(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】空気入りタイヤ
(51)【国際特許分類】
B60C 11/12 20060101AFI20240607BHJP
B60C 11/03 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B60C11/12 C
B60C11/03 C
B60C11/03 300C
(21)【出願番号】P 2019224619
(22)【出願日】2019-12-12
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】里井 彩
【審査官】市村 脩平
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-099956(JP,A)
【文献】特開2014-108704(JP,A)
【文献】特開2014-108665(JP,A)
【文献】国際公開第2009/077231(WO,A1)
【文献】国際公開第2014/084320(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00-19/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ周方向に延び、タイヤ幅方向の中央に配置されるセンター主溝と、
前記センター主溝から前記タイヤ幅方向の外側に向けて延び、前記タイヤ幅方向に対して傾斜する複数の傾斜溝と、
前記センター主溝と複数の傾斜溝とによって区画される複数の陸部と、を備え、
前記陸部は、前記傾斜溝同士を接続する陸溝と、前記陸溝によって区画され、前記タイヤ幅方向で並ぶ複数のブロックと、を備え、
複数のブロックは、最も前記タイヤ幅方向の内側に配置されるセンターブロックを含み、
前記センターブロックは、前記センターブロックを分断するように延びるセンターサイプを備え、
前記センターサイプは、タイヤ幅方向に対して交差するように延び、且つ、前記傾斜溝に面する前記センターブロックの外縁と交差するように延び、
前記センターサイプは、複数備えられ、
複数の前記センターサイプは、直線状に延びる直線サイプと、屈曲を有する屈曲サイプと、を含み、
前記直線サイプの深さは、前記屈曲サイプの深さよりも、浅い、空気入りタイヤ。
【請求項2】
前記センターサイプは、複数備えられ、
複数の前記センターサイプは、直線状に延びる直線サイプと、屈曲を有する屈曲サイプと、を含み、
前記センターブロックの前記タイヤ周方向の長さは、前記センターブロックの前記タイヤ幅方向の長さよりも、長く、
前記直線サイプは、前記センターブロックのタイヤ周方向のそれぞれの端部に配置され、
前記屈曲サイプは、タイヤ周方向において、前記直線サイプ間に配置される、請求項
1に記載の空気入りタイヤ。
【請求項3】
前記陸部は、前記傾斜溝同士を接続する二つの陸溝と、前記二つの陸溝によって区画され、前記タイヤ幅方向で並ぶ三つのブロックと、を備え、
複数のブロックは、最もタイヤ幅方向の外側に配置されるショルダーブロックと、前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの間に配置されるクオーターブロックと、を含み、
前記クオーターブロックは、クオーターサイプを備え、
前記センターサイプが前記タイヤ幅方向に対して交差する角度は、前記クオーターサイプが前記タイヤ幅方向に対して交差する角度よりも、小さい、請求項1
又は2に記載の空気入りタイヤ。
【請求項4】
前記陸部は、前記傾斜溝同士を接続する二つの陸溝と、前記二つの陸溝によって区画され、タイヤ幅方向で並ぶ三つのブロックと、を備え、
複数のブロックは、最も前記タイヤ幅方向の外側に配置されるショルダーブロックと、前記センターブロックと前記ショルダーブロックとの間に配置されるクオーターブロックと、を含み、
前記ショルダーブロックは、ショルダーサイプを備え、
前記クオーターブロックは、クオーターサイプを備え、
前記ショルダーサイプが前記タイヤ幅方向に対して交差する角度は、前記クオーターサイプが前記タイヤ幅方向に対して交差する角度よりも、小さい、請求項1~
3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【請求項5】
前記センターサイプが前記タイヤ幅方向に対して傾斜する側は、前記傾斜溝が前記タイヤ幅方向に対して傾斜する側と、反対である、請求項1~
4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気入りタイヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、空気入りタイヤは、タイヤ幅方向の中央に配置されるセンター主溝と、センター主溝からタイヤ幅方向の外側に向けて延び、タイヤ幅方向に対して傾斜する複数の傾斜溝と、センター主溝と複数の傾斜溝とによって区画される複数の陸部とを備えている(例えば、特許文献1)。そして、陸部は、傾斜溝同士を接続する陸溝と、陸溝によって区画され、タイヤ幅方向で並ぶ複数のブロックとを備えている。
【0003】
複数のブロックは、最もタイヤ幅方向の内側に配置されるセンターブロックを含んでおり、センターブロックは、複数のサイプを備えている。ところで、特許文献1に係る空気入りタイヤにおいては、複数のサイプは、タイヤ幅方向に延びている。これにより、センターブロックにおいては、直進時に、複数のサイプで分断されたサイプ片が、タイヤ周方向へ大きく倒れるため、センターブロックの変形が大きくなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本開示の目的は、センターブロックの変形が大きくなることを抑制することができる空気入りタイヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延び、タイヤ幅方向の中央に配置されるセンター主溝と、前記センター主溝から前記タイヤ幅方向の外側に向けて延び、前記タイヤ幅方向に対して傾斜する複数の傾斜溝と、前記センター主溝と複数の傾斜溝とによって区画される複数の陸部と、を備え、前記陸部は、前記傾斜溝同士を接続する陸溝と、前記陸溝によって区画され、前記タイヤ幅方向で並ぶ複数のブロックと、を備え、複数のブロックは、最も前記タイヤ幅方向の内側に配置されるセンターブロックを含み、前記センターブロックは、前記センターブロックを分断するように延びるセンターサイプを備え、前記センターサイプは、タイヤ幅方向に対して交差するように延び、且つ、前記傾斜溝に面する前記センターブロックの外縁と交差するように延びる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面の要部展開図
【
図4】同実施形態に係る空気入りタイヤのトレッド面の要部展開図
【
図6】同実施形態に係るクオーターブロックの拡大図
【
図7】同実施形態に係るショルダーブロックの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、空気入りタイヤにおける一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
図1に示すように、本実施形態に係る空気入りタイヤ(以下、単に「タイヤ」ともいう)1は、一対のビード部(図示していない)と、各ビード部からタイヤ径方向の外側に延びるサイドウォール部(図示していない)と、一対のサイドウォール部のタイヤ径方向の外端部に連接され、外表面がトレッド面2aを構成するトレッド部2とを備えている。
【0010】
なお、タイヤ1は、リム(図示していない)に装着されており、タイヤ1の内部は、空気により加圧されている。そして、タイヤ1の用途は、特に限定されないが、本実施形態に係るタイヤ1は、スノー路面及びドライ路面の両方で用いられる、所謂、オールシーズン用のタイヤである。
【0011】
各図において、第1の方向D1は、タイヤ回転軸と平行であるタイヤ幅方向D1であり、第2の方向D2は、タイヤ回転軸周りの方向であるタイヤ周方向D2である。なお、タイヤ径方向とは、タイヤ1の直径方向のことである。
【0012】
また、タイヤ赤道面とは、タイヤ回転軸に直交する面で且つタイヤ幅方向D1の中心に位置する面のことであり、タイヤ子午面とは、タイヤ回転軸を含む面であって、タイヤ赤道面と直交する面のことである。なお、タイヤ赤道L1は、タイヤ赤道面のうち、トレッド面2aと交差する線である。
【0013】
タイヤ幅方向D1において、内側とは、タイヤ赤道L1に近い側となり、外側とは、タイヤ赤道L1から遠い側となる。また、タイヤ幅方向D1のうち、一方側D1aは、第1幅方向側D1aといい、他方側D1bは、第2幅方向側D1bという。
【0014】
タイヤ周方向D2のうち、一方側D2aは、第1周方向側D2aといい、他方側D2bは、第2周方向側D2bという。特に限定されないが、本実施形態においては、第1周方向側D2aは、車両が前進する際の回転方向、即ち、タイヤ1の回転方向である。これにより、本実施形態においては、第1周方向側D2aは、踏込側であり、第2周方向側D2bは、蹴出側となる。
【0015】
また、
図2に示すように、第1幅方向側D1aに行くにつれて、第1周方向側D2aへ向かう側(及び、第2幅方向側D1bへ行くにつれて、第2周方向側D2bへ向かう側)D3は、第1傾斜側D3という。また、
図3に示すように、第1幅方向側D1aに行くにつれて、第2周方向側D2bへ向かう側(及び、第2幅方向側D1bに行くにつれて、第1周方向側D2aへ向かう側)D4は、第2傾斜側D4という。
【0016】
そして、「タイヤ幅方向D1に対して傾斜する側が同じである」とは、同じ傾斜側(例えば、第1傾斜側D3,D3同士、第2傾斜側D4,D4同士)であることをいう。即ち、タイヤ幅方向D1に対する傾斜角度が異なっていても、同じ傾斜側D3,D3(D4,D4)であれば、「タイヤ幅方向D1に対して傾斜する側が同じである」に含まれる。
【0017】
また、「タイヤ幅方向D1に対して傾斜する側が反対である」とは、反対の傾斜側(第1傾斜側D3と第2傾斜側D4)であることをいう。即ち、タイヤ幅方向D1に対する傾斜角度が同じであっても、反対の傾斜側D3,D4であれば、「タイヤ幅方向D1に対して傾斜する側が反対である」に含まれる。
【0018】
図1に戻り、トレッド面2aは、路面に接地する接地面を有しており、当該接地面のうち、タイヤ幅方向D1の外側端は、接地端2b,2bという。また、当該接地面は、タイヤ1を正規リムにリム組みし、正規内圧を充填した状態でタイヤ1を平坦な路面に垂直に置き、正規荷重を加えたときの路面に接地するトレッド面2aを指す。
【0019】
正規リムは、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ1ごとに定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRA及びETRTOであれば「Measuring Rim」となる。
【0020】
正規内圧は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表「TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES」に記載の最大値、ETRTOであれば「INFLATIONPRESSURE」である。なお、タイヤ1が乗用車用である場合には、180kPaとし、さらに、Extra Load又はReinforcedと記載されたタイヤ1である場合には、220kPaとする。
【0021】
正規荷重は、タイヤ1が基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ1ごとに定めている荷重であり、JATMAであれば最大負荷能力、TRAであれば上記の表に記載の最大値、ETRTOであれば「LOAD CAPACITY」であるが、タイヤ1が乗用車用である場合には内圧の対応荷重の88%とする。
【0022】
トレッド部2は、タイヤ幅方向D1の中央に配置されるセンター主溝3と、センター主溝3からタイヤ幅方向D1の外側に向けて延び、タイヤ幅方向D1に対して傾斜する傾斜溝4,5とを備えている。センター主溝3は、一つのみ備えられており、傾斜溝4,5は、複数備えられている。
【0023】
センター主溝3は、タイヤ周方向D2に延びている。具体的には、センター主溝3は、タイヤ周方向D2に対して平行に延びている。そして、センター主溝3は、タイヤ赤道L1上に配置されている。なお、センター主溝3は、タイヤ周方向D2に沿ってジグザグ状に延びている、という構成でもよい。
【0024】
傾斜溝4,5は、センター主溝3から、少なくとも接地端2bまで延びている。そして、複数の傾斜溝4,5は、センター主溝3から第1幅方向側D1aに向けて延びる第1傾斜溝4と、センター主溝3から第2幅方向側D1bに向けて延びる第2傾斜溝5とを含んでいる。
【0025】
傾斜溝4,5は、タイヤ幅方向D1の外側に行くにつれて、第2周方向側D2bに向けて延びている。具体的には、第1傾斜溝4は、タイヤ幅方向D1の外側、即ち、第1幅方向側D1aに行くにつれて、第2周方向側D2bに向けて延びており、第2傾斜溝5は、タイヤ幅方向D1の外側、即ち、第2幅方向側D1bに行くにつれて、第2周方向側D2bに向けて延びている。
【0026】
これにより、第1傾斜溝4がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4は、第2傾斜溝5がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3と、反対である。具体的には、第1傾斜溝4の傾斜側D4は、第2傾斜側D4であり、第2傾斜溝5の傾斜側D3は、第1傾斜側D3である。そして、第1傾斜溝4と第2傾斜溝5とは、タイヤ周方向D2で交互に配置されている。
【0027】
なお、特に限定されないが、センター主溝3及び傾斜溝4,5は、例えば、接地端2b,2b間の距離(タイヤ幅方向D1の寸法)の3%以上の溝幅を有している、という構成でもよい。また、特に限定されないが、センター主溝3及び傾斜溝4,5は、例えば、5mm以上の溝幅を有している、という構成でもよい。
【0028】
また、トレッド部2は、センター主溝3と複数の傾斜溝4,4(5,5)とによって区画される複数の陸部6を備えている。複数の陸部6は、タイヤ周方向D2で隣接される一対の第1傾斜溝4,4とセンター主溝3とによって区画される第1陸部6と、タイヤ周方向D2で隣接される一対の第2傾斜溝5,5とセンター主溝3とによって区画される第2陸部6とを含んでいる。
【0029】
陸部6は、傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する陸溝7と、陸溝7によって区画され、タイヤ幅方向D1で並ぶ複数のブロック8,9,10とを備えている。本実施形態においては、それぞれの陸部6において、陸溝7は、二つ備えられ、ブロック8,9,10は、三つ備えられている。
【0030】
複数のブロック8,9,10は、タイヤ幅方向D1の内側から、センターブロック8、クオーターブロック9、ショルダーブロック10という。即ち、複数のブロック8,9,10は、最もタイヤ幅方向D1の内側に配置されるセンターブロック8と、最もタイヤ幅方向D1の外側に配置されるショルダーブロック10と、センターブロック8とショルダーブロック10との間に配置されるクオーターブロック9とを含んでいる。
【0031】
なお、特に限定されないが、本実施形態においては、陸部6の陸溝7がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3(D4)は、傾斜溝4(5)がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4(D3)と、反対である。具体的には、第1傾斜溝4の傾斜側が第2傾斜側D4であることに対して、第1陸部6の陸溝7の傾斜側は、第1傾斜側D3であり、一方、第2傾斜溝5の傾斜側が第1傾斜側D3であることに対して、第2陸部6の陸溝7の傾斜側は、第2傾斜側D4である。
【0032】
図4に示すように、各ブロック8,9,10は、第1周方向側D2aに配置される第1外縁8a,9a,10aと、第2周方向側D2bに配置される第2外縁8b,9b,10bとを備えている。各第1外縁8a,9a,10aは、それぞれ共通する傾斜溝5に面しており、各第2外縁8b,9b,10bは、それぞれ共通する傾斜溝5に面している。
【0033】
センターブロック8の第1外縁8aがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ1は、クオーターブロック9の第1外縁9aがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ2よりも、大きくなっている。そして、クオーターブロック9の第1外縁9aがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ2は、ショルダーブロック10の第1外縁10aがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ3よりも、大きくなっている。
【0034】
また、センターブロック8の第2外縁8bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ4は、クオーターブロック9の第2外縁9bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ5よりも、大きくなっている。そして、クオーターブロック9の第2外縁9bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ5は、ショルダーブロック10の第2外縁10bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ6よりも、大きくなっている。
【0035】
特に限定されないが、センターブロック8の外縁8a,8bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ1,θ4は、40°~60°としてもよい。また、特に限定されないが、クオーターブロック9の外縁9a,9bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ2,θ5は、30°~50°としてもよい。
【0036】
また、特に限定されないが、ショルダーブロック10の外縁10a,10bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ3,θ6は、0°~20°としてもよい。なお、各ブロック8,9,10の外縁8a,8b,9a,9b,10a,10bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θ6とは、各外縁8a,8b,9a,9b,10a,10bのタイヤ幅方向D1の内端部がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度を指す。
【0037】
このように、本実施形態においては、傾斜溝4,5がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する角度θ1,θ2,θ3,θ4,θ5,θ6は、タイヤ幅方向D1の外側に行くにつれて、小さくなっている。なお、傾斜溝4,5の構成は、斯かる構成に限定されない。
【0038】
また、クオーターブロック9は、センターブロック8の第1外縁8aの延長線L2に対して、第1周方向側D2aに突出する突出部9cを備えている。そして、ショルダーブロック10は、クオーターブロック9の第1外縁9aの延長線L3に対して、第1周方向側D2aに突出する突出部10cを備えている。
【0039】
これにより、突出部9c,10cのタイヤ幅方向D1を向くエッジによって、例えば、スノー路面に対してトラクション(滑らずに引っ掛かる力)が発生する。その結果、例えば、スノー路面に対する旋回性能を向上させたり、スノー路面に対する直進時の横滑り抑止性能を向上させたりすることができる。
【0040】
また、各ブロック8,9,10は、それぞれ複数のサイプ11a,11b,12a,12b,13a,13bを備えている。なお、センターブロック8のサイプ11a,11bは、センターサイプ11a,11bといい、クオーターブロック9のサイプ12a,12bは、クオーターサイプ12a,12bといい、ショルダーブロック10のサイプ13a,13bは、ショルダーサイプ13a,13bという。
【0041】
また、サイプ11a,11b,12a,12b,13a,13cは、2.0mm以下の幅を有する凹部であり、陸溝7は、2.0mmを越える幅を有する凹部である。なお、陸部6は、傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する陸溝7だけでなく、少なくとも一端が傾斜溝4,5から離れる陸溝、即ち、ブロック8,9,10に配置される陸溝を備えていてもよい。
【0042】
図5に示すように、複数のセンターサイプ11a,11bは、直線状に延びる直線サイプ11aと、屈曲を有する屈曲サイプ11bとを含んでいる。屈曲サイプ11bは、両方の端部に直線部を備えており、直線部間に複数の曲線の屈曲部を備えている。なお、屈曲サイプ11bは、全長に亘って複数の屈曲部を備えていてもよく、屈曲部は、直線の屈曲、即ち、屈折して形成されていてもよい。
【0043】
センターサイプ11a,11bは、センターブロック8を分断するように、延びている。なお、センターサイプ11a,11bの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、5つであり、それにより、センターブロック8は、センターサイプ11a,11bによって分断されるブロック片8cを6つ備えている。
【0044】
とこで、センターブロック8のタイヤ周方向D2の長さW2は、センターブロック8のタイヤ幅方向D1の長さW1よりも、長くなっている。しかも、センターブロック8のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部が、鋭角の角部になっているため、センターブロック8のタイヤ周方向D2の端部の剛性は、低くなっている。
【0045】
そこで、サイプ長の短い直線サイプ11aは、センターブロック8のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置されている。これにより、センターブロック8のタイヤ周方向D2の端部の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。
【0046】
しかも、サイプ長の長い屈曲サイプ11bが、タイヤ周方向D2において、直線サイプ11a,11a間に配置されている、即ち、センターブロック8のタイヤ周方向D2の中央部に配置されている。これにより、センターサイプ11a,11bのエッジ長さを確保することができる。したがって、センターブロック8の剛性が低くなり過ぎることを抑制しつつ、センターサイプ11a,11bによるエッジ長さを確保することができる。
【0047】
なお、特に限定されないが、直線サイプ11aの深さは、屈曲サイプ11bの深さよりも、浅くなっている。これにより、センターブロック8のタイヤ周方向D2の端部の剛性が低くなり過ぎることを効果的に抑制することができる。
【0048】
ところで、直進(駆動)時に、センターサイプ11a,11bは、タイヤ周方向D2(特に、回転方向と反対である第2周方向側D2b)の力F1を受け易い。そこで、センターサイプ11a,11bは、タイヤ幅方向D1に対して交差するように延びている。これにより、直進時に、センターブロック8のブロック片8cがタイヤ周方向D2へ倒れることを抑制することができる。
【0049】
したがって、直進時に、センターブロック8の変形が大きくなることを抑制することができるため、スノー路面の直進時のタイヤ性能や、ドライ路面の直進時のタイヤ性能を向上させることができる。なお、特に限定されないが、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7(≦90°)は、5°以上であることが好ましく、また、10°以上であることがより好ましく、15°以上であることがさらに好ましい。
【0050】
また、駆動時及び制動時に、センターブロック8は、外縁8a,8b(特に、踏込側の第1外縁8a)と直交する方向の力F2を受け易い。そこで、センターサイプ11a,11bは、外縁8a,8bと交差するように延びている。これにより、駆動時及び制動時に、センターブロック8のブロック片8cが外縁8a,8bと直交する方向へ倒れることを抑制することができる。
【0051】
したがって、駆動時及び制動時に、センターブロック8の変形が大きくなることを抑制することができるため、スノー路面の駆動時及び制動時のタイヤ性能や、ドライ路面の駆動時及び制動時のタイヤ性能を向上させることができる。特に限定されないが、センターサイプ11a,11bが外縁8a,8bと交差する角度θ8,θ9(≦90°)は、50°以上であることが好ましく、60°以上であることがより好ましく、70°以上であることがさらに好ましい。
【0052】
しかも、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4は、傾斜溝5がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3と、反対である。具体的には、第2陸部6のセンターサイプ11a,11bの傾斜側は、第2傾斜側D4であり、第2傾斜溝5の傾斜側は、第1傾斜側D3である。
【0053】
これにより、センターサイプ11a,11bと外縁8a,8bとが交差する角度θ8,θ9が小さくなり過ぎることを抑制することができるため、ブロック片8cの鋭角の角部の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。したがって、例えば、ブロック片8cが倒れることを効果的に抑制することができたり、例えば、角部と中央部との剛性差に起因してブロック片8cに偏摩耗が発生することを抑制することができたりする。
【0054】
図6に示すように、複数のクオーターサイプ12a,12bは、直線状に延びる直線サイプ12aと、屈曲を有する屈曲サイプ12bとを含んでいる。特に限定されないが、本実施形態においては、屈曲サイプ12bは、両方の端部に直線部を備えており、直線部間に複数の屈曲部を備えている。
【0055】
そして、特に限定されないが、本実施形態においては、クオーターサイプ12a,12bは、クオーターブロック9を分断するように、延びている。なお、クオーターサイプ12a,12bの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、7つであり、それにより、クオーターブロック9は、クオーターサイプ12a,12bによって分断されるブロック片9dを8つ備えている。
【0056】
そして、クオーターブロック9のタイヤ周方向D2の長さW4は、クオーターブロック9のタイヤ幅方向D1の長さW3よりも、長くなっている。しかも、クオーターブロック9のタイヤ周方向D2の端部は、鋭角の角部になっている。それに対して、サイプ長の短い直線サイプ12aは、クオーターブロック9のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置されており、サイプ長の長い屈曲サイプ12bは、タイヤ周方向D2において、直線サイプ12a,12a間に配置されている。
【0057】
これにより、クオーターブロック9の剛性が低くなることを抑制しつつ、クオーターサイプ12a,12bによるエッジ長さを確保することができる。なお、特に限定されないが、本実施形態においては、直線サイプ12aの深さは、屈曲サイプ12bの深さよりも、浅くなっている。
【0058】
また、クオーターサイプ12a,12bは、タイヤ幅方向D1に対して交差するように延びている。これにより、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ周方向D2の力F3を受けた場合でも、クオーターブロック9の変形が大きくなることを抑制することができる。特に限定されないが、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10(≦90°)は、10°以上であることが好ましく、また、20°以上であることがより好ましく、30°以上であることがさらに好ましい。
【0059】
ところで、直進時には、接地長(路面に対して接するタイヤ周方向D2の長さ)が、センターブロック8で最も長くなる一方で、旋回時には、タイヤ幅方向D1の外側に行くにつれて、大きな力が働く。それに対して、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7は、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10よりも、小さくなっている。
【0060】
これにより、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7が、小さいため、直進時に、センターサイプ11a,11bのエッジ効果は、大きくなる。そして、直進時に、センターブロック8の接地長が長いため、直進時に接地するセンターサイプ11a,11bのエッジ長さの総計は、長くなる。したがって、直進時のエッジ効果を向上させることができる。
【0061】
しかも、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10が、大きいため、旋回時に、クオーターサイプ12a,12bのエッジ効果は、大きくなる。そして、旋回時に、クオーターサイプ12a,12bがセンターサイプ11a,11bよりもタイヤ幅方向D1の外側に位置しているため、旋回時のエッジ効果を向上させることができる。
【0062】
また、クオーターサイプ12a,12bは、外縁9a,9bと交差するように延びている。これにより、クオーターブロック9が、外縁9a,9bと直交する方向の力F4を受けた場合でも、クオーターブロック9の変形が大きくなることを抑制することができる。特に限定されないが、クオーターサイプ12a,12bが外縁9a,9bと交差する角度θ11,θ12(≦90°)は、50°以上であることが好ましく、60°以上であることがより好ましく、70°以上であることがさらに好ましい。
【0063】
そして、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4は、傾斜溝5がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3と、反対である。具体的には、第2陸部6のクオーターサイプ12a,12bの傾斜側は、第2傾斜側D4であり、第2傾斜溝5の傾斜側は、第1傾斜側D3である。
【0064】
図7に示すように、複数のショルダーサイプ13a,13bは、直線状に延びる直線サイプ13aと、屈曲を有する屈曲サイプ13bとを含んでいる。特に限定されないが、本実施形態においては、屈曲サイプ13bは、両方の端部に直線部を備えており、直線部間に複数の屈曲部を備えている。
【0065】
そして、特に限定されないが、本実施形態においては、ショルダーサイプ13a,13bは、ショルダーブロック10を分断するように、陸溝7から接地端2bまで延びている。なお、ショルダーサイプ13a,13bの個数は、特に限定されないが、本実施形態においては、3つであり、それにより、ショルダーブロック10は、ショルダーサイプ13a,13bによって分断されるブロック片10dを4つ備えている。
【0066】
ショルダーブロック10のタイヤ幅方向D1の長さW5は、ショルダーブロック10のタイヤ周方向D2の長さW6よりも、長くなっている。そして、屈曲サイプ13bは、ショルダーブロック10のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置されており、直線サイプ13aは、タイヤ周方向D2において、屈曲サイプ13b,13b間に配置されている。
【0067】
また、ショルダーサイプ13a,13bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ13は、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10よりも、小さくなっている。特に限定されないが、ショルダーサイプ13a,13bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ13(≦90°)は、0°~20°であることが好ましい。
【0068】
これにより、ショルダーサイプ13a,13bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ13が、小さいため、制動時に、ショルダーサイプ13a,13bのエッジ効果は、大きくなる。そして、制動時に、ショルダーブロック10の接地長が長いため、制動時に接地するショルダーサイプ13a,13bのエッジ長さの総計が長くなる。したがって、制動時のエッジ効果を向上させることができる。
【0069】
ここで、「サイプの延びる方向」、「サイプが交差する角度」及び「サイプが傾斜する側」について、
図8を参照しながら説明する。なお、
図8は、センターサイプ11a,11bを図示しているが、クオーターサイプ12a,12b及びショルダーサイプ13a,13bも同様である。
【0070】
図8に示すように、サイプ11a,11bの延びる方向は、サイプ11a,11bの両端部11c,11cを結んだ直線L4(
図8において、破線で示している)の延びる方向である。例えば、
図8の一番下のサイプ11a、即ち、緩やかに湾曲している直線サイプ11aの延びる方向も、直線サイプ11aの両端部11c,11cを結んだ直線L4の延びる方向である。
【0071】
また、例えば、
図8の真ん中のサイプ11b、即ち、両側に直線部を有する屈曲サイプ11bの延びる方向も、屈曲サイプ11bの両端部11c,11cを結んだ直線L4dの延びる方向である。また、例えば、
図8の一番上のサイプ11b、即ち、全長に亘って複数の屈曲部を有する屈曲サイプ11bの延びる方向も、屈曲サイプ11bの両端部11c,11cを結んだ直線L4の延びる方向である。
【0072】
そして、「サイプが交差する角度」及び「サイプが傾斜する側」は、「サイプの延びる方向」を基準とする。例えば、サイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7は、サイプ11a,11bの延びる方向がタイヤ幅方向D1に対して交差する角度である。
【0073】
また、例えば、サイプ11a,11bが外縁8a,8bと交差する角度θ8,θ9は、サイプ11a,11bの延びる方向がサイプ11a,11bの端部11cの位置の外縁8a,8b(曲線の場合は、端部11cの位置における外縁8a,8bの接線)と交差する角度である。また、例えば、サイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4は、サイプ11a,11bの延びる方向がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4である。
【0074】
以上のように、本実施形態に係る空気入りタイヤ1は、タイヤ周方向D2に延び、タイヤ幅方向D1の中央に配置されるセンター主溝3と、前記センター主溝3から前記タイヤ幅方向D1の外側に向けて延び、前記タイヤ幅方向D1に対して傾斜する複数の傾斜溝4,5と、前記センター主溝3と複数の傾斜溝4,4(5,5)とによって区画される複数の陸部6と、を備え、前記陸部6は、前記傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する陸溝7と、前記陸溝7によって区画され、前記タイヤ幅方向D1で並ぶ複数のブロック8,9,10と、を備え、複数のブロック8,9,10は、最も前記タイヤ幅方向D1の内側に配置されるセンターブロック8を含み、前記センターブロック8は、前記センターブロック8を分断するように延びるセンターサイプ11a,11bを備え、前記センターサイプ11a,11bは、タイヤ幅方向D1に対して交差するように延び、且つ、前記傾斜溝4,5に面する前記センターブロック8の外縁8a,8bと交差するように延びる。
【0075】
斯かる構成によれば、直進時に、センターサイプ11a,11bが、タイヤ周方向D2の力F1を受け易いことに対して、センターサイプ11a,11bは、タイヤ幅方向D1に対して交差するように延びている。これにより、直進時に、センターサイプ11a,11bで分断されたブロック片8cがタイヤ周方向D2へ倒れることを抑制することができる。
【0076】
しかも、駆動時及び制動時に、センターブロック8が、傾斜溝4,5に面する外縁8a,8bと直交する方向の力F2を受け易いことに対して、センターサイプ11a,11bは、傾斜溝4,5に面するセンターブロック8の外縁8a,8bと交差するように延びている。これにより、センターブロック8のブロック片8cが外縁8a,8bと直交する方向へ倒れることを抑制することができる。したがって、センターブロック8の変形が大きくなることを抑制することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記センターサイプ11a,11bは、複数備えられ、複数の前記センターサイプ11a,11bは、直線状に延びる直線サイプ11aと、屈曲を有する屈曲サイプ11bと、を含み、前記センターブロック8の前記タイヤ周方向D2の長さW2は、前記センターブロック8の前記タイヤ幅方向D1の長さW1よりも、長く、前記直線サイプ11aは、前記センターブロック8のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置され、前記屈曲サイプ11bは、タイヤ周方向D2において、前記直線サイプ11a,11a間に配置される、という構成である。
【0078】
斯かる構成によれば、センターブロック8のタイヤ周方向D2の長さW2は、センターブロック8のタイヤ幅方向D1の長さW1よりも長い。これにより、センターブロック8のタイヤ周方向D2の端部の剛性が低くなる。
【0079】
それに対して、サイプ長の短い直線サイプ11aが、センターブロック8のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置されているため、センターブロック8のタイヤ周方向D2の端部の剛性が低くなり過ぎることを抑制することができる。しかも、サイプ長の長い屈曲サイプ11bが、直線サイプ11a,11a間に配置されているため、センターサイプ11a,11bのエッジ長さを確保することができる。
【0080】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記陸部6は、前記傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する二つの陸溝7,7と、前記二つの陸溝7,7によって区画され、前記タイヤ幅方向D1で並ぶ三つのブロック8,9,10と、を備え、複数のブロック8,9,10は、最もタイヤ幅方向D1の外側に配置されるショルダーブロック10と、前記センターブロック8と前記ショルダーブロック10との間に配置されるクオーターブロック9と、を含み、前記クオーターブロック9は、クオーターサイプ12a,12bを備え、前記センターサイプ11a,11bが前記タイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7は、前記クオーターサイプ12a,12bが前記タイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10よりも、小さい、という構成である。
【0081】
斯かる構成によれば、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7が、小さいため、直進時にセンターサイプ11a,11bのエッジ効果は、大きくなる。また、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10が、大きいため、旋回時にクオーターサイプ12a,12bのエッジ効果は、大きくなる。したがって、直進時及び旋回時のエッジ効果を向上させることができる。
【0082】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記陸部6は、前記傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する二つの陸溝7,7と、前記二つの陸溝7,7によって区画され、タイヤ幅方向D1で並ぶ三つのブロック8,9,10と、を備え、複数のブロック8,9,10は、最も前記タイヤ幅方向D1の外側に配置されるショルダーブロック10と、前記センターブロック8と前記ショルダーブロック10との間に配置されるクオーターブロック9と、を含み、前記ショルダーブロック10は、ショルダーサイプ13a,13bを備え、前記クオーターブロック9は、クオーターサイプ12a,12bを備え、前記ショルダーサイプ13a,13bが前記タイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ13は、前記クオーターサイプ12a,12bが前記タイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10よりも、小さい、という構成である。
【0083】
斯かる構成によれば、ショルダーサイプ13a,13bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ13が、小さいため、制動時にショルダーサイプ13a,13bのエッジ効果は、大きくなる。また、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10が、大きいため、旋回時にクオーターサイプ12a,12bのエッジ効果は、大きくなる。したがって、制動時及び旋回時のエッジ効果を向上させることができる。
【0084】
また、本実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、前記センターサイプ11a,11bが前記タイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4(D3)は、前記傾斜溝5(4)が前記タイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3(D4)と、反対である、という構成である。
【0085】
斯かる構成によれば、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4(D3)が、傾斜溝5(4)がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3(D4)と、反対であるため、センターサイプ11a,11bと外縁8a,8bとが交差する角度θ8,θ9が小さくなり過ぎることを抑制することができる。これにより、センターブロック8のブロック片8cの剛性が低下し過ぎることを抑制することができる。
【0086】
なお、空気入りタイヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、空気入りタイヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0087】
(1)上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、陸部6は、傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する陸溝7,7を二つ備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、陸部6は、傾斜溝4,4(5,5)同士を接続する陸溝7,7を一つ又は三つ以上備えている、という構成でもよく、それにより、ブロック8,9,10を二つ又は四つ以上備えている、という構成でもよい。
【0088】
(2)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、センターブロック8は、センターサイプ11a,11bを複数備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、センターブロック8は、センターサイプ11a(11b)を一つ備えている、という構成でもよい。
【0089】
(3)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、クオーターブロック9は、クオーターサイプ12a,12bを複数備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、クオーターブロック9は、クオーターサイプ12a(12b)を一つ備えている、という構成でもよく、また、クオーターサイプ12a(12b)を備えていない、という構成でもよい。
【0090】
(4)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダーブロック10は、ショルダーサイプ13a,13bを複数備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、ショルダーブロック10は、ショルダーサイプ13a(13b)を一つ備えている、という構成でもよく、また、ショルダーサイプ13a(13b)を備えていない、という構成でもよい。
【0091】
(5)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、各ブロック8,9,10は、直線サイプ11a,12a,13a及び屈曲サイプ11b,12b,13bを備えている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、複数のブロック8,9,10のうち少なくとも一つは、直線サイプ11a,12a,13a又は屈曲サイプ11b,12b,13bの何れか一方のみを備えている、という構成でもよい。
【0092】
(6)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、センターブロック8の直線サイプ11aは、センターブロック8のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、センターブロック8の屈曲サイプ11bは、センターブロック8のタイヤ周方向D2の少なくとも一方の端部に配置されている、という構成でもよい。
【0093】
(7)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、クオーターブロック9の直線サイプ12aは、クオーターブロック9のタイヤ周方向D2のそれぞれの端部に配置されている、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、クオーターブロック9の屈曲サイプ12bは、クオーターブロック9のタイヤ周方向D2の少なくとも一方の端部に配置されている、という構成でもよい。
【0094】
(8)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ7は、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10よりも、小さい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、センターサイプ11a,11bの当該角度θ7は、クオーターサイプ12a,12bの当該角度θ10よりも、大きい、という構成でもよい。
【0095】
(9)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、ショルダーサイプ13a,13bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ13は、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して交差する角度θ10よりも、小さい、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、ショルダーサイプ13a,13bの当該角度θ13は、クオーターサイプ12a,12bの当該角度θ10よりも、大きい、という構成でもよい。
【0096】
(10)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、センターサイプ11a,11bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4(D3)は、傾斜溝5(4)がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3(D4)と、反対である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、センターサイプ11a,11bの傾斜する側は、傾斜溝5(4)の傾斜する側と、同じである、という構成でもよい。
【0097】
(11)また、上記実施形態に係る空気入りタイヤ1においては、クオーターサイプ12a,12bがタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D4(D3)は、傾斜溝5(4)がタイヤ幅方向D1に対して傾斜する側D3(D4)と、反対である、という構成である。しかしながら、空気入りタイヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、クオーターサイプ12a,12bの傾斜する側は、傾斜溝5(4)が傾斜する側と、同じである、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0098】
1…空気入りタイヤ、2…トレッド部、2a…トレッド面、2b…接地端、3…センター主溝、4…第1傾斜溝、5…第2傾斜溝、6…陸部、7…陸溝、8…センターブロック、8a…第1外縁、8b…第2外縁、8c…ブロック片、9…クオーターブロック、9a…第1外縁、9b…第2外縁、9c…突出部、9d…ブロック片、10…ショルダーブロック、10a…第1外縁、10b…第2外縁、10c…突出部、10d…ブロック片、11a…センターサイプ(直線サイプ)、11b…センターサイプ(屈曲サイプ)、11c…端部、12a…クオーターサイプ、12b…クオーターサイプ、13a…ショルダーサイプ、13b…ショルダーサイプ、D1…タイヤ幅方向、D1a…第1幅方向側、D1b…第2幅方向側、D2…タイヤ周方向、D2a…第1周方向側、D2b…第2周方向側、D3…第1傾斜側、D4…第2傾斜側、L1…タイヤ赤道