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特許7499500振動感覚検査ユニット、振動感覚検査ユニットの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】振動感覚検査ユニット、振動感覚検査ユニットの製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20240607BHJP
   B06B 1/04 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A61B10/00 X
B06B1/04 Z
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020092784
(22)【出願日】2020-05-27
(65)【公開番号】P2021186147
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-21
(73)【特許権者】
【識別番号】518371799
【氏名又は名称】株式会社衣川製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100170449
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英彦
(72)【発明者】
【氏名】石井 達夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 厚志
(72)【発明者】
【氏名】高山 広平
【審査官】増渕 俊仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-107279(JP,A)
【文献】特開2015-181966(JP,A)
【文献】米国特許第08795190(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 9/00-10/06
B06B 1/04
A61H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の周波数の振動を生じる振動源と、
前記振動源に一端を連結し、前記振動源から生じる前記振動を伝達する伝達構造体と、
前記伝達構造体の一端からみて他端側に取り付けられ、前記伝達構造体を支持する弾性部と、
前記振動源および前記弾性部を保持する保持構造体と、
前記保持構造体に保持されて前記伝達構造体の前記一端側に延在するプローブを備える、振動感覚検査ユニット。
【請求項2】
前記振動源は、前記伝達構造体の延在方向に振動する、請求項1に記載の振動感覚検査ユニット。
【請求項3】
前記弾性部は2つの弾性部材を備え、前記伝達構造体を支持し、各弾性部材は樹脂を材料に形成されている、請求項1または2に記載の振動感覚検査ユニット。
【請求項4】
前記プローブは、前記保持構造体に設けられた孔に保持固定されることで連結している、請求項1に記載の振動感覚検査ユニット。
【請求項5】
所定の周波数の振動を生じる振動源と、
前記振動源に一端を連結し、前記振動源から生じる前記振動を伝達する伝達構造体と、
前記伝達構造体の一端からみて他端側に取り付けられ、前記伝達構造体を支持する弾性部と、
前記振動源および前記弾性部を保持する保持構造体と、
前記保持構造体に保持されて前記伝達構造体の前記一端側に延在するプローブを備える、振動感覚検査ユニットを備え、
前記保持構造体は、前記振動源を保持する振動源保持部材と、前記弾性部を保持する弾性部保持部材と、前記プローブを保持するプローブ保持部材とを含む、振動感覚検査ユニットであって、
前記振動源を前記振動源保持部材に組み込む振動源組込ステップと、
前記弾性部を前記弾性部保持部材に組み込む弾性部組込ステップと、
前記プローブを前記プローブ保持部材に組み込むプローブ組込ステップと、
前記弾性部保持部材と前記振動源保持部材とを連結する第1の連結ステップと
前記振動源保持部材と前記プローブ保持部材とを連結する第2の連結ステップとを含むことを特徴とする、振動感覚検査ユニットの製造方法。
【請求項6】
前記第1の連結ステップは、前記振動源組込ステップおよび前記弾組込ステップの後に行われる、請求項5に記載の振動感覚検査ユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被験者の振動感覚を検査する振動感覚検査ユニットおよび、その製造方法ならびに振動感覚検査システムおよび、振動感覚検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、糖尿病や白ろう病等の疾病をもつ患者において、振動感覚が低下することが知られており、それらの疾病の検査のために振動感覚検査システムを用いた検査が行われる。振動感覚検査システムは、所定の振動を生じる振動感覚検査ユニットと、制御ユニットとを備える。振動感覚検査システムによる振動感覚検査方法では、例えば、振動感覚検査ユニットの一部を患者の例えば指に接触させ、被験者が感知する振動レベルを測定する検査が行われる。
【0003】
そのような振動感覚検査システムとして、例えば、特許文献1に示す振動覚計がある。この振動感覚計は、静止部分に置かれた被験者(患者)の知覚部位に、基部の固定された振動体を接触させることにより、その被験者の振動感覚を検査するように構成され、振動体の周波数が連続的または段階的に変更可能であることが記載されている。
【0004】
また、特許文献2に示す振動感覚測定装置の加振ユニットがある。この加振ユニットは、装置本体から分離され、加振方向に突出する振動子を有する加振部と、この加振部の振動子に取り付けるセンサ取付部と、このセンサ取付部に取り付ける振動センサ及び荷重センサと、この荷重センサに取り付けるプローブと、加振部を下面弾性部と側面弾性部を介して支持する筐体から更生されている。
【0005】
特許文献2の振動感覚測定装置の加振ユニットにおいては、振動センサ、荷重センサおよびセンサ取付部の総重量が所定重量であり、プローブが筐体の上面の開口部から突出すると共に、プローブの先端面と筐体の上面との加振方向の距離が所定範囲を保つように加振部を筐体内に配置していることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-238087号公報
【文献】特開2010-022585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に示される振動覚計、および特許文献2に示される加振ユニットにおいては、被験者に接触させる振動体(プローブ)を振動源に連結して、振動源の振動を直接伝達している。そうすると、被験者に対する接触方法(プローブの当て方)により、振動が減衰して、振動源が生じた所定の振動強度(振幅)から低下してしまうといった課題があった。そして、伝達する振動の振動強度が低下すると、測定誤差を生じることになり、検査の精度を著しく低下させる原因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る振動感覚検査ユニットは、所定の周波数の振動を生じる振動源と、前記振動源に一端を連結し、前記振動源から生じる前記振動を伝達する伝達構造体と、前記伝達源の一端からみて他端側に取り付けられる弾性部と、前記振動源および前記弾性部を保持する保持構造体と、前記保持構造体に保持されて延在するプローブとを備える。
【0009】
この振動感覚検査ユニットによれば、振動源から生じた振動が伝達構造体を通じて弾性部へ伝達される。さらに、弾性部に受けられた振動が保持構造体を介してプローブに伝達され、プローブの先端が被験者に接触する。これにより、プローブの当て方による振動の減衰を防止し、振動源から生じた振動が減衰することなくプローブの先端まで伝達され、正確な検査を行うことができる。
【0010】
すなわち、本発明に係る振動感覚検査ユニットでは、振動源に直接プローブ連結する場合に比較して、振動源から生じる振動を間接的にプローブに伝達することにより、振動源から生じる所定の強度の振動が低下しない。したがって、振動体は、振動体を前記した所定の強度の振動を正確に被験者に伝えることができる。
【0011】
(2)前記した振動感覚検査ユニットにおいて、前記振動源は、前記伝達構造体の延在方向に振動するようにしてもよい。そのようにすれば、伝達構造体が延在する方向に振動することになり、振動の減衰を抑えて伝達構造体に振動を伝達することができる。
【0012】
(3)前記した振動感覚検査ユニットにおいて、前記弾性部は2つの弾性部材を備え、各弾性部材は樹脂を材料に形成されてもよい。そのようにすれば、伝達構造体の振動を2点で保持構造体に伝達でき、振動の減衰を抑えて保持構造体に振動を伝達することができる。
【0013】
(4)前記プローブは、前記保持構造体に設けられた孔に保持固定されることで連結していていてもよい。そのようにすれば、プローブが保持構造体に確実に固定されるにもかかわらず、振動の減衰を抑えてプローブに振動を伝達することができる。
【0014】
(5)本発明に係る感覚振動検査ユニットの製造方法は、所定の周波数の振動を生じる振動源と、前記振動源に一端を連結し、前記振動源から生じる前記振動を伝達する伝達構造体と、前記伝達源の一端からみて他端側に取り付けられる弾性部と、前記振動源および前記弾性部を保持する保持構造体と、前記保持構造体に保持されて延在するプローブとを備える、振動感覚検査ユニットとを備え、前記保持構造体は、前記振動源を保持する振動源保持部材と、前記弾性部を保持する弾性部保持部材と、前記プローブを保持するプローブ保持部材とを含む、振動感覚検査ユニットであって、前記振動源を前記振動源保持部材に組み込む振動源組込ステップと、前記弾性部を前記弾性部保持部材に組み込む弾性体組込ステップと、前記プローブを前記プローブ保持部材に組み込むプローブ組込ステップと、前記弾性部保持部材と前記振動源保持部材とを連結する第1の連結ステップと前記振動源保持部材と前記プローブ保持部材とを連結する第2の連結ステップとを含むことを特徴とする。
【0015】
この感覚振動検査ユニットの製造方法によれば、振動源から生じた振動が伝達構造体を通じて弾性部へ伝達される。さらに、弾性部に受けられた振動が保持構造体を介してプローブに伝達されるプローブを容易に製造することができる。さらに、この製造法により製造された感覚振動検査ユニットは、振動源から生じた振動が減衰することなくプローブの先端まで伝達され、正確な検査を行うことができる。
【0016】
すなわち、この感覚振動検査ユニットの製造方法により製造された振動感覚検査ユニットでは、振動源に直接プローブ連結する場合に比較して、振動源から生じる振動を間接的にプローブに伝達することにより、振動源から生じる所定の強度の振動が低下しない。したがって、振動体は、振動体を前記した所定の周波数の振動を正確に被験者に伝えることができる。
【0017】
(6)前記した振動感覚検査ユニットの製造方法において、前記第1の連結ステップは、前記振動源組込ステップおよび前記第弾性部組込ステップの後に行われるようにしてもよい。そのようにすれば、振動源保持部材は振動源を保持した状態、弾性部保持構造体は弾性部を保持した状態で両部材を連結できるため、振動感覚検査ユニットの組み立てが容易になる。
【0018】
なお、本発明に係る振動感覚検査システムは、所定の周波数の振動を生じる振動源と、前記振動源に一端を連結し、前記振動源から生じる前記振動を伝達する伝達構造体と、前記伝達源の一端からみて他端側に取り付けられる弾性部と、前記振動源および前記弾性部を保持する保持構造体と、前記保持構造体に保持されて延在するプローブとを備える、振動感覚検査ユニットと、前記振動源の振動周波数および振動強度を制御する制御ユニットとを備えることを特徴とする。
【0019】
この振動感覚検査システムによれば、振動感覚検査ユニットが、プローブの当て方による振動の減衰を防止し、振動源から生じた振動が減衰することなくプローブの先端まで伝達されるため、正確な検査を行うことができる。すなわち、本発明に係る振動感覚検査システムでは、所定の強度の振動を適切に被験者に伝え、正確な検査を行うことができる。
【0020】
なお、本発明に係る振動感覚検査方法は、所定の周波数の振動を生じる振動源と、前記振動源に一端を連結し、前記振動源から生じる前記振動を伝達する伝達構造体と、前記伝達源の一端からみて他端側に取り付けられる弾性部と、前記振動源および前記弾性部を保持する保持構造体と、前記保持構造体に保持されて延在するプローブとを備える、振動感覚検査ユニットと、前記振動源の振動周波数および振動強度を制御する制御ユニットとを備える、振動感覚検査システムにおいて、振動源の振動周波数を決定する周波数決定ステップと、振動源の振動強度を決定する強度決定ステップを含むことを特徴とする。
【0021】
この振動感覚検査方法によれば、振動感覚検査ユニットが、プローブの当て方による振動の減衰を防止し、振動源から生じた振動が減衰することなくプローブの先端まで伝達されるため、正確な検査を行うことができる。すなわち、本発明に係る振動感覚検査方法では、所定の強度の振動を適切に被験者に伝え、正確な検査を行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、被験者に振動体が接触しても、一定の周波数を維持し、所定の振動強度を低下させることなく伝達する振動感覚検査装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係る振動感覚検査システムを示す概略図である。
図2図1に示す振動感覚検査ユニットを示す斜視図である。
図3図1に示す振動感覚検査ユニットを示す側断面図である。
図4図1に示す振動感覚検査ユニットの振動の伝達を説明するための概略側断面図である。
図5】振動感覚検査ユニットの製造方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態に係る振動感覚検査システムSについて、図面を参照して詳細に説明する。振動覚検査システムSは、機械的に振動を発生して被験者に定量的な振動を与えて振動感覚を検査する感覚検査システムSである。振動感覚検査システムSは、例えば、糖尿病、白ろう病等の患者に適用して、患者が振動を感知できるかにより病状の検査ができる。
【0025】
図1に示すように、振動感覚検査システムSは、振動感覚検査ユニットMと、制御ユニットCと、振動感覚検査ユニットMと制御ユニットCとを接続するケーブルLを備える。振動感覚検査ユニットMは、機械的に振動を発生して被験者に定量的な振動を与え、制御ユニットCは、振動感覚検査ユニットMが振動する周波数および強度を制御する。
【0026】
[振動感覚検査ユニット]
図2および図3に示すように振動感覚検査ユニットMは、制御ユニットCにより制御され所定の振動を生じる振動源1と、振動源1に一方側の端部を連結し、振動源1から生じる振動を他方側に伝達する伝達構造体2と、伝達構造体2に取り付けられる弾性部3と、振動源1および弾性部3を保持する保持構造体4と、振動源1の伝達構造体2が連結した側と反対側に設けられるプローブ5とを備える。
【0027】
振動源1は、いわゆるボイスコイルモータであり、磁石である加振部11と、コイル12と、コイル受け13とを備え、ラウドスピーカと同様の原理にて電気シグナルを機械運動に変換する。すなわち、振動源1は、磁石を高速で、かつ電気シグナルに合わせて運動することができる。具体的には、振動源1のコイル12は、ケーブルLを介して制御ユニットCに接続されており、振動源1は、制御ユニットCからの電流によりコイル12内に交流の磁界を生じ、コイル12内の磁石11が加振される。
【0028】
これにより、振動源1は、所定の周波数、例えば、64Hz、100Hz、128Hzの振動を生じる。また、振動源1は、制御ユニットCにより振動強度を変更することも可能である。なお、振動源1は、後述する伝達構造体2の延在方向に振動する。
【0029】
伝達構造体2は、一端から他端に延在し、一端を振動源1に連結され、一端部からみて他端側を弾性部3により支持されている。伝達構造体2は、ステンレスを材料に切削加工により製作されている。本実施形態において、伝達構造体2は、円筒状の本体部の両端から第1の突出部21と第2の突出部22が突出している。第1の突出部21と第2の突出部22とは円柱形状に突出している。
【0030】
第1の突出部21の先端は、振動源1に結合する一端として機能し、第2の突出部22の先端は、他端として機能する。伝達構造体2の一端、すなわち第1の突出部21の先端部はネジが切られており、振動源1の加振部11に螺合して連結されている。また、第1の突出部21の基端と、第2の突出22の基端とは、それぞれ、後述する第1の弾性部材31と第2の弾性部材32とに支持されている。
【0031】
すなわち、伝達構造体2の一端から反対側の他端にかけて、2つ弾性部材からなる弾性部3により固定して保持構造体4に保持されている。なお、伝達構造体2は中空円柱状のスリーブ33に通された状態で、第1の弾性部材31と第2の弾性部材32とを伝達構造体2の第1の突出部21および第2の突出部22に通される。
【0032】
弾性部3は、伝達構造体2を支持し、保持構造体4に固定して組み付けられている。本実施形態において、弾性部3は、2つの弾性部材から形成され、1つの弾性部材は伝達構造体2の一端に、他の弾性部材は他端に設けられている。
【0033】
本実施形態において各弾性部材31、32は、中央に孔を形成された円盤状にシリコン樹脂を材料として樹脂成型されている。弾性部材を形成するシリコン樹脂は、ショア硬度12~70°のものが適用され、特にショア硬度15~45°が適する。各弾性部材は、中央の孔に伝達構造体2が密着するように挿通され、外周が弾性部3固定部材に密着して固定される。振動源1から伝達構造体2を伝達された振動は、弾性部3を介して保持構造体4に伝達される。しかし、弾性部材は、シリコン樹脂に限定されず、ウレタンのような他の樹脂を材料としてもよい。
【0034】
プローブ5は、棒状部材51と棒状部材51の一端に設けられたエンドキャップ52とを備える。エンドキャップ52は、ゴム材料で形成されており、患者に接触してプローブ5の振動を患者に伝達する。棒状部材51の他端は保持構造体4に保持される。
【0035】
保持構造体4は、振動源1、弾性部3、プローブ5を保持する。本実施形態において、保持構造体4は、振動源保持部材41、弾性部保持部材42、プローブ保持部材43の3つの部材から形成されている。保持構造体4の各保持部材は、樹脂成型により製作されている。
【0036】
振動源保持部材41は、コイル受け13を介して振動源1を固定して保持する。したがって、振動源1は振動源保持部材41に固定され、振動源1のコイル12内に配置された磁石が加振部11として機能し、振動する。弾性部保持部材42は、伝達構造体2を挿通された弾性部材31、32を固定して保持する。したがって、各弾性部材31、32は、振動源1から伝達構造体2により伝達された振動を弾性部保持部材42に伝達する。
【0037】
プローブ保持部材43は、プローブ5を固定して保持する。本実施形態において、プローブ保持部材43は、外観は有底円筒状に形成しており、底面に相当する面の中央に孔を有する。孔は、プローブ保持部材43の内側まで形成されており、プローブ5の他端部を安定的に受けることができる。プローブ保持部材43は、孔にプローブ5を受けることで固定して保持する。
【0038】
弾性部保持部材42は、有底円筒状に形成されており、その内部に、スリーブ33に通された状態で第1の弾性部材31および第2の弾性部材32により挟まれた伝達構造体2を収容して保持する。また、弾性部保持部材42は、筒の開口側で外ネジが切られており、内ネジの切られた振動源保持部材41に連結し、振動源保持部材41はプローブ保持部材43に連結している。
【0039】
図4に示すように、振動感覚検査ユニットMは、振動源1からの振動(図4の両矢印aを参照)が伝達構造体2に伝達される。次いで、伝達構造体2の振動(図4の両矢印bを参照)が弾性部3に伝達される。次いで、弾性部3の振動(図4の両矢印cを参照)が弾性部保持部材42に伝達される。次いで、弾性部材保持構造体4の振動(図4の両矢印dを参照)は、振動源保持部材41に伝達される。次いで、振動源保持部材41の振動(図4の両矢印eを参照)は、プローブ保持部材43に伝達される。そして、プローブ保持部材43の振動(図4の両矢印fを参照)、プローブ5が振動する(図4の両矢印gを参照)。なお、同じ符号をふられた矢印は同期した振動を示す。
【0040】
[振動感覚検査ユニットの製造方法]
【0041】
振動感覚検査ユニットの製造方法は、図5に示すように、振動源1を振動源保持部材41に組み込む振動源組込ステップ(S1)と、弾性部3を弾性部保持部材42に組み込む弾性部組込ステップ(S2)と、プローブ5をプローブ保持部材43に組み込むプローブ組込ステップ(S3)と、弾性部保持部材42と振動源保持部材41とを連結する第1の連結ステップ(S4)と振動源保持部材41とプローブ保持部材43とを連結する第2の連結ステップ(S5)とを含む。
【0042】
振動源組込ステップ(S1)では、振動源1が振動源保持部材41に固定して組み込まれる。具体的には、加振部11とコイル12とが振動源受け部材13に保持され、振動源受け部材13の一部が振動源保持部材41とプローブ保持部材43に挟まれることにより固定される。
【0043】
弾性部組込ステップでは、伝達構造体2を支持する弾性部3が弾性部保持部材42に組み込まれる。具体的には、伝達構造体2は中空円筒状のスリーブ33に通された後に、伝達構造体2の第1の突出部21の基端と、第2の突出22の基端とのそれぞれに、対応した第1の弾性部材31と第2の弾性部材32とが挿通される。
【0044】
これにより、スリーブ33の両端が第1の弾性部材31と第2の弾性部材32とに挟まれる形となる。そして、弾性部材を通された伝達構造体2は、第1の弾性部材31側から、有底円筒状の弾性部保持部材42に組み込まれる。
【0045】
プローブ組込ステップ(S3)では、プローブ5がプローブ保持部材43に組み込まれる。具体的には、有底円筒上のプローブ保持部材43は、その底面に相当する位置にプローブ5の一端に適合した孔を有し、プローブ5が孔に挿通されることでプローブ5がプローブ5保持部に組み込まれる。
【0046】
第1の連結ステップ(S4)では、弾性部保持部材42と振動源保持部材41とを連結する。本実形態において、具体的には、伝達構造体2を組み込まれた弾性部材保持部材と振動源1を保持する振動源保持部材41とを、スペーサであるリング34と連結キャップ35と間隔規制部材(図示なし)を介して結合する。連結キャップ35はネジにより連結キャップ35に結合し、リング34と連結キャップ35と間隔規制部材により伝達構造体2に振動が最適に伝達されるように構成している。
【0047】
また、有底円筒上の弾性部材保持部材の側周上端に相当する位置は外ネジが切られており、円筒状の振動源保持部材41の一端部には内ネジが切られており、これらのネジを螺合することで弾性部保持部材42と、振動源保持部材41とを連結する。
【0048】
第2の連結ステップ(S5)では、振動源保持部材41とプローブ保持部材43とを連結する。本実施形態において、有底円筒上のプローブ保持部材43の側周上端に相当する位置は内ネジが切られており、円筒状の振動源保持部材41の他端部には外ネジが切られており、これらのネジを螺合することで振動源保持部材41とプローブ保持部材43とを連結する。このとき、振動源受け部材13の一部が振動源保持部材41とプローブ保持部材43とに挟まれて固定される。
【0049】
上記の各ステップは、組み立てが可能な範囲で実行される順序が異なってもよい。すなわち、例えば、振動源組込ステップ(S1)、弾性部組込ステップ(S2)、プローブ組込ステップ(S3)、第1の連結ステップ(S4)および第2の連結ステップ(S5)の順で行われてもよく、また例えば、振動源組込ステップ(S1)の後、第2の連結ステップ(S5)が行われ、その後、弾性部組込ステップ、プローブ組込ステップ(S3)、第1の連結ステップ(S4)の順に行われてもよい。
【0050】
[制御ユニット]
制御ユニットCには、電源スイッチC1、オート・マニュアル選択ボタンC2、振動強度の増大・減少選択ボタンC3、振動強度設定ボリュームC4、時間選択ボリュームC5、振動数選択ボタンC6、振動強度表示部C7等が設けられている。制御ユニットCは、振動強度設定ボリュームC4により振動強度を制御でき、振動数選択ボタンC6により振動源1の振動周波数を制御する。
【0051】
また、制御ユニットCは、オート・マニュアル選択ボタンC2によって自動検査または手動検査を選択することができる。また、振動強度の増大・減少選択ボタンC3によって、自動検査の際に振動強度を増大させるか減少させるかを選択できる。手動検査の際には、振動強度設定ボリュームC4を選択して手動により連続的に振動強度を変更できる。手動検査の際は、振動強度設定ボリュームC4を操作して手動により連続的に振動強度を変更できる。
【0052】
時間選択ボリュームC5を操作すると、自動検査の際に、振動強度がゼロの状態か振動強度が最大になるまでの時間または、振動強度が最大からゼロになるまでの時間を調整することができる。また、振動数選択ボタンC6を操作すると、振動の周波数を64Hz、100Hz、128Hzから選択することができる。ただし、選択できる周波数は、適宜変更できる。
【0053】
[振動感覚検査方法]
振動感覚検査システムSにおいて、振動感覚検査方法は、振動源1の振動周波数を決定する周波数決定ステップと、振動源1の振動強度を決定する強度決定ステップと、振動強度を自動調整する振動源調整ステップを含む。
【0054】
周波数決定ステップでは、検査の目的に応じて、周波数を64Hz、100Hz、128Hzから選択し決定する。例えば、従来しられる糖尿病の振動感覚検査用の音叉では周波数が128Hzのものが多く、周波数決定ステップでは糖尿病の振動感覚検査を目的とする場合に128Hzから選択し決定する。
【0055】
強度決定ステップでは、検査の目的に応じて、振動強度を決定する。振動強度は、従来しられる振動感覚検査用の音叉が叩打されてから経過した時間に応じた振動強度を基準に決定される。例えば、糖尿病の振動感覚検査用の音叉であれば、叩打から10秒の振動感知を以上判定の目安とされており、強度決定ステップでは、振動感覚検査用の音叉の叩打から10秒の振動に相当する振動強度を決定される。
【0056】
以上、本発明の実施形態に係る振動感覚検査システムSについて説明してきた。しかし、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、各部材の形状、構成、ステップ等それぞれについて種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、振動感覚検査システムに関する。
【符号の説明】
【0058】
S 振動感覚検査システム
M 振動感覚検査ユニット
L ケーブル
1 振動源
2 伝達構造体
3 弾性部
4 保持構造体
5 プローブ
11 加振部(磁石)
12 コイル
21 第1の突出部
22 第2の突出部
31 第1の弾性部材
32 第2の弾性部材
41 振動源保持部材
42 弾性部保持部材
43 プローブ保持部材
51 棒状部材
52 エンドキャップ



図1
図2
図3
図4
図5