(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】梱包用段ボールシートおよび梱包方法
(51)【国際特許分類】
B65D 81/05 20060101AFI20240607BHJP
B65D 5/50 20060101ALN20240607BHJP
【FI】
B65D81/05
B65D5/50 101Z
(21)【出願番号】P 2019170073
(22)【出願日】2019-09-19
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】500399862
【氏名又は名称】株式会社グリーンパッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤本 逸樹
(72)【発明者】
【氏名】結城 英一朗
(72)【発明者】
【氏名】西滝 祐光
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-201563(JP,A)
【文献】特開昭59-209568(JP,A)
【文献】実開昭50-138370(JP,U)
【文献】米国特許第05308677(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/05
B65D 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一枚の段ボールシートから形成され、ベース部、ベルト部、およびベルト調整部を備え、前記ベース部と前記ベルト部との間に、前記段ボールシートの厚さ方向において被梱包物を挟持可能な梱包用段ボールシートであって、
前記ベルト調整部は、前記ベース部に隣接して設けられ、
前記ベルト部は、前記ベルト調整部から、前記ベース部と同一方向に設けられ、
前記ベース部と前記ベルト調整部との境界に、折曲線が延在し、
前記ベース部と前記ベルト部との境界に、切込線が延在し、
前記切込線は、前記ベース部から前記折曲線を超えて延び、その少なくとも一端が前記ベルト調整部に存在し、
前記ベルト調整部を前記被梱包物から遠ざける方向に前記折曲線に沿って折り曲げることにより、前記ベース部と前記ベルト部との間で前記被梱包物を挟持する梱包用段ボールシート。
【請求項2】
前記ベルト調整部を少なくとも二つ備え、
二つの前記ベルト調整部は、前記ベース部から互いに異なる方向に設けられ、
前記ベルト部は、二つの前記ベルト調整部にわたって設けられている請求項1に記載の梱包用段ボールシート。
【請求項3】
前記ベルト部の長手方向の端部における前記ベルト部の短手方向の長さは、前記ベルト部の長手方向の中央部における前記ベルト部の短手方向の長さより大きい請求項1または2に記載の梱包用段ボールシート。
【請求項4】
前記ベース部に隣接して設けられた側方保護部をさらに備え、
前記ベース部と前記側方保護部との境界に、第二折曲線が延在する請求項1~3のいずれか一項に記載の梱包用段ボールシート。
【請求項5】
前記側方保護部は、
前記ベース部に対して、前記ベルト調整部とは異なる方向に設けられている請求項4に記載の梱包用段ボールシート。
【請求項6】
前記第二折曲線を横断し、前記ベース部と前記側方保護部とにわたって延在する第二切込線を少なくとも二つ有し、
前記側方保護部の、二つの前記第二切込線の間に位置する部分を、前記ベース部の側に向けて突出させることができるように構成されている請求項4または5に記載の梱包用段ボールシート。
【請求項7】
前記ベルト部は、前記ベルト部と前記ベルト調整部との境界側の端部に、前記ベルト部の長手方向に沿って、前記ベルト部の長手方向の長さより短い長さにわたって延在するベルト部切込線を少なくとも二つ有し、
前記ベルト調整部は、前記ベルト部と前記ベルト調整部との境界の近傍であって、前記ベルト部の長手方向の延長線上の位置に、前記ベルト部の長手方向の延長線と交わる方向に延在するベルト調整部切込線を有し、
二つの前記ベルト部切込線の間に位置する部分を、前記ベース部から離間する方向に突出させて、前記ベルト調整部切込線に挿入できるように構成されている請求項1~6のいずれか一項に記載の梱包用段ボールシート。
【請求項8】
一枚の段ボールシートから形成され、ベース部、ベルト部、およびベルト調整部を備え、
前記ベルト調整部は、前記ベース部に隣接して設けられ、
前記ベルト部は、前記ベルト調整部から、前記ベース部と同一方向に設けられ、
前記ベース部と前記ベルト調整部との境界に、折曲線が延在し、
前記ベース部と前記ベルト部との境界に、切込線が延在し、
前記切込線は、前記ベース部から前記折曲線を超えて延び、その少なくとも一端が前記ベルト調整部に存在する梱包用段ボールシートを用いた梱包方法であって、
前記ベース部と前記ベルト部との間に、前記梱包用段ボールシートの厚さ方向において被梱包物を挟持させる工程と、
前記ベルト調整部を、前記被梱包物から遠ざける方向に前記折曲線に沿って折り返す工程と、を含む梱包方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、梱包用段ボールシート、および、これを用いた梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
物品を梱包箱に梱包するにあたり、当該物品が輸送中に破損することを防ぐ必要がある。かかる目的において、物品を梱包用段ボールシートにより梱包した上で、梱包箱に梱包する方法が汎用される。そのような梱包用段ボールシートには、被梱包物が梱包箱の内部で移動することを防止すること、および、梱包箱の外部から加わる衝撃が被梱包物に加わることを防ぐこと、の二つの機能が求められる。
【0003】
たとえば特開2014-76847号公報(特許文献1)には、段ボールシートを折り曲げて形成される緩衝支持部材が開示されている。この緩衝支持部材では、段ボールシートに設けた貫通穴に貼着した樹脂フイルムにより、物品を支持する。この構造によって、物品の表面と段ボールシートとの直接の接触が防止され、搬送中に衝撃等が加わった場合であっても、物品に傷が生じにくい。
【0004】
また、特開2019-131192号公報(特許文献2)には、段ボールシートを折り曲げて形成する緩衝材が開示されている。この緩衝材によれば、一枚の段ボールシートから緩衝材を構成できるため、梱包の作業性が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-76847号公報
【文献】特開2019-131192号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の緩衝支持部材は、一枚の段ボールシートから形成される緩衝支持部材によっては物品の片側端部のみしか支持できないため、物品を安定に支持するためには少なくとも二枚の段ボールシートを用いる必要があった。また、特許文献2の緩衝材は、一枚の段ボールシートから緩衝材を構成できるものの、梱包対象の物品の外形形状に対応した切込線および折曲線をあらかじめ設けるため、物品の種類の数だけ異なる種類の段ボールシートを用意する必要があった。
【0007】
そこで、一枚の段ボールシートから形成され、複数の物品の梱包に使用できる梱包用段ボールシートの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一枚の段ボールシートから形成され、ベース部、ベルト部、およびベルト調整部を備え、前記ベース部と前記ベルト部との間に、前記段ボールシートの厚さ方向において被梱包物を挟持可能な梱包用段ボールシートであって、前記ベルト調整部は、前記ベース部に隣接して設けられ、前記ベルト部は、前記ベルト調整部から、前記ベース部と同一方向に設けられ、前記ベース部と前記ベルト調整部との境界に、折曲線が延在し、前記ベース部と前記ベルト部との境界に、切込線が延在し、前記切込線は、前記ベース部から前記折曲線を超えて延び、その少なくとも一端が前記ベルト調整部に存在し、前記ベルト調整部を前記被梱包物から遠ざける方向に前記折曲線に沿って折り曲げることにより、前記ベース部と前記ベルト部との間で前記被梱包物を挟持することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る梱包方法は、一枚の段ボールシートから形成され、ベース部、ベルト部、およびベルト調整部を備え、前記ベルト調整部は、前記ベース部に隣接して設けられ、前記ベルト部は、前記ベルト調整部から、前記ベース部と同一方向に設けられ、前記ベース部と前記ベルト調整部との境界に、折曲線が延在し、前記ベース部と前記ベルト部との境界に、切込線が延在し、前記切込線は、前記ベース部から前記折曲線を超えて延び、その少なくとも一端が前記ベルト調整部に存在する梱包用段ボールシートを用いた梱包方法であって、前記ベース部と前記ベルト部との間に、前記梱包用段ボールシートの厚さ方向において被梱包物を挟持させる工程と、前記ベルト調整部を、前記被梱包物から遠ざける方向に前記折曲線に沿って折り返す工程と、を含むことを特徴とする。
【0010】
これらの構成によれば、複数の物品の梱包に使用できる梱包用段ボールシートを、一枚の段ボールシートから形成できる。すなわち、ベルト部が被梱包物に当接する態様をベルト調整部により調節できるため、被梱包物の大きさによらず被梱包物を適切に挟持できる。
【0011】
以下、本発明の好適な態様について説明する。ただし、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定されるわけではない。
【0012】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一態様として、前記ベルト調整部を少なくとも二つ備え、二つの前記ベルト調整部は、前記ベース部から互いに異なる方向に設けられ、前記ベルト部は、二つの前記ベルト調整部にわたって設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、ベルト部が被梱包物に当接する態様をベルト部の両側から調節できるため、ベルト部が被梱包物に当接する態様をより適切に調節しやすい。
【0014】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一態様として、前記ベルト部の長手方向の端部における前記ベルト部の短手方向の長さは、前記ベルト部の長手方向の中央部における前記ベルト部の短手方向の長さより大きいことが好ましい。
【0015】
この構成によれば、被梱包物の側面に当接するベルト部の面積が大きくなるので、被梱包物の側面を良好に保護しうる。
【0016】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一態様として、前記ベース部に隣接して設けられた側方保護部をさらに備え、前記ベース部と前記側方保護部との境界に、第二折曲線が延在することが好ましい。
【0017】
この構成によれば、被梱包物の側面を良好に保護しうる。
【0018】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一態様として、前記側方保護部は、前記ベース部に対して、前記ベルト調整部とは異なる方向に設けられていることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、ベルト調整部と側方保護部とが干渉しにくく、したがって被梱包物の側面を十分に保護できる大きさの側方保護部を設けうる。
【0020】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一態様として、前記第二折曲線を横断し、前記ベース部と前記側方保護部とにわたって延在する第二切込線を少なくとも二つ有し、前記側方保護部の、二つの前記第二切込線の間に位置する部分を、前記ベース部の側に向けて突出させることができるように構成されていることが好ましい。
【0021】
この構成によれば、被梱包物が小さい場合であっても、側方保護部を被梱包物に当接させられる。これによって、被梱包物が小さい場合であっても、被梱包物の側面を良好に保護しうる。
【0022】
本発明に係る梱包用段ボールシートは、一態様として、前記ベルト部は、前記ベルト部と前記ベルト調整部との境界側の端部に、前記ベルト部の長手方向に沿って、前記ベルト部の長手方向の長さより短い長さにわたって延在するベルト部切込線を少なくとも二つ有し、前記ベルト調整部は、前記ベルト部と前記ベルト調整部との境界の近傍であって、前記ベルト部の長手方向の延長線上の位置に、前記ベルト部の長手方向の延長線と交わる方向に延在するベルト調整部切込線を有し、二つの前記ベルト部切込線の間に位置する部分を、前記ベース部から離間する方向に突出させて、前記ベルト調整部切込線に挿入できるように構成されていることが好ましい。
【0023】
この構成によれば、被梱包物が小さい場合であっても、ベルト部と被梱包物との隙間を縮小できるため、被梱包物が輸送中に移動することを防ぎうる。
【0024】
本発明のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施形態に係る梱包用段ボールシートの平面図
【
図2】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す斜視図
【
図3】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す斜視図
【
図4】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す斜視図
【
図5】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す斜視図
【
図6】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す斜視図
【
図7】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す側面図
【
図8】本発明の実施形態に係る梱包方法の手順を示す側面図
【
図9】本発明の実施形態の変形例に係る梱包用段ボールシートの平面図
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明に係る梱包用段ボールシートおよび梱包方法の実施形態について、図面を参照して説明する。以下では、本発明に係る梱包用段ボールシートを、様々な大きさの皿P1~P3(被梱包物の例)を梱包できる梱包用段ボールシート1に適用した例について説明する。
【0027】
〔梱包用段ボールシートの構造〕
まず、本実施形態に係る梱包用段ボールシート1の構造について説明する。梱包用段ボールシート1は、略正方形状の一枚の平板状段ボールシートから形成され、ベース部2、ベルト調整部3、ベルト部4、および側方保護部5を備える(
図1)。
【0028】
ベース部2は、梱包用段ボールシート1の中央部に配置された略正方形状の部分であって、梱包用段ボールシート1を用いて皿を梱包する際に皿の下部を支持する部分である(
図1~4)。ベルト調整部3および側方保護部5は、梱包用段ボールシート1の周縁部にベース部2を包囲するように配置されている。
図1において、上下に対向する二辺側にベルト調整部3が、左右に対向する二辺側に側方保護部5が、それぞれ配置されている。ベルト部4は、二つのベルト調整部3にわたって設けられており、
図1における上下方向にベース部2を横断している。すなわち、ベース部2およびベルト部4は、ベルト調整部3を基準とすると、同一方向に設けられている。
【0029】
ベース部2とベルト調整部3との境界には第一折曲線11(折曲線の例)が延在し、ベルト調整部3を第一折曲線11に沿って折り曲げることができる。同様に、ベース部2と側方保護部5との境界には第二折曲線13が延在し、側方保護部5を第二折曲線13に沿って折り曲げることができる。すなわち、ベース部2は、二つの第一折曲線11と二つの第二折曲線13とにより画定される略正方形状の部分であり、ここで第一折曲線11の組および第二折曲線13の組は、それぞれ対向する一組の辺部にあたる。なお、第一折曲線11と第二折曲線13との各交点、すなわちベース部2の四隅には、円形の肉抜部21が設けられている。肉抜部21が設けられていることによって、ベルト調整部3および側方保護部5を折り曲げやすい。
【0030】
ベース部2とベルト部4との境界には第一切込線14(切込線の例)が延在する。
図1に示すように、ベルト部4の短手方向の長さ(以下、「幅」という。)は、二つ第一切込線14の離間距離として画定される。このように二つの第一切込線14が設けられていることによって、ベース部2とベルト部4との相対位置を、梱包用段ボールシート1の面に交わる方向に関して変更できる。すなわち、ベルト部4を、ベース部2から離間する方向に動かすことができる。これによって、ベース部2とベルト部4との間に、梱包用段ボールシート1の厚さ方向において皿を挟持できる(
図2~4)。なお、ベルト部4と隣接するベース部2の一部を切除した肉抜部22が設けられている。これによって、ベース部2とベルト部4との間に皿を挟持する操作を行う際に、ベルト部4を指先で持ちやすい。
【0031】
ベルト部4とベルト調整部3との境界のうち、ベルト部4の長手方向の端部に位置する境界12では、ベルト部4とベルト調整部3とが直接に連設されている。
【0032】
ベルト部4とベルト調整部3との境界のうち、ベルト部の長手方向に沿う境界は二つの第一切込線14により画定されている(
図1)。第一切込線14は、ベース部2から第一折曲線11を超えて延びており、その両端はベルト調整部3に存在する。ここで、ベルト部4の長手方向の端部におけるベルト部4の幅W1(すなわち、二つの第一切込線14の離間距離)は、ベルト部4の長手方向の中央部における幅W2より大きい。たとえば、本実施形態では、W1は76mmであり、W2は40mmである。
【0033】
ベルト部4の長手方向の各端部には、それぞれ、二つのベルト部切込線16が設けられている(
図1)。ベルト部切込線16は、ベルト部4の長手方向に沿って設けられており、その長さL1はベルト部4の長手方向の長さLより短い。たとえば、本実施形態では、Lは287mmであり、L1は27mmである。二つのベルト部切込線16の間に位置する部分は、タブ部41として、ベース部2から離間する方向にベルト部4から突出させることができる。
【0034】
各ベルト調整部3の、ベルト部4の長手方向外側に位置する部分(すなわち、各境界12の近傍であって、ベルト部4の長手方向の延長線上に位置する部分)には、それぞれ、ベルト調整部切込線17が設けられている(
図1)。ベルト調整部切込線17は、境界12と平行な方向、すなわち、ベルト部4の長手方向の延長線と交わる方向に沿って設けられている。タブ部41とベルト調整部切込線17との寸法および位置関係は、ベルト部4から突出させたタブ部41をベルト調整部切込線17に挿入できるように構成されている(
図8)。たとえば、境界12に関して略対称な位置に、タブ部41とベルト調整部切込線17とを配置する。
【0035】
第二折曲線13を横断し、ベース部2と側方保護部5とにわたって延在する態様で、第二切込線15が設けられている(
図1)。第二切込線15は、片方の側方保護部5につき二つずつ設けられており、二つの第二切込線15の間に位置する部分にサイド立上部51を画定する。なおサイド立上部51は、第二切込線15に沿う方向の両端部において、それぞれベース部2および側方保護部5と連設されている。以上の構造によって、サイド立上部51を、側方保護部5からベース部2の側に突出させることができる(
図6)。
【0036】
〔梱包方法〕
次に、本実施形態に係る梱包用段ボールシート1を用いて皿を梱包する梱包方法について説明する。
【0037】
梱包用段ボールシート1を用いて皿P1を梱包するときは、まず、ベルト部4をベース部2から離間する方向に持ち上げてベース部2とベルト部4との間に空間を設け、当該空間に皿P1を挿入する(
図2)。このとき、ベース部2を湾曲させてベース部2とベルト部4との間の空間を一時的に大きくすると、皿P1を挿入しやすい。
【0038】
次に、ベース部2の皿P1を載置した面とは反対側に向けて、両側のベルト調整部3を折り返す(
図3)。皿P1を挿入するときにベース部2を湾曲させていた場合は、かかる湾曲を戻す。このとき、ベルト部4がベルト調整部3と連設されているため、ベルト部4の両端部が皿P1の外側方向に引っ張られる。これによって、ベース部2とベルト部4とが皿P1を挟持する力が強くなり、皿P1の脱落を防止しやすい。また、ベルト部4の長手方向端部における幅W1が比較的大きいため、皿P1の縁部に対するベルト部4の当接を確実にし、皿P1の脱落を一層防止しやすくなるとともに、皿P1の側面に対する緩衝材として機能する。さらに、ベルト部4の長手方向中央部における幅W2が比較的小さいため、ベース部2の面積が過剰に小さくなることがなく、皿P1の底面を支持しやすい。
【0039】
最後に、ベース部2の皿P1を載置した面の側に向けて、側方保護部5を折り返す(
図4)。このとき、側方保護部5が皿P1の側方から当接する。これによって、側方保護部5が皿P1の側面に対する緩衝材として機能する。また、側方保護部5が皿P1の側面に当接することで皿P1の移動を妨げるので、皿P1の脱落を防止しやすい。
【0040】
また、皿P1より小さい皿P2を使用したときに、単に側方保護部5を折り返しただけでは、側方保護部5が皿P2に当接しない場合がある(
図5)。この場合は、サイド立上部51をベース部2の側に突出させて、サイド立上部51を皿P2に当接させる(
図6)。これによって、単に側方保護部5を折り返しただけでは側方保護部5が当接しないような大きさの皿P2であっても、側方保護部5を緩衝材として機能させることができる。
【0041】
加えて、皿P2よりさらに小さい皿P3を使用したときに、ベルト部4と皿P3との隙間Sが大きくなる場合がある(
図7)。この場合、皿P3が移動する余地あり、皿P3が脱落するおそれがある。この場合は、ベース部2の皿P1を載置した面とは反対側に向けて、ベルト部4のタブ部41の近傍を折り返し、タブ部41をベルト調整部切込線17に挿入する(
図8)。これによって、ベルト部4と皿P3との隙間Sが縮小され、皿P3の脱落を防止しやすい。
【0042】
〔変形例〕
本発明に係る梱包用段ボールシートの異なる実施形態として、
図9に示した梱包用段ボールシート1´が例示される。梱包用段ボールシート1´は、上記の実施形態に係る梱包用段ボールシート1と同様に、ベース部2、ベルト調整部3、およびベルト部4を備える。しかし、梱包用段ボールシート1´は、側方保護部を備えない点、ベルト調整部3を一つのみ備える点、および、ベルト部4の片方の端部がベルト調整部3ではなくベース部2に連設されている点において、梱包用段ボールシート1と異なる。梱包用段ボールシート1´によっても、上記の実施形態に係る梱包用段ボールシート1と同様に、ベース部2とベルト部4の間に皿などの被梱包物を挟持し、ベルト調整部3を折り返すことで、被梱包物の脱落を防止しうる。
【0043】
〔その他の実施形態〕
最後に、本発明に係る梱包用段ボールシートおよび梱包方法のその他の実施形態について説明する。なお、以下のそれぞれの実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0044】
上記の実施形態では、ベース部2が略正方形状である構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートにおいて、ベース部の形状は任意に選択されうる。ただし、ベース部とベルト調整部との境界が直線状に構成されているとベルト調整部を折り返しやすいので、ベース部の少なくとも一部の周縁部は直線状に構成され、当該直線状の周縁部にベース部とベルト調整部との境界(すなわち折曲線)が存することが好ましい。
【0045】
上記の実施形態では、梱包用段ボールシート1が一つのベルト部4を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートは、ベルト部を複数備えてもよい。
【0046】
上記の実施形態では、ベルト部4の幅方向の縁部の両側が第一切込線14により画定される構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートにおいて、ベルト部の幅方向の縁部の片側は、段ボールシートの外縁部であってもよい。
【0047】
上記の実施形態では、ベルト部4の長手方向の端部におけるベルト部4の幅W1が、ベルト部4の長手方向の中央部における幅W2より大きい構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートにおいて、ベルト部の各部の幅は任意に選択されうる。たとえば、ベルト部の全長にわたって幅が一定であってもよい。
【0048】
上記の実施形態では、梱包用段ボールシート1が二つのベルト調整部3を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートは、一つ以上の任意の数のベルト調整部を備えうる。
【0049】
上記の実施形態では、二つのベルト調整部3が、ベース部2の対向する二辺側に設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、上記の実施形態のようにベース部が略四角形状に構成されている場合において、隣接する二辺側に二つのベルト調整部が設けられていてもよい。また、ベース部が多角形状に構成されている場合、任意に選択される一つ以上の辺の側にベルト調整部が設けられてよい。
【0050】
上記の実施形態では、梱包用段ボールシート1が二つの側方保護部5を備える構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートにおいて、側方保護部が設けられなくてもよいし、一つまたは三つ以上の側方保護部が設けられてもよい。なお、上記の実施形態では側方保護部5に第二切込線15が設けられた構成を例として説明したが、本発明に係る側方保護部は第二切込線を備えなくてもよい。
【0051】
上記の実施形態では、二つの側方保護部5が、ベース部2の対向する二辺側に設けられている構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、上記の実施形態のようにベース部が略四角形状に構成されている場合において、隣接する二辺側に二つの側方保護部5が設けられていてもよい。また、ベース部が多角形状に構成されている場合、任意に選択される一つ以上の辺の側に側方保護部が設けられてよい。
【0052】
上記の実施形態では、ベルト部切込線16(タブ部41)およびベルト調整部切込線17を設け、ベース部2とベルト部4との間に皿Pを挟持したときに生じる隙間Sの大きさを調整可能に構成した例について説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートにおいて、ベルト部およびベルト調整部に切込線が設けられていなくてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、皿P1、皿P2、または皿P3のみをベース部2とベルト部4との間に挟持する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、本発明に係る梱包用段ボールシートと被梱包物との間に、公知の緩衝材、滑り止め材などを介在させてもよい。また、複数の被梱包物を同時に梱包してもよい。
【0054】
その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明は、たとえば種々の大きさの皿を梱包可能な梱包用段ボールシートに利用することができる。
【符号の説明】
【0056】
1 :梱包用段ボールシート
2 :ベース部
21 :肉抜部
22 :肉抜部
3 :ベルト調整部
4 :ベルト部
41 :タブ部
5 :側方保護部
51 :サイド立上部
11 :第一折曲線
12 :ベルト部とベルト調整部との境界
13 :第二折曲線
14 :第一切込線
15 :第二切込線
16 :ベルト部切込線
17 :ベルト調整部切込線
W1 :ベルト部4の幅(長手方向端部)
W2 :ベルト部4の幅(長手方向中央部)
L :ベルト部4の長手方向の長さ
L1 :ベルト部切込線16の長さ
P1~P3 :皿
S :隙間