(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】マルチモードバッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20240607BHJP
A45C 13/26 20060101ALI20240607BHJP
A45C 13/30 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A45C3/00 P
A45C13/26 Q
A45C13/30 G
(21)【出願番号】P 2024063727
(22)【出願日】2024-04-11
【審査請求日】2024-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】521143491
【氏名又は名称】株式会社MODERN TIMES
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 栞
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3099277(JP,U)
【文献】実開昭57-15229(JP,U)
【文献】実公昭35-5386(JP,Y1)
【文献】特開平3-198805(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第114554906(CN,A)
【文献】登録実用新案第3140678(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C13/00-13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッグ本体と、ベルトと、を備えるマルチモードバッグであって、
前記バッグ本体は、前記バッグ本体の前面と後面を構成する2面の身頃部と、前記バッグ本体の両側面と底面を構成し前記2面の身頃部を接続する通しマチ部と、前記通しマチ部の第1側面の中間部から底面を経過し第2側面の中間部まで連続して被覆するシース部と、前記シース部の長手方向に沿って前記通しマチ部と前記シース部の間を連通する挿通路と、前記第2側面における前記シース部より上部に固着した連結手段と、を備え、
前記ベルトは、前記第1側面における前記シース部より上部に固着した固定端部と、前記固定端部から上方に延出するベルト部であって、前記挿通路内に挿入可能な形状を呈し、長手方向の任意の位置で前記連結手段と連結可能なベルト部と、を備え、
前記シース部は、幅方向一辺側であって前記通しマチ部に固着した固定辺と、幅方向他辺側であって前記通しマチ部と着脱自在の展開辺と、を有し、
前記展開辺を、前記通しマチ部に対し、幅方向に展開可能に構成したことを特徴とする、
マルチモードバッグ。
【請求項2】
前記展開辺を、前記通しマチ部に磁着したことを特徴とする、
請求項1に記載のマルチモードバッグ。
【請求項3】
前記シース部が、長手方向に並列する複数の分割体からなることを特徴とする、
請求項2に記載のマルチモードバッグ。
【請求項4】
前記通しマチ部及び前記シース部が、側面と底面の接続部においてゆるやかに湾曲するカーブ形状を呈することを特徴とする、
請求項2に記載のマルチモードバッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマルチモードバッグに関し、外出先でも容易にバッグの用途を変更可能なデザイン性と機能性を兼ね備えたデザインバッグに関する。
【背景技術】
【0002】
バッグは、日常生活で用いられるファッションアイテムである。バッグにはデザイン性と共に機能性が求められ、身体に斜めにかける斜め掛けバッグ、肩掛けするショルダーバッグ、腕にかけるハンドバッグ等が存在する。バッグには所有者の好みが反映されるため、バッグ本体のデザインを保持したまま、例えばハンドバッグからショルダーバッグへ用途を変更する需要が存在する。
複数の形態に変形して用途変更可能なバッグとして、特許文献1には、バッグ本体の2ヶ所に取付部を設け、肩紐の両端部に係止部を設け、肩紐の長さを短く調節した状態において、肩紐の余長をバッグ本体の肩紐ガイド部内に挿通して保持することで、複数の形態に変形して用途変更可能なバッグが開示されている。
また、斜め掛け、肩掛け、手持ちのそれぞれの寸法に応じた複数の長さのベルトを準備し、用途に応じてそれぞれのベルトに付け替えるバッグが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術には以下のような問題点があった。
<1>特許文献1のバッグは、ハンドバッグとして使用する場合、肩紐がバッグ本体の外周に露出し、かつバッグ本体の表面が肩紐に引き絞られるため、デザイン性が著しく損なわれる。特にバッグを机等の上に置いた状態では、弛んだ肩紐が外側に膨らむことで見栄えが更に悪くなる。また、肩紐を底面の肩紐ガイド部内に挿通させるのに手間がかかり、利便性が低い。
<2>長さの異なる複数のベルトを用いるバッグは、複数のベルトを保管する必要があり管理が煩雑である上、ベルトを紛失した場合には用途変更ができなくなる。また、ベルトを携帯していないと、外出先でバッグの用途を変更することができない。
<3>いずれのバッグも、ベルトの固定位置が決まっているため、体形やファッションに応じてバッグの吊下げ位置を微調整することができない。
【0005】
本発明の目的は、以上のような問題点を解決できるマルチモードバッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマルチモードバッグは、バッグ本体と、ベルトと、を備え、バッグ本体は、バッグ本体の前面と後面を構成する2面の身頃部と、バッグ本体の両側面と底面を構成し2面の身頃部を接続する通しマチ部と、通しマチ部の第1側面の中間部から底面を経過し第2側面の中間部まで連続して被覆するシース部と、シース部の長手方向に沿って通しマチ部とシース部の間を連通する挿通路と、第2側面におけるシース部より上部に固着した連結手段と、を備え、ベルトは、第1側面におけるシース部より上部に固着した固定端部と、固定端部から上方に延出するベルト部であって、挿通路内に挿入可能な形状を呈し、長手方向の任意の位置で連結手段と連結可能なベルト部と、を備え、シース部は、幅方向一辺側であって通しマチ部に固着した固定辺と、幅方向他辺側であって通しマチ部と着脱自在の展開辺と、を有し、展開辺を、通しマチ部に対し、幅方向に展開可能に構成したことを特徴とする。
【0007】
本発明のマルチモードバッグは、展開辺を、通しマチ部に磁着してもよい。
【0008】
本発明のマルチモードバッグは、シース部が、長手方向に並列する複数の分割体からなっていてもよい。
【0009】
本発明のマルチモードバッグは、通しマチ部及びシース部が、側面と底面の接続部においてゆるやかに湾曲するカーブ形状を呈していてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマルチモードバッグは、次の効果のうち少なくとも一つを備える。
<1>ベルトの余長をバッグ本体の外周に沿ってコンパクトに収納することができる。これによって、ベルトの長さを調整した形跡が外観に表れず、あたかも既成のベルト長に見えるため、高いデザイン性を維持することができる。
<2>ベルトの余長が長い場合であっても、シース部を幅方向に展開することで、ベルトを挿通路内に容易に収納することができる。
<3>ベルトの交換を必要とせず、外出先でも容易にバッグの用途を変更することができる。
<4>ベルトを任意の長さでバッグ本体に連結できるため、体形やファッションに応じてバッグの吊下げ位置を微調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明のマルチモードバッグについて詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
[マルチモードバッグ]
<1>全体の構成(
図1)
マルチモードバッグ1は、部材の交換を必要とせず、ハンドバッグ、ショルダーバッグ、斜め掛けバッグ等の複数の形態に変更可能なバッグである。
マルチモードバッグ1は、バッグ本体10と、ベルト20と、を少なくとも備える。本例ではマルチモードバッグ1を、金具を除き皮革製とする。ただしこれに限らず、人工皮革、キャンバス地等であってもよい。
【0014】
<2>バッグ本体(
図2)
バッグ本体10は、物品を収納する構成要素である。
バッグ本体10は、2面の身頃部11と、通しマチ部12と、シース部14と、挿通路15と、連結手段16と、を少なくとも備える。
身頃部11は、バッグ本体10の前面と後面を構成する。
通しマチ部12は、バッグ本体10の両側面と底面を構成し、前後の身頃部11を連結する。なお、本例では身頃部11と通しマチ部12を別の部材としているがこれに限らず、例えば身頃部11が一枚物であってもよいし、巾着バッグのように身頃部10と通しマチ部12が一体であってもよい。
バッグ本体10の上部には、身頃部11と通しマチ部12の間に、バッグ本体10の内部に連絡する開口部13が画設され、本例では開口部13の上部を蓋部17で開閉自在に被覆する。
シース部14は、通しマチ部12の両側面下方と底面を被覆する。
挿通路15は、通しマチ部12とシース部14の間を連通する。
連結手段16は、通しマチ部12の第2側面12bにおいてシース部14の上方に付設する。
本例では、通しマチ部12及びシース部14が、側面と底面の接続部においてゆるやかに湾曲するカーブ形状を呈する。これによって、挿通路15内におけるベルト20の摺動が滑らかになり挿入が容易になると共に、シース部14に角がないため、後述するシース部14の側方への展開が容易となる。
【0015】
<2.1>シース部(
図3)
シース部14は、通しマチ部12を部分的に被覆して挿通路15を画設する部材である。詳細には、シース部14は、通しマチ部12を、第1側面12aの中間部から底面12cを経過し第2側面12bの中間部まで連続して被覆する。
本例ではシース部14を、長手方向に並列する2枚の分割体から構成する。ただしこれに限らず1枚ものであっても、3枚以上の分割体であってもよい。
シース部14は、幅方向一辺側であって通しマチ部12に固着した固定辺14aと、幅方向他辺側であって通しマチ部12と着脱自在の展開辺14bと、を備える。
この構造により、シース部14を通しマチ部12に対し、幅方向(展開辺14b側)に展開可能となる。なお本例のようにシース部14が分割体である場合、1枚ものより展開が容易になる。
本例では、通しマチ部12の内部と展開辺14bの内面に磁石と金属片を配置し、展開辺14bを通しマチ部12に磁着する。この他、通しマチ部12と展開辺14bに面ファスナー等の着脱部材を付設する構造や、シース部14の素材の形状弾性を利用する構造であってもよい。
【0016】
<2.2>挿通路(
図4)
挿通路15は、内部にベルト20を収容可能な空間である。
挿通路15は、通しマチ部12の表面とシース部14の内面の間において、シース部14の長手方向に沿って延在する。詳細には、シース部14の幅方向両端辺を通しマチ部12の幅方向両端縁と直線状に固定することで、通しマチ部12の外周に沿った正面視略U字状の空間として形成する。
なお、
図4では説明の便宜のため、シース部14を幅方向に切断した断面で表示している。
【0017】
<2.3>連結手段
連結手段16は、ベルト20と任意の位置で連結する手段である。
連結手段16は、通しマチ部12の第2側面12bにおいて、シース部14より上部に固着する。
本例では連結手段16として、第2側面12bに縫い付けたトレンチバックルを採用する。詳細には、トレンチバックルの中軸に巻きかけた固定片を第2側面12bに縫い付けて固定し、トレンチバックルの2つの隙間内にベルト部22を連通することで、ベルト部22の長手方向における任意の位置でベルト20と連結する。
ただし連結手段16はトレンチバックルに限らず、ベルト20と任意の位置で連結可能な構造であれば、例えばリングバックル、管巻きバックル、ローラーバックル等であってもよい。
【0018】
<3>ベルト
ベルト20は、バッグ本体10を吊り下げる構成要素である。
ベルト20は、バッグ本体10に固着する固定端部21と、固定端部21から上方に延出する長尺のベルト部22と、を少なくとも備える。
固定端部21は、通しマチ部12の第1側面12aにおいて、シース部14より上部に固着する。
ベルト部22は、挿通路15内に挿入可能な形状を呈する。詳細には、ベルト部22は、高さが挿通路15の高さより小さく、幅が挿通路15の幅より小さい。望ましくはベルト部22の幅は挿通路15の幅の半分程度である。
ベルト部22の長さは、斜め掛けバッグにおける長さ、例えば130cm程度に設定することが望ましい。
なお、デザイン性を高めるためにベルト20を細身に形成し、柔らかい天然皮革製等とすると、押込みに伴い先端22aが折れ曲がってしまい、先端22aを挿通路15内に押し込むのが困難となる場合がある。このような場合、シース部14の展開辺14bを開くことで、ベルト部22を幅方向から挿通路15内に容易に収納することができる。
【0019】
<4>マルチモードバッグの形態(
図5)
マルチモードバッグ1は、連結手段16とベルト部22の連結位置によって、複数の形態に変形させることができる。
ベルト部22の中間22bを固定端部21側から30~40cm程度の位置で連結手段16と連結し、先端22aを第2側面12b側から挿通路15内に連通することで、ハンドバッグの形態となる(
図5(a))。なお、ベルト部22の先端22a側が長すぎる場合には、先端22aが挿通路15内から第1側面12a側へ突出する。この場合、ベルト部22の先端22a付近にベルト孔を設け、第1側面12aに設けた突起で留めるなどの構造としてもよい。
ベルト部22の中間22bを固定端部21側から80~90cm程度の位置で連結手段16と連結し、先端22aを第2側面12b側から挿通路15内に連通することで、ショルダーバッグの形態となる(
図5(b))。
ベルト部22の先端22a付近を連結手段16と連結し、先端22aを第2側面12b側から挿通路15内に連通することで、斜め掛けバッグの形態となる(
図5(c))。なお、先端22aが連結手段16より先に余らない場合には、先端22aを挿通路15内に挿入しないこともできる。
【0020】
<5>シース部の機能
本発明のマルチモードバッグ1は、シース部14によって通しマチ部12の外周に沿って挿通路15を画設することで、ベルト部22の先端を通しマチ部12の外周に沿ってコンパクトに収納することができる。これによって、ベルト20の長さを調整した形跡が外観に表れないため、高いデザイン性を維持することができる。
また、マルチモードバッグ1をハンドバッグとして用いる場合、挿通路15内に挿入するベルト部22の長さは相当長くなり、ベルト部22の中間22bを連結手段16内に通しつつ先端22aを挿通路15内に挿入するのは、手間がかかりかなりの苦渋作業となる。
そこで、この場合には、ベルト部22の先端22aを挿通路15内に挿入せずに先に中間22bを所定の位置で連結手段16に連結する。続いてシース部14を幅方向に展開し、余ったベルト部22を幅方向から通しマチ部12上に位置決めして展開辺14bを閉じることで、ベルト部22を挿通路15内に容易に収納することができる。
【符号の説明】
【0021】
1 マルチモードバッグ
10 バッグ本体
11 身頃部
12 通しマチ部
12a 第1側面
12b 第2側面
12c 底面
12d 角部
13 袋口部
14 シース部
14a 固定辺
14b 展開辺
15 挿通路
16 連結手段
17 蓋部
20 ベルト
21 固定端部
22 ベルト部
22a 先端
22b 中間
【要約】
【課題】外出先でも容易にバッグの用途を変更可能なデザイン性と機能性を兼ね備えたデザインバッグを提供する。
【解決手段】バッグ本体10とベルト20を備え、バッグ本体10が、2面の身頃部11と、通しマチ部12と、シース部14と、挿通路15と、連結手段16と、を備え、ベルト20が、固定端部21と、ベルト部22と、を備え、シース部14が、固定辺14aと、展開辺14bと、を備え、展開辺14bを、通しマチ部13に対し、幅方向に展開可能に構成したことを特徴とする。
【選択図】
図1