(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】ワイヤレス給電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 50/20 20160101AFI20240607BHJP
H02J 50/80 20160101ALI20240607BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240607BHJP
E03D 9/08 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
H02J50/20
H02J50/80
H02J7/00 301D
E03D9/08 A
(21)【出願番号】P 2020045425
(22)【出願日】2020-03-16
【審査請求日】2023-01-04
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】大浦 裕之
(72)【発明者】
【氏名】西垣 洋志
(72)【発明者】
【氏名】永田 雅昭
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-053536(JP,A)
【文献】特開2006-283394(JP,A)
【文献】特開2010-233430(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/20
H02J 50/80
H02J 7/00
E03D 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トイレ空間内に設けられるトイレ装置と、前記トイレ装置からの電波により給電される遠隔制御装置と、を有するワイヤレス給電システムであって、
前記トイレ装置の前方の領域の人の存在を検知する人体検知センサと、
前記遠隔制御装置に対して電波を送信することで前記遠隔制御装置に対して第1電力量をワイヤレス給電する給電部
と、を備え、
前記給電部は、
人が前記トイレ装置の前方の領域以外に存在し、前記人体検知センサが前記トイレ空間内の人の存在を検知しない場合であって、前記トイレ装置及び前記遠隔制御装置の少なくともいずれかに対する人の行為によって前記トイレ装置及び前記遠隔制御装置の少なくともいずれかにおける所定の機能が作動した場合と、前記トイレ装置及び前記遠隔制御装置の少なくともいずれかに対して所定の操作が行われた場合と、の少なくともいずれかの場合には、前記第1電力量未満の第2電力量以下でのワイヤレス給電を実行する、又は、前記遠隔制御装置に対するワイヤレス給電を停止
し、
前記所定の機能が作動した場合とは、前記トイレ装置が前記トイレ装置に設けられた便座及び便蓋の少なくともいずれかを開閉する開閉機能と、前記トイレ装置が前記便座への着座を検知する着座検知機能と、前記トイレ装置における人体の局部を洗浄する局部洗浄機能と、前記トイレ装置の便器に対して水を吐水する便器洗浄機能と、の少なくともいずれかの機能が作動した場合であり、
前記所定の操作が行われた場合とは、前記遠隔制御装置の操作部が操作された場合と、前記トイレ装置に設けられた便座及び便蓋の少なくともいずれかが人の操作により操作された場合と、の少なくともいずれかの場合である、
ワイヤレス給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤレス給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレ装置から遠隔制御装置に対して電波によるワイヤレス給電を行うワイヤレス給電システムがある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トイレ空間内に人が存在する場合においてワイヤレス給電が実行されてしまうと、人は強い電波を長時間受けてしまう可能性がある。
【0005】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、人が強い電波を長時間受けてしまうことを抑制可能なワイヤレス給電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、トイレ空間内に設けられるトイレ装置と、前記トイレ装置からの電波により給電される遠隔制御装置と、を有するワイヤレス給電システムであって、前記遠隔制御装置に対して電波を送信することで前記遠隔制御装置に対して第1電力量をワイヤレス給電する給電部を備え、前記給電部は、前記トイレ装置及び前記遠隔制御装置の少なくともいずれかに対する人の行為によって前記トイレ装置及び前記遠隔制御装置の少なくともいずれかにおける所定の機能が作動した場合と、前記トイレ装置及び前記遠隔制御装置の少なくともいずれかに対して所定の操作が行われた場合と、の少なくともいずれかの場合には、前記第1電力量未満の第2電力量以下でのワイヤレス給電を実行する、又は、前記遠隔制御装置に対するワイヤレス給電を停止する、ワイヤレス給電システムである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態のワイヤレス給電システムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態の第1制御装置及び遠隔制御装置の構成例を示す図である。
【
図3】本実施形態のワイヤレス給電の制御パターンを示す図である。
【
図4】本実施形態のトイレ装置の動作のフロー図である。
【
図5】本実施形態のトイレ装置の動作のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、ワイヤレス給電システム1は、トイレ装置2及び遠隔制御装置3を備える。ワイヤレス給電システム1は、トイレ装置2から遠隔制御装置3にワイヤレス給電する。本実施形態のワイヤレス給電は、トイレ装置2から遠隔制御装置3に電波を送信することで、遠隔制御装置に対して非接触で電力を供給する方式である。トイレ装置2は、便器4及び便座装置5を備える。
【0009】
便器4は、トイレ空間100内の床面に設置されている。便器4の上部には、便座装置5が設置されている。便座装置5は、トイレ空間100内に設けられた便器4上に設置されている。便座装置5は、本体カバー6、便座7及び便蓋8を備える。ただし、便座装置5は、便蓋8を備えなくてもよい。本体カバー6は、便器4の後部かつ便器4の上部に載置されている。本体カバー6は、第1制御装置9を収容する。便座7は、本体カバー6に支持されている。便座7は、本体カバー6に対して回転する。便蓋8は、本体カバー6に支持されている。便蓋8は、本体カバー6に対して回転する。
【0010】
第1制御装置9は、第1アンテナ51を有する。第1制御装置9は、第1アンテナ51から遠隔制御装置3に向けて電波を送信することでワイヤレス給電する。第1制御装置9は、遠隔制御装置3と電波又は赤外線を用いて双方向又は単方向の無線通信を行う。単方向の無線通信は、遠隔制御装置3から第1制御装置9への無線通信である。ワイヤレス給電に用いる電波と、無線通信に用いる電波とは異なる電波であってもよいし、同一の電波であってもよい。
【0011】
第1制御装置9は、開閉機能、着座検知機能、局部洗浄機能及び便器洗浄機能を備える。開閉機能は、トイレ空間100内において、人の存在が検知された場合には、便座7及び便蓋8の少なくともいずれかを電動で開閉させる機能である。着座機能は、便座7への着座を検知する機能である。局部洗浄機能は、便座7に着座している人体の局部を洗浄する機能である。便器洗浄機能は、便器4の便鉢に水を吐水させる機能である。
【0012】
遠隔制御装置3は、遠隔からトイレ装置2を制御する。遠隔制御装置3は、トイレ空間100の所定位置に設置されている。この所定位置とは、例えば、トイレ空間100の壁面である。遠隔制御装置3は、操作部20及び第2制御装置30を備える。遠隔制御装置3は、操作部20が操作されたことを検知する操作検知機能を有する。遠隔制御装置3は、操作部20が操作された場合には、その操作に応じた情報を第1制御装置9に電波又は赤外線を用いて送信する送信機能を有する。操作検知機能及び送信機能は、後述する所定の機能に含まれる。
【0013】
操作部20は、使用者によって操作される。操作部20は、一つ以上の押しボタン21を備えていればよい。
【0014】
押しボタン21は、第2制御装置30に接続されている。押しボタン21は、使用者に押下されている場合にはオン状態である。押しボタン21は、使用者に押下されていない場合にはオフ状態である。例えば、複数の押しボタン21は、第1押しボタン21a、第2押しボタン21b、第3押しボタン21c及び第4押しボタン21dである。
【0015】
第1押しボタン21aは、便座7に着座している使用者が臀部を洗浄水で洗浄する場合に押下するボタンである。第2押しボタン21bは、使用者が前記洗浄水の水圧を調整する場合に押下するボタンである。第3押しボタン21cは、使用者が便座装置5から音を発生させる場合に押下するボタンである。第4押しボタン21dは、臀部の洗浄及び前記音の発生の少なくとも何れか一方を停止させる場合に押下するボタンである。操作部20は、使用者が便器4の便鉢に水を吐水させる場合に操作される便器洗浄操作部を有してもよい。
【0016】
第2制御装置30は、第2アンテナ31、受電部32、電波強度検出部33、蓄電部34、通信部36及び制御部37を備える。
【0017】
第2アンテナ31は、第1アンテナ51から送信された電波を受信する。第2アンテナ31は、電波を受信すると、受信した電波に対応する信号を受電部32に出力する。例えば、第2アンテナ31は、ループアンテナであってもよいし、ダイポールアンテナであってもよい。
【0018】
受電部32は、第2アンテナ31を介してトイレ装置2から電力を受け取る。受電部32は、受け取った電力を整流することで直流電力に変換する。例えば、受電部32は、第2アンテナ31から送信された信号を整流することで直流電圧を生成する整流回路を備える。受電部32は、変換した直流電力を蓄電部34に出力する。
【0019】
蓄電部34は、受電部32で受け取った受電電力を充電する。蓄電部34は、受電部32に接続されている。例えば、蓄電部34は、受電部32によって変換された直流電力を充電する。例えば、蓄電部34は、二次電池である。例えば、蓄電部34は、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池である。例えば、蓄電部34は、コンデンサであってもよい。
【0020】
充電量検出部35は、蓄電部34に充電されている充電量Qを求める。例えば、充電量検出部35は、蓄電部34の出力電圧を充電量Qとして求める。ただし、充電量Qは、出力電圧に限定されず、SOC(State Of Charge)であってもよい。充電量検出部35は、求めた充電量Qを制御部37に出力する。
【0021】
通信部36は、第1制御装置9と電波又は赤外線を用いて無線通信する。例えば、通信部36は、電波を用いて通信する場合には、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)及びBLE(Bluetooth Low Energy)の何れかの無線通信規格で第1制御装置9と無線通信する。ただし、通信部36は、第1制御装置9と電波又は赤外線を用いて通信できればよく、通信規格及び電波の周波数帯には特に限定されない。
【0022】
制御部37は、蓄電部34に充電されている電力で動作する。制御部37は、通信部36を介して第1制御装置9から情報を受信する。制御部37は、複数の押しボタン21の少なくともいずれかがオン状態になった場合には、オン状態の押しボタン21に対応する識別情報を通信部36に出力する。これにより、通信部36は、制御部37からの識別信号を第1制御装置9に無線送信する。制御部37は、充電量検出部35から充電量Qを取得した場合には、充電量Qを通信部36に出力する。これにより、通信部36は、制御部37からの充電量Qを第1制御装置9に無線送信する。
【0023】
以下に、本実施形態の第1制御装置9の構成について説明する。第1制御装置9は、電力変換部10、人体検知センサ11、通信部12、着座センサ13、局部洗浄装置14、便器洗浄装置15、開閉装置16、制御部17及び給電部18を備える。
【0024】
電力変換部10は、トイレ空間100内のコンセントからケーブルを介して電力が供給される。電力変換部10は、供給された電力を所定の電力に変換する。電力変換部10は、変換した電力を電力変換部10、人体検知センサ11、通信部12、着座センサ13、局部洗浄装置14、開閉装置16、制御部17及び給電部18のそれぞれに供給する。例えば、電力変換部10は、AC-DCコンバータである。電力変換部10は、AC-DCコンバータの出力を降圧するDC-DCコンバータを更に備えてもよい。
【0025】
人体検知センサ11は、トイレ空間100に入室した人を検知する。人体検知センサ11は、トイレ空間100への入室を検知する入室検知センサである。人体検知センサ11の検知領域は、トイレ装置2の前方の領域である。前方とは、便座7に座った使用者から見て前側の方向である。人体検知センサ11は、便座7から前方へ離れた位置に存在する人を検知する。例えば、人体検知センサ11は、焦電センサ、超音波センサ及び測距センサのいずれかである。人体検知センサ11は、制御部17に対して接続されている。人体検知センサ11は、トイレ空間100において人が入ったことを検知した場合には、その検知結果を制御部17に出力する。
【0026】
人体検知センサ11は、トイレ空間100内に設けられていればよく、トイレ装置2に設けられていなくてもよい。例えば、人体検知センサ11は、トイレ空間100内の壁面又は天井に設けられてもよい。人体検知センサ11は、遠隔制御装置3に設けられてもよい。
【0027】
通信部12は、通信部36と電波を用いて無線通信する。通信部12は、通信部36と同一の無線通信規格で通信する。例えば、通信部12は、Wi-Fi、Bluetooth及びBLEの何れかの無線通信規格で通信部36と無線通信する。
【0028】
着座センサ13は、ユーザによる便座7への着座を検知する。着座センサ13は、ユーザによる便座7への着座を検知すると、着座検知信号を制御部17に出力する。着座センサ13がユーザの便座7への着座を検知することは、着座検知機能の作動の一例である。
【0029】
局部洗浄装置14は、制御部17からの信号である第1洗浄信号が供給されると、便座装置5に設けられたノズル(不図示)を進出させて当該ノズルの先端から洗浄水を吐水させる。これにより、局部洗浄装置14は、第1洗浄信号により作動して便座7に着座しているユーザの局部を洗浄する。局部洗浄装置14が作動することは、局部洗浄機能の作動の一例である。
【0030】
便器洗浄装置15は、制御部17からの信号である第2洗浄信号が供給されると、便器4の便鉢に水を吐水させる。これにより、便器洗浄装置15は、第2洗浄信号により作動して便器4の便鉢に水を吐水させることで便器4の便鉢内を洗浄することができる。便器洗浄装置15が作動することは、便器洗浄機能の作動の一例である。
【0031】
開閉装置16は、開閉体の動作を制御する。開閉体は、便座7及び便蓋8の少なくともいずれかである。開閉体は、便座7でもよいし、便蓋8でもよいし、便座7及び便蓋8であってもよい。開閉装置16は、制御部17からの第1駆動信号により作動する。開閉装置16は、第1駆動信号により作動すると開閉体を所定の位置である第1位置まで開方向に動作させる。開閉装置16は、制御部17からの第2駆動信号により作動する。開閉装置16は、第2駆動信号により作動すると開閉体を所定の位置である第2位置まで閉方向に動作させる。開閉装置16は、開閉体を電動で開方向又は閉方向に動作させる。
【0032】
開閉装置16は、開閉体が手動で操作されたことを検知する。開閉装置16は、開閉体が開方向へ手動で操作されたことを契機として作動し、開閉体を開方向に動作させる。これにより、開閉装置16は、ユーザによる開閉体の手動操作をアシストする。開閉装置16は、開閉体が閉方向へ手動で操作されたことを契機として作動し、閉方向に動作している開閉体に対して制動力を発生させる。開閉装置16は、制動力を発生させながら開閉体を第2位置まで閉方向に動作させてもよい。開閉装置16が作動することは、開閉機能の作動の一例である。
【0033】
制御部17は、通信部12に対して電気的に接続されている。制御部17は、通信部12に対して情報を送信する。制御部17は、通信部12を介して遠隔制御装置3から情報を受信する。操作部20が操作された場合には、制御部17は、通信部12を介して遠隔制御装置3から識別情報を受信する。制御部37は、通信部12を介して遠隔制御装置3から充電量Qを受信する。
【0034】
制御部17は、遠隔制御装置3から識別情報を受信することで、操作部20が操作されたことを検出する。制御部17は、第1押しボタン21aが操作された場合には、局部洗浄装置14に対して第1洗浄信号を送信する。制御部17は、第2押しボタン21bが操作された場合には、局部洗浄の洗浄水の水圧を変更する。この局部洗浄の洗浄水の水圧を変更する機能は、後述する所定の機能に含まれる。制御部17は、第3押しボタン21cが操作された場合には、便座装置5から音を発生させる。この便座装置5から音を発生させる機能は、後述する所定の機能に含まれる。制御部17は、第4押しボタン21bが操作された場合には、局部の洗浄及び前記音の発生の少なくとも何れか一方を停止させる。この局部の洗浄及び前記音の発生の少なくとも何れか一方を停止させる機能は、後述する所定の機能に含まれる。
【0035】
制御部17は、便器洗浄操作部が操作されたことを検出した場合には、便器洗浄装置15に対して第2洗浄信号を送信する。便器洗浄操作部は、遠隔制御装置3に設けられてもよいし、トイレ装置2に設けられてもよい。便器洗浄操作部は、トイレ空間100内において、遠隔制御装置3及びトイレ装置2以外に箇所に設けられてもよい。例えば、便器洗浄操作部は、トイレ装置2に設けられたレバーであってもよい。便器洗浄操作部は、赤外線センサを有してもよい。制御部17は、便器洗浄操作部に対してユーザが手をかざす行為を行ったことを赤外線センサの出力信号から検知した場合に、便器洗浄装置15に対して第2洗浄信号を送信してもよい。
【0036】
制御部17は、着座センサ13がユーザによる便座7への着座を検知してから着座が検知されなくなったことを契機として、便器洗浄装置15に対して第2洗浄信号を送信してもよい。
【0037】
制御部17は、トイレ装置2から遠隔制御装置3へのワイヤレス給電を制御する。制御部17は、トイレ空間100内に人が存在しない場合には第1ワイヤレス給電を許可する。第1ワイヤレス給電は、遠隔制御装置3に対して第1電波を送信することで第1電力量を遠隔制御装置3に対して給電するワイヤレス給電である。第1電力量は、時間と電力の積分値である。制御部17は、トイレ空間100内に人が存在する場合には、第2ワイヤレス給電のみを許可する、又は、すべてのワイヤレス給電を禁止する。第2ワイヤレス給電は、遠隔制御装置3に対して第2電波を送信することで第1電力量よりも低い第2電力量以下の電力量を遠隔制御装置3に対して給電するワイヤレス給電である。第2ワイヤレス給電は、第1電力量よりも低い第2電力量以下の電力量を給電すればよく、給電する電力量が異なる複数の給電パターンを有してもよい。
【0038】
例えば、第2ワイヤレス給電は、第1給電パターン及び第2給電パターンを有する。第1給電パターンは、第2電力量の電力量を給電する給電パターンである。第2給電パターンは、第2電力量よりも低い第3電力量を給電する給電パターンである。第2電力量は、第1電力量よりも低い電力量であればよい。例えば、第2電力量は、人やペースメーカー等に影響がない大きさである。
【0039】
第2ワイヤレス給電の給電方式は、第2電力量以下の電力量を給電できる方式であればよい。例えば、第2ワイヤレス給電は、第1給電方式から第3給電方式の少なくともいずれかの給電方式で第2電波を送信してもよい。第1給電方式は、第2電波の電波強度が第1電波の電波強度よりも低い給電方式である。第2給電方式は、第2電波の送信周期が第1電波の送信周期よりも長い給電方式である。送信周期とは、電波がトイレ装置2から遠隔制御装置3に対して送信される周期である。第3給電方式は、第2電波の送信期間が第1電波の送信期間よりも短い給電方式である。送信期間とは、電波がトイレ装置2から遠隔制御装置3に対して送信されている間の期間である。
【0040】
以下において、制御部17がトイレ空間100内における人の存在の有無を判定する方法について、説明する。
【0041】
制御部17は、トイレ空間100内において人が存在するか否かの判定処理を所定の周期で実行する。制御部17は、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為によってトイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかにおける所定の機能が作動した場合と、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対して所定の操作が行われた場合と、の少なくともいずれかの場合には、トイレ空間100内において人が存在すると判定する。この判定処理は、人体検知センサ11による人体検知の有無の判定を含んでいない。
【0042】
トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為は、遠隔制御装置3の操作部20に対する人の操作を含む。例えば、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為は、第1押しボタン21a、第2押しボタン21b、第3押しボタン21c及び第4押しボタン21dの少なくともいずれかを押下する操作である。例えば、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為は、開閉機能、局部洗浄機能及び便器洗浄機能の少なくともいずれかを実行させるために、人がトイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対して行う行為である。トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為は、人が便座7に着座する行為を含む。ただし、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為は、人がトイレ空間100内に入るだけの行為は含まれない。
【0043】
例えば、所定の機能が作動した場合とは、開閉機能、着座検知機能、局部洗浄機能、便器洗浄機能と、の少なくともいずれかの機能が作動した場合である。例えば、所定の操作が行われた場合とは、遠隔制御装置3の操作部20が操作された場合と、開閉体が人の操作により開方向又は閉方向に操作された場合と、の少なくともいずれかの場合である。
【0044】
制御部17は、トイレ空間100内において人が存在しないと判定した場合に、第1ワイヤレス給電を許可する。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合に、第1ワイヤレス給電を禁止し、第2ワイヤレス給電を許可する。ただし、これに限定されず、制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、すべてのワイヤレス給電を禁止してもよい。例えば、制御部17は、第1ワイヤレス給電を許可する場合には、第1制御信号を給電部18に対して出力する。例えば、制御部17は、第1ワイヤレス給電を禁止し、第2ワイヤレス給電を許可する場合には、第2制御信号を給電部18に対して出力する。例えば、制御部17は、すべてのワイヤレス給電を禁止する場合には第3制御信号を給電部18に対して出力する。
【0045】
制御部17は、蓄電部34に対する充電が必要か否かを判定してもよい。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合において、蓄電部34に対する充電が必要と判定した場合に限り、第2ワイヤレス給電を許可してもよい。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合において、蓄電部34に対する充電が必要ないと判定した場合には、すべてのワイヤレス給電を禁止してもよい。
【0046】
例えば、制御部17は、充電量Qが所定の閾値である第1充電量閾値Q1以下であるか否かを判定する。制御部17は、充電量Qが第1充電量閾値Q1以下になった場合には、蓄電部34に対する充電が必要であると判定する。蓄電部34に対する充電が必要である場合とは、遠隔制御装置3が動作するにあたって、蓄電部34の充電量Qが足りない状態、又は、その足りない状態に近い状態である。
【0047】
制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2以上であるか否かを判定する。充電量Qが第2充電量閾値Q2以上の場合とは、蓄電部34が満充電である場合及び満充電に近い状態の場合のいずれかの場合である。第2充電量閾値Q2は、第1充電量閾値Q1よりも高い値である。
【0048】
制御部17は、人体検知センサ11によってトイレ空間100内の人の存在が検知された場合において、判定処理を行ってもよい。
【0049】
給電部18は、電力変換部10から電力を取得することによって動作する。給電部18は、第1ワイヤレス給電と第2ワイヤレス給電とのいずれかのワイヤレス給電を行う。給電部18は、第1ワイヤレス給電と第2ワイヤレス給電とを同時に行うことはできない。給電部18が遠隔制御装置3に送信する電波は、例えば、920MHzでもよいし、マイクロ波であってもよい。
【0050】
給電部18は、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為によってトイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかにおける所定の機能が作動した場合と、トイレ装置2及び遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対して所定の操作が行われた場合と、の少なくともいずれかの場合には、第2ワイヤレス給電を所定時間だけ実行することと、遠隔制御装置3に対するワイヤレス給電を停止することと、のいずれかを実行する。
【0051】
例えば、給電部18は、制御部17によってトイレ空間100内において人が存在すると判定された場合には、第2ワイヤレス給電を所定時間だけ実行する。給電部18は、第2ワイヤレス給電を所定時間だけ実行した後において、判定処理においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定されていることを条件に第1ワイヤレス給電を実行してもよい。
【0052】
給電部18は、制御部17によってトイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、すべてのワイヤレス給電を所定時間だけ禁止してもよい。給電部18は、すべてのワイヤレス給電を所定時間だけ禁止した後において、判定処理においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定されていることを条件に第1ワイヤレス給電及び第2ワイヤレス給電のいずれかを実行してもよい。例えば、給電部18は、すべてのワイヤレス給電を所定時間だけ禁止した後において、人体検知センサ11によって人体が検知されておらず、判定処理においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定されていることを条件に第1ワイヤレス給電を実行してもよい。給電部18は、すべてのワイヤレス給電を所定時間だけ禁止した後において、人体検知センサ11によって人体が検知されており、判定処理においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定されていることを条件に第2ワイヤレス給電を実行してもよい。
【0053】
給電部18は、送電部50及び第1アンテナ51を備える。送電部50は、第1アンテナ51に対して電気的に接続されている。送電部50は、所定の周波数の信号である送信信号を生成する発信器を有する。給電部18は、送信信号を増幅してもよい。送電部50は、第1制御信号及び第2制御信号のいずれかの信号に基づいて送信信号の増幅率を調整してもよい。例えば、送電部50は、第1制御信号を受信した場合には送信信号を第1増幅率で増幅してもよい。送電部50は、第2制御信号を受信した場合には送信信号を第1増幅率よりも低い第2増幅率で増幅してもよい。送電部50は、送信信号の位相を調整してもよい。送電部50は、第1制御信号及び第2制御信号のいずれかの制御信号を受信した場合には、増幅率及び位相を調整した送信信号を第1アンテナ51に出力する。送電部50は、第3制御信号を受信した場合には、第1アンテナ51に対する送信信号の出力を停止する。
【0054】
一例として給電部18は、
図3に示すように、判定処理によってトイレ空間100内において人が存在すると判定された場合には第2ワイヤレス給電を実施する、又はワイヤレス給電を停止する。給電部18は、判定処理によってトイレ空間100内において人が存在しないと判定された場合には第1ワイヤレス給電を行う。給電部18は、充電量Qが第2充電量閾値Q2以上の場合には、第1ワイヤレス給電及び第2ワイヤレス給電のすべてのワイヤレス給電を停止する。
【0055】
第1アンテナ51は、送電部50から送信信号が送信されることによって遠隔制御装置3に対して電波を送信する。第1アンテナ51は、第1ワイヤレス給電の場合には、第1電波を遠隔制御装置3に向けて送信する。第1アンテナ51は、第2ワイヤレス給電の場合には、第2電波を遠隔制御装置3に向けて送信する。例えば、第1アンテナ51は、ループアンテナである。第1アンテナ51は、複数のアンテナ素子を有するアレイアンテナであってもよい。第1アンテナ51は、本体カバー6内において、便座7に座った使用者から見て遠隔制御装置3が配置された側に設けられている。例えば、遠隔制御装置3がトイレ装置2の右側の壁面に配置されている場合には、第1アンテナ51は、少なくとも、便座7に座った使用者から見て右側の特定領域に設けられている。例えば、遠隔制御装置3がトイレ装置2の左側の壁面に配置されている場合には、第1アンテナ51は、少なくとも、便座7に座った使用者から見て左側の特定領域に設けられている。右側の特定領域は、トイレ空間100を平面から見た場合に、中心線300よりも右側の本体カバー6内であればよい。左側の特定領域は、トイレ空間100を平面から見た場合に、中心線300よりも左側の本体カバー6内であればよい。
【0056】
例えば、第1アンテナ51は、本体カバー6の左端及び右端の少なくともいずれか一方に設けられてもよい。例えば、遠隔制御装置3がトイレ装置2の右方向の壁面に配置されている場合には、第1アンテナ51は、本体カバー6内の右端に配置される。例えば、遠隔制御装置3がトイレ装置2の左方向の壁面に配置されている場合には、第1アンテナ51は、本体カバー6内の左端に配置される。例えば、第1アンテナ51は、便器4の後方に設けられた本体カバー6内の機能部に配置されている。
【0057】
トイレ装置2の動作の流れの第1の例を、
図4を用いて説明する。制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2以上であるか否かを判定する(ステップS101)。制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2以上の場合には、すべてのワイヤレス給電を禁止する(ステップS102)。制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2未満の場合には、判定処理を実行する(ステップS103)。すなわち、制御部17は、判定処理として、トイレ装置2及び前記遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対する人の行為によってトイレ装置2及び前記遠隔制御装置3の少なくともいずれかにおける所定の機能が作動した場合である第1条件と、トイレ装置2及び前記遠隔制御装置3の少なくともいずれかに対して所定の操作が行われた場合である第2条件と、の少なくともいずれかの条件が満たされたか否かを判定する。
【0058】
制御部17は、第1条件及び第2条件のうち、いずれかの条件が満たされた場合には、トイレ空間100内において人が存在すると判定する。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、第2ワイヤレス給電を許可する(ステップS104)。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、ステップ104において所定時間だけ第2ワイヤレス給電を許可してもよい。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、ステップ104においてすべてのワイヤレス給電を禁止してもよい。制御部17は、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、ステップ104において所定の時間だけすべてのワイヤレス給電を禁止してもよい。制御部17は、ステップS103においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定された場合には、第1ワイヤレス給電を許可する(ステップS105)。
【0059】
トイレ装置2の動作の流れの第2の例を、
図5を用いて説明する。制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2以上であるか否かを判定する(ステップS201)。制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2以上の場合には、すべてのワイヤレス給電を禁止する(ステップS202)。制御部17は、充電量Qが第2充電量閾値Q2未満の場合には、判定処理を実行する(ステップS203)。制御部17は、判定処理の結果、トイレ空間100内において人が存在すると判定した場合には、充電量Qが第1充電量閾値Q1以下であるか否かを判定する(ステップS204)。制御部17は、充電量Qが第1充電量閾値Q1以下である場合には、第2ワイヤレス給電を許可する(ステップS205)。制御部17は、充電量Qが第1充電量閾値Q1以下である場合には、ステップS205において所定の時間だけ第2ワイヤレス給電を許可してもよい。
【0060】
制御部17は、ステップS204において、充電量Qが第1充電量閾値Q1を超える場合には、すべてのワイヤレス給電を禁止する(ステップS206)。制御部17は、ステップS204において充電量Qが第1充電量閾値Q1を超える場合には、ステップS206において所定の時間だけすべてのワイヤレス給電を禁止してもよい。制御部17は、ステップS203においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定された場合には、第1ワイヤレス給電を許可する(ステップS207)。制御部17は、ステップS203においてトイレ空間100内において人が存在しないと判定された場合には、ステップS207において所定の時間だけ第1ワイヤレス給電を許可してもよい。
【0061】
上述したように、給電部18は、第1条件及び第2条件の少なくともいずれかが満たされた場合には、ワイヤレス給電する電力量を所定時間だけ下げる、又は、ワイヤレス給電を停止する。これにより、ワイヤレス給電システム1は、トイレ空間100内の人が強い電波を長時間受けてしまうことを抑制することができる。
【0062】
第1制御装置9は、便座7が起立状態である場合において、トイレ装置2の前方に立っている人を検知するセンサを有してもよい。このセンサは、便座7を起立状態に操作して小便を行う人を検知する。制御部17は、このセンサによって小便を行う人を検知している場合には、便座7が下がらないように開閉装置16を制御する。便座7が下がらないように開閉装置16を制御する機能は、前記所定の機能に含まれてもよい。第1制御装置9は、判定処理において、このセンサによってトイレ装置2の前方に立っている人を検知した場合には、トイレ空間100内において人が存在すると判定してもよい。第1制御装置9は、便座7が下がらないように開閉装置16を制御した場合には、トイレ空間100内において人が存在すると判定してもよい。
【0063】
上記制御部37は、受電部32から出力される直流電力で動作してもよい。例えば、遠隔制御装置3に蓄電部34が設けられていない場合には、制御部37は、受電部32から出力される直流電力で動作する。例えば、遠隔制御装置3は、ワイヤレス給電されている場合には、受電電力から出力された直流電力によって、蓄電部34を充電するとともに制御部37を動作させてもよい。遠隔制御装置3は、ワイヤレス給電されていない場合には、蓄電部34に充電されている電力で制御部37を動作させてもよい。
【0064】
例えば、制御部17は、プロセッサを備える。例えば、プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)及びMPU(Micro Processing Unit)である。例えば、制御部17は、マイクロコントローラであってもよい。制御部17は、不揮発性の半導体及び揮発性の半導体の少なくともいずれか一方を備えもてよい。制御部17は、プロセッサがプログラムを実行することによって実現されてもよい。制御部17の構成要素のうち少なくとも一部は、ハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。
【0065】
例えば、上記ハードウェアは、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくともいずれかである。上記プログラムは、予め記憶装置に格納されていてもよい。前記記憶装置は、非一過性の記憶媒体である。例えば、前記記憶装置は、HDD(Hard Disk Drive)及びフラッシュメモリの少なくともいずれかである。前記プログラムは、着脱可能な記憶媒体に格納されてもよい。この場合には、前記プログラムは、記憶媒体がドライブ装置に装着されることによって前記記憶装置にインストールされてもよい。前記記憶媒体は、非一過性の記憶媒体である。例えば、前記記録媒体は、DVD及びCD-ROMのいずれかである。
【符号の説明】
【0066】
1…ワイヤレス給電システム、2…トイレ装置、3…遠隔制御装置、18…給電部