(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-05
(45)【発行日】2024-06-13
(54)【発明の名称】広告依頼制御装置、広告依頼制御方法、及び広告依頼制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0241 20230101AFI20240606BHJP
【FI】
G06Q30/0241
(21)【出願番号】P 2024063683
(22)【出願日】2024-04-11
【審査請求日】2024-04-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320005501
【氏名又は名称】株式会社電通
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸本 渉
【審査官】後藤 昂彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-119278(JP,A)
【文献】特開2021-165927(JP,A)
【文献】特開2001-357284(JP,A)
【文献】特開2016-144063(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第1依頼情報と、変更条件とに基づいて、前記第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、前記複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第2依頼情報を生成する変更部と、
前記第2依頼情報を出力する出力部と、
を備え、
前記第1依頼情報は、前記複数の広告主各々の依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報を含み、
前記第2依頼情報は、前記複数の広告主各々の依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報を含み、
前記変更条件は、前記複数の広告主各々について、前記依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報に基づく広告効率が、前記依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報に基づく広告効率よりも改善されることを示すことを特徴とする広告依頼制御装置。
【請求項2】
前記変更条件は、前記複数の広告主各々について、前記依頼先毎の変更後の予算の総和が、前記依頼先毎の変更前の予算の総和と同じであり、かつ、前記依頼先毎の変更後の広告効果情報の総和が、前記依頼先毎の変更前の広告効果情報の総和よりも大きくなることを示すことを特徴とする請求項1記載の広告依頼制御装置。
【請求項3】
前記第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、何れかの広告主から何れかの依頼先に対する広告の依頼が取り消される場合、前記変更部は、前記何れかの広告主に課される前記何れかの依頼先の追加予算を、前記第2依頼情報に設定することを特徴とする請求項1記載の広告依頼制御装置。
【請求項4】
前記第1依頼情報に含まれる複数の依頼先は、複数の放送局を表すことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の広告依頼制御装置。
【請求項5】
前記複数の放送局は、複数の地域それぞれの地方局であることを特徴とする請求項4記載の広告依頼制御装置。
【請求項6】
前記第1依頼情報に含まれる複数の依頼先は、複数の広告媒体それぞれの媒体社を表すことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の広告依頼制御装置。
【請求項7】
複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第1依頼情報と、変更条件とに基づいて、前記第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、前記複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第2依頼情報を生成し、
前記第2依頼情報を出力する、
処理をコンピュータが実行し、
前記第1依頼情報は、前記複数の広告主各々の依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報を含み、
前記第2依頼情報は、前記複数の広告主各々の依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報を含み、
前記変更条件は、前記複数の広告主各々について、前記依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報に基づく広告効率が、前記依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報に基づく広告効率よりも改善されることを示すことを特徴とする広告依頼制御方法。
【請求項8】
複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第1依頼情報と、変更条件とに基づいて、前記第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、前記複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第2依頼情報を生成し、
前記第2依頼情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させ、
前記第1依頼情報は、前記複数の広告主各々の依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報を含み、
前記第2依頼情報は、前記複数の広告主各々の依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報を含み、
前記変更条件は、前記複数の広告主各々について、前記依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報に基づく広告効率が、前記依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報に基づく広告効率よりも改善されることを示すことを特徴とする広告依頼制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告依頼制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
テレビ放送においては、広告主の広告がCM(Commercial Message)として放送される。CMは、タイムCM及びスポットCMに大別される。タイムCMは、番組と一体で売買される時間枠で放送されるCMである。タイムCMは、プログラムコマーシャル、番組CM、又は提供CMと呼ばれることもある。
【0003】
スポットCMは、番組に関係なく放送局が定めた時間枠で放送されるCMである。スポットCMは、番組間で放送されるステーションブレイク(Station Break,SB)、番組内に挿入されるが提供表示が付かないパーティシペーション(Participation,PT)等に分類される。
【0004】
CMの作案に関して、効率的に広告枠の交換を評価する枠交換評価システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
広告主A1のCMの放送が放送局B1に依頼され、かつ、広告主A2のCMの放送が放送局B2に依頼された後に、両者のCMの依頼先を入れ替える場合、広告主A1、広告主A2、放送局B1、及び放送局B2の承諾を得ることが望ましい。しかしながら、放送局を入れ替えた後の各広告主の予算又は広告効果が変化する場合、何れかの広告主又は放送局の承諾が得られないことがある。
【0007】
なお、かかる問題は、2つの広告主及び2つの放送局の間で放送局を入れ替える場合に限らず、多数の広告主及び多数の放送局の間で放送局を入れ替える場合においても生ずるものである。また、かかる問題は、テレビ放送におけるCMを放送局に依頼する場合に限らず、様々な広告媒体を用いた広告を媒体社に依頼する場合において生ずるものである。
【0008】
1つの側面において、本発明は、複数の広告主それぞれの広告の依頼先を適切に変更することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの案では、広告依頼制御装置は、変更部及び出力部を含む。変更部は、複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第1依頼情報と、変更条件とに基づいて、第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、複数の広告主それぞれの広告の第2依頼情報を生成する。出力部は、第2依頼情報を出力する。
【0010】
第1依頼情報は、複数の広告主各々の依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報を含み、第2依頼情報は、複数の広告主各々の依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報を含む。変更条件は、複数の広告主各々について、依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報に基づく広告効率が、依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報に基づく広告効率よりも改善されることを示す。
【発明の効果】
【0011】
1つの側面によれば、複数の広告主それぞれの広告の依頼先を適切に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の広告依頼制御装置の機能的構成図である。
【
図5】CM発注情報P1及びCM発注情報P2を示す図である。
【
図7】地方局に対するCM発注情報P1及びCM発注情報P2を示す図である。
【
図9】広告発注情報Q1及び広告発注情報Q2を示す図である。
【
図10】情報処理装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。
【0014】
図1は、実施形態の広告依頼制御装置の機能的構成例を示している。
図1の広告依頼制御装置101は、変更部111及び出力部112を含む。
【0015】
図2は、
図1の広告依頼制御装置101が行う広告依頼制御処理の例を示すフローチャートである。まず、変更部111は、複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第1依頼情報と、変更条件とに基づいて、第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、複数の広告主それぞれの広告の第2依頼情報を生成する(ステップ201)。次に、出力部112は、第2依頼情報を出力する(ステップ202)。
【0016】
第1依頼情報は、複数の広告主各々の依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報を含み、第2依頼情報は、複数の広告主各々の依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報を含む。変更条件は、複数の広告主各々について、依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報に基づく広告効率が、依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報に基づく広告効率よりも改善されることを示す。
【0017】
図1の広告依頼制御装置101によれば、複数の広告主それぞれの広告の依頼先を適切に変更することができる。
【0018】
図3は、
図1の広告依頼制御装置101を含む放送システムの構成例を示している。
図3の放送システムは、CM依頼制御装置301、広告主端末装置302-1~広告主端末装置302-N、放送局端末装置303-1~放送局端末装置303-M、及び放送装置304-1~放送装置304-Mを含む。N及びMは、2以上の整数である。CM依頼制御装置301は、
図1の広告依頼制御装置101に対応する。
【0019】
広告主端末装置302-i(i=1~N)は、広告主Aiの情報処理装置(コンピュータ)であり、放送局端末装置303-j(j=1~M)は、放送局Bjの情報処理装置である。放送局Bjは、テレビ放送、ラジオ放送、インターネット放送等の放送局である。
【0020】
CM依頼制御装置301は、通信ネットワーク305を介して、広告主端末装置302-1~広告主端末装置302-N、放送局端末装置303-1~放送局端末装置303-M、及び放送装置304-1~放送装置304-Mと通信することができる。通信ネットワーク305は、例えば、WAN(Wide Area Network)である。
【0021】
各広告主Aiは、何れかの放送局Bjに、商品又はサービスに関するCMの放送を発注することで、その放送局BjにCMの放送を依頼する。したがって、各放送局Bjは、各広告主AiのCMの依頼先である。
【0022】
広告主Aiは、発注条件を指定して、放送局BjにCMの放送を依頼する。発注条件は、例えば、予算(発注金額)、発注号数、及び発注GRP(Gross Rating Point)を含む。GRPは、世帯を対象にした延べ視聴率である。各広告主Aiの予算、発注号数、又は発注GRPは、同じであることもあり、異なっていることもある。
【0023】
CM依頼制御装置301は、各広告主Aiの発注条件に基づいてCM発注情報P1を生成する。CM発注情報P1は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算及び獲得KPI(Key Performance Indicator)を含む。
【0024】
獲得KPIとしては、放送されるCMの予測視聴率を用いることができる。予測視聴率は、予測TRP(Target Rating Point)、予測GRP等であってもよい。TRPは、個人を対象にした延べ視聴率である。TRPのターゲットは、例えば、個人全体(4歳以上)、男20~34歳、女20~34歳、男女20~34歳、主婦、主婦(0~3歳の子供あり)等である。予測視聴率は、予測タイムシフト視聴率を含んでいてもよい。
【0025】
CM発注情報P1は、第1依頼情報の一例であり、獲得KPIは、広告効果情報の一例である。
【0026】
次に、CM依頼制御装置301は、CM発注情報P1に含まれる何れかの広告主AiのCMの依頼先の放送局Bjを、別の放送局Bjに変更することで、CM発注情報P2を生成する。CM発注情報P2は、第2依頼情報の一例である。
【0027】
次に、CM依頼制御装置301は、CM発注情報P2から各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算及び獲得KPIを抽出して、CM発注情報P2(Ai)を生成し、広告主端末装置302-iへ送信する。
【0028】
次に、CM依頼制御装置301は、CM発注情報P2から各放送局Bjの広告主Ai毎の予算を抽出して、CM発注情報P2(Bj)を生成し、放送局端末装置303-jへ送信する。
【0029】
広告主端末装置302-iは、CM依頼制御装置301から受信したCM発注情報P2(Ai)を画面上に表示する。広告主Aiの従業員は、表示されたCM発注情報P2(Ai)を確認して、CM発注情報P2(Ai)を承諾するか否かを示す回答を広告主端末装置302-iに入力する。そして、広告主端末装置302-iは、入力された回答をCM依頼制御装置301へ送信する。
【0030】
放送局端末装置303-jは、CM依頼制御装置301から受信したCM発注情報P2(Bj)を画面上に表示する。放送局Bjの従業員は、表示されたCM発注情報P2(Bj)を確認して、CM発注情報P2(Bj)を承諾するか否かを示す回答を放送局端末装置303-jに入力する。そして、放送局端末装置303-jは、入力された回答をCM依頼制御装置301へ送信する。
【0031】
CM依頼制御装置301は、広告主端末装置302-1~広告主端末装置302-N及び放送局端末装置303-1~放送局端末装置303-Mから受信した回答をチェックする。
【0032】
すべての広告主端末装置302-i及びすべての放送局端末装置303-jから受信した回答が承諾を示している場合、CM依頼制御装置301は、CM発注情報P2に基づいて放送局Bj毎のCM放送情報を生成する。CM依頼制御装置301は、CM発注情報P2に適合するように、各放送局Bjの広告枠を各広告主Aiに割り当てることで、放送局Bj毎のCM放送情報を生成する。広告枠は、CMが放送される時間枠を表す。そして、CM依頼制御装置301は、放送局BjのCM放送情報を放送装置304-jへ送信する。
【0033】
放送装置304-jは、CM依頼制御装置301から受信した放送局BjのCM放送情報に従って、各広告主AiのCMを番組とともに放送する。これにより、不図示の視聴者の放送受信装置は、放送装置304-jによって放送された番組及びCMを受信し、出力することができる。
【0034】
図4は、
図3のCM依頼制御装置301の機能的構成例を示している。
図4のCM依頼制御装置301は、通信部411、変更部412、生成部413、及び記憶部414を含む。変更部412は、
図1の変更部111に対応する。
【0035】
通信部411は、通信ネットワーク305を介して、広告主端末装置302-1~広告主端末装置302-N、放送局端末装置303-1~放送局端末装置303-M、及び放送装置304-1~放送装置304-Mと通信する。
【0036】
変更部412は、各広告主Aiの発注条件に基づいてCM発注情報P1を生成し、記憶部414に格納する。一例として、変更部412は、各広告主Aiの発注GRPに放送局Bj毎のKPI含有率を乗算することで、CM発注情報P1に含まれる獲得KPIを計算してもよい。別の例として、変更部412は、各広告主Aiの発注号数及び発注GRPに適合するように、各放送局Bjの広告枠を各広告主Aiに割り当てた結果から、獲得KPIを計算してもよい。
【0037】
記憶部414は、変更条件421を記憶する。変更条件421は、CM発注情報P1に含まれる各広告主Aiについて、放送局Bj毎の変更後の予算及び獲得KPIに基づく広告効率が、放送局Bj毎の変更前の予算及び獲得KPIに基づく広告効率よりも改善されることを示す。
【0038】
変更部412は、変更条件421が満たされるように、CM発注情報P1に含まれる1つ又は複数の広告主AiのCMの依頼先の放送局Bjを、別の放送局Bjに変更することで、CM発注情報P2を生成する。そして、変更部412は、生成されたCM発注情報P2を記憶部414に格納する。このとき、変更部412は、CM発注情報P1に含まれる獲得KPIと同様の方法で、CM発注情報P2に含まれる獲得KPIを計算する。
【0039】
CM発注情報P1に含まれる依頼先を変更することで、何れかの広告主Aiから何れかの放送局Bjに対するCMの依頼が取り消される場合、変更部412は、広告主Aiに課される放送局Bjに対する追加予算を、CM発注情報P2に設定する。追加予算は、取り消されたCMのキャンセル料として、広告主Aiに請求される。
【0040】
図5は、
図4のCM発注情報P1及びCM発注情報P2の例を示している。
図5(a)は、変更前のCM発注情報P1の例を示している。
図5(a)のCM発注情報P1は、テーブル511及びテーブル512を含む。この例では、N=3、かつ、M=5である。放送局B1~放送局B5は、例えば、地上波民間放送の5つのキー局である。
【0041】
テーブル511は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算を表す。単位は、1万円である。例えば、広告主A1のCMの放送局B1に対する予算は、1000万円である。広告主A1の依頼先は、放送局B1、放送局B3、及び放送局B5であり、広告主A2の依頼先は、放送局B2及び放送局B4であり、広告主A3の依頼先は、放送局B1、放送局B2、及び放送局B5である。
【0042】
広告主A1の合計予算は、2500万円であり、広告主A2の合計予算は、2000万円であり、広告主A3の合計予算は、1500万円である。したがって、広告主A1~広告主A3の総予算は、6000万円である。放送局Bj毎に予算を集計した場合、放送局B1及び放送局B2各々の合計予算は、1500万円であり、放送局B3~放送局B5各々の合計予算は、1000万円である。
【0043】
テーブル512は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の獲得KPIを表す。単位は、%である。例えば、広告主A1のCMの放送局B1における獲得KPIは、50%である。広告主A1の合計獲得KPIは、110%であり、広告主A2の合計獲得KPIは、60%であり、広告主A3の合計獲得KPIは、70%である。したがって、広告主A1~広告主A3の総獲得KPIは、240%である。
【0044】
単価は、1%のKPIを獲得するためのコストを表す。各広告主Aiの合計予算を合計獲得KPIで除算することで、広告主Ai毎の単価が求められる。広告主A1の単価は、22.7万円であり、広告主A2の単価は、33.3万円であり、広告主A3の単価は、21.4万円である。
【0045】
広告効率は、例えば、単位予算当たりの獲得KPIによって表すことができる。この場合、単価が小さくなるほど、広告効率は大きくなる。したがって、各広告主Aiの単価を最小化するようにCMの依頼先を変更することで、各広告主Aiの広告効率を最大化することができる。
【0046】
放送局Bj毎に獲得KPIを集計した場合、放送局B1における合計獲得KPIは、70%であり、放送局B2における合計獲得KPIは、60%であり、放送局B3における合計獲得KPIは、50%である。放送局B4及び放送局B5各々における合計獲得KPIは、30%である。
【0047】
図5(b)は、変更後のCM発注情報P2の例を示している。
図5(b)のCM発注情報P2は、テーブル521~テーブル523を含む。
【0048】
この例では、変更条件421は、条件C1~条件C3を含む。条件C1は、各広告主Aiについて、放送局Bj毎の変更後の予算の総和が、放送局Bj毎の変更前の予算の総和と同じであることを示す。条件C2は、各放送局Bjについて、広告主Ai毎の変更後の予算の総和が、広告主Ai毎の変更前の予算の総和と同じであることを示す。条件C3は、各広告主Aiについて、放送局Bj毎の変更後の獲得KPIの総和が、放送局Bj毎の変更前の獲得KPIの総和よりも大きくなることを示す。
【0049】
条件C1及び条件C3が満たされるようにCMの依頼先を変更することで、各広告主Aiの単価を削減して、各広告主Aiの広告効率を改善することができる。したがって、依頼先の変更に対する各広告主Aiの承諾が得られやすくなる。また、条件C2が満たされるようにCMの依頼先を変更することで、各放送局Bjの変更前の予算が維持される。したがって、依頼先の変更に対する各放送局Bjの承諾が得られやすくなる。
【0050】
テーブル521は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算を表す。広告主A1の依頼先は、放送局B2、放送局B4、及び放送局B5に変更されており、広告主A1から放送局B1及び放送局B3に対する依頼は取り消されている。
【0051】
広告主A2の依頼先は、放送局B1、放送局B3、及び放送局B5に変更されており、広告主A2から放送局B2及び放送局B4に対する依頼は取り消されている。広告主A3の依頼先は、放送局B1、放送局B2、及び放送局B3に変更されており、広告主A3から放送局B5に対する依頼は取り消されている。
【0052】
広告主A1の合計予算は、2500万円であり、広告主A2の合計予算は、2000万円であり、広告主A3の合計予算は、1500万円である。したがって、各広告主Aiの合計予算は、
図5(a)のテーブル511と同じであり、条件C1が満たされている。
【0053】
放送局B1及び放送局B2各々の合計予算は、1500万円であり、放送局B3~放送局B5各々の合計予算は、1000万円である。したがって、各放送局Bjの合計予算も、
図5(a)のテーブル511と同じであり、条件C2が満たされている。
【0054】
テーブル522は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の獲得KPIを表す。広告主A1の合計獲得KPIは、160%であり、広告主A2の合計獲得KPIは、90%であり、広告主A3の合計獲得KPIは、100%である。したがって、各広告主Aiの合計獲得KPIは、
図5(a)のテーブル512よりも増加しており、条件C3が満たされている。
【0055】
広告主A1の単価は、15.6万円であり、広告主A2の単価は、22.2万円であり、広告主A3の単価は、15.0万円である。したがって、各広告主Aiの単価は、
図5(a)のテーブル512よりも減少しており、各広告主Aiの広告効率が改善されている。
【0056】
テーブル523は、各広告主Aiの放送局Bj毎の追加予算を表す。単位は、1万円である。例えば、広告主A1の放送局B1に対する追加予算は、80万円である。広告主A1から放送局B1及び放送局B3に対する依頼が取り消されているため、広告主A1には、放送局B1及び放送局B3に対する追加予算が課されている。
【0057】
広告主A2から放送局B2及び放送局B4に対する依頼が取り消されているため、広告主A2には、放送局B2及び放送局B4に対する追加予算が課されている。広告主A3から放送局B5に対する依頼が取り消されているため、広告主A3には、放送局B5に対する追加予算が課されている。
【0058】
広告主A1の合計追加予算は、180万円であり、広告主A2の合計追加予算は、150万円であり、広告主A3の合計追加予算は、200万円である。したがって、広告主A1~広告主A3の総追加予算は、530万円である。放送局Bj毎に追加予算を集計した場合、放送局B1の合計追加予算は、80万円であり、放送局B2及び放送局B3各々の合計追加予算は、100万円である。放送局B4の合計追加予算は、50万円であり、放送局B5の合計追加予算は、200万円である。
【0059】
各放送局Bjに対する追加予算を設定することで、各放送局Bjの変更後の発注金額が増加する。したがって、依頼先の変更に対する各放送局Bjの承諾がさらに得られやすくなる。追加予算は、
図5(a)のテーブル511に示される各広告主Aiの予算から計算されてもよく、予算にかかわらず一定の金額であってもよい。例えば、予算が1000万未満である場合、追加予算は予算のX1%であってもよく、予算が1000万以上である場合、追加予算は予算のX2%(X2>X1)であってもよい。
【0060】
追加単価は、KPIを1%増加させるためのコストを表す。各広告主Aiの変更後の合計獲得KPIから変更前の合計獲得KPIを減算することで、獲得KPIの増分が求められる。そして、各広告主Aiの合計追加予算を獲得KPIの増分で除算することで、広告主Ai毎の追加単価が求められる。広告主A1の追加単価は、3.6万円であり、広告主A2の追加単価は、5.0万円であり、広告主A3の追加単価は、6.7万円である。
【0061】
追加広告効率は、例えば、単位追加予算当たりの獲得KPIによって表すことができる。この場合、追加単価が小さくなるほど、追加広告効率は大きくなる。
【0062】
変更部412は、条件C1及び条件C2が満たされるように、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算をランダムに設定して、放送局Bj毎の獲得KPIを計算する処理を繰り返してもよい。この場合、変更部412は、各広告主Aiの合計獲得KPIが最大化される予算の組み合わせを、CM発注情報P2に設定することができる。
【0063】
次に、生成部413は、CM発注情報P2から各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算及び獲得KPIを抽出して、CM発注情報P2(Ai)を生成する。そして、生成部413は、通信部411を介して、CM発注情報P2(Ai)を広告主端末装置302-iへ送信する。
【0064】
次に、生成部413は、CM発注情報P2から各放送局Bjの広告主Ai毎の予算を抽出して、CM発注情報P2(Bj)を生成する。そして、生成部413は、通信部411を介して、CM発注情報P2(Bj)を放送局端末装置303-jへ送信する。
【0065】
次に、生成部413は、通信部411を介して、広告主端末装置302-1~広告主端末装置302-N及び放送局端末装置303-1~放送局端末装置303-Mから回答を受信し、受信した回答をチェックする。
【0066】
すべての広告主端末装置302-i及びすべての放送局端末装置303-jから受信した回答が承諾を示している場合、生成部413は、CM発注情報P2に基づいて放送局Bj毎のCM放送情報を生成する。そして、生成部413は、通信部411を介して、放送局BjのCM放送情報を放送装置304-jへ送信する。
【0067】
図3の放送システムによれば、CM発注情報P1をCM発注情報P2に変更することで、各広告主Aiの広告効率を改善することができるとともに、各放送局Bjの発注金額を増加させることができる。したがって、各広告主AiのCMの依頼先が適切に変更され、各広告主Ai及び各放送局Bjの承諾が得られやすくなる。
【0068】
図6は、
図4のCM依頼制御装置301が行う放送情報生成処理の例を示すフローチャートである。まず、変更部412は、各広告主Aiの発注条件に基づいてCM発注情報P1を生成する(ステップ601)。次に、変更部412は、変更条件421が満たされるように、CM発注情報P1に含まれる1つ又は複数の広告主AiのCMの依頼先の放送局Bjを、別の放送局Bjに変更することで、CM発注情報P2を生成する(ステップ602)。
【0069】
次に、生成部413は、CM発注情報P2から各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算及び獲得KPIを抽出して、CM発注情報P2(Ai)を生成する(ステップ603)。そして、生成部413は、通信部411を介して、CM発注情報P2(Ai)を広告主端末装置302-iへ送信する(ステップ604)。
【0070】
次に、生成部413は、CM発注情報P2から各放送局Bjの広告主Ai毎の予算を抽出して、CM発注情報P2(Bj)を生成する(ステップ605)。そして、生成部413は、通信部411を介して、CM発注情報P2(Bj)を放送局端末装置303-jへ送信する(ステップ606)。
【0071】
次に、生成部413は、通信部411を介して、広告主端末装置302-1~広告主端末装置302-N及び放送局端末装置303-1~放送局端末装置303-Mから回答を受信し(ステップ607)、受信した回答をチェックする(ステップ608)。
【0072】
すべての広告主端末装置302-i及びすべての放送局端末装置303-jから受信した回答が承諾を示している場合(ステップ608,YES)、生成部413は、CM発注情報P2に基づいて放送局Bj毎のCM放送情報を生成する(ステップ609)。そして、生成部413は、通信部411を介して、放送局BjのCM放送情報を放送装置304-jへ送信する(ステップ610)。
【0073】
何れかの広告主端末装置302-i又は何れかの放送局端末装置303-jから受信した回答が承諾しないことを示している場合(ステップ608,NO)、CM依頼制御装置301は、ステップ602以降の処理を繰り返す。
【0074】
放送局B1~放送局BMは、複数の地域それぞれの地方局であってもよい。複数の地域は、例えば、関東、中京、近畿、北海道、福岡等である。キー局は、関東を放送エリアとする地方局の1つである。
【0075】
図7は、地方局に対するCM発注情報P1及びCM発注情報P2の例を示している。
図7(a)は、変更前のCM発注情報P1の例を示している。
図7(a)のCM発注情報P1は、テーブル711及びテーブル712を含む。この例では、N=2、かつ、M=2である。放送局B1及び放送局B2は、2つの異なる地域の地方局である。
【0076】
テーブル711は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算を表す。単位は、1万円である。広告主A1の依頼先は、放送局B1であり、広告主A2の依頼先は、放送局B2である。広告主A1の合計予算は、2000万円であり、広告主A2の合計予算は、1000万円である。したがって、広告主A1及び広告主A2の総予算は、3000万円である。放送局Bj毎に予算を集計した場合、放送局B1の合計予算は、2000万円であり、放送局B2の合計予算は、1000万円である。
【0077】
テーブル712は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の獲得KPIを表す。単位は、%である。広告主A1の合計獲得KPIは、100%であり、広告主A2の合計獲得KPIは、50%である。したがって、広告主A1及び広告主A2の総獲得KPIは、150%である。単価は、1%のKPIを獲得するためのコストを表す。広告主A1及び広告主A2各々の単価は、20.0万円である。
【0078】
放送局Bj毎に獲得KPIを集計した場合、放送局B1における合計獲得KPIは、100%であり、放送局B2における合計獲得KPIは、50%である。
【0079】
図7(b)は、変更後のCM発注情報P2の例を示している。
図7(b)のCM発注情報P2は、テーブル721~テーブル723を含む。変更条件421は、条件C1~条件C3を含む。
【0080】
テーブル721は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の予算を表す。広告主A1の依頼先は、放送局B1及び放送局B2に変更されており、広告主A1から放送局B1に対する2000万円の依頼のうち、1000万円の依頼が取り消されている。広告主A2の依頼先は、放送局B1に変更されており、広告主A2から放送局B2に対する依頼は取り消されている。
【0081】
広告主A1の合計予算は、2000万円であり、広告主A2の合計予算は、1000万円である。したがって、各広告主Aiの合計予算は、
図7(a)のテーブル711と同じであり、条件C1が満たされている。
【0082】
放送局B1の合計予算は、2000万円であり、放送局B2の合計予算は、1000万円である。したがって、各放送局Bjの合計予算も、
図7(a)のテーブル711と同じであり、条件C2が満たされている。
【0083】
テーブル722は、各広告主AiのCMの放送局Bj毎の獲得KPIを表す。広告主A1の合計獲得KPIは、150%であり、広告主A2の合計獲得KPIは、100%である。したがって、各広告主Aiの合計獲得KPIは、
図7(a)のテーブル712よりも増加しており、条件C3が満たされている。
【0084】
広告主A1の単価は、13.3万円であり、広告主A2の単価は、10.0万円である。したがって、各広告主Aiの単価は、
図7(a)のテーブル712よりも減少しており、各広告主Aiの広告効率が改善されている。
【0085】
テーブル723は、各広告主Aiの放送局Bj毎の追加予算を表す。単位は、1万円である。広告主A1から放送局B1に対する1000万円の依頼が取り消されているため、広告主A1には、放送局B1に対する追加予算が課されている。広告主A2から放送局B2に対する依頼が取り消されているため、広告主A2には、放送局B2に対する追加予算が課されている。
【0086】
広告主A1の合計追加予算は、150万円であり、広告主A2の合計追加予算は、80万円である。したがって、広告主A1及びA2の総追加予算は、230万円である。放送局Bj毎に追加予算を集計した場合、放送局B1の合計追加予算は、150万円であり、放送局B2の合計追加予算は、80万円である。
【0087】
追加単価は、KPIを1%増加させるためのコストを表す。広告主A1の追加単価は、3.0万円であり、広告主A2の追加単価は、1.6万円である。
【0088】
ところで、広告は、放送媒体だけではなく、様々な広告媒体を介して接触者に提供される。放送媒体以外の広告媒体としては、インターネット(WEB)、デジタルOOH(Out of Home)、交通広告、新聞、雑誌、看板、チラシ等が利用される。デジタルOOHは、屋外の大型ビジョン、デジタルサイネージ等である。この場合、広告の依頼先は、広告媒体の広告枠を販売する媒体社であり、放送局Bjは、媒体社の一例である。
【0089】
図8は、
図1の広告依頼制御装置101を含む広告システムの構成例を示している。
図8の広告システムは、広告依頼制御装置801、広告主端末装置802-1~広告主端末装置802-N、媒体社端末装置803-1~媒体社端末装置803-M、及び広告生成装置804-1~広告生成装置804-Mを含む。N及びMは、2以上の整数である。広告依頼制御装置801は、
図1の広告依頼制御装置101に対応する。
【0090】
広告主端末装置802-i(i=1~N)は、広告主Aiの情報処理装置であり、媒体社端末装置803-j(j=1~M)は、媒体社Ujの情報処理装置である。媒体社U1~媒体社UMは、それぞれ異なる広告媒体の広告枠を販売する。
【0091】
広告依頼制御装置801は、通信ネットワーク805を介して、広告主端末装置802-1~広告主端末装置802-N、媒体社端末装置803-1~媒体社端末装置803-M、及び広告生成装置804-1~広告生成装置804-Mと通信することができる。通信ネットワーク805は、例えば、WANである。
【0092】
各広告主Aiは、何れかの媒体社Ujに、商品又はサービスに関する広告を発注することで、その媒体社Ujに広告を依頼する。したがって、各媒体社Ujは、各広告主Aiの広告の依頼先である。
【0093】
広告主Aiは、発注条件を指定して、媒体社Ujに広告を依頼する。発注条件は、例えば、予算及び発注広告量を含む。各広告主Aiの予算及び発注広告量は、同じであることもあり、異なっていることもある。
【0094】
広告依頼制御装置801は、各広告主Aiの発注条件に基づいて広告発注情報Q1を生成する。広告発注情報Q1は、各広告主Aiの広告の媒体社Uj毎の予算及び獲得KPIを含む。獲得KPIは、媒体社U1~媒体社UMそれぞれの広告媒体に共通の指標であり、媒体社Ujの広告に対して予測される広告効果を示す。広告発注情報Q1は、第1依頼情報の一例であり、獲得KPIは、広告効果情報の一例である。
【0095】
次に、広告依頼制御装置801は、広告発注情報Q1に含まれる何れかの広告主Aiの広告の依頼先の媒体社Ujを、別の媒体社Ujに変更することで、広告発注情報Q2を生成する。広告発注情報Q2は、各広告主Aiの広告の媒体社Uj毎の予算及び獲得KPIを含む。広告発注情報Q2は、第2依頼情報の一例である。
【0096】
次に、広告依頼制御装置801は、広告発注情報Q2から各広告主Aiの広告の媒体社Uj毎の予算及び獲得KPIを抽出して、広告発注情報Q2(Ai)を生成し、広告主端末装置802-iへ送信する。
【0097】
次に、広告依頼制御装置801は、広告発注情報Q2から各媒体社Ujの広告主Ai毎の予算を抽出して、広告発注情報Q2(Uj)を生成し、媒体社端末装置803-jへ送信する。
【0098】
広告主端末装置802-iは、広告依頼制御装置801から受信した広告発注情報Q2(Ai)を画面上に表示する。広告主Aiの従業員は、表示された広告発注情報Q2(Ai)を確認して、広告発注情報Q2(Ai)を承諾するか否かを示す回答を広告主端末装置802-iに入力する。そして、広告主端末装置802-iは、入力された回答を広告依頼制御装置801へ送信する。
【0099】
媒体社端末装置803-jは、広告依頼制御装置801から受信した広告発注情報Q2(Uj)を画面上に表示する。媒体社Ujの従業員は、表示された広告発注情報Q2(Uj)を確認して、広告発注情報Q2(Uj)を承諾するか否かを示す回答を媒体社端末装置803-jに入力する。そして、媒体社端末装置803-jは、入力された回答を広告依頼制御装置801へ送信する。
【0100】
広告依頼制御装置801は、広告主端末装置802-1~広告主端末装置802-N及び媒体社端末装置803-1~媒体社端末装置803-Mから受信した回答をチェックする。
【0101】
すべての広告主端末装置802-i及びすべての媒体社端末装置803-jから受信した回答が承諾を示している場合、広告依頼制御装置801は、広告発注情報Q2に基づいて媒体社Uj毎の広告枠情報を生成する。広告依頼制御装置801は、広告発注情報Q2に適合するように、各媒体社Ujの広告媒体の広告枠を各広告主Aiに割り当てることで、媒体社Uj毎の広告枠情報を生成する。そして、広告依頼制御装置801は、媒体社Ujの広告枠情報を広告生成装置804-jへ送信する。
【0102】
広告生成装置804-jは、広告依頼制御装置801から受信した媒体社Ujの広告枠情報に従って、広告媒体を介した各広告主Aiの広告を生成する。これにより、媒体社Ujは、広告生成装置804-jによって生成された広告を、接触者に提供することができる。
【0103】
広告依頼制御装置801の機能的構成及び動作は、
図4のCM依頼制御装置301と同様である。広告依頼制御装置801は、CM発注情報P1の代わりに広告発注情報Q1を生成し、CM発注情報P2の代わりに広告発注情報Q2を生成する。
【0104】
一例として、変更部412は、各広告主Aiの発注広告量に媒体社Uj毎のKPI含有率を乗算することで、広告発注情報Q1又は広告発注情報Q2に含まれる獲得KPIを計算してもよい。別の例として、変更部412は、各広告主Aiの発注広告量に適合するように、各媒体社Ujの広告枠を各広告主Aiに割り当てた結果から、獲得KPIを計算してもよい。
【0105】
図9は、広告発注情報Q1及び広告発注情報Q2の例を示している。
図9(a)は、変更前の広告発注情報Q1の例を示している。
図9(a)の広告発注情報Q1は、テーブル911及びテーブル912を含む。この例では、N=2、かつ、M=2である。媒体社U1及び媒体社U2は、互いに異なる広告媒体の広告枠を販売する。
【0106】
テーブル911は、各広告主AiのCMの媒体社Uj毎の予算を表す。単位は、1万円である。広告主A1の依頼先は、媒体社U1であり、広告主A2の依頼先は、媒体社U2である。広告主A1の合計予算は、2000万円であり、広告主A2の合計予算は、1000万円である。したがって、広告主A1及び広告主A2の総予算は、3000万円である。媒体社Uj毎に予算を集計した場合、媒体社U1の合計予算は、2000万円であり、媒体社U2の合計予算は、1000万円である。
【0107】
テーブル912は、各広告主AiのCMの媒体社Uj毎の獲得KPIを表す。単位は、%である。広告主A1の合計獲得KPIは、100%であり、広告主A2の合計獲得KPIは、50%である。したがって、広告主A1及び広告主A2の総獲得KPIは、150%である。単価は、1%のKPIを獲得するためのコストを表す。広告主A1及び広告主A2各々の単価は、20.0万円である。
【0108】
媒体社Uj毎に獲得KPIを集計した場合、媒体社U1における合計獲得KPIは、100%であり、媒体社U2における合計獲得KPIは、50%である。
【0109】
図9(b)は、変更後の広告発注情報Q2の例を示している。
図9(b)の広告発注情報Q2は、テーブル921~テーブル923を含む。
【0110】
変更条件421は、条件D1~条件D3を含む。条件D1は、各広告主Aiについて、媒体社Uj毎の変更後の予算の総和が、媒体社Uj毎の変更前の予算の総和と同じであることを示す。条件D2は、各媒体社Ujについて、広告主Ai毎の変更後の予算の総和が、広告主Ai毎の変更前の予算の総和と同じであることを示す。条件D3は、各広告主Aiについて、媒体社Uj毎の変更後の獲得KPIの総和が、媒体社Uj毎の変更前の獲得KPIの総和よりも大きくなることを示す。
【0111】
テーブル921は、各広告主AiのCMの媒体社Uj毎の予算を表す。広告主A1の依頼先は、媒体社U1及び媒体社U2に変更されており、広告主A1から媒体社U1に対する2000万円の依頼のうち、1000万円の依頼が取り消されている。広告主A2の依頼先は、媒体社U1に変更されており、広告主A2から媒体社U2に対する依頼は取り消されている。
【0112】
広告主A1の合計予算は、2000万円であり、広告主A2の合計予算は、1000万円である。したがって、各広告主Aiの合計予算は、
図9(a)のテーブル911と同じであり、条件D1が満たされている。
【0113】
媒体社U1の合計予算は、2000万円であり、媒体社U2の合計予算は、1000万円である。したがって、各媒体社Ujの合計予算も、
図9(a)のテーブル911と同じであり、条件D2が満たされている。
【0114】
テーブル922は、各広告主AiのCMの媒体社Uj毎の獲得KPIを表す。広告主A1の合計獲得KPIは、150%であり、広告主A2の合計獲得KPIは、100%である。したがって、各広告主Aiの合計獲得KPIは、
図9(a)のテーブル912よりも増加しており、条件D3が満たされている。
【0115】
広告主A1の単価は、13.3万円であり、広告主A2の単価は、10.0万円である。したがって、各広告主Aiの単価は、
図9(a)のテーブル912よりも減少しており、各広告主Aiの広告効率が改善されている。
【0116】
テーブル923は、各広告主Aiの媒体社Uj毎の追加予算を表す。単位は、1万円である。広告主A1から媒体社U1に対する1000万円の依頼が取り消されているため、広告主A1には、媒体社U1に対する追加予算が課されている。広告主A2から媒体社U2に対する依頼が取り消されているため、広告主A2には、媒体社U2に対する追加予算が課されている。
【0117】
広告主A1の合計追加予算は、150万円であり、広告主A2の合計追加予算は、80万円である。したがって、広告主A1及び広告主A2の総追加予算は、230万円である。媒体社Uj毎に追加予算を集計した場合、媒体社U1の合計追加予算は、150万円であり、媒体社U2の合計追加予算は、80万円である。
【0118】
追加単価は、KPIを1%増加させるためのコストを表す。広告主A1の追加単価は、3.0万円であり、広告主A2の追加単価は、1.6万円である。
【0119】
図1の広告依頼制御装置101の構成は一例に過ぎず、広告依頼制御装置101の用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略又は変更してもよい。
【0120】
図3の放送システムの構成は一例に過ぎず、放送システムの用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略又は変更してもよい。
【0121】
図4のCM依頼制御装置301の構成は一例に過ぎず、放送システムの構成又は条件に応じて一部の構成要素を省略又は変更してもよい。例えば、CM依頼制御装置301の外部の装置が放送局Bj毎のCM放送情報を生成する場合、生成部413を省略することができる。
【0122】
図2及び
図6のフローチャートは一例に過ぎず、広告依頼制御装置101又は放送システムの構成又は条件に応じて一部の処理を省略又は変更してもよい。例えば、CM依頼制御装置301の外部の装置が放送局Bj毎のCM放送情報を生成する場合、
図6のステップ603~ステップ610の処理を省略することができる。
【0123】
図5及び
図7に示したCM発注情報P1及びCM発注情報P2は一例に過ぎず、CM発注情報P1及びCM発注情報P2は、各広告主Aiの予算、発注号数、及び発注GRPに応じて変化する。
図9に示した広告発注情報Q1及び広告発注情報Q2は一例に過ぎず、広告発注情報Q1及び広告発注情報Q2は、各広告主Aiの発注条件に応じて変化する。
【0124】
図10は、
図1の広告依頼制御装置101、
図4のCM依頼制御装置301、及び
図8の広告依頼制御装置801として用いられる情報処理装置のハードウェア構成例を示している。
図10の情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)1001、メモリ1002、入力装置1003、出力装置1004、補助記憶装置1005、媒体駆動装置1006、及びネットワーク接続装置1007を含む。これらの構成要素はハードウェアであり、バス1008により互いに接続されている。
【0125】
メモリ1002は、例えば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリであり、処理に用いられるプログラム及びデータを格納する。メモリ1002は、
図4の記憶部414として動作してもよい。
【0126】
CPU1001(プロセッサ)は、例えば、メモリ1002を利用してプログラムを実行することにより、
図1の変更部111として動作する。CPU1001は、メモリ1002を利用してプログラムを実行することにより、
図4の変更部412及び生成部413としても動作する。
【0127】
入力装置1003は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス等であり、オペレータ又はユーザからの指示又は情報の入力に用いられる。出力装置1004は、例えば、表示装置、プリンタ、スピーカ等であり、オペレータ又はユーザへの問い合わせ又は指示、及び処理結果の出力に用いられる。処理結果は、CM発注情報P2又は広告発注情報Q2であってもよい。
【0128】
補助記憶装置1005は、例えば、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置、テープ装置等である。補助記憶装置1005は、ハードディスクドライブ又はSSD(Solid State Drive)であってもよい。情報処理装置は、補助記憶装置1005にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ1002にロードして使用することができる。補助記憶装置1005は、
図4の記憶部414として動作してもよい。
【0129】
媒体駆動装置1006は、可搬型記録媒体1009を駆動し、その記録内容にアクセスする。可搬型記録媒体1009は、メモリデバイス、フレキシブルディスク、光ディスク、光磁気ディスク等である。可搬型記録媒体1009は、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、USB(Universal Serial Bus)メモリ等であってもよい。オペレータ又はユーザは、可搬型記録媒体1009にプログラム及びデータを格納しておき、それらをメモリ1002にロードして使用することができる。
【0130】
このように、処理に用いられるプログラム及びデータを格納するコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、メモリ1002、補助記憶装置1005、又は可搬型記録媒体1009のような、物理的な(非一時的な)記録媒体である。
【0131】
ネットワーク接続装置1007は、通信ネットワーク305又は通信ネットワーク805に接続され、通信に伴うデータ変換を行う通信装置である。情報処理装置は、プログラム及びデータを外部の装置からネットワーク接続装置1007を介して受信し、それらをメモリ1002にロードして使用することができる。ネットワーク接続装置1007は、
図4の通信部411として動作してもよい。
【0132】
なお、情報処理装置が
図10のすべての構成要素を含む必要はなく、用途又は条件に応じて一部の構成要素を省略することも可能である。例えば、オペレータ又はユーザとのインタフェースが不要な場合は、入力装置1003及び出力装置1004を省略してもよい。可搬型記録媒体1009又は通信ネットワークを使用しない場合は、媒体駆動装置1006又はネットワーク接続装置1007を省略してもよい。
【0133】
図3の広告主端末装置302-i及び放送局端末装置303-jと、
図8の広告主端末装置802-i及び媒体社端末装置803-jとしては、
図10と同様の情報処理装置を用いることができる。
【0134】
開示の実施形態とその利点について詳しく説明したが、当業者は、特許請求の範囲に明確に記載した本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更、追加、省略をすることができるであろう。
【符号の説明】
【0135】
101、801 広告依頼制御装置
111、412 変更部
112 出力部
301 CM依頼制御装置
302-1~302-N、802-1~802-N 広告主端末装置
303-1~303-M 放送局端末装置
304-1~304-M 放送装置
305、805 通信ネットワーク
411 通信部
413 生成部
414 記憶部
421 変更条件
511、512、521~523、711、712、721~723、911、912、921~923 テーブル
803-1~803-M 媒体社端末装置
804-1~804-M 広告生成装置
1001 CPU
1002 メモリ
1003 入力装置
1004 出力装置
1005 補助記憶装置
1006 媒体駆動装置
1007 ネットワーク接続装置
1008 バス
1009 可搬型記録媒体
【要約】
【課題】複数の広告主それぞれの広告の依頼先を適切に変更する。
【解決手段】変更部は、複数の広告主それぞれの広告の依頼先を含む第1依頼情報と、変更条件とに基づいて、第1依頼情報に含まれる依頼先を変更することで、複数の広告主それぞれの広告の第2依頼情報を生成する。出力部は、第2依頼情報を出力する。第1依頼情報は、複数の広告主各々の依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報を含み、第2依頼情報は、複数の広告主各々の依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報を含む。変更条件は、複数の広告主各々について、依頼先毎の変更後の予算及び広告効果情報に基づく広告効率が、依頼先毎の変更前の予算及び広告効果情報に基づく広告効率よりも改善されることを示す。
【選択図】
図1