(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】2段洗面台又は2段流し台
(51)【国際特許分類】
A47K 1/00 20060101AFI20240607BHJP
E03C 1/042 20060101ALI20240607BHJP
E03C 1/14 20060101ALI20240607BHJP
E03C 1/044 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A47K1/00 V
E03C1/042 C
E03C1/14 A
A47K1/00 U
E03C1/044
(21)【出願番号】P 2020088787
(22)【出願日】2020-05-21
【審査請求日】2023-05-19
(31)【優先権主張番号】10-2019-0116766
(32)【優先日】2019-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520178320
【氏名又は名称】ヨム,ミョン フン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヨム,ミョン フン
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-080859(JP,U)
【文献】特開平09-280403(JP,A)
【文献】特開平07-090901(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2003-0067104(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-0878378(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0047635(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03C 1/00-1/33
A47K 1/00-1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収納キャビネットと、
前記収納キャビネットの上端部に取り付けられ、外部に露出される上段洗面台と、
非使用時には前記収納キャビネットに格納され、使用時には前記収納キャビネットから引き出されるように前記収納キャビネット内に取り付けられる下段洗面台と、
前記上段洗面台及び前記下段洗面台に連結される
排水管と、
前記上段洗面台に連結される冷温水管と、
を含んでなり、
前記上段洗面台及び前記下段洗面台にそれぞれ備えられる水栓のレバーを、断水モード、使用モード及び出水方向転換モードのいずれか一モードに操作する態様によって、前記上段洗面台及び前記下段洗面台への給水又は断水と、用水の水量及び水温の一つ以上を調節するように制御されて用水供給形態が制御され、
前記上段洗面台の前記水栓のレバーが前記断水モードに操作されたときには、前記上段洗面台及び前記下段洗面台の両方が断水され、
前記上段洗面台の前記水栓のレバーが前記使用モードに操作されたときには、前記上段洗面台のみ用水を使える状態になり、前記下段洗面台への給水は遮断され、
前記上段洗面台の前記水栓のレバーが前記出水方向転換モードに操作されたときには、前記上段洗面台での用水の使用は禁止され、前記下段洗面台への給水が許されて前記下段洗面台でのみ用水を使える状態になることを特徴とする、
2段洗面台又は2段流し台。
【請求項2】
シャワー器ホースが前記下段洗面台に接続され、前記下段洗面台に備えられた前記水栓のレバーを操作する態様によって、前記シャワー器ホースへの給水又は断水が行われることを特徴とする、請求項1に記載の
2段洗面台又は2段流し台。
【請求項3】
前記上段洗面台は、貯水及び排水可能な上段洗浄槽と、前記上段洗浄槽に用水を供給することができる上段水栓とを含んでなり、
前記上段水栓は、冷温水供給路と、冷温水排出路と、前記用水供給形態を制御するレバーと、前記レバーを操作する態様によって冷温水の混合比率が変わる用水を前記上段洗浄槽に排出する用水排出路と、前記冷温水供給路と前記用水排出路を連結する冷温水連通路と、前記レバーの操作に連動して水平方向に一定の角度範囲内で回転する調節板とを含んでなり、
前記調節板には、前記冷温水供給路と前記冷温水排出路の連結を断続する冷温水撹拌溝と、用水が用水排出口側に流れるようにする主撹拌溝とが形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
2段洗面台又は2段流し台。
【請求項4】
前記下段洗面台は、貯水及び排水可能な下段洗浄槽と、前記下段洗浄槽に用水を供給することができる下段水栓とを含んでなり、
前記下段水栓は、冷温水供給路と、冷温水排出路と、前記用水供給形態を制御するレバーと、前記レバーを操作する態様によって冷温水の混合比率が変わる用水を前記下段洗浄槽に排出する用水排出路と、前記冷温水供給路と前記用水排出路を連結する冷温水連通路と、前記レバーの操作に連動して水平方向に一定の角度範囲内で回転する調節板とを含んでなり、
前記調節板には、前記冷温水供給路と前記冷温水排出路の連結を断続する冷温水撹拌溝と、用水が用水排出口側に流れるようにする主撹拌溝とが形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
2段洗面台又は2段流し台。
【請求項5】
前記下段洗面台は、前記収納キャビネット内で上下方向に位置変動可能な位置調節型であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の
2段洗面台又は2段流し台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は2段洗面台又は2段流し台に関するもので、より詳しくは収納キャビネットの上部に上段洗面台などが取り付けられ、上段洗面台などと同じ機能の補助洗面台(下段洗面台と言う場合もある)などが収納キャビネット内に収納されるか収納キャビネットから引き出されるように取り付けられた2段洗面台又は2段流し台に関するものである。
【0002】
また、本発明は、上段洗面台及び下段洗面台などに備えられている水栓のレバー(又は取っ手)を操作する態様によって、用水(手足や顔を洗うか皿洗いなどに使われる水)の水量及び水温と供給形態(断水、給水、供給方向の転換)などを調節することができる2段洗面台又は2段流し台に関するものである。
【背景技術】
【0003】
本発明の背景となる先行技術として、例えば本出願人の先登録特許である特許文献1と特許文献2の分配器一体型レバー構造が公知となっている。
【0004】
特許文献1及び2に開示された分配器一体型レバー構造によれば、レバー(取っ手)の操作のみで水の排出方向と水栓(faucet、蛇口)に供給される冷水と温水の混合比率を決定することができるとともに、冷水及び温水をシャワー器側に独立的に供給することができる。
【0005】
他の先行技術として、特許文献3及び4には、成人用洗面台を子供が使えるように、成人用洗面台の下側に水平方向にスライド移動可能な足場を取り付けた洗面台が開示されている。
【0006】
本発明の背景となるさらに他の先行技術として、特許文献5には、相対的に高い位置に配置されて一般の使用者(大人)が使うのに適した第1洗面槽、及び第1洗面槽より低い位置に配置され、子供や車椅子使用者が用いるのに便利な第2洗面槽から構成され、第1洗面槽と第2洗面槽が連結部を介して一体に連結された構造の洗面台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第10-0878378号公報
【文献】韓国登録特許第10-1266654号公報
【文献】韓国公開特許第10-2019-0075383号公報
【文献】韓国登録実用新案第20-0219870号公報
【文献】韓国公開特許第10-2015-0123010号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通常的に、洗面台や流し台は、買い手(又は、使用者)が施工者に特に要求しない限り、施工者次第の基準によって、例えば統計資料に発表された一般大人の平均身長(背)などを考慮して適切な高さに設置される。
【0009】
したがって、アパートや多所帯住宅のような集合建物に設置される洗面台などは一般大人が使うのに適した高さに設置されるので、身長の低い人(例えば、子供など)や車椅子使用者などは洗面台などを使うことが不便である。
【0010】
本発明はこのような不便を解消するために案出されたものであり、多様な物品(所帯道具、衛生用品など)を収納する収納キャビネット(又は収納空間)の上部に一般成人用洗面台(上段洗面台)などを備えるとともに、使用時に収納キャビネットから引き出され、非使用時に収納キャビネットに格納される補助洗面台(下段洗面台)などを収納キャビネット内にさらに備えることにより、使用者の身長による使用時の不便を解消することができるように構成された2段洗面台又は2段流し台を提供することにその目的(第1特徴)がある。
【0011】
後述する実施例の説明からより明らかに理解可能であろうが、補助洗面台(下段洗面台)などは使用者が使いやすい高さに引き出されるように収納キャビネット内に備えられ、収納キャビネット内で上下方向(又は高さ方向)に位置変動が可能な位置調節型(第2特徴)又は上下方向に位置変動が不可能な位置決定型のいずれか一つの構造を有するように取り付けられることができる。
【0012】
また、本発明は、上段洗面台など及び/又は下段洗面台などに取り付けられる水栓のレバー(取っ手)を操作する態様によって、用水の水量、水温、供給形態(断水、給水、供給方向転換)などを適切に調節又は制御することができるように構成された2段洗面台又は2段流し台を提供することにその目的(第3特徴)がある。
【0013】
このような目的を達成することができるようにする技術的思想(構成手段、作動原理)は、本出願人の先特許登録である特許文献1及び2に開示されている分配器一体型レバー構造から通常の当業者が容易に導入することができ、後述する実施例の説明からより明らかに理解可能であろう。
【0014】
本発明の他の特徴と目的などは、以下の説明から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題は次のように構成される本発明によって達成可能である。
[1]収納キャビネットと、収納キャビネットの上端部に取り付けられ、外部に露出される上段洗面台又は上段流し台と、非使用時には収納キャビネットに格納され、使用時には収納キャビネットから引き出されるように収納キャビネット内に取り付けられる下段洗面台又は下段流し台と、上段洗面台及び下段洗面台又は上段流し台及び下段流し台に連結される配水管と、上段洗面台又は上段流し台に連結される冷温水管と、を含んでなり、上段洗面台及び下段洗面台又は上段流し台及び下段流し台にそれぞれ備えられる水栓のレバーを操作する態様によって、用水供給形態が制御されることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【0016】
[2]前記[1]で、用水供給形態の制御は、上段洗面台及び下段洗面台又は上段流し台及び下段流し台への給水又は断水と、用水の水量及び水温の一つ以上を調節する制御であることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【0017】
[3]前記[1]又は[2]で、上段洗面台及び下段洗面台又は上段流し台及び下段流し台に備えられた水栓のレバーを操作する態様は、断水モード、使用モード及び出水方向転換モードのいずれか一モードであり、上段洗面台又は上段流し台の水栓のレバーが断水モードに操作されたときには、上段洗面台及び下段洗面台又は上段流し台及び下段流し台の両方が断水され、上段洗面台又は上段流し台の水栓のレバーが使用モードに操作されたときには、上段洗面台又は上段流し台のみ用水の使用が可能な状態になるとともに下段洗面台又は下段流し台への給水が遮断され、上段洗面台又は上段流し台の水栓のレバーが出水方向転換モードに操作されたときには、上段洗面台又は上段流し台での用水使用が禁止されるとともに下段洗面台又は下段流し台への給水が許されて下段洗面台又は下段流し台のみ用水使用が可能な状態になることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【0018】
[4]前記[1]~[3]で、シャワー器ホースが下段洗面台又は下段流し台に接続され、下段洗面台又は下段流し台に備えられた水栓のレバーを操作する態様によって、シャワー器ホースへの給水又は断水が行われることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【0019】
[5]前記[1]~[4]で、上段洗面台又は上段流し台は、貯水及び排水可能な上段洗浄槽と、上段洗浄槽に用水を供給することができる上段水栓とを含んでなり、上段水栓は、冷温水供給路と、冷温水排出路と、用水供給形態を制御するレバーと、レバーを操作する態様によって冷温水の混合比率が変わる用水を上段洗浄槽に排出する用水排出路と、冷温水供給路と用水排出路を連結する冷温水連通路と、レバーの操作に連動して水平方向に一定の角度範囲内で回転する調節板とを含んでなり、調節板には、冷温水供給路と冷温水排出路の連結を断続する出水方向転換孔(冷温水撹拌溝)と、用水が用水排出口側に流れるようにする用水出水孔(主撹拌溝)とが形成されていることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【0020】
[6]前記[1]~[5]で、下段洗面台又は下段流し台は、貯水及び排水可能な下段洗浄槽と、下段洗浄槽に用水を供給することができる下段水栓とを含んでなり、下段水栓は、冷温水供給路と、冷温水排出路と、用水供給形態を制御するレバーと、レバーを操作する態様によって冷温水の混合比率が変わる用水を下段洗浄槽に排出する用水排出路と、冷温水供給路と用水排出路を連結する冷温水連通路と、レバーの操作に連動して水平方向に一定の角度範囲内で回転する調節板とを含んでなり、調節板には、冷温水供給路と冷温水排出路の連結を断続する出水方向転換孔(冷温水撹拌溝)と、用水が用水排出口側に流れるようにする用水出水孔(主撹拌溝)とが形成されていることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【0021】
[7]前記[1]~[6]で、下段洗面台又は下段流し台は、収納キャビネット内で上下方向(又は高さ方向)に位置変動可能な位置調節型であることを特徴とする、2段洗面台又は2段流し台。
【発明の効果】
【0022】
本発明による2段洗面台又は2段流し台は、平均身長の一般大人が使うのに便利な高さに固定された上段洗面台などと、車椅子使用者や低い身長の使用者が使うのに便利な高さに配置された下段洗面台などとをそれぞれ備えているので、個々の使用者が身長にかかわらず、楽に使うことができる利点がある。これにより、本発明の第1特徴が達成される。
【0023】
また、本発明による2段洗面台又は2段流し台は、下段洗面台などの位置が収納キャビネット内で上下方向(又は高さ方向)に移動可能なので、使用者の身長を考慮した最適の使用高さ(使用位置)で下段洗面台などが引き出されるように調整することができる。これにより、本発明の第2特徴が達成される。
【0024】
また、本発明による2段洗面台又は2段流し台は、上段洗面台及び下段洗面台などに取り付けられた水栓のレバー(取っ手)を操作する態様によって、用水の水量、水温、供給形態(断水、給水、供給方向転換)などを調節するか制御することができる。これにより、本発明の第3特徴が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】特許文献1(韓国登録特許第10-0878378号公報)に開示された水栓(分配器一体型レバー構造)の分解斜視図である。
【
図2】
図1の水栓(分配器一体型レバー構造)の陷沒部に形成される複数の孔の配置図である。
【
図3】
図1の水栓(分配器一体型レバー構造)の下敷部を構成する一部部品を示す図であり、
図3(a)は下部下敷の斜視図、
図3(b)は入出口片の斜視図、(c)は撹拌片の斜視図である。
【
図4】本発明の一実施例による2段洗面台を示すもので、下段洗面台が収納キャビネット内に格納された非使用状態の斜視図である。
【
図5】本発明の一実施例による2段洗面台を示すもので、下段洗面台が収納キャビネットから引き出された使用状態の斜視図である。
【
図6】本発明の一実施例による下段洗面台に昇降器具と引出器具が結合された状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の一実施例による上段水栓及び下段水栓間の流体連結状態を示す模式図である。
【
図8a】本発明の他の実施例による上段水栓及び下段水栓とシャワー器の流体連結状態を示すもので、下段水栓が使用されている状態の模式図である。
【
図8b】本発明のさらに他の実施例による上段水栓及び下段水栓とシャワー器の流体連結状態を示すもので、シャワー器が使用されている状態の模式図である。
【
図9】本発明の一実施例による水栓の本体と調節板に形成される孔の配置を示す図であり、
図9(a)は水栓の本体の陷沒部に形成された孔の配置図、
図9(b)は水栓の本体の陷沒部に結合させる調節板に形成された孔の配置図である。
【
図10】本発明の一実施例による水栓が出水方向転換モードであるときの水栓の本体に形成された複数の孔と調節板に形成された複数の孔の位置関係を示す図である。
【
図11】本発明の一実施例による水栓が断水モードであるときの水栓の本体に形成された複数の孔と調節板に形成された複数の孔の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、添付図面に基づいて本発明の具体的な実施形態を説明する。ここで、洗面台と流し台は用途及び設置場所が区別されるものであるが、構成及び作動原理は実質的に同一であるので、下記の説明は2段洗面台を特定して開示する。
【0027】
また、本発明の一実施例で、上段洗面台に備えられる水栓は、本出願人の先特許登録である特許文献1に開示された水栓と実質的に同じな原理で作動する水栓なので、後述する実施例がより容易に理解できるように、まず、特許文献1に開示された水栓に対する概要を
図1に基づいて説明する。
【0028】
図1は特許文献1の分配器一体型レバー構造(本発明の水栓に対応する)を示す分解斜視図であり、蛇口本体と、下敷部と、ケース部と、シャフトと、レバー取っ手とが組み立てられた構造を有する。
【0029】
前記構成要素のうち、蛇口本体10は、冷温水が所定の比率で混合された用水を吐き出す蛇口出口11が蛇口本体10の前方に突出し、蛇口本体10の後方左右には冷温水流入口14、15が形成され、蛇口本体10の後方中央には冷温水シャワー器出口12、13が形成され、蛇口出口11と冷温水シャワー器出口12、13と冷温水流入口14、15とそれぞれ流体連結される複数の孔16’が形成された陷沒部16が蛇口本体10の上面中央に形成されている。
【0030】
また、冷温水シャワー器出口12、13にはシャワー器側に用水を送出するフレキシブルホース45が連結され、蛇口本体10に冷温水を供給する冷温水管が冷温水流入口14、15にそれぞれ連結される。
【0031】
ここで、蛇口本体10の陷沒部16に形成される複数の孔16’は、
図2に示すように、蛇口出口11と流体連結(連通)される出水孔16aと、冷温水流入口14、15とそれぞれ流体連結される第1冷温水流入孔16b、16cと、冷温水流入口14、15とそれぞれ流体連結される第2冷温水流入孔16d、16eと、冷温水シャワー器出口12、13とそれぞれ流体連結される冷温水吐出孔16f、16gとを含んでなる。
【0032】
次に、前記下敷部は、
図3に示すように、蛇口本体10の陷沒部16に設けられ、陷沒部16の複数の孔16’;16a~16gに対応する複数の連結孔21’が形成された下部下敷21と、下部下敷21に結合され、複数の連結孔21’と連通する複数の分化孔22’が形成された入出口片22と、入出口片22の上面でスライドし、複数の分化孔22’と選択的に連通する複数の撹拌溝23’が形成された撹拌片23と、撹拌片23の上面に結合され、撹拌片とともにスライドするか回転するガイドスライダー24と、ガイドスライダー24の上面に配置され、ガイドスライダーを水平移動可能に支持するとともにガイドスライダーとともに回転する回転ドラム25と、下部下敷21の上側に結合され、回転ドラム25の回転を制限する内部突起が形成された上部下敷26とからなる。
【0033】
ここで、撹拌片23に形成される複数の撹拌溝23’は、
図1、
図2及び
図3(c)から分かるように、陷沒部16の第1冷温水流入孔16b、16cと出水孔16aが流体連結されるようにする主撹拌溝23aと、陷沒部16の第2冷温水流入孔16d、16eと冷温水吐出孔16f、16gが流体連結されるようにする冷温水撹拌溝23b、23cとからなる。
【0034】
そして、入出口片22に形成される複数の分化孔のうち、陷沒部16の第1冷温水流入孔16b、16cと流体連結される分化孔22”は、撹拌片23が閉鎖位置で回転するうちに主撹拌溝23aと流体連結されないように一部が塞がっている。
【0035】
次に、前記ケース部は、前記下敷部の上側に位置し、蛇口本体10の陷沒部16の上端に結合される内部ケース31と、蛇口本体10の上側に位置して内部ケース31と結合され、レバー取っ手35の動きを案内する外部ケース32と、レバー取っ手35に一側が結合され、前記下敷部の回転ドラム25の上側に他側が結合され、レバー取っ手35の操作によって回転ドラム25を作動させるシャフト33とからなる。
【0036】
実施例
前述したように、洗面台と流し台は用途と設置場所が違うが、構成及び作動原理は実質的に同一である衛生器具設備である。
【0037】
したがって、本発明の適用対象を明確に表現するために、請求範囲の対象が「2段洗面台又は2段流し台」になっているが、構成及び作用効果の側面で又は衛生器具設備という上位概念の側面で、2段洗面台と2段流し台は同一対象と見なければならない。
【0038】
このような観点で、実施例についての具体的な説明は2段洗面台に特定して開示するが、2段流し台にもそのまま適用することができるという点に留意しなければならない。
【0039】
図4及び
図5は本発明の一実施例による2段洗面台の下段洗面台が収納キャビネット内に格納された状態(非使用状態)及び下段洗面台が収納キャビネットから引き出された状態(使用状態)をそれぞれ示す斜視図である。
【0040】
一実施例による2段洗面台は、収納キャビネット100と、収納キャビネット100の上端部に取り付けられて外部に露出される上段洗面台200と、収納キャビネット100内に取り付けられる下段洗面台300とから構成されている。
【0041】
一実施例で、収納キャビネット100の前面には2個の開き戸が左右両側に取り付けられているが、一つの開き戸で開閉する形態であってもよく、一つのシャッターによって上下方向に開閉する形態であってもよい。
【0042】
また、
図4及び
図5には示されていないが、上段洗面台200及び下段洗面台300の両方に配水管が接続され、上段洗面台200に冷温水管がそれぞれ接続されている。
【0043】
前記配水管は上段洗面台200及び下段洗面台300で使用された用水が下水管側に排水されるようにする配管であり、上段洗面台200及び下段洗面台300の排水口261、361に一端部が連結され、他端部が下水管に連通(流体連結)される。これとは違う実施例として、下段洗面台300に接続された配水管は他端部が下水管に連結されずに、上段洗面台200の配水管に連結されても良い。
【0044】
一方、上段洗面台200に接続される配水管はフレキシブル配管であってもそうではない配管であっても構わないが、下段洗面台300に接続される配水管はフレキシブル配管であることが好ましい。
【0045】
また、上段洗面台200及び下段洗面台300のいずれも、貯水及び排水可能な上段洗浄槽260及び下段洗浄槽360と、上段洗浄槽260及び下段洗浄槽360に用水を供給することができる上段水栓250及び下段水栓350とを有する構造を有する。
【0046】
本発明の一実施例で、下段洗面台300の左右両側には、
図6に示すように、引出器具370と昇降器具380が結合されている。
【0047】
具体的に、引出器具370は机の引き出しなどでよく見られる水平レールと水平スライダーの組立体からなり、昇降器具380は垂直レールと垂直スライダーの組立体からなっている。
【0048】
したがって、一実施例の昇降器具380は引出器具370を90°回転させたものと同一であると言える。
【0049】
下段洗面台300が収納キャビネット100内で上下方向に移動可能であり、かつ収納キャビネット100から引き出されることができるようにするために、引出器具370の水平レールが昇降器具380の垂直スライダーに固定されている。
【0050】
一実施例と違う構造として、引出器具370の水平レールにギア(ピニオン)をさらに備えるとともに、昇降器具380として前記ギアが回転可能に噛み合うラックを採用することができる。ギアの回転は手動又は電動で行うことができる。手動の場合はギア側に取っ手などを備える必要があり、電動の場合はギアが電動モーターのモーター軸に結合される必要がある。
【0051】
一方、引出器具370の水平レールと昇降器具380の垂直スライダーとの間に、ボールナットが垂直方向に移動するようにボールスクリュー器具を配置し、ボールナットに引出器具370の水平レールと昇降器具380の垂直スライダーを固定する構成によって下段洗面台300を所望の位置まで移動させ、その位置に維持したままで水平方向への引き出しのみ可能であるようにすることができる。
【0052】
それ以外の実施形態として、昇降器具380の採用なしに、引出器具370のみ採用することもできるが、この場合には、下段洗面台300が収納キャビネットに取り付けられた後に高さ調節を行うことができなくなる。
【0053】
次に、
図7~
図11を参照して、用水供給形態の制御について説明する。
【0054】
図7は本発明の一実施例による上段水栓250が上段洗面台200に備えられ、一般水栓400が下段洗面台300に備えられた場合を示すもので、上段水栓250と一般水栓400との間の流体連結(連通)状態を説明するための模式図である。
【0055】
上段水栓250は、流体連結に関連した孔(通路、流路)の位置関係を除き、
図1~
図3で説明した特許文献1の分配器一体型レバー構造と実質的に同一である構造を有する。
【0056】
一実施例による上段水栓250で、流体連結に係る複数の流路は、冷温水供給路255、252と、冷温水排出口254、253と、レバー251の操作態様によって冷温水の混合の比率が変わる用水を上段洗浄槽260に排出する用水排出口258と、冷温水供給路255、252と用水排出口258を連結する冷温水連通路257、256とからなる。
【0057】
上段水栓250は、レバー251を操作する態様によって、断水モード、使用モード及び出水方向転換モードのいずれか一モードに制御され、使用モードでは用水の吐出水量と水温が調節される。
【0058】
図7で、上段水栓250は出水方向転換モードに操作されている。このときのレバー251は前端部が上段水栓250の本体に最も近くにあるように最も低い位置に下ろされている。一般水栓400では、この状態が閉鎖状態、すなわち蛇口出口から用水が出ない断水モードである。
【0059】
本発明の一実施例で、上段水栓250は断水モードと出水方向転換モードの両方でレバー251の前端部が最低位置にあり、レバー251の水平方向への回転によって断水モードと出水方向転換モードが区別される。例えば、水平面内でのレバー251の位置が回転可能範囲の真中位置(回転可能な角度範囲を1/2に分割する位置)にあるときが出水方向転換モードであり、この真中位置から±45°離隔した角度の位置にあるときが断水モードに相当する。
【0060】
上段水栓250が出水方向転換モードであるとき、温水供給路252と温水排出口253が流体連結(連通)され、温水排出口253に接続された温水流出管500を通して、下段洗面台300に備えられた一般水栓400の温水流入路402に温水が流入する。また、この際、上段水栓250の冷水供給路255と冷水排出口254も流体連結(連通)され、冷水排出口254に接続された冷水流出管501を通して、下段洗面台300に備えられた一般水栓400の冷水流入路403に冷水が供給される。
【0061】
そして、このように冷温水が下段洗面台300の一般水栓400に供給された状態で、一般水栓400に備えられたレバー401の前端部を上方に持ち上げれば、冷温水流入路402、403側に到逹している冷温水が用水排出口404側に流動しながら混合され、蛇口出口を通して下段洗浄槽に排出される。
【0062】
この際、レバー401が上方に上げられる程度によって用水の吐出水量が調節され、レバー401が回転可能な範囲内で水平方向に回転する程度によって冷温水の混合比率が変わって水温が調節される。
【0063】
次に、
図8aは本発明の他の実施例による上段水栓250及び下段水栓350とシャワー器の流体連結状態を示すもので、下段水栓350が使用されている状態の模式図である。
【0064】
上段水栓250及び下段水栓350のいずれも、
図7で説明した上段水栓250と同じ構造を有する。
【0065】
したがって、上段水栓250が出水方向転換モードであるとき、温水供給路252と温水排出口253が流体連結(連通)され、温水排出口253に接続されている温水流出管500を通して、下段洗面台300に備えられた下段水栓350の温水供給路352に温水が流入し、冷水排出口254に接続された冷水流出管501を通して、下段水栓350の冷水供給路355に冷水が供給される。
【0066】
冷温水が下段水栓350の冷温水供給路355、352側に到逹している状態で、下段水栓350のレバー351が使用モードに操作されれば、下段水栓350の冷温水供給路355、352と冷温水連通路358、356と用水排出口358が流体連結され、下段水栓350の蛇口出口に用水が吐き出される。
【0067】
一方、下段水栓350が出水方向転換モードに操作されたときには、シャワー器ホース600側に用水が排出される。
【0068】
次に、
図8bは本発明の他の実施例による上段水栓250及び下段水栓350とシャワー器の流体連結状態を示すもので、シャワー器が使用されている状態の模式図である。
【0069】
図8bに示す上段水栓250及び下段水栓350は
図1~
図3で説明した特許文献1の分配器一体型レバー構造と同一である。
【0070】
図8a及び
図8bに示す上段水栓250及び下段水栓350の相違点は、冷温水連通路257、256、357、356と用水排出口258、358の位置関係のみである。
【0071】
図8bの上段水栓250及び下段水栓350の両方が出水方向転換モードに操作されたとき、下段水栓350の冷温水排出路354、353に接続されたシャワー器ホース600に用水が排出される。
【0072】
用水の吐出水量及び水温の調節は下段水栓350のレバー351を操作して行うこともできるが、シャワー器ヘッドに調節手段が備えられた場合であればシャワー器ヘッド側で調節しても関係ない。
【0073】
次に、
図9は本発明の一実施例による上段水栓250及び下段水栓350の本体と調節板700に形成される孔(通路、流路)の配置を示す図であり、
図9(a)は本体の陷沒部などに形成された孔(通路、流路)の配置図、
図9(b)は調節板700に形成された孔(通路、流路)の配置図である。
【0074】
図1~
図3で、7個の孔(通路、流路)は水栓本体の陷沒部、下部下敷及び入出口片に形成されており、撹拌片23には3個の撹拌溝が形成されている。
【0075】
前述したが、本発明の上段水栓250及び下段水栓350は、孔(通路、流路)の位置関係を除き、特許文献1の水栓(分配器一体型レバー構造)と実質的に同じ構成を有する。
【0076】
したがって、冷温水撹拌溝701、702と主撹拌溝703を有する調節板700は特許文献1の撹拌片23に対応し、一実施例による上段水栓250及び下段水栓350には7個の孔がそれぞれ形成された下部下敷、入出口片及び陷沒部が備えられている。
【0077】
図10及び
図11は本発明の一実施例による上段水栓及び下段水栓において、7個の流路(孔)と3個の撹拌溝が交差する状態によって制御モードが変わることを示すものであり、
図10は出水方向転換モード時の水栓の本体に形成された複数の孔と調節板700に形成された複数の撹拌溝の位置関係を示す図、
図11は断水モードでの水栓の本体に形成された複数の孔と調節板に形成された複数の撹拌溝の位置関係を示す図である。
【0078】
7個の孔と3個の撹拌溝がレバーの操作によってどの形態に交差するかによって用水の供給形態は変わる。本出願人の先特許登録(特許文献1及び2)にこれについての事項が詳細に開示されているので、ここでは具体的な説明を省略する。
【0079】
以上、本発明の技術的思想を例示するいくつかの実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は前述したような構成及び作用に限られるものではなく、発明の説明及び特許請求範囲に記載した技術的思想の範疇を逸脱することなしに、本発明に対する多数の変更及び修正が可能であるということを当業者はよく理解することができるであろう。したがって、そのような全ての適切な変更及び修正と均等物も本発明の範囲に属するものと見なされなければならないであろう。
【符号の説明】
【0080】
100 収納キャビネット
200 上段洗面台
250 上段水栓
251 レバー
252 温水供給路
253 温水排出口
254 冷水排出口
255 冷水供給路
256 温水連通路
257 冷水連通路
258 用水排出口
260 上段洗浄槽
261 排水口
300 下段洗面台
350 下段水栓
351 レバー
352 温水供給路
353 温水排出口
354 冷水排出口
355 冷水供給路
356 温水連通路
357 冷水連通路
358 用水排出口
360 下段洗浄槽
361 排水口
370 (水平方向)引出器具
380 (垂直方向)昇降器具
400 一般水栓
401 レバー
402 温水流入路
403 冷水流入路
404 用水排出口
500 温水流出管
501 冷水流出管
600 シャワー器ホース
700 調節板
701 冷水撹拌溝
702 温水撹拌溝
703 主撹拌溝