(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】制御装置、モータ駆動システム、制御装置による制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H02P 27/06 20060101AFI20240607BHJP
H02M 7/06 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
H02P27/06
H02M7/06 N
(21)【出願番号】P 2020067521
(22)【出願日】2020-04-03
【審査請求日】2023-02-16
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】久原 正和
(72)【発明者】
【氏名】角藤 清隆
(72)【発明者】
【氏名】清水 健志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 明子
【審査官】三島木 英宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/064284(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 27/06
H02M 7/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
リレー
がオフ状態の場合に1倍圧回路として動作し、前記リレーがオン状態の場合に2倍圧回路として動作するコンバータ回路
における前記リレー
を前記オフ状態または前記オン状態に制御する制御装置であって、
1倍圧か2倍圧かを示す指令を受け
、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定する受付部と、
前記受付部が指令を受けた場合、前記コンバータ回路の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部
であって、前記コンバータ回路の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定する判定部と、
前記判定部が前記所定の条件を満たすと判定し
、かつ、前記受付部の判定結果が1倍圧を示す場合に
、前記リレーを
オフ状態に制御し、前記判定部が前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受付部の判定結果が2倍圧を示す場合に、前記リレーをオン状態に制御する制御部と、
を備える制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、
前記コンバータ回路の出力電圧が過去の所定期間における平均値とピーク値との間の所定の範囲に入ったと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定する、
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、
前記コンバータ回路の出力電圧が過去の所定期間における平均値とピーク値との間の範囲の上位30パーセントに入ったと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定する、
請求項
2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、
前記コンバータ回路の出力電圧が所定のしきい値を超えると判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定する、
請求項
1に記載の制御装置。
【請求項5】
請求項1から請求項
4の何れか一項に記載の制御装置と、
前記制御装置による制御の下、
前記1倍圧回路または前記2倍圧回路として動作するコンバータ回路と、
を備えるモータ駆動システム。
【請求項6】
リレー
がオフ状態の場合に1倍圧回路として動作し、前記リレーがオン状態の場合に2倍圧回路として動作するコンバータ回路
における前記リレー
を前記オフ状態または前記オン状態に制御する制御装置による制御方法であって、
1倍圧か2倍圧かを示す指令を受け
、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定することと、
指令を受けた場合、前記コンバータ回路の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定すること
であって、前記コンバータ回路の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定することと、
前記所定の条件を満たすと判定し
、かつ、前記受けた指令が1倍圧を示す場合に
、前記リレーを
オフ状態に制御し、前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受けた指令が2倍圧を示す場合に、前記リレーをオン状態に制御することと、
を含む制御装置による制御方法。
【請求項7】
リレー
がオフ状態の場合に1倍圧回路として動作し、前記リレーがオン状態の場合に2倍圧回路として動作するコンバータ回路
における前記リレー
を前記オフ状態または前記オン状態に制御する制御装置のコンピュータに、
1倍圧か2倍圧かを示す指令を受け
、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定することと、
指令を受けた場合、前記コンバータ回路の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定すること
であって、前記コンバータ回路の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定することと、
前記所定の条件を満たすと判定し
、かつ、前記受けた指令が1倍圧を示す場合に
、前記リレーを
オフ状態に制御し、前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受けた指令が2倍圧を示す場合に、前記リレーをオン状態に制御することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置、モータ駆動システム、制御装置による制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機では、PWMコンバータが使用される場合がある。そして、PWMコンバータの中には効率的に動作させるために、1倍圧と2倍圧のどちらかを選択して出力することができるものがある。
特許文献1には、関連する技術として、スイッチを切り替えることによって、1倍圧または2倍圧を出力することのできるコンバータが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
空気調和機において、コストを低減するなどの目的で、ツインロータリのコンプレッサに比べて安価なシングルロータリのコンプレッサが使用される場合がある。
シングルロータリのコンプレッサは、ツインロータリのコンプレッサに比べて振動が大きい。そのため、シングルロータリのコンプレッサが使用される場合には、その振動を抑制するトルクを発生させるために、コンプレッサの振動周期に合わせて、コンプレッサを駆動するインバータの出力電流を意図的に振動させることがある。しかしながら、コンプレッサの振動周期に合わせてインバータの出力電流を意図的に振動させる場合、インバータに電力を供給するコンバータの出力電圧は、インバータの出力電流の振動と併せて搖動してしまう。
また、空気調和機において、ツインロータリのコンプレッサをシングルロータリのコンプレッサに変更した場合、コンバータの入力電流の変動が大きくなる傾向にある。そして、コンバータの出力電圧は、コンバータの入力電圧の変動の影響も受ける。
よって、空気調和機においてツインロータリのコンプレッサが使用される場合のコンバータの出力電圧は、空気調和機においてツインロータリのコンプレッサが使用される場合のコンバータの出力電圧に比べて大きく歪む。
【0005】
ところで、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機においても、コンバータを効率的に動作させるために、コンバータの動作中にも1倍圧と2倍圧とを切り替えることが望ましい。しかしながら、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機では、上述のように、コンバータの出力電圧が大きく歪むため、コンバータの動作中にタイミングを考慮せずに(例えば、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機でうまく切り替えることのできたタイミングで)1倍圧から2倍圧へ切り替える場合、大きな突入電流が生じ、リレーの寿命を短くする可能性がある。
そのため、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータの動作中に1倍圧から2倍圧へリレーで切り替えるときの突入電流を低減することのできる技術が求められている。
【0006】
本開示は、上記の課題を解決することのできる制御装置、モータ駆動システム、制御装置による制御方法及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本開示に係る制御装置は、リレーがオフ状態の場合に1倍圧回路として動作し、前記リレーがオン状態の場合に2倍圧回路として動作するコンバータ回路における前記リレーを前記オフ状態または前記オン状態に制御する制御装置であって、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受け、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定する受付部と、前記受付部が指令を受けた場合、前記コンバータ回路の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部であって、前記コンバータ回路の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定する判定部と、前記判定部が前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受付部の判定結果が1倍圧を示す場合に、前記リレーをオフ状態に制御し、前記判定部が前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受付部の判定結果が2倍圧を示す場合に、前記リレーをオン状態に制御する制御部と、を備える。
【0008】
本開示に係るモータ駆動システムは、上記の制御装置と、前記制御装置による制御の下、前記1倍圧回路または前記2倍圧回路として動作するコンバータ回路と、を備える。
【0009】
本開示に係る制御装置による制御方法は、リレーがオフ状態の場合に1倍圧回路として動作し、前記リレーがオン状態の場合に2倍圧回路として動作するコンバータ回路における前記リレーを前記オフ状態または前記オン状態に制御する制御装置による制御方法であって、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受け、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定することと、指令を受けた場合、前記コンバータ回路の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定することであって、前記コンバータ回路の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定することと、前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受けた指令が1倍圧を示す場合に、前記リレーをオフ状態に制御し、前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受けた指令が2倍圧を示す場合に、前記リレーをオン状態に制御することと、を含む。
【0010】
本開示に係るプログラムは、リレーがオフ状態の場合に1倍圧回路として動作し、前記リレーがオン状態の場合に2倍圧回路として動作するコンバータ回路における前記リレーを前記オフ状態または前記オン状態に制御する制御装置のコンピュータに、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受け、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定することと、指令を受けた場合、前記コンバータ回路の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定することであって、前記コンバータ回路の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定することと、前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受けた指令が1倍圧を示す場合に、前記リレーをオフ状態に制御し、前記所定の条件を満たすと判定し、かつ、前記受けた指令が2倍圧を示す場合に、前記リレーをオン状態に制御することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0011】
本開示の実施形態による制御装置、コンバータ装置、制御装置による制御方法及びプログラムによれば、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータの動作中に1倍圧から2倍圧へリレーで切り替えるときの突入電流を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態によるモータ駆動システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】本開示の一実施形態によるリレー制御装置の構成の一例を示す図である。
【
図3】本開示の一実施形態におけるリレーの切り替えタイミングを説明するための図である。
【
図4】本開示の一実施形態による指令生成装置の処理フローを示す図である。
【
図5】本開示の一実施形態によるリレー制御装置の処理フローを示す図である。
【
図6】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
(システムの構成)
本開示の一実施形態によるモータ駆動システム1について説明する。
モータ駆動システム1は、コンバータ装置の出力を1倍圧から2倍圧へ切り替えるときに発生する突入電流を抑制するシステムである。モータ駆動システム1は、
図1に示すように、コンプレッサモータ10、インバータ装置20、コンバータ装置30(コンバータ回路の一例)、アクティブフィルタ40、交流電源50、指令生成装置60、リレー制御装置70(制御装置の一例)を備える。
【0014】
コンプレッサモータ10は、空気調和機などにおいて、シングルロータリのコンプレッサを駆動するために使用されるモータである。コンプレッサモータ10は、インバータ装置20から受ける電圧に応じて動作する(回転する)。
【0015】
インバータ装置20は、コンバータ装置30から受ける電圧から、コンプレッサモータ10を駆動する電圧を生成する。インバータ装置20は、生成した電圧をコンプレッサモータ10に出力する。
【0016】
コンバータ装置30は、交流電源50から受ける電圧から、インバータ装置20に供給する1倍圧または2倍圧の電圧を生成する。コンバータ装置30は、
図1に示すように、整流回路301、リアクタ302、キャパシタ303、304、リレー305を備える。
【0017】
整流回路301は、交流電力を直流電力に整流する回路である。
リアクタ302は、昇圧動作を実現する(可能にする)ために設けられるリアクタである。なお、ここでの昇圧動作とは、2倍圧回路による昇圧とは別の昇圧である。
また、リアクタ302は、キャパシタ303、304とともにLCフィルタを構成する。このLCフィルタによって、ノイズが除去される。
【0018】
キャパシタ303、304は、整流回路301が出力する直流電力を平滑化するキャパシタである。キャパシタ303、304によって、電圧値の変動の少ない直流電圧がコンバータ装置30からインバータ装置20へ供給される。
また、キャパシタ303、304は、リレー305がオン状態のときにコンバータ装置30が2倍圧を出力できるように、直列接続されている。
キャパシタ303、304は、例えば、電解コンデンサである。
【0019】
リレー305は、コンバータ装置30の出力を1倍圧にするか2倍圧にするかを選択するためのリレーである。リレー305は、リレー制御装置70による制御の下、オン状態またはオフ状態に切り替わる。
コンバータ装置30は、リレー305がオフ状態の場合、全波整流(1倍圧回路)として動作し、1倍圧を出力する。ここでの1倍圧とは、リアクタ302による昇圧を含めた電圧振幅のことである。
また、コンバータ装置30は、リレー305がオン状態の場合であって、キャパシタ303、304それぞれの両端の電圧がリアクタ302による昇圧を含めた電圧振幅まで充電される場合、2倍圧回路として動作し、2倍圧を出力する。
【0020】
アクティブフィルタ40は、交流電源50からコンバータ装置30へ供給される全電流を正弦波に近づけることにより、高調波を抑制する。
交流電源50は、コンバータ装置30に電力を供給する電源である。交流電源50は、例えば、電力系統である。
【0021】
指令生成装置60は、コンプレッサモータ10の回転数に基づいて、コンバータ装置30に1倍圧を出力させるか、2倍圧を出力させるかを判定する。
例えば、指令生成装置60は、コンプレッサモータ10のさまざまな回転数ごとに、1倍圧の場合の効率、2倍圧の場合の効率を記憶しており、コンプレッサモータ10から取得した回転数において効率の良い方の電圧をコンバータ装置30に出力させるように決定する。
指令生成装置60は、1倍圧を出力させると判定した場合、1倍圧を示す指令を生成する。そして、指令生成装置60は、1倍圧を示す指令をリレー制御装置70に出力する。
また、指令生成装置60は、2倍圧を出力させると判定した場合、2倍圧を示す指令を生成する。そして、指令生成装置60は、2倍圧を示す指令をリレー制御装置70に出力する。
【0022】
リレー制御装置70は、指令生成装置60から受ける指令に基づいて、リレー305を制御する装置である。リレー制御装置70は、
図2に示すように、受付部701、判定部702、制御部703を備える。
【0023】
受付部701は、指令生成装置60からの指令を受け付ける。受付部701は、指令生成装置60から指令を受けた場合、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定する。そして、受付部701は、判定結果を制御部703に出力する。
【0024】
判定部702は、受付部701が指令を受けた場合、コンバータ装置30の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定する。
例えば、判定部702は、コンバータ装置30の出力電圧が高いと判定した場合に所定の条件を満たすと判定する。
具体的には、判定部702は、コンバータ装置30の出力電圧を所定周期ごとにサンプリングする。判定部702は、過去の所定期間においてサンプリングしたすべての電圧の平均値(すなわち、過去の移動平均)と、サンプリングした電圧のうちの最大値との間の所定の範囲に入ったと判定した場合に、所定の条件を満たすと判定する。例えば、判定部702は、
図3に示すように、コンバータ装置30の出力電圧が過去の所定期間(
図3では過去の3周期)においてサンプリングしたすべての電圧の平均値(移動平均)と、サンプリングした電圧のうちの最大値との差を100パーセントとし、上位30パーセントの範囲に入ったと判定した場合に所定の条件を満たすと判定する。
また、具体的には、判定部702は、コンバータ装置30の出力電圧を所定周期ごとにサンプリングする。そして、判定部702は、サンプリングした電圧が所定のしきい値を超えると判定した場合に、所定の条件を満たすと判定する。
【0025】
制御部703は、判定部702が所定の条件を満たすと判定し、かつ、受付部701の判定結果を受けた場合、受付部701の判定結果に基づいて、直ちにリレー305を制御する。
例えば、判定部702が所定の条件を満たすと判定すると、制御部703は、受付部701の判定結果が1倍圧を示す場合、リレー305をオフ状態にする制御信号をリレー305に直ちに出力する。また、判定部702が所定の条件を満たすと判定すると、制御部703は、受付部701の判定結果が2倍圧を示す場合、リレー305をオン状態にする制御信号をリレー305に直ちに出力する。
【0026】
(モータ駆動システムの処理)
次に、本開示の一実施形態によるモータ駆動システム1の処理について説明する。
ここでは、
図4に示す指令生成装置60の処理フローと、
図5に示すリレー制御装置70の処理フローについて説明する。
【0027】
(指令生成装置の処理)
まず、
図4に示す指令生成装置60の処理フローについて説明する。
指令生成装置60は、コンプレッサモータ10の回転数に基づいて、コンバータ装置30に1倍圧を出力させるか、2倍圧を出力させるかを判定する(ステップS1)。
指令生成装置60は、1倍圧を出力させると判定した場合(ステップS1において「1倍圧」)、1倍圧を示す指令を生成する(ステップS2)。指令生成装置60は、1倍圧を示す指令をリレー制御装置70に出力する(ステップS3)。そして、指令生成装置60は、処理を終了する。
また、指令生成装置60は、2倍圧を出力させると判定した場合(ステップS1において「2倍圧」)、2倍圧を示す指令を生成する(ステップS4)。指令生成装置60は、2倍圧を示す指令をリレー制御装置70に出力する(ステップS5)。そして、指令生成装置60は、処理を終了する。
【0028】
(リレー制御装置の処理)
次に、
図5に示すリレー制御装置70の処理フローについて説明する。
受付部701は、指令生成装置60から指令を受けると(ステップS11)、受けた指令が1倍圧を示すか2倍圧を示すかを判定する(ステップS12)。
受付部701は、受けた指令が1倍圧を示すと判定した場合(ステップS12において「1倍圧」)、1倍圧を示す判定結果を制御部703に出力する(ステップS13)。
また、受付部701は、受けた指令が2倍圧を示すと判定した場合(ステップS12において「2倍圧」)、2倍圧を示す判定結果を制御部703に出力する(ステップS14)。
【0029】
判定部702は、受付部701が指令を受けると、コンバータ装置30の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS15)。
【0030】
判定部702は、所定の条件を満たさないと判定した場合(ステップS15においてNO)、ステップS15の処理に戻す。
制御部703は、判定部702が所定の条件を満たすと判定し(ステップS15においてYES)、かつ、受付部701の判定結果を受けた場合、受付部701の判定結果に基づいて、直ちにリレー305を制御する(ステップS16)。
【0031】
以上、本開示の一実施形態によるモータ駆動システム1について説明した。
本開示の一実施形態によるモータ駆動システム1のリレー制御装置70において、受付部701は、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受ける。判定部702は、受付部701が指令を受けた場合、コンバータ装置30の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定する。制御部703は、判定部702が前記所定の条件を満たすと判定した場合にリレー305を切り替える。
こうすることで、制御部703は、突入電流の生じ難い状態でリレー305を切り替えることができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ装置30の動作中に1倍圧から2倍圧へリレー305で切り替えるときの突入電流を低減することができる。
【0032】
なお、本開示の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
【0033】
本開示の実施形態における記憶部、記憶装置(レジスタ、ラッチを含む)のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部、記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
【0034】
本開示の実施形態について説明したが、上述のモータ駆動システム1、アクティブフィルタ40、指令生成装置60、リレー制御装置70、その他の制御装置は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。コンピュータの具体例を以下に示す。
図6は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ5は、
図6に示すように、CPU6、メインメモリ7、ストレージ8、インターフェース9を備える。
例えば、上述のモータ駆動システム1、アクティブフィルタ40、指令生成装置60、リレー制御装置70、その他の制御装置のそれぞれは、コンピュータ5に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ8に記憶されている。CPU6は、プログラムをストレージ8から読み出してメインメモリ7に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU6は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ7に確保する。
【0035】
ストレージ8の例としては、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ8は、コンピュータ5のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インターフェース9または通信回線を介してコンピュータ5に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ5に配信される場合、配信を受けたコンピュータ5が当該プログラムをメインメモリ7に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ8は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0036】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0037】
本開示のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、種々の省略、種々の置き換え、種々の変更を行ってよい。
【0038】
<付記>
本開示の各実施形態に記載の制御装置(70)、モータ駆動システム(1)、制御方法及びプログラムは、例えば以下のように把握される。
【0039】
(1)第1の態様に係る制御装置(70)は、リレー(305)を切り替えることによって1倍圧または2倍圧を出力可能なコンバータ回路(30)の前記リレーの切り替えを制御する制御装置(70)であって、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受ける受付部(701)と、前記受付部(701)が指令を受けた場合、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定する判定部(702)と、前記判定部(702)が前記所定の条件を満たすと判定した場合に前記リレーを切り替える制御部(703)と、を備える。
【0040】
この制御装置(70)により、制御部(703)は、突入電流の生じ難い状態でリレー(305)を切り替えることができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中に1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えるときの突入電流を低減することができる。
【0041】
(2)第2の態様に係る制御装置(70)は、(1)の制御装置(70)であって、前記判定部(702)は、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が高いと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定するものであってもよい。
【0042】
この制御装置(70)により、判定部(702)は、適切に突入電流の生じ難い状態を特定することができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中の適切なタイミングで1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えることができ、突入電流を低減することができる。
【0043】
(3)第3の態様に係る制御装置(70)は、(2)の制御装置(70)であって、前記判定部(702)は、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が過去の所定期間における平均値とピーク値との間の所定の範囲に入ったと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定するものであってもよい。
【0044】
この制御装置(70)により、判定部(702)は、適切に突入電流の生じ難い状態を特定することができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中の適切なタイミングで1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えることができ、突入電流を低減することができる。
【0045】
(4)第4の態様に係る制御装置(70)は、(3)の制御装置(70)であって、前記判定部(702)は、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が過去の所定期間における平均値とピーク値との間の範囲の上位30パーセントに入ったと判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定するものであってもよい。
【0046】
この制御装置(70)により、判定部(702)は、適切に突入電流の生じ難い状態を特定することができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中の適切なタイミングで1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えることができ、突入電流を低減することができる。
【0047】
(5)第5の態様に係る制御装置(70)は、(2)の制御装置(70)であって、前記判定部(702)は、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が所定のしきい値を超えると判定した場合に前記所定の条件を満たすと判定するものであってもよい。
【0048】
この制御装置(70)により、判定部(702)は、適切に突入電流の生じ難い状態を特定することができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中の適切なタイミングで1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えることができ、突入電流を低減することができる。
【0049】
(6)第6の態様に係るモータ駆動システム(1)は、(1)から(5)の何れかの制御装置(70)と、前記制御装置(70)による制御の下、リレー(305)が切り替わることによって1倍圧または2倍圧を出力可能なコンバータ回路(30)と、を備える。
【0050】
このモータ駆動システム(1)により、モータ駆動システム(1)が備える制御装置(70)でも、制御部(703)は、突入電流の生じ難い状態でリレー(305)を切り替えることができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中に1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えるときの突入電流を低減することができる。
【0051】
(7)第7の態様に係る制御装置(70)による制御方法は、リレー(305)を切り替えることによって1倍圧または2倍圧を出力可能なコンバータ回路(30)の前記リレー(305)の切り替えを制御する制御装置(70)による制御方法であって、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受けることと、指令を受けた場合、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定することと、前記所定の条件を満たすと判定した場合に前記リレー(305)を切り替えることと、を含む。
【0052】
この放電方法により、制御部(703)は、突入電流の生じ難い状態でリレー(305)を切り替えることができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中に1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えるときの突入電流を低減することができる。
【0053】
(8)第8の態様に係るプログラムは、リレー(305)を切り替えることによって1倍圧または2倍圧を出力可能なコンバータ回路(30)の前記リレー(305)の切り替えを制御する制御装置(70)のコンピュータ(5)に、1倍圧か2倍圧かを示す指令を受けることと、指令を受けた場合、前記コンバータ回路(30)の出力電圧が所定の条件を満たすか否かを判定することと、前記所定の条件を満たすと判定した場合に前記リレー(305)を切り替えることと、を実行させる。
【0054】
このプログラムにより、制御部(703)は、突入電流の生じ難い状態でリレー(305)を切り替えることができる。その結果、シングルロータリのコンプレッサを使用する空気調和機において、コンバータ回路(30)の動作中に1倍圧から2倍圧へリレー(305)で切り替えるときの突入電流を低減することができる。
【符号の説明】
【0055】
1・・・モータ駆動システム
5・・・コンピュータ
6・・・CPU
7・・・メインメモリ
8・・・ストレージ
9・・・インターフェース
10・・・コンプレッサモータ
20・・・インバータ装置
30・・・コンバータ装置
40・・・アクティブフィルタ
50・・・交流電源
60・・・指令生成装置
70・・・リレー制御装置
701・・・受付部
702・・・判定部
703・・・制御部