IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルセロールミタルの特許一覧

<>
  • 特許-濾過システム 図1
  • 特許-濾過システム 図2
  • 特許-濾過システム 図3
  • 特許-濾過システム 図4
  • 特許-濾過システム 図5
  • 特許-濾過システム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】濾過システム
(51)【国際特許分類】
   C23C 2/26 20060101AFI20240606BHJP
   C23C 2/06 20060101ALI20240606BHJP
【FI】
C23C2/26
C23C2/06
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023515295
(86)(22)【出願日】2021-09-06
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-25
(86)【国際出願番号】 IB2021058104
(87)【国際公開番号】W WO2022053927
(87)【国際公開日】2022-03-17
【審査請求日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】PCT/IB2020/058336
(32)【優先日】2020-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IB
(73)【特許権者】
【識別番号】515214729
【氏名又は名称】アルセロールミタル
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロサール,マクシム
(72)【発明者】
【氏名】ドゥリゲッロ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】アルブレヒト,フリーデリーケ-フランカ
(72)【発明者】
【氏名】ヒルガー,ヤン-エーリク
(72)【発明者】
【氏名】ディエス,リュック
【審査官】永田 史泰
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-298730(JP,A)
【文献】特開2004-18999(JP,A)
【文献】特開昭56-142860(JP,A)
【文献】特開2019-151914(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104532178(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C2/00-2/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融めっき浴(1)を出て、走行するめっき鋼帯(S)の冷却方法であって、以下のステップ
A) 冷却装置(8)にガスを吸引するステップ、
B) 少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉する濾過システム(9)によって該吸引されたガスを濾過するステップ、
C) 1~80m.s-1の速度で、該吸引され、濾過されたガスを該めっき鋼帯(S)に吹き付けるステップ
を含む方法。
【請求項2】
前記溶融めっき浴が、1~5重量パーセントのマグネシウム、0.8~20重量パーセントのアルミニウムを含み、組成の残余が亜鉛及び不可避の不純物から構成される、請求項1に記載の冷却方法。
【請求項3】
前記ステップB)において、前記濾過が、少なくとも1.0μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉する、請求項1又は2に記載の冷却方法。
【請求項4】
少なくとも2.5μmのサイズの粒子を少なくとも50%捕捉することができる濾過システム(9)、吸引装置(10)及び少なくとも、開口部を含む分配室(6)を備え、ガスが該濾過システム(9)によって濾過され、該分配室の開口部を通って吹き付けられることができ、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法を実行することができる、冷却塔(4)の冷却装置(8)。
【請求項5】
前記冷却装置(8)は、鋼帯の走行領域の両側に配置され、鋼帯の該走行領域に向けて濾過されたガスを吹き付けることができる2つの分配室を備える、請求項4に記載の冷却装置(8)。
【請求項6】
冷却装置(8)の前記濾過システム(9)が、少なくとも1.0μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉することができる、請求項4又は5に記載の冷却装置(8)。
【請求項7】
冷却塔の冷却装置の前記濾過システム(9)は、大きな粗い粒子の少なくとも50%を捕捉することができる第1の濾過、及び第1の濾過手段の下流に配置された、少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉することができる、少なくとも濾過手段を含む、請求項4~6のいずれか一項に記載の冷却装置(8)。
【請求項8】
吹き付けられたガスの流量を調整することができる吸引ダンパー(15)を備える、請求項4~7のいずれか一項に記載の冷却装置(8)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融めっき浴を出る鋼帯の冷却方法、冷却装置及び冷却塔に関する。
【背景技術】
【0002】
今日では、ほとんどの鋼製品はその特性、特にその表面特性を高めるためにめっきされる。図1に示すように、最も一般的な連続めっきプロセスの1つは、溶融めっきであり、めっきされる鋼製品S(例えば、バンド、帯又はワイヤ)は、タンク2に収容された溶融金属1の浴に通され、鋼製品表面をめっきする。めっき浴を出た後、めっきされた鋼帯Sは、めっき厚さを調節することを可能にするエアナイフ3の間を通過する。次に、鋼帯は冷却塔4に入り、そこで通常は大気である濾過ガス5が、鋼帯を所望の温度まで冷却するために分配室6によってめっきされた帯に吹き付けられる。
【0003】
しかし、図2に示すように、マグネシウム、アルミニウム及び亜鉛でめっきされた亜鉛めっき鋼帯は、帯表面にダークスポット7を示すことが観察されている。これらの表面欠陥は、一般に、冷却塔の入口及び出口の間に現れる。マグネシウム及び亜鉛を含むめっき浴については、ダークスポットの存在は、当初のZn及びMgZnの代わりに帯表面にMgZn11が存在するためであることが文献で認められている。
【0004】
ダークスポットは、特にめっき表面に存在する丸みを帯びた欠陥であり、100μm~50mmの直径を有する。ダークスポットの欠陥は鋼のめっき直後は明るく、その後の経過では暗くくすむ傾向がある。これが、これらのダークスポットが輝点としても知られる理由である。ダークスポットは一般にZn11Mg相を含む。また、Zn11Mgは、多くの場合、欠陥のごく表面に存在し、欠陥の中央部に影響を受ける領域を呈することがある。ダークスポットは、文献において「染み」、「スポットツアー(spot tour)」、「そばかす」又は「輝点」としても知られている。鋼製品が厚いほど、製品表面により多くのダークスポットが存在する。
【0005】
JP10 226865号には、めっきされた帯上のダークスポットの存在を回避する方法が開示されている。Zn-Al-Mgめっき板のこの溶融めっき法では、めっき浴温度はその融点~450℃の間にあり、めっき冷却速度は10℃・s-1以上に制限される。あるいは、めっき浴は470℃より高い温度であり得、めっき冷却速度は少なくとも0.5℃・s-1である。
【0006】
US6,379,820B1号には、MgZnの形成を増加させ、これによりブラックスポットの形成を減少させる方法が開示されている。この方法では、溶融めっきは、Al:4.0~10重量%、Mg:1.0~4.0重量%並びにZn及び不可避の不純物という残余から構成され、融点以上で470℃未満の浴温度を有する。好ましくは、浴は0.002~0.1重量%のTi含有率及び0.001~0.045重量%のB含有率を有し、MgZn11の形成を抑制する。また、このプロセスは、10℃・s-1以上というめっき層凝固完了までの冷却速度を有する。
【0007】
EP2634284A1号は、掃引ガスを浴に向け、それにより帯上でのZnの飛び跳ねを避けることができるシステムのおかげで、MgZn11の核形成を減少させる方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開平10-226865号公報
【文献】米国特許第6,379,820号明細書
【文献】欧州特許出願公開第2634284号明細書
【発明の概要】
【0009】
本発明者らは、MgZn11核形成の別のきっかけを特定することを試み、溶融めっき浴を出た後のその冷却中のめっき鋼帯上のダークスポットの形成を減少させる本発明に至った。
【0010】
この目的は、請求項1~3のいずれか一項に記載の冷却方法を提供することにより達成される。この目的は、請求項4及び8のいずれか一項に記載の冷却装置を設けることによっても達成される。
【0011】
本発明の以下の詳細な説明から、他の特徴及び利点が明らかになる。
【0012】
本発明を例示するために、様々な実施形態を特に以下の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、冷却塔を備える溶融めっき設備の一実施形態である。
図2図2は、ダークスポットを示す鋼帯の写真である。
図3図3は、本発明による冷却装置を含む溶融めっき設備の実施形態である。
図4図4は、本発明による冷却装置の第1の実施形態である。
図5図5は、本発明による冷却装置を備える溶融めっき設備の第2の実施形態である。
図6図6は、本発明による冷却装置を含む溶融めっき設置の第3の実施形態である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下では、鋼帯の走行に対して上流側及び下流側を表す。
【0015】
図3に示すように、本発明は、溶融めっき浴1を出て、走行するめっき鋼帯Sの冷却方法に関し、該方法は、以下のステップ
A) 冷却装置8にガスを吸引するステップ、
B) 少なくとも2.5μmのサイズの粒子を少なくとも50%捕捉する濾過システム9によって、吸引されたガスを濾過するステップ、
C) 1~80m・s-1の速度で、吸引され濾過されたガス5をめっき鋼帯S上に吹き付けるステップ
を備える。
【0016】
この冷却方法は、図3に示すような設備において行うことができ、ここで、冷却塔4は帯の走行に対して下流に配置され、溶融めっき槽2は溶融めっき浴1を含む。溶融めっき浴1は、亜鉛、アルミニウム、ケイ素及び/又はマグネシウムのようないくつかの元素の混合物を含む溶融金属浴である。
【0017】
前記冷却塔4は、一般に、走行する帯Sの両側に配置された少なくとも2つの分配室(6a及び6b)、吸引装置10及び濾過システム9を備える少なくとも冷却装置8を含む。各分配室は、スロット、ノズル又は点状開口部とすることができる開口部を備える。開口部は、分配室を出たガス5が、帯のような走行するめっき鋼製品Sに衝撃を与えるように、走行する帯に面している。分配室は、一方のモジュールからのジェットの衝撃が、他方のモジュールのジェットの反対側になるように、又は帯の各表面に対するガスのジェットの衝撃が、二次元ネットワークの節で分配され、EP2100673B1号に記載されているような他方の面に対するジェットの衝撃の反対側にならないように、設定することができる。また、冷却塔4と溶融めっき槽2との間にエアナイフ3を配置して、めっき鋼帯のめっき量、めっき厚さを制御することができる。さらに、図4に例示されているように、分配室6は、帯幅全体に沿って濾過されたガスを吹き付けることができる。
【0018】
ガス50(例えば、大気)は、吸引装置10(例えば、ファン)によって冷却装置8に吸引され、濾過システム9を通過する。あるいは、ガスは槽から来ることができる。このようにして、ガスは、少なくともPM2.5フィルタの性能を有する濾過システム9によって濾過される。
【0019】
この特許で言及されているフィルタ性能は、規格ISO16980に基づく。「PM2.5」フィルタの性能を有するフィルタは、少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉する。「PM1」フィルタの性能を有するフィルタは、少なくとも1.0μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉する。また、決まったサイズの粒子を捕捉するためのフィルタ効率が50%を超える場合には、その効率は5%毎に最も近いものに丸め、フィルタ名に加える。例えば、フィルタが少なくとも1μmのサイズを有する粒子の71%を捕捉する場合、それはePM1 70%として知られる。
【0020】
最終的に、濾過されたガスは、分配室6の開口部を通って、走行する鋼帯上に吹き付けられ、1~80m・s-1に含まれる速度でガスジェット5が帯に衝突し、これを冷却する。
【0021】
したがって、請求項に記載の冷却方法を用いる場合、走行する帯上に吹き付けられた空気は、2.5μmを超える粒子及び粒子の凝集体の大部分を含まない。これは、実験結果の章で説明するように、帯上のダークスポットの存在を著しく減少させる。
【0022】
好ましくは、少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉する濾過システムを通過する吸引された空気は、最大1.5m・s-1の速度を有する。それは濾過システムの効率をさらに上げることを可能にする。
【0023】
好ましくは、走行する帯は、0.2~10mmの厚さを有する。このような方法は厚い帯に特に有利であることが観察された。何故ならばそれらは、ダークスポットを形成しやすいからである。さらにより好ましくは、走行する帯は、4~8mmの厚さを有する。
【0024】
好ましくは、溶融めっき浴は、1~5重量パーセントのマグネシウム、0.8~20重量パーセントアルミニウムのアルミニウムを含み、該組成の残余は、亜鉛及び加工に起因する不可避不純物で構成される。好ましくは、溶融めっき浴は、少なくとも1重量パーセントのアルミニウムを含み、さらにより好ましくは少なくとも1.8重量パーセントのアルミニウムを含む。好ましくは、溶融めっき浴は、最大12重量パーセントのアルミニウムを含む。さらにより好ましくは、溶融めっき浴は、最大6重量パーセントのアルミニウムを含む。好ましくは、溶融めっき浴は、0.5重量パーセント未満、さらにより好ましくは0.3重量パーセント未満の以下の元素、すなわち、ホウ素、コバルト、クロム、銅、モリブデン、ニオブ、ニッケル、バナジウム、硫黄及びチタンを含む。
【0025】
好ましくは、ステップA)において、吸引ガスは、純粋なガス又はガスの混合物である。吸引ガスは、大気、又は窒素及び水素からなる混合物、又はガスの他の任意の混合物であり得る。
【0026】
好ましくは、ステップB)において、濾過システムは、少なくともPM1フィルタの性能を有する。
【0027】
さらにより好ましくは、ステップB)において、濾過システムは、少なくともePM1 65%のフィルタ性能を有する。このようなePM1 65%フィルタは、少なくとも1μmのサイズを有する粒子の少なくとも63%を捕獲する。10umより大きい粒子は核形成に有利であるだけでなく、1μmより大きい粒子はMgZn11の核形成に有利に働き、結果としてダークスポットが形成されることが本発明者らにより発見された。これについては、実験結果の章で説明する。
【0028】
好ましくは、ステップB)において、濾過システムは、少なくともePM1 80%のフィルタ性能を有する。このようなePM1 80%フィルタは、少なくとも1μmのサイズを有する粒子の少なくとも78%を捕獲する。
【0029】
好ましくは、ステップC)において、めっき鋼帯は、液体である皮膜を有する。これは、皮膜が液体皮膜として適格であること、すなわち皮膜が固体でないことを意味する。明らかに、ダークスポットの外観は、粒子が液体皮膜に及ぼす影響によってさらにより誘発される。
【0030】
好ましくは、ステップA及びBの間で、冷却方法は、少なくとも10μmのサイズを有する粒子の50%未満を捕捉することができる濾過システム9によって吸引ガスを濾過するステップを含む。このようなステップは、ステップBで濾過されるガスを事前に濾過することを可能にし、少なくともPM2.5フィルタの性能を有する濾過システム9の寿命を延ばす。
【0031】
本発明は、図3及び図4に示すように、少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉することができる濾過システム9、吸引装置10及び少なくとも開口部を含む分配室6を含む冷却塔4の冷却装置8にも関し、ここで、ガスは、濾過システム9によって濾過され、分配室の開口部を通って吹き付けられることができ、先に説明した方法を実行することができる。
【0032】
この請求項に記載された冷却装置8は、溶融めっき設備の冷却塔4に使用することができる。
【0033】
冷却装置は、吹き付けられたガスが全て濾過されるように、その異なる部分を接続する導管17を備える。これを図4に示し、濾過システム9を吸引装置10に、吸引装置10を分配室6に接続する導管17を示す。ガスの走行に対して、吸引装置は、濾過システムの下流及び分配室12の上流に配置される。吸引装置10はファンであることができる。
【0034】
好ましくは、図5に示すように、冷却装置は、吹き付けられるガスの流量を調節することができる吸引ダンパー15を備える。この場合、ガスの走行に対して、吸引ダンパー15は、濾過システムの下流及び吸引装置の上流に配置される。
【0035】
好ましくは、図4に示すように、冷却装置8は、鋼帯の走行領域の両側に配置され、鋼帯の走行領域に向けて濾過されたガスを吹き付けることができる2つの分配室を備える。
【0036】
好ましくは、図6に示すように、冷却装置8は、鋼帯の走行領域の両側に配置され、鋼帯の走行領域に向かって濾過されたガスを吹き付けることができる2~10個の分配室を備える。
【0037】
好ましくは、冷却装置8の濾過システム9は、少なくともPM1フィルタの性能を備える。さらにより好ましくは、濾過システム9は、少なくともePM1 65%のフィルタ性能を有する。さらにより好ましくは、濾過システム9は、少なくともePM1 80%フィルタの性能を有する。明らかに、このような濾過システムにより、めっき鋼帯上のダークスポットの存在をさらにより減少させることが可能になる。
【0038】
好ましくは、濾過システム9は、少なくともポケットフィルタを含む。好ましくは、濾過システムは、ガラス繊維紙又はナノファイバーから作られた少なくとも硬いタイプのフィルタを含む。
【0039】
好ましくは、冷却装置8の濾過システム9は、大きな粗い粒子の少なくとも50%を捕捉することができる少なくとも第1の濾過、この第1の濾過手段の下流に配置された、少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉することができる少なくとも濾過手段を含む。この特別な場合には、下流とは、吹き付けられたガスの経路に対して理解されるべきである。明らかに、これにより、PM2.5フィルタの寿命を延ばすことができる。
【0040】
好ましくは、冷却装置8の濾過システム9は、少なくとも2.5μmのサイズを有する粒子の少なくとも50%を捕捉することができる濾過手段、及び少なくともPM1フィルタ又はePM1 65%フィルタ又はePM1 80%フィルタの性能を有する少なくとも濾過手段を少なくとも含む。
【実施例
【0041】
実験は、図5に示すように、3.7±0.2重量パーセントのアルミニウム、3.0±0.2重量パーセントのマグネシウム、及び亜鉛及び不可避の不純物から構成される組成物の残余を含む溶融金属浴1で満たされた溶融めっき槽2を含む、溶融めっき装置において行った。また、この設備は、エアナイフ3及び4つの冷却装置8を備えている。各冷却装置は、濾過システム、吸引装置10、吸引ダンパー15及び一対の分配室(6a及び6b)(帯Sの各側に一つずつ設けられている。)を備えている。全ての実験において、帯を、先に説明したようにめっきし、冷却する。
【0042】
<ダークスポットの存在に影響する最小粒径>
この最初の実験では、ダークスポットの存在に及ぼす吹き付けられた粒子のサイズの影響を理解するために、吹き付けられた空気の特性を変化させ、鋼表面の平方メートル当たりのダークスポットの数を比較する。ダークスポットの存在を推定するため、目視検査でダークスポットの数を数える。この実験では、濾過システムは300μmより大きな粒子を濾過することができる。
【0043】
この実験は、数種の吹き付けられたガス、すなわち、大気又は1、3、9又は20μmのAl粒子を加えた大気について行った。吹き付けた空気の空気流速は11m・s-1であった。結果を表1にまとめる。
【0044】
【表1】
【0045】
実験結果に基づいて、少なくとも1μmのAl粒子を加えた空気で冷却した帯部分については、ダークスポットが帯表面に現れることを明瞭に観察することができる。さらに、Al粒子が大きいほど、m当たりのダークスポット数が多い。その結果、ダークスポットの存在を大幅に低下させるためには、少なくとも9μmの粒子の量を可能な限り低下させるべきである。ダークスポットの存在を抑えるためには、少なくとも1μmの粒子の量をできるだけ少なくするべきである。
【0046】
<比較結果>
第2の実験では、請求項に記載のプロセス及び設備の効率を評価するために、濾過システムの特性を変更し、鋼表面の平方メートル当たりのダークスポットの数を比較した。ダークスポットの数は自動検査装置によって計測する。
【0047】
10を超えるコイルを製造した最初の一連の試行で、濾過装置は300μmより大きな粒子を濾過することができる。10を超えるコイルを製造した第2の一連の試験では、2つの上部冷却装置の濾過装置は300μmより大きい粒子を濾過することができ、2つの下部冷却装置の濾過装置はePM1 65%のフィルタ性能を有する。10を超えるコイルを製造した3番目の一連の試行では、4つの冷却装置の濾過装置はePM1 65%フィルタの性能を有している。
【0048】
めっきされた鋼コイル上のダークスポットの密度を、平方メートル当たりのダークスポットに応じて、1個/m未満、1~20個/m、20個/m超の3つに分類する。
【0049】
第1、第2、及び第3のシリーズでは、鋼帯は4~6mmの厚さを有する
【0050】
【表2】
【0051】
比較結果に基づいて、請求項に記載の発明の実施は、冷却塔を出るめっき鋼帯上のダークスポットの数を減少させることは明らかである。
【0052】
本発明は、現時点では好適であると同様に実用的である考えられる実施形態について、上に記載した。しかし、本発明が明細書に開示された実施形態に限定されないことは理解されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6