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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】ターゲット位置決め装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 15/00 20060101AFI20240607BHJP
   G01C 15/02 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
G01C15/00 103C
G01C15/02
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020159709
(22)【出願日】2020-09-24
(65)【公開番号】P2022053094
(43)【公開日】2022-04-05
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000161909
【氏名又は名称】京都機械工具株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西村 朋也
(72)【発明者】
【氏名】西岡 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】辻 久裕
【審査官】信田 昌男
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-285681(JP,A)
【文献】特開2019-051786(JP,A)
【文献】特開2009-150706(JP,A)
【文献】特開平11-064165(JP,A)
【文献】特開2018-194536(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 15/00-15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両から所定距離だけ離れた位置にターゲットを設置するためのターゲット位置決め装置であって、
鉛直方向に延びる支柱と、
前記支柱に対して直交する水平方向に延びるように支持されたレールと、
前記レールに、該レールの長手方向に互いに離間して取り付けられた一対の第1レーザー照射装置と、
一対の前記第1レーザー照射装置の少なくとも一方を、前記レールに沿ってスライドさせるスライド機構と、を有し、
一対の前記第1レーザー照射装置は、鉛直面状に広がるレーザーを互いに平行に前記車両に向かって照射可能にそれぞれ構成されていることを特徴とするターゲット位置決め装置。
【請求項2】
請求項1に記載のターゲット位置決め装置において、
前記スライド機構は、一対の前記第1レーザー照射装置を、前記レールの長手方向の中央に対して対称にそれぞれ同期してスライドさせるように構成されていることを特徴とするターゲット位置決め装置。
【請求項3】
請求項2に記載のターゲット位置決め装置において、
前記レールは、該レールの長手方向の中央に前記支柱が位置するように、該支柱に取り付けられていることを特徴とするターゲット位置決め装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載のターゲット位置決め装置において、
前記レールの長手方向における一対の前記第1レーザー照射装置の間の中央に位置するように設けられた第2レーザー照射装置を更に備え、
前記第2レーザー照射装置は、鉛直面状に広がるレーザーを、前記第1レーザー照射装置が照射するレーザーと平行に前記車両に照射可能に構成されていることを特徴とするターゲット位置決め装置。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1つに記載のターゲット位置決め装置において、
前記支柱を支持する基台と、
前記基台に取り付けられた複数のキャスタと、を更に備えることを特徴とするターゲット位置決め装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1つに記載のターゲット位置決め装置において、
前記支柱に支持され、前記車両との距離を測定する距離測定装置を更に備えることを特徴とするターゲット位置決め装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、車両から所定距離だけ離れた位置にターゲットを設置するためのターゲット位置決め装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
昨今、国家的に自動運転システムの開発が推進されている。自動運転システムでは、車両に設けられたカメラやレーダーを用いて、自車両の前側に存在する先行車両や障害物の存在を認識する。このため、自動運転システムの精度を向上させるには、カメラ等を適切に調整する(エーミング作業する)必要がある。
【0003】
カメラ等のエーミング作業は、車両の車幅方向の中心線に沿って車両から所定距離だけ離れた位置に、車両に対して正対するようにターゲットを設置して行われる。ターゲットを車両に対して正対させる方法として、従来は、水糸と逆円錐状の重りとからなる下げ振りを、車両の前部及び後部にそれぞれ設けられたエンブレムに吊り下げて、車両の車幅方向の中心線を出すことで行っていた。
【0004】
例えば、特許文献1では、下げ振りと、互いに逆向きにレーザーを照射可能に配置された2つのレーザーポインターを用いて車両の車幅方向の中心線を表示するようにしている。具体的には、特許文献1では、下げ振りを車両前後のエンブレムにそれぞれ下げて、一方のレーザーポインターから両方の重りの下端を通るようにレーザーを照射し、その後、他方のレーザーポインターを照射することで、車両の車幅方向の中心線を求めている。そして、車両の車幅方向の中心線を求めた後は、該中心線に垂直な線を求めて、該垂線上にターゲットを配置することでターゲットを車両に対して正対させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-194536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の装置では、下げ振りを設置する手間がかかる。また、野外で作業を行うときには、風の影響で重りが揺れてしまうと中心線を割り出すことができず、風がやむまで待たなければならない。また、地面に凹凸がある場合には、レーザーポインターからのレーザーの照射方向を水平にすることが困難である。特許文献1に記載の装置では、中心線を割り出すことができなければ、ターゲットを車両に正対させることが困難になり、エーミング作業の効率が低下してしまう。
【0007】
さらに、特許文献1に記載の装置では、エンブレムに水糸を取り付けるため、エンブレムに傷が入るおそれもある。また、エンブレムに水糸を取り付けることができない場合にはボディ部分に水糸を取り付ける必要があるが、この場合にもボディ部分に傷が入るおそれがある。
【0008】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ターゲットを効率的に車両に正対させて、エーミング作業の効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、ここに開示された技術では、車両から所定距離だけ離れた位置にターゲットを設置するためのターゲット位置決め装置を対象として、鉛直方向に延びる支柱と、前記支柱に対して直交する水平方向に延びるように支持されたレールと、前記レールに、該レールの長手方向に互いに離間して取り付けられた一対の第1レーザー照射装置と、前記一対の第1レーザー照射装置の少なくとも一方を、前記レールに沿ってスライドさせるスライド機構と、を有し、前記一対の第1レーザー照射装置は、鉛直面状に広がるレーザーを互いに平行に前記車両に向かって照射可能にそれぞれ構成されている、という構成とした。
【0010】
この構成によると、ターゲットを効率良く車両に正対させることができる。具体的には、まず、レールを長手方向が車幅方向に延びるように車両の前側に設置する。次に、一対の第1レーザー照射装置をそれぞれ作動させる。次いで、各レーザー照射装置から照射されるレーザーを、車両における車幅方向の中心線を含む鉛直面に対して鏡面対象に設けられた部分(例えば、左右のヘッドライトの車幅方向の内側端や外側端)にそれぞれ合わせる。このとき、車両の表面に表示されるレーザー光の光線が車両前後方向に平行になっているか確認しながら、レーザーの位置を合わせる。レーザー照射装置の位置合わせが完了したときには、レールは車両の車幅方向の中心線(以下、車両中心線という)に対して、垂直な方向に延びた状態となる。また、一対の第1レーザー照射装置の間の中央が車両中心線上に位置するようになる。このため、位置決め装置に取り付けたスクリーンにターゲットを取り付ければ、ターゲットを車両に対して正対した状態にすることができる。
【0011】
このように、車両に設けられたパーツを基準にして、ターゲットを正対させる作業を行うため、風等の影響を受けず、効率的にターゲットを車両に対して正対させることができる。したがって、ターゲットを効率的に車両に正対させて、エーミング作業の効率を向上させることができる。
【0012】
前記ターゲット位置決め装置の一実施形態では、前記スライド機構は、前記一対の第1レーザー照射装置を、同期して対称にそれぞれスライドさせるように構成されている。
【0013】
この構成によると、一対の第1レーザー照射装置の位置合わせを効率的に行うことができる。したがって、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0014】
前記一実施形態において、前記レールは、該レールの長手方向の中央に前記支柱が位置するように、該支柱に取り付けられており、前記スライド機構は、前記一対の第1レーザー照射装置を、前記レールの長手方向の中央に対して対称にスライドさせるようにそれぞれ構成されている、という構成でもよい。
【0015】
この構成によると、一対の第1レーザー照射装置の位置合わせが完了したときには、支柱が車両中心線上に位置するようになる。このため、支柱を基準にターゲットを配置すれば、ターゲットを車両に正対した状態で位置させることができる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0016】
前記ターゲット位置決め装置において、前記レールの長手方向における前記一対の第1レーザー照射装置の間の中央に位置するように設けられた第2レーザー照射装置を更に備え、前記第2レーザー照射装置は、鉛直面状に広がるレーザーを、前記第1レーザー照射装置が照射するレーザーと平行に前記車両に照射可能に構成されている、という構成でもよい。
【0017】
すなわち、一対の第1レーザー照射装置の間の中央は、車両中心線上に位置する。このため、第2レーザー照射装置が照射するレーザーは、車両中心線を含む鉛直面に広がるレーザーである。したがって、第2レーザー照射装置により車両中心線を表示できるようになるため、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0018】
前記ターゲット位置決め装置において、前記支柱を支持する基台と、前記基台に取り付けられた複数のキャスタと、を更に備える、という構成でもよい。
【0019】
この構成によると、基台ごと支柱及びレールを移動及び回転させることができるため、レールを車両に正対させる作業が容易になるとともに、ターゲットを車両に対して所定距離まで移動させる作業も容易になる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0020】
前記ターゲット位置決め装置において、前記支柱に支持され、前記車両との距離を測定する距離測定装置を更に備える、という構成でもよい。
【0021】
この構成によると、ターゲットを車両に対して正対させた状態で、車両に対して所定距離まで移動させる作業がより容易になる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上、ここに開示された技術によると、ターゲットを効率的に車両に正対させて、エーミング作業の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】例示的な実施形態1に係るターゲット位置決め装置の斜視図である。
図2】位置決め装置の正面図である。
図3】レール周辺を拡大して示す拡大図である。
図4】ターゲット位置決め装置を右側から見た側面図である。
図5】レールの支柱に対する支持部分を示す断面図である。
図6】スライド機構を示す図である。
図7】ターゲットの位置決めをする際の動作を示す平面図であって、第1レーザー照射装置を作動させた状態を示す。
図8図7の状態からターゲット位置決め装置を車両に対して正対させた状態を示す平面図である。
図9図8の状態から第2レーザー照射装置を作動させた状態を示す平面図である。
図10図9の状態から距離測定装置を作動させて、ターゲット位置決め装置を所定位置に移動させた状態を示す平面図である。
図11図10の状態からスクリーンを展開して、ターゲットを配置した状態を示す二面図である。
図12】他のエーミング作業を行う際に、ターゲット位置決め装置を車両に対して正対させた状態を示す。
図13】他のエーミング作業を行う際に、ターゲット位置決め装置を所定の位置に移動させた状態を示す。
図14】実施形態1に係るターゲット位置決め装置の変形例を示す。
図15】実施形態2に係るターゲット位置決め装置の斜視図である。
図16】実施形態2に係るターゲット位置決め装置のレール周辺を、右前側かつ上側から見た拡大斜視図である。
図17】実施形態2に係るターゲット位置決め装置によりターゲットの位置決めをする際の動作を示す平面図であって、固定側及び可動側レーザー照射装置を作動させた状態を示す。
図18図17の状態から固定側レーザー照射装置を位置合わせした状態を示す平面図である。
図19図18の状態から可動側レーザー照射装置を位置合わせした状態を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、例示的な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎない。
【0025】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係るターゲット位置決め装置1(以下、単に位置決め装置1という)を示す。この位置決め装置1は、車外を撮像するカメラを有する車両V(図7等参照)に対して、エーミング作業を行う際に用いられる装置である。具体的には、位置決め装置1は、エーミング作業に用いるターゲットT(図11参照)を、車両Vの車幅方向の中心線M(図8等参照、以下、車両中心線Mという)に沿って所定距離だけ離れた位置に設置するための装置である。尚、以下の説明において、上下方向、左右方向、及び前後方向は図1の矢印に従う。
【0026】
位置決め装置1は、鉛直方向に延びる支柱10を有する。支柱10は、四角柱状をなす。支柱10は、各面部に、鉛直方向の延びるガイド溝10aをそれぞれ有する。詳しくは後述するが、このガイド溝10aは、距離測定装置30、レール20、及びスクリーン装置40を支柱に取り付ける各取付具31,23,44を支柱に沿って案内するためのガイド溝である。
【0027】
支柱10は、該支柱10の下端に取り付けられた基台11により支持されている。基台11は、支柱10の位置から放射状に伸びる複数(ここでは4つ)の脚部12を有する。各脚部12の先端には、キャスタ13がそれぞれ取り付けられている。これにより、支柱10は、鉛直方向に延びた状態で、水平方向に回転移動及び平行移動することができる。
【0028】
図1及び図2に示すように、支柱10の鉛直方向の途中には、レール20が取付支持されている。レール20は、支柱10の後側に配置されている。レール20は、支柱10に対して直交する水平方向に延びるように支持されている。レール20は、長手方向の中央に支柱10が位置するように、該支柱10に支持されている。
【0029】
図4及び図5に示すように、レール20は、取付具23により支柱10に取付支持されている。取付具23は、支柱10の周面に沿う枠状をなしている。取付具23の前面部、左側側面部、及び右側側面部の内側部分には、ガイド溝10aに挿入される突出部23aがそれぞれ設けられている。この各突出部23aが各ガイド溝10aにそれぞれ嵌合することで、取付具23ごとレール20が支柱10に沿って上下方向に案内されるようになる。
【0030】
取付具23の後側面部は、レール20の支柱10に対する位置を固定するためのストッパ23bが設けられている。ストッパ23bは、ねじ部を有するつまみと、ねじ部の先端に設けられた押圧部とで構成されている。レール20を支柱10に対して固定するときには、ストッパ23bのつまみを回して、押圧部を支柱10の後側面部に押し付ける一方、レール20を支柱10に対して移動させるときには、ストッパ23bのつまみを固定時とは逆方向に回して、押圧部の支柱10の後側面部に対する押圧力を弱くする。これにより、レール20を、所望の高さ位置で支柱10に対して支持させることができる。
【0031】
図2及び図3に示すように、レール20の上面には、エーミング作業時に車両Vに向かってレーザーを照射する一対の第1レーザー照射装置21が配置されている。第1レーザー照射装置21は、レール20に沿ってスライド可能に構成されている。図4に示すように、各第1レーザー照射装置21は、それぞれ鉛直面状のレーザーを照射可能に構成されている。レーザーが車両Vや地面により遮られたときには、レーザーが照射された部分が線状に表されるようになっている。
【0032】
一対の第1レーザー照射装置21は、レール20の長手方向に離間して配置されている。より具体的には、図2に示すように、一対の第1レーザー照射装置21は、支柱10を通る鉛直面に対して鏡面対称となるようにそれぞれ配置されている。
【0033】
一対の第1レーザー照射装置21は、レール20の長手方向にそれぞれスライド可能である。図3に示すように、レール20の長手方向の両側部分には、長手方向の沿って延びる一対のスライド溝20aが設けられている。一対の第1レーザー照射装置21の一部は、スライド溝20aにそれぞれ嵌合している。
【0034】
レール20内には、一対の第1レーザー照射装置21を、互いに同期して対称にスライドさせるためのスライド機構50が設けられてる。このスライド機構50により、一対の第1レーザー照射装置21は、支柱10を通る鉛直面に対して鏡面対称となるように同期して対称に移動する。
【0035】
スライド機構50は、図6に示すように、所謂ラック&ピニオン機構により構成されている。スライド機構50は、一対のラック51と、各ラック51とそれぞれ係合するピニオン52とを有する。各ラック51の端部には、延設部53がそれぞれ設けられている。具体的には、上側のラック51の左側端部には、左側に向かって延びるように延設部53が取り付けられており、下側のラック51の右側端部には、右側に向かって延びるように延設部53が取り付けられている。上側の延設部53の左側端部及び下側の延設部53の右側端部には、第1レーザー照射装置21と接続される一対の接続部54がそれぞれ設けられている(図6では、右側の接続部54のみを示す)。ピニオン52には、ハンドル55(図3参照)が取り付けられている。各ラック51は、ハンドル55を回転させて、ピニオン52を回転させることで左右方向に移動する。これにより、一対の第1レーザー照射装置21がスライド溝20aに沿って移動する。具体的には、本実施形態1では、ハンドル55を時計回りに回転させると一対の第1レーザー照射装置21が互いに近づくようにスライドし、ハンドル55を反時計回りに回転させると一対の第1レーザー照射装置21が互いに離れるようにスライドする。
【0036】
図4に示すように、一対の第1レーザー照射装置21は、鉛直面状に広がるレーザーを互いに平行に車両Vに照射できるように構成されている。本実施形態1では、一対の第1レーザー照射装置21は、レール20の長手方向に対して直交する方向にレーザーを照射するように、それぞれ構成されている。
【0037】
第2レーザー照射装置22は、図4に示すように、レール20よりも下側の位置で、支柱10に取り付けられている。第2レーザー照射装置22は、一対の第1レーザー照射装置21の対称面上に位置するように配置されている。これにより、第2レーザー照射装置22は、一対の第1レーザー照射装置21の間の中央に位置するようになる。尚、第2レーザー照射装置22は、支柱10におけるレール20よりも上側の位置に設けられていてもよい。
【0038】
第2レーザー照射装置22は、鉛直面状に広がるレーザーを、各第1レーザー照射装置21が照射するレーザー(以下、第1レーザーL1という)と平行に車両Vに照射可能に構成されている。本実施形態1では、第2レーザー照射装置22が照射するレーザー(以下、第2レーザーL2という)は、一対の第1レーザー照射装置21の対称面に沿って広がるレーザーである。言い換えると、第2レーザーL2全体を含む鉛直面が、一対の第1レーザー照射装置21の対称面となっている。
【0039】
図1及び図2に示すように、支柱10の、レール20と基台11との間の部分には、位置決め装置1と車両Vとの距離を測定する距離測定装置30が取付支持されている。距離測定装置30は、支柱10の前側に位置するように配置されている。距離測定装置30は、例えば、赤外線レーザーを用いて車両Vとの距離を測定する構成を有する。距離測定装置30は、車両Vとの距離をユーザが確認するための表示部(図示省略)を有する。尚、車両Vと位置決め装置1との距離が所望の距離になったことが分かりさえすれば、距離測定装置30は、必ずしも表示部を有している必要はない。例えば、距離測定装置30は、車両Vと位置決め装置1との距離が所望の距離になったときに点灯するランプを有していてもよい。
【0040】
距離測定装置30は、取付具31により支柱10に取付支持されている。取付具31の構成は、取付具23と同じであるため、詳細な説明を省略する。距離測定装置30は、取付具31により上下方向の位置を調整可能になっている。
【0041】
図1及び図2に示すように、支柱10のレール20よりも上側の部分には、ターゲットTを取り付けるためのスクリーン装置40が支持されている。スクリーン装置40は、支柱10の前側に位置するように配置されている。スクリーン装置40は、取付具44により支柱10に取付支持されている。取付具44の構成は、取付具23と同じであるため、詳細な説明を省略する。スクリーン装置40は、取付具44により上下方向の位置を調整可能になっている。
【0042】
スクリーン装置40は、スクリーン本体41(図11参照)と、スクリーン本体41を収納する収納部42と、スクリーン本体41が展開されたときに、該スクリーン本体41を支持する支持アーム43(図11参照)とを有する。スクリーン本体41は、巻き取られた状態で収納部42に収納されている。収納部42は、レール20と平行に延びかつスクリーン本体41を巻き取る巻取棒(図示省略)を有する。スクリーン本体41は、前後方向の位置は、前後方向の位置が距離測定装置30の基準点(零点)と一致するように配置されている。
【0043】
支持アーム43は、伸縮可能な2つのリンクで構成されている。支持アーム43は、スクリーン本体41を、鉛直方向とレール20の長手方向との両方に平行な状態で広がるように支持する。支持アーム43は、スクリーン本体41の展開時は上下に延びて、風等によるスクリーン本体41の揺らぎを抑制する一方で、スクリーン本体41の収納時には折り畳まれて、第1及び第2レーザー照射装置21,22のレーザーの光路を妨げないようになっている。
【0044】
次に、図7図11を参照しながら、エーミング作業において、位置決め装置1によりターゲットTの位置決めをするプロセスについて説明する。
【0045】
まず、図7に示すように、位置決め装置1を、第1及び第2レーザー照射装置21,22のレーザーが照射される側(すなわち前側)に車両Vが位置するように配置する。次に、一対の第1レーザー照射装置21及び第2レーザー照射装置22をそれぞれ作動させる。このとき、図7に示すように、面状のレーザーを遮る部分には、レーザーの軌跡が表示される。図7に示す例では、一方の第1レーザーL1-1と第2レーザーL2は地面と車両Vとに遮られていて、地面と車両Vとにレーザーの軌跡が表示される一方で、他方の第1レーザーL1-2は地面のみにより遮られていて、地面のみにレーザーの軌跡が表示される。
【0046】
次いで、図8に示すように、第2レーザーL2の軌跡が車両中心線M上に位置するように位置決め装置1を回転させかつ平行移動させる。例えば、車両Vの前側に設けられたエンブレム等を基準にして、位置決め装置1の位置を合わせることができる。尚、このときには、第2レーザーL2の軌跡が厳密に車両中心線M上に位置している必要はなく、第2レーザーL2の軌跡をおおよそ車両中心線M上に位置させればよい。
【0047】
次に、図9に示すように、各第1レーザーL1-1,L1-2が、車両前側から視認できる部分でありかつ車両Vにおいて車両中心線Mを通る鉛直面に対して鏡面対象となる部分(ここでは、左右のヘッドライトの外側端)をそれぞれ通るように、位置決め装置1の位置及び第1レーザー照射装置21の位置を合わせる。例えば、図8の状態から、各第1レーザー照射装置21をそれぞれスライドさせて、各第1レーザーL1-1,L1-2のうち少なくとも一方がヘッドライトの外側端を通るように位置合わせをする。一対の第1レーザー照射装置21は互いに同期して対称にスライドするため、第2レーザーL2が車両中心線M上に位置していなければ、他方の第1レーザーはヘッドライトの外側端を通らない。逆に言えば、図9に示すように、各第1レーザーL1-1,L1-2が左右のヘッドライトの外側端をそれぞれ通るときには、第2レーザーL2が高い精度で車両中心線M上に位置するようになる。
【0048】
図9に示すように、一対の第1レーザー照射装置21の位置合わせが完了したときには、レール20は、車両中心線Mに対して、垂直な方向に延びた状態となる。また、一対の第1レーザー照射装置21の間の中央が車両中心線M上に位置するようになる。
【0049】
続いて、図10に示すように、距離測定装置30を作動させて、位置決め装置1と車両Vとの距離が、所定距離になるように位置決め装置1を平行移動させる。このとき、例えば、距離測定装置30が赤外線を用いたものであるときには、車両Vのナンバープレートで赤外線が反射されるため、車両Vの前端と位置決め装置1との間の距離を、適切に所定距離にすることができる。
【0050】
そして、位置決め装置1を適切な位置に配置した後は、図11に示すように、第1及び第2レーザー照射装置21,22を停止させるとともに、スクリーン本体41を展開する。そして、スクリーン本体41にターゲットTを配置する。支柱10は車両中心線M上に位置するため、スクリーン本体41における支柱10の位置にターゲットTを配置すれば、ターゲットTは、車両Vに対して正対した状態になる。以上により、ターゲットTの位置決めが完了する。
【0051】
ターゲットTを配置した後は、車外カメラを起動させて、エーミング作業を行えば良い。
【0052】
また、エーミング作業では、ターゲットTを車両の先端部の位置に配置して行うことがある。このときには、図12に示すように、位置決め装置1を車両Vに対して正対させた後、前述とは逆に車両Vに接近させる。そして、図13に示すように、車両前後方向におけるスクリーン本体41の位置が、車両の先端部の位置と一致させる。この後は、前述と同様に、スクリーン本体41を展開して、該スクリーン本体41にターゲットTを配置すればよい。尚、車両の先端部は、例えば、車両前側のナンバープレートの位置やフロントバンパーの突出端部の位置である。距離測定装置30と車両の先端部とが干渉するようなときには、距離測定装置30の取付具31を操作することで、距離測定装置30を車両の先端部と干渉しない位置に移動させればよい。
【0053】
したがって、本実施形態1では、鉛直方向に延びる支柱10と、支柱10に対して直交する水平方向に延びるように支持されたレール20と、レール20に、該レール20の長手方向に互いに離間して取り付けられた一対の第1レーザー照射装置21と、一対の第1レーザー照射装置21をレール20に沿ってそれぞれスライドさせるスライド機構50と、を備え、一対の第1レーザー照射装置21は、鉛直面状に広がる第1レーザーL1を互いに平行に車両Vに向かって照射可能にそれぞれ構成されている。これにより、各第1レーザー照射装置21から照射される第1レーザーL1-1,L1-2を、車両Vにおける車両中心線Mを含む鉛直面に対して鏡面対象に設けられた部分(例えば、左右のヘッドライトの車幅方向の外側端)にそれぞれ合わせたときには、レール20は車両中心線Mに対して、垂直な方向に延びた状態となる。また、一対の第1レーザー照射装置の間の中央が車両中心線M上に位置するようになる。このため、位置決め装置1に取り付けたスクリーン本体にターゲットTを取り付ければ、ターゲットTを車両Vに対して正対した状態にすることができる。
【0054】
このように、車両Vに設けられたパーツを基準にして、ターゲットTを正対させる作業を行うため、風等の影響を受けず、効率的にターゲットTを車両Vに対して正対させることができる。したがって、ターゲットTを効率的に車両Vに正対させて、エーミング作業の効率を向上させることができる。
【0055】
特に、本実施形態1では、スライド機構50は、一対の第1レーザー照射装置21をレール20の長手方向の中央に対して対称にスライドさせるように構成されている。これにより、一対の第1レーザー照射装置21の位置合わせが完了したときには、支柱10が車両中心線M上に位置するようになる。このため、支柱10の位置にターゲットTを配置すれば、ターゲットTを車両Vに正対した状態でかつ車両中心線M上に位置させることができる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0056】
また、本実施形態1では、位置決め装置1は、レール20の長手方向における一対の第1レーザー照射装置21の間の中央に位置するように設けられた第2レーザー照射装置22を更に備え、第2レーザー照射装置22は、鉛直面状に広がる第2レーザーL2を、第1レーザー照射装置21が照射する第1レーザーL1-1,L1-2と平行に車両Vに照射可能に構成されている。これにより、第2レーザー照射装置22により車両中心線Mを視覚的に表示できるようになるため、位置決め装置1をセットする際の大まかなの位置合わせをすることができる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0057】
また、本実施形態1では、位置決め装置1は、支柱10に支持され、車両Vとの距離を測定する距離測定装置30を更に備える。ターゲットTを車両Vに対して正対させた状態で、車両Vに対して所定距離まで移動させる作業がより容易になる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0058】
さらに、本実施形態1では、位置決め装置1は、ターゲットTが取り付けられるスクリーン本体41と、該スクリーン本体41を鉛直方向とレール20の長手方向との両方に平行な状態で広がるように支持する支持アーム43とを有するスクリーン装置40を更に備える。これにより、位置決め装置1の設置が完了したときには、スクリーン本体41を即座にセットすることができる。これにより、エーミング作業の効率をより向上させることができる。
【0059】
また、本実施形態1では、レール20、距離測定装置30、及びスクリーン装置40は、支柱に沿って移動可能な取付具23,31,44によりそれぞれ支持されている。これにより、種々の車高の車両Vに対応できるようになる。
【0060】
図14は、実施形態1に係る位置決め装置の変形例を示す。変形例に係る位置決め装置101は、レール20が前側に配置されている。また、第2レーザー照射装置22は、レール20の上面に固定されている。このような位置決め装置101であっても、前述の位置決め装置101のように、容易にターゲットTを適切な位置に配置することができる。尚、この変形例において、第2レーザー照射装置22はレール20の前面に配置されていてもよい。
【0061】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0062】
図15は、実施形態2に係るターゲット位置決め装置201(以下、単に位置決め装置201という)を示す。以下の説明において、上下方向、左右方向、及び前後方向は図15の矢印に従う。
【0063】
位置決め装置201は、水平方向に延びるレール220を有する。レール220の長手方向の右側端部には、右側支柱211が設けられている。一方で、レール220の長手方向の左側端部には、左側支柱212が設けられている。右側及び左側支柱211,212は、長さ(高さ)を変更可能にそれぞれ構成されている。
【0064】
右側支柱211は、レール220と直交して鉛直下側に向かって伸びている。右側支柱211の下端部には、ボールキャスタ211aが設けられている。
【0065】
図15及び図16に示すように、左側支柱212は、レール220と直交して鉛直下側に向かって延びている。左側支柱212の下端部には、前後方向及び左右方向に延びる4つの支脚部213が設けられている。支脚部213のうち前後方向に延びる2つの支脚部213の上面には、該支脚部213に沿って延びる凸部213aが設けられている。左側支柱212は、該凸部213aと係合する凹部(図示省略)が設けられている。左側支柱212は、支脚部213との係合位置を凸部213aに沿って変更できるようになっている。4つの支脚部213の先端部分には、ボールキャスタ213bがそれぞれ設けられている。
【0066】
レール220の上面には、エーミング作業時に車両Vに向かってレーザーを照射する2つのレーザー照射装置と、ターゲットTが取り付けられるスクリーン装置240とが配置されている。
【0067】
2つのレーザー照射装置のうちの一方は、レール220の左側の端部に固定された固定側レーザー照射装置221(以下、固定レーザー装置221という)である。2つのレーザー照射装置のうちの他方は、レール220の上面に設けられたスライド溝220aに沿ってスライド可能な可動側レーザー照射装置222(以下、可動レーザー装置222という)である。固定レーザー装置221と可動レーザー装置222とは、レール220の長手方向に離間してそれぞれ配置されている。スライド溝220aは、レール220の長手方向に沿って形成されている。固定レーザー装置221及び可動レーザー装置222は、第1レーザー照射装置の一例である。
【0068】
固定及び可動レーザー装置221,222は、鉛直面状に広がるレーザーを互いに平行に車両Vに照射できるように構成されている。本実施形態2では、固定及び可動レーザー装置221,222は、レール220の長手方向に対して直交する方向にレーザーを照射するように、それぞれ構成されている。
【0069】
図15に示すように、スクリーン装置240は、ターゲットTが取り付けられるスクリーン本体241と、スクリーン本体241を支持する支持部242とを有する。支持部242は、下端部が二股に分かれている。支持部242の二股に分かれた部分の先端は、レール220のスライド溝220aとそれぞれ係合している。これにより、支持部242をスライド溝220aに沿って移動させることで、スクリーン本体241をレール220の長手方向に沿って移動させることができる。
【0070】
スクリーン装置240は、可動レーザー装置222と同期して移動するようになっている。スクリーン装置240を可動レーザー装置222と同期して移動させる機構としては、前記実施形態1に示したようなラック&ピニオン機構を用いたものが考えられる。このとき、スクリーン装置240のスライド量は、可動レーザー装置222のスライド量の半分になるように設定されている。尚、スクリーン装置240は、可動レーザー装置22とは独立して移動する構成であってもよい。
【0071】
尚、図示は省略しているが、本実施形態2においても位置決め装置201には、車両Vとの距離を測定するための距離測定装置が設けられている。距離測定装置は、例えば支持部242に取り付けられている。
【0072】
次に、図17図19を参照しながら、エーミング作業において、位置決め装置201によりターゲットTの位置決めをするプロセスについて説明する。
【0073】
まず、図17に示すように、位置決め装置201を、固定及び可動レーザー装置221,222のレーザーが照射される側(すなわち前側)に車両Vが位置するように配置する。次に、固定レーザー装置221を作動させる。このとき、図17に示すように、面状のレーザーを遮る部分には、レーザーの軌跡が表示される。
【0074】
次いで、図18に示すように、固定レーザー装置221が照射するレーザー(以下、固定レーザーL3という)が、車両前側から視認できる部分でありかつ車両Vにおいて車両中心線Mを通る鉛直面に対して鏡面対象となる部分(ここでは、左右のヘッドライトの外側端)を通りかつ上側から見て車両中心線Mに対して平行になるように、位置決め装置201を回転させかつ平行移動させる。このときには、固定レーザーL3が厳密に車両中心線Mに平行である必要はなく、固定レーザーL3の軌跡がおおよそ車両中心線Mに平行になっていればよい。
【0075】
次に、図18に示すように、可動レーザー装置222を起動させる。図18に示す例では、可動レーザー装置222が照射するレーザー(以下、可動レーザーL4という)上には、該可動レーザーL4を遮るものがないため、可動レーザーL4の軌跡は、車両Vの後側端部辺りまで延びる。
【0076】
次いで、図19に示すように、可動レーザーL4が右側のヘッドライトの右側端を通るように、可動レーザー装置222をスライドさせる。このとき、スクリーン装置240も一緒にスライドする。可動レーザーL4が右側のヘッドライトの右側端を通るように可動レーザー装置222を配置した後は、固定及び可動レーザーL3,L4が、上側から見て車両中心線Mと平行になるように、位置決め装置201の位置を微調整する。固定及び可動レーザーL3,L4が車両中心線Mと平行になったか否かは、例えば、固定レーザーL3が途切れる位置と可動レーザーL4が途切れる位置とを比較することで判断可能である。すなわち、一般に車体は左右対称に構成されているため、固定及び可動レーザーL3,L4が左右のヘッドライトの外側端を通りかつ車両中心線Mと平行であれば、前後方向において固定及び可動レーザーL3,L4が途切れる位置は同じになる。したがって、固定及び可動レーザーL3,L4が車両中心線Mと平行になったか否かを判断することができる。
【0077】
図19に示すように、固定及び可動レーザー装置221,222の位置合わせが完了したときには、位置決め装置201が車両Vに対して正対した状態となり、レール220は、車両中心線Mに対して垂直な方向に延びた状態となる。また、固定及び可動レーザー装置221,222の間の中央が車両中心線M上に位置するようになる。
【0078】
そして、位置決め装置201を車両Vに対して正対させた後は、距離測定装置を用いて、車両Vと位置決め装置201とを所定距離だけ離す。その後、スクリーン装置240を車両中心線M上に位置させて、スクリーン本体241にターゲットTを配置する。これにより、ターゲットTの位置決めが完了する。ターゲットTの位置決めが完了した後は、車外カメラを起動させて、エーミング作業を行えば良い。
【0079】
したがって、本実施形態2では、鉛直方向に延びる右側及び左側支柱211,212と、右側及び左側支柱211,212のそれぞれに対して直交する水平方向に延びるように支持されたレール220と、レール220に、該レール20の長手方向に互いに離間して取り付けられた固定側及び可動側レーザー照射装置221,222と、を備え、可動側レーザー照射装置222はレール220に沿ってスライド可能であり、固定側及び可動側レーザー照射装置221,222は、鉛直面状に広がる固定及び可動レーザーL3,L4を互いに平行に車両Vに向かって照射可能にそれぞれ構成されている。この実施形態2の構成でも、車両Vに設けられたパーツを基準にして、ターゲットTを正対させる作業を行うため、風等の影響を受けず、効率的にターゲットTを車両Vに対して正対させることができる。したがって、ターゲットTを効率的に車両Vに正対させて、エーミング作業の効率を向上させることができる。
【0080】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0081】
例えば、前述の実施形態1では、第2レーザー照射装置22が設けられていたが、第2レーザー照射装置22は省略してもよい。このときには、例えば、一対の第1レーザー照射装置21のうち少なくとも一方が照射する第1レーザーL1-1が、ヘッドライトの外側端を通るように位置決め装置1の位置を合わせる。次に、第1レーザーL1-1の軌跡が、車両Vの前後方向と平行になるように位置決め装置1を大まかに位置合わせする。その後、一対の第1レーザー照射装置21の両方の第1レーザーL1-1,L1-2が、ヘッドライトの外側端をそれぞれ通るように、位置決め装置1の位置合わせと各第1レーザー照射装置21のスライドとを繰り返す。以上により、位置決め装置1が車両Vに正対するように、該位置決め装置1をセットすることが可能である。
【0082】
また、前述の実施形態2において、スクリーン装置240の支持部242に、固定及び可動レーザーL3,L4と平行でかつ鉛直面状に広がるレーザーを車両Vに照射可能なレーザー照射装置が設けられていてもよい。これにより、スクリーン装置240を車両中心線M上に位置させやすくなる。
【0083】
また、前述の実施形態1及び2では、位置決め装置1,201は、スクリーン装置40,240を予め備えていた。これに限らず、スクリーン装置40,240は、位置決め装置1,201を車両Vに対して正対させた後に、位置決め装置1,201に取り付けるようにしてもよい。
【0084】
また、前述の実施形態1及び2では、位置決め装置1,201を車両Vに対して正対させる際に、第1レーザーL1(固定及び可動レーザーL3,L4)の目標として、左右のヘッドライトを用いていた。これに限らず、車両前側から視認できる部分でありかつ車両Vにおいて車両中心線Mを通る鉛直面に対して鏡面対称となる部分であれば、任意の目標を採用することができる。例えば、左右の車輪の外側端や左右のルーフピラーの下端などを目標として採用することができる。
【0085】
また、前述の実施形態1及び2では、ターゲットTを車両中心線Mの延長線上に配置していた。これに限らず、位置決め装置1,201を車両Vに対して正対させた後、車両中心線Mに対して左右に離れた位置にターゲットTを配置するようにしてもよい。
【0086】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0087】
ここに開示された技術は、車両の車幅方向の中心線の延長線上にターゲットを設置するためのターゲット位置決め装置として有用である。
【符号の説明】
【0088】
1 ターゲット位置決め装置
10 支柱
11 基台
13 キャスタ
20 レール
21 第1レーザー照射装置
22 第2レーザー照射装置
30 距離測定装置
201 ターゲット位置決め装置
211 右側支柱
212 左側支柱
211a ボールキャスタ
213b ボールキャスタ
220 レール
221 固定側レーザー照射装置(第1レーザー照射装置)
222 可動側レーザー照射装置(第1レーザー照射装置)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19