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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】空調帽子
(51)【国際特許分類】
   A42B 1/008 20210101AFI20240607BHJP
   A42B 1/22 20060101ALI20240607BHJP
   A42C 5/04 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A42B1/008 K
A42B1/22 C
A42C5/04 C
A42C5/04 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020084161
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021179036
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】592171005
【氏名又は名称】株式会社セフト研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】市ヶ谷 弘司
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3031764(JP,U)
【文献】実開昭55-139127(JP,U)
【文献】実開昭63-158932(JP,U)
【文献】特許第3173510(JP,B2)
【文献】登録実用新案第3118721(JP,U)
【文献】国際公開第2015/162695(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A42B 1/008
A42B 1/22
A42C 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
着用者の頭部を覆う帽体と、
前記帽体に取り付けられており、外部の空気を前記帽体の内部に取り込む、或いは前記帽体の内部の空気を外部に排出する送風手段と、
前記送風手段の近傍の前記帽体の縁から対向する縁に延在して設けられており、前記帽体の内面に沿って配置される帯状シートと、
前記帽体の内面に設けられており、前記帽体と前記帯状シートの間に空間を確保するためのスペーサーと、を備え
前記帯状シートは、幅広な一端部が前記帽体の正面側の縁に固定されるとともに、幅狭な他端部が前記帽体の後面側の縁に取り付けられることを特徴とする空調帽子。
【請求項2】
前記帯状シートは、
一端部が前記帽体の正面側の縁に固定される帯状シート本体と、
一端部が前記帽体の後面側の縁に固定され、他端部が前記帯状シートの他端部に連結されるシート連結体と、
を備え、
前記帯状シート本体は前記シート連結体より幅広であることを特徴とする請求項1に記載の空調帽子。
【請求項3】
着用者の頭部を覆う帽体と、
前記帽体に取り付けられており、外部の空気を前記帽体の内部に取り込む、或いは前記帽体の内部の空気を外部に排出する送風手段と、
前記送風手段の近傍の前記帽体の縁から対向する縁に延在して設けられており、前記帽体の内面に沿って配置される帯状シートと、
前記帽体の内面に設けられており、前記帽体と前記帯状シートの間に空間を確保するためのスペーサーと、を備え、
前記帽体の縁の一部には、前記着用者の頭部と前記帽体の縁との隙間を塞ぐように機能する伸縮可能なギャザー状の空気漏れ防止シートが設けられることを特徴とする空調帽子。
【請求項4】
前記帯状シートには、その長さを調整するための長さ調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の空調帽子。
【請求項5】
前記帯状シートの少なくとも一部は、吸水性を有するシート材で形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の空調帽子。
【請求項6】
前記スペーサーは複数設けられており、少なくとも前記帽体の頭頂部の内面と、前記帯状シートの両端部がそれぞれ繋がれている前記帽体の縁の内面と、に設けられていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の空調帽子。
【請求項7】
前記帯状シートと交差するように前記帽体の内面に沿って配置され、その両端部が前記帽体の縁に繋がれている交差シートを備えたことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の空調帽子。
【請求項8】
前記交差シートは、前記帽体の頭頂部を通過するように設けられていることを特徴とする請求項に記載の空調帽子。
【請求項9】
前記帽体の縁の一部には、前記着用者の頭部と前記帽体の縁との隙間を塞ぐように機能する空気漏れ防止シートが設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の空調帽子。
【請求項10】
前記送風手段は、前記帽体の正面部に取り付けられており、
前記送風手段を駆動するための電源手段は、前記帽体の後面部に取り付けられていることを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の空調帽子。
【請求項11】
前記送風手段は、遠心ファンであることを特徴とする請求項1~10のいずれか一項に記載の空調帽子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帽子の着用時にその帽子の内側の空気を入れ替えるようにして、着用者の頭部の表面に空気の流れを発生させることによって蒸れを解消することができる空調帽子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ユーザーが着用した帽子の内側に空気を取り込んで、ユーザー(帽子の着用者)が涼感を得られるようにした空冷機能付きの帽子が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この帽子には、帽体の正面部にファンが取り付けられており、そのファンにより帽体の内側に空気が取り込まれるようになっている。
そして、ファンによって帽体の内側に取り込まれた空気は、帽体の内側に設けられている送風方向変換器によって帽体の外部に送気されるようになっており、ユーザーの前頭部(額、おでこ)に送風を当てるようにして、ユーザーが涼感を得るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-140416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1の帽子の場合、ファンによって帽体内に取り込まれた空気は、帽体に覆われているユーザーの頭頂部、側頭部、後頭部には殆ど当たらないので、帽体内が蒸れるなどして帽子の着用感が悪化することがあるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、帽体内を好適に換気することができる空調帽子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、空調帽子であって、
着用者の頭部を覆う帽体と、
前記帽体に取り付けられており、外部の空気を前記帽体の内部に取り込む、或いは前記帽体の内部の空気を外部に排出する送風手段と、
前記送風手段の近傍の前記帽体の縁から対向する縁に延在して設けられており、前記帽体の内面に沿って配置される帯状シートと、
前記帽体の内面に設けられており、前記帽体と前記帯状シートの間に空間を確保するためのスペーサーと、を備え
前記帯状シートは、幅広な一端部が前記帽体の正面側の縁に固定されるとともに、幅狭な他端部が前記帽体の後面側の縁に取り付けられることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空調帽子において、
前記帯状シートは、
一端部が前記帽体の正面側の縁に固定される帯状シート本体と、
一端部が前記帽体の後面側の縁に固定され、他端部が前記帯状シートの他端部に連結されるシート連結体と、
を備え、
前記帯状シート本体は前記シート連結体より幅広であることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、空調帽子において、
着用者の頭部を覆う帽体と、
前記帽体に取り付けられており、外部の空気を前記帽体の内部に取り込む、或いは前記帽体の内部の空気を外部に排出する送風手段と、
前記送風手段の近傍の前記帽体の縁から対向する縁に延在して設けられており、前記帽体の内面に沿って配置される帯状シートと、
前記帽体の内面に設けられており、前記帽体と前記帯状シートの間に空間を確保するためのスペーサーと、を備え、
前記帽体の縁の一部には、前記着用者の頭部と前記帽体の縁との隙間を塞ぐように機能する伸縮可能なギャザー状の空気漏れ防止シートが設けられることを特徴とする
【0007】
請求項に記載の発明は、請求項1~3のいずれか一項に記載の空調帽子において、
前記帯状シートには、その長さを調整するための長さ調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項に記載の発明は、請求項1~4のいずれか一項に記載の空調帽子において、
前記帯状シートの少なくとも一部は、吸水性を有するシート材で形成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の空調帽子において、
前記スペーサーは複数設けられており、少なくとも前記帽体の頭頂部の内面と、前記帯状シートの両端部がそれぞれ繋がれている前記帽体の縁の内面と、に設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の空調帽子において、
前記帯状シートと交差するように前記帽体の内面に沿って配置され、その両端部が前記帽体の縁に繋がれている交差シートを備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の空調帽子において、
前記交差シートは、前記帽体の頭頂部を通過するように設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項に記載の発明は、請求項1又は2に記載の空調帽子において、
前記帽体の縁の一部には、前記着用者の頭部と前記帽体の縁との隙間を塞ぐように機能する空気漏れ防止シートが設けられていることを特徴とする。
【0013】
請求項10に記載の発明は、請求項1~のいずれか一項に記載の空調帽子において、
前記送風手段は、前記帽体の正面部に取り付けられており、
前記送風手段を駆動するための電源手段は、前記帽体の後面部に取り付けられていることを特徴とする。
【0014】
請求項11に記載の発明は、請求項1~10のいずれか一項に記載の空調帽子において、
前記送風手段は、遠心ファンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、帽体内を好適に換気することができる空調帽子が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1の空調帽子を示す側面図(a)と、その断面図(b)である。
図2】実施形態1の空調帽子を示す下面図であり、その帽子の内側を示している。
図3】実施形態1の空調帽子の変形例を示す断面図(a)と下面図(b)である。
図4】実施形態2の空調帽子を示す側面図(a)と、その断面図(b)である。
図5】実施形態2の空調帽子を示す下面図であり、その帽子の内側を示している。
図6】実施形態2の空調帽子の変形例を示す下面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る空調帽子の実施形態について詳細に説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0018】
(実施形態1)
実施形態1の空調帽子100は、キャップ型の帽子であり、帽体10の正面側に鍔部11が設けられている。
空調帽子100は、例えば、図1(a)(b)、図2に示すように、着用者の頭部を覆う帽体10と、帽体10の縁寄りの位置に取り付けられており、外部の空気を帽体10の内部に取り込む送風手段であるファン20と、ファン20近傍の帽体10の縁12から対向する縁12に延在して設けられており、帽体10の内面に沿って配置される帯状シート30と、帽体10の内面に設けられており、帽体10と帯状シート30の間に空間Sを確保するためのスペーサー40と、ファン20を駆動するための電源手段である電源装置50等を備えている。
【0019】
帽体10の正面部には、ファン20を取り付ける取付孔10aが設けられており、その取付孔10aにファン20が取り付けられている。
【0020】
ファン20は、帽体10の正面部に取り付けられており、電源装置50は、帽体10の後面部に取り付けられている。
つまり、ファン20と電源装置50は、帽体10の頭頂部を挟んで対向する位置に取り付けられている。ファン20と電源装置50がこのような位置に取り付けられていれば、帽体10の前後の重量バランスが取れるので、空調帽子100を安定した姿勢で着用することができる。
なお、前後の重量バランスを取って空調帽子100を安定した姿勢で着用するには、ファン20の重量に対する電源装置50の重量が60%以上140%以下であるのが好ましい。
このファン20と電源装置50は、図示しない電源ケーブルを介して接続されている。
【0021】
ファン20は、例えば、軸流ファンであり、ファン20には、モーターによって回転されるプロペラが内蔵されている。
また、ファン20には、回転中のプロペラから指を守るためのフィンガーガード(図示省略)が設けられている。
電源装置50には、充電池などのバッテリーが内蔵されている。
また、電源装置50には、ファン20のオン/オフを切り替えるためのスイッチ(図示省略)が設けられている。
なお、帽体10の外面に取り付けられている電源装置50は、太陽電池(ソーラーパネル)を備えていてもよい。
【0022】
帯状シート30は、帽体10の頭頂部を通過するように、帽体10の正面側の縁12から後面側の縁12に亘るように設けられている。
この帯状シート30は、帽体10の正面側に設けられている帯状シート本体31と、帽体10の後面側に設けられているシート連結体32とを有している。
また、帯状シート30には、その長さを調整するための長さ調整手段33が設けられている。
【0023】
帯状シート本体31は、幅広な一端部が帽体10の正面側の縁12に縫着されており、幅狭な他端部がシート連結体32の自由端部に連結されている。
シート連結体32は、その一端部が帽体10の後面側の縁12に縫着されており、他端部としての自由端部が帯状シート本体31の幅狭な他端部に連結されている。
この帯状シート本体31とシート連結体32との連結部分が長さ調整手段33として機能するようになっている。
例えば、帯状シート本体31の他端部にはオス型面ファスナー(面ファスナーのA面)が配設されており、シート連結体32の他端部(自由端部)にはメス型面ファスナー(面ファスナーのB面)が配設されており、帯状シート本体31の他端部とシート連結体32の他端部(自由端部)とを重ね合わせる程度を調整して貼着することによって、帯状シート30の長さを調整することができる。
この帯状シート30の長さを調整することによって、帽体10と帯状シート30との間に形成する空間Sを好適に確保し易くなる。
なお、シート連結体32や長さ調整手段33を設けずに、帯状シート本体31(帯状シート30)の端部を帽体10の後面側に面ファスナー等を用いて直接取り付けるようにしてもよい。
【0024】
また、この帯状シート30中、帯状シート本体31の割合は、例えば75~95%であり、帯状シート本体31が大部分を占めている。
また、この帯状シート本体31は、例えば、帽体10の内面を30~80%程度覆うサイズを有している。
そして、帯状シート30の帯状シート本体31は、吸水性を有するシート材で形成されていることが好ましい。
帯状シート本体31が、吸水性を有するシート材で形成されている場合、予め帯状シート本体31を水で濡らしておけば、水が蒸発する際の気化熱によって帽体10内を冷やすようにすることができる。
【0025】
スペーサー40は、例えば、発泡ポリエチレンや発泡スチロール、発泡ウレタンなど、弾性を有する樹脂材料からなる緩衝部材である。
本実施形態でのスペーサー40は、帽体10の頭頂部の内面と、帯状シート30の両端部がそれぞれ繋がれている帽体10の縁の内面と、に設けられている。
なお、帯状シート30の両端部がそれぞれ繋がれている帽体10の縁の内面を具体的に説明すると、帯状シート本体31の一端部が縫着されている帽体10の正面側の縁12の内面と、シート連結体32の一端部が縫着されている帽体10の後面側の縁12の内面のことである。
このような位置にそれぞれスペーサー40が設けられていれば、帽体10と帯状シート30との間に形成する空間Sを好適に確保することができる。
例えば、スペーサー40は、3~10mmの厚みを有しており、帽体10と帯状シート30の間に適正な空間Sを確保することを可能にしている。
【0026】
このような構成を有する空調帽子100を着用した場合、着用者の頭部に触れる帯状シート30と帽体10の間に空間Sが確保されるようになっているので、ファン20によって帽体10の内部に取り込まれた空気をその空間Sを通じて流通させて、帽体10の内側に好適に空気を送り込むことができる。
このように、本実施形態の空調帽子100であれば、帽体10の内側に好適に空気を送り込み、着用者の頭部の表面に空気の流れを発生させることができるので、帽体10内を好適に換気し、帽体10内の蒸れを防止することができる。
【0027】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態では、ファン20が外部の空気を帽体10の内部に取り込むようにして、帽体10内を換気するようにしたが、送風手段であるファン20が、帽体10の内部の空気を外部に排出するようにして、帽体10内を換気するようにしてもよい。
この場合、帽体10の周縁から帽体10の内部に空気を取り込み、ファン20を通じて空気を外部に排出するようにして、着用者の頭部の表面に空気の流れを発生させている。
このように帽体10内を換気するようにしても、帽体10内の蒸れを防止することができる。
【0028】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態では、ファン20として軸流ファンを用いたが、ファン20として遠心ファンを用いてもよい。
遠心ファンを用いた場合、空気を軸方向から吸入して着用者の頭部に沿う周方向へ排出するように、軸心から周方向に流路が形成されるので、より効果的に帽体10内を冷やすようにすることができる。
【0029】
また、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
上記実施形態では、帯状シート30の長さを調整する長さ調整手段33として、面ファスナーを利用し、帯状シート本体31の他端部とシート連結体32の他端部(自由端部)とを重ね合わせる程度を調整するようにした長さ調整手段33を例に説明したが、例えば、図3(a)(b)に示すように、長さ調整手段33としてゴム紐部材を用いるようにしてもよい。
図3(a)(b)に示した帯状シート30は、幅広の一端部が帽体10の正面側の縁12に縫着されている帯状シート本体31と、一端部が帽体10の後面側の縁12に縫着されているシート連結体32と、帯状シート本体31の他端部とシート連結体32の他端部の間に縫着されたゴム紐部材からなる長さ調整手段33と、を有している。
ゴム紐部材からなる長さ調整手段33であっても、空調帽子100を着用した際にゴム紐部材(長さ調整手段33)が伸長して帯状シート30の長さが調整されることで、帽体10と帯状シート30との間に形成される空間Sを好適に確保することができる。
なお、帯状シート30と帽体10の縫着部分は、例えば面ファスナー、ボタン、スナップなどの係着手段に変更して着脱可能としておくことも可能である。こうして帯状シート30を帽体10に着脱可能にしておけば、洗濯などが容易となる。
【0030】
(実施形態2)
次に、本発明に係る空調帽子の実施形態2について説明する。なお、実施形態1と同一部分には同符号を付し、異なる部分についてのみ説明する。
【0031】
実施形態2の空調帽子100は、ハット型の帽子であり、帽体10の周囲に鍔部11が設けられている。
空調帽子100は、例えば、図4(a)(b)、図5に示すように、着用者の頭部を覆う帽体10と、帽体10の縁寄りの位置に取り付けられている遠心ファン21と、遠心ファン21近傍の帽体10の縁12から対向する縁12に延在して設けられており、帽体10の内面に沿って配置されている帯状シート30と、帽体10の内面に設けられており、帽体10と帯状シート30の間に空間Sを確保するためのスペーサー40と、帯状シート30と交差するように帽体10の内面に沿って配置されている交差シート60と、遠心ファン21を駆動するための電源装置50等を備えている。
【0032】
遠心ファン21は、帽体10の正面部に取り付けられており、電源装置50は、帽体10の後面部に取り付けられている。
この遠心ファン21は、空気を軸方向から吸入して着用者の頭部に沿う周方向へ排出するように、軸心から周方向への流路を形成するので、帽体10内を効果的に冷やすことができる。なお、遠心ファン21に替えて、軸流ファンなどの他のファン(送風手段)に適宜変更することもできる。
【0033】
スペーサー40は、帽体10の頭頂部の内面と、帯状シート本体31の一端部が縫着されている帽体10の正面側の縁12の内面と、シート連結体32の一端部が縫着されている帽体10の後面側の縁12の内面と、に設けられている。
さらに、帽体10の頭頂部のスペーサー40と帽体10の正面側のスペーサー40の間と、帽体10の頭頂部のスペーサー40と帽体10の後面側のスペーサー40の間に位置するように、それぞれスペーサー40が設けられている。
このような位置にそれぞれスペーサー40が設けられていれば、帽体10と帯状シート30との間に形成する空間Sをより好適に確保することができる。
【0034】
交差シート60は、その両端部が帽体10の縁に繋がれている。具体的には、交差シート60の一方の端部は帽体10の左側面部の縁に縫着され、他方の端部は帽体10の右側面部の縁に縫着されている。
この交差シート60は、帽体10の頭頂部を通過するように設けられており、交差シート60は帯状シート30の帯状シート本体31と交差している。
帽体10の頭頂部には、スペーサー40が設けられているので、帽体10と交差シート60の間に空間Sが確保されるようになる。
このように、着用者の頭部に触れる帯状シート30および交差シート60と、帽体10との間に空間Sが確保されるようになっているので、帽体10内の空気をその空間Sを通じて流通させ易くなっており、帽体10内の換気を行い易くなっている。
【0035】
また、交差シート60には、その長さを調整するための長さ調整手段63が設けられている。ここでの長さ調整手段63にはゴム紐部材を用いている。
例えば、交差シート60の両端部にゴム紐部材からなる長さ調整手段63が縫着されており、そのゴム紐部材(長さ調整手段63)が帽体10の両側面の縁に縫着されている。
交差シート60に長さ調整手段63が設けられていれば、空調帽子100を着用した際にゴム紐部材(長さ調整手段63)が伸長して交差シート60の長さが調整されるので、帽体10と交差シート60との間に形成される空間Sを好適に確保することができる。
【0036】
なお、交差シート60と帽体10の縫着部分は、例えば面ファスナー、ボタン、スナップなどの係着手段に変更して着脱可能としておくことも可能である。こうして交差シート60を帽体10に着脱可能にしておけば、洗濯などが容易となる。
【0037】
なお、交差シート60の長さ調整手段63は、ゴム紐部材からなるものに限らず、例えば、面ファスナーを利用し、オス型面ファスナー(面ファスナーのA面)が配設されている一方の交差シート60と、メス型面ファスナー(面ファスナーのB面)が配設されている他方の交差シート60とを重ね合わせる程度を調整して貼着するようにした長さ調整手段63であってもよい。
【0038】
このような構成を有する空調帽子100を着用した場合、着用者の頭部に触れる帯状シート30及び交差シート60と帽体10の間に空間Sが確保されるようになっているので、遠心ファン21による気流によってその空間Sに空気を流通させて、帽体10内を好適に換気し、帽体10内の蒸れを防止することができる。
このとき、遠心ファン21が外部の空気を帽体10の内部に取り込むようにして、帽体10内を換気するようにしても、遠心ファン21が帽体10の内部の空気を外部に排出するようにして、帽体10内を換気するようにしてもよい。
【0039】
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、図6に示すように、帽体10の縁の一部に、着用者の頭部と帽体10の縁との隙間を塞ぐように機能する空気漏れ防止シート70が設けられていてもよい。
空気漏れ防止シート70は、例えば、帽体10の左側面部の縁と右側面部の縁にそれぞれ設けられている。
この空気漏れ防止シート70は、伸縮可能なギャザー状の部材であり、帽体10の縁に幕状(膜状)に設けられている。
そして、空調帽子100の着用時に、空気漏れ防止シート70が着用者の側頭部に接触することによって、着用者の側頭部と帽体10の縁との隙間を塞ぐようになっている。
空調帽子100の着用時に、着用者の側頭部と帽体10の縁との隙間を空気漏れ防止シート70が塞ぐことによって、帽体10内の空間Sが、遠心ファン21が設けられている帽体10の正面部から帽体10の後面部に通ずる空気の流路になる。
帽体10内の空間Sが、帽体10の正面部から後面部に通ずる流路になれば、遠心ファン21が帽体10の内部に取り込んだ空気を帽体10の後面側に流通させて、帽体10内を換気したり、遠心ファン21が帽体10の内部の空気を外部に排出するようにして、帽体10の後面側から取り込んだ空気を流通させて、帽体10内を換気したりすることができる。
このような流路とした帽体10内の空間Sを使って帽体10内を換気すれば、帽体10内の蒸れを好適に防止することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の空調帽子100であれば、帽体10内を好適に換気することができ、帽体10内の蒸れを防止することができる。
【0041】
なお、以上の実施の形態においては、ファン20や遠心ファン21が帽体10の正面部に取り付けられ、電源装置50が帽体10の後面部に取り付けられているとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ファン20や遠心ファン21が帽体10の後面部に取り付けられ、電源装置50が帽体10の正面部に取り付けられていてもよい。
このようにしても、帽体10の前後の重量バランスが取れるので、空調帽子100を安定した姿勢で着用することができる。
【0042】
また、以上の実施の形態においては、電源装置50を帽体10に取り付けた場合を例に説明したが、電源装置50は必ずしも帽体10に取り付けられていなくてもよい。
例えば、電源装置50は、空調帽子100を被る着用者の衣服のポケットに収納したり、ズボンのベルト等に取り付けたりしてもよい。そのような場合には、電源装置50とファン20を長尺な電源ケーブルで接続するようにすればよい。
このように電源装置50を帽体10以外の箇所に設置することによって、電源装置50の重量が空調帽子100の着用者の頭部に掛からないようにすることができ、着用者の頭部への負荷を軽減することができる。
【0043】
また、その他、具体的な細部構造等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 帽体
10a 取付孔
11 鍔部
12 縁
20 ファン(送風手段)
21 遠心ファン(送風手段)
30 帯状シート
31 帯状シート本体
32 シート連結体
33 長さ調整手段
40 スペーサー
50 電源装置(電源手段)
60 交差シート
63 長さ調整手段
70 空気漏れ防止シート
100 空調帽子
S 空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6