(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】歯科用ファイルの往復動発生具
(51)【国際特許分類】
A61C 1/08 20060101AFI20240607BHJP
A61C 5/42 20170101ALI20240607BHJP
A61C 1/07 20060101ALI20240607BHJP
A61C 1/06 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A61C1/08 L
A61C5/42
A61C1/07 Z
A61C1/06
(21)【出願番号】P 2020124756
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-04-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】504230246
【氏名又は名称】鈴木 計芳
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 計芳
【審査官】岡▲さき▼ 潤
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105997272(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0290397(US,A1)
【文献】国際公開第2009/148044(WO,A1)
【文献】特表2017-506947(JP,A)
【文献】特開2017-170133(JP,A)
【文献】特開2009-082702(JP,A)
【文献】特開2018-064669(JP,A)
【文献】特開2018-134418(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61C 1/08
A61C 5/42
A61C 1/07
A61C 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドル側筐体とこの先端部の振動側筐体とから往復動発生具が構成されており、前記振動側筐体にはその後端部の振動筒装着口から振動筒が往復動可能に挿着されており、前記振動筒の側壁部にはピン穴が設けられており、回転軸に偏心状態に設けられたピンが前記ピン穴に掛合しており、振動筒の先端部には歯科用ファイルの針部を通すための針通し孔が開口されており、振動筒の後端部は歯科用ファイルが交換自在に装着可能なファイル装着口となっており、ここに歯科用ファイルの把持部を押さえて止めるためのネジ蓋が着脱自在に取り付けられており、前記歯科用ファイルの針部の針通し孔の近傍に、閉塞根管を見え易くするために紫外線を照射する光ファイバーの一端部が紫外線の照射口として設けられており、前記往復動発生具はチェアーユニットに遠隔操作可能に接続されており、前記回転軸がチェアーユニットが内蔵する電動モータに接続されており、この電動モータはチェアーユニットの歯科医師が足で操作するフットスイッチに接続されており、前記光ファイバーの他端部が前記チェアーユニットが内蔵する紫外線ライトに向けて取り付けられている、往復動発生具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は閉塞根管を見え易くするための仕組みを具えた往復動発生具に関するものである。なお以下で言う所の歯科用ファイルは、リーミングのためのリーマとファイリングのためのファイルとを含む用語であるが、この発明ではこれらに類似する治療用具を包含している。
【背景技術】
【0002】
歯科医師が患者の虫歯の根の壁面をこそぎ取ったり、根の先に詰まっている膿の塊や、以前の治療の跡である充填材を取り去ったり、神経を抜いたりするなどの根管治療を行うに当たり、ファイルと呼称されるハンドピースを用いるのが一般的である。この歯科用のファイルには上述のようにリーマとファイルとが含まれ、リーマはリーミング(広げる)からファイルはファイリング(やする)から名付けられたものである。なお用途やサイズによって柄に色分けが為されたり記号や数字が記載されたりしている。
【0003】
このような歯科用ファイルは手業で用いられる他、往復動発生具に取り付けてチェアーユニットの動力で往復動させて用いられることも多くある。往復動発生具を簡単に説明すれば一例、ハンドルのある筐体内に収められた往復動発生部に市販のファイルを取り付けて、往復動発生部にチェアーユニットの電動モータの出力を接続することによって、自動的にファイルに往復運動を行わせるものを上げる。
【0004】
このように根管治療は、歯科用ファイルを根管に挿入して行われるが、根管が閉塞していると手業での施術はとても難しい。閉塞根管あるいは狭窄根管は種々の理由で形成される。例えば過去の不適切な根管形成によって先方の根管が閉塞される。残った神経が細くなり硬くなり根管が閉塞して、神経が見えにくくなることがある。咬合性外傷などの外的刺激や加齢による歯髄の石灰化によっても根管閉塞になる。このように閉塞した根管は、その回りの歯と同じくらいの硬さにもなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで当発明者は、歯科用ファイルを往復動発生具に取り付けて、電動の力で閉塞根管を掘削出来るのではないかとの知見を得た。
【0006】
しかしながら閉塞根管あるいは狭窄根管は、非常に見付けにくいものであることが知られている。どこに根管があるかが明瞭でなくては思うような施術は行いにくい。着色料で染めることが出来れば良いが必ずしもうまく行くとは限らない。何れにせよリーミングやファイリングの取っ掛かりが得られることが重要である。
【0007】
この発明の課題は、上述したような根管治療をより確かにより手早く行えるようにすることにより、患者にとっても歯科医師にとっても利益が得られるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題の解決に当って当発明者は、鋭意研究を行った結果、歯に紫外線ライトを照射すると閉塞根管の可視化が実現することを発見した。例えば大臼歯に紫外線を照射すると歯と閉塞根管とでは反射が異なるのである。また照光角度を変えて見ると反射が変化する場合があることも分かった。そこで当発明者は、往復動発生具に特に紫外線ライトを具えさせると良いことに想到したのである。ここに至って、これまでも口腔内を照明するための白色光ライトを取り付けることを行ってはいたが、閉塞根管を見ることはなかったことに気が付いたのである。何と紫外線ライトでは閉塞根管を見ることが出来たのである。
【0009】
すなわち上記課題は、筐体と、この筐体内に収められた往復動発生部と、この往復動発生部に設けられた歯科用ファイルの着脱部とから成り、この着脱部に装着した歯科用ファイルに往復運動を行わせるための往復動発生具であって、前記歯科用ファイルの針部の針通し孔の近傍に、閉塞根管を見え易くすべく歯に向けて紫外線を発光させるための紫外線ライトの、少なくとも照射口を備えている、往復動発生具を提供することによって達成される。
【0010】
往復動発生部には例えば電動モータの回転軸にカムを設けて、ファイルの着脱部をカムに係合させたものを上げる。これによれば電動モータを回転駆動させるとカムが回転し、カムの回転運動がファイルの着脱部の往復運動に変換されてファイルの着脱部に伝達される。従って歯科医師は自己の指の力だけでファイルを操作するのではなくて、ファイルの往復動のために電動モータの往復動の助けを得ることが出来るようになるために、施術が極めて楽なものとなる。このような電動式往復運動発生具にはいわゆるコントラアングルがある。さらに往復運動発生具は歯科用ファイルが着脱自在であるように構成することが望ましい。市販の歯科用ファイルが利用可能になるからである。
【0011】
ここで往復運動発生具はファイルの針部の針通し孔の辺りに、紫外線ライトの照射口を備えているため、この照射口から紫外線を目的の歯に照射することが出来る。この紫外線ライトのON/OFFスイッチは往復運動発生具に設けるようにしても良いし、チェアーユニットのフットスイッチに設けるようにしても良い。この辺りの設計は自由である。
【0012】
次に、前記照射口が光ファイバーの一端部であって、光ファイバーの他端部が前記往復動発生具を接続するチェアーユニットに取り付けられた紫外線ライトに向けて設けられているものとしても良い。紫外線ライトの少なくとも照射口を備えていると言う場合、例えばファイルの針部の針通し孔の近傍に紫外線発光用の電球を取り付ける場合もあれば、この電球を往復運動発生具の筐体内に設けたり、チェアーユニット内に設けたりして、そこに光ファイバーの一端部を配置し、そこから紫外線を光ファイバー伝いに、上記針通し孔の近傍まで引いた光ファイバーの他端部まで送る場合もある。紫外線は光ファイバー内を光の全反射の原理で伝播する。
【0013】
次に、前記針通し孔の前側にドーナツ形状の前記紫外線ライトを備えており、該紫外線ライトの歯に向く側が前記照射口であるものとすることが出来る。すなわちドーナツ形状の照射口の中心の孔に於いて歯科用ファイルの針部が往復動するようになっている。従ってこの歯科用ファイルの先端部方向に周囲から紫外線が照射されることになる。
【0014】
また前記紫外線ライトが複数個の発光源を備えているものとしても良い。ドーナツ形状の紫外線ライトと言う場合、この内部に前記照射口に向けた発光源としての例えば紫外線発光LED(Light emitting diode)の1個を備えるものであったり、複数個を備えるものであったりして良い。複数個であればドーナツ形状の照射口の中心の孔を通る針部の陰が生にくいと言う利点がある。なお複数個のLEDはドーナツ形状の照射口の内部に於いておよそ回転対称の位置に配設することが好ましく効果的である。
【0015】
また複数個の前記発光源に各々対応する電源スイッチを備えているものとしても良い。上述したように例えば大臼歯への紫外線の照光角度を変えて見ると、反射が変化する場合があることも分かっている。このためには手に持った往復動発生具自体を微妙に傾げさせることで照光角度を変えることが出来るのであるが、そうするとここに取り付けてある所の歯科用ファイルの針部の根管に対する角度も変わってしまう。これを良しとしないのであれば、往復動発生具を動かすことなく、紫外線の照光角度のみを変えられるようであると頼もしい。そこで前記発光源に各々対応する電源スイッチを備えることで、各々の発光源のON/OFFを自在に操ることが出来るようになるのである。
【0016】
なお、電動式の往復運動発生具は、歯科用ファイルを着脱自在であるように構成することが望ましい。市販の歯科用ファイルが使い捨てで利用可能になるからである。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、歯科用ファイルの針部の針通し孔の近傍に、閉塞根管を見え易くすべく歯に向けて発光させるための紫外線ライトの少なくとも照射口を備えている、往復動発生具を提供することにより、歯に紫外線ライトを照射して閉塞根管を可視化することが出来るようになった。また照光角度を変え得るように構成することによって、閉塞根管での反射の変化を可視化することが出来るようになった。
【0018】
このようにしてリーミングやファイリングの取っ掛かりが容易に得られるようになり、根管治療がより確かにより手早く行えるようになった。患者にとっても歯科医師にとっても得られる利益には極めて大きいものがある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】 実施例1の往復運動発生具2の説明図である。
【
図2】 往復動発生具2の制御装置4の説明図である。
【
図3】 実施例2の往復運動発生具5の説明図である。
【
図4】 往復動発生具5の制御装置6の説明図である。
【
図5】 実施例3のスイッチ7を模式的に表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下ではこの発明の実施例を図面に基づいて説明するが、この発明はこれ等に限定されるものではない。
【実施例1】
【0021】
図1及び
図2で表すこの実施例の往復運動発生具2は、光ファイバー46の照射口47から紫外線を歯に向けて照射すると言うものである。また往復動発生具2は市販の歯科用のファイル1を装着して使用するものである。このファイル1は、把持部10とその先の針部11とから構成されており、針部11は柔軟に屈曲させることが出来る。
【0022】
往復動発生具2はハンドル側筐体20とこの先端部に直角に設けられた振動側筐体21とから成り、振動側筐体21にはその振動筒装着口22から振動筒23が往復動可能に挿着されており、振動筒23の側壁部にはピン穴24が設けられており、このピン穴24に電動モータの回転軸3に偏心状態に設けられたピン30が掛合している。なお振動筒23の先端部には、ファイル1の針部11を通すための針通し孔25が開口されており、振動筒23の後端部はファイル装着口26となっており、ここにはファイル1の把持部10を押さえて止めるためのネジ蓋29が着脱自在に取り付けられている。従ってファイル1の交換はこのネジ蓋29を着脱することによって行う。
【0023】
前記回転軸3は図示しないチェアーユニットが内蔵する電動モータにギヤードボックスを介して接続されたものであり、電動モータは歯科医師が足で操作するフットスイッチである所の電源スイッチ48によりON/OFFされる。電動モータの回転軸3が回転するとピン穴24に掛合するピン30が偏心回転を行うため、ピン穴24のある振動筒23に往復動を生ずることになる。なお振動筒23の側面部より突出するガイドピン27が振動側筐体21の内側に前後方向(ファイル1が往復動する方向である)に設けられたガイド溝28に挿入されて、上記振動筒23の往復動のブレを抑える役目をしている。
【0024】
この往復動発生具2の特徴は、ファイル1を振動筒23の先端部側からではなく後端部側から着脱し得るように構成されているため、ファイル1の装着がより使い勝手が良いものとなっている点にある。なお回転軸3のピン30が振動筒23の側壁部のピン穴24に横方向から嵌め込まれているため、回転軸3の回転は振動筒23を前後方向に振動させるだけで、振動筒23をファイル1の針部11周りに強制的に回転させるようには作用しない点も特徴である。但し、僅かながらの回動ブレが生ずることを良しとしない場合を考慮して、上述したようなガイドピン27とガイド溝28との構成を設けているのである。
【0025】
前記ハンドル側筐体20の内部の下側には光ファイバー46が通されており、この一端部は図示しないチェアーユニット内の紫外線発光用のLED45に接続されており、他端部は針通し孔25から出ているファイル1の針部11の先を照明すべく、ハンドル側筐体20から前方へ向けて取り出され照射口47とされている。上記LED45は図示しない歯科医師が足で操作するフットスイッチである所の電源スイッチ49によりON/OFFされる。LED45が発した紫外線は光ファイバー46の一端部から入り、光ファイバー46の中を光の全反射の原理で伝播して、他端部の照射口47から出る。
【0026】
図2は制御装置4を模式図で表したものである。制御装置4は電源部41やモータ42や発光部43の制御部40から構成されてチェアーユニットに内蔵されているが、モータ42のON/OFFを行う電源スイッチ48とLED45のON/OFFを行う電源スイッチ49とはフットスイッチとして設定されている。上記発光部43には配線44を介してLED45が接続されており、発光部43はLED45のパルス発光を制御している。
【0027】
歯科医師が電源スイッチ49のフットスイッチを踏むと発光部43がLED45を発光させるが、LED45から出た紫外線は光ファイバー46の中を通ってそれ程減衰することもなく照射口47より発光される。この紫外線を歯に照射すると、閉塞根管がより良く見えるようになる。また照射口47からの紫外線の歯への当て方を変えることで、閉塞根管での反射の変化を見ることが出来る。
【実施例2】
【0028】
図3及び
図4で表したこの実施例の往復運動発生具5は、振動筒53の針通し孔55の前側に設けたドーナツ形状の紫外線ライト67から紫外線をファイル1の針部11の前方すなわち歯に向けて照射すると言うものである。この歯科用のファイル1には市販されている使い捨てものを使用可能としている。
【0029】
往復動発生具5はハンドル側筐体50とこの先端部に直角に設けられた振動側筐体51とから成り、振動側筐体51にはその振動筒装着口52から振動筒53が往復動可能に挿着されており、振動筒53の側壁部の周囲に350度の角度でピン穴54が設けられており、このピン穴54に電動モータの回転軸3に偏心状態に設けられたピン30が掛合している。なお振動筒53の先端部には、ファイル1の針部11を通すための針通し孔55が開口されており、振動筒53の後端部はファイル装着口56となっており、ここにはファイル1の把持部10を押さえて止めるためのネジ蓋57が、着脱自在に取り付けられている。従ってファイル1の交換はこのネジ蓋57を着脱することによって行う。
【0030】
前記回転軸3は図示しないチェアーユニットが内蔵する電動モータにギヤードボックスを介して接続されたものであり、電動モータは歯科医師が足で操作するフットスイッチである所の電源スイッチ600によりON/OFFされる。電動モータの回転軸3が回転するとピン穴54に掛合するピン30が偏心回転を行うため、ピン穴54のある振動筒53に往復動を生ずることになる。
【0031】
この往復動発生具5の特徴は、ファイル1を振動筒53の先端部側からではなく後端部側から着脱し得るように構成されているため、ファイル1の装着がより使い勝手が良いものとなっている点にある。また回転軸3のピン30が振動筒53の側壁部のピン穴54に横方向から嵌め込まれているため、回転軸3の回転は振動筒53を前後方向に振動させるだけで、振動筒53をファイル1の針部11周りに強制的に回転させるようには作用しない点も特徴である。
【0032】
更に往復動発生具5では特徴的に、振動筒53の外周部に350度に亘ってピン30を挿入するためのピン穴54が刻設されている。この理由の一は、振動筒53を自由回動させるようにすると更に良いと言う知見を得たからである。この自由回動とは、駆動力によって強制的に回転・回動させることではなく、ただ固定しないようにしておいて、左右のどちら方向へも、外力に抗うことなく自由に動けることを言う。このように構成したことで市販の歯科用のファイル1を取り付けて使用する場合に、往復運動に対する抵抗があっても、あるいは針部11が根管に喰い込みそうになることがあったとしてもそれを避けることが出来て、針部11の捩じれや曲がりが起こりにくく円滑に往復運動を継続することが出来るようになったのである。また上記理由のその二は、仮に振動筒53の外周部にはピン穴54を360度の範囲で設けた場合に、振動筒53にファイル1を後側から挿着してファイル装着口56にネジ蓋57を捻じ込もうとすると、振動筒53は振動側筐体51に対して360度を超えて自由に回動してしまうために、ネジ蓋57を締めることが難しいのである。ところがピン穴54が350度の範囲で設けられている場合ではそのようなことが起こらない。
【0033】
なお針部11の表面全体にカーボンナノ皮膜のコーティングを施したものを使用することで、針部41の抜けがさらに向上する効果が見られるようになる。あるいは針部11の表面全体に高温の焼き付けによりブラックダイヤモンドコーティングを施したものを使用するようにしても良い。このようなことは実施例1でも同様である。
【0034】
次に、ハンドル側筐体50の内部の下側には配線65を通すためのパイプ64が通されている。配線65の一端部は図示しないチェアーユニット内の後述する制御装置6の電源スイッチ601に接続されており、他端部はパイプ64の端部から取り出されて後述する紫外線ライト67のLED66に接続されている。電源スイッチ601そのものは図示しない歯科医師が足で操作するフットスイッチである。
【0035】
上記紫外線ライト67は、針通し孔55がある振動筒53の前側に取り付けられているものであり、ドーナツ形状を呈して中心の針通し孔68にファイル1の針部11が通るように構成されている。また紫外線ライト67は円筒形状を呈して歯に向く側が透明な照射面69となっており、この内部の4回対称の位置に4個のLED66が配設されている。従ってファイル1の針部11の先端部方向に周囲の4方向から紫外線が照射されることになり、針部11の陰が生じにくいと言う利点がある。
【0036】
図4は制御装置6を模式図で表したものである。制御装置6は電源部61やモータ62や発光部63の制御部60から構成されてチェアーユニットに内蔵されているが、モータ62のON/OFFを行う電源スイッチ600及びLED66のON/OFFを行う電源スイッチ601はフットスイッチとして設定されている。上記発光部63には配線65を介してLED66が接続されており、発光部63はLED66のパルス発光を制御する。
【0037】
歯科医師が電源スイッチ601のフットスイッチを踏むと、発光部63がLED66を発光させる。この紫外線を歯に照射すると、閉塞根管がより良く見えるようになる。また照射面69(照射口である)からの紫外線の歯への当て方を変えることで、閉塞根管での反射の変化を見ることが出来る。
【実施例3】
【0038】
図5はこの実施例の電源スイッチ7を模式的に表したものである。この電源スイッチ7を用いる図示しない往復運動発生具はその殆どの構成を上述の実施例2の往復運動発生具5に倣うものであるが、電源スイッチ7がフットスイッチとしての電源スイッチ601ではなく、往復運動発生具5の握りに設けられて指で操作するためのタッチパッドとしてのスイッチである点に特徴を有する。このため電源スイッチ7を制御するための図示しない特別な発光部を備えている。
【0039】
スイッチ7は、中心部の円形のタッチパネル78と、その周囲に回転対称に設けられた4個のタッチパネル70,72,74,76とから成る。また各々タッチパネル70には配線71が、タッチパネル72には配線73が、タッチパネル74には配線75が、及びタッチパネル76には配線77が接続されている。タッチパネル78にも同様に配線79が接続されている。なお各々の配線71,73,75,77,79には模式的にスイッチの記号を描き込んだ。
【0040】
上記特別な発光部とは、指がタッチパネル70,72,74,76,78のどれに触れているかを感知して、指が触れているタッチパネルに相当するLED66をONにするものである。なお指が中心部の円形のタッチパネル78に触れている間は、発光部は4個のLED66をONにするように設計されている。このようなスイッチ7が往復運動発生具の握りに設けられているので、歯科医師は往復運動発生具を持ちながらスイッチ7を親指の腹で探るようにして、LED66を部分的にあるいは全面的に点灯させることが出来るようになり、照射面69の角度を変えずとも紫外線の歯への当て方を変えることが可能になるのである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明によれば、歯に特に紫外線を照射して閉塞根管を可視化することが出来るようになった。また照光角度を変え得るように構成することにより、閉塞根管での反射の変化を可視化することが出来るようになった。この発明の産業上の利用価値には極めて高いものがある。なお口腔内で紫外線を発光するので、患者の眼などに対する負担は殆どない。従ってこの発明の構成はデンタルミラーなどの器具にも十分適用し得る。
【符号の説明】
【0042】
1 :ファイル 10:把持部 11 :針部
2 :往復動発生具 20:ハンドル側筐体 21 :振動側筐体
22 :振動筒装着口 23:振動筒 24 :ピン穴
25 :針通し孔 26:ファイル装着口 27 :ガイドピン
28 :ガイド溝 29:ネジ蓋
3 :回転軸 30:ピン
4 :制御装置 40:制御部 41 :電源部
42 :モータ 43:発光部 44 :配線
45 :LED 46:光ファイバー 47 :照射口
48 :電源スイッチ 49:電源スイッチ
5 :往復動発生具 50:ハンドル側筐体 51 :振動側筐体
52 :振動筒装着口 53:振動筒 54 :ピン穴
55 :針通し孔 56:ファイル装着口 57 :ネジ蓋
6 :制御装置 60:制御部 61 :電源部
62 :モータ 63:発光部 64 :パイプ
65 :配線 66:LED 67 :紫外線ライト
68 :針通し孔 69:照射面 600:電源スイッチ
601:電源スイッチ
7 :電源スイッチ 70:タッチパネル 71 :配線
72 :タッチパネル 73:配線 74 :タッチパネル
75 :配線 76:タッチパネル 77 :配線
78 :タッチパネル 79:配線