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▶ 佐藤農機鋳造 株式会社の特許一覧

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】選別装置
(51)【国際特許分類】
   B07B 13/04 20060101AFI20240607BHJP
   A23N 15/00 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B07B13/04 B
A23N15/00 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020096046
(22)【出願日】2020-06-02
(65)【公開番号】P2021186774
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】505291745
【氏名又は名称】佐藤農機鋳造 株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091719
【弁理士】
【氏名又は名称】忰熊 嗣久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 成倫
【審査官】伊藤 真明
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106622935(CN,A)
【文献】韓国登録特許第10-1346302(KR,B1)
【文献】韓国登録特許第10-1233242(KR,B1)
【文献】特開2014-168757(JP,A)
【文献】実公昭31-007532(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
A23N 1/00-17/02
B07C 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
選別ドラムとその選別ドラムの内で回転する送りロールブラシとを有する選別装置であって、
前記選別ドラムは、一対のリングと、その外周に橋渡し状に一周にわたって取り付けられ、被選別体の大きさによって決められた選別孔が周壁全体に複数設けられた選別枠とを具備し、
前記送りロールブラシは、内挿軸を軸心としてブラシ毛束が植毛された基台と、その基台の両端には連動輪を具備し、夫々が前記一対のリングの内周壁に当接して摩擦力により連動輪とリングの回転を連動させ、
前記ブラシ毛束の長さは前記選別枠の外表面に到達する長さか若しくは突出する長さであり、前記送りロールブラシを一周する外表面としてブラシ毛束が周方向及び長さ方向に等間隔に配置され、
前記選別ドラムの周方向において前記選別孔には前記ブラシ毛束の毛先の少なくとも1つに相当する面積の前記ブラシ毛束が現れており、前記ブラシ毛束は、前記基台の一周に対して複数が前記送りロールブラシの中心に対して回転する方向の逆方向に傾いて植毛されていることを特徴とする選別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の選別装置において、前記選別枠は、前記一対のリングに対して等角度間隔に離散的かつ橋渡し状に固定した複数の棒状板材を取り付けて形成されていることを特徴とする選別装置。
【請求項3】
請求項1に記載の選別装置において、前記選別枠は、前記選別孔を複数開口された円筒状の板材であることを特徴とする選別装置。
【請求項4】
請求項1に記載の選別装置において、
上流の選別ドラムの選別孔に落下しなかった被選別体を受け取る案内部材を具備し、案内部材は、前記ブラシ毛束の毛先が前記選別枠の外表面から内周側に沈み込む地点であって、前記選別ドラムの外面側の位置に配置される、または、前記沈み込む地点よりも離れたとしても、前記選別孔に落下しなかった被選別体の半径に前記ブラシ毛束の先端までの半径を足した半径を有する円が前記選別枠の外表面と交差する位置よりも離れない地点であって前記選別ドラムの外面側の位置に配置されることを特徴とする選別装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミニトマト、梅、栗、キンカン、酢橘、プラム、蜜柑、ブルーベリー等の被選別体の選別装置に関し、特に傷付きやすい被選別体の選別に好適な選別装置に関する。
【背景技術】
【0002】
選別装置は、大きさに基づいて被選別体を分別する農業機械である。選別装置には、周壁に被選別体とすべき大きさの貫通孔を有する選別ドラムを横倒し状にして回転させ、周壁の上を被選別体が通過することにより、貫通孔の大きさよりも小さい被選別体は選別ドラム内に落下し大きい被選別体は落下せずに下流側に搬送されることによって、被選別体を選別する。
【0003】
例えば、特許文献1には、回動自在に支持された複数の選別ドラムと、各選別ドラムの前後にそれぞれ配置されたガイド板と、各選別ドラムに挿入して設けられ、選別された被選別体を受け止めて被選別体の移送方向と直交する方向に被選別体を搬出するための樋状の搬出シュートとを備えた選別装置が開示されている。各選別ドラムには、周壁の内周面に摺接する駆動ローラーが挿設されている。各駆動ローラーの回転を選別ドラムに伝達して、選別ドラムを駆動ローラーと同一方向に回転させる。
【0004】
選別装置は、選別ドラムの貫通孔に被選別体が挟まる場合があることから、選別ドラム内に押出しローラーを備え、押出しローラーが回転して選別ドラムの貫通孔に挟まった被選別体が押出しローラーの外面に当接することによって、選別ドラムの貫通孔に挟まった被選別体を選別ドラムの外側に押し出すように構成されるものがある。例えば、特許文献2には、このような押し出しローラーを具備した選別装置が開示されている。押し出しローラーは、選別ドラムの回転方向とは逆方向に回転して、貫通孔から被選別体を押し出すように構成される。特許文献2では、さらに、選別ドラムの回転方向とは逆方向に選別ドラム内で回転する押し出し体が示されている。この押し出し体には、突出部が設けられており、被選別体を貫通孔の外に押し出すように作用する。
【0005】
また、特許文献3には、選別ドラム内で六角棒を回転させ、この六角棒の各周辺にゴム板を取り付けてその先端が外方に突出させた選別装置が開示されている。この選別装置では、特許文献2の押し出し体とは異なり選別ドラム内で選別ドラムの回転方向とは同じ方向に回転し、かつ、ゴム板が選別ドラム内面に押圧状に接している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-296906号公報
【文献】特開2014-168757号公報
【文献】実公昭31-7532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の選別装置は、比較的固い被選別体や、蔕のような飛び出しの無い被選別体に対しては、短時間で選別できるというメリットがある。しかしながら、例えば、ミニトマトは、その蔕や柔らかさ故に押出しローラーにより貫通孔に巻き込まれて潰れたり、また選別孔から押し出されてもガイド板の所にさしかかった選別孔に再び嵌まりこんで潰れたりする。また潰れないにしても傷が付くため商品価値が低下する恐れがあり、従来の選別装置はその使用に適さなかった。
【0008】
例えば、特許文献2に開示された押出しローラーは、円柱または円筒状に構成されており、押出しローラーの外面が曲面で構成されるため、選別ドラムの貫通孔に挟まった被選別体を選別ドラムの外側に押し出すにあたって当該被選別体と押出しローラーの外面とが当接したときの摩擦抵抗が比較的小さく、選別ドラムの貫通孔に挟まった被選別体と押出しローラーの外面とが当接したときに滑ってしまい、選別ドラムの貫通孔に挟まった被選別体を選別ドラムの外側に押し出すことができない。特許文献2の発明では、押出しローラーに加えて、押し出し体により押し出すものである。押出しローラーや押し出し体の回転方向が選別ドラムとは逆に回転するため、選別ドラム上の被選別体との速度差が大きく、柔らかい被選別体は衝撃のために傷付く恐れがある。
【0009】
特許文献3の発明では、六角棒は選別ドラムと同一方向に回転しており、被選別体と六角棒との相対速度の差は小さいように見える。図5Aに同公報第3図を引用した。図5Bは、図5Aの装置の横断面であり、被選別体Kを加筆した。六角棒24の周辺に取り付けられたゴム板25の面が選別孔33から覗いている。図5Cにおいて、選別ドラムと六角棒が同方向に回転すると、ゴム板25の先端が選別孔33から被選別体Kを押し出す。このような、装置の問題は、選別孔33が通過するタイミングで、ゴム板25の先端が被選別体を突き出すように装置の駆動系を構成しなければならず、構造が複雑になるということである。
【0010】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、柔らかく、蔕が付いているような被選別体であっても、簡便な駆動機構により選別ドラムの貫通孔の外側に確実に押し出すと共に、選別孔から押し出されてもガイド板の所にさしかかった選別孔に再び嵌まりこんで潰れたりしない選別装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、選別ドラムとその選別ドラムの内で回転する送りロールブラシとを有する選別装置であって、
前記選別ドラムは、一対のリングと、その外周に橋渡し状に一周にわたって取り付けられ、被選別体の大きさによって決められた選別孔が周壁全体に複数設けられた選別枠とを具備し、
前記送りロールブラシは、内挿軸を軸心としてブラシ毛束が植毛された基台と、その基台の両端には連動輪を具備し、夫々が前記一対のリングの内周壁に当接して摩擦力により連動輪とリングの回転を連動させ、
前記ブラシ毛束の長さは前記選別枠の外表面に到達する長さか若しくは突出する長さであり、前記送りロールブラシを一周する外表面としてブラシ毛束が周方向及び長さ方向に等間隔に配置され、
前記選別ドラムの周方向において前記選別孔には前記ブラシ毛束の毛先の少なくとも1つに相当する面積の前記ブラシ毛束が現れており、前記ブラシ毛束は、前記基台の一周に対して複数が前記送りロールブラシの中心に対して回転する方向の逆方向に傾いて植毛されていることを特徴とする。

【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、送りロールブラシと選別ドラムとは、連動輪とリングとにより動力が連結しているだけであり、極めて駆動系の構成を簡単にすることができる。また、傷付きやすく、また蔕のあるような被選別体に対しても、潰したり傷付けたりしないように選別可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】選別装置の全体的な構成を示した図であり、図1Aは斜視図、図1Bは部分拡大図である。
図2】選別ドラムを説明する図であり、図2A図2Bは異なるタイプの選別枠を示す図、図2Cは一部拡大側面図。
図3】送りロールブラシを示す図であり、図3Aは基体、図3B図3Cは植毛の様子を示す図、図3Dは送りロールブラシの断面図である。
図4】選別装置の作用を示す図である。
図5】従来の選別装置を示す図である。
図6】送りロールブラシと案内部材との位置関係を示す図である。
図7】他の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、柔らかく傷付きやすい被選別体として、ミニトマトを例示して、これの選別に適した選別装置1の例を示して本発明の実施例を説明する。図1A図1Bにおいて、選別装置1は、架台4の上部に回動自在に支持された複数の横倒し状の選別ドラム2と、選別ドラム2の前後に配置された被選別体移送用の案内部材3と、各選別ドラム2に挿入して設けられ、選別された被選別体を受け止めて搬出するための樋状の搬出シュート6とを備えている。案内部材3は、上流の選別ドラム2において、選別孔33に落下しなかった被選別体を受け取る。選別ドラム2は、両端の下側においてベアリング9により回転可能なように支持されている。
【0015】
図2に代表して1つの選別ドラム2の構造を示す。図2Aにおいて、選別ドラム2の周壁は、円筒状に形成された金属板若しくは樹脂板製の円筒状選別枠7aであり、その周壁全体に多数の選別孔33が開口している。選別ドラム2は一対のリング8を有している。図2Cを参照し、一対のリング8の外周の一周にわたって、その内側範囲h1には選別枠7aの端部が橋渡し状に取り付けられている。リング8外周の外側範囲h2は、ベアリング9(図1B参照)により支持される範囲である。選別孔33の直径は、選別される被選別体の大きさによって決定される。リング8の内周の範囲h3は、後述する連動輪15が当接する範囲である。後述する送りロールブラシ10のフランジ16がリング8の内側面8cの内側に位置して、選別ドラム2と送りロールブラシ10との間の軸方向cの位置を規制している。
【0016】
図2Bにおいて、他の形式の選別ドラム2が示されている。選別ドラム2の周壁は、一対のリング8の間に複数の棒状板材(金属板若しくは樹脂板製)を橋渡し状に取り付けられた選別枠7bである。選別枠7bの端部(棒状金属板の端部)は、一対のリング8の外周1周にわたって内側範囲h1に等角度間隔に離散的に取り付けられている。各棒状金属板の間が、選別される被選別体の大きさによって決定される選別孔33である。この選別ドラム2は、やや長細い形状をしたアイコトマト等のミニトマトを被選別体とした場合に好適である。
【0017】
図1Aに戻り、選別装置1は図面右側から左側にかけて、被選別体を搬送する過程で選別を行う。複数の選別ドラム2は、図面右側の選別ドラム2の選別孔33が最も小さく、その次の選別ドラム2がやや大きく、その次の選別ドラム2ではさらに大きくというように構成されている。
【0018】
各選別ドラム2の内側には、送りロールブラシ10が設けられている。図3Aを参照すると、送りロールブラシ10は、内挿軸14を軸心とし、一対の連動輪15、一対のリング8の内側に送りロールブラシ10を位置決めする一対のフランジ16、ブラシ毛束17が植毛される円柱若しくは円筒状の基台18とを具備している。連動輪15は、一対のリング8に対して滑りを減らして当接し、摩擦力により回転が連動するようにゴム製であって、その直径は52mmである。当然のことながら、リング8の内周の半径よりも小さい。ブラシ毛束17は、径0.5mm以下の樹脂製(例えばナイロン製)の毛若しくは馬毛を束ねて直径3-10mmの太さにしたものである。人毛、カツラ毛等も使用することができる。ブラシ毛束17の柔らかさ、硬さは毛丈と毛の太さと毛束の密度(毛束を構成する毛の本数)で調整可能である。図3C図3Dは、基台18の夫々周s1の断面、周s2の断面であり、周s1と周s2は互いに隣接して隣り合う一周を示している。ブラシ毛束17の植え付けの間隔は、基台18の長さ方向に間隔13mmずつ離れた各周に対して、等角度間隔で11個が植え付けられている。また、植え付けの角度αは送りロールブラシ10の中心に対して送りロールブラシ10の回転方向の逆方向に25.2度だけ傾いており、また、ブラシ毛束17の長さは、ブラシ毛束17の毛先が、隣接角度のブラシ毛束17に対して14mm程度離れる長さにしている。この長さは、ブラシ毛束17の毛先が選別枠7a(若しくは選別枠7b)の外表面7sとほぼ同等の位置に到達する長さであり、やや飛び出る程度(外表面7sの面上から20mmまで)なら突出してもよい。基台18の直径は42mmであり、ブラシ毛束17は基台18の表面から12.8mm突出している。基台の直径を変えることで、基台18からのブラシ毛束17の長さが変えられる。さらに、隣接周に植え付けられる毛は植毛される角度が重ね合わないように植毛されており、千鳥状に配置されている。その結果、送りロールブラシ10の外観としては、ブラシ毛束17が12mm~20mm間隔でほぼ周方向及び長さ方向に等間隔に11~20mmのマス目状に配置される。
【0019】
そして、ブラシ毛束17の毛先を辿って送りロールブラシ10を1周したときの円の直径は、70mmである。選別枠7a(若しくは選別枠7b)からのブラシ毛束17の突出長さが長くなればなるほど選別ドラム2のぐらつき変型は大きくなるが、毛丈と毛の太さ及び植え込み密度の選択で防ぐことができる。選別枠7a(若しくは選別枠7b)からのブラシ毛束17の突出長さを長くすればするほど被選別体を斜め方向に押し上げる力が大きくなる。傷つきやすい被選別体に応じて、適した毛丈と毛の太さ及び植え込み密度を採用する。上記各種の寸法は、被選別体の種類に従って最適な数値に変更されることは言うまでも無い。
【0020】
また、選別するどのような被選別体の大きさであっても、ブラシ毛束17の毛先を選別孔33に投影したときには、選別ドラム2の周方向で見たときに少なくとも1つ分の毛先の面積が選別孔33に表れるようにしている。これにより、選別孔33に挟まりそうな大きさの被選別体を突き出す。このときの突き出しは、毛先によるものであり、柔らかい被選別体を傷付ける事は無い。
【0021】
また、選別孔33の大きさ(選別枠7aの場合は直径、選別枠7bの場合は、棒状金属板の間隔)は、被選別体を分類するサイズにより各種設定される。
【0022】
選別ドラム2又は送りロールブラシ10は図示を省略した駆動機構により回転駆動される。本実施例では、送りロールブラシ10を駆動して、選別ドラム2を回転する。選別ドラム2が駆動機構により回転駆動される場合には、送りロールブラシ10はリング8から連動輪15を通して回転駆動される。送りロールブラシ10が駆動機構により回転駆動される場合には、選別ドラム2は連動輪15からリング8を通して回転駆動される。このようにして、選別ドラム2と送りロールブラシ10は、同一方向に回転させるように構成されている。
【0023】
図1Bを参照して、選別ドラム2と送りロールブラシ10との関係をさらに説明する。リング8の内周の半径をRとし、選別枠7a(若しくは7b)の外周までの半径を(R+T)とする。また、送りロールブラシ10側では、連動輪15の半径をrとし、ブラシ毛束17の毛先までの半径を(r+t)とする。ブラシ毛束17の毛先は、選別枠7a(若しくは7b)の外表面7sとほぼ同じか、やや飛び出るように設定してあるので、Tとtはほぼ等しいか、tの方が大きい。ブラシ毛束17の毛先は、選別枠7a(若しくは7b)の外表面7sの面上に突出する長さが長くなるほど、ブラシ毛束17の摩耗の傾向や、内側からの選別ドラム2への圧迫の傾向が高まるが、ブラシ毛束17の長さ、毛の太さ、毛の密度(毛の植え込み本数)を変えて被選別体に適したものを採用すれば対処できる。
【0024】
送りロールブラシ10はリング8の内周の半径Rよりも小さな半径rの連動輪15により回転するから、ブラシ毛束17の毛先(r+tの位置)の周速度vは、選別枠7a(若しくは7b)の外表面(R+Tの位置)の周速度Vよりも早くなる。
【0025】
選別装置1の作用について説明する。選別装置1は、選別ドラム2を回転させながら、選別ドラム2の選別枠7a(若しくは7b)上の被選別体Kを選別ドラム2の選別孔33を介して選別ドラム2内の搬出シュート6に落下させ、または、選別孔33よりも大きい被選別体Kを選別ドラム2内に落下させないで下流側に搬送することによって、被選別体Kを選別する。
【0026】
図4において、選別孔33には、少なくとも1つ以上のブラシ毛束17の毛先の面積で常に、ブラシ毛束17が現れている。ブラシ毛束17の毛先の周速度vは、選別枠7a(若しくは7b)の周速度Vよりも速いため、図4Aのように、ブラシ毛束17が選別孔33の境界の裏側に隠れていたとしても、既に現れていたブラシ毛束17が、選別孔33から見えなくなる前に、選別孔33に現れてくる(図4C)。よって、被選別体Kは、ブラシ毛束17の毛先により選別孔33に落ち込まないようにサポートを受けることになる。柔軟なブラシ毛束17の毛先が被選別体Kと接触することになるため、被選別体Kを傷付けることはない。
【0027】
この際、ブラシ毛束17は、図4Bに示すように、毛先が選別孔33の端に衝突しながら選別孔33に現れてくるかもしれない。連動輪15とリング8との間は歯車で連動しているものではなく、ブラシ毛束17がどのタイミングで選別孔33に表れるか同期を取るような構成ではない。さらに、両者に若干の滑りがあるかもしれない。しかしながら、ブラシ毛束17は、送りロールブラシ10の回転方向に対して角度αだけ傾いて基台18に植毛されており選別孔33の端を抜けやすくなっている。また、1本1本の毛は独立して選別孔33の端を抜けてゆくので、このような衝突があっても、選別枠7a(若しくは7b)自体を変形させることは低減されている。
【0028】
選別装置1では、ブラシ毛束17の毛先の周速度vは、選別枠7a(若しくは7b)の外表面7sの周速度Vよりも速い。図4Dにおいて、選別枠7a(若しくは7b)の周速度Vで送られてきた被選別体Kは、同様に周速度Vで移動している。ブラシ毛束17の毛先は、周速度Vよりも速い周速度vで移動している結果、被選別体Kとブラシ毛束17の毛先が接する箇所においては、周速度vと周速度Vの速度差w(=v-V)により、時計方向に押し出すように付勢される。速度差wにより被選別体Kの蔕xが、ブラシ毛束17の沈み込みに巻き込まれることを抑制する。これに対して、図4Eのような周速度vが遅いローラーGの場合、周速度Vとの速度差wが被選別体Kの進行に対して逆方向に働くことになる。ローラーGが進行する側の選別孔33はローラーGの表面が選別孔33に沈み込む方向に回転しているため、速度差wは選別孔33に引き込む方向に被選別体Kを付勢することになる。
【0029】
本実施例においては、送りロールブラシ10と選別ドラム2とは、連動輪15とリング8とにより動力が連結しているだけであり、極めて駆動系の構成を簡単にすることができる。また、また、傷付きやすく、また蔕のあるような被選別体に対しても、潰したり傷付けたりしないように選別可能である。
【0030】
上記実施において、ブラシ毛束17の毛丈が外表面7sからやや飛び出る程度の場合(外表面7sから20mmまで)、ブラシ毛束17は選別枠7a(若しくは7b)の内面を擦り毛は回転方向後方に曲げられる。一方、ブラシ毛束17が選別孔33に至ると、当該選別孔33に乗っている被選別体はブラシ毛束17がまっすぐになろうとする力で斜め上方に押し上げられ、また選別孔33はブラシ毛束17で塞がれて選別孔33から被選別体は排出され、噛みこむことがなくなる。また、選別孔から押し出されても案内部材3の所にさしかかった選別孔に再び嵌まりこんでも、ブラシ毛束17の長さは選別枠7a(若しくは7b)の外表面7sとほぼ同等の位置に到達する長さ、若しくは突出する長さであるため選別孔と案内部材3の間の隙間が狭くなり、その隙間に被選別対が嵌まりこむことが無くなるので潰れることはない。
【0031】
図6は、送りロールブラシ10と案内部材3との位置関係を示している。案内部材3は、図6Aに示すように、ブラシ毛束17の毛先が外表面7sから内側に沈み込む地点に、物理的に許される程度に選別ドラム2に近い位置配置されるのが望ましい。一方、案内部材3を送りロールブラシ10から離す場合であっても、図6Bに示すように、被選別体Kの半径rtに送りロールブラシ10のブラシ毛束17の毛先までの半径rbを足した半径を有する円dが外表面7sと交差する位置pdよりも案内部材3の先端3aを、前記沈み込む地点から離さないことが望ましい。この場合であっても、案内部材3の先端3aは、物理的に許される程度に選別ドラム2に近い位置に配置されるのが望ましい。円dは、被選別体Kの軌跡であり、案内部材3の先端3aがこの軌跡よりも外側に位置すると、送りロールブラシ10と案内部材3との間に被選別体Kが落ちてくると、被選別体Kは案内部材3と選別ドラム2との間に挟まれ、押しつぶされながら入りこむことが発生するからである。尚、被選別体Kの半径rtは、選別孔33よりもやや大きい値である。
【0032】
上記実施例において、送りロールブラシ10は以下のように変更可能である。
1.上記実施例においては、隣接周に植え付けられる毛は植毛される角度が重ね合わないように送りロールブラシ10に植毛されており、千鳥状に配置されていたが、図7Aに示すように、隣接周に植え付けられる毛の植毛される角度を同じくして、格子状に植毛してもよい。
2.上記実施例においては、送りロールブラシ10の植え付けの角度αは送りロールブラシ10の中心に対して送りロールブラシ10の回転方向の逆方向に25.2度だけ傾けた。図7Bに示すように、放射線状に植毛にすると、送りロールブラシ10の回転方向に対して角度αだけ傾いて基台18に植毛されている場合と比較して、選別孔33の端を抜けにくい。
3.図7Cに示すように、送りロールブラシ10は、ブラシ毛束17が植毛される基台18を、内挿軸14、連動輪15、フランジ16から分離可能なようにして、ブラシ毛束17が摩耗したときには、基台18ごと交換できるようにしている。
4.上記実施例においては、被選別体としてミニトマトを例示して説明したが、球状、楕円球状の作物を被選別体とする選別装置に適用しても良い。
5.上記実施例においては、案内部材3として板材によるガイド板を用いて図示したが、他の形態であっても良い。例えば、特許文献3に示すような送りベルト等のコンベアであってもよい。
6.上記実施例においては、送りロールブラシとして基台にブラシ毛束を植え込む形態のロールブラシを示したが、チャンネルブラシを利用しても良い。チャンネルブラシは、芯線を中心に毛材を折り曲げC型金具で固定したブラシである。チャンネルブラシをシャフト、ドラム等に巻き付けローラー状に固定してロールブラシとする。
【符号の説明】
【0033】
1 選別装置
2 選別ドラム
3 案内部材
4 架台
6 搬出シュート
7a 選別枠
7b 選別枠
7s 外表面
8 リング
8a 外周面
8b 内周面
8c 内側面
9 ベアリング
10 送りロールブラシ
14 内挿軸
15 連動輪
16 フランジ
17 ブラシ毛束
18 基台
24 六角棒
25 ゴム板
33 選別孔


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7