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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】電子時計
(51)【国際特許分類】
   G04C 10/02 20060101AFI20240607BHJP
   G04G 19/00 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
G04C10/02 A
G04G19/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020080768
(22)【出願日】2020-04-30
(65)【公開番号】P2021173732
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000154
【氏名又は名称】弁理士法人はるか国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 剛
(72)【発明者】
【氏名】加藤 明
(72)【発明者】
【氏名】西田 雅俊
【審査官】吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-21888(JP,A)
【文献】特開2014-173921(JP,A)
【文献】特開2019-154103(JP,A)
【文献】国際公開第2007/088777(WO,A1)
【文献】国際公開第2004/066042(WO,A1)
【文献】特開2015-3693(JP,A)
【文献】特開2008-241275(JP,A)
【文献】実開昭53-134876(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G04C 1/00-99/00
G04G 3/00-99/00
G01D 7/00-7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外光を受光することで発電するソーラパネルと、
前記ソーラパネルの発電レベルを判定する発電レベル判定部と、
発電レベル表示と、
前記発電レベル表示の前記発電レベルに応じた位置に移動する指針と、
前記発電レベル表示を指し示す前記指針の下限位置から上限位置までの範囲のうち、前記上限位置に対応する発電レベルを設定する設定部と、
を有し、
前記設定部は、
電子時計の個々の性質に応じて想定される複数の想定発電量のうち選択された想定発電量に応じて、前記上限位置に対応する発電レベルを設定する、
電子時計。
【請求項2】
前記発電レベルのそれぞれが前記指針の位置と対応付けられたテーブルを記憶する記憶部を有し、
前記記憶部は、前記複数の想定発電量のそれぞれに対応する複数の前記テーブルを記憶しており、
前記設定部は、当該電子時計を操作する者により選択された前記想定発電量に対応する前記テーブルに基づいて、前記上限位置に対応する発電レベルを設定する、
請求項1に記載の電子時計。
【請求項3】
前記想定発電量は、文字板の透過率に応じて想定される発電量である、
請求項1又は2に記載の電子時計。
【請求項4】
前記想定発電量は、前記ソーラパネルの性質に応じて想定される発電量である、
請求項1又は2に記載の電子時計。
【請求項5】
複数の検出抵抗と、
前記ソーラパネルと、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、
を有し、
前記発電レベル判定部は、前記ソーラパネルと、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電レベルを判定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項6】
前記複数の検出抵抗の数は、前記発電レベルの数よりも多い、
請求項5に記載の電子時計。
【請求項7】
前記上限位置は30秒を示す位置である、
請求項1~のいずれか1項に記載の電子時計。
【請求項8】
前記設定部は、該設定部により設定された前記上限位置に対応する前記発電レベルに基づいて、前記上限位置以外の位置に対応する前記発電レベルを設定する、
請求項1~のいずれか1項に記載の電子時計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子時計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソーラパネルの発電量のランク数に応じた数の抵抗を含み、それら抵抗に対応するスイッチのオン状態/オフ状態を順次切り替えることにより発電量のランク(発電レベル)を判定する技術を備える電子時計が開示されている。
特許文献2には、ユーザの操作によりソーラパネルの発電量を検出し、発電レベルに対応する発電レベル表示部の位置を指針が指示する技術を備える電子時計が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-177556号公報
【文献】特開2015-175602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1、2に開示される電子時計においては、同じ光量の光が入射された場合であっても、ソーラパネルの受光面側に配置された文字板の透過率やソーラセルの材料や形状等によって、ソーラパネルにおける発電量にばらつきが生じてしまう。例えば、透過率の低い黒文字板を採用する電子時計においては発電量が比較的小さくなる。そのため、発電レベルを表示可能な電子時計においては、高い発電レベルを示しにくくなる、又は高い発電レベルを全く示さないこととなる可能性がある。それにより、発電レベルを指し示す指針の可動範囲が狭くなり、ユーザは発電レベルの変化を認識し難くなる。
【0005】
本発明の目的は、指針の可動範囲が狭くなることを抑制することで発電レベルの変化の視認性を高める電子時計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決すべく本出願において開示される発明は種々の側面を有しており、それら側面の代表的なものの概要は以下の通りである。
【0007】
(1)外光を受光することで発電するソーラパネルと、前記ソーラパネルの発電レベルを判定する発電レベル判定部と、発電レベル表示と、前記発電レベル表示の前記発電レベルに応じた位置に移動する指針と、前記発電レベル表示を指し示す前記指針の下限位置から上限位置までの範囲のうち、前記上限位置に対応する発電レベルを設定する設定部と、を有する電子時計。
【0008】
(2)(1)において、前記設定部は、想定発電量に応じて、前記上限位置に対応する発電レベルを設定する、電子時計。
【0009】
(3)(2)において、前記想定発電量は、文字板の透過率に応じて想定される発電量である、電子時計。
【0010】
(4)(2)において、前記想定発電量は、前記ソーラパネルの性質に応じて想定される発電量である、電子時計。
【0011】
(5)(1)~(4)のいずれかにおいて、複数の検出抵抗と、前記ソーラパネルと、前記複数の検出抵抗のうちの一部である接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える接続制御部と、を有し、前記発電レベル判定部は、前記ソーラパネルと、少なくとも1以上の前記接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、前記発電レベルを判定する、電子時計。
【0012】
(6)(5)において、前記複数の検出抵抗の数は、前記発電レベルの数よりも多い、電子時計。
【0013】
(7)(1)において、前記ソーラパネルと電気的に接続可能に設けられる、少なくとも1以上のコンデンサと、所定の光量の光が照射された前記ソーラパネルから供給される電荷によりチャージされる前記コンデンサのチャージ時間及びディスチャージ時間の少なくとも一方をカウントするカウント部と、を有し、前記設定部は、前記カウント部がカウントした前記チャージ時間及び前記ディスチャージ時間の少なくとも一方に基づいて、前記上限位置に対応する発電レベルを設定する、電子時計。
【0014】
(8)(7)において、前記カウント部は、電子時計の使用時において、前記コンデンサのチャージ量が第1閾値以上となるまでの第1カウント値、及び前記コンデンサのチャージ量が第2閾値以下となるまでの第2カウント値の少なくとも一方をカウントし、発電レベル判定部は、前記第1カウント値及び前記第2カウント値の少なくとも一方に基づいて、前記ソーラパネルの発電レベルを判定する、電子時計。
【0015】
(9)(7)又は(8)において、2以上の前記コンデンサを有し、前記2以上のコンデンサは並列接続されている、電子時計。
【0016】
(10)(9)において、前記2以上のコンデンサのうち1のコンデンサをチャージしている間に、他のコンデンサをディスチャージするよう、前記2以上のコンデンサと前記ソーラパネルとの接続状態を切り替える接続制御部を有する、電子時計。
【0017】
(11)(9)又は(10)において、前記2以上のコンデンサを直列接続に切り替え可能なスイッチを有する、電子時計。
【0018】
(12)(7)~(11)のいずれかにおいて、前記コンデンサに電気的に接続される複数の放電抵抗と、前記コンデンサと前記複数の放電抵抗との接続状態を切り替え可能なスイッチと、を有する、電子時計。
【0019】
(13)(12)において、前記複数の放電抵抗は互いに異なる抵抗値を有する、電子時計。
【0020】
(14)(1)~(13)のいずれかにおいて、前記上限位置は30秒を示す位置である、電子時計。
【0021】
(15)(1)~(14)のいずれかにおいて、前記設定部は、該設定部により設定された前記上限位置に対応する前記発電レベルに基づいて、前記上限位置以外の位置に対応する前記発電レベルを設定する、電子時計。
【0022】
(16)(1)~(15)のいずれかにおいて、前記発電レベルのそれぞれを、前記指針の位置と対応付けて記憶する記憶部を有する、電子時計。
【発明の効果】
【0023】
上記本発明の(1)~(16)の側面によれば、指針の可動範囲が狭くなることを抑制することで発電レベルの変化の視認性を高める電子時計を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】第1実施形態に係る電子時計を示す平面図である。
図2】第1実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。
図3】第1実施形態における発電レベルの表示態様の例を示す平面図である。
図4】第1実施形態における制御回路を示す回路図である。
図5】第1実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図6】第1実施形態の記憶部に記憶されるテーブルの一例を示す図である。
図7】第1実施形態における制御回路の動作を示すフローチャートである。
図8】第2実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。
図9】第2実施形態における制御回路を示す回路図である。
図10】第2実施形態における制御回路を示す回路図である。
図11】第2実施形態における制御回路を示す回路図である。
図12】上限位置に対応する発電レベルの設定処理におけるコンデンサのチャージ量の推移を示すグラフである。
図13】発電レベル判定処理におけるコンデンサのチャージ量の推移を示すグラフである。
図14】第2実施形態における、上限位置に対応する発電レベルの設定処理のフローチャートである。
図15】第2実施形態における、発電レベル判定処理を示すフローチャートである。
図16】第2実施形態の第1変形例における制御回路を示す回路図である。
図17】第2実施形態の第2変形例における制御回路を示す回路図である。
図18】第3実施形態における制御回路を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の各実施形態について図面に基づき詳細に説明する。
【0026】
図1は、第1実施形態に係る電子時計を示す平面図である。図1には、電子時計1の外装ケースである胴10、胴10内に配置された文字板14、時刻を示す指針である時針15、分針16、秒針17が示されている。また、文字板14には所定の位置に時字19が設けられている。また、胴10の12時側及び6時側の側面からは、バンドを固定するためのバンド固定部11が伸びている。また、胴10の3時側の側面にはユーザが種々の操作を行うための操作部であるボタン12、竜頭13が配置されている。ユーザが操作部を操作することにより、電子時計1が備える種々の機能が実行される。
【0027】
また、文字板14には小窓14aが形成されている。文字板14の裏側には、日車が配置されており、日車に表示される日付が小窓14aを介して外部から視認可能となっている。図1においては、「7日」であることを示す数字「7」が小窓14aを介して視認される様子を示している。なお、小窓14aは貫通孔であってもよいし、透明の部材からなるものであってもよい。本実施形態において、小窓14aは3時位置に配置されており、時字19としての機能も兼ねている。
【0028】
また、図1において図示は省略するが、第1実施形態において、文字板14の裏側には、光を受光することで発電するソーラパネル30(後述の図2参照)が配置されている。ソーラパネル30は、胴10内に収容される不図示のムーブメントに組み付けられているとよい。なお、ムーブメントは、駆動機構70(後述の図2参照)、計時機能を担う制御回路40(後述の図2参照)が搭載された時計回路基板等を、地板と呼ばれる枠に一体に組み付けたものである。
【0029】
ソーラパネル30は、文字板14を透過して入射される光により発電する。そのため、文字板14はある程度光を透過する材質で形成される。
【0030】
なお、電子時計1は、標準電波や、GPS(Global Positioning System)衛星などの時刻情報を含む衛星信号を受信して内部時刻を修正する機能を有する電波腕時計であってもよいし、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi(登録商標)、NFCを用いて外部装置とのデータの送受信を行う電波腕時計であってもよい。
【0031】
また、図1に示すように、文字板14には、補助針14bが配置される小窓14cが設けられていてもよい。補助針14bにより、電波の受信状態、タイムゾーン、二次電池60(後述の図2参照)の残量等の、各種の表示が行われるとよい。なお、補助針14bや小窓14cは、電子時計1が備える機能に応じて文字板14に複数設けられていてもよい。
【0032】
なお、図1に示した電子時計1のデザインは一例である。ここで示したもの以外にも、例えば、胴10を丸型でなく角型にしてもよいし、ボタン12や竜頭13の有無、数、配置は任意である。
【0033】
図2は、第1実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。電子時計1は、図1で示した構成に加えて、ソーラパネル30、制御回路40、二次電池60、駆動機構70を含む。
【0034】
制御回路40は、記憶部41と、設定部42と、接続制御部43と、発電レベル判定部44と、検出抵抗回路45とを含む。制御回路40は、メモリを内蔵するマイクロコンピュータであって、メモリに記憶されるプログラムに従って、電子時計1に含まれる各種回路等の動作を制御するものである。
【0035】
記憶部41は、上述のメモリの一部を構成するものであり、後述の発電レベル判定処理を行う際に用いられる種々のテーブル等を記憶しているとよい。
【0036】
設定部42は、秒針17の下限位置から上限位置までの範囲のうち、上限位置に対応する発電レベルを設定する。接続制御部43は、ソーラパネル30と、接続対象抵抗との電気的な接続状態を順次切り替える。発電レベル判定部44は、ソーラパネル30と接続対象抵抗とが電気的に接続された状態で検出される検出電圧に基づいて、ソーラパネル30の発電レベルを判定する。なお、設定部42、接続制御部43、発電レベル判定部44、検出抵抗回路45の詳細については後述することとする。
【0037】
二次電池60は、例えば、リチウムイオン電池等であるとよい。駆動機構70は、各種歯車等を含み、時針15、分針16、秒針17等の指針を駆動する機構である。
【0038】
また、図2に示すように、ソーラパネル30はスイッチ29を介して二次電池60に接続可能に構成されている。制御回路40からの指令によりスイッチ29がソーラパネル30と二次電池60とを電気的に接続する状態において、ソーラパネル30により発電された電力は、二次電池60に供給される。一方で、図2に示すように、制御回路40からの指令によりスイッチ29がソーラパネル30と二次電池60との電気的接続を遮断する状態において、ソーラパネル30が発電しても二次電池60に電力が供給されない。
【0039】
ここで、図3を参照して、第1実施形態に係る電子時計1におけるソーラパネル30の発電レベルの表示態様について説明する。図3は、第1実施形態における発電レベルの表示態様の例を示す平面図である。図3においては、秒針17が発電レベル2(10秒位置)を示している様子を示している。また、他の発電レベルを示した場合の秒針17を破線で表している。なお、発電レベルとは、ソーラパネル30の発電量の大きさを示すものである。
【0040】
第1実施形態に係る電子時計1においては、図3に示すように、秒針17が移動することにより、現在の発電レベルを示す。ここで、秒針17により指し示される時字19は、発電レベル表示として機能している。図3においては、発電レベルが低い順に、0秒、5秒、10秒、15秒、20秒、25秒、30秒を示す位置に秒針17が移動する様子を示している。このような構成を採用することにより、ユーザは、電子時計1が受光しやすい環境にあるか否か、すなわち、ソーラパネル30が発電しやすい環境にあるか否かを、視覚的に認識することができる。また、秒針17を用いて発電レベルを示すことにより、補助針14b等により発電レベルを示す構成と比較して、視認性を高めることができる。なお、秒針17による発電レベルの表示は、例えば、ユーザがボタン12や竜頭13を操作することにより、電子時計1が、時刻表示を行うモードから発電レベル表示モードに切り替わった状態において行われるとよい。
【0041】
また、図3に示すように、文字板14の視認面には、秒針17の移動軌跡と重なると共に、秒針17の移動軌跡に沿うように延びる帯状表示50が設けられている。帯状表示50は、発電レベル表示として機能する。帯状表示50は、0秒側から30秒側(12時側から6時側)に向かうに従い太さが太くなっており、下限位置である0秒側の発電レベルが小さく、上限位置である30秒側の発電レベルが大きいことを示すように配置されている。このような構成を採用することにより、ユーザは、ソーラパネル30が発電しやすい環境にあるか否かを、視覚的に認識しやすくなる。
【0042】
なお、第1実施形態においては、秒針17により指し示されることにより発電レベルを表示する機能を有する発電レベル表示として時字19及び帯状表示50を例に挙げて説明したが、発電レベル表示は少なくとも1つあればよい。
【0043】
次に、電子時計1の使用時における発電レベル判定処理について説明する。発電レベル判定処理は、例えば、2秒間に1回等、任意の時間が経過した毎に定期的に行われてもよいし、ユーザによるボタン12や竜頭13の操作に応じて行われてもよい。
【0044】
発電によりソーラパネル30が出力する電流Iは、ソーラパネル30が受ける光の量により変動する。すなわち、ソーラパネル30が受ける光の量が大きい程、ソーラパネル30が出力する電流Iは大きくなる。
【0045】
発電レベル判定部44は、電流Iが検出抵抗Rに流れることにより検出される検出電圧(I×R)を取得する。そして、接続制御部43により、それぞれ異なる抵抗値を有する検出抵抗Rを、抵抗値が大きいものから順に接続状態としていき、発電レベル判定部44が、検出電圧が所定の閾値よりも大きいか否かを検出する。このように抵抗値が大きい検出抵抗Rから順に接続状態とすることにより、電流値が小さい場合であっても(発電量の小さい環境下においても)、大きな値の検出電圧(I×R)を検出できる。そのため、所定の閾値に対する検出電圧の大小関係が明確となり、容易に発電レベルを判定することができる。
【0046】
ここで、電子時計1においては、同じ光量の光が入射された場合であっても、その個体差等によって、ソーラパネル30における発電量にばらつきが生じてしまう場合がある。電子時計1の個体差とは、例えば、文字板14の透過率の差、ソーラパネル30の材料や形状の差、ソーラパネルを構成するソーラセルの個数や形状の差などが挙げられる。
【0047】
例えば、透過率の低い文字板14を採用する電子時計1においては発電量が小さくなる。そのため、高い発電レベルを示しにくくなる、又は高い発電レベルを全く示さないこととなる可能性がある。高い発電レベルを示すことがないこととなると、秒針17の可動範囲が狭くなり、ユーザは発電量の変化を認識し難くなる。
【0048】
そこで、第1実施形態においては、想定発電量に応じて、秒針17の下限位置から上限位置までの範囲のうち、上限位置に対応する発電レベルを設定する構成を採用した。第1実施形態においては、秒針17の下限位置を0秒を示す位置とし、秒針17の上限位置を30秒を示す位置とした。すなわち、発電レベルを表示する際の秒針17の可動範囲を、0秒位置から30秒位置の間とした。また、第1実施形態においては、発電レベルを0、1、2、3、4、5、6の7段階に分けた。
【0049】
図4は、第1実施形態における制御回路を示す回路図である。なお、図4においては、検出抵抗回路45が制御回路40と同じ基板に組み込まれている例を示すが、これに限られるものではなく、検出抵抗回路45は別途設けられていてもよい。図5は、本実施形態の記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図である。
【0050】
検出抵抗回路45は、並列接続された、それぞれ異なる抵抗値を有する検出抵抗R1~R30を含む。本明細書において、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「検出抵抗R」と呼ぶこととする。第1実施形態においては、検出抵抗R1の抵抗値が最も大きく、検出抵抗R30の抵抗値が最も小さい。そして、検出抵抗R1から検出抵抗R30に向かうにつれて抵抗値が小さくなるように複数の検出抵抗R2~R29を並べて配置した。なお、図4においては、図面が煩雑になるのを避けるため、検出抵抗R等を適宜省略して示している。なお、検出抵抗Rの数は、少なくとも発電レベルの数よりも多いとよい。
【0051】
図4に示すように、検出抵抗R1~R30には、それぞれスイッチSW1~SW30が接続されている。スイッチSW1~SW30も同様に、特に区別して説明する必要がない場合は、単に「スイッチSW」と呼ぶこととする。スイッチSWはそれぞれ、一端が検出抵抗Rに接続されており、他端が接地されている。
【0052】
第1実施形態においては、設定部42が、想定発電量に応じて、30個の検出抵抗Rのうち一部を接続対象抵抗として選択する。具体的には、発電レベルを7段階に分けて、想定発電量に応じて、30個の検出抵抗R1~R30から6個の接続対象抵抗Rt1~Rt6を選択することとした。なお、本明細書において、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「接続対象抵抗Rt」と呼ぶこととする。また、接続対象抵抗Rt1~Rt6に対応するスイッチをそれぞれ、接続対象スイッチSWt1~接続対象スイッチSWt6と呼ぶこととする。同様に、特に区別して説明する必要のない場合は、単に「接続対象スイッチSWt」と呼ぶこととする。
【0053】
第1実施形態において、想定発電量とは、文字板14の透過率、ソーラパネル30の材質や形状、その他電子時計1の個体差に応じて、所定の光量の光を入射させた場合に想定される発電量である。例えば、文字板14が透過率の小さい黒色文字板である場合、想定発電量は小さく、文字板14が透過率の大きい白色文字板である場合、想定発電量は大きい。
【0054】
第1実施形態においては、一例として、文字板14が透過率の小さい黒色文字板である場合、又は文字板14が透過率の大きい白文字板である場合の例について説明する。
【0055】
図5及び図6は、第1実施形態の記憶部が記憶するテーブルの一例を示す図である。具体的には、図5は、想定発電量が大きい場合(文字板14が透過率の大きい白文字板である場合)に用いられるテーブルを示しており、図6は、想定発電量が小さい場合(文字板14が透過率の小さい黒文字板である場合)に用いられるテーブルを示している。
【0056】
図5(a)は、第1実施形態において、想定発電量が大きい場合に用いられる接続対象抵抗の一例を示すテーブルである。図5(b)は、図5(a)に示すテーブルが用いられる場合における、検出電圧、発電レベル、及び秒針位置の関係の一例を示すテーブルである。
【0057】
図6(a)は、第1実施形態において、想定発電量が小さい場合に用いられる接続対象抵抗の一例を示すテーブルである。図6(b)は、図6(a)に示すテーブルが用いられる場合における、検出電圧、発電レベル、及び秒針位置の関係の一例を示すテーブルである。
【0058】
想定発電量が大きい場合、図5(a)に示すように、検出抵抗R5、R10、R15、R20、R25、R30が接続対象抵抗Rt1、Rt2、Rt3、Rt4、Rt5、Rt6として用いられるとよい。また、図5(b)に示すように、設定部42が、秒針17の上限位置である30秒位置に対応する発電レベルを発電レベル6に設定するとよい。また、設定部42が、設定された上限位置に対応する発電レベルに基づいて、上限位置以外の位置に対応する発電レベルを設定するとよい。第1実施形態においては、設定部42が、0秒位置、5秒位置、10秒位置、15秒位置、20秒位置、25秒位置に対応する発電レベルをそれぞれ発電レベル0~5に設定することとした。
【0059】
そして、接続制御部43が、接続対象抵抗Rtに対応する接続対象スイッチSWtを順次切り替える。例えば、接続制御部43は、まず、接続対象抵抗Rtのうち最も抵抗値の大きい接続対象抵抗Rt1に対応する接続対象スイッチSWt1を接続する。そして、発電レベル判定部44は、電流Iが流れることにより接続対象抵抗Rt1において検出される検出電圧が所定の閾値(比較用電圧44aの出力電圧値)よりも大きいか否かを判定する。
【0060】
発電レベル判定部44は、接続対象スイッチSWt1が接続された状態において、所定の閾値よりも小さい検出電圧を検出した場合、発電レベルは0であるとの判定を行う。
【0061】
発電レベル判定部44が、接続対象スイッチSWt1が接続された状態において、所定の閾値以上の検出電圧を検出した場合、接続制御部43が、接続対象スイッチSWt1を非接続にすると共に、接続対象抵抗Rt1よりも抵抗値が小さい接続対象抵抗Rt2に対応する接続対象スイッチSWt2を接続する。そして、発電レベル判定部44は、接続対象抵抗Rt2において検出される検出電圧が所定の閾値(比較用電圧44aの出力電圧値)よりも小さいか否かを判定する。
【0062】
発電レベル判定部44は、接続対象スイッチSWt2が接続された状態において、所定の閾値よりも小さい検出電圧を検出した場合、発電レベルは1であるとの判定を行う。発電レベル判定部44が、接続対象スイッチSWt2が接続された状態において、所定の閾値以上の検出電圧を検出した場合、接続制御部43が、接続対象スイッチSWt2を非接続にすると共に、接続対象抵抗Rt2よりも抵抗値が小さい接続対象抵抗Rt3に対応する接続対象スイッチSWt3を接続する。そして、上述した接続対象スイッチSWt1、SWt2で接続した時と同様の手順で、発電レベル判定部44は、検出電圧が所定の閾値(比較用電圧44aの出力電圧値)よりも大きいか否かを判定する。検出電圧が閾値以上である場合は、SWt6と接続を繰り返し、SWt6で接続した場合においても閾値以上の検出電圧であると判定された場合には、発電レベルは6であるとして判定処理を終わる。
【0063】
なお、接続対象抵抗Rtの数は、検出抵抗Rの数よりも少なく、少なくとも2以上であるとよい。
【0064】
図5に示すテーブルを用いて発電レベル判定処理を行うことにより、図3で示すように、秒針17により各発電レベルを示すことができる。
【0065】
一方、想定発電量が小さい場合、図6(a)に示すように、検出抵抗R5、R7、R9、R11、R13、R15が接続対象抵抗Rt1、Rt2、Rt3、Rt4、Rt5、Rt6として用いられるとよい。また、図6(b)に示すように、設定部42が、秒針17の上限位置である30秒位置に対応する発電レベルを発電レベル3に設定するとよい。また、設定部42が、0秒位置、5秒位置、10秒位置、15秒位置、20秒位置、25秒位置に対応する発電レベルをそれぞれ発電レベル0、0.5、1、1.5、2、2.5に設定するとよい。
【0066】
そして、上記と同様の処理を行うことにより、発電レベル判定処理を行うとよい。
【0067】
図6に示すテーブルを用いて発電レベル判定処理を行うことにより、図5に示すテーブルを用いて発電レベルが3であった場合と同じ光量の光が入射された場合において、秒針17は、上限位置である30秒を示す位置を示すこととなる。
【0068】
第1実施形態においては、設定部42が、図5に示すテーブルを用いるか、図6に示すテーブルを用いるかを選択するとよい。設定部42によるテーブルの選択は、例えば、製造者や販売者が電子時計1の初期設定を行う際に行われるとよい。または、ユーザがボタン12や竜頭13を操作することにより行われてもよい。
【0069】
なお、設定部42によるテーブルの選択は、初期設定時から変更不可としてもよいし、ユーザの操作により変更可能なものであってもよい。初期設定時から変更不可とする場合、検出抵抗Rのうち接続対象抵抗Rtとして用いられない検出抵抗Rは、発電レベル判定処理に用いられることはないため、発電レベル判定部44から不可逆的に電気的に遮断されてもよい。
【0070】
また、設定部42によるテーブルの選択を初期設定時から変更可とする場合、記憶部41は図5及び図6に示すようなテーブルを複数記憶するとよい。一方、設定部42によるテーブルの選択を初期設定時から変更不可とする場合、記憶部41は図5図6に示すテーブルを1パターンのみ記憶するとよい。
【0071】
また、設定部42によるテーブルの選択を初期設定時から変更可とする場合、現在いずれの設定がされている状態であるかを、発電レベル表示を指し示す指針(第1の実施形態においては秒針17)以外の指針を用いて表示する機能を有していてもよい。例えば、時針15、分針16、補助針14b等により、現在の上限位置に対応する発電レベルを表示するとよい。具体的には、現在の上限位置に対応する発電レベルが「3」の場合、分針16が3時位置(15分位置)を示すことにより、現在の上限位置に対応する発電レベルをユーザに認識させるとよい。または、上限位置に対応する発電レベルに応じて複数のモード(例えば、モード1~3)を用意し、補助針14b等により、モード番号を指し示すことにより、現在の上限位置に対応する発電レベルをユーザに認識させてもよい。
【0072】
次に、図7を参照して、第1実施形態における発電レベル判定処理の動作フローについて説明する。図7は、第1実施形態における制御回路の動作を示すフローチャートである。
【0073】
まず、制御回路40は、設定部42により想定発電量に基づいて選択された、記憶部41に記憶されるテーブルを読み出す(ステップS1)。例えば、図5(a)、図5(b)又は図6(a)、図6(b)のいずれかに示すテーブルを読み出すとよい。
【0074】
次に、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、最も抵抗値の大きい接続対象抵抗Rt1を接続状態とする(ステップS2)。
【0075】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt1と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt1?)する(ステップS3)。検出電圧I×Rt1が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS3のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル0であるとの判定がされる(ステップS4)。
【0076】
検出電圧I×Rt1が所定の閾値以上である場合(ステップS3のYES)、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、接続対象抵抗Rt1の次に抵抗値の小さい接続対象抵抗Rt2を接続状態とする(ステップS5)。
【0077】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt2と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt2?)する(ステップS6)。検出電圧I×Rt2が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS6のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル1であるとの判定がされる(ステップS7)。
【0078】
検出電圧I×Rt2が所定の閾値以上である場合(ステップS6のYES)、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、接続対象抵抗Rt2の次に抵抗値の小さい接続対象抵抗Rt3を接続状態とする(ステップS8)。
【0079】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt3と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt3?)する(ステップS9)。検出電圧I×Rt3が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS9のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル2であるとの判定がされる(ステップS10)。
【0080】
検出電圧I×Rt3が所定の閾値以上である場合(ステップS9のYES)、接続制御部43により、スイッチSWを切り替え、接続対象抵抗Rt3の次に抵抗値の小さい接続対象抵抗Rt4を接続状態とする(ステップS11)。
【0081】
そして、発電レベル判定部44により、検出電圧I×Rt4と所定の閾値Vthとを比較(Vth≦IRt4?)する(ステップS12)。検出電圧I×Rt4が所定の閾値Vthよりも小さい場合(ステップS12のNO)、発電レベル判定部44により、発電レベル3であるとの判定がされる(ステップS13)。
【0082】
上記と同様の処理を接続対象抵抗Rt5~Rt6についても順次同様に行うとよい。
【0083】
また、制御回路40は、発電レベル判定処理の結果に基づいて駆動機構70を動作させることにより、秒針17を対応した秒針位置まで移動させるとよい。
【0084】
なお、接続状態とする接続対象抵抗Rtの順番は、図7で説明したものに限られるものではない。例えば、抵抗値の小さいものから順に接続してもよいし、抵抗値が中間値である接続対象抵抗Rtを接続して判定し、判定結果に応じて接続対象抵抗Rtの抵抗値を小さくしていく又は大きくしていくように接続状態を切り替えてもよい。いずれの場合においても、検出電圧が所定の閾値よりも小さくなった又は所定の閾値以上となった際に接続状態にある検出抵抗Rに基づいて、発電レベルの判定が行われるとよい。
【0085】
以上説明したように、第1実施形態においては、電子時計1の個体差に関わらず、秒針17の可動範囲を大きくすることにより発電レベルの変化の視認性を高めことができる。すなわち、秒針17の可動範囲が狭くなることを抑制することで発電レベルの変化の視認性を高めることができる。
【0086】
なお、第1実施形態においては、ソーラパネル30に入射されると想定される最大の光量を当てた場合における発電レベルが6であり、それに満たない場合、上限位置に対応する発電レベルを6よりも小さくする例について説明した。具体的には、上限位置に対応する発電レベルを3とする例について説明した。しかしながら、これに限らず、ソーラパネル30に入射されると想定される最大の光量よりも大きな光量の光が当たった場合を考慮して、第1実施形態の場合において、例えば、上限位置に対応する発電レベルを4としてもよい。
【0087】
次に、図8図15を参照して、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の電子時計1の基本的な構成は、図1で示したものと同様とする。また、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、発電レベルを表示する際の秒針17の可動範囲は0秒~30秒を示す位置とする。なお、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0088】
図8は、第2実施形態に係る電子時計のシステム構成の概要を示すブロック図である。図9図11は、第2実施形態における制御回路を示す回路図である。図9においては、ソーラパネルから二次電池に電流が供給されている様子を示している。図10においては、ソーラパネルから供給される電流がコンデンサにチャージされている様子を示している。図11においては、コンデンサに蓄えられた電荷がディスチャージされている様子を示している。図12は、上限位置に対応する発電レベルの設定処理におけるコンデンサのチャージ量の推移を示すグラフである。図13は、発電レベルの設定処理におけるコンデンサのチャージ量の推移を示すグラフである。図14は、第2実施形態における、上限位置に対応する発電レベルの設定処理のフローチャートである。図15は、第2実施形態における、発電レベル判定処理を示すフローチャートである。
【0089】
図8に示すように、第2実施形態において、制御回路140は、容量回路46と、カウント部47と、チャージ量検出回路42aとを含む。容量回路46は、少なくともコンデンサCを含む回路である。図9に示すように、容量回路46に含まれるコンデンサCは、制御回路140に対して外付けされているとよい。カウント部47は、コンデンサCのチャージ時間及びディスチャージ時間をカウントする。チャージ量検出回路42aは、コンデンサCのチャージ量を検出する。
【0090】
また、図9に示すように、容量回路46は、コンデンサCと、放電抵抗Rdと、スイッチSWc1と、スイッチSWc2とを含む。また、制御回路140は、スイッチ29aと、スイッチ29bとを含む。接続制御部43(図9においては不図示)は、スイッチSWc1、スイッチSWc2、スイッチ29a、スイッチ29bの接続/非接続を切り替える。
【0091】
図9においては、ソーラパネル30から二次電池60に電流Iが供給されることにより(図9の太矢印参照)、二次電池60が充電されている様子を示している。この際、接続制御部43は、スイッチ29a及びスイッチ29bを接続状態とすると共に、スイッチSWc1及びスイッチSWc2を非接続状態としている。
【0092】
図10は、ソーラパネル30から供給される電流により(図10の太矢印参照)、コンデンサCがチャージされている様子を示している。この際、接続制御部43は、スイッチ29a及びスイッチSWc1を接続状態とすると共に、スイッチ29b及びスイッチSWc2を非接続状態としている。各スイッチを図10に示す状態とすることにより、ソーラパネル30からの電流IはコンデンサCへと流れ、コンデンサCに電荷が溜まる。
【0093】
図11は、コンデンサCに溜まった電荷が放電されている様子を示している(図11の太矢印参照)。この際、接続制御部43は、スイッチSWc1及びスイッチSWc2を接続状態とすると共に、スイッチ29a及びスイッチ29bを非接続状態としている。各スイッチを図11に示す状態とすることにより、コンデンサCに溜まった電荷は放電抵抗Rdにおいて放電される。
【0094】
第2実施形態においては、カウント部47が、ソーラパネル30に所定の光量の光を照射した場合における、コンデンサCのチャージ時間及びディスチャージ時間をカウントする。そして、設定部42が、カウント部47によりカウントされたカウント値を取得し、取得したカウント値に基づいて、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを設定する。
【0095】
まず、各スイッチを図10に示す状態とすると共に、所定の光量の光をソーラパネル30に照射する。それにより、コンデンサCに電荷がチャージされる。図12に示すように、チャージ期間において、コンデンサCのチャージ量は増加する。チャージ量検出回路42aが検出したチャージ量が、予め決められた閾値Fth1以上となったタイミングにおいてチャージ期間を終了する。
【0096】
そして、各スイッチを図11に示す状態とする。それにより、コンデンサCの電荷がディスチャージされる。図12に示すように、ディスチャージ期間において、コンデンサCのチャージ量は減少する。チャージ量検出回路42aが検出したチャージ量が、予め決められた閾値Fth2以下となったタイミングにおいてディスチャージ期間を終了する。
【0097】
カウント部47は、コンデンサCのチャージ開始からディスチャージ終了までの時間をカウントする。図12においては、コンデンサCのディスチャージ開始からディスチャージ終了までの時間が、時間Tであった場合の例を示している。時間Tは、カウント値に対応する時間である。
【0098】
設定部42は、カウント部47におけるカウント値に基づいて、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを設定する。例えば、カウント値が大きい場合、コンデンサCのチャージ開始からディスチャージ終了までの時間が長く、発電量は小さい。一方、カウント値が小さい場合、コンデンサCのディスチャージ開始からディスチャージ終了までの時間が短く、発電量は大きい。
【0099】
そのため、設定部42は、カウント値が大きい場合、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを小さくするとよい。例えば、設定部42は、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを3とするとよい。すなわち、発電レベル判定処理において、発電レベルが3の場合に、秒針17が30秒を示すとよい。
【0100】
設定部42は、カウント値が小さい場合、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを大きくするとよい。例えば、設定部42は、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを6とするとよい。すなわち、発電レベル判定処理において、発電レベルが6の場合に、秒針17が30秒を示すとよい。
【0101】
上記の上限位置に対応する発電レベルの設定処理は、例えば、電子時計1の出荷前に行われるとよい。そして、電子時計1は、秒針17の上限位置に対応する発電レベルの設定がされた状態で出荷されるとよい。
【0102】
第2実施形態においては、発電レベル判定部44は、ディスチャージ開始からディスチャージ終了までの時間(カウント値)に基づいて、発電レベルを判定する。図13においては、チャージ期間を所定の期間として、チャージ期間が終了した後に、ディスチャージ期間を開始し、チャージ量検出回路42aが検出したチャージ量が所定の閾値Fth3以下となった場合に、ディスチャージ期間を終了する例について示している。
【0103】
例えば、図13に示すように、ディスチャージ期間においてチャージ量が所定の閾値Fth3以下となった際に、カウント値がt6以上の場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは6であると判定するとよい。また、カウント値がt5以上であってt6より小さい場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは5であると判定するとよい。カウント値がt4以上であってt5より小さい場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは4であると判定するとよい。カウント値がt3以上であってt4より小さい場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは3であると判定するとよい。カウント値がt2以上であってt3より小さい場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは2であると判定するとよい。カウント値がt1以上であってt2より小さい場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは1であると判定するとよい。また、カウント値がt1よりも小さい場合、発電レベル判定部44は、発電レベルは0であると判定するとよい。
【0104】
図14は、第2実施形態における、上限位置に対応する発電レベルの設定処理のフローチャートを示す。
【0105】
まず、接続制御部43が、ソーラパネル30とコンデンサCとが接続状態となるように(図10参照)、各スイッチを切り替える(ステップS141)。次に、カウント部47がカウントを開始する(ステップS142)。
【0106】
カウント部47によるカウントを開始後、コンデンサCのチャージ量が所定の閾値Fth1以上となった場合(ステップS143のYES)、接続制御部43が、コンデンサCと放電抵抗Rdとが接続状態となるように(図11参照)、各スイッチを切り替える(ステップS144)。
【0107】
そして、コンデンサCのチャージ量が所定の閾値Fth2以下となった場合(ステップS145のYES)、設定部42がカウント部47におけるカウント値を取得する(ステップS146)。設定部42は、取得したカウント値に基づいて、上限位置に対応する発電レベルを設定する(ステップS147)。
【0108】
図15は、第2実施形態における、発電レベル判定処理を示すフローチャートである。
【0109】
まず、接続制御部43が、ソーラパネル30とコンデンサCとが接続状態となるように(図10参照)、各スイッチを切り替える(ステップS151)。次に、カウント部47がカウントを開始する(ステップS152)。
【0110】
カウント部47によるカウント値が所定の値T0以上となった場合(ステップS153のYES)、接続制御部43が、コンデンサCと放電抵抗Rdとが接続状態となるように(図11参照)、各スイッチを切り替える(ステップS154)。
【0111】
そして、コンデンサCのチャージ量が所定の閾値Fth3以下となった場合(ステップS155)、発電レベル判定部44は、カウント部47におけるカウント値を取得する(ステップS156)。発電レベル判定部44は、取得したカウント値に基づいて、発電レベルを判定する(ステップS157)。
【0112】
なお、第2実施形態においては、カウント部47が、コンデンサCのチャージ時間及びディスチャージ時間をカウントする例について説明したが、これに限られず、チャージ時間又はディスチャージ時間のいずれか一方をカウントするものであってもよい。例えば、カウント部47がコンデンサCのチャージ時間のみカウントする場合、チャージ時間であるカウント値に基づいて、秒針17の上限位置に対応する発電レベルを設定するとよい。
【0113】
第2実施形態においては、複数の検出抵抗Rを含む検出抵抗回路45を備える第1実施形態の構成を比較して、回路を小型化することが可能となる。特に、図9に示すように、容量回路46を制御回路140に対して外付けする構成を採用することにより、制御回路140を小型化することが可能となる。
【0114】
次に、図16を参照して、第2実施形態の第1変形例について説明する。図16は、第2実施形態の第1変形例における制御回路を示す回路図である。なお、第2実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0115】
また、図16に示すように、容量回路146は、コンデンサC1と、コンデンサC2と、放電抵抗Rdと、スイッチSWc11と、スイッチSWc12と、スイッチSWc13と、スイッチSWc14と、スイッチSWc15とを含む。コンデンサC1とコンデンサC2は、接続制御部43(図16において不図示)により、スイッチSWc11~SWc15が切り替えられることにより、放電抵抗Rdに接続可能に設けられている。
【0116】
また、コンデンサC1とコンデンサC2とは、並列接続されている。コンデンサC1とコンデンサC2は、第2実施形態で説明したコンデンサCと同じ機能を有する。すなわち、コンデンサC1とコンデンサC2は、上限位置に対応する発電レベルの設定処理、及び発電レベル判定処理において用いられる。
【0117】
第2実施形態の第1変形例においては、上限位置に対応する発電レベルの設定処理、及び発電レベル判定処理を行う際に、コンデンサC1とコンデンサC2のいずれか一方のみを使用してもよいし、両方を使用してもよい。コンデンサC1とコンデンサC2の両方を使用することにより、容量を増加させることができる。また、コンデンサC1とコンデンサC2のいずれか一方をチャージしている間に、いずれか他方をディスチャージすることにより、上限位置に対応する発電レベルの設定処理、及び発電レベル判定処理における処理時間を短縮することができる。
【0118】
具体的には、コンデンサC1をチャージしている間にコンデンサC2をディスチャージする場合、スイッチSWc11、スイッチSWc14、スイッチSWc15を接続状態とし、スイッチSWc12、スイッチSWc13を非接続状態とするとよい。また、コンデンサC2をチャージしている間にコンデンサC1をディスチャージする場合、スイッチSWc12、スイッチSWc13、スイッチSWc15を接続状態とし、スイッチSWc11、スイッチSWc14を非接続状態とするとよい。
【0119】
次に、図17を参照して、第2実施形態の第2変形例について説明する。図17は、第2実施形態の第2変形例における制御回路を示す回路図である。なお、第2実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0120】
図17に示すように、容量回路246は、コンデンサC21と、コンデンサC22と、放電抵抗Rdと、スイッチSWc21と、スイッチSWc22と、スイッチSWc23と、スイッチSWc24と、スイッチSWc25と、スイッチSWc2とを含む。コンデンサC21とコンデンサC22は、接続制御部43(図17において不図示)により、スイッチSWc21、スイッチSWc22、スイッチSWc23、スイッチSWc24、及びスイッチSWc25が切り替えられることにより、互いに直列接続又は並列接続可能に設けられており、また、コンデンサC21とコンデンサC22は、放電抵抗Rdに接続可能に設けられている。
【0121】
コンデンサC21とコンデンサC22は、第2実施形態で説明したコンデンサCと同じ機能を有する。すなわち、コンデンサC21とコンデンサC22は、上限位置に対応する発電レベルの設定処理、及び発電レベル判定処理において用いられる。
【0122】
第2実施形態の第1変形例においては、上限位置に対応する発電レベルの設定処理、及び発電レベル判定処理を行う際に、コンデンサC21とコンデンサC22のいずれか一方のみを使用してもよいし、両方を使用してもよい。また、コンデンサC21とコンデンサC22とを両方使用する場合に、それらを直列接続、並列接続のいずれの接続状態でも使用することができる。コンデンサC21とコンデンサC22とを並列接続とすることで、容量を増加させることができる。コンデンサC21とコンデンサC22とを直列接続とすることで容量を減少させ、かつ、耐圧を向上することができる。
【0123】
例えば、コンデンサC21のみを使用する場合、スイッチSWc21とスイッチSWc22を接続状態とし、スイッチSWc23、スイッチSWc24、及びスイッチSWc25を非接続状態とするとよい。
【0124】
また、コンデンサC22のみを使用する場合、スイッチSWc24とスイッチSWc25を接続状態とし、スイッチSWc21、スイッチSWc22、及びスイッチSWc23を非接続状態とするとよい。
【0125】
また、コンデンサC21及びコンデンサC22を直列接続で使用する場合、スイッチSWc21とスイッチSWc23とスイッチSWc25を接続状態とし、スイッチSWc22及びスイッチSWc24を非接続状態とするとよい。
【0126】
また、コンデンサC21及びコンデンサC22を並列接続で使用する場合、スイッチSWc21、スイッチSWc22、スイッチSWc24、及びスイッチSWc25を接続状態とし、スイッチSWc23を非接続状態とするとよい。
【0127】
なお、第2実施形態の第1変形例及び第2変形例においては、コンデンサが2つ設けられる例について示したが、これに限られず、コンデンサは3つ以上設けられていてもよい。
【0128】
次に、図18を参照して、第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の電子時計1の基本的な構成は、図1で示したものと同様とする。また、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、発電レベルを表示する際の秒針17の可動範囲は0秒~30秒を示す位置とする。なお、第1実施形態で説明した構成と同様の構成については、同じ符号を用いてその説明は省略する。
【0129】
図18に示すように、制御回路340は、複数の放電抵抗Rd1~Rdn(nは2以上の自然数)と、複数の放電抵抗Rd1~Rdnにそれぞれ接続されるスイッチSWc31~SWc3n(nは2以上の自然数)とを含む。
【0130】
複数の放電抵抗は、互いに異なる抵抗値を有するとよい。スイッチSWc31~SWc3nは、接続制御部43(図18においては不図示)により接続状態が切り替えられる。例えば、放電抵抗Rd1に、コンデンサCに溜まった電荷を放電する場合、スイッチSWc31を接続状態とし、スイッチSWc32~SWc3nを非接続状態とするとよい。
【0131】
第3実施形態においては、抵抗値の異なる複数の放電抵抗のうちいずれか1つ又は複数の放電抵抗を使用することにより、ディスチャージ期間を可変にすることが可能となる。
例えば、発電量が小さく、チャージ量が少ない場合、抵抗値の大きい放電抵抗を用いることにより、ディスチャージ期間を長くするとよい。これにより、チャージ量が少ない場合においても、精度高くレベル判定をすることができる。一方、発電量が大きく、チャージ量が多い場合、抵抗値の小さい放電抵抗を用いることにより、ディスチャージ期間を短くするとよい。これにより、レベル判定に要する時間を短くすることができる。
【0132】
なお、複数の放電抵抗Rd1~Rdnには、抵抗値が同じ放電抵抗が含まれていてもよい。その場合、接続制御部43により、複数の放電抵抗Rd1~Rdnの合成抵抗が互いに異なるように、スイッチSWc32~SWc3nの接続状態が切り替えられるとよい。
【0133】
上記各実施形態及び変形例においては、秒針17の可動範囲の下限位置を0秒、上限位置を30秒とした例について説明したが、これに限られるものではない。また、発電レベルを指し示す指針は秒針17に限られるものでもない。
【0134】
以上、本発明に係る実施形態及びその変形例について説明したが、この実施形態に示した具体的な構成は一例として示したものであり、本発明の技術的範囲をこれに限定することは意図されていない。当業者は、これら開示された実施形態を適宜変形してもよく、本明細書にて開示される発明の技術的範囲は、そのようになされた変形をも含むものと理解すべきである。
【符号の説明】
【0135】
1 電子時計、10 胴、11 バンド固定部、12 ボタン、13 竜頭、14 文字板、14a 窓、14b 補助針、14c 小窓、15 時針、16 分針、17 秒針、29,29a,29b スイッチ、30 ソーラパネル、40,140,340 制御回路、41 記憶部、42 設定部、42a チャージ量検出回路、43 接続制御部、44 発電レベル判定部、45 検出抵抗回路、46,146,246 容量回路、50 帯状表示、60 二次電池、70 駆動機構、R 検出抵抗、Rt 接続対象抵抗、Rd 放電抵抗、SWc1,SWc2 スイッチ、SWt 接続対象スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18