(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
A63F7/02 320
(21)【出願番号】P 2021069417
(22)【出願日】2021-04-16
(62)【分割の表示】P 2016188422の分割
【原出願日】2016-09-27
【審査請求日】2021-04-16
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-27
(73)【特許権者】
【識別番号】599104196
【氏名又は名称】株式会社サンセイアールアンドディ
(74)【代理人】
【識別番号】110002158
【氏名又は名称】弁理士法人上野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 貴晶
【合議体】
【審判長】藤田 年彦
【審判官】澤田 真治
【審判官】渋谷 知子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-196480(JP,A)
【文献】特開2016-83210(JP,A)
【文献】特開2014-158821(JP,A)
【文献】特許第5799309(JP,B1)
【文献】特許第5965521(JP,B1)
【文献】特開2014-151004(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
当否判定結果を示す識別図柄および当該識別図柄の背景画像を表示する表示手段と、
所定の領域に遊技球が進入したことを契機として当否判定情報を取得する当否判定情報取得手段と、
所定数を限度として前記当否判定情報を記憶する記憶手段と、
前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報が特定情報であり、かつ、当該特定情報よりも先に前記当否判定情報取得手段によって取得されて前記記憶手段に記憶される先の当否判定情報に基づく所定の禁止条件が成立していない場合には、当該特定情報取得時に実行されている実行中演出に代えて当該実行中演出とは異なる前記背景画像が表示されるとともに前記識別図柄が小さく変化する突発演出を開始させ
、前記特定情報に対応する当否判定結果が報知されるよりも前に当該突発演出を終了させて当該突発演出とは異なる所定の演出の結末により当否判定結果が報知されるようにする演出制御手段と、
を備えることを特徴とする遊技機。
ただし、前記特定情報に対応する当否判定結果は、当たり確定ではないものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの遊技機では、当否判定結果を踏まえ、各当否判定結果を報知する演出を決定する(変動毎にそれに応じた演出を決定する)のが一般的である(例えば、下記特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、趣向性の高い演出の変化を実現することが可能な遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するためになされた本発明にかかる遊技機は、当否判定結果を示す識別図柄および当該識別図柄の背景画像を表示する表示手段と、所定の領域に遊技球が進入したことを契機として当否判定情報を取得する当否判定情報取得手段と、所定数を限度として前記当否判定情報を記憶する記憶手段と、前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報が特定情報であり、かつ、当該特定情報よりも先に前記当否判定情報取得手段によって取得されて前記記憶手段に記憶される先の当否判定情報に基づく所定の禁止条件が成立していない場合には、当該特定情報取得時に実行されている実行中演出に代えて当該実行中演出とは異なる前記背景画像が表示される突発演出を開始させる演出制御手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明にかかる遊技機によれば、趣向性の高い演出の変化を実現することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】(a)は表示装置(表示領域)に表示された保留表示および識別図柄を模式的に示した図であり、(b)は保留表示の種類を示した図である。
【
図3】突発演出発生前から突発演出発生後に至るまでの演出の流れを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明にかかる遊技機1の一実施形態について図面を参照して詳細に説明する。まず、
図1を参照して遊技機1の全体構成について簡単に説明する。
【0009】
遊技機1は遊技盤90を備える。遊技盤90は、ほぼ正方形の合板により成形されており、発射装置908(発射ハンドル)の操作によって発射された遊技球を遊技領域902に案内する通路を構成するガイドレール903が略円弧形状となるように設けられている。
【0010】
遊技領域902には、表示装置91、始動入賞口904(本発明における所定の領域に相当する)、大入賞口906、アウト口などが設けられている。かかる表示装置91の表示領域911は、遊技盤90に形成された開口901を通じて視認可能となる領域である。なお、表示領域911の形状等は適宜変更可能である(開口901の形状や大きさ、表示装置91自体の形状や大きさを変更することで表示領域911の形状等を変更することができる)。
【0011】
また、遊技領域902には、流下する遊技球が衝突することにより遊技球の流下態様に変化を与える障害物としての遊技釘が複数設けられている。遊技領域902を流下する遊技球は、遊技釘に衝突したときの条件に応じて様々な態様に変化する。
【0012】
このような遊技機1では、発射装置908を操作することにより遊技領域902に向けて遊技球を発射する。遊技領域902を流下する遊技球が、始動入賞口904や大入賞口906等の入賞口に入賞すると、所定の数の賞球が払出装置により払い出される。
【0013】
大当たりの抽選は、図示されない主制御基板に構築された制御回路である当否判定手段が始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として実行する(このような始動入賞口は複数設けられていてもよい)。具体的には、始動入賞口904への遊技球の入賞を契機として乱数源から数値(以下、当否判定情報と称することもある)が取得され(当否判定情報取得手段が当否判定情報である当該数値を取得し)、当該数値が予め定められた大当たりの数値と同じである場合には大当たりとなり、異なる場合にははずれとなる。本実施形態では、当該数値が取得された順に当否判定結果の報知が開始される(いわゆる変動が開始される)こととなるが、ある数値が取得されたときに、それより前に取得された数値に基づく当否判定結果が報知されている際には、当該ある数値に基づく当否判定結果が開始されるまで、図示されない制御基板に設けられた記憶手段に記憶される。未だ当否判定の報知が開始されていない数値(以下単に保留(保留情報)と称することもある)の最大の記憶数(最大保留数)は適宜設定することができる。本実施形態における記憶手段が記憶できる最大保留数は、一種の始動入賞口904につき四つである。記憶手段に記憶されている保留情報は、保留表示20として表示領域911に表示される(
図2(a)参照)。なお、本実施形態では、当否判定の報知が開始される時点で、取得された数値が大当たりとなる数値か否かが判断されることとなるが、数値が取得されたときに当否判定を行い、当否判定結果自体を記憶させておく構成としてもよい(この場合には当否判定結果自体が、当否判定情報に相当することとなる)。また、取得された数値は、当否判定結果を報知する演出の具体的な内容を決定するための数値としても利用される。
【0014】
本実施形態では、保留表示20の態様として、当否判定結果が大当たりとなる蓋然性(いわゆる大当たり期待度。以下単に大当たり期待度ということもある)が異なる複数種の態様が設定されている。本実施形態では、期待度の低いものから順に、通常態様20n、第一特殊態様21s、第二特殊態様22s、第三特殊態様23sが設定されている(
図2(b)参照)。本実施形態では、各態様の差は、保留表示20の色で差別化されている(各図においては、当該色を文字で表現している)。ただし、各態様の差をどのように設定するかや、態様の種類の数等は適宜変更可能である。
【0015】
なお、遊技機1の枠体、遊技球を貯留する下皿や上皿など、本発明に関係のない遊技機1の構成要素は説明を省略する。これらについては公知の遊技機と同様の構造のものが適用できる。
【0016】
本実施形態では、公知の遊技機と同様に、表示装置91の表示領域911に表示される識別図柄10(
図2(a)参照)の組み合わせによって当否判定結果を遊技者に報知する。具体的には、複数種の識別図柄10含む識別図柄群10g(左識別図柄群10gL、中識別図柄群10gC、右識別図柄群10gR)が変動を開始し、最終的に各識別図柄群10gから一の識別図柄10が選択されて停止する。大当たりに当選している場合には各識別図柄群10gから選択されて停止した識別図柄10の組み合わせは所定の組み合わせ(例えば、同じ識別図柄10の三つ揃い)となる。はずれである場合にはそれ以外(大当たりとなる組み合わせ以外)の組み合わせとなる。なお、各図においては、識別図柄10を構成する「数字(文字)」のみを図示するが、当該数字とキャラクタ等が組み合わされた図柄を識別図柄10として設定することができる。
【0017】
本実施形態にかかる遊技機1では、遊技の趣向性を向上させるための種々の演出が実行される。本実施形態では、図示されない演出制御基板(サブ制御基板)によって各種演出が制御される(当該演出制御基板に構築された制御回路が本発明における演出制御手段に相当する)。本実施形態にかかる遊技機1は、当該演出の一種として、突発演出(本発明における特定演出に相当する)を実行することが可能である。以下、当該突発演出について詳細に説明する。
【0018】
突発演出は、取得された当否判定情報が特定情報である場合(乱数源から取得された数値が所定の値である場合)に実行される演出である。通常、ある当否判定結果を報知する演出は、それよりも先に当否判定情報が取得された当否判定結果(先の当否判定結果)の報知が全て完了してから開始される。つまり、ある当否判定結果を報知るための識別図柄10(識別図柄群10g)の変動開始とともに開始されるのが一般的である。したがって、新たに当否判定情報が取得されたときであっても、先の当否判定結果を報知する演出が実行されているときには、当該演出がそのまま継続的に実行されるため、新たに当否判定情報を取得したことを契機とする保留表示20が表示される、識別図柄10の表示が継続される(詳細は後述)といった点を除き、新たな当否判定情報の取得が実行中である演出(以下、実行中演出と称することもある)に反映されることはない。換言すれば、突発演出が開始されることにより、少なくとも背景画像が、実行中演出のものから突発演出のものに切り替わるということがいえる。
【0019】
突発演出は、特定情報が取得されたことを契機として、実行中演出に代わっていきなり開始されるものである。つまり、特定情報が取得されたときには、実行中演出を強制的に終了させ、それに代わって突発演出を開始させる。なお、本実施形態では、実行中演出が設定されていないとき、すなわち全ての当否判定結果の報知が完了しているときに特定情報が取得されたときにも、当該突発演出と同様の演出が開始されることになるが、以下では、実行中演出に代えて実行される突発演出(つまり、全ての当否判定結果の報知が完了していないときに発生する突発演出)について説明する。
【0020】
本実施形態における突発演出は、少なくとも、表示領域911に表示される演出映像と、スピーカ94から出力される演出音と、遊技機1の枠体等に設けられた発光部材93から出力される演出光とから構成される。つまり、これらが突発演出の演出要素として設定されている。各演出要素の具体的な態様はどのようなものであってもよい。突発演出の開始タイミングは特定情報が取得されたタイミングであるため、突発演出のトータルの時間は不定である。ゆえに、各演出要素は時間とともに変化する所定の演出態様のものが、一定時間間隔でループするように出力されるよう構成されていればよい。つまり、演出映像は、一定時間の映像を当該時間が経過する度に最初から開始されるようにして表示領域911に出力される。演出音は、一定時間の音楽を当該時間が経過する度に最初から開始されるようにしてスピーカ94から出力される。演出光は、一定時間の発光パターンを当該時間が経過する度に最初から開始されるようにして発光部材93が制御される。各演出要素をループさせるタイミングは一致するようにするとよい。このようにすることで、映像、音、光がリンクした突発演出とすることが可能である。
【0021】
なお、このように、本実施形態における突発演出は、演出態様が経時的に変化していくものであるが、演出継続中、いずれかの演出要素による演出態様が維持される構成としてもよい。例えば、演出映像として静止画が出力され続ける構成としてもよい。また、本実施形態では、突発演出中においても、識別図柄10は表示され続ける。突発演出において識別図柄10が専用の態様で表示されるようにしてもよい。このような構成とする場合には、実行中演出に合わせて表示されていた識別図柄10は、突発演出が開始されることを契機として専用の態様で表示された状態に変化する。本実施形態では、突発演出中は、識別図柄10が表示領域911の隅に目立たないように小さく表示される。
【0022】
突発演出は、少なくとも、特定情報に対応する当否判定結果(以下、対象の当否判定結果と称することもある)を報知するための識別図柄10(識別図柄群10g)の変動が開始されるまで継続する。特定情報に対応する保留表示20を特定保留表示201(見た目は通常の保留表示20と何ら変わるところはない)とすれば、当該特定保留表示201が表示されてから、当該特定保留表示201が保留表示20として表示されない状態まで継続する。ただし、当否判定結果を報知する演出が開始され、未だ当否判定結果の報知が完了していないもの、いわゆる当該変動に対応する表示(当該変動表示)が表示される設定である場合には、特定保留表示201に対応するものが当該変動表示に移行するまで継続することになる。このように、突発演出は、対象の当否判定結果よりも先の当否判定結果の全ての報知が完了した後の所定時点まで継続する。ただし、対象の当否判定結果を報知するための識別図柄10(識別図柄群10g)の変動が開始されるより前に突発演出が終了することがあってもよい。
【0023】
本実施形態では、突発演出終了後は、所定の演出に移行し、当該演出の結末により当否判定結果が報知される。当該所定の演出は一種のみであってもよい(突発演出の後に実行される専用の演出が設定されていてもよい)し、複数種設定されていてもよい。また、このような所定の演出が発生せず、突発演出自体の結末によって対象の当否判定結果が報知されるように設定されていてもよい。なお、本実施形態における突発演出は、発生することによって対象の当否判定結果の大当たり期待度と称することもあるが(発生しない場合に比して)高まる演出として設定されている。発生したときの大当たり期待度は適宜設定することができる。突発演出の発生によって対象の当否判定結果が大当たりとなることが確定する設定としてもよい。
【0024】
本実施形態では、当否判定情報として特定情報が取得された場合であっても、それを契機として突発演出を発生させないことがある。具体的には、特定情報が取得されたときであっても、所定の禁止条件が成立しているときには、突発演出を発生させない。本実施形態では、特定情報よりも先に取得された当否判定情報(以下、先の保留情報と称することもある)に基づく禁止条件が設定されている。具体的には次の通りである。なお、禁止条件は、種々の観点から設定することができるものであるため、以下に示す条件はあくまで例示である。また、このような禁止条件が設定されていない構成とすることもできる。つまり、特定情報が取得された場合、どのような状況であっても、突発演出が開始される構成とすることもできる。
【0025】
・第一禁止条件(
図4(a)参照)
先の保留情報にいわゆるリーチ状態が成立するものが存在する場合には、突発演出を発生させない。リーチ状態は、当否判定結果を報知する複数の識別図柄10のうちのいずれかが停止または擬似的に停止(遊技者には停止しているようにみえる態様(図柄がわずかに揺れているような態様が例示できる)をいう。以下同じ)した状態であって、当該時点において遊技者視点で大当たりとなる可能性が残っているものをいう。本実施形態では、左識別図柄群10gL、中識別図柄群10gC、右識別図柄群10gRのうちの二つから選択されて停止または擬似的に停止した図柄が同じであり、残りの一つの識別図柄群10gが変動中である状態をいう。つまり、残りの一つの識別図柄群10gから選択される識別図柄10が、他の識別図柄群10gから選択されたものと同じとなれば、大当たりとなる状態である。当該リーチ状態は、遊技者に対して当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示すものであって、遊技者に期待をもたせる状態(演出)であるため、その発生頻度が低下すると興趣が低下するおそれがある。そのため、先の保留情報にリーチ状態となるものが存在する場合を、禁止条件として設定している。なお、リーチ状態が成立するものに対応する当否判定結果が最終的に大当たりとなるか否かは問わない。
【0026】
・第二禁止条件(
図4(b)参照)
先の保留情報について、いわゆる連続演出を発生させることになるものが含まれている場合には突発演出を発生させない。連続演出としては、いわゆる擬似連続演出や先読み連続演出が例示できる。これらの連続演出は公知の演出であるため詳細な説明を省略する。擬似連続演出は、はずれを示す組み合わせで変動する識別図柄10を擬似的に停止させ、再び変動を開始することを一または複数回繰り返す演出である。基本的には、一つの当否判定結果を報知する演出中に当該繰り返しが発生する。先読み連続演出は、はずれを示す所定の組み合わせ(チャンスであることを示す組み合わせ等)で変動する識別図柄10を停止させ、再び変動を開始することを一または複数回繰り返す演出である。つまり、ある当否判定結果を報知するに際し、それよりも先に完了する一または複数の当否判定結果を報知する演出を利用するものである。一般的には、両連続演出とも、停止または擬似的な停止から再変動する回数が多くなればなるほど、大当たり期待度が高くなるように設定される。これらの連続演出は、遊技者に対して当否判定結果が大当たりとなる蓋然性が高まったことを示すものであって、遊技者に期待をもたせる状態(演出)であるため、その発生頻度が低下すると興趣が低下するおそれがある。そのため、先の保留情報について、いわゆる連続演出を発生させることになるものが含まれている場合を、禁止条件として設定している。
【0027】
・第三禁止条件(
図4(c)参照)
先の保留情報に当否判定結果が大当たりとなるものが含まれている場合には突発演出を発生させない。当否判定結果が大当たりとなる場合、大当たり遊技が実行されることになるため、このような先の保留情報が存在している場合を禁止条件として設定している。当否判定結果が大当たりとなる場合には、必ず上記リーチ状態を経るように設定された構成においては、リーチ状態の成立の有無に基づく禁止条件(第一禁止条件)により本条件をカバーすることができるから、禁止条件として設定されていなくてもよい。大当たりが確定するいわゆる全回転演出(公知であるため説明は省略する)等、リーチ状態を経ずに大当たりに当選する可能性がある構成においては、本条件を禁止条件として設定する必要がある。
【0028】
・第四禁止条件(
図4(d)参照)
先の保留情報に対応する保留表示20に特殊態様21s、22s、23sとなったものが存在する場合には突発演出を発生させない。保留表示20が特殊態様21s、22s、23sとなった場合、遊技者は当該保留表示20に対応する当否判定結果が大当たりとなることに期待することになるから、その期待を裏切らないようにすることで、趣向性の低下を抑制する。ただし、保留表示20が特殊態様21s、22s、23sとなった場合には、必ず上記リーチ状態が成立するように設定された構成においては、リーチ状態の成立の有無に基づく禁止条件(第一禁止条件)により本条件をカバーすることができるから、禁止条件として設定されていなくてもよい。保留表示20が特殊態様21s、22s、23sとなった場合であっても、リーチ状態が成立しない可能性がある構成においては、本条件を禁止条件として設定する必要がある。
【0029】
・第五禁止条件(図示せず)
先の保留情報が所定数未満のときは突発演出を発生させないようにする。例えば、先の保留情報の数が2未満(1以下)であるときには、突発演出を発生させないようにする。突発演出は、複数の保留に跨って実行される演出(先読み演出)であるともいえるため、先の保留情報の数が少ない場合にはその効果が低下してしまうとして、先の保留情報の数に基づく禁止条件を設定してもよい。
【0030】
このように、本実施形態にかかる遊技機1では、特定情報が取得されたときには、実行中演出がいきなり突発演出に変化する可能性がある。つまり、当否判定情報の取得によっていきなり演出が切り替わる従来にない演出の変化を実現することが可能である。
【0031】
また、本実施形態では、突発演出が発生したときであっても、少なくとも保留情報の存在を示す保留表示20を示す画像はそのまま維持され、表示され続ける。なお、ここでいう「維持される」とは、保留表示20を示す画像が全く変化しないということではなく、保留表示20の表示態様がそのまま維持されるということである。つまり、当否判定情報の取得や当否判定結果の報知により、保留表示20が増減することは許容する趣旨である。突発演出は特定情報が取得されたことを契機として発生するものであるため、突発演出発生時の保留数は、突発演出が発生する直前の保留数よりも多い(+1である)。ゆえに、それに合わせた保留表示20の増加は発生する。このように、保留表示20がそのまま表示され続けるようにすることで、保留情報に対応する当否判定結果が全て報知されてしまったのではないかと遊技者が勘違いしてしまうこと等を防止しつつ、インパクトのある演出の変化を実現することが可能である。
【0032】
また、本実施形態では、保留表示20と同様に、突発演出が開始された後も識別図柄10が表示され続けるため、先の保留表示20に対応する当否判定結果がどのようなものとなったかが分からないといった状況の発生を防止することが可能である。
【0033】
以下、上記実施形態にかかる遊技機1を変形、改良等した具体例について説明する。なお、特に明示した場合を除き、以下で説明する具体例の技術思想を単独で適用した構成としてもよいし、複数適用した構成としてもよい。
【0034】
○第一具体例(
図3参照)
突発演出が実行されている最中(突発演出の開始から終了まで)においては、表示される全ての保留表示20の態様が通常態様20nに維持される。保留表示20が特殊態様21s、22s、23sとされると、かかる特殊態様21s、22s、23sとなった保留表示20に対応する当否判定結果が突発演出の対象であることが容易に分かってしまうからである。このように突発演出の対象となる保留が容易に分かってしまうと、突発演出がどこまで継続するのか想像するといった演出の楽しみがなくなってしまうおそれがある。よって、突発演出が実行されている最中においては、全ての保留表示20の態様(特定情報に対応する保留表示20以外の保留表示20も含む)が通常態様20nに維持されることが好ましい。
【0035】
なお、禁止条件として上記第四禁止条件が設定されている場合には、突発演出開始時には、特定情報よりも先に取得された当否判定情報である先の保留情報に対応する保留表示20は必ず通常態様20nであることになる。したがって、特定情報に対応する保留表示20、および特定情報よりも後(突発演出が開始された後)に取得された当否判定情報(新たな保留)に対応する保留表示20を通常態様20nとすればよい。また、禁止条件として上記第四禁止条件が設定されておらず、突発演出開始時(開始直前)に特定態様の保留表示20が表示されている可能性がある場合には、突発演出が開始されると同時に当該特定態様を通常態様20nに変化させ、それを突発演出終了まで維持するように制御するとよい。
【0036】
○第二具体例(
図5参照)
第一具体例とは異なる保留表示20の制御例である。突発演出の開始されたタイミング(開始直後)においては、表示される全ての保留表示20の態様が通常態様20nとされる(
図5(a)(b)参照)。このようにすることで、突発演出が開始されてからすぐに突発演出がどの保留表示20に対応するものであるのかが容易に分かってしまうことによる趣向性の低下を抑制することが可能である。
【0037】
つまり、本例は、第一具体例と異なり、突発演出が開始されてから所定期間経過後の保留表示20の態様変化は許容するものである。本例では、演出の途中で保留表示20の態様が変化することがあるから、突発演出と保留表示20の変化が相まって、演出の趣向性を高めることが可能であるという利点がある。
【0038】
保留表示20の態様変化を許容するタイミングとしては、突発演出が開始されてから少なくとも一つの当否判定結果の報知が完了した時点を例示することができる。換言すれば、突発演出が開始された後、当否判定結果が報知されることにより、各保留表示20の位置(保留消化順)が一つずつ繰り上がった時点以降には、保留表示20の態様が変化する(保留変化演出が発生する)可能性がある設定とすることが考えられる(
図5(c)参照)。
【0039】
なお、保留表示20の態様変化は、特定保留表示201に限り発生するようにすることもできるし、特定保留表示201以外の保留表示20について発生する可能性があるように設定することもできる(
図5(c)には、特定保留表示201の態様が変化した例を示す)。前者を採用すれば、突発演出の対象となっている保留表示20を分かりやすく示すこと、および、当該保留表示20に対応する当否判定結果が大当たりとなる期待度を、保留表示20の変化によっても示唆することが可能である。後者を採用すれば、突発演出の対象となっている保留表示20以外についても態様変化が発生することになるため、突発演出の対象となっている保留表示20を分かりにくくすること(意外性のある演出とすること)が可能である。
【0040】
また、保留表示20が変化するかもしれないということを遊技者にみせるための演出であって、保留表示20の態様が変化する結末に至る可能性もあれば、保留表示20の態様が変化する結末に至らない可能性がある保留変化示唆演出につき、本例と同様の技術思想を適用してもよい。つまり、突発演出が開始されてから少なくとも一つの当否判定結果の報知が完了した時点より以降は、保留変化示唆演出が発生する可能性がある構成とする。また、保留変化示唆演出の対象となる保留表示20は、特定保留表示201に限る構成としてもよいし、特定保留表示201に限られない構成としてもよい。
【0041】
○第三具体例(
図6参照)
所定の範囲を動作可能な可動部材92(いわゆる可動役物)を備えている場合の制御例である。具体的な可動部材92の態様や駆動機構等はどのようなものであってもよいから説明を省略する。可動部材92と詳細を後述するような発光部材93が一体化された構成であってもよい。可動部材92は、原位置と一または複数の演出位置との間を動作することが可能なものとする。原位置と演出位置との間の移動によって形態や色等が変化するものであってもよい。
【0042】
特定情報が取得されたとき、可動部材92が原位置に位置していない可能性がある。つまり、実行中演出について、可動部材92を用いた演出が実行されている可能性は否定できない。このようなことを考慮し、特定情報が取得されて突発演出が開始されるときに可動部材92が原位置に位置していない場合(
図6(a)参照)には、即座に可動部材92を原位置に戻す(形態や色等が変化するものである場合には原位置での形態や色等に戻す)(
図6(b)参照)。このような構成とすれば、突発演出の開始によって強制的に可動部材92が原位置に変位することになるため、演出の変化が分かりやすい。さらにいえば、原位置に位置していなかった可動部材92が何の脈絡もなく突然原位置に戻るという従来にない一連の演出が発生し得ることになる。
【0043】
なお、特定情報が取得されたときに可動部材92が原位置に位置しているときには、突発演出が開始された後も、その状態が維持される。
【0044】
○第四具体例(
図7参照)
発光色を切り替えることができる等、種々の発光態様に変化可能な発光部材93(光源が一つであってもよいし、複数の光源を備えた発光ユニットであってもよい)を備えている場合の制御例である。発光部材93は、実行中演出に対応した発光態様で点灯していることがある。このような状況において、特定情報が取得されて突発演出が開始されるときには、実行中演出に対応した発光態様(
図7(a)参照)から即座に突発演出に対応した発光態様(演出光)に切り替える(
図7(b)参照)。このような構成とすれば、突発演出の開始によって強制的に発光部材93の発光態様が切り替わることになるため、演出の変化が分かりやすい。さらにいえば、実行中演出に対応して発光していた発光部材93(例えば、実行中演出に対応して規則的に発光していることが考えられる)が何の脈絡もなく突然異なる発光態様に切り替わるという従来にない一連の演出が発生し得ることになる。
【0045】
○第五具体例(
図8参照)
演出用の効果音を出力するスピーカ94(音出力装置)を備えている場合の制御例である。スピーカ94は、実行中演出に対応した演出用の効果音を出力していることがある。このような状況において、特定情報が取得されて突発演出が開始されるときには、実行中演出に対応した効果音(
図8(a)参照)から即座に突発演出に対応した効果音(演出音)に切り替える(
図8(b)参照)。このような構成とすれば、突発演出の開始によって強制的にスピーカ94から出力される音の態様が切り替わることになるため、演出の変化が分かりやすい。さらにいえば、実行中演出に対応した所定の旋律の音楽が出力されている状態から、何の脈絡もなく全く異なる旋律の音楽が出力される状態に切り替わるという従来にない一連の演出が発生し得ることになる。
【0046】
○第六具体例
上記実施形態における突発演出は、特定情報が取得されたことを契機として開始されるものであることを説明したが、それ以外のタイミングで開始されてもよい。例えば、特定情報が取得された後、当該特定情報の取得時に既に報知が開始されている当否判定結果や先の保留情報に対応する当否判定結果が順に報知されていくことになるところ、当該特定情報の取得時に既に報知が開始されている当否判定結果や先の保留情報に対応する当否判定結果が完了することを契機として、当該特定情報に対応する突発演出が発生する可能性があるようにしてもよい。つまり、特定情報に対応する保留の消化順が一つ繰り上がったこと(特定保留表示201の表示位置が移動すること)を契機として突発演出が発生する可能性があるようにしてもよい。上記実施形態のように、特定情報が取得されたことを契機として即座に突発演出が発生することもあれば、特定情報に対応する保留の消化順が一つ繰り上がったことを契機として突発演出が発生することもある、といった構成としてもよい。
【0047】
このように、保留消化順が繰り上がったことを契機として突発演出が発生する可能性がある構成とすることで、従来にない演出の変化を実現することが可能である。
【0048】
以上、本発明の実施の形態(具体例)について詳細に説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の改変が可能である。
【0049】
上記実施形態から得られる具体的手段(遊技機)を以下に列挙する。
・手段1
所定の領域に遊技球が進入したことを契機として当否判定情報を取得する当否判定情報取得手段と、前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報が特定情報であり、かつ、所定の禁止条件が成立していない場合には、当該特定情報取得時に実行されている実行中演出がどのような演出であっても、当該特定情報の取得を契機として当該実行中演出の代わりに特定演出を開始させる演出制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
手段1にかかる遊技機によれば、特定情報が取得されたときには、実行中演出がいきなり特定演出に変化する可能性があるという従来にない演出の変化を実現することが可能である。
【0050】
・手段2
前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報を、保留情報として所定数を限度に記憶する記憶手段を備え、前記禁止条件の少なくとも一部は、前記記憶手段に記憶されている前記保留情報がどのような情報かに基づき成立の有無が判断されるものであることを特徴とする手段1に記載の遊技機。
このように、保留情報の内容によっては、特定演出が実行されないようにすることで、特定演出が開始されることによって重要な演出が実行されなくなってしまう等の不具合の発生を防止することが可能である。
【0051】
・手段3
前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報を、保留情報として所定数を限度に記憶する記憶手段を備え、前記特定演出の開始時には、表示装置に表示される画像について、前記保留情報の存在を示す保留表示を示す画像は維持されることを特徴とする手段1または手段2に記載の遊技機。
このように、特定演出が開始される場合に、保留情報の存在を示す保留表示は維持されるようにすることで、保留情報に対応する当否判定結果が全て報知されてしまったのではないかと遊技者が勘違いしてしまうこと等を防止しつつ、インパクトのある演出の変化を実現することが可能である。
【0052】
・手段4
前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報を、保留情報として所定数を限度に記憶する記憶手段を備え、前記保留情報の存在を示す保留表示として、通常態様と、当該通常態様よりも対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する特殊態様が設定されており、前記特定演出が実行されている最中においては、全ての保留表示の態様が、前記通常態様とされることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このように、特定演出が実行されている最中においては保留表示の態様が通常態様となるようにすることで、特定演出がどの保留表示(保留情報)に対応するものであるのかが容易に分かってしまうことによる趣向性の低下を抑制することが可能である。
【0053】
・手段5
前記当否判定情報取得手段によって取得された当否判定情報を、保留情報として所定数を限度に記憶する記憶手段を備え、前記保留情報の存在を示す保留表示として、通常態様と、当該通常態様よりも対応する当否判定結果が当たりとなる蓋然性が高まったことを示唆する特殊態様が設定されており、少なくとも前記特定演出が発生したタイミングにおいては、全ての保留表示の態様が、前記通常態様とされることを特徴とする手段1から手段3のいずれかに記載の遊技機。
このように、特定演出が発生したタイミングにおいて保留表示の態様が通常態様となるようにすることで、特定演出が開始されてからすぐに特定演出がどの保留表示(保留情報)に対応するものであるのかが容易に分かってしまうことによる趣向性の低下を抑制することが可能である。
【0054】
・手段6
所定の範囲を動作可能な可動部材を備え、前記特定演出の開始時には、前記可動部材が原位置に位置させられることを特徴とする手段1から手段5のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定演出の開始直前に可動部材が原位置以外の位置に位置していたときには、特定演出の開始によって強制的に可動部材が原位置に変位することになるため、演出の変化が分かりやすい。
【0055】
・手段7
複数種の発光態様に発光可能な発光部材を備え、前記特定演出の開始時には、前記実行中演出に合わせて前記発光部材が発光していた場合であっても、当該発光部材の発光態様が前記特定演出に合わせたものに切り替えられることを特徴とする手段1から手段6のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定演出の開始によって発光部材の発光態様が強制的に切り替わることになるため、演出の変化が分かりやすい。
【0056】
・手段8
演出用の効果音を出力する音出力装置を備え、前記特定演出の開始時には、前記音出力装置から前記実行中演出に合わせた演出用の効果音が出力されていた場合であっても、当該演出用の効果音が前記特定演出に合わせたものに切り替えられることを特徴とする手段1から手段7のいずれかに記載の遊技機。
このような構成とすることで、特定演出の開始によって効果音が強制的に切り替わることになるため、演出の変化が分かりやすい。
【符号の説明】
【0057】
1 遊技機
10 識別図柄
20 保留表示
20n 通常態様
21s 第一特殊態様
22s 第二特殊態様
23s 第三特殊態様
201 特定保留表示
91 表示装置
911 表示領域
92 可動部材
93 発光部材
94 スピーカ(音出力装置)