定規則とすることが可能である。例えば、図19を参照すると、伐採された木の切株911乃至915のうち、画像920において左上の切株911(点線の矩形921)を1番とし、画像920において切株911から時計回りに番号を付与することが可能である。具体的には、切株912(点線の矩形922)を2番とし、切株913(点線の矩形923)を3番とし、切株915(点線の矩形925)を4番とし、切株914(点線の矩形924)を5番とする。なお、この所定規則は、一例であり、他の規則に基づいて識別情報を付与してもよく、ランダムに識別情報を付与してもよい。
【0179】
画像情報933は、画像取得部902(図19参照)により取得された画像情報である。例えば、伐採された木の切株の切断面が含まれる画像に関する情報が画像情報933として記憶される。なお、切株の切断面の画像の抽出方法については、上述した抽出方法を用いることが可能である。また、図20では、説明を容易にするため、切株の切断面のみを画像情報933として簡略化して示す。
【0180】
位置情報934は、画像情報933が取得された際に、位置情報取得部102(又は飛行体900の位置情報取得部)により取得された位置情報(例えば、緯度、経度、高度)である。なお、図20では、説明を容易にするため、緯度、経度、高度を○等で簡略化して示す。
【0181】
時刻情報935は、画像情報933及び位置情報934が取得された際の時刻に関する情報(例えば、日時)である。例えば、画像情報933及び位置情報934が取得された際に、制御部104は、計時回路から取得された時刻を時刻情報935として木情報DB930に格納する。
【0182】
[木情報DBの構成例]
図21は、情報処理装置200に記憶される情報(伐採された木に関する情報)の一例(木情報DB940)を示す図である。図21に示す情報は、1又は複数の電子機器(電子機器100を含む)により取得された情報であり、定期的又は不定期(例えば、ユーザ操作に応じて)に各電子機器から情報処理装置200に送信される。図21では、主に、図19に示す木の切株911乃至915に関する情報を記憶する場合の例を示す。また、図21に示す各情報は、制御部202の制御に基づいて、記憶部203の木情報DB940に格納される。
【0183】
木情報DB940には、送信機器識別情報941と、伐採地識別情報942と、切株識別情報943と、画像情報944と、位置情報945と、画像取得時刻情報946と、受信時刻情報947とが関連付けて格納される。
【0184】
なお、図21に示す送信機器識別情報941、受信時刻情報947は、図6に示す送信機器識別情報211、受信時刻情報217に対応する。また、図21に示す伐採地識別情報942、切株識別情報943、画像情報944、位置情報945及び画像取得時刻情報946は、図20に示す伐採地識別情報931、切株識別情報932、画像情報933、位置情報934及び時刻情報935に対応するものであるため、ここでの説明を省略する。
【0185】
なお、図21では、木情報DB940に格納する木に関する情報の一例を示すが、木情報DB210(図6参照)と同様に、各木に関する他の情報を木情報DB940に格納してもよい。例えば、上述したように、伐採された木の所有者に関する情報、伐採場所の土地に関する情報、伐採された木に関する情報、木の流通に関する情報を木情報DB940に格納してもよい。そして、木の証明情報を生成する際に、これらのうちの少なくとも一部を証明情報に含めることが可能である。
【0186】
[木の伐採時における電子機器の動作例]
図22は、電子機器100における木に関する情報の取得処理の一例を示すフローチャートである。なお、図22では、電子機器100(例えばスマートフォン)を用いて飛行体900を操作する場合の例を示す。また、この取得処理は、記憶部105に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御部104により実行される。また、この取得処理は、木の伐採作業を開始するための操作に基づいて開始される。また、この取得処理では、図19乃至図21等を適宜参照して説明する。
【0187】
ステップS571において、制御部104は、伐採した木の切株の数を設定する設定処理を実行する。この設定処理は、ユーザU0の手動操作(例えば、数値の入力操作)に基づいて実行してもよく、自動で実行してもよい。例えば、画像取得部103により取得された伐採地の画像(伐採後の切株が含まれる画像)に基づいて、その画像に含まれる切株の数を推定し、この推定結果に基づいて、伐採した木の切株の数を自動で設定することが可能である。
【0188】
ステップS572において、制御部104は、伐採した木の切株の画像を飛行体900から取得する。この場合には、ユーザU0は、ユーザU0の手動操作に基づいて飛行体900を操作してもよく、飛行体900を自律的に飛行させてもよい。そして、ユーザU0は、図19(1)に示すように、伐採した木の切株911乃至915の上空を飛行する飛行体900の画像取得部902を操作して、木の切株911乃至915の全てが撮像範囲に含まれる画像920を取得させる。次に、ユーザU0は、画像取得部902により取得された画像920を飛行体900から電子機器100に送信させる。なお、画像取得部902により取得された画像をリアルタイムで動画として電子機器100の表示部107に表示することが可能な場合には、ユーザU0は、表示部107の表示内容を確認しながら撮影操作を行うことが可能である。また、所定エリアを自動で撮影することが可能な飛行体を用いて、伐採した木の切株の画像を自動で撮影をしてもよい。
【0189】
ステップS573において、制御部104は、飛行体900から送信された木の切株の画像を解析し、この画像に含まれる切株の数が、ステップS571で設定された設定値と同じであるか否かを判定する。その画像に含まれる切株の数が設定値と同じである場合には、ステップS575に進む。一方、その画像に含まれる切株の数が設定値と同じでない場合には、ステップS574に進む。なお、画像に含まれる切株の抽出方法については、上述した抽出方法と同様である。
【0190】
ステップS574において、制御部104は、同一の切株の画像を再度取得する旨の指示を出力し、ステップS572に戻る。例えば、「切株の切断面の画像の取得に失敗しました。全ての切株が含まれるように、飛行体900を操作して再度撮影して下さい。」等のメッセージを表示部107に表示したり、その旨のメッセージを音出力部108から出力したりすることが可能である。
【0191】
ステップS575において、制御部104は、切株の適切な画像が取得されたか否かを判断する。切株の適切な画像が取得された場合には、ステップS576に進む。一方、切株の適切な画像が取得されなかった場合には、ステップS574に進む。この切株の画像の判定方法については、ステップS504(図11参照)と同様である。
【0192】
ステップS576において、制御部104は、電子機器100の現在地を示す位置情報を取得する。この位置情報は、位置情報取得部102により取得され、制御部104に出力される。上述したように、飛行体900から離れた場所に電子機器100が存在することも想定される。このような場合には、位置情報取得部102により取得された位置情報の代わりに、飛行体900の位置情報取得部により取得された位置情報を、制御部104が取得して用いてもよい。
【0193】
ステップS577において、制御部104は、ステップS572で取得された切株の画像と、ステップS576で取得された位置情報とを関連付けて記憶部105の木情報DB930(図20参照)に格納する。例えば、伐採地識別情報931「LC1」に関連付けて、ステップS572で取得された切株の画像が画像情報933に格納され、ステップS576で取得された位置情報が位置情報934に格納され、これらの取得時刻が時刻情報935に格納される。なお、ステップS572で取得された切株の画像については、切断面の丸形状(又は略丸形状)が所定サイズとなるように各種の画像処理(例えば、サイズ変更、切取処理)を施して格納してもよく、上述した回転処理を実行して格納してもよい。
【0194】
ステップS578において、制御部104は、ステップS577で木情報DB930に格納された各木情報を情報処理装置200に送信する。この場合に、情報処理装置200に送信される情報には、電子機器100を識別する送信機器識別情報を含めて送信される。
【0195】
なお、情報処理装置200が、電子機器100から送信された木情報を登録する登録処理については、図12に示す登録処理と略同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0196】
[木の流通時における動作例]
図23は、情報処理装置200における木の流通時の証明処理の一例を示すフローチャートである。なお、図23では、図19乃至図22で示すように、飛行体900により取得された画像(複数の切株を含む)に関する木情報が木情報DB940(図21参照)に格納された場合における木の流通時の証明処理の一例を示す。また、この証明処理は、記憶部203に記憶されている制御プログラムに基づいて、制御部202により実行される。また、この証明処理は、木の証明作業を開始するための所定操作に基づいて開始される。また、この証明処理では、同一の伐採地で伐採された木を取引対象とする場合の例を示す。なお、この証明処理では、木の両端の切断面を含む2つの画像を用いて木の伐採地を証明する例を示すが、木の両端の切断面を含む4以上の画像(ただし、偶数個の画像)を用いて木の伐採地を証明する場合についても適用可能である。
【0197】
ステップS581において、制御部202は、取引対象の木の切断面の2つの画像を取得する。例えば、図16(2)に示すように、外部機器である撮像装置300により生成された画像(木の切断面の画像)を取得することが可能である。なお、情報処理装置200が撮像装置を備える場合には、その撮像装置により生成された画像(木の切断面の画像)を取得してもよい。
【0198】
ステップS582乃至S584は、図15に示すステップS533乃至S535に対応するため、ここでの説明を省略する。
【0199】
ステップS585において、制御部104は、木情報DB940(図21参照)に格納されている切株の画像(登録画像)のうちから1つの切株の画像を対象切株として選択し、その対象切株の切断面に対向する切断面を、ステップS581で取得された2つの画像から抽出する。この抽出方法については、図15に示すステップS536に示す抽出方法に対応する。また、制御部202は、抽出された切断面の位置(この切断面が含まれる画像における位置)を保持しておく。
【0200】
ステップS586乃至S589は、図15に示すステップS537乃至S540に対応するため、ここでの説明を省略する。
【0201】
ステップS590において、制御部202は、ステップS581で取得された2つの画像に含まれる切株について、全ての切株を対象切株としたか否かを判定する。全ての切株を対象切株としていない場合には、他の切株について、上述した各処理を実行するため、ステップS585に戻る。一方、全ての切株を対象切株とした場合には、全ての切株について上述した各処理が終了したため、ステップS591に進む。
【0202】
ステップS591において、制御部202は、ステップS581で取得された2つの画像において、ステップS585、S587、S588で抽出(又は特定)されていない切断面が存在するか否かを判定する。その2つの画像において、そのような切断面が存在しない場合には、ステップS592に進む。一方、その2つの画像において、そのような切断面が存在する場合には、ステップS596に進む。
【0203】
ステップS592において、制御部202は、ステップS585、S587、S588で切株以外の切断面が抽出(又は特定)された切株の画像に関連付けられている位置情報が同一の伐採地であるか否かを判定する。抽出(又は特定)された切株の画像に関連付けられている位置情報が同一の伐採地である場合には、ステップS593に進む。一方、抽出(又は特定)された切株の画像に関連付けられている位置情報が同一の伐採地でない場合には、ステップS596に進む。
【0204】
例えば、制御部202は、その抽出(又は特定)された切株の画像に対応する位置情報945(図21参照)を取得し、この位置情報に基づいて、切断面の画像の位置情報が同一の伐採地であるか否かを判定可能である。例えば、位置情報945から取得された位置情報により特定される各位置が、所定範囲内(例えば、伐採地を特定する程度の範囲)に含まれる場合には、切株の画像に対応する位置情報が同一の伐採地であると判定可能である。一方、位置情報945から取得された位置情報により特定される各位置が、所定範囲内(例えば、伐採地を特定する程度の範囲)に含まれない場合(例えば、各位置が大きく異なる場合(例えば、数十km乃至数百km程度異なる場合))には、切株の画像に対応する位置情報が同一の伐採地でないと判定可能である。ここで、切株の画像に対応する位置が同一の伐採地であると判定できる木については、その木の他の切断面の木についても、その伐採地であると推定可能である。
【0205】
ステップS593乃至S597は、図18に示すステップS565乃至S569に対応するため、ここでの説明を一部省略する。
【0206】
ステップS593において、制御部202は、ステップS585、S587、S588で切株以外の切断面が抽出(又は特定)された切株の画像(登録画像)に関連付けられている位置情報に基づいて取引対象の木の伐採地を特定する。例えば、上述したように、各切株の画像に関連付けられている位置情報に基づいて、取引対象の木の伐採地を特定可能である。例えば、記憶部203に地図情報を格納しておき、この地図情報と、各切株の画像に関連付けられている位置情報とに基づいて、その位置情報に対応する住所を特定可能である。
【0207】
なお、本実施形態では、木を証明するための識別情報(画像情報)として、木口面の画像(いわゆる、木の年輪(木目))を用いる例を示すが、他の面の画像(例えば、柾目面の画像、板目面の画像)を、木を証明するための識別情報(画像情報)として用いる場合についても、本実施形態を適用することが可能である。
【0208】
[他の機器、他のシステムにおいて処理を実行させる例]
なお、以上では、電子機器100等を用いて木情報を登録する処理を実行し、情報処理装置200を用いて木の証明を実行する例を示したが、それらの各処理の全部又は一部を他の機器において実行してもよい。この場合には、それらの各処理の一部を実行する各機器により情報処理システムが構成される。例えば、輸送車TR1の車載機器(例えば、IVI(In-Vehicle Infotainment)、制御装置)、ユーザが使用可能な機器(例えば、ウェアラブル端末、スマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ)、インターネット等の所定のネットワークを介して接続可能なサーバ等の各種情報処理装置、各種電子機器を用いて各処理の少なくとも一部を実行させることができる。
【0209】
また、電子機器100、情報処理装置200等の各機能を実行可能な情報処理システムの一部(又は全部)については、インターネット等の所定のネットワークを介して提供可能なアプリケーションにより提供されてもよい。このアプリケーションは、例えばSaaS(Software as a Service)である。
【0210】
[本実施形態の効果例]
ここで、近年では、森林所有者に無断で森林の伐採が行われ、伐採された木が無断で売買されることが問題となっている。このようなことを防止するためには、伐採された木の管理を適切に行うことが重要である。そこで、本実施形態では、木の伐採時等において木の切断面の画像情報と位置情報とを関連付けて木情報DB210(図6参照)、木情報DB940(図21参照)に格納しておき、木情報DB210、940の内容を用いて木の管理を実行する。例えば、木の流通時において、木情報DB210、木情報DB940に格納されている画像情報を用いて、取引対象の木の伐採地を証明することが可能となる。これにより、木の伐採地を特定する作業が容易であり、その証明の信頼度を高めることが可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0211】
ここで、伐採された木をICタグ等の機器を用いて管理することを考える。この場合には、対象となる木に対して1以上のICタグや取付部材等が必要となり、ICタグの固定に係る費用が増加する。また、ICタグを木材に固定するための作業が必要となるため、その作業が煩雑となる。これに対して、本実施形態では、木の伐採時等には、電子機器100等を用いて、木の切断面の画像を取得するのみでよいため、伐採された木の管理に係る費用を抑制することが可能である。また、本実施形態では、木の伐採時等には、電子機器100等を用いて、木の切断面の画像を取得する作業のみでよいため、伐採された各木に対してICタグ等を取り付ける作業が不要となる。これにより、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0212】
[本実施形態の構成例及びその効果]
情報処理システムTS1は、木情報を扱うことが可能な電子機器100(第1機器の一例)と、木情報を管理する木情報DB210、940(データベースの一例)を扱うことが可能な情報処理装置200(第2機器の一例)と、を用いて、伐採された木を管理する情報処理システムである。電子機器100は、木の切断面に関する画像情報(切断面情報の一例)を取得することと、その木の伐採時の位置に関する位置情報を取得することと、画像情報及び位置情報を情報処理装置200に送信することと、を実行する。情報処理装置200は、画像情報及び位置情報を電子機器100から取得することと、画像情報及び位置情報を木情報DB210、940に関連付けて格納することと、木の流通過程において木情報DB210、940の内容に基づいて木の証明を行うことと、を実行する。なお、本実施形態では、第1機器として電子機器100を使用し、第2機器として情報処理装置200を使用する例を示すが、第1機器及び第2機器を同一の機器として構成してもよい。また、第1機器及び第2機器により実行される各処理を、3以上の機器を用いて実行してもよい。
【0213】
この構成によれば、木の伐採時等において木の切断面の画像情報と位置情報とを関連付けて木情報DB210、940に格納しておき、木情報DB210、940の内容を用いて木の管理を実行することが可能となる。例えば、木の流通時において、木情報DB210、940に格納されている画像情報を用いて、取引対象の木の伐採地を証明することが可能となる。これにより、木の伐採地を特定する作業が容易であり、その証明の信頼度を高めることが可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0214】
また、情報処理システムTS1において、情報処理装置200が木の証明を行うことは、木の流通過程において、撮像装置300(画像取得機器の一例)により取得された木の切断面に関する画像情報(第1画像情報)と、木情報DB210、940(データベースの一例)に格納されている画像情報(切断面情報の一例)(第2画像情報)との比較結果に基づいて、第1画像情報に対応する第2画像情報が木情報DB210、940から抽出された場合には、第1画像情報に係る木が、第2画像情報に関連付けられている位置情報に対応する位置において伐採されたことを証明する証明情報を出力することである。
【0215】
この構成によれば、木の流通過程において、第1画像情報に対応する第2画像情報が木情報DB210、940から抽出された場合には、第1画像情報に係る木の伐採地を証明することが可能である。これにより、木の伐採地を特定する作業が容易であり、その証明の信頼度を高めることが可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0216】
また、情報処理システムTS1において、木情報DB210(データベースの一例)には、複数に分割された木の複数の切断面に関する複数の画像情報が格納される。また、情報処理装置200が木の証明を行う処理では、木の流通過程において、複数に分割された木の複数の切断面に関する複数の第1画像情報を取得し(ステップS561)、複数の第1画像情報と、複数の第2画像情報との比較結果に基づいて、証明情報を出力する(ステップS562乃至S567)。
【0217】
この構成によれば、木の流通過程において、複数に分割された木の複数の切断面に関する複数の画像情報を用いて、木の伐採地を証明することが可能である。これにより、木の伐採地の証明の信頼度を高めることが可能となる。
【0218】
また、情報処理システムTS1において、電子機器100(第1機器の一例)は、切断面情報として、木の切株の切断面に関する画像情報を取得する。また、情報処理装置200が木の証明を行う処理(ステップS581乃至S595)では、木の流通過程において、撮像装置300(画像取得機器の一例)により取得された木の切断面に関する画像情報(第1画像情報)と、木情報DB940(データベースの一例)に格納されている画像情報(切断面情報の一例:第2画像情報)との比較結果に基づいて、第1画像情報に係る切株の切断面に対向する切断面に関する第2画像情報が木情報DB940から抽出された場合には、第1画像情報に係る木が、第2画像情報に関連付けられている位置情報に対応する位置において伐採されたことを証明する証明情報を出力する。
【0219】
この構成によれば、木の流通過程において、伐採時の木の切株の切断面に関する画像情報を用いて、木の伐採地を証明することが可能である。これにより、複数の切株に関する画像情報を一度に取得することが可能であり、画像情報の取得作業が容易である。また、木の伐採地の証明の信頼度を高めることが可能となる。
【0220】
また、情報処理システムTS1において、電子機器100(第1機器)は、被写体を撮像して画像情報を生成する画像取得部103と、電子機器100が存在する位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部102とを備える。電子機器100は、木が伐採された後に画像取得部103により生成された木の切断面を含む画像情報を切断面情報として取得し、画像取得部103により当該画像情報が生成されたタイミングで位置情報取得部102により取得された位置情報を、木の伐採時の位置に関する位置情報として取得する。
【0221】
この構成によれば、木の切断面を含む画像情報(切断面情報)と、木の伐採時の位置に関する位置情報とを、携帯型の電子機器100を用いて適切なタイミングで取得することが可能である。これにより、木の伐採地を特定するために用いる情報の取得作業が容易であり、その情報を情報処理装置200に容易に送信可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0222】
また、情報処理システムTS1において、電子機器100、飛行体900(第1機器の一例)は、被写体を撮像して画像情報を生成する画像取得部103、902と、電子機器100が存在する位置に関する位置情報を取得する位置情報取得部102とを備える。電子機器100、飛行体900は、複数の木が伐採された後に画像取得部103、902により生成された複数の木の切株の切断面を含む画像情報(切断面情報)を取得し、画像取得部103により当該画像情報が生成されたタイミングで位置情報取得部102により取得された位置情報を、複数の木の伐採時の位置に関する位置情報として取得する。
【0223】
この構成によれば、複数の木の切株の切断面を含む画像情報(切断面情報)と、複数の木の伐採時の位置に関する位置情報とを、携帯型の電子機器100、又は、飛行体900を用いて適切なタイミングで取得することが可能である。また、飛行体900を用いて複数の木の切株の切断面を含む画像情報を取得する場合には、一度の撮像動作により取得することが可能となる。これにより、木の伐採地を特定するために用いる情報の取得作業が容易であり、その情報を情報処理装置200に容易に送信可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0224】
木情報を管理する木情報DB210、940(データベースの一例)を扱うことが可能な情報処理装置200は、伐採された木の切断面に関する画像情報(切断面情報の一例)と、木の伐採時の位置に関する位置情報とを取得し、画像情報及び位置情報を木情報DB210、940に関連付けて格納し、木の流通過程において木情報DB210、940の内容に基づいて木の証明を行うように制御する制御部202を備える。
【0225】
この構成によれば、木の伐採時等において木の切断面の画像情報と位置情報とを関連付けて木情報DB210、940に格納しておき、木情報DB210、940の内容を用いて木の管理を実行することが可能となる。例えば、木の流通時において、木情報DB210、940に格納されている画像情報を用いて、取引対象の木の伐採地を証明することが可能となる。これにより、木の伐採地を特定する作業が容易であり、その証明の信頼度を高めることが可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0226】
木情報を扱うことが可能な電子機器100(第1機器の一例)と、木情報を管理する木情報DB210、940(データベースの一例)を扱うことが可能な情報処理装置200(第2機器の一例)と、を用いて、伐採された木を管理する情報処理方法をコンピュータに実行させるプログラムである。この情報処理方法では、電子機器100が、木の切断面に関する画像情報(切断面情報の一例)を取得することと、木の伐採時の位置に関する位置情報を取得することと、画像情報及び位置情報を情報処理装置200に送信することと、を実行し、情報処理装置200が、画像情報及び位置情報を電子機器100から取得することと、画像情報及び位置情報を木情報DB210、940に関連付けて格納することと、木の流通過程において木情報DB210、940の内容に基づいて木の証明を行うことと、を実行する。
【0227】
この構成によれば、木の伐採時等において木の切断面の画像情報と位置情報とを関連付けて木情報DB210、940に格納しておき、木情報DB210、940の内容を用いて木の管理を実行することが可能となる。例えば、木の流通時において、木情報DB210、940に格納されている画像情報を用いて、取引対象の木の伐採地を証明することが可能となる。これにより、木の伐採地を特定する作業が容易であり、その証明の信頼度を高めることが可能となる。すなわち、伐採された木の管理をより適切に行うことが可能となる。
【0228】
なお、本実施形態で示した各処理手順は、本実施形態を実現するための一例を示したものであり、本実施形態を実現可能な範囲で各処理手順の一部の順序を入れ替えてもよく、各処理手順の一部を省略したり他の処理手順を追加したりしてもよい。
【0229】
なお、上述した各実施形態で示した各制御動作は、各処理手順をコンピュータに実行させるためのプログラムに基づいて実行される。このため、本実施形態は、それらの各処理を実行する機能を実現するプログラム、そのプログラムを記憶する記録媒体の実施形態としても把握することができる。すなわち、上述した各実施形態で示した各制御動作に係るプログラムを電子機器、サーバ等の情報処理装置の記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体からそのプログラムを読み出し、読み出したプログラムをその情報処理装置に実行させることにより、上述した各実施形態で示した各制御動作を実現することができる。また、それらの機器の外部の記憶媒体(例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、メモリカード)等にそのプログラムに記憶させ、用いるようにしてもよい。また、例えば、コンピュータに新機能を追加するためのアップデート処理により、そのプログラムをコンピュータの記憶装置に記憶させることができる。これにより、そのアップデートされたコンピュータに本実施形態で示した各処理を実施させることが可能となる。
【0230】
なお、上述した各実施形態は、特許請求の範囲に記載の発明を実現するための一例を示したものであり、これらに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形を施すことができる。
【符号の説明】
【0231】
100 電子機器
101、201 通信部
102 位置情報取得部
103、902 画像取得部
104、202 制御部
105、203 記憶部
106、204 操作部
107、205 表示部
108、206 音出力部
110、210、930、940 木情報DB
200 情報処理装置
300 撮像装置
900 飛行体
901 遠隔操作機器
【要約】
【課題】伐採された木の管理をより適切に行う。
【解決手段】情報処理システムTS1は、木情報を扱うことが可能な電子機器100と、木情報を管理する木情報DB210を扱うことが可能な情報処理装置200と、を用いて、伐採された木を管理する情報処理システムである。電子機器100は、木の切断面に関する画像情報を取得することと、その木の伐採時の位置に関する位置情報を取得することと、画像情報及び位置情報を情報処理装置200に送信することと、を実行する。情報処理装置200は、画像情報及び位置情報を電子機器100から取得することと、画像情報及び位置情報を木情報DB210に関連付けて格納することと、木の流通過程において木情報DB210の内容に基づいて木の証明を行うことと、を実行する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23