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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】冷却装置、光源装置及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 29/71 20150101AFI20240607BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240607BHJP
   F21V 7/00 20060101ALI20240607BHJP
   F21V 29/503 20150101ALI20240607BHJP
   F21V 29/51 20150101ALI20240607BHJP
   F21V 29/76 20150101ALI20240607BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20240607BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20240607BHJP
   G03B 21/16 20060101ALI20240607BHJP
   H01L 23/427 20060101ALI20240607BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20240607BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240607BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20240607BHJP
【FI】
F21V29/71
F21S2/00 340
F21V7/00 590
F21V29/503 100
F21V29/51
F21V29/76
G03B21/00 F
G03B21/14 A
G03B21/16
H01L23/46 B
H04N5/74 Z
H05K7/20 B
H05K7/20 R
F21Y115:30
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018186669
(22)【出願日】2018-10-01
(65)【公開番号】P2020057498
(43)【公開日】2020-04-09
【審査請求日】2021-09-01
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】上田 智之
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】澤崎 雅彦
【審判官】中村 則夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225009(JP,A)
【文献】特開2018-037211(JP,A)
【文献】特開2004-022827(JP,A)
【文献】特開平02-211657(JP,A)
【文献】特開2018-101029(JP,A)
【文献】特開2017-227658(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 29/71
F21S 2/00
F21V 29/503
F21V 29/51
G03B 21/16
H01L 23/427
H05K 7/20
H05B 45/00
F21V 29/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1本以上の棒状のヒートパイプと、
前記ヒートパイプを選択的に挿通可能な前記ヒートパイプの本数よりも多い複数の貫通孔が形成された複数のフィンを有する放熱部と、
を備え、
前記複数のフィンは、互いに同一形状の第1のフィンと、第2のフィンと、を含み、
前記第1のフィン及び前記第2のフィンにおける前記複数の貫通孔は、ともに、第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と異なる位置に配置された第2の貫通孔と、を含み、
前記ヒートパイプのうちの1本の第1ヒートパイプが、前記第1のフィンの前記第1の貫通孔を貫通し且つ前記第1のフィンの前記第2の貫通孔に貫通しないとともに、前記第2のフィンの前記第2の貫通孔を貫通し且つ前記第2のフィンの前記第1の貫通孔を貫通していないことによって、前記第1のフィン及び前記第2のフィンが、前記第1の貫通孔の位置と前記第2の貫通孔の位置とのずれ量だけずらされて配置されていることを特徴とする冷却装置。
【請求項2】
前記複数の貫通孔は列を成すように配置されることを特徴とする請求項1に記載の冷却装置。
【請求項3】
前記放熱部は、複数の前記フィンから成る複数のユニットに分割されており、
前記第1ヒートパイプが挿通する前記フィンの前記貫通孔の位置は、隣り合うユニットで異なる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記複数の貫通孔は二列に配置され、
第一列の前記貫通孔と第二列の前記貫通孔とは千鳥状にずれて配置される、
ことを特徴とする請求項2に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記フィンは矩形板状に形成され、
前記第一列の前記貫通孔から前記フィンの前記第一列側の縁部までの距離と、前記第二列の前記貫通孔から前記フィンの前記第二列側の縁部までの距離とは同じである、
ことを特徴とする請求項4に記載の冷却装置。
【請求項6】
前記フィンの前記第一列側の縁部には前記フィンの一方の面側に屈曲する第一屈曲部が形成され、
前記フィンの前記第二列側の縁部には前記フィンの他方の面側に屈曲する第二屈曲部が形成される、
ことを特徴とする請求項5に記載の冷却装置。
【請求項7】
前記第1ヒートパイプの外周形状及び前記貫通孔の内径形状は、円形又は楕円形であることを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れかに記載の冷却装置。
【請求項8】
前記貫通孔の内縁には前記フィンの板厚方向に延設される短円筒状の内壁が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の冷却装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8の何れかに記載の冷却装置と、
青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を出射する発光素子と、
第1のパネルと、
前記第1のパネルに接し、前記第1のパネルと異なる側を向いた第2のパネルと、
を備え、
前記第1パネル及び前記第2のパネルの間の角部は湾曲形状であり、
前記第1のフィン及び前記第2のフィンは、前記角部の近傍に配置されていることを特徴とする光源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記表示素子及び前記光源装置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置、光源装置及びこの光源装置を備える投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、パーソナルコンピュータの画面やビデオ画像、さらにメモリカード等に記憶されている画像データによる画像等をスクリーンに投影する投影装置(プロジェクタ)が提案されている。このような投影装置が備える光源装置の発光素子として、発光ダイオード(LED)、レーザ発光素子、有機EL、あるいは蛍光体等が用いられている。
【0003】
光源装置はその駆動により発熱を伴うため、種々の冷却技術が提案されている。例えば特許文献1の空冷式のヒートシンクは、複数の貫通孔が穿たれて発熱体が当接される受熱体と、その貫通孔と同数のヒートパイプと、このヒートパイプの外周に装着された複数のフィンとを備えている。フィンは、矩形状に形成された金属材の薄板であり、ヒートパイプが挿通される貫通孔をヒートパイプと同数有している。各フィンはヒートパイプの長さ方向に沿って互いに間隔を隔てられて装着されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-263601号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のヒートシンクでは、ヒートパイプに対するフィンの位置の設定範囲がヒートパイプの長さ方向に制限される。そのため、冷却風の流路を形成する周辺部材の形状によっては、フィンを配列できない場合がある。流路に沿って外形形状の異なる複数種類のフィンをヒートパイプに取り付けて最適化しようとすると、フィンの製造コストや管理コストの増加が生じてしまう。また、配置できない一部のフィンをヒートシンクから取り除くと、ヒートシンクの冷却機能が低下することも想定される。
【0006】
本発明は以上の点に鑑み、簡易な構成で冷却効率のよい冷却装置、光源装置及び投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る冷却装置は、1本以上の棒状のヒートパイプと、前記ヒートパイプを選択的に挿通可能な前記ヒートパイプの本数よりも多い複数の貫通孔が形成された複数のフィンを有する放熱部と、を備え、前記複数のフィンは、互いに同一形状の第1のフィンと、第2のフィンと、を含み、前記第1のフィン及び前記第2のフィンにおける前記複数の貫通孔は、ともに、第1の貫通孔と、前記第1の貫通孔と異なる位置に配置された第2の貫通孔と、を含み、前記ヒートパイプのうちの1本の第1ヒートパイプが、前記第1のフィンの前記第1の貫通孔を貫通し且つ前記第1のフィンの前記第2の貫通孔に貫通しないとともに、前記第2のフィンの前記第2の貫通孔を貫通し且つ前記第2のフィンの前記第1の貫通孔を貫通していないことによって、前記第1のフィン及び前記第2のフィンが、前記第1の貫通孔の位置と前記第2の貫通孔の位置とのずれ量だけずらされて配置されていることを特徴とする。

【0008】
本発明に係る光源装置は、上述に記載の冷却装置と、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を出射する発光素子と、第1のパネルと、前記第1のパネルに接し、前記第1のパネルと異なる側を向いた第2のパネルと、を備え、前記第1パネル及び前記第2のパネルの間の角部は湾曲形状であり、前記第1のフィン及び前記第2のフィンは、前記角部の近傍に配置されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る投影装置は、上述に記載の光源装置と、前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、前記表示素子及び前記光源装置を制御する制御手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、簡易な構成で冷却効率のよい冷却装置、光源装置及び投影装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る投影装置の機能回路ブロック図である。
図2】本発明の実施形態1に係る投影装置の内部構造の平面模式図である。
図3】本発明の実施形態1に係る冷却装置の斜視図である。
図4】本発明の実施形態1に係るフィンを示す図であり、(a)はフィンの斜視図であり、(b)は図4(a)のフィンの貫通孔周辺のIVb-IVb断面図である。
図5】本発明の実施形態2に係る冷却装置の斜視図である。
図6】本発明の実施形態2に係るフィンを示す図であり、(a)はフィンの斜視図であり、(b)は図6(a)のフィンの貫通孔周辺のVIb-VIb断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態1)
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1は、投影装置10の機能ブロック図である。
【0013】
制御手段は、制御部38、入出力インターフェース22、画像変換部23、表示エンコーダ24、表示駆動部26等から構成される。入出力コネクタ部21から入力された各種規格の画像信号は、制御手段により、入出力インターフェース22及びシステムバス(SB)を介して画像変換部23で表示に適した所定のフォーマットの画像信号に統一するように変換され、表示エンコーダ24に出力される。
【0014】
制御部38は、投影装置10内の各回路の動作制御を司るものであって、演算装置としてのCPUや各種セッティング等の動作プログラムを固定的に記憶したROM及びワークメモリとして使用されるRAM等により構成されている。
【0015】
表示エンコーダ24は、入力された画像信号をビデオRAM25に展開記憶させた上で、ビデオRAM25の記憶内容からビデオ信号を生成して表示駆動部26に出力する。
【0016】
表示駆動部26は、表示エンコーダ24から出力された画像信号に対応して適宜フレームレートで空間的光変調素子(SOM)である表示素子51を駆動する。
【0017】
投影装置10は、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を出射する光源装置60を備える。光源装置60から出射された出射光は表示素子51に照射されることにより表示素子51で反射されて画像光を形成する。反射された画像光は後述する投影側光学系220を介してスクリーン等に投影される。
【0018】
投影側光学系220は可動レンズ群を有する。可動レンズ群は、レンズモータ45によりズーム調整やフォーカス調整のための駆動を行う。
【0019】
画像圧縮/伸長部31は、再生時にメモリカード32に記録された画像データを読み出し、一連の動画を構成する個々の画像データを1フレーム単位で伸長する。また、画像圧縮/伸長部31は、伸長した画像データを、画像変換部23を介して表示エンコーダ24に出力し、メモリカード32に記憶された画像データに基づいて動画等の表示を可能とする処理を行わせる。
【0020】
キー/インジケータ部37は、投影装置10の筐体に設けられる。キー/インジケータ部37からの操作信号は制御部38に直接送出される。リモートコントローラからのキー操作信号は、Ir受信部35で受信され、Ir処理部36で復調されて制御部38に出力される。
【0021】
制御部38にはシステムバス(SB)を介して音声処理部47が接続されている。音声処理部47は、PCM音源等の音源回路を備えており、投影モード及び再生モード時には音声データをアナログ化し、スピーカ48を駆動して拡声放音させる。
【0022】
制御部38は、光源制御回路41を制御している。この光源制御回路41は、画像生成時に要求される所定波長帯域の光源光が光源装置60から出射されるように制御する。
【0023】
また、制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43に光源装置60等に設けた複数の温度センサによる温度検出を行わせ、この温度検出の結果から冷却ファン510,520(図2参照)の回転速度を制御させることができる。制御部38は、冷却ファン駆動制御回路43にタイマー等によって投影装置本体の電源オフ後も冷却ファン510,520の回転を持続させる、あるいは、温度センサによる温度検出の結果によっては投影装置10本体の電源をオフにする等の制御も行なわせることができる。
【0024】
次に、投影装置10の内部構造について述べる。図2は、投影装置10の内部構造を示す平面模式図である。投影装置10は、背面パネル13の近傍に主制御回路基板241や電源制御回路基板242を備える。なお、以下の説明において、投影装置10における左右とは投影方向に対しての左右方向を示し、前後とは投影装置10から見た投影光の進行方向に対しての前後方向を示す。
【0025】
光源装置60は、励起光照射装置70、緑色光源装置80及び赤色光源装置120を有する。また、光源装置60は、出射した光を光源側光学系170に導光する導光光学系140を備える。
【0026】
励起光照射装置70は、投影装置10の筐体内において右側パネル14近傍に配置される青色光源装置である。励起光照射装置70には、半導体発光素子である複数の青色レーザダイオード71が設けられる。また、各青色レーザダイオード71の光軸上には、青色レーザダイオード71からの出射光を、指向性を高めるように平行光に変換するコリメータレンズ73が配置されている。なお、本実施形態において、青色レーザダイオード71及びコリメータレンズ73は、それぞれ2行6列の合計12個が配置される。複数の青色レーザダイオード71は、光源ホルダ74により保持される。
【0027】
コリメータレンズ73の正面には、集光レンズ75が設けられる。集光レンズ75は、各コリメータレンズ73から出射された青色波長帯域光を集光し、拡散板76に導光する。拡散板76は、入射した青色波長帯域光を拡散透過し、蛍光板装置100へ導光する。
【0028】
赤色光源装置120は、赤色光源121と、集光レンズ群125とを備える。赤色光源121は、赤色波長帯域の光を出射する半導体発光素子である赤色発光ダイオードである。赤色光源121は、青色レーザダイオード71の出射光と光軸が平行となるように配置される。集光レンズ群125は、赤色光源121から出射された赤色波長帯域光を集光する。
【0029】
励起光照射装置70の右側パネル14側には、励起光照射装置70の冷却装置300が配置される。また、赤色光源装置120の正面パネル12側には、赤色光源装置120の冷却装置400が配置される。冷却装置300と冷却装置400との間には冷却ファン510が配置されている。また、冷却装置400の左側パネル15側にも冷却ファン520が配置されている。冷却ファン510及び冷却ファン520は、軸流ファンである。また、冷却ファン510,520は、例えば、投影装置10の左側パネル15側から吸気した空気を、冷却装置300,400の各フィン340,440に通風させた後に右側パネル14側から排気させることができる。よって、青色レーザダイオード71及び赤色光源121は、それぞれの冷却装置300,400により冷却される。
【0030】
緑色光源装置80を構成する蛍光板101は、投影装置10の略中央に配置される。蛍光板101は、円板状に形成され、励起光照射装置70から出射された励起光の光路上に配置される。蛍光板101は、図示しない駆動モータにより回転駆動される。
【0031】
蛍光板101の励起光照射装置70側には集光レンズ群111が配置され、蛍光板101の反射ミラー144側にも図示しない集光レンズが配置される。
【0032】
集光レンズ群111は、励起光照射装置70から出射されて第一ダイクロイックミラー141を透過した励起光の光線束を、蛍光板101に集光させるとともに蛍光板101から励起光照射装置70側に出射される蛍光光を集光する。
【0033】
蛍光板101の基材には銅やアルミニウム等からなる金属基材を用いることができる。この基材の励起光照射装置70側の表面には、環状の溝が形成される。この溝の底部は銀蒸着等によってミラー加工がされており、その底部には発光素子である緑色蛍光体が敷設されている。また、透過領域には基材の切抜き透光部に透光性を有する透明基材が嵌入される。なお、透過領域として、励起光を拡散透過する領域を配置する場合、切抜き透孔部には表面をサンドブラスト等で微細凹凸を設けた透明基材が嵌入される。蛍光発光領域と透過領域は、蛍光板101上に周方向に連続して設けられている。
【0034】
蛍光板101の緑色蛍光体は、励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光が照射されると緑色波長帯域光を蛍光光として出射する。蛍光発光された緑色波長帯域光は、右側パネル14側へ出射され、集光レンズ群111に入射する。一方、透過領域に入射した青色波長帯域光は、蛍光板101を透過又は拡散透過して、反射ミラー144側へ導光される。
【0035】
導光光学系140は、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光の光線束を集光させる集光レンズや、各色波長帯域の光線束の光軸を変換して同一の光軸に導光する反射ミラーやダイクロイックミラー等を備える。具体的に、導光光学系140は、第一ダイクロイックミラー141、第二ダイクロイックミラー142、第三ダイクロイックミラー143、反射ミラー144、及び複数の集光レンズ145を備える。
【0036】
第一ダイクロイックミラー141は、拡散板76と集光レンズ群111の間に配置される。第一ダイクロイックミラー141は、青色波長帯域光を透過し、緑色波長帯域光を反射する。励起光照射装置70から出射された青色波長帯域光は、第一ダイクロイックミラー141を透過して蛍光板101に導光される。また、蛍光板101から出射された緑色波長帯域光は、第一ダイクロイックミラー141により反射され、集光レンズ145を介して第二ダイクロイックミラー142に導光される。
【0037】
第二ダイクロイックミラー142は、第一ダイクロイックミラー141から出射された緑色波長帯域光と、赤色光源装置120から出射された赤色波長帯域光とが、交差する位置に配置される。第二ダイクロイックミラー142は、緑色波長帯域光を反射し、赤色波長帯域光を透過する。第一ダイクロイックミラー141で反射された緑色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー142により反射され、左側パネル15側に配置された集光レンズ145を介して第三ダイクロイックミラー143に導光される。
【0038】
また、赤色光源装置120から出射された赤色波長帯域光は、第二ダイクロイックミラー142を透過し、緑色波長帯域光と光軸が一致する。その後、赤色波長帯域光は、集光レンズ145を介して第三ダイクロイックミラー143に導光される。
【0039】
一方、励起光照射装置70から出射されて蛍光板101の透過領域を透過した青色波長帯域光は、反射ミラー144により反射し、集光レンズ145を介して第三ダイクロイックミラー143に導光される。
【0040】
第三ダイクロイックミラー143は、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を反射し、青色波長帯域光を透過する。よって、第二ダイクロイックミラー142で反射した緑色波長帯域光と、第二ダイクロイックミラー142を透過した赤色波長帯域光は、第三ダイクロイックミラー143で反射され、光源側光学系170の集光レンズ173に入射する。一方、反射ミラー144で反射した青色波長帯域光は、第三ダイクロイックミラー143を透過し、光源側光学系170の集光レンズ173に導光される。
【0041】
このように、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光の各光軸は、第三ダイクロイックミラー143で透過又は反射することにより一致する。
【0042】
光源側光学系170は、集光レンズ173、導光装置175、集光レンズ178、照射ミラー185、TIRプリズム188(Total Internal Reflection Prism,内部全反射プリズム)を備える。なお、TIRプリズム188は、後述の投影側光学系220の一部でもある。集光レンズ173は、第三ダイクロイックミラー143から出射された光を集光する。集光レンズ173により集光された青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光は、ライトトンネル等の導光装置175に入射する。導光装置175に入射した光線束は均一な強度分布に調整される。
【0043】
集光レンズ178は、導光装置175の正面パネル12側の光軸上に配置される。導光装置175から出射された光線束は、集光レンズ178で集光されて照射ミラー185に照射される。
【0044】
投影側光学系220は、TIRプリズム188、表示素子51、レンズ鏡筒221、非球面ミラー240を有する。照射ミラー185で反射された光線束は、TIRプリズム188に入射し、正面パネル12側に配置された表示素子51の画像形成面に照射される。表示素子51により形成された画像光は、背面パネル13側に設けられたレンズ鏡筒221内の固定レンズ群や可動レンズ群235を介して、非球面ミラー240に照射される。
【0045】
非球面ミラー240により反射された画像光は、カバーガラス250を介して投影装置10の外部に出射され、スクリーン等に投影される。
【0046】
このように投影装置10を構成することで、蛍光板101を回転させるとともに励起光照射装置70及び赤色光源装置120から異なるタイミングで光を出射すると、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光の各光は、導光光学系140を介して光源側光学系170に順次入射し、その後表示素子51に照射される。そのため、表示素子51であるDMDが表示させるデータに応じて各色の光を時分割反射することにより、投影装置10はスクリーンにカラー画像を投影することができる。
【0047】
次に、冷却装置300について説明する。図3は冷却装置300の斜視図である。また、図4(a)は冷却装置300のフィン340の斜視図であり、図4(b)はフィン340の貫通孔344周辺のIVb-IVb断面図である。
【0048】
冷却装置300は、図2の青色レーザダイオード71から発生した熱が伝達される受熱体310と、受熱体310に接続されるヒートパイプ320と、ヒートパイプ320に接続されるヒートシンク330(放熱部)とを備える。
【0049】
受熱体310は、略矩形板状に形成され、図2の青色レーザダイオード71を保持する光源ホルダ74と直接的に又は緩衝部材等を介して間接的に接続される。青色レーザダイオード71から発生した熱の殆どは受熱体310に伝達される。受熱体310は、ヒートパイプ320を配置させる断面視凹円弧状の溝部311を有する。溝部311は受熱体310の長尺方向の両端に亘って形成される。受熱体310の四隅の角部には、光源ホルダ74等との固定に使用される螺子孔312が形成される。また、受熱体310の長尺方向の両端部には、それぞれ丸孔状の位置決め孔313及び長孔状の位置決め孔314が形成される。従って、光源ホルダ74に設けられた位置決め用のノックピン等を位置決め孔313,314に容易に挿入させて、受熱体310を螺子孔312により光源ホルダ74に固定することができる。
【0050】
ヒートパイプ320は円柱棒状に形成されて外周形状が断面視略円形に形成される。ヒートパイプ320の基端320a側は、受熱体310の溝部311に係合して固定される。よって、ヒートパイプ320は、青色レーザダイオード71等の熱源と受熱体310を介して熱接続される。
【0051】
ヒートシンク330は、ヒートパイプ320の先端320b側において、複数のフィン340を平行に重ねて並設することにより形成される。図4(a)に示すように、フィン340は、長矩形板状に形成される。フィン340の短辺縁部340a,340bには、フィン340の一方の面341a側に略90度で折り曲げられた屈曲部342,343が形成される。2つの屈曲部342,343は短辺縁部340a,340bから同方向に折り曲げられている。複数のフィン340を重ねて並設する際、各屈曲部342,343の先端側は、隣接するフィン340の屈曲部342,343の基端側に当接させることができる(図3参照)。本実施形態ではフィン340の短尺方向の全体に亘って、隣接するフィン340の屈曲部342,343同士を当接させている。従って、ヒートシンク330全体の剛性を向上させることができる。また、フィン340間を流通する冷却風をフィン340の短尺方向に容易に案内することができる。
【0052】
フィン340には受熱体310から延設されるヒートパイプ320の本数よりも多数の貫通孔344(344a~344e)が形成される。貫通孔344は、内径形状が略円形に形成され、一方向(本実施形態ではフィン340の短尺方向)へ向かって列を成すように一列で配置される。貫通孔344の配列方向と短辺縁部340a,340bとは略平行に形成される。各貫通孔344a~344eは、貫通孔344の直径よりも大きいピッチAで略等間隔に配置される。
【0053】
図4(b)の断面図に示すように、貫通孔344の内縁には貫通方向に延設された短円筒状の内壁345が形成される。内壁345は屈曲部342,343の折り曲げ方向と同じ一方の面341a側に延設される。内壁345の基端側は貫通孔344の周縁と湾曲しながら接続され、内壁345の先端部345a付近はフィン340の板面と略直角となるように形成される。各貫通孔344a~344eにはヒートパイプ320を選択的に挿通させて固定させることができる。ヒートパイプ320の外周面と内壁345の先端部345a側の内周面とは、環状に略面当接される。また、ヒートパイプ320と内壁345とはクリーム半田等を用いたロウ付けにより固定することができる。よって、ヒートパイプ320とフィン340とは、熱伝導性が良く容易に固定させることができる。
【0054】
図3に戻り、フィン340の固定位置は、受熱体310側から徐々にずれて配置される。図3では、ヒートシンク330のうち、ヒートパイプ320が挿入される貫通孔344a~344eが共通するように連続配置されたフィン340の纏まりを、第一ユニット330a、第二ユニット330b及び第三ユニット330cとして示している。
【0055】
第一ユニット330aに含まれる24枚のフィン340は、貫通孔344c(図4(a)も参照)にヒートパイプ320を挿通させている。第二ユニット330bに含まれる8枚のフィン340は、貫通孔344dにヒートパイプ320を挿通させている。また、第三ユニット330cに含まれる8枚のフィン340は、貫通孔344eにヒートパイプ320を挿通させている。このように、ヒートパイプ320を挿通させる貫通孔344a~344eの位置を選択することにより、光源装置60と投影装置10との間等の空間の形状に応じて各フィン340の位置を任意にずらすことができる。
【0056】
本実施形態の投影装置10は、図2に示すように、正面パネル12と右側パネル14との角部が平面視円弧状に湾曲しているが、フィン340に複数の貫通孔344a~344eを設けてヒートパイプ320を選択的に挿通可能な構成としたため、より多くのフィン340を筐体等の他の部材と干渉を避けて配置させることができる。そのため、冷却装置300の冷却性能を向上させ、限られた空間を光源の冷却に効率良く使用をすることができる。
【0057】
また、冷却装置300はフィン340の位置を任意に設定可能であるため、空間に余裕がある場合は、第一ユニット330a又は第二ユニット330bのようにフィン340と冷却ファン510との距離を離して(図2参照)通風抵抗を低減することができ、空気の輸送能力の低下や騒音の発生を防止することができる。
【0058】
さらに、フィン340をずらして配置可能な冷却装置300は、異なる形状の複数のフィン340を予め用意しておく必要が無いため、フィン340の製作コストや管理コストを増加させることなくフィン340を空間形状に適合させての配置させることができる。
【0059】
なお、図2に示した冷却装置400も、冷却装置300のフィン340と同様に複数の貫通孔が形成されたフィン440を備えて、フィン440の位置を受熱体410及びヒートパイプ420に対してずれて配置可能な構成としてもよい。
【0060】
(実施形態2)
次に、実施形態2について説明する。図5は本実施形態の冷却装置300Aの斜視図である。また、図6(a)は冷却装置300Aのフィン340Aの斜視図であり、図6(b)はフィン340Aの貫通孔344周辺のVIb-VIb断面図である。なお、冷却装置300Aの説明において、冷却装置300と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化する。
【0061】
冷却装置300Aは、図2の青色レーザダイオード71から発生した熱が伝達される受熱体310と、受熱体310と接続されるヒートパイプ320と、ヒートパイプ320と接続されるヒートシンク330A(放熱部)とを備える。冷却装置300Aの受熱体310及びヒートパイプ320の構成は冷却装置300と同様である。
【0062】
ヒートシンク330Aは、複数のフィン340Aを平行に重ね合わせて並設することにより形成される。図6(a)に示すように、フィン340Aは、長矩形板状に形成される。フィン340Aの上方の短辺縁部340aには、フィン340Aの一方の面341a側に略90度で折り返された屈曲部346(第一屈曲部)が形成される。フィン340Aの下方の短辺縁部340bには、フィン340Aの一方の面341a側と反対側の他方の面341b側に略90度で折り返された屈曲部347(第二屈曲部)が形成される。従って、2つの屈曲部346及び屈曲部347は、各短辺縁部340a,340bから異なる方向に折り曲げられている。複数のフィン340Aを重ねて並設する際、各屈曲部346,347の先端側は、隣接するフィン340Aの屈曲部346,347の基端側に当接させることができる(図5参照)。
【0063】
フィン340Aには複数の貫通孔344(344a~344i)が形成される。貫通孔344は略円形に形成され、フィン340Aの一方向(本実施形態ではフィン340の短尺方向)へ向かって列を成すように二列で配置される。各列における貫通孔344の配列方向と短辺縁部340a,340bとは略平行に形成される。屈曲部346側の第一列R1には5個の貫通孔344a~344eが設けられ、屈曲部347側の第二列R2には4個の貫通孔344f~344iが設けられる。
【0064】
第一列R1の貫通孔344a~344e及び第二列R2の貫通孔344f~344iは、各列において貫通孔344の直径よりも大きいピッチAで略等間隔に配置される。また、第一列R1の貫通孔344a~344eと第二列R2の貫通孔344f~344iとは千鳥状にずれて配置される。すなわち、第二列R2の貫通孔344f~344iは、第一列R1の貫通孔344a~344eに対して、第一列R1及び第二列R2が形成されるフィン340Aの短尺方向にピッチAの半分だけずれて配置される。第一列R1と第二列R2の位置は、フィン340Aの上下対称となるように配列される。従って、第一列R1の各貫通孔344a~344eから第一列R1側(上方)の短辺縁部340aまでの距離と、第二列R2の各貫通孔344f~344iから第二列R2側(下方)の短辺縁部340bまでの距離とは略同じとなるように形成される。
【0065】
図6(b)の断面図に示すように、第一列R1の貫通孔344a~344eの内縁にはフィン340Aの一方の面341a側へ向かって延設された短円筒状の内壁345が形成される。また、第二列R2の貫通孔344f~344iの内縁にはフィン340Aの他方の面341b側へ向かって延設された短円筒状の内壁345が形成される。内壁345の基端側は貫通孔344の周縁と湾曲しながら接続され、内壁345の先端付近はフィン340Aの板面と略直角となるように形成される。各貫通孔344a~344iにはヒートパイプ320を選択的に挿通させて固定させることができる。
【0066】
図5において、フィン340Aの固定位置は、受熱体310側から徐々にずれて配置される。図5では、ヒートシンク330Aのうちヒートパイプ320が挿入される貫通孔344a~344iが共通するように連続配置されたフィン340Aの纏まりを、第一ユニット330Aa~第五ユニット330Aeとして示している。
【0067】
第一ユニット330Aaに含まれる24枚のフィン340Aは、貫通孔344c(図6(a)も参照)にヒートパイプ320を挿通させている。第二ユニット330Abに含まれる4枚のフィン340Aは、貫通孔344hにヒートパイプ320を挿通させている。第三ユニット330Acに含まれる4枚のフィン340Aは、貫通孔344dにヒートパイプ320を挿通させている。第四ユニット330Adに含まれる4枚のフィン340Aは、貫通孔344iにヒートパイプ320を挿通させている。そして、第五ユニット330Aeに含まれる4枚のフィン340Aは、貫通孔344eにヒートパイプ320を挿通させている。
【0068】
第一ユニット330Aa、第三ユニット330Ac及び第五ユニット330Aeの各フィン340Aは、一方の面341a側を受熱体310側へ向けるとともに第二列目の貫通孔344f~344iが下方に位置されるように配置される。また、第二ユニット330Ab及び第四ユニット330Adの各フィン340Aは、他方の面341b側を受熱体310側へ向けるとともに第一列目の貫通孔344a~344eが下方に位置されるように配置される。
【0069】
このように、ヒートパイプ320を挿通させる貫通孔344a~344iの位置を選択することにより、冷却装置300Aは、光源装置60と投影装置10との間の空間等の形状に応じて各フィン340Aの位置を任意にずらすことができる。そして、冷却装置300Aは、フィン340Aに貫通孔344a~344iを設けたことにより、実施形態1の冷却装置300よりもフィン340の位置を細かくずらして構成することができる。
【0070】
なお、冷却装置300,300Aは、貫通孔344を三列以上の複数の列を成すように設けたり、貫通孔344をフィン340,340Aの短尺方向及び長尺方向に等間隔或いは任意の間隔で離間させて設けてもよい。これにより、フィン340,340Aをヒートパイプ320に対して短尺方向及び長尺方向の一方又は両方に相対的にずらしてヒートシンク330,330Aの形状を任意に設定することができる。
【0071】
また、ヒートパイプ320を2本以上の複数本設けて、各フィン340,340Aの貫通孔344の数をヒートパイプ320よりも多数設ける構成としてもよい。この場合も、ヒートパイプ320を選択的に挿通可能なように貫通孔344を配置させることで、冷却装置300,300Aは熱源からの熱の輸送能力を向上させつつヒートシンク330,330Aの形状を任意に設定することができる。
【0072】
また、図3及び図5の冷却装置300,300Aでは、受熱体310と屈曲部342,343,346,347とを略平行に配置した例を示したが、冷却装置300,300Aは、受熱体310を屈曲部342,343,346,347に対して略90度となるように配置させてもよい。
【0073】
以上、各実施形態において、ヒートパイプ320と、該ヒートパイプ320を選択的に挿通可能なヒートパイプ320の本数よりも多数の貫通孔344が形成された複数のフィン340,340Aを有する放熱部と、を備える冷却装置300,300Aについて説明した。これにより、冷却風が通る流路の形状に合わせてヒートパイプ320に対するフィン340,340Aの位置を任意に設定することができ、冷却装置300,300Aの冷却効率を簡易な構成で高めることができる。
【0074】
また、複数の貫通孔344が列を成すように配置される冷却装置300,300Aは、ヒートパイプ320に対するフィン340,340Aの相対的な位置を、一方向に向かって任意に調節することができる。
【0075】
また、複数の貫通孔344は二列に配置され、第一列R1の貫通孔344a~344eと第二列R2の貫通孔344f~344iとが千鳥状にずれて配置される冷却装置300Aは、フィン340Aを貫通孔344の直径よりも小さな間隔でずらしてヒートパイプ320に接続させることができる。
【0076】
また、フィン340Aは、矩形板状に形成され、第一列R1の貫通孔344a~344eから第一列R1側の短辺縁部340aまでの距離と、第二列R2の貫通孔344f~344iから第二列R2側の短辺縁部340bまでの距離とが同じである。そのため、ヒートパイプ320が第一列R1の貫通孔344a~344eに挿入されたフィン340Aと、ヒートパイプ320が第二列R2の貫通孔344f~344iに挿通されたフィン340Aとが混在しても、第一列R1又は第二列R2のフィン340Aを上下逆にすることにより短辺縁部340a,340bの上下高さを揃えることができる。
【0077】
また、フィン340Aの第一列R1側の短辺縁部340aにはフィン340Aの一方の面341a側に屈曲する屈曲部346が形成され、フィン340Aの第二列R2側の短辺縁部340bにはフィン340Aの他方の面341b側に屈曲する屈曲部347が形成される冷却装置300Aは、フィン340Aの強度を向上させることができる。
【0078】
また、冷却装置300,300Aのヒートパイプ320の外周形状及び貫通孔344の内径形状は円形又は楕円形とすることができる。ヒートパイプ320の外周形状及び貫通孔344の内径形状を円形とした場合ではヒートパイプ320内の断面積が大きいため熱輸送の効率を高めることができ、楕円形とした場合ではヒートパイプ320の外周方向にフィン340,340Aが相対的に回転してしまうことを防止することができる。
【0079】
また、貫通孔344の内縁にはフィン340,340Aの板厚方向に延設される短円筒状の内壁345が形成される冷却装置300,300Aは、貫通孔344とフィン340,340Aとの接触面積を増加させてフィン340,340Aを固定することができる。よって、フィン340,340Aの固定の安定性及び熱伝導性を向上させることができる。
【0080】
また、光源装置60は、青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を出射する発光素子と、冷却装置300,300Aとを備える。冷却装置300,300Aは、発光素子と熱接続されるヒートパイプ320と、ヒートパイプ320を選択的に挿通可能なヒートパイプ320よりも多数の貫通孔344が形成された複数のフィン340,340Aとを含む。そのため、冷却装置300,300Aが配置される空間の形状に応じてヒートパイプ320に対するフィン340,340Aの位置を任意にずらすことができ、ヒートシンク330,330Aの配置や形状を簡易な構成で最適化して冷却効率を高めることができる。
【0081】
また、投影装置10は、上述の光源装置60と、光源装置60からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子51と、表示素子51から出射された画像光をスクリーンに投影する投影側光学系220と、表示素子51及び光源装置60を制御する制御手段とを備える。そのため、簡易な構成で冷却効率のよい投影装置10を構成することができる。
【0082】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0083】
以下に、本願出願の最初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] ヒートパイプと、
前記ヒートパイプを選択的に挿通可能な前記ヒートパイプの本数よりも多数の貫通孔が形成された複数のフィンを有する放熱部と、
を備えることを特徴とする冷却装置。
[2] 複数の前記貫通孔は列を成すように配置されることを特徴とする前記[1]に記載の冷却装置。
[3] 前記放熱部は、複数の前記フィンから成る複数のユニットに分割されており、
前記ヒートパイプが挿通する前記フィンの前記貫通孔の位置は、隣り合うユニットで異なる、
ことを特徴とする前記[1]または前記[2]に記載の冷却装置。
[4] 複数の前記貫通孔は二列に配置され、
第一列の前記貫通孔と第二列の前記貫通孔とは千鳥状にずれて配置される、
ことを特徴とする前記[2]に記載の冷却装置。
[5] 前記フィンは矩形板状に形成され、
前記第一列の前記貫通孔から前記フィンの前記第一列側の縁部までの距離と、前記第二列の前記貫通孔から前記フィンの前記第二列側の縁部までの距離とは同じである、
ことを特徴とする前記[4]に記載の冷却装置。
[6] 前記フィンの前記第一列側の縁部には前記フィンの一方の面側に屈曲する第一屈曲部が形成され、
前記フィンの前記第二列側の縁部には前記フィンの他方の面側に屈曲する第二屈曲部が形成される、
ことを特徴とする前記[5]に記載の冷却装置。
「7] 前記ヒートパイプの外周形状及び前記貫通孔の内径形状は、円形又は楕円形であることを特徴とする前記[1]乃至前記[6]の何れかに記載の冷却装置。
[8] 前記貫通孔の内縁には前記フィンの板厚方向に延設される短円筒状の内壁が形成されることを特徴とする前記[1]乃至前記[7]の何れかに記載の冷却装置。
[9] 前記[1]乃至前記[8]の何れかに記載の冷却装置と、
青色波長帯域光、緑色波長帯域光及び赤色波長帯域光を出射する発光素子と、
を備えることを特徴とする光源装置。
[10] 前記[9]に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光源光が照射され、画像光を形成する表示素子と、
前記表示素子から出射された前記画像光をスクリーンに投影する投影側光学系と、
前記表示素子及び前記光源装置を制御する制御手段と、
を有することを特徴とする投影装置。
【符号の説明】
【0084】
10 投影装置 12 正面パネル
13 背面パネル 14 右側パネル
15 左側パネル 21 入出力コネクタ部
22 入出力インターフェース 23 画像変換部
24 表示エンコーダ 25 ビデオRAM
26 表示駆動部 31 画像圧縮/伸長部
32 メモリカード 35 Ir受信部
36 Ir処理部 37 キー/インジケータ部
38 制御部 41 光源制御回路
43 冷却ファン駆動制御回路 45 レンズモータ
47 音声処理部 48 スピーカ
51 表示素子
60 光源装置 70 励起光照射装置
71 青色レーザダイオード 73 コリメータレンズ
74 光源ホルダ 75 集光レンズ
76 拡散板 80 緑色光源装置
100 蛍光板装置 101 蛍光板
111 集光レンズ群 120 赤色光源装置
121 赤色光源 125 集光レンズ群
140 導光光学系 141 第一ダイクロイックミラー
142 第二ダイクロイックミラー 143 第三ダイクロイックミラー
144 反射ミラー 145 集光レンズ
170 光源側光学系 173 集光レンズ
175 導光装置 178 集光レンズ
185 照射ミラー 188 TIRプリズム
220 投影側光学系 221 レンズ鏡筒
235 可動レンズ群 240 非球面ミラー
241 主制御回路基板 242 電源制御回路基板
250 カバーガラス 300 冷却装置
300A 冷却装置 310 受熱体
311 溝部 312 螺子孔
313 位置決め孔 314 位置決め孔
320 ヒートパイプ 320a 基端
320b 先端 330 ヒートシンク(放熱部)
330A ヒートシンク(放熱部)
330a~330a 第一ユニット~第三ユニット
330Aa~330Ae 第一ユニット~第五ユニット
340,340A フィン
340a 短辺縁部 340b 短辺縁部
341a 一方の面 341b 他方の面
342 屈曲部 343 屈曲部
344 貫通孔 344a~344i 貫通孔
345 内壁 345a 先端部
346 屈曲部 347 屈曲部
400 冷却装置 410 受熱体
420 ヒートパイプ 440 フィン
510 冷却ファン 520 冷却ファン
A ピッチ R1 第一列
R2 第二列
図1
図2
図3
図4
図5
図6