(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】コロプレート及びこれを用いた搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65G 7/04 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
B65G7/04 B
(21)【出願番号】P 2023042486
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-03-20
(73)【特許権者】
【識別番号】511041639
【氏名又は名称】株式会社大特
(74)【代理人】
【識別番号】100074273
【氏名又は名称】藤本 英夫
(74)【代理人】
【識別番号】100173222
【氏名又は名称】藤本 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100151149
【氏名又は名称】西村 幸城
(72)【発明者】
【氏名】根ヶ山 武義
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-056400(JP,A)
【文献】特開2021-113127(JP,A)
【文献】実開昭59-165389(JP,U)
【文献】特開2012-162373(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 7/04
B65G 39/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面から裏面まで延びる貫通孔を複数有するプレートと、プレートの表裏両側にはみ出す状態で貫通孔のそれぞれに自由回転可能に保持されるコロとを具備し、
コロは、プレートの厚みよりも大きな直径を有し、プレートの左右方向に延びる円柱部分と、円柱部分の両端にそれぞれ外面が滑らかに連なる二つの半球部分とを有し、
貫通孔は、プレートの表面から裏面に向かって、表側部、中間部及び裏側部を有し、中間部よりも表側部及び裏側部は狭まっていて、表側部はコロが通り抜け可能な大きさに、裏側部はコロが通り抜けできない大きさにそれぞれ形成され、
表側部には抜け止め部材が装着可能な装着溝を設けてあり、コロを貫通孔に対して表側部から挿入し裏側部にまで至らせた状態で抜け止め部材を装着溝に装着すると、コロが抜け止め部材の当接によって貫通孔から抜けなくなるように構成したコロプレート。
【請求項2】
プレートの前面及び背面の何れか一方に嵌合凸部を設け、この嵌合凸部に嵌合接続可能な形状を有する嵌合凹部を他方に設けてある請求項1に記載のコロプレート。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコロプレートと、その上をコロプレートが走行可能なレールブロックとを具備し、
コロプレートには、プレートの前後方向に間隔を空けて配した複数のコロからなるコロ列を設けてあり、
レールブロックの上面には、コロ列の各コロをガイドするガイド溝を設けてある搬送装置。
【請求項4】
コロプレートには、コロ列をプレートの左右に2列並べて設け、
レールブロックの上面には、コロ列に対応するようにガイド溝を左右に二つ並べて設けるとともに、ガイド溝に沿って延びるリブを二つのガイド溝の間と二つのガイド溝を挟む位置とに設け、各リブの高さを均一としつつ、リブよりも上方に突出する部分を設けず、
レールブロックの下面を平面状に形成してある請求項3に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、大型で重量のある装置(MRI装置、CT装置、調光装置、変圧器等)の搬送に用いて好適なコロプレート及びこれを用いた搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の搬送装置として、板体に多数の貫通孔を設け、設けた貫通孔のそれぞれに、板体の厚みよりも大きな直径を有し、板体の表裏両側に突出するボールを保持させたボールスライダが知られている(特許文献1~3)。
【0003】
搬送対象が重量物であってもこれをボールスライダの上に載置すれば、比較的軽い力を搬送対象に加えるだけで搬送することができる。また、一般に、搬送中の搬送対象は多少なりとも持ち上げられることになるが、その持ち上げ高さが高くなればなるほど、この搬送対象を通過させる搬送経路の高さ制限を受け易くなり、搬送が困難化する。この点、ボールスライダの車高は実質的にボールの直径であって非常に低く、これに載せた搬送対象は高く持ち上げられないので、それだけ搬送経路の高さ制限を受け難いという利点もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭57-46509号公報
【文献】特開平11-130219号公報
【文献】特開2012-166930号公報
【文献】特開平11-278618号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、ボールスライダに搬送対象を載せて床などの移動面上を移動させる際、搬送対象を支持する各ボールが移動面に点接触することになり、この点接触による荷重の集中が移動面を傷つける原因になる懸念がある。
【0006】
この点、特許文献4に記載の搬送装置では、ボールではなくコロ体を用いるので、移動面との接触が点ではなく線となる分、荷重が分散され、移動面の損傷防止を図ることができる。しかし、コロ体の両端から軸を突出させ、この軸を、コロ体の両側にある一対の側部材に設けた挿入孔にそれぞれ差し込んでコロ体を回転自在に支持する構造上、相対的に細くなる軸の部分が強度的な弱点となり、不意の応力等がコロ体に作用したときに破損し易いという別の問題がある。
【0007】
本発明は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、比較的軽い力で搬送を行え、搬送経路の高さ制限を受け難く、移動面の損傷防止を図りながら、用いるコロの破損防止をも図ることのできるコロプレート及びこれを用いた搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係るコロプレートは、その表面から裏面まで延びる貫通孔を複数有するプレートと、プレートの表裏両側にはみ出す状態で貫通孔のそれぞれに自由回転可能に保持されるコロとを具備し、コロは、プレートの厚みよりも大きな直径を有し、プレートの左右方向に延びる円柱部分と、円柱部分の両端にそれぞれ外面が滑らかに連なる二つの半球部分とを有し、貫通孔は、プレートの表面から裏面に向かって、表側部、中間部及び裏側部を有し、中間部よりも表側部及び裏側部は狭まっていて、表側部はコロが通り抜け可能な大きさに、裏側部はコロが通り抜けできない大きさにそれぞれ形成され、表側部には抜け止め部材が装着可能な装着溝を設けてあり、コロを貫通孔に対して表側部から挿入し裏側部にまで至らせた状態で抜け止め部材を装着溝に装着すると、コロが抜け止め部材の当接によって貫通孔から抜けなくなるように構成した(請求項1)。
【0009】
上記コロプレートにおいて、プレートの前面及び背面の何れか一方に嵌合凸部を設け、この嵌合凸部に嵌合接続可能な形状を有する嵌合凹部を他方に設けてあってもよい(請求項2)。
【0010】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る搬送装置は、請求項1または2に記載のコロプレートと、その上をコロプレートが走行可能なレールブロックとを具備し、コロプレートには、プレートの前後方向に間隔を空けて配した複数のコロからなるコロ列を設けてあり、レールブロックには、コロ列の各コロをガイドするガイド溝を設けてある(請求項3)。
【0011】
上記搬送装置において、コロプレートには、コロ列をプレートの左右に2列並べて設け、レールブロックの上面には、コロ列に対応するようにガイド溝を左右に二つ並べて設けるとともに、ガイド溝に沿って延びるリブを二つのガイド溝の間と二つのガイド溝を挟む位置とに設け、各リブの高さを均一としつつ、リブよりも上方に突出する部分を設けず、レールブロックの下面を平面状に形成してあってもよい(請求項4)。
【発明の効果】
【0012】
本願発明では、比較的軽い力で搬送を行え、搬送経路の高さ制限を受け難く、移動面の損傷防止を図りながら、用いるコロの破損防止をも図ることのできるコロプレート及びこれを用いた搬送装置が得られる。
【0013】
すなわち、本願の各請求項に係る発明のコロプレートでは、搬送対象の重量を直接支持する複数のコロの回転によって搬送対象を搬送するのであり、コロの転がり摩擦は滑り摩擦よりも小さいことから、搬送対象が重量物であってもこれをコロプレートの上に載置し、比較的軽い力を搬送対象に水平方向に加えるだけで搬送することができる。また、このコロプレートの車高は実質的にコロ(の円柱部分)の直径であるため非常に低く、これに載せた搬送対象は高く持ち上げられないので、それだけ搬送経路の高さ制限を受け難いという利点もある。
【0014】
さらに、本発明のコロプレートではボールではなくコロを用いるので、移動面との接触が点ではなく線となる分、荷重が分散され、移動面の損傷防止を図ることができる。その上、本発明のコロプレートで用いるコロは、円柱部分と半球部分を組み合わせた形状を有し、強度的な弱点(局所的に応力が集中し易くなるような部位)を生じ難くしてあるので、不意の応力等がコロに作用しても破損し難い。
【0015】
請求項2に係る発明のコロプレートでは、搬送方向の前後に隣り合うコロプレートどうしを嵌合凸部及び嵌合凹部によって嵌合状に接続し、各コロプレートを搬送経路に沿わせるのが容易となり、ひいては搬送対象の確実な搬送の実現に資するものとなる。
【0016】
請求項3に係る発明の搬送装置では、コロプレートの進行方向が所望の方向から若干ずれるような応力等が作用した場合でも、コロをガイドするレールブロックのガイド溝によってそのずれを矯正することができ、それだけ搬送対象の搬送を確実かつ容易に行える。
【0017】
請求項4に係る発明の搬送装置では、コロ列及びガイド溝をそれぞれ二つずつ設けることにより、コロプレートの進行方向の矯正力を高めることができる。また、この搬送装置では、搬送を行うに際し、コロプレート(コロ列)のガイドを行わせるのに用いるレールブロックはその上面が上向きになるように配置しつつ、これらのレールブロックの左右に他のレールブロックを上下逆にして敷き並べ、搬送を行わない間は全てのレールブロックの上面が下向きになるようにすれば、敷き並べた複数のレールブロックは作業者の通行等に適した仮設ステージ(重量物搬送ステージ)や一時的な床等としての利用に好適なものとなる。そして、レールブロックの上面は、二つのガイド溝を有するものの、計三つのリブによってその強度が高まっているとともに、レールブロックの下面は平面状としてあるのでこれを上向きに配した場合、その上を歩行等し易くなっている。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る搬送装置(要部)の使用状態(搬送対象の搬送時の状態)を示す平面図、(B)は搬送装置の要部を示す平面図である。
【
図2】(A)~(C)は、上記搬送装置のコロプレートの平面図、側面図及び正面図である。
【
図3】(A)~(D)は、前記コロプレートのプレートの平面図、背面図、正面図及び側面図である。
【
図4】(A)及び(B)は、前記コロプレートのコロの側面図及び正面図、(C)及び(D)は、
図3(A)のF4C-F4C矢視図及びF4D-F4D矢視図(但し、いずれの図面でもプレートの貫通孔にコロ及び抜け止め部材を装着した状態としてある)、(E)は前記プレートの貫通孔の断面拡大図(
図4(C)及び(D)に示す貫通孔の内壁を拡大して示す図)である。
【
図5】(A)は前記コロの正面図、(B)は前記貫通孔に取り付けられる抜け止め部材の正面図である。
【
図6】(A)~(D)は、前記搬送装置のレールブロックの正面図、平面図、底面図及び側面図である。
【
図7】(A)及び(B)は、前記レールブロックによるガイド前の状態及びガイドされている状態のコロプレートを示す側面図である。
【
図8】(A)及び(B)は前記レールブロックの平面図及び底面図、(C)及び(D)はレールブロックの使用状態を示す平面図である。
【
図9】(A)は連結前のレールブロックを示す説明図、(B)及び(C)は連結状態のレールブロックの要部側面図及び正面図である。
【
図10】(A)~(C)は、前記コロプレートの試作品をその前方、後方及び側方から撮影した写真である。
【
図11】(A)は前記コロの試作品を正面から撮影した写真、(B)は前記抜け止め部材の試作品を正面から撮影した写真、(C)は前記レールブロックのカットサンプル(試作品)を撮影した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態について以下に説明する。
【0020】
図1(A)及び(B)に示すように、本例の搬送装置1は、金属製のコロプレート2(
図2(A)~(C)、
図10(A)~(C)も参照)と、その上をコロプレート2が走行可能であり、かつ、このコロプレート2を案内する金属製のレールブロック3(
図6(A)~(D)、
図11(C)も参照)とを具備する。そして、搬送装置1は、搬送対象(例えばMRI装置)Tの搬送経路(搬送方向X)に沿わせて2列に直線状に並べられ、この2列の搬送装置1の上に搬送対象Tが載置される。なお、2列の搬送装置1の間隔(平面視において搬送経路に直交する方向の間隔)は、搬送対象Tの左右幅、載置安定性等によって適宜に設定される。また、
図11(C)に示すレールブロック3のカットサンプルは、左右幅(約180mm)より前後長さ(約100mm)が短いが、実際のレールブロック3としては、前後長さが左右幅の約5倍以上である長尺状を呈するものを用いることが考えられる。
【0021】
コロプレート2は、
図2(A)~(C)に示すように、略矩形板状のプレート4と、このプレート4に保持される複数(図示例では12個)のコロ5(
図11(A)も参照)とを具備する。
【0022】
プレート4は、
図3(A)、(C)、(D)に示すように、その表面から裏面まで延びる貫通孔6を複数(図示例では12個)有する。本例では、プレート4の左右方向に長く延びる貫通孔6が、プレート4の左右方向に間隔を空けて2個(複数個の一例)並び、前後方向に間隔を空けて(等間隔に)6個(複数個の一例)並んでいる(2個×6個の行列状に設けてある)。
【0023】
また、
図3(C)及び(D)には、貫通孔6の一つに保持された状態のコロ5を2点鎖線で示してあり、これらの図と、
図4(A)及び(B)に示すように、コロ5は、プレート4の厚み(上下厚み)よりも大きな直径を有し、プレート4の左右方向に延びる円柱部分7と、円柱部分7の両端にそれぞれ外面が滑らかに連なる二つの半球部分8とを有する。
【0024】
そして、本例では、貫通孔6によるコロ5の保持を以下のようにして行う。すなわち、まず、貫通孔6は、
図4(E)に示すように、プレート4の表面から裏面に向かって、表側部6A、中間部6B及び裏側部6Cを有し、中間部6Bよりも表側部6A及び裏側部6Cは狭まっていて、表側部6Aはコロ5が通り抜け可能な大きさに、裏側部6Cはコロ5が通り抜けできない大きさにそれぞれ形成されている(
図4(C)及び(D)参照)。
【0025】
ここで、
図4(E)に示すように、表側部6Aには、抜け止め部材9(
図4(C)及び(D)、
図5(B)参照)が装着可能な装着溝10を設けてあり、この装着溝10を除き、表側部6Aの内壁面はプレート4の表裏(上下)方向にストレートに延びている。また、表側部6Aとの間に段差を介して存在する中間部6Bの内壁面もプレート4の表裏(上下)方向にストレートに延びている。一方、裏側部6Cの内壁面は、プレート4の裏面に近い側ではプレート4の表裏(上下)方向にストレートに延び、プレート4の表面(中間部6B)に近い側では表面側に向かって漸次広がるテーパ面状に延びている。
【0026】
抜け止め部材9は、
図5(B)に示すように、金属製の線材をコロ5の平面視における輪郭にほぼ沿うように変形させた形状を呈し、止め輪(Cリング)として機能する部材であり(
図11(B)も参照)、その線材の中心線を基準とした前後長さL9(
図5(B)参照)と左右幅W9(
図5(B)参照)とが、コロ5の前後長さL5(
図5(A)参照)と左右幅W5(
図5(A)参照)と略一致するように構成してある。なお、本例のL5及びL9は76.2mm、W5及びW9は25.4mmであり、抜け止め部材9を構成する線材の直径D9(
図5(B)参照)は1.8mmである。
【0027】
以上のように構成した貫通孔6にコロ5を保持させるには、コロ5を貫通孔6に対して表側部6Aから挿入し裏側部6Cにまで至らせた状態で抜け止め部材9を装着溝10に装着すればよく、これにより、抜け止め部材9の内縁がコロ5の外縁(外面)よりも狭まった状態となり、コロ5が抜け止め部材10の当接によって貫通孔6から抜けなくなる(裏側部6C側にはもちろん、表側部6A側にも通過不能となる)。
【0028】
このようにして貫通孔6に保持されたコロ5は、
図2(B)及び(C)、
図4(C)及び(D)に示すように、プレート4の表裏両側にはみ出し、かつ、遊びを持った状態となっていて、貫通孔4の内壁の一部や抜け止め部材9にせいぜい線接触する程度であり、その回転が規制されず、軸回りに自由回転可能となっている。
【0029】
一方、レールブロック3は、
図1(B)、
図6(A)~(D)、
図8(A)及び(B)に示すように、複数のコロプレート2をその上に載せることができる長尺状の部材である。本例では、コロプレート2の前後長さが268mmであるのに対し、レールブロック3の前後長さは、例えば900mm、1800mm、2700mm、3600mm、4500mm、5400mmの何れかである。すなわち、本例では900mmから5400mmまで900mm間隔で前後長さの異なるレールブロック3を揃えておき、現場の状況等に応じて適宜長さのレールブロック3を選択して用いる。
【0030】
レールブロック3は、
図6(A)~(D)に示すように、表裏の略板状のフェイスシェル11,12を複数(図示例では五つ)のウェブ13で繋いだ形状を呈する。従って、レールブロック3は、その長手方向に延びる複数(図示例では四つ)の空洞部を有することになり、この空洞部によって軽量化及びコストダウンを図れるとともに、レールブロック3がしなったときに元に戻り易くもなる。
【0031】
ここで、上述のコロプレート2は、
図2(A)、
図7(A)及び(B)に示すように、プレート4の前後方向に間隔を空けて配した複数のコロ5からなるコロ列14をプレート4の左右に2列有する。これに対して、レールブロック3には、
図6(A)及び(B)、
図7(A)及び(B)に示すように、コロ列14の各コロ5をガイドするガイド溝15を設けてある。ガイド溝15の縦断面形状は、コロ5の下部の縦断面形状にほぼ沿うように構成してある。
【0032】
次に、上記のように構成した搬送装置1を用いた搬送方法について説明する。
【0033】
まず、
図1(B)に示すように、搬送対象Tの搬送経路上に所要数の搬送装置1を2列に並べる。具体的には、所要数のレールブロック3を2列に敷設し、各列のレールブロック3の上に所要数のコロプレート2をそれぞれ載置する。
【0034】
ここで、レールブロック3は、床面上に置くだけでもよいが、例えば
図9(A)~(C)に示すように、突き合わせた二つのレールブロック3を連結プレート16及び適宜の締結具(ボルト等)17で連結するようにしてもよい。なお、図示例では、各レールブロック3の左右両側にあるウェブ13の長手方向の両端部に穴3aを設け、この穴3aと連結プレート16を貫く締結具17によって二つのレールブロック3を連結している。
【0035】
また、
図2(A)~(C)、
図3(A)~(D)に示すように、プレート4の前面及び背面の何れか一方(本例では前面)に嵌合凸部18を設け、この嵌合凸部18に嵌合接続可能な形状を有する嵌合凹部19を他方(本例では背面)に設けてあり、前後に隣り合うコロプレート2を嵌合凸部18、嵌合凹部19でもって嵌合接続する。
【0036】
そして、
図1(A)に示すように、2列に並ぶ搬送装置1の上に搬送対象Tを載置し、この搬送対象Tに対して搬送方向Xに力を加えることにより、搬送対象Tの搬送を行える。
【0037】
ここで、搬送対象Tが載置されその重量を支持するコロプレート2のコロ5は転動し、この転動によってコロプレート2がレールブロック3の上を移動するが、このとき、搬送対象Tはコロプレート2上で静止しているわけではなく、コロ5の回転に伴ってコロプレート2上を移動するのであり、搬送対象Tはコロプレート2の2倍の距離を移動することになる。すなわち、搬送対象Tの搬送の際、搬送対象Tとこの搬送対象Tが載置されるコロプレート2の両方が搬送方向Xに向かってレールブロック3上を移動するが、搬送対象Tはコロプレート2の2倍の距離を移動するのであり、つまり搬送対象Tはコロプレート2を追い越しながら移動することになる。そして、搬送対象Tが搬送装置1を追い越してレールブロック3上に落下してしまうと搬送が困難化するので、搬送対象Tの移動に伴って順次搬送対象Tに追い抜かされた(搬送対象Tがその上を通過した)搬送装置1を搬送対象Tの前方に移す(置き直す)操作を適宜繰り返し、搬送対象Tが搬送装置1から落下しない(常にコロプレート2上にある)ようにしながら搬送する必要がある。
【0038】
以上説明した搬送装置1では、搬送対象Tの重量を直接支持する複数のコロ5の回転によって搬送対象Tを搬送するのであり、コロ5の転がり摩擦は滑り摩擦よりも小さいことから、搬送対象Tが重量物であってもこれをコロプレート2の上に載置し、比較的軽い力を搬送対象Tに水平方向(搬送方向)に加えるだけで搬送することができる。また、このコロプレート2の車高は実質的にコロ5(の円柱部分7)の直径であるため非常に低く、これに載せた搬送対象Tは高く持ち上げられないので、それだけ搬送経路の高さ制限を受け難いという利点もある。
【0039】
さらに、本例のコロプレート2ではボールではなくコロ5を用いるので、レールブロック3の上面(移動面)との接触が点ではなく線となる分、荷重が分散され、レールブロック3の上面の損傷防止を図ることができる。その上、コロプレート2で用いるコロ5は、円柱部分7と半球部分8を組み合わせた形状を有し、強度的な弱点(局所的に応力が集中し易くなるような部位)を生じ難くしてあるので、不意の応力等がコロ5に作用しても破損し難い。
【0040】
また、本例のコロプレート2では、搬送方向Xの前後に隣り合うコロプレート2どうしを嵌合凸部18及び嵌合凹部19によって嵌合状に接続することにより、各コロプレート2を搬送経路Xに沿わせるのが容易となり、ひいては搬送対象Tの確実な搬送の実現に資するものとなる。
【0041】
また、本例の搬送装置1では、コロプレート2の進行方向が所望の方向から若干ずれるような応力等が作用した場合でも、コロ5をガイドするレールブロック3のガイド溝15によってそのずれを矯正することができ、それだけ搬送対象Tの搬送を確実かつ容易に行える。特に、本例の搬送装置1では、コロ列14及びガイド溝15をそれぞれ二つずつ設けることにより、コロプレート2の進行方向の矯正力を高めることができる。
【0042】
ところで、
図6(A)及び(B)に示すように、本例のレールブロック3の上面には、コロ列14に対応するようにガイド溝15を左右に二つ並べて設けるとともに(
図7(A)及び(B)も参照)、ガイド溝15に沿って延びるリブ20を二つのガイド溝15の間と二つのガイド溝15を挟む位置との計三か所に設け、各リブ20の高さを均一としつつ、リブ20よりも上方に突出する部分を設けず、レールブロック3の下面を平面状に形成してある。
【0043】
そして、このように構成したことにより、搬送対象Tの搬送を行うに際し、
図8(C)に示すように、コロプレート2(コロ列14)のガイドを行わせるのに用いるレールブロック3(便宜上、
図8(C)では3Aと表示する)はその上面が上向きになるように配置しつつ、これらのレールブロック3(3A)の左右に他のレールブロック3(便宜上、
図8(C)では3Bと表示する)を上下逆にして敷き並べ、
図8(D)に示すように、搬送を行わない間は全てのレールブロック3の上面が下向きになるようにすれば、敷き並べた複数のレールブロック3は作業者の通行等に適した仮設ステージ(重量物搬送ステージ)や一時的な床等としての利用に好適なものとなる。そして、レールブロック3の上面は、二つのガイド溝15を有するものの、計三つのリブ20によってその強度が高まっているとともに、レールブロック3の下面は平面状としてあるのでこれを上向きに配した場合、その上を歩行等し易くなっている。
【0044】
なお、本発明は、上記の実施の形態に何ら限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々に変形して実施し得ることは勿論であり、本明細書で挙げる変形例どうしを適宜組み合わせてもよいことはいうまでもない。
【0045】
図1(A)及び(B)の例では、搬送装置1を2列に並べているが、これに限らず、1列あるいは3列以上に並べて用いるようにしてもよい。また、搬送に際し、状況等によっては、コロプレート2を用い、レールブロック3を用いないようにするといったことも可能である。
【0046】
また、搬送対象TはMRI装置に限らず、CT装置、大型冷凍機などであってもよく、本発明の搬送装置1は種々の重量物を据え付け現場に搬入する際にも好適に使用する事ができる。
【符号の説明】
【0047】
1 搬送装置
2 コロプレート
3 レールブロック
3a 穴
4 プレート
5 コロ
6 貫通孔
6A 表側部
6B 中間部
6C 裏側部
7 円柱部分
8 半球部分
9 抜け止め部材
10 装着溝
11 フェイスシェル
12 フェイスシェル
13 ウェブ
14 コロ列
15 ガイド溝
16 連結プレート
17 締結具
18 嵌合凸部
19 嵌合凹部
20 リブ
D9 抜け止め部材を構成する線材の直径
L5 コロの前後長さ
L9 線材の中心を基準とした抜け止め部材の前後長さ
T 搬送対象
W5 コロの左右幅
W9 線材の中心を基準とした抜け止め部材の左右幅
X 搬送方向
【要約】
【課題】比較的軽い力で搬送を行え、搬送経路の高さ制限を受け難く、移動面の損傷防止を図りながら、用いるコロの破損防止をも図ることのできるコロプレート及びこれを用いた搬送装置を提供すること。
【解決手段】貫通孔6を有するプレートと、貫通孔に保持されるコロ5とを具備し、コロは、円柱部分7と、円柱部分の両端にそれぞれ外面が滑らかに連なる二つの半球部分8とを有し、貫通孔は、表側部6A、中間部6B及び裏側部6Cを有し、中間部よりも表側部及び裏側部は狭まっていて、表側部はコロが通り抜け可能な大きさに、裏側部はコロが通り抜けできない大きさに形成され、表側部には抜け止め部材9が装着可能な装着溝10を設けてあり、コロを貫通孔に対して表側部から挿入し裏側部にまで至らせた状態で抜け止め部材を装着溝に装着すると、コロが抜け止め部材の当接によって貫通孔から抜けなくなるように構成した。
【選択図】
図4