(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】回転ブラシ工具
(51)【国際特許分類】
B24B 29/00 20060101AFI20240607BHJP
A46B 13/02 20060101ALI20240607BHJP
B24B 23/03 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B24B29/00 D
A46B13/02
B24B23/03
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020022273
(22)【出願日】2020-02-13
【審査請求日】2023-02-03
(31)【優先権主張番号】10 2019 104 621.1
(32)【優先日】2019-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513069983
【氏名又は名称】モンティ-ヴェルクツォイゲ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヤン・フレデリック・ドッデマ
(72)【発明者】
【氏名】サンデル・ヘンドリクス・ヨハネス・ホフステー
【審査官】山村 和人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭56-152573(JP,A)
【文献】特表2013-538699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 29/00
B24B 23/03
A46B 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手で持って扱われる回転ブラシ工具であって、この回転ブラシ工具が、
ブラシ機構ユニットと、このブラシ機構ユニットのための駆動ユニット(3)を有し、
このブラシ機構ユニットが、ワークピース(1)の表面の加工のために、回転式に駆動可能なブラシホルダー(5)と、外方へと突出する剛毛(7)を備える剛毛リム(6)を有するリングブラシ(6、8)とを備えている、
前記回転ブラシ工具において、
前記リングブラシ(6、8)が、揺動するように、且つ、軸線方向に位置調節可能に形成されており、更に、
前記リングブラシ(6、8)の軸線方向位置調節のために、前記ブラシホルダー(5)が、少なくとも2つの部材から成るように、位置固定式の支承部材(5a)と、軸線方向に運動可能なブラッシング部材(5b)とによって形成されており、
前記位置固定式の支承部材(5a)が、そのブッシュ内に嵌まり込み且つ前記軸線方向に運動可能なブラッシング部材(5b)に所属する差込みピン(12)のための該ブッシュ(B)を有しており、この差込みピンが、前記駆動ユニット(3)によって、回転式に且つ軸線方向に負荷され、且つ、前記差込みピンを用いて、前記ブラシホルダー(5)が駆動され、且つ、
この目的のために、前記駆動ユニット(3)によって1つの軸線を中心として回転可能な偏心カム(11′)が、前記軸線方向に運動可能なブラッシング部材(5b)の更に別の構成要素として、この駆動ユニット(3)によって負荷される偏心歯車(11)に設けられており、並びに、
この偏心カム(11′)が、ピン(Z)によって、前記差込みピン(12)を軸線方向(A)において負荷する、
ことを特徴とする回転ブラシ工具。
【請求項2】
前記位置固定式の支承部材(5a)は、その中空穿孔内に嵌まり込む、
前記軸線方向に運動可能なブラッシング部材(5b)の
前記ピン(Z)のための該中空穿孔(13)を有していることを特徴とする
請求項1に記載の回転ブラシ工具。
【請求項3】
回転する前記剛毛リム(6)内へと没入する停止手段(9)が設けられており、
この停止手段は、前記剛毛(7)、及び/または、前記リングブラシ(6、8)の構成要素としてのブラシベルト(8)を、弾性的に、運動エネルギーの貯蔵のもとで変形することを特徴とする
請求項1または2に記載の回転ブラシ工具。
【請求項4】
前記停止手段(9)は、位置調節可能に形成されていることを特徴とする
請求項3に記載の回転ブラシ工具。
【請求項5】
前記停止手段(9)は、前記リングブラシ(6、8)の軸線に対して半径方向(R)に位置調節可能に形成されていることを特徴とする
請求項4に記載の回転ブラシ工具。
【請求項6】
前記停止手段(9)は、偏心輪(17)及び/または直線状位置調節要素(19、20)を用いて位置調節されることを特徴とする
請求項4または5に記載の回転ブラシ工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
手で持って扱われる回転ブラシ工具に関し、この回転ブラシ工具が、
ブラシ機構ユニットと、このブラシ機構ユニットのための駆動ユニットを有し、
このブラシ機構ユニットが、ワークピースの表面の加工のために、回転式に駆動可能なブラシホルダーと、外方へと突出する剛毛を備える剛毛リムを有するリングブラシとを備えている。
【背景技術】
【0002】
この様式のブラシ機構ユニットは、典型的に、当該のワークピースの表面から、例えば、腐食、ラッカー塗料、または比較可能な被覆を除去するため、もしくは、所望された粗面深さを備えるために使用される。
出願人の特許文献1による冒頭に記載した様式の従来技術内において、この目的のために、1つのブラシ機構ユニットが記載されており、このブラシ機構ユニットは、停止手段を備えている。このことによって、従来、ただサンドブラスト加工によってだけで達成され得た粗面深さは、達成可能である。提示されたこの粗面深さは、総じて、(DIN 4764並びにDIN ISO 1302に相応する、基準区間の内側での、プロフィル偏差の絶対値の算術的な平均値としての)いわゆる平均粗さ値Raである。このことは、基本的に有用であることが実証されており、且つ、しばしば、実際上は使用される。
比較可能な従来技術を、特許文献2が具現し、この特許文献2において、停止手段は、同時に、剛毛のための研磨体としての機能を果たす。この目的のために、この停止手段は、位置調節可能であり、例えば、半径方向及び/または接線方向に位置調節可能に形成されている。
【0003】
ブラシ機構ユニット、および、このブラシ機構ユニットを備える回転ブラシ工具は、不動に、例えば、機械室内における、機械との結合状態において使用され得る。しかしながら、同様に、当該の回転ブラシ工具を、手で持って扱われるように構成することも可能である。
両方の場合において、実際上は、しばしば、ブラシ機構ユニットを、加工されるべきワークピースもしくはこのワークピースの表面に沿って案内することの問題が存在する。このことは、-説明されているように-機械的に、及び/または、手動で行われ得る。
このことによって、しばしば、ワークピースの表面上に、溝、または、少なくとも均等な立体構造部を形成することの危険が存在する。これらは、均等な表面加工にとって有害であり、且つ、事情によっては、引き続いての被覆、塗料等の付着を困難にする。ここで、本発明が始まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】ヨーロッパ特許出願公開第1 834 733 B1号明細書
【文献】ヨーロッパ特許出願公開第2 618 965 B1号明細書
【非特許文献】
【0005】
【文献】「Surface preparation of ship-construction steel/(ABS-A) via bristle blasting process」, NACE CORROSION CONFERENCE & EXPO 2010, paper No. 10385
【文献】「Evaluation of bristle blasting process for surface preparation of ship-construction steel」(NACE CORROSION CONFERENCE & EXPO 2012, paper No. C2012-0001442)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の根底をなす技術的な課題は、ワークピースの表面の加工のための、この様式の回転ブラシ工具を、均一に加工された表面が提供されるように、更に発展させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的な課題は、請求項1の特徴を有する回転ブラシ工具によって解決される。しばしば、このリングブラシは、揺動するように位置調節可能に構成されている。
【発明の効果】
【0008】
その際、本発明は、先ず第一に、リングブラシが、回転式に駆動可能なブラシホルダーを用いて保持されることの認識を出発点としている。本発明に従い意図されるリングブラシの位置調節は、従って、このリングブラシを保持し且つ回転式に駆動可能なブラシホルダーが、このブラシホルダーの回転運動に対して付加的に、位置調節運動を実行することの意味を含む。
通常の場合に、リングブラシは、しかもその上、および、有利には、揺動するように位置調節可能に形成されている。このことによって、リングブラシ、もしくは、このリングブラシを保持するブラシホルダーは、揺動運動を実行し、この揺動運動が、手動及び/または機械側で実施される送り運動との関連において、総じて加工されたワークピースの表面が均一に加工され、且つ、総じて粗面深さの均一な分配が存在し、且つ、観察されることを誘起する。
【0009】
有利な構成により、リングブラシは、半径方向、及び/または、軸線方向に位置調節可能に形成され得る。通常の場合に、ここで、リングブラシの、および、従ってこのリングブラシを収容し且つ保持するブラシホルダーの、ただ軸線方向の位置調節だけが使用される。
即ち、リングブラシの付加的な半径方向の位置調節は、確かに可能であるが、しかしながら、ブラシ機構ユニットおよび従ってリングブラシを、例えば、それぞれに加工されるべきワークピースに対して、もしくは、このワークピースの表面に対して圧接するために、実際上は、場合によっては機械操縦されるブラシ機構ユニットにおいて使用される。
本発明に従い、しかしながら、一義的に手動的に操縦されるブラシ機構ユニットが、および、従って、特に手で持って扱われる回転ブラシ工具が重要である。この回転ブラシ工具は、当該のブラシ機構ユニット、および、付加的にこのブラシ機構ユニットのための駆動ユニットを備えている。
【0010】
実際に、そのような手で持って扱われる回転ブラシ工具は、総じて、手動工具機械として、もしくは、手で持って扱われる回転ブラシ工具として構成可能である。この目的のために、典型的に駆動ユニットが使用され、この駆動ユニットは、電気モーター、および、場合によっては伝動機構を有し、且つ、有利には1つまたは複数の蓄電池を用いて負荷される。基本的に、この手で持って扱われる回転ブラシ工具は、しかしながら、同様に空気圧的にも駆動され得る。
いずれにせよ、有利には、この回転ブラシ工具、および従って、ブラシ機構ユニットの送り運動は、一般的に手によって行われる。同様に、場合によっては有り得る半径方向の位置調節運動、または、加工されるべきワークピースの表面に対するブラシ機構ユニットの圧接は、手動で行われる。
上記のことに対して、リングブラシの位置調節、および、特にこのリングブラシの軸線方向の位置調節は、モーター式に、しかも、ブラシホルダーおよび従ってリングブラシの回転式の駆動を引き起こす、いずれにしても設けられている駆動ユニットを用いて行われる。即ち、ブラシ機構ユニットを備える回転ブラシ工具の構成要素としての駆動ユニットは、本発明に従い、一方ではブラシホルダーに対して回転式に、および、他方ではこのブラシホルダーの軸線方向において、しかも有利には、揺動するように作動する。
この目的のために、この駆動ユニットが、例えば回転運動のためのモーターもしくは電気モーターと、揺動するように軸線方向運動のための更に別のモーターもしくは電気モーターとを備えることは可能である。しかしながら、同様にただ1つの電気モーターによって両方の運動を実現するおよび変換することも可能である。
【0011】
既に述べられているように、リングブラシは、主として、軸線方向に位置調節可能に形成されており、その際、ここで、一般的に揺動運動が使用される。即ち、リングブラシを担持するまたは保持するブラシホルダーの軸は、揺動するように、および、軸線方向に、駆動ユニットを用いて往復運動される。
この揺動するような軸線方向運動が、その際、時間にわたっての正弦波運動に従うことは可能である。そのような正弦波運動は、特に有利には、ブラシホルダーの軸が、例えば、この軸に対して作用するカムによって負荷されることによって実現および変換され得、このカムが、ばねの力に抗して作動し、且つ、このことによって、先に既に説明されたブラシホルダーの、および従って、リングブラシの軸の正弦波運動を生起する。
実際に、即ちリングブラシおよびブラシホルダーは、通常の場合に、それぞれに回転対称的に形成されており、且つ、互いに同一軸線的に形成されている。
【0012】
ブラシホルダーのリングブラシの、先に説明された軸線方向位置調節を、詳細において、変換する、および、実現可能とするために、このブラシホルダーは、一般的に、少なくとも2つの部材から成るように形成されている。実際に、このブラシホルダーは、主として、位置固定式の支承部材と、この位置固定式の支承部材に対して軸線方向に運動可能なブラッシング部材とから構成されている。
このブラシホルダーのブラッシング部材は、その際、主として、リングブラシの案内および保持を引き起こし、他方、支承部材が、一義的に且つ専ら、このブラッシング部材のための支承機能だけを引き受ける。その結果として、この支承部材は、位置固定式に構成されており、他方、ブラッシング部材が、軸線方向に運動可能に構成されているだけでなく、回転し、且つ、従ってリングブラシを同様に回転状態に置く。
【0013】
詳細において、この目的のために、位置固定式の支承部材は、その中空穿孔内に嵌まり込む、軸線方向に運動可能なブラッシング部材のピンのための該中空穿孔を備えている。軸線方向に運動可能なブラッシング部材のピンは、その際、片持ち状態で支承されており、且つ、この運動可能なブラッシング部材のベース部に接続されていても良い。このことによって、中空穿孔を有する位置固定式の支承部材は、ピンの上で、リングブラシのための必要な回転運動を実行可能である。
【0014】
更に別の構成において、この関連において、位置固定式の支承部材が、更に、そのブッシュ内に嵌まり込む差込みピンのための該ブッシュを有しており、この差込みピンが、駆動ユニットによって回転式に且つ軸線方向に負荷されることは、意図される。
この軸線方向の負荷は、その際、付加的に、且つ、大抵の場合、同様に揺動するようにも行われ、従って、差込みピンが、駆動ユニットを用いて、回転式に、および、軸線方向に揺動するように負荷される。
【0015】
このことを、詳細において、実現および変換するために、ブッシュは、一般的に、溝部を備えており、この溝部内へと、半径方向に差込みピンに接続されたフィンが係合する。このことによって、ブラッシング部材によって担持されたリングブラシを所望されているように回転式に駆動可能とするために、ブッシュと差込みピンとは、一方では、回転方向における摩擦係合的な連結を引き起こす。
同時に、且つ他方では、溝部とこれら溝部内へと係合するフィンとの間の相互作用(Wechselspiel)は、差込みピンがブッシュおよび従って位置固定式の支承部材に対して所望された軸線方向運動を実行可能であることを保障する。ブッシュと共に、この相互作用は、補足的に、差込みピンが付加的に同様に回転することも引き起こす。
この目的のために、半径方向に差込みピンに接続された少なくとも2つのフィンは、大部分は形状的に嵌合して、ブッシュの相応する溝部内へと係合している。基本的に、ここで、言うまでも無く同様に構造的に異なって調製されることも可能である。
【0016】
付加的に、回転する前記剛毛リム内へと没入する停止手段が設けられており、この停止手段が、回転する剛毛、及び/または、リングブラシの構成要素としてのこれら剛毛を担持するブラシベルトが弾性的に変形されることを引き起こすことの事情は、本発明のために特別な更に別の意義がある。
このことによって、剛毛及び/またはブラシベルトは、運動エネルギーを貯蔵することが可能な状態にあり、従って、これら剛毛が、これら剛毛の解放の後、ワークピースの表面を回転するようにだけでなく、同時に、停止手段の通過の後に解放された、貯蔵された運動エネルギーの結果として、打ち付けるように加工する。そのような停止手段の基本的な機能態様は、例えば、冒頭において既に引き合いに出され、且つ、説明された、出願人の特許文献1内において記載されている。
【0017】
本発明に従い、そのことが原理的に同様に明細書導入部において言及された特許文献2によって公知されているように、ここで、停止手段が、付加的に位置調節可能に形成されている、または、形成されることは可能である。
停止手段の位置調節を、詳細において、実現するために、この停止手段が、一般的に、この停止手段の間隔の変化のもとで、回転するリングブラシの軸線に対して半径方向に位置調節可能である。
この半径方向の位置調節運動は、詳細において、停止手段が偏心輪及び/または直線状位置調節要素を用いて位置調節されるように、変換され得る。
【0018】
停止手段の実現、および、この停止手段の位置調節の、本発明に従う付加的で且つ選択的な可能性によって、表面を、生成された粗面性プロフィルに関して均一に加工することの選択肢が、存在するだけではない。むしろ、リングブラシの軸線に対して半径方向における停止手段の位置調節は、その運動エネルギーでもって剛毛が加工されるべきワークピースの表面に衝突する該運動エネルギーが変化されることをも誘起する。
【0019】
この関連において、一般的に、リングブラシの当該の軸線に対する停止手段の半径方向の間隔がより小さく寸法設定されればされる程、剛毛の運動エネルギーが益々高くなることの経験則が価値を有している。
何故ならば、停止手段の半径方向に内側の配設は、増大され且つ増強された剛毛の変形を誘起し、および、その結果として、増大された運動エネルギーを誘起し、この運動エネルギーによって、剛毛がワークピースの表面に衝突するからである。
【0020】
これら基本的な関係は、Robert J. Stango教授等によって研究され、多くの公開刊行物内においてそれぞれ与えられている。両方の公開刊行物、非特許文献1並びに非特許文献2を参照されたい。
有利な実施形態により、この目的のために、停止手段は、大部分は、回転するリングブラシの上述の軸線に対して半径方向に位置調節可能に形成されており、もしくは、上述の軸線に対して半径方向に位置調節され得る。比較可能に、同様にリングブラシは表面に対して圧接され得、及び/または、軸線方向運動を実施可能である。
【0021】
本発明の対象は、同様に回転ブラシ工具、および、特に手で持って扱われる回転ブラシ工具でもあり、この回転ブラシ工具が、先に説明されたブラシ機構ユニットと、このブラシ機構ユニットのための駆動ユニットとを備えている。
駆動ユニットが電気的に作動し、且つ、エネルギー供給装置が、機械ケーシング内において設けられた複数の蓄電池、または、少なくとも唯一の蓄電池を備えられている場合、この回転ブラシ工具は、特に自立的に構成され得る。このことの中に、重要な利点は見い出され得る。
【0022】
以下で本発明を、ただ1つだけの実施例を図示する図に基づいて、詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明に従うブラシ機構ユニットもしくは回転ブラシ工具の、概略的な側面図である。
【
図2】第1の実施形態の変形例における、停止手段、および、この停止手段の位置調節ユニットの図である。
【
図3】停止手段のための位置調節ユニットの、更に別の、第2の変形例の図である。
【
図4】ブラシ機構ユニットの、回転式の、および、付加的に軸線方向の、揺動するような位置調節のための、本発明に従う駆動ユニットの図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1内において、先ず第一に、且つ、極めて概略的に、ワークピース1の表面の加工のための本発明に従うブラシ機構ユニットが図示されている。この目的のために、ブラシ機構ユニットは、回転ブラシ工具の機械ケーシング2に接続されている。
この回転ブラシ工具の機械ケーシング2の内部において、この実施例により、一方では示唆されている駆動ユニット3が、および、他方では電気的に作動するこの駆動ユニット3のためのエネルギー貯蔵部4が存在する。このエネルギー貯蔵部4は、1つまたは複数の蓄電池であっても良い。1つまたは複数の蓄電池は、機械ケーシング2内におけるまたはこの機械ケーシングに沿っての充電ソケットを介して誘導的に、または、同様に機械ケーシング2からの取り外しによって付加的な充電シェル体内においても、それぞれに再度充電され得る。
基本的に、駆動ユニット3は、しかしながら同様に空気圧的にも作動可能であり、このことは、しかしながら、図示されていない。機械ケーシング2を有する、示されている回転ブラシ工具は、有利には手で持って扱われる回転ブラシ工具、即ち、相応して構成された手動工具機械である。
【0025】
ブラシ機構ユニットは、詳細において、回転式に駆動可能なブラシホルダー5を備えており、このブラシホルダーの個々のウェブが、
図1内において認識される。
ブラシホルダー5に沿って、もしくは、このブラシホルダーの上に、外方へと突出する剛毛7を備える剛毛リム6を有するリングブラシ6、8が保持され、且つ、駆動ユニット3を用いて、回転式に駆動される。このことに関して、反時計方向における、
図1内において示唆された回転運動もしくは回転方向Dが対応する。
個々の剛毛7は、ブラシベルト8によって担持され、且つ、リングブラシ6、8のこのブラシベルト8内において固着されている。
【0026】
図1による実施例において、更に停止手段9が認識され、この停止手段は、回転する剛毛リムもしくは回転する剛毛7内に没入している。この停止手段9は、この実施例により、位置調節可能に構成されており、特に、
図1内において二方向矢印によって示唆されている半径方向Rに位置調節可能である。
冒頭において既に説明されているように、および、特許文献1による従来技術内において包括的に記載されているように、剛毛7、および、場合によってはブラシベルト8は、
図1内において矢印によって示唆されている反時計方向の、回転方向Dにおけるこれら剛毛およびブラシベルトの回転運動において、停止手段9を横切っての走行の際に弾性的に変形される。
このことによって、剛毛7もしくはブラシベルト8において、運動エネルギーが、対応する弾性的な変形の結果として貯蔵される。剛毛の解放の後、これら剛毛7は、ワークピース1の表面を、従って、回転するようにだけでなく、同時に打ち付けるように加工する。何故ならば、停止手段9の通過の後、先に貯蔵された運動エネルギーが自由になるからである。
【0027】
本発明に従い、そのことを
図4が詳細において図示的に示しているように、ここで、リングブラシ6、8は位置調節可能に形成されている。実際に、このリングブラシ6、8は、揺動するように、軸線方向に位置調節可能に形成されている。このことを、駆動ユニット3が引き起こす。
【0028】
この目的のために、この実施例による駆動ユニット3は、
図4に相応して、この
図4内において示唆されているリングブラシ6、8もしくはブラシホルダー5を、回転式に、先に既に引き合いに出された回転方向Dに相応して駆動するために、先ず第一に、伝動歯車10を備えている。この目的のために、この伝動歯車10は、以下で更に詳細に説明されるべき差込みピン12に対して作用し、この差込みピンが、ブラシホルダー5の構成要素として、位置固定式の支承部材5aのブッシュBの、中空穿孔13内へと嵌まり込んでいる。
この位置固定式の支承部材5aと並んで、同様に、更に、軸線方向に運動可能なブラッシング部材5bも実現されており、このブラッシング部材5bに、差込みピン12が所属している。駆動ユニット3は、更に、当該の差込みピン12が、回転式に、回転運動Dの実現のために駆動されることだけでなく、付加的に、先に既に言及された軸線方向Aにおける運動を実行することも引き起こす。
【0029】
この目的のために、駆動ユニット3によって1つの軸線を中心として回転可能な偏心カム11′が、運動可能なブラッシング部材5bの更に別の構成要素として、この駆動ユニット3によって負荷される偏心歯車11に設けられている。この偏心カム11′は、ピンZによって、差込みピン12を軸線方向Aにおいて負荷する。
上記の結果として、差込みピン12は、および、同様にブラシホルダー5も、軸線方向Aにおいて揺動するような運動を、しかも、回転運動Dに対して付加的に実行する。軸線方向Aにおけるブラシホルダー5の運動と、付加的に回転方向Dにおけるこのブラシホルダーの回転とが共に実現され得るために、駆動ユニット3によって負荷される伝動歯車10と偏心歯車11とは、それぞれに、駆動ユニット3による駆動のための相応する有歯部を備えられている。
【0030】
既に説明されているように、この実施例によるブラシホルダー5は、総じて2つの部材から成るように構成されている。実際に、このブラシホルダー5は、位置固定式の支承部材5aと、運動可能なブラッシング部材5bとを備えている。
この位置固定式の支承部材5aは、運動可能なブラッシング部材5bもしくは偏心歯車11の、既に言及されたピンZのための中空穿孔13を備えている。それに加えて、ブッシュBの領域内におけるこの中空穿孔13内へと、差込みピン12が嵌まり込み、この差込みピンを用いて、最終的にブラシホルダー5が駆動される。
【0031】
駆動ユニット3は、ここで、伝動歯車10と同様に偏心歯車11に対しても作用する。この伝動歯車10を介して、ブッシュBは、回転状態に置かれる。このことは、その場合に、同様に位置固定式の支承部材5aに関しても言えることである。
ブッシュBの中空穿孔13内へと、差込みピン12は嵌まり込んでいる。この差込みピン12に半径方向に設けられたフィン14は、この目的のために、中空穿孔13の内部における、相応する溝部14′内へと差し込まれている。このことによって、差込みピン12は、回転方向Dに沿って回転状態に置かれる。
【0032】
軸線方向A、および、
図4の二方向矢印における、差込みピン12の付加的な軸線方向運動は、以下のように、ここで、付加的な偏心歯車11を用いて実現される。
この目的のために、偏心歯車11は、同様に、駆動ユニット3を用いて、回転状態に置かれる。この偏心歯車11は、1つまたは複数の、半径方向に突出する偏心カム11′を備えており、前記偏心カム11′が、位置固定式のケーシング傾斜部2′と相互作用する。このようにして、偏心歯車11の回転運動は、偏心カム11′とケーシング傾斜部2′との間の相互作用によって、軸線方向運動に変換される。このことによって、同様に中空穿孔13内へと嵌まり込んだピンZも、軸線方向Aにおける軸線方向運動を実行する。
【0033】
ピンZは、ここで、差込みピン12に対して、このピンの丸くされた頭部によって作用し、従って、この差込みピン12が、回転方向Dにおけるこの差込みピンの回転運動に対して付加的に、軸線方向Aにおける所望された軸線方向運動を実行する。このことは、フィン14が、所属する溝部14′内において半径方向に互いの中へ係合しており、同時に、しかしながら、差込みピン12の所望された軸線方向運動を軸線方向Aにおいて許容するという理由で、可能である。
付加的なばね15は、差込みピン12の軸線方向運動がこのばね15の力に抗して行われ、このばねがこの差込みピン12をその都度復帰させることを引き起こす。
【0034】
図2内において、ここで、どのように、停止手段9が、詳細において、剛毛リム6もしくは剛毛7に対して半径方向Rに位置調節されるかの、第1の実施例が図示されている。この目的のために、停止手段9は、アーム16に接続されており、このアームの穿孔内に、偏心輪17が入り込んでいる。この偏心輪17は、それ自身、回転式に駆動ユニット3によって駆動される。
アーム16の穿孔内における偏心輪17の回転は、ここで、このアーム16の付加的な案内部18との関連において、停止手段9が、剛毛リム6もしくは剛毛7に対して半径方向Rに、および場合によっては、同様に周囲方向Uにも、そのことを
図2内における相応する矢印が示唆しているように、運動させられることを引き起こす。
【0035】
図3は、ここで、リングブラシ6、8もしくは剛毛7に対しての、半径方向Rにおける停止手段9の位置調節のための、他の変形例を示している。この目的のために、停止手段9は、直線状位置調節要素19、20に接続されている。この直線状位置調節要素19、20は、位置固定式のスピンドルナット19、および、この位置固定式のスピンドルナット19内へと係合し且つ往復運動させられるスピンドル20から構成されている。
スピンドル20の回転運動は、従って、停止手段9を担持するアーム16が、この場合に、
図3内において示唆されている直線方向において運動させられることを誘起し、この直線方向が、この実施例により、リングブラシ6、8もしくは剛毛7との関連における半径方向Rに相応する。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下も包含し得る。
1. ワークピース(1)の表面の加工のためのブラシ機構ユニットであって、このブラシ機構ユニットが、回転式に駆動可能なブラシホルダー(5)と、外方へと突出する剛毛(7)を備える剛毛リム(6)を有するリングブラシ(6、8)とを有している様式の前記ブラシ機構ユニットにおいて、
前記リングブラシ(6、8)が、有利には、揺動するように位置調節可能に形成されていることを特徴とするブラシ機構ユニット。
2. 前記リングブラシ(6、8)は、半径方向、及び/または、軸線方向に位置調節可能に形成されていることを特徴とする上記1に記載のブラシ機構ユニット。
3. 前記リングブラシ(6、8)の軸線方向位置調節のために、前記ブラシホルダー(5)は、少なくとも2つの部材から成るように、位置固定式の支承部材(5a)と、軸線方向に運動可能なブラッシング部材(5b)とのよって形成されていることを特徴とする上記2に記載のブラシ機構ユニット。
4. 前記位置固定式の支承部材(5a)は、その中空穿孔内に嵌まり込む、前記運動可能なブラッシング部材(5b)のピン(Z)のための該中空穿孔(13)を有していることを特徴とする上記3に記載のブラシ機構ユニット。
5. 前記位置固定式の支承部材(5a)は、そのブッシュ内に嵌まり込む差込みピン(12)のための該ブッシュ(B)を有しており、この差込みピンが、駆動ユニット(3)によって、回転式に且つ軸線方向に負荷されることを特徴とする上記3または4に記載のブラシ機構ユニット。
6. 回転する前記剛毛リム(6)内へと没入する停止手段(9)が設けられており、
この停止手段は、前記剛毛(7)、及び/または、前記リングブラシ(6、8)の構成要素としてのブラシベルト(8)を、弾性的に、運動エネルギーの貯蔵のもとで変形することを特徴とする上記1から5のいずれか一つに記載のブラシ機構ユニット。
7. 前記停止手段(9)は、位置調節可能に形成されていることを特徴とする上記6に記載のブラシ機構ユニット。
8. 前記停止手段(9)は、前記リングブラシ(6、8)の軸線に対して半径方向(R)に位置調節可能に形成されていることを特徴とする上記7に記載のブラシ機構ユニット。
9. 前記停止手段(9)は、偏心輪(17)及び/または直線状位置調節要素(19、20)を用いて位置調節されることを特徴とする上記7または8に記載のブラシ機構ユニット。
10. ブラシ機構ユニットとこのブラシ機構ユニットのための駆動ユニット(3)とを有する、回転ブラシ工具、特に手で持って扱われる回転ブラシ工具において、
前記ブラシ機構ユニットが上記1から9のいずれか一つにより形成されていることを特徴とする回転ブラシ工具。
【符号の説明】
【0036】
1 ワークピース
2 機械ケーシング
2′ ケーシング傾斜部、位置固定式のケーシング傾斜部
3 駆動ユニット
4 エネルギー貯蔵部
5 ブラシホルダー
5a 支承部材、位置固定式の支承部材
5b ブラッシング部材、運動可能なブラッシング部材
6 リングブラシ、剛毛リム
7 剛毛
8 リングブラシ、ブラシベルト
9 停止手段
10 伝動歯車
11 偏心歯車
11′ 偏心カム
12 差込みピン
13 中空穿孔
14 フィン
14′ 溝部
15 ばね
16 アーム
17 偏心輪
18 案内部
19 スピンドルナット、位置固定式のスピンドルナット、直線状位置調節要素
20 スピンドル、往復運動させられるスピンドル、直線状位置調節要素
A 軸線方向
B ブッシュ
D 回転方向、回転運動
R 半径方向
U 周囲方向