(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20240607BHJP
G01C 21/26 20060101ALI20240607BHJP
G08G 1/005 20060101ALI20240607BHJP
G06Q 50/40 20240101ALI20240607BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/26 P
G08G1/005
G06Q50/40
(21)【出願番号】P 2020030035
(22)【出願日】2020-02-26
【審査請求日】2023-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】甲斐沼 大輔
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-089153(JP,A)
【文献】特開2013-030194(JP,A)
【文献】特開2015-094704(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
G08G 1/00-99/00
G06Q 50/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経路探索条件を取得する探索条件取得手段と、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段と、
シェアリングモビリティの利用形態が「従量」であるか「定額」であるかを示す情報、又は定額で利用できる残り時間を示す情報を含む、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報を取得する利用状態取得手段と、
前記ユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する出力制御手段と、
を備える、情報処理システム。
【請求項2】
前記出力制御手段は、前記ユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを借りるためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する、請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記出力制御手段は、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路のうち、前記ユーザの利用状態に応じていずれか最適な経路を出力する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記出力制御手段は、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の両方を出力しつつ、前記ユーザの利用状態に応じて最適な経路を識別可能に出力する、請求項1または2に記載の情報処理システム。
【請求項5】
経路探索条件を取得する探索条件取得手段と、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段と、
目的地までの移動距離または移動時間、もしくは目的地の属性を示す目的地情報を取得する目的地情報取得手段と、
前記目的地情報に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する出力制御手段と、
を備える、情報処理システム。
【請求項6】
シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報を取得する利用状態取得手段をさらに備え、
前記出力制御手段は、前記ユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを借りるためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する、請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記出力制御手段は、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路のうち、前記目的地情報に応じていずれか最適な経路を出力する、請求項5または6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記出力制御手段は、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の両方を出力しつつ、前記目的地情報に応じて最適な経路を識別可能に表示する、請求項5または6に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記出力制御手段は、前記経路の情報を地図上に出力する、請求項1~8のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記出力制御手段は、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由しない経路として、目的地に設置されている駐輪場または駐車場までの経路を出力する、請求項1~9のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記出力制御手段は、シェアリングモビリティを借りるためにポートを経由する経路を出力する場合、シェアリングモビリティを予約することを提案する提案情報を当該経路の情報とともに出力する、請求項1~10のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータを、
経路探索条件を取得する探索条件取得手段、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段、
シェアリングモビリティの利用形態が「従量」であるか「定額」であるかを示す情報、又は定額で利用できる残り時間を示す情報を含む、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報を取得する利用状態取得手段、および、
前記ユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する出力制御手段、
として機能させる、情報処理プログラム。
【請求項13】
コンピュータを、
経路探索条件を取得する探索条件取得手段、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段、
目的地までの移動距離または移動時間、もしくは目的地の属性を示す目的地情報を取得する目的地情報取得手段、および、
前記目的地情報に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する出力制御手段、
として機能させる、情報処理プログラム。
【請求項14】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
経路探索条件を取得するステップと、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索するステップと、
シェアリングモビリティの利用形態が「従量」であるか「定額」であるかを示す情報、又は定額で利用できる残り時間を示す情報を含む、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報を取得するステップと、
前記ユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御するステップと、を含む、情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータが実行する情報処理方法であって、
経路探索条件を取得するステップと、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索するステップと、
目的地までの移動距離または移動時間、もしくは目的地の属性を示す目的地情報を取得するステップと、
前記目的地情報に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御するステップと、を含む、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、MaaS(Mobility as a Service)の文脈において、シェアリングモビリティに対する期待値が高い。シェアサイクル、カーシェア、電動キックボードなどを用いたシェアリングサービスの実証実験が各地で行われている。
【0003】
今後シェアサイクル、カーシェアなどのシェアリングサービスの普及に伴い、利用スタイルに応じた経路探索の需要が高くなることが予想される。
【0004】
特許文献1では、車両の貸出・返却を行う車両基地の位置情報と目的地の位置情報から目的地近傍の車両基地を検索する装置が開示されている。特許文献1の装置では、目的地での予想滞在時間が所定時間以上である場合に、目的地近傍の車両基地に目的地を変更して経路を探索する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シェアリングサービスの料金体系として、従量(ワンウェイ)と定額(1日パスなどのフリーパス)の2パターンが用意されており、従量と定額とでユーザの利用目的が異なる。具体的には、ワンウェイでは普段使い(通勤・通学など)を利用目的としているのに対して、1日パスなどのフリーパスでは観光時の周遊などを利用目的としていることが多い。
【0007】
しかしながら、従来の経路探索サービスでは、シェアサイクルを利用する経路を出力する場合、必ずシェアサイクルを返すためのポートを経由する経路となり、必ずしもユーザの利用目的に即した経路案内となっていない。
【0008】
本発明は、以上のような点を考慮してなされたものである。本発明の目的は、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に即した経路案内を実現できる情報処理システム、情報処理プログラムおよび情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る情報処理システムは、
経路探索条件を取得する探索条件取得手段と、
前記経路探索条件に基づいて経路を探索する経路探索手段と、
シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報を取得する利用状態取得手段と、
前記ユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する出力制御手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に即した経路案内を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施の形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【
図2】
図2は、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態を記憶する利用状態情報データベースの一例を示すテーブルである。
【
図3】
図3は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の第1の態様を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の第2の態様を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の第3の態様を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、一実施の形態に係る情報処理システムの動作の第4の態様を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図12】
図12は、一実施の形態に係る情報処理システムにより表示される画面の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、ユーザの利用状態の情報に応じて出力される観光エリアでの周遊ルートについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、添付の図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付し、同一符号の構成要素の詳しい説明は繰り返さない。
【0013】
以下に説明する実施の形態において、「シェアリングモビリティ」とは、複数のユーザで共有して(シェアして)利用する移動手段(モビリティ)を言う。以下では、「シェアリングモビリティ」として、自転車(シェアサイクル)を代表して説明することがあるが、これに限定されるものではなく、自動車(カーシェア)であってもよいし、電動キックボードなどのマイクロモビリティであってもよい。
【0014】
また、以下に説明する実施の形態において、「フリーパス」とは、所定の有効期間内において、所定の事業者により運営・管理される所定の移動手段(たとえばシェアサイクルなどのシェアリングモビリティ)を、利用距離、利用時間/利用時間帯、利用回数および利用料金のいずれも制限なく無料で利用できるパス(利用許可証)のことを言う。有効期間、事業者、移動手段のうちの少なくとも1つが異なるフリーパスであれば、ユーザは複数のフリーパスを同時に保有してもよい。ユーザが保有するフリーパスは、当該ユーザが購入したものであってもよいし、他のユーザが購入したのち当該ユーザに名義変更されたものであってもよい。ユーザが移動手段の利用時にフリーパスを保有していることを事業者に対して証明するために、当該フリーパスの情報は、たとえば2次元コードなどに変換されて紙媒体に印刷されたり磁気で記録されたりしてもよいし、ICカードやスマートフォン、ウェアラブル端末などの端末装置2内のメモリに電子的に記録されてもよい。また、フリーパスは、有効期間が数時間~数日の主に観光で利用されるフリーパスであってもよいし、有効期間が1か月~数か月の主に通勤・通学で利用されるフリーパスであってもよい。フリーパスは、有効期間の終了時に次の有効期間分の料金を支払うことで継続(更新)可能なサブスクリプション方式のフリーパスであってもよい。
【0015】
また、「フリーパス」は、
図2において利用形態として「定額+従量」と表示された行を参照し、所定の有効期間内において、所定の移動手段(たとえばシェアサイクルなどのシェアリングモビリティ)を、予め定められた利用距離、利用時間/利用時間帯、利用回数または利用料金までは無料で利用できる利用制限付きフリーパスであってもよい。
図2に示す例では、所定の有効期間(たとえば1日、1週間、1か月など)内において、シェアサイクルを1回15分まで無料で利用できるが15分を超過した場合は有料(15分ごとに100円)での利用となる利用制限つきフリーパスとなっている。
【0016】
また、「フリーパス」は、ユーザが移動手段を利用する前に予め購入して保有しているもの(前払い方式のフリーパス)に限定されず、移動手段を「従量」(ワンウェイ)で利用していた場合であって、現時点から過去に遡ってフリーパスの有効期間と同じ時間内での利用料金の累計がフリーパスの購入代金を超過した場合に、当該時間内において最初に利用料金を決済したときに当該フリーパスを購入したのと同じ状態にされるもの(後払い(ポストペイ)方式のフリーパス)であってもよい。
【0017】
(第1の実施形態)
図1を参照し、一実施の形態に係る情報処理システムについて説明する。
図1は、一実施の形態に係る情報処理システム1の概略的な構成を示す図である。なお、同図において、各機能を行う機能部は、それぞれ各機能を行う手段ということができる。
【0018】
図1に示すように、情報処理システム1は、端末装置2と、サーバ3とを備えている。端末装置2とサーバ3とは、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。ネットワーク4は、有線回線と無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。なお、端末装置2とサーバ3の少なくとも一部は、コンピュータにより実現される。
【0019】
端末装置2は、ユーザが使用するものであり、たとえば、スマートフォンやタブレット端末、ウェアラブル端末などのモバイル端末、ノートブックコンピュータ、またはデスクトップコンピュータなどの電子機器である。
【0020】
図1に示すように、端末装置2は、端末通信部21と、端末制御部22と、端末記憶部23と、端末入力部24と、端末出力部25とを有している。各部は、バスを介して互いに通信可能に接続されている。
【0021】
端末通信部21は、端末装置2とネットワーク4との間の通信インターフェースである。端末通信部21は、ネットワーク4を介して端末装置2とサーバ3との間で情報を送受信する。
【0022】
端末制御部22は、端末装置2の各種処理を行う制御手段である。端末制御部22は、端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0023】
端末記憶部23は、たとえば内蔵メモリや外部メモリ(SDメモリカード等)などのデータストレージである。端末記憶部23には、端末制御部22が取り扱う各種データが記憶される。端末記憶部23は、必ずしも端末装置2内に設けられていなくてもよく、端末記憶部23の一部または全部は、ネットワーク4を介して端末装置2と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0024】
端末入力部24は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、たとえばモバイル端末におけるタッチパネルやマイクロフォン、ノートブックコンピュータにおけるタッチパッド、キーボードまたはマウスなどである。
【0025】
端末出力部25は、端末装置2からユーザに対して各種情報を出力するインターフェースであり、たとえば液晶ディスプレイ等の映像表示手段やスピーカ等の音声出力手段である。具体的には、たとえば、端末出力部25は、映像表示手段であって、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)を表示してもよい。
【0026】
次に、サーバ3について説明する。
図1に示すように、サーバ3は、サーバ通信部31と、サーバ制御部32と、サーバ記憶部33とを有している。各部は、バスやネットワークを介して互いに通信可能に接続されている。
【0027】
このうちサーバ通信部31は、サーバ3とネットワーク4との間の通信インターフェースである。サーバ通信部31は、ネットワーク4を介してサーバ3と端末装置2との間で情報を送受信する。
【0028】
サーバ記憶部33は、たとえばハードディスク等の固定型データストレージである。サーバ記憶部33には、サーバ制御部32が取り扱う各種データが記憶される。たとえば、サーバ記憶部33は、交通ネットワーク情報を含む経路ネットワーク情報データベース33aと、地図情報を含む地図情報データベース33bと、利用状態情報データベース33cと、ポート情報データベース33dとを含んでいる。
【0029】
交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報である。交通網の情報としては、交通機関の路線情報、時刻表情報、料金情報等を含む。道路網の情報は、例えば交差点等の道路網表現上の結節点であるノードのデータと、ノード間の道路区間であるリンクのデータとの組み合わせによって表現される。
【0030】
地図情報は、全国および各地方の道路地図などの地図データと、地図データに対応付けられた地図オブジェクト情報を含む。地図オブジェクト情報とは、地図上に表示される施設の形状についての形状情報、地図上に表示される注記についての注記情報、地図上に表示される記号についての記号情報などである。また、地図情報は公共交通機関の路線図に関する路線図情報を含んでいてもよい。
【0031】
上記の交通ネットワーク情報および地図情報は、所定のタイミングでアップデートされてもよい。交通ネットワーク情報および地図情報は、経路探索に用いられる。
【0032】
利用状態情報データベース33cには、ユーザごとに、シェアリングモビリティに関する当該ユーザの利用状態の情報が、たとえば当該シェアリングモビリティを運営・管理している事業者のサーバやユーザの端末装置2などから取得されて記憶されている。ここで、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報は、当該シェアリングモビリティを現在利用中であるか否か(既に借りていて未だ返していない状態であるか否か)を示す情報を含んでいてもよいし、当該シェアリングモビリティの利用形態が「従量」(有効なフリーパスを保有しておらず、利用ごとに最初から有料)であるか、「定額」(有効なフリーパスを保有していて、利用制限なく無料)であるか、「定額+従量」(有効な利用制限付きフリーパスを保有していて、利用ごとに所定の利用時間までは無料、所定の利用時間を超過したら有料)であるか、を示す情報を含んでいてもよい。また、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報は、定額(たとえば無料)で利用できる残り時間を示す情報を含んでいてもよい。
【0033】
図2は、利用状態情報データベース33cの一例を示すテーブルである。
図2に示す例では、ID10001のユーザに対して、シェアリングモビリティの利用形態が「従量」である(すなわち有効なフリーパスを保有していない)ことと、当該シェアリングモビリティを現在利用中である(既に借りている)こととが、紐づけられて記憶されている。また、ID10002のユーザに対して、シェアリングモビリティの利用形態が「定額」である(すなわち有効なフリーパスを保有している)ことと、当該シェアリングモビリティを現在利用中ではない(まだ借りていない)こととが、紐づけられて記憶されている。また、ID10003のユーザに対して、シェアリングモビリティの利用形態が「定額+従量」である(すなわち有効な利用制限付きフリーパスを保有している)ことと、当該シェアリングモビリティを現在利用中ではない(まだ借りていない)こととが、紐づけられて記憶されている。
【0034】
図2に示す例において、シェアリングモビリティを「従量」で利用しているID10001のユーザについて、現時点から過去に遡ってフリーパスの有効期間(たとえば1か月)と同じ時間内での利用料金の累計がフリーパスの購入代金を超過した場合には、当該時間内において最初に利用料金を決済したときに当該フリーパスを購入したのと同じ状態となるように(すなわち後払い(ポストペイ)方式のフリーパス)、利用状態情報データベース33cに記憶された当該ユーザの利用状態(利用形態)の情報が自動的に変更(更新)されてもよい。
【0035】
図2に示す例において、シェアリングモビリティを「定額+従量」で利用しているID10003のユーザについて、たとえば当該シェアリングモビリティを最初の5分だけ利用してポートに一旦返却した場合に、残りの10分を繰り越して(無料で)利用できるのであれば、利用状態情報データベース33cに記憶された当該ユーザの利用状態(定額で利用できる残り時間)の情報がそのように自動的に変更(更新)されてもよい。
【0036】
ポート情報データベース33dには、シェアリングモビリティの貸出・返却を行うポートの位置情報および利用状況(貸出可能台数・返却可能台数)の情報が、たとえば当該シェアリングモビリティを運営・管理している事業者のサーバから定期的に取得されて記憶されている。
【0037】
なお、サーバ記憶部33は、必ずしもサーバ3内に設けられていなくてもよく、サーバ記憶部33の一部または全部は、ネットワーク4を介してサーバ3と通信可能に接続された別の装置内に設けられていてもよい。
【0038】
図1に示すように、サーバ制御部32は、探索条件取得部32aと、経路探索部32bと、利用状態取得部32cと、目的地情報取得部32dと、出力制御部32eとを有している。これらの各部は、サーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行することにより実現されてもよいし、ハードウェアで実装されてもよい。
【0039】
探索条件取得部32aは、ユーザが端末装置2の端末入力部24を介して入力する経路探索条件(たとえば出発地、目的地、出発日時または到着日時など)を、当該ユーザの識別情報(ユーザID)とともに当該端末装置2から取得する。なお、経路探索条件における出発地および出発日時は、ユーザが端末入力部24を介して積極的に入力したものに限定されるものではなく、たとえば、探索条件取得部32aは、ユーザの端末装置2の現在位置情報を経路探索条件の出発地、現在時刻を経路探索条件の出発時刻として取得してもよい。
【0040】
経路探索部32bは、探索条件取得部32aにより取得された経路探索条件に基づいて、当該経路探索条件を満たすような経路の情報を、経路ネットワーク情報データベース33aと地図情報データベース33bとポート情報データベース33dとを参照して探索する。
【0041】
利用状態取得部32cは、探索条件取得部32aにより取得されたユーザの識別情報に基づいて当該ユーザを特定し、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態を、たとえば利用状態情報データベース33cを参照して取得する。ユーザの端末装置2の端末記憶部23内にシェアリングモビリティに関する当該ユーザの利用状態の情報が記憶されている場合には、利用状態取得部32cは、シェアリングモビリティに関する当該ユーザの利用状態の情報を、当該ユーザの端末装置2から取得してもよい。利用状態取得部32cは、当該ユーザの利用形態(すなわち「従量」か、「定額」か、「定額+従量」か)の情報を、利用状態情報データベース33cを参照してその都度取得したり、ユーザの端末装置2からその都度取得したりする代わりに、当該ユーザが保有するフリーパスの有効期間中は、当該フリーパスが有効な状態である(すなわち「定額」または「定額+従量」の利用形態である)と自動的に判断して利用してもよい。
【0042】
目的地情報取得部32dは、探索条件取得部32aにより取得された経路探索条件に基づいて経路の目的地を特定し、当該目的地までの移動距離または移動時間、もしくは当該目的地の属性を示す目的地情報を、たとえば経路ネットワーク情報データベース33aまたは地図情報データベース33bを参照して取得する。ここで、目的地までの移動距離または移動時間は、シェアリングモビリティを利用して目的地まで移動するのに要する距離または時間のことであり、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である場合には、出発地(現在地)から目的地までの移動距離または移動時間であり、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中ではない場合には、シェアリングモビリティを借りるために経由するポート(貸出ポート)から目的地までの移動距離または移動時間である。目的地の属性とは、たとえば、目的地が駅やバス停などの移動手段の乗換(シェアリングモビリティの降車)が予想される施設か否かを示す情報であってもよいし、目的地が宿泊施設などの長時間の滞在が予想される施設か、それともコンビニエンスストアなどの短時間の滞在が予想される施設かを示す情報であってもよい。目的地情報は、シェアリングモビリティのポート情報を含んでいてもよい。目的地にシェアリングモビリティのポートが備えられている場合は、後述する出力制御部32eは、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態に応じて当該ポートを経由する経路を出力してもよい。ユーザが目的地に備えられているポートにシェアリングモビリティを停める場合は、当該シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態に応じて返却処理や継続処理が実行される(継続とは、他の利用者が借りられないようにすることである)。また、目的地情報は、ポート情報を含んでいない場合、シェアリングモビリティ等の移動体を停められるエリア情報を含んでいてもよい。さらに、目的地に備えられている駐輪場よりも目的地周辺のポートの方が目的地に近い場合には、出力制御部32eは、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態に応じてポートを経由する経路を出力してもよい。
【0043】
出力制御部32eは、経路探索部32bにより探索された経路の情報を出力するための出力制御信号を端末装置2へと送信して端末出力部25を介して出力を行う。
【0044】
一例として、出力制御部32eは、経路探索部32bにより探索された経路が少なくともシェアリングモビリティを利用する経路である場合には、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態の情報に応じて、当該シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御してもよい。
【0045】
具体的には、たとえば、出力制御部32eは、ユーザのシェアリングモビリティの利用形態が「従量」である場合、当該シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路を最適な経路であると判断して、端末出力部25を介して出力する(
図7、
図11参照)。これにより、ユーザは提案された経路に従って移動することで、シェアリングモビリティを返却した後で目的地に到着するようになり、目的地で過ごす間にシェアリングモビリティの利用料金が増えていくことを防止できる。また、例えば、最初の15分のうち、5分だけ利用してポートに返却した場合は、残りの10分を所定期間内(当日中など)において追加料金なしで利用することとしてもよい(
図2参照)。そして、合計で最初の15分を超過した場合は、以降100円/15分として利用料金が発生するようにしてもよい。
【0046】
他方、出力制御部32eは、ユーザのシェアリングモビリティの利用形態が「定額」である場合、当該シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)を経由しない経路(すなわち直接目的地に至る経路)を最適な経路であると判断して、端末出力部25を介して出力する(
図8、
図12参照)。これにより、ユーザは提案された経路に従って移動することで、シェアリングモビリティを利用したまま最短距離で目的地に到着するようになり、シェアリングモビリティを返却する手間と時間を省くことができる。また、ユーザはシェアリングモビリティを「定額」で利用しているため、目的地で過ごす間にシェアリングモビリティの利用料金が増えていくことはない。したがって、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に即した経路案内を実現できる。
【0047】
出力制御部32eは、ユーザのシェアリングモビリティの利用形態が「定額+従量」である場合には、定額で利用できる残り時間(たとえば初めて利用する場合は15分、最初の5分だけ利用して一旦ポートに返却した場合は10分など)と、貸出ポートから目的地までの所要時間+目的地で予想される滞在時間+目的地から返却ポートまでの所要時間の合計とを比較して、後者が前者を超過するときは、返却ポートを経由する経路を最適な経路であると判断し、後者が前者を超過しないときは、返却ポートを経由しない経路(すなわち直接目的地に至る経路)を最適な経路であると判断し、最適な経路の情報のみを端末出力部25を介して出力してもよいし、両方の経路の情報を出力しつつ最適な経路を識別可能に出力してもよい。出力制御部32eは、ユーザのシェアリングモビリティの利用形態が「定額+従量」(たとえば
図2を参照し、利用ごとに最初の15分無料、最初の15分を超過すると100円/15分かかる)である場合には、目的地まで15分以内であれば、返却ポートを経由する経路を最適な経路であると判断して出力してもよい。また、出力制御部32eは、目的地まで15分以上30分未満の場合には、返却ポートを複数箇所経由して無料になるような経路(15分以内にポートに返却することを繰り返しながら目的地へと向かう経路)を出力してもよいし、複数箇所は経由せずに目的地周辺のポートのみを直接経由する経路(100円かかる)を出力してもよいし、上記経路を選択可能に出力してもよい。
【0048】
別の一例として、出力制御部32eは、経路探索部32bにより探索された経路が少なくともシェアリングモビリティを利用する経路である場合には、目的地情報取得部32dにより取得された目的地情報(すなわち、目的地までの移動距離または移動時間、もしくは目的地の属性)に応じて、当該シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御してもよい。
【0049】
具体的には、たとえば、出力制御部32eは、目的地までの移動距離または移動時間が長い場合、または、目的地が移動手段の乗換(シェアリングモビリティの降車)が予想される施設である場合、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路を最適な経路であると判断して、端末出力部25を介して出力する(
図7、
図11参照)。これにより、ユーザは提案された経路に従って移動することで、シェアリングモビリティを返却した後で目的地に到着するようになり、目的地に到達した後に乗換のためにシェアリングモビリティの返却ポートを改めて探すような不都合を防止できる。
【0050】
他方、出力制御部32eは、目的地までの移動距離または移動時間が短く、かつ、目的地が移動手段の乗換が予想される施設ではない場合、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)を経由しない経路(すなわち直接目的地に至る経路)を最適な経路であると判断して、端末出力部25を介して出力する(
図8、
図12参照)。これにより、ユーザは、たとえば近所のコンビニエンスストアに行く場合等に、提案された経路に従って移動することで、シェアリングモビリティを利用したまま最短距離で目的地に到着するようになり、シェアリングモビリティを返却する手間と時間を省くことができる。出力制御部32eは、目的地までの移動距離または移動時間が短い場合に、復路の経路も出力してもよい。
【0051】
図7に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路を表示する場合、当該経路の情報とともに、返却ポートP2を経由しない経路の表示に遷移するためのボタンB2を表示してもよい。ユーザが端末入力部24を介して当該ボタンB2を選択(タッチ)すると、出力制御部32eは、返却ポートP2を経由しない経路の情報を端末出力部25から出力する(
図8参照)。
【0052】
逆に、
図8に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由しない経路を表示する場合、当該経路の情報とともに、返却ポートP2を経由する経路の表示に遷移するためのボタンB2を表示してもよい。ユーザが端末入力部24を介して当該ボタンB2を選択(タッチ)すると、出力制御部32eは、返却ポートP2を経由する経路の情報を端末出力部25から出力する(
図7参照)。
【0053】
図9に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由しない経路を表示する場合、当該経路の情報とともに、経路探索部32bにより探索された経路の情報を地図上に出力するためのボタンB3を表示してもよい。図示は省略するが、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路を表示する場合に、当該経路の情報とともに、経路探索部32bにより探索された経路の情報を地図上に出力するためのボタンB3を表示してもよい。ユーザが端末入力部24を介して当該ボタンB3を選択(タッチ)すると、出力制御部32eは、経路探索部32bにより探索された経路R1、R2の情報を地図上に出力する(
図10参照)。
【0054】
出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路R2と経由しない経路R1の両方を出力しつつ、ユーザの利用状態に応じて最適な経路を識別可能に出力してもよい。
図10に示す例では、返却ポートP2を経由しない経路R1が最適な経路である場合に、当該経路R1が最適な経路であることをユーザが識別できるように、当該経路R1に「直接目的地へ(最適ルート)」というメッセージM1が付されて出力されている。なお、最適な経路を識別可能であれば、その態様は「最適ルート」というメッセージ(文字情報)の有無に限定されるものではなく、経路の表示の色や太さの違いや点滅の有無などであってもよい。
【0055】
図示は省略するが、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路R2とともに、その所要時間または返却ポートP2を経由しない経路R1と比較した差分の時間を出力してもよい。
【0056】
図10を参照し、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由しない経路R1として、目的地の代表地点に対する最短リンクや目的地に設けられている歩行者用の出入口(玄関)G2までの経路ではなく、目的地に設置されている駐輪場または駐車場G1までの経路を出力してもよい。これにより、シェアリングモビリティを利用したまま目的地に到着するユーザは、目的地に設置された駐輪場または駐車場G1の位置を探す手間と時間を省くことが可能となり、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に、より即した経路案内を実現できる。図示は省略するが、出力制御部32eは、目的地に設置された駐輪場または駐車場G1から目的地の代表地点または駐輪場または駐車場G1から最適な目的地に設けられている歩行者用の出入口(玄関)G2までの歩行経路を追加で出力してもよい。
【0057】
端末出力部25に表示された地図上において、ユーザが端末入力部25を介して返却ポートP2を経由する経路R2を選択(タッチ)すると、出力制御部32eは、当該経路R2の詳細情報(
図8参照)を、端末出力部25を介して出力してもよい。他方、端末出力部25に表示された地図上において、ユーザが端末入力部24を介して返却ポートP2を経由しない経路R1を選択(タッチ)すると、出力制御部32eは、当該経路R1の詳細情報(
図7参照)を、端末出力部25を介して出力してもよい。
【0058】
出力制御部32eは、経路探索部32bにより探索された経路が少なくともシェアリングモビリティを利用する経路である場合には、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態に応じて、シェアリングモビリティを借りるためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御してもよい。
【0059】
具体的には、たとえば、出力制御部32eは、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中ではない場合、当該シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)P1を経由する経路の情報を、端末出力部25を介して出力する(
図7、
図8参照)。他方、出力制御部32eは、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である場合、当該シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)を経由しない経路の情報を、端末出力部25を介して出力する(
図11、
図12参照)。これにより、シェアリングモビリティを現在利用中のユーザは、提案された経路に従って移動することで、貸出ポートを経由して無駄に遠回りしてしまうことがなくなり、より最短距離で目的地に到着できるようになる。したがって、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に、より即した経路案内を実現できる。
【0060】
図7、
図8を参照し、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)P1を経由する経路を出力する場合、シェアリングモビリティを予約することを提案する提案情報(たとえばシェアリングモビリティの予約画面に遷移するためのボタン)B1を、当該経路の情報とともに出力してもよい。これにより、ユーザはシェリングモビリティを利用する経路の表示画面から直ちに当該シェアリングモビリティの予約を行うことができるようになり、便利である。
【0061】
図13に示すように、出力制御部32eは、経路探索部32bにより探索された経路が少なくともシェアリングモビリティを利用する経路である場合には、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態の情報に応じて、観光エリアでの周遊ルートの出力を制御してもよい。具体的には、たとえば、出力制御部32eは、ユーザのシェアリングモビリティの利用形態が「定額」である(すなわち有効なフリーパスを保有している)場合、観光エリアでの周遊ルートを最適な経路であると判断して、端末出力部25を介して出力する。また、たとえば、出力制御部32eは、ユーザのシェアリングモビリティの利用形態が「定額+従量」である(すなわち有効な利用制限付きフリーパスを保有している)場合、貸出ポートP1から返却ポートP2までの所要時間が定額で利用できる時間(たとえば6時間)内に収まる周遊ルートを最適な経路であると判断して、端末出力部25を介して出力する。
【0062】
(動作の第1の態様)
次に、
図3を参照して、一実施の形態に係る情報処理システム1の動作の第1の態様について説明する。
図3は、情報処理システム1の動作の第1の態様を示すフローチャートである。
【0063】
図3に示すように、まず、端末装置2のユーザが端末入力部24を介して経路探索条件(たとえば、出発地、目的地、出発日時または到着日時など)を入力すると、端末装置2からサーバ3へと経路探索条件が当該ユーザの識別情報(ユーザID)とともに送信され、サーバ3の探索条件取得部32aが経路探索条件をユーザの識別情報とともに取得する(ステップS10)。
【0064】
そして、経路探索部32bが、探索条件取得部32aにより取得された経路探索条件に基づいて、当該経路探索条件を満たすような経路の情報を、経路ネットワーク情報データベース33aと地図情報データベース33bとポート情報データベース33dとを参照して探索する(ステップS11)。
【0065】
次いで、利用状態取得部32cが、探索条件取得部32aにより取得されたユーザの識別情報に基づいて当該ユーザを特定し、シェアリングモビリティに関するユーザの利用状態を、たとえば利用状態情報データベース33cを参照して取得する(ステップS12)。ユーザの端末装置2の端末記憶部23内にシェアリングモビリティに関する当該ユーザの利用状態の情報が記憶されている場合には、利用状態取得部32cは、シェアリングモビリティに関する当該ユーザの利用状態の情報を、当該ユーザの端末装置2から取得してもよい。
【0066】
次に、出力制御部32eが、経路探索部32bにより探索された経路が少なくともシェアリングモビリティを利用する経路である場合には、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態の情報に応じて、当該シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する。
【0067】
すなわち、出力制御部32eは、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態の情報に基づいて、ユーザがシェアリングモビリティを定額で利用できるのか否かを判断する(ステップS13)。
【0068】
ユーザがシェアリングモビリティを定額で利用できる場合には(ステップS13:YES)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)を経由しない経路を適切であると判定する(ステップS141)。
【0069】
他方、ユーザがシェアリングモビリティを定額で利用できない場合には(ステップS13:NO)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)を経由する経路を適切であると判定する(ステップS142)。
【0070】
また、出力制御部32eは、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態の情報に基づいて、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である(既に借りている)か否かを判断する(ステップS15)。
【0071】
ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である(既に借りている)場合には(ステップS15:YES)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)を経由しない経路を適切であると判定する(ステップS161)。
【0072】
他方、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中ではない(まだ借りていない)場合には(ステップS15:NO)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)を経由する経路を適切であると判定する(ステップS162)。
【0073】
そして、出力制御部32eは、最適な経路の情報を出力するための出力制御信号を、端末装置2へと送信して端末出力部25を介して出力を行う(ステップS17)。
【0074】
具体的には、たとえば、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中ではなく、かつ、シェアリングモビリティを定額で利用できない場合には、
図7に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポートP1を経由し、かつ当該シェアリングモビリティを返すためにポートP2を経由する経路を、最適な経路として出力する。
【0075】
また、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中ではなく、かつ、シェアリングモビリティを定額で利用できる場合には、
図8に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポートP1を経由するが、当該シェアリングモビリティを返すためにポートを経由しない(直接目的地に至る)経路を、最適な経路として出力する。
【0076】
また、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中であり、かつ、シェアリングモビリティを定額で利用できない場合には、
図11に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポートを経由しないが、当該シェアリングモビリティを返すためにポートP2を経由する経路を、最適な経路として出力する。
【0077】
また、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中であり、かつ、シェアリングモビリティを定額で利用できる場合には、
図12に示すように、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポートを経由せず、かつ、当該シェアリングモビリティを返すためにポートを経由しない(直接目的地に至る)経路を、最適な経路として出力する。
【0078】
一変形例として、
図4に示すように、出力制御部32eは、ポートを経由する経路と経由しない経路の両方を出力しつつ、最適な経路を識別可能に出力するための出力制御信号を、端末装置2へと送信して端末出力部25を介して出力を行ってもよい(ステップS18)。
【0079】
以上のような本実施の形態によれば、ユーザがシェアリングモビリティを定額で利用できる場合には、当該シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)を経由しない経路(すなわち直接目的地に至る経路)が最適な経路として出力されるため、ユーザは提案された経路に従って移動することで、シェアリングモビリティを利用したまま最短距離で目的地に到着するようになり、シェアリングモビリティを返却する手間と時間を省くことができる。また、当該ユーザはシェアリングモビリティを定額で利用できるため、目的地で過ごす間にシェアリングモビリティの利用料金が増えていくことはない。したがって、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に即した経路案内を実現できる。
【0080】
また、本実施の形態によれば、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である場合には、当該シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)を経由しない経路が最適な経路として出力されるため、ユーザは提案された経路に従って移動することで、貸出ポートを経由して無駄に遠回りしてしまうことがなくなり、より最短距離で目的地に到着できるようになる。したがって、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に、より即した経路案内を実現できる。
【0081】
(動作の第2の態様)
次に、
図5を参照して、一実施の形態に係る情報処理システム1の動作の第2の態様について説明する。
図5は、情報処理システム1の動作の第2の態様を示すフローチャートである。第2の態様において、利用状態取得部32cがシェアリングモビリティに関するユーザの利用状態の情報を取得する工程まで(ステップS10~S12)は、上述した第1の態様と同様であり、説明を省略する。
【0082】
第5に示すように、第2の態様では、目的地情報取得部32dが、探索条件取得部32aにより取得された経路探索条件に基づいて経路の目的地を特定し、当該目的地までの移動距離または移動時間、もしくは当該目的地の属性を示す目的地情報を、たとえば経路ネットワーク情報データベース33aまたは地図情報データベース33bを参照して取得する(ステップS22)。
【0083】
そして、出力制御部32eが、経路探索部32bにより探索された経路が少なくともシェアリングモビリティを利用する経路である場合には、目的地情報取得部32dにより取得された目的地情報(すなわち、目的地までの移動距離または移動時間、もしくは目的地の属性)に応じて、当該シェアリングモビリティを返すためにポートを経由する経路と経由しない経路の出力を制御する。
【0084】
すなわち、出力制御部32eは、目的地情報取得部32dにより取得された目的地情報に基づいて、目的地までの移動距離または移動時間が長いか否か、目的地が移動手段の乗換(シェリングモビリティの降車)が予想される施設であるか否かを判断する(ステップS23)。
【0085】
目的地までの移動距離または移動時間が長い場合、または、目的地が移動手段の乗換(シェアリングモビリティの降車)が予想される施設である場合には(ステップS23:YES)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由する経路を最適な経路であると判定する(ステップS142)。
【0086】
他方、出力制御部32eは、目的地までの移動距離または移動時間が短く、かつ、目的地が移動手段の乗換が予想される施設ではない場合には(ステップS23:NO)、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)P2を経由しない経路(すなわち直接目的地に至る経路)を最適な経路であると判定する(ステップS141)。
【0087】
また、上述した第1の態様と同様に、出力制御部32eは、利用状態取得部32cにより取得されたユーザの利用状態の情報に基づいて、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である(既に借りている)か否かを判断する(ステップS15)。
【0088】
ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中である(既に借りている)場合には(ステップS15:YES)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)を経由しない経路を適切であると判定する(ステップS161)。
【0089】
他方、ユーザがシェアリングモビリティを現在利用中ではない(まだ借りていない)場合には(ステップS15:NO)、出力制御部32eは、シェアリングモビリティを借りるためにポート(貸出ポート)を経由する経路を適切であると判定する(ステップS162)。
【0090】
そして、出力制御部32eは、最適な経路の情報を出力するための出力制御信号を、端末装置2へと送信して端末出力部25を介して出力を行う(ステップS17)。
【0091】
一変形例として、
図6に示すように、出力制御部32eは、ポートを経由する経路と経由しない経路の両方を出力しつつ、最適な経路を識別可能に出力するための出力制御信号を、端末装置2へと送信して端末出力部25を介して出力を行ってもよい(ステップS18)。
【0092】
以上のような第2の態様によれば、目的地までの移動距離または移動時間が短く、かつ、目的地が移動手段の乗換が予想される施設ではない場合には、シェアリングモビリティを返すためにポート(返却ポート)を経由しない経路(すなわち直接目的地に至る経路)が最適な経路として出力されるため、ユーザは、たとえば近所のコンビニエンスストアに行く場合等に、提案された経路に従って移動することで、シェアリングモビリティを利用したまま最短距離で目的地に到着するようになり、シェアリングモビリティを返却する手間と時間を省くことができる。したがって、シェアリングモビリティに対するユーザの利用目的に即した経路案内を実現できる。
【0093】
なお、上述した実施形態で説明した情報処理システム1の少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ハードウェアで構成する場合には、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0094】
また、情報処理システム1の少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0095】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システム1を機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システム1の少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0096】
また、方法の発明においては、全ての工程(ステップ)をコンピュータによって自動制御で実現するようにしてもよい。また、各工程をコンピュータに実施させながら、工程間の進行制御を人の手によって実施するようにしてもよい。また、さらには、全工程のうちの少なくとも一部を人の手によって実施するようにしてもよい。
【0097】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や様々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0098】
1 情報処理システム
2 端末装置
21 端末通信部
22 端末制御部
23 端末記憶部
24 端末入力部
25 端末出力部
3 サーバ
31 サーバ通信部
32 サーバ制御部
32a 探索条件取得部
32b 経路探索部
32c 利用状態取得部
32d 目的地情報取得部
32e 出力制御部
33 サーバ記憶部
33a 経路ネットワーク情報データベース
33b 地図情報データベース
33c 利用状態情報データベース
33d ポート情報データベース
4 ネットワーク