(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】物体挟持用装置
(51)【国際特許分類】
B23Q 3/06 20060101AFI20240607BHJP
B23Q 7/04 20060101ALI20240607BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B23Q3/06 303B
B23Q3/06 303E
B23Q3/06 304K
B23Q7/04 J
B25J15/08 C
(21)【出願番号】P 2022179108
(22)【出願日】2022-11-08
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】515207329
【氏名又は名称】聖杰國際股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sanjet International Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.288-1,Desheng Rd. Daya District Taichung City 428,Taiwan
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】張 慶三
【審査官】荻野 豪治
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-018165(JP,A)
【文献】米国特許第04955653(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0065116(US,A1)
【文献】米国特許第05529359(US,A)
【文献】登録実用新案第3228774(JP,U)
【文献】特開2005-342791(JP,A)
【文献】実開平05-060744(JP,U)
【文献】特開2015-150643(JP,A)
【文献】米国特許第04765699(US,A)
【文献】国際公開第98/015393(WO,A1)
【文献】米国特許第6186570(US,B1)
【文献】米国特許第10189093(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第112589822(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 3/06
B23Q 7/00 - 7/18
B25J 1/00 - 21/02
F01B 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体挟持用装置であって、
ベースプレート、及び、前記ベースプレート上に着設されるとともに間隔を空けて設けられた2つのエンドプレートを含むベースフレームと、
前記2つのエンドプレートの間に延設されたガイドレールと、
前記ガイドレールと回動不能に結合されるとともに、前記ガイドレールに沿って移動可能な2つのスライド台と、
シャフト及び連動プレートを含む連動構造であって、前記シャフトは、前記ベースプレートと着設され、前記連動プレートは、前記シャフトと着設されて前記シャフトを揺動中心とし、前記連動プレートの両端に連動部がそれぞれ設けられ、前記連動部は、それぞれ、対応するスライド台と連結される連動構造と、
前記2つのスライド台を相対的に移動させるとともに、移動するスライド台によって前記連動プレートを牽引して揺動させるか、又は、前記連動プレートを揺動させて、前記2つのスライド台に相対的な移動を生じさせるための駆動手段とを含み、
前記連動構造は、各前記スライド台の一側に設けられたガイド溝を含み、前記連動プレートの両端にガイドブロックがそれぞれ着設され、各前記ガイドブロックは、前記連動部を構成するとともに、対応するガイド溝内に移動可能に位置する、物体挟持用装置。
【請求項2】
磁石及び角度センサを含み、前記シャフトは、前記連動プレートとともに回動可能に前記ベースプレートと着設され、前記磁石は、前記シャフトの一端に設けられて前記シャフトの回動に伴って回転し、前記角度センサは、非接触で前記磁石の磁力線の回転角を感知して、対応する信号を発生する、請求項1に記載の物体挟持用装置。
【請求項3】
前記駆動手段は、2つのシリンダチューブ、2つのピストン及び2つのピストンロッドを含み、前記2つのシリンダチューブは、それぞれ、対応するスライド台と固着され、前記2つのピストンは、それぞれ、対応するシリンダチューブの内部に位置し、前記2つのピストンロッドのそれぞれは、一端が、対応するエンドプレートと固着され、他端が、対応するシリンダチューブの内部に伸びて1つの前記ピストンと着設され、前記駆動手段は、一方の前記エンドプレート、ピストンロッド及びピストンの内部に形成された1組の気道、及び、他方の前記エンドプレート、ピストンロッド及びピストンの内部に形成されたもう1組の気道を更に含み、各々の組の気道には、第一気道及び第二気道が含まれ、且つ前記第一気道及び前記第二気道は、それぞれ、2つのポートを有し、各々の気道は、一方のポートが、対応するエンドプレートに位置して気圧源に連通可能であり、他方のポートが、対応するピストン又はピストンロッドに位置して前記シリンダチューブの内部空間に連通され、前記ベースプレートには、穿孔が備えられ、前記角度センサは、前記ベースプレートと着設されて前記穿孔内に位置し、前記角度センサは、前記磁石に向く感知面を有する、請求項2に記載の物体挟持用装置。
【請求項4】
物体挟持用装置であって、
ベースプレート、及び、前記ベースプレート上に着設されるとともに間隔を空けて設けられた2つのエンドプレートを含むベースフレームと、
前記2つのエンドプレートの間に延設されたガイドレールと、
前記ガイドレールと回動不能に結合されるとともに、前記ガイドレールに沿って移動可能な2つのスライド台と、
シャフト及び連動プレートを含む連動構造であって、前記シャフトは、前記ベースプレートと着設され、前記連動プレートは、前記シャフトと着設されて前記シャフトを揺動中心とし、前記連動プレートの両端に連動部がそれぞれ設けられ、前記連動部は、それぞれ、対応するスライド台と連結される連動構造と、
前記2つのスライド台を相対的に移動させるとともに、移動するスライド台によって前記連動プレートを牽引して揺動させるか、又は、前記連動プレートを揺動させて、前記2つのスライド台に相対的な移動を生じさせるための駆動手段とを含み、
前記駆動手段は、モータ及び減速機を含み、前記モータは、前記減速機を介して前記連動構造の前記シャフトを回動さ
せ、
磁石及び角度センサを含み、前記シャフトは、前記連動プレートとともに回動可能に前記ベースプレートと着設され、前記磁石は、前記シャフトの一端に設けられて前記シャフトの回動に伴って回転し、前記角度センサは、前記減速機に設けられるとともに、前記磁石に向く感知面を有する、前記角度センサは、非接触で前記磁石の磁力線の回転角を感知して、対応する信号を発生する、
物体挟持用装置。
【請求項5】
前記シャフトは、非円形胴部を有し、前記連動プレートには、非円形孔が備えられ、前記シャフトの前記非円形胴部は、前記非円形孔に穿設して付け合わせられる、請求項1又は4に記載の物体挟持用装置。
【請求項6】
前記ベースフレームは、中間台を含み、前記中間台は、前記ベースプレートに固着されて前記2つのエンドプレートの間に位置し、各々のエンドプレートと前記中間台との間には、1つの前記スライド台が備えられ、前記中間台は、互いに連通される溝孔及び貫通孔を有し、前記連動プレートは、前記溝孔内に位置するとともに、両端の連動部が前記中間台外に位置し、前記ベースプレートには、穿孔が備えられ、前記角度センサは、前記穿孔内に設けられ、前記シャフトにおける前記磁石が設けられる一端は、前記穿孔内に伸び、他端が、延在して前記貫通孔に穿設されるとともに前記連動プレートを通過する、請求項2に記載の物体挟持用装置。
【請求項7】
前記ベースフレームは、中間台を含み、前記中間台は、前記ベースプレートに固着されて前記2つのエンドプレートの間に位置し、各々のエンドプレートと前記中間台との間には、1つの前記スライド台が備えられ、前記中間台は、互いに連通される溝孔及び貫通孔を有し、前記連動プレートは、前記溝孔内に位置するとともに、両端の連動部が前記中間台外に位置し、前記ベースプレートには、穿孔が備えられ、前記シャフトは、前記穿孔及び前記貫通孔に穿設されるとともに前記連動プレートを通過する、請求項1又は4に記載の物体挟持用装置。
【請求項8】
前記ガイドレールは、複数本のガイドロッドを含み、これらのガイドロッドは、前記2つのスライド台を貫通するとともに、両端が前記2つのエンドプレートとそれぞれ固着される、請求項1又は4に記載の物体挟持用装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の搬送に関し、特に、挟持の安定性を向上させることが可能な物体挟持用装置。
【背景技術】
【0002】
機械加工の分野では、治具による物品の挟持及び搬送は、一般的な手段である。相対的に近接又は離間可能な少なくとも2つのクランプブロックを固定的に有し、前記クランプブロックを駆動して移動させる動力源として気圧、液圧や電気等の手段を用いる治具が知られており、それによれば、物品のクランプ及び解放を効果的に制御するという目的を実現でき、加工作業に利便性をもたらすだけでなく、加工効率の向上に寄与し、自動化の実現にも役立つ。
【0003】
気圧手段で2つのクランプブロックを駆動して移動させる治具が知られており、その2つのクランプブロックは、ガイドレールに沿って安定して直線的に往復移動できるが、前記2つのクランプブロックは、それぞれが受ける気圧値の違いに起因して両者の相対的な近接又は離間中に非同期の状況が発生し易くなり、この状況は、物品のクランプ又は解放に不利である。また、クランプブロックを駆動して移動させる手段としてモータを用いるものがあり、モータによってギアが回動されると、回動するギアは、2つのラックと噛合伝動して平行に移動させ、ラックがクランプブロックに固着されているため、同期して2つのクランプブロックを移動させるという目的が達成される。しかし、前記のようなギアに対してラックが配置される方式では、装置の空間が占められ易く、且つ、ギアとラックとの噛合部位は、長時間の食い付き作用により、バックラッシが大きくなったり、破損したりする恐れがあり、そうなると、挟持が不安定になってしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに鑑みて、本発明の目的は、挟持の安定性を向上させることが可能な物体挟持用装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、ベースフレームと、ガイドレールと、2つのスライド台と、連動構造と、駆動手段とを含む物体挟持用装置を提供する。ベースフレームは、ベースプレート、及び、前記ベースプレート上に着設されるとともに間隔を空けて設けられた2つのエンドプレートを含み、ガイドレールは、前記2つのエンドプレートの間に延設され、前記2つのスライド台は、前記ガイドレールと回動不能に結合されるとともに、前記ガイドレールに沿って移動可能であり、連動構造は、シャフト及び連動プレートを含み、前記シャフトは、前記ベースプレートと着設され、前記連動プレートは、前記シャフトと着設されて前記シャフトを揺動中心とし、前記連動プレートの両端に連動部がそれぞれ設けられ、前記連動部は、それぞれ、対応するスライド台と連結され、駆動手段は、前記2つのスライド台を相対的に移動させるとともに、移動するスライド台によって前記連動プレートを牽引して揺動させるか、又は、前記連動プレートを揺動させて、前記2つのスライド台に相対的な移動を生じさせるためのものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の効果としては、揺動可能な連動部材を介在させて前記2つのスライド台を連動させることで、前記2つのスライド台は、安定して同期に相対的に近接又は離間可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の1つの好ましい実施例に係る物体挟持用装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の上記好ましい実施例に係る物体挟持用装置の分解図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す装置におけるスライド台の相対的な近接を示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す装置におけるスライド台の相対的な離間を示す概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の別の1つの好ましい実施例に係る物体挟持用装置におけるスライド台の相対的な近接を示す概略図である。
【
図11】
図11は、本発明の上記別の1つの好ましい実施例に係る物体挟持用装置におけるスライド台の相対的な離間を示す概略図である。
【
図12】
図12は、本発明のさらなる1つの好ましい実施例に係る物体挟持用装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明をより明確に説明するために、以下、好ましい実施例を挙げ、図面を参照して詳細に説明する。
図1~
図7に示すように、本発明の1つの好ましい実施例に係る物体挟持用装置100は、ベースフレーム10と、2つのスライド台20と、ガイドレール30と、駆動手段40と、連動構造50とを含む。前記駆動手段40は、本実施例において、圧縮空気を利用して前記2つのスライド台20を制御して前記ガイドレール30に沿って相対的に近接又は離間させるものであり、前記2つのスライド台20は、相対的に移動する際、前記連動構造50の連動プレート51を揺動させることが可能である。
【0009】
本実施例のベースフレーム10は、ベースプレート11、及び、前記ベースプレート11に着設された中間台12及び2つのエンドプレートを含み、説明の便宜のため、前記2つのエンドプレートは、それぞれ、第一エンドプレート13及び第二エンドプレート14として定義され、前記第一エンドプレート13と前記第二エンドプレート14とが間隔を空けて設けられ、前記中間台12は、前記第一エンドプレート13と前記第二エンドプレート14との間に位置する。また、
図3にも示すように、ベースプレート11には、穿孔11aが備えられ、中間台12は、溝孔12a及び貫通孔12bを下部に有し、溝孔12aは、水平に延設され、貫通孔12bは、前記穿孔11aに対応して垂直に設けられるとともに、前記溝孔12aに連通される。
【0010】
前記2つのスライド台20は、前記ガイドレール30と回動不能に結合される。本実施例において、回動不能を実現する構造としては、各スライド台20に設けられた3つの円形孔22と、前記中間台12にも設けられた3つの円形孔12cとが含まれ、且つ前記ガイドレール30は、3本の円柱状のガイドロッド32からなり、これらのガイドロッド32は、個別に前記円形孔22及び円形孔12cを通過し、ガイドロッド32は、両端に前記第一エンドプレート13及び第二エンドプレート14がそれぞれ固着されて、前記第一エンドプレート13と第二エンドプレート14との間に平行に延設される。以上により、スライド台20は、前記ガイドレール30と回動不能に結合されるとともに、前記第一エンドプレート13と前記中間台12との間に一方のスライド台20が備えられ、前記第二エンドプレート14と前記中間台12との間に他方のスライド台20が備えられる。また、各スライド台20には、取付孔24が更に備えられ、これらの円形孔22は、前記取付孔24の周囲に分布される。
【0011】
図2、
図6にも示すように、前記駆動手段40は、2つのシリンダチューブ41、2つのピストンロッド42及び2つのピストン43を含む。前記2つのシリンダチューブ41は、それぞれ、円筒体411と、前記円筒体411の両端に着設されたフロントエンドカバー412及びリアエンドカバー413とからなり、前記フロントエンドカバー412は、開口412aを有し、前記2つのピストンロッド42の一端は、それぞれ、前記第一エンドプレート13及び前記第二エンドプレート14と固着され、前記2つのピストンロッド42の他端は、対応するシリンダチューブ41の開口412aを通過した後に1つの前記ピストン43と着設され、即ち、ピストン43は、シリンダチューブ41の内部に位置する。前記2つのシリンダチューブ41を対応するスライド台20の取付孔24にそれぞれセットした後、エンドプレート44をスライド台20に締着すれば、シリンダチューブ41を取付孔24内に拘束して、シリンダチューブ41とスライド台20とを一体化することができ、つまり、シリンダチューブ41とスライド台20とが一緒に移動可能である。また、スライド台20が2つあるため、前記駆動手段40は、気圧源(不図示)への連通用に設計された2組の独立した気道を更に含み、前記2組の気道は、それぞれ、1つの前記スライド台20の往復移動の制御用であり、説明すべきなのは、各々の組の気道は、第一気道G1及び第二気道G2によって構成され、且つ第一気道G1及び第二気道G2は、それぞれ、2つのポートを有し、ここで、第一ポートG11(G21)及び第二ポートG12(G22)として定義され、本実施例では、1組の気道における第一気道G1及び第二気道G2は、前記第一エンドプレート13、ピストンロッド42及びピストン43の内部に形成された気孔が連通されてなるものであり、もう1組の気道における第一気道G1及び第二気道G2は、前記第二エンドプレート14、ピストンロッド42及びピストン43の内部に形成された気孔が連通されてなるものであり、前記第一気道G1の第一ポートG11及び第二気道G2の第一ポートG21は、対応するエンドプレートに位置するとともに、それぞれジョイント45を介して前記気圧源に連通され、前記第一気道G1の第二ポートG12及び第二気道G2の第二ポートG22の一方は、対応するピストンロッド42に位置し、他方は、対応するピストン43に位置するとともに、第二ポートG12(G22)は、対応するシリンダチューブ41の内部空間に連通される。ピストンロッド42とピストン43とが固定されて動かず、且つピストン43がシリンダチューブ41の内部に位置するため、気圧源は、空気注入として第一気道G1を使用し、空気排出として第二気道G2を使用すると、前記2つのスライド台20が変位するように押動され、逆に、空気の注入及び排出方向が変えられると、前記2つのスライド台20が逆方向に移動される。以上により、前記2つのスライド台20を前記ガイドレール30に沿って相対的に近接又は離間させるという目的が実現される。
【0012】
前記連動構造50は、シャフト52を更に含み、前記シャフト52は、前記ベースプレート11と着設され、前記連動プレート51は、前記シャフト52と着設されて前記シャフト52を揺動中心とし、連動プレート51の両端には、対応するスライド台20と連結される連動部がそれぞれ設けられる。本実施例において、シャフト52は、一部が前記ベースプレート11の穿孔11a内に伸び、他部が前記中間台12の貫通孔12bに穿設されるとともに、前記溝孔12a内にセットされた連動プレート51を通過し、連動プレート51は、略S字状をなし、両端が前記中間台12外に位置するとともに牽引プレート53とそれぞれ枢着され、牽引プレート53の他端は、更にピン54を介して対応するスライド台20の底部に定点に枢着されると、前記牽引プレート53によって前記連動部が構成される。これにより、前記2つのスライド台20が相対的に近接又は離間する際、前記連動プレート51は、牽引されて同期に正逆方向の揺動が発生可能である。
【0013】
上記装置100は、スライド台20を駆動して移動させる手段として気圧式を用いるとともに、各スライド台20にクランプブロック(不図示)を付装すれば、物体を挟持又は解放するという目的が実現できる。
図8及び
図9にも示すように、前記装置100には、前記2つのスライド台20の間に連動プレート51と、シャフト52と、牽引プレート53とピン54とからなる連動構造50が設けられ、前記2つのスライド台20が移動し始めて一方のスライド台20の移動速度が他方のスライド台20よりも早い場合、又は、一方のスライド台20が移動し始めたが、他方のスライド台20が移動し始めていない場合、移動速度の速い方又は先に移動した方のスライド台20は、前記連動構造50の介設により他方のスライド台20と連動されることで、前記2つのスライド台20は、移動速度が一致するか、又は同期に移動することになる。以上により、前記2つのスライド台20は、安定して相対的に近接又は離間可能であり、物体に対する良好な挟持又は解放の効果が得られる。
【0014】
上記実施例において、スライド台20と同動するための連動構造は、主に連動プレート51と牽引プレート53とが枢着されて構成したものであるが、
図10及び
図11に示す別の一実施例において、連動構造50Aは、スライド台20Aの底部に設けられて弧形軌跡を有するガイド溝26と、シャフト52と着設される連動プレート51Aの両端にそれぞれ設けられたガイドブロック55とを含み、前記ガイドブロック55は、前記連動部を構成するとともに、対応するガイド溝26内に移動可能に位置する。ガイド溝26と、連動プレート51Aと、シャフト52と、ガイドブロック55とからなる前記連動構造50Aは、スライド台20Aが押動されると、スライド台20Aの底部におけるガイド溝26の溝壁によってガイドブロック55が押し当てられることを利用して、前記連動プレート51Aに揺動を生じさせているため、前記連動構造50Aを介在させた連動により、同様に前記2つのスライド台20Aを同期に相対的に近接又は離間させることができる。
【0015】
上記2つの実施例において、シャフト52は、固定されて回動しないものであってもよいが、連動プレート51(51A)は、シャフト52を揺動中心とするとともに、回動可能に前記シャフト52と着設される。しかし、実際の応用では、シャフト52が連動プレート51(51A)と一緒に回動可能に設計されることも排除せず、
図4及び
図7に示す連動構造50を例とすると、それに開示されるシャフト52は、非円形胴部52aを有し、シャフト52は、その非円形胴部52aが前記連動プレート51の非円形孔51aに穿設されることで、一緒に回動することを実現しており、そのほかに、連動プレート51とシャフト52とは、締着又は一体成形によって、一緒に回動可能とされるという目的を実現してもよく、また、シャフト52には、前記連動プレート51の上側及び下側にベアリング56及びベアリング57がそれぞれ外装され、ベアリング56及びベアリング57が前記中間台12の貫通孔12b内に収容され、即ち、シャフト52が前記中間台12を介して前記ベースプレート11と着設されるようにすれば、前記連動プレート51は揺動すると、前記シャフト52が連動されて一緒に回動することになる。
【0016】
シャフトと連動プレートとが一緒に回動可能にした上で、前記スライド台を駆動して移動させるための手段としては、上記2つの実施例に開示された気圧式のほかに、駆動源としてモータを採用してもよく、モータを駆動源として用いた場合、上記シリンダチューブ41、ピストンロッド42、ピストン43及び気道は、設計される必要がない。
図12に示すように、前記実施例に示す駆動手段40Aは、減速機46及びモータ47を含み、減速機46は、前記ベースプレート11の底面に取り付けられ、モータ47は、前記減速機46を介して前記シャフト52及び連動プレート51(又は51A)と連動して一緒に回動し、連動プレート51(又は51A)は、更に牽引プレート53と枢着される(又はガイドブロック55と着設される)ことでスライド台20(又は20A)を移動させることが可能である。このことから、モータ47を用いて連動プレート51(又は51A)を駆動して回動させる方式でも、同様に、スライド台20(又は20A)を制御して同期に相対的に近接又は離間させるという目的を実現できる。したがって、気圧でスライド台を押動して連動部材を揺動させるのも、モータで連動部材を駆動して回動させてスライド台を変位させるのも、揺動可能な連動部材を介在させた連動関係により、前記2つのスライド台が安定して同期に相対的に近接又は離間可能にし、物体に対する良好な挟持又は解放の効果が得られるようになっている。
【0017】
また、シャフトと連動プレートとが一緒に回動可能にした上で、シャフトの回転角を検知して更に部材の実行動作の確認又は後続の制御に供するために、感知ユニットを増設する必要がある。一実施例において、前記感知ユニット60は、磁石62及び角度センサ64を含み、気圧でスライド台を押動して移動させる構造を例とすると、
図3、
図4、
図6及び
図7に示すように、前記磁石62は、前記シャフト52における前記ベースプレート11の穿孔11a内に伸びる一端に設けられ、且つ前記磁石62は、前記シャフト52の回動に伴って回転し、一実施例において、磁石62は、接続台66を介して前記シャフト52と固着され、前記角度センサ64は、前記ベースプレート11と着設されて前記穿孔11a内に位置するとともに、前記磁石62と距離が置かれるように前記磁石62に向く感知面を有し、前記角度センサ64は、非接触で前記磁石62の磁力線の回転角を感知し、それに応じて、対応する信号を発生し、前記信号の用途としては、例えば、スライド台が所定位置に移動したかの判断用であるが、これに限定されない。一方、モータで連動部材を駆動して回動させてスライド台を変位させる構造の場合、前記磁石62は、同様に、回動可能なシャフト52の一端に設けられ、
図13に示すように、この際の角度センサ64は、前記減速機46に設けられて磁石62との間に距離が置かれている。説明すべきなのは、モータとしてサーボモータ(Servomotor)を採用した場合、サーボモータが検知機能を備えているため、前記感知ユニット60が省略される。
【0018】
上述したのは、本発明のいくつかの好ましい可能な実施例に過ぎず、本発明の明細書及び特許請求の範囲を利用してなされた同等バリエーションは、何れも本発明の特許範囲内に含まれるべきである。
【符号の説明】
【0019】
[本発明]
100:物体挟持用装置
10:ベースフレーム
11:ベースプレート
11a:穿孔
12:中間台
12a:溝孔
12b:貫通孔
12c:円形孔
13:第一エンドプレート
14:第二エンドプレート
20、20A:スライド台
22:円形孔
24:取付孔
26:ガイド溝
30:ガイドレール
32:ガイドロッド
40、40A:駆動手段
41:シリンダチューブ
411:円筒体
412:フロントエンドカバー
412a:開口
413:リアエンドカバー
42:ピストンロッド
43:ピストン
44:エンドプレート
45:ジョイント
46:減速機
47:モータ
50、50A:連動構造
51、51A:連動プレート
51a:非円形孔
52:シャフト
52a:非円形胴部
53:牽引プレート
54:ピン
55:ガイドブロック
56:ベアリング
57:ベアリング
60:感知ユニット
62:磁石
64:角度センサ
66:接続台
G1:第一気道
G11:第一ポート
G12:第二ポート
G2:第二気道
G21:第一ポート
G22:第二ポート