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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】乗降支援案内システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240607BHJP
   B61L 25/02 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
G06Q50/40
B61L25/02 A
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020084743
(22)【出願日】2020-05-13
(65)【公開番号】P2021179802
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白井 稔人
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 崇人
(72)【発明者】
【氏名】中村 泰之
(72)【発明者】
【氏名】須藤 紗葵
(72)【発明者】
【氏名】川崎 栄嗣
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-149921(JP,A)
【文献】特開2019-014368(JP,A)
【文献】特開2021-026456(JP,A)
【文献】国際公開第2020/045556(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B61L 25/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定まった経路を移動する移動体の利用者から監視カメラが撮影した画像により要支援者を検知し、読取装置により読み取られた前記要支援者が移動体に乗るための券に記録された情報と前記要支援者が過去に移動体に乗降した場所及び時刻の記録とに基づいて取得した前記要支援者の乗降情報に基づいた前記経路の乗降予定場所に配置された管理者用端末装置に前記乗降情報を含む要支援者情報を送信する
乗降支援案内システム。
【請求項2】
定まった経路を移動する移動体の利用者から監視カメラが撮影した画像により要支援者を検知し、前記要支援者が過去に移動体に乗降した場所及び時刻の記録に基づき特定した前記要支援者の乗降予定場所を含む乗降情報に基づいた前記経路の乗降予定場所に配置された管理者用端末装置及び前記要支援者が乗った移動体内の乗務員用端末装置に前記乗降情報を含む要支援者情報を送信する
乗降支援案内システム。
【請求項3】
前記乗降情報は、外部のシステムから取得した移動体の運行情報に基づき特定した、前記要支援者が移動体から降りる予定の時刻を含む
請求項1又は2に記載の乗降支援案内システム。
【請求項4】
前記券に記録された情報を前記読取装置に読み取る際に前記監視カメラが撮影した利用者の画像から前記要支援者を検知し、前記読取装置が読み取った情報に基づき前記要支援者の乗降予定場所を特定する
請求項1に記載の乗降支援案内システム。
【請求項5】
移動体に設置されている監視カメラが撮影した画像から前記要支援者を検知する
請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項6】
前記監視カメラが停止中の移動体のドアを撮影した画像から、当該移動体又は当該ドアを識別する
請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項7】
前記ドアを撮影した画像に含まれる一次元コード又は二次元コードを復号して、移動体又はドアを識別する
請求項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項8】
前記要支援者の乗降場所の管理者用端末装置及び前記要支援者が乗降する移動体の乗務員用端末装置の一方に対する操作に応じて他方に対し、前記要支援者の乗降の開始又は完了を通知する
請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項9】
前記要支援者の乗降場所の管理者用端末装置及び前記要支援者が乗降する移動体の乗務員用端末装置の少なくとも一方に、複数の移動体の候補の中から前記要支援者が乗降する移動体を選択する操作及び複数のドアの候補の中から前記要支援者が乗降に用いるドアを選択する操作の少なくとも一方を受け付ける画面を表示させる
請求項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項10】
前記要支援者に関する互いに矛盾する2つの情報を取得した場合、当該2つの情報のうち遅い時刻に取得した情報を正しい情報として用いる
請求項1乃至のいずれか1項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項11】
前記要支援者に関する互いに矛盾する2つの情報を取得し、当該2つの情報のうち一方が移動体の利用者又は管理者により入力された情報である場合、当該2つの情報のうち移動体の利用者又は管理者により入力された情報を正しい情報として用いる
請求項1乃至1のいずれか1項に記載の乗降支援案内システム。
【請求項12】
定まった経路を移動する移動体の利用者から複数の要支援者を検知した場合、前記経路の乗降予定場所に配置された管理者用端末装置に対する管理者の操作に応じて、当該複数の要支援者の間に優先順位を付ける
請求項1乃至1のいずれか1項に記載の乗降支援案内システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、支援を要する移動体の利用者に速やかな支援を提供可能とする技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、身体障がい者や高齢者等が列車等の移動体を利用する際、移動体への乗降等において介助者の支援を要する場合がある。そのような場合、利用者は駅員等の介助者を見つけ、必要な支援を依頼する必要がある。移動体によるサービスの提供者には、利用者へのサービス向上のため、支援を必要とする利用者からのリクエストを待つのではなく、支援の必要な利用者を自ら検知し、必要な利用者に速やかに支援を提供したい、というニーズがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、上記のようなニーズを満たすための技術として、支援を要する利用者が列車に乗車すると、その利用者の降車駅の駅員に、その利用者の到着時刻や必要な支援の内容等が通知される仕組みが提案されている。特許文献1に記載の仕組みにおいては、列車のドア付近に設置されたRFIDタグから、利用者の携帯端末に車両番号等のID情報を送信される。利用者の携帯端末は、RFIDタグから受信したID情報と、利用者が必要とする支援の内容を示す情報、降車駅を示す情報等を通信センターに送信する。通信センターは、携帯端末から受信した情報に基づき、その利用者の降車駅の駅員に、どのような支援を必要とする利用者がいつ、到着するかを通知する。そのため、降車駅の駅員は、支援を必要とする利用者が乗車している列車が降車駅に到着した際、速やかにその利用者を支援することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-42239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の仕組みによる場合、利用者は予めサービスを利用するための登録作業を行い、また、RFIDタグからID情報を受信し、ID情報を含む情報を通信センターに送信するプログラムをインストールした携帯端末を携帯する必要がある。従って、携帯端末の設定等の作業に不案内な利用者は気軽に利用できない。また、携帯端末を携帯し忘れるとサービスを受けることができない。そのため、支援を必要とする人にあまねく同等の支援を提供することができない、という問題がある。
【0006】
上述の事情に鑑み、本発明は、列車等の定まった経路を移動する移動体の利用者のうち支援を必要とする利用者に対し、利用者を煩わせることなく、移動体の管理者がスムーズに支援を提供することを可能とする手段を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、定まった経路を移動する移動体の利用者から監視カメラが撮影した画像により要支援者を検知し、読取装置により読み取られた前記要支援者が移動体に乗るための券に記録された情報と前記要支援者が過去に移動体に乗降した場所及び時刻の記録とに基づいて取得した前記要支援者の乗降情報に基づいた前記経路の乗降予定場所に配置された管理者用端末装置に前記乗降情報を含む要支援者情報を送信する乗降支援案内システムを第1の態様として提案する。
【0008】
第1の態様に係る乗降支援案内システムによれば、定まった経路を移動する移動体を利用する要支援者の乗降予定場所にいる移動体の管理者は、スムーズに要支援者を支援できる。
また、要支援者が移動体に乗降する場所が乗降支援案内システムに入力等されなくても、高い確率で要支援者が移動体に乗降する場所が正しく特定されるため、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
また、要支援者が移動体に乗るための券に記録された情報を用いない場合と比較し、高い確率で要支援者が移動体に乗降する場所が正しく特定されるため、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0009】
本発明は、定まった経路を移動する移動体の利用者から監視カメラが撮影した画像により要支援者を検知し、前記要支援者が過去に移動体に乗降した場所及び時刻の記録に基づき特定した前記要支援者の乗降予定場所を含む乗降情報に基づいた前記経路の乗降予定場所に配置された管理者用端末装置及び前記要支援者が乗った移動体内の乗務員用端末装置に前記乗降情報を含む要支援者情報を送信する乗降支援案内システムを第2の態様として提案する
【0010】
第2の態様に係る乗降支援案内システムによれば、定まった経路を移動する移動体を利用する要支援者の乗降予定場所にいる移動体の管理者は、スムーズに要支援者を支援できる。
また、要支援者が乗った移動体の乗務員はスムーズに要支援者を支援できる。
また、要支援者が移動体に乗降する場所が乗降支援案内システムに入力等されなくても、高い確率で要支援者が移動体に乗降する場所が正しく特定されるため、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0011】
第1又は第2の態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記乗降情報は、外部のシステムから取得した移動体の運行情報に基づき特定した、前記要支援者が移動体から降りる予定の時刻を含む、という構成が第3の態様として採用されてもよい。
【0012】
第3の態様に係る乗降支援案内システムによれば、移動体の運行に遅延等が生じても、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0015】
1の態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記券に記録された情報を前記読取装置に読み取る際に監視カメラが撮影した利用者の画像から前記要支援者を検知し、前記読取装置が読み取った情報に基づき前記要支援者の乗降予定場所を特定する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0016】
の態様に係る乗降支援案内システムによれば、要支援者が移動体に乗るための券に記録された情報を用いない場合と比較し、高い確率で要支援者が移動体に乗降する場所が正しく特定されるため、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0019】
第1乃至第のいずれかの態様に係る乗降支援案内システムにおいて、移動体に設置されている監視カメラが撮影した画像から前記要支援者を検知する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0020】
の態様に係る乗降支援案内システムによれば、乗客が移動体に乗降する場所に監視カメラを設置することができない場合や、乗降する場所が乗客で混み合い、その場所の画像から要支援者を検知することが困難な場合であっても、要支援者が検知される。その結果、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0021】
第1乃至第のいずれかの態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記監視カメラが停止中の移動体のドアを撮影した画像から、当該移動体又は当該ドアを識別する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0022】
の態様に係る乗降支援案内システムによれば、要支援者が乗降する移動体又はその移動体のドアが確実に特定されるため、管理者等は要支援者が乗降する移動体を取り違えたり、要支援者が移動体に乗降する場所を取り違えたりすることがない。その結果、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0023】
の態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記ドアを撮影した画像に含まれる一次元コード又は二次元コードを復号して、移動体又はドアを識別する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0024】
の態様に係る乗降支援案内システムによれば、例えば、一次元コード又は二次元コードに代えて文字や記号等が用いられる場合と比較し、移動体又はそのドアを誤認識する危険性が低い。その結果、管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0025】
第1乃至第のいずれかの態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記要支援者の乗降場所の管理者用端末装置及び前記要支援者が乗降する移動体の乗務員用端末装置の一方に対する操作に応じて他方に対し、前記要支援者の乗降の開始又は完了を通知する、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0026】
の態様に係る乗降支援案内システムによれば、要支援者は確実に自分が移動体に乗降する場所で支援を受けることができる。
【0027】
の態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記要支援者の乗降場所の管理者用端末装置及び前記要支援者が乗降する移動体の乗務員用端末装置の少なくとも一方に、複数の移動体の候補の中から前記要支援者が乗降する移動体を選択する操作及び複数のドアの候補の中から前記要支援者が乗降に用いるドアを選択する操作の少なくとも一方を受け付ける画面を表示させる、という構成が第の態様として採用されてもよい。
【0028】
の態様に係る乗降支援案内システムによれば、管理者又は乗務員の操作により要支援者が移動体に乗降する場所が入力されるため、その入力を行った管理者又は乗務員とは異なる管理者又は乗務員は、要支援者が乗降する移動体やその移動体における要支援者の位置を誤ることなく、要支援者をスムーズに支援できる。
【0029】
第1乃至第のいずれかの態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記要支援者
に関する互いに矛盾する2つの情報を取得した場合、当該2つの情報のうち遅い時刻に取得した情報を正しい情報として用いる、という構成が第1の態様として採用されてもよい。
【0030】
第1の態様に係る乗降支援案内システムによれば、相矛盾する情報のうち古い情報に基づき要支援者が移動体に乗降する場所が特定される場合と比較し、高い確率で管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0031】
第1乃至第1のいずれかの態様に係る乗降支援案内システムにおいて、前記要支援者に関する互いに矛盾する2つの情報を取得し、当該2つの情報のうち一方が移動体の利用者又は管理者により入力された情報である場合、当該2つの情報のうち移動体の利用者又は管理者により入力された情報を正しい情報として用いる、という構成が第1の態様として採用されてもよい。
【0032】
第1の態様に係る乗降支援案内システムによれば、相矛盾する情報のうち人間が入力していない情報に基づき要支援者が移動体に乗降する場所が特定される場合と比較し、高い確率で管理者等はスムーズに要支援者を支援できる。
【0033】
第1乃至第1のいずれかの態様に係る乗降支援案内システムにおいて、定まった経路を移動する移動体の利用者から複数の要支援者を検知した場合、前記経路の乗降予定場所に配置された管理者用端末装置に対する管理者の操作に応じて、当該複数の要支援者の間に優先順位を付ける、という構成が第1の態様として採用されてもよい。
【0034】
第1の態様に係る乗降支援案内システムによれば、支援の必要性が異なる複数の要支援者がいる場合、より支援の必要性が高い要支援者に対し優先的に支援が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】一実施形態に係る乗降支援案内システムの全体構成を模式的に示した図。
図2】一実施形態に係る二次元コードが列車のドアの近傍に配置されている様子を例示した図。
図3】一実施形態に係る要支援者テーブルのデータ構成を例示した図。
図4】一実施形態に係る要支援者検知ログテーブルのデータ構成を例示した図。
図5】一実施形態に係る乗車券情報テーブルのデータ構成を例示した図。
図6】一実施形態に係る監視カメラテーブルのデータ構成を例示した図。
図7】一実施形態に係る端末装置テーブルのデータ構成を例示した図。
図8】一実施形態に係るサーバ装置の機能構成を模式的に示した図。
図9】一実施形態に係る要支援者情報通知画面を例示した図。
図10】一実施形態に係る要支援者情報入力画面を例示した図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[実施形態]
以下に、本発明の一実施形態に係る乗降支援案内システム1を説明する。図1は乗降支援案内システム1の全体構成を模式的に示した図である。この例における乗降支援案内システム1は、列車(定まった経路を移動する移動体の一例)の利用者のうち何らかの支援が必要な人物(以下、要支援者という)に対し駅員(管理者の一例)及び列車の乗務員がスムーズに支援を行えるように、それらの駅員及び乗務員に案内を行うシステムである。
【0037】
図1には、利用者が列車に乗降する場所の例として、駅Aと駅Bが示されている。以下の説明においては、要支援者Pが駅Aで列車9に乗車し、駅Bで列車9から降車する場合に、乗降支援案内システム1が駅Aの駅員X、列車9の乗務員Y、及び、駅Bの駅員Zに対し案内を行う状況を想定する。
【0038】
乗降支援案内システム1は、まず、サーバ装置11及びサーバ装置12を備える。サーバ装置11は、駅員X、乗務員Y、駅員Zが使用する端末装置(後述)に対し要支援者情報を送信するサーバ装置である。要支援者情報とは、要支援者に関する情報であり、要支援者が検知された場所及び日時、要支援者が必要とする支援の種類、及び、要支援者の乗降情報を含む。乗降情報とは、要支援者が乗降する列車に関する情報であり、要支援者が乗降する予定の駅(乗降予定場所)及び予定の時刻や、要支援者が実際に乗降した駅及び時刻に関する情報を含む。
【0039】
サーバ装置12(外部のシステムの一例)は、サーバ装置11に対し、列車の運行情報を送信するサーバ装置である。サーバ装置12からサーバ装置11に提供される列車の運行情報は、運行計画に従い定まった経路を移動している列車の実際の運行状況、すなわち、遅延等が発生した場合はその遅延等を反映した後の、列車の各駅における到着時刻及び発車時刻を示す情報である。
【0040】
サーバ装置11及びサーバ装置12のハードウェアは通信インタフェースを備える一般的なコンピュータである。すなわち、サーバ装置11及びサーバ装置12は、コンピュータのメモリに記憶されているプログラムに従い、コンピュータのプロセッサがデータ処理を行うことにより実現される装置である。
【0041】
乗降支援案内システム1は、さらに、駅Aに設置されている改札機13A(読取装置の一例)と、駅Bに設置されている改札機13B(読取装置の一例)を備える。以下、改札機13A及び改札機13Bを互いに区別しない場合、改札機13と総称する。
【0042】
改札機13は列車の利用者が駅に入場する際と駅から退場する際に、利用者が所持する乗車券(移動体に乗るための券の一例)から記録されている情報を読み取り、読み取った情報に基づき、その利用者の入場又は退場を許可したり制限したりする装置である。改札機13が情報を読み書き可能な乗車券の種類としては、例えば、磁気により情報の読み書きを行う磁気券、ICチップにより情報の読み書きを行うICカード券等が含まれる。なお、改札機13が情報を読み書きできるICカード券には、近年普及しているNFC(近距離無線通信規格)に準拠したICカード券が含まれる。
【0043】
なお、図1に示す例では、改札機13は駅に入場する利用者が通過する入場用レーンと、駅から退場する利用者が通過する退場用レーンを各1つのみ備えるが、これらのレーンの数が2以上であってもよい。
【0044】
乗降支援案内システム1は、さらに、駅Aの場内に設置されている端末装置14A(管理者用端末装置の一例)と、駅Bの場内に設置されている端末装置14B(管理者用端末装置の一例)を備える。以下、端末装置14A及び端末装置14Bを互いに区別しない場合、端末装置14と総称する。端末装置14は、キオスク端末等の呼び名で呼ばれる端末装置であり、列車の利用者に対する各種案内を行う。ただし、乗降支援案内システム1が備える端末装置14は、通常のキオスク端末が備える機能に加え、駅員や乗務員の支援を受けたいと思う要支援者に対し、その要支援者が必要とする支援の種類や、その要支援者が乗降する予定の列車に関する情報の入力を促し、要支援者によるそれらの情報の入力を受け付ける機能を備える。
【0045】
乗降支援案内システム1は、後述する監視カメラにより撮影した画像から要支援者を検知する機能を備える。また、乗降支援案内システム1は、改札機13が乗車券から読み取った情報や、要支援者が過去に乗降した駅の情報(後述)等に基づいて、検知した要支援者が乗降する予定の駅を特定する機能を備える。従って、要支援者が支援を受けるために、必ずしも端末装置14に対し情報の入力を行う必要はない。ただし、画像からの要支援者の検出は失敗する場合があり、また、乗車券から読み取った情報等に基づく要支援者の乗降予定場所の特定は誤る場合がある。しかしながら、要支援者は、端末装置14に必要な情報を入力することで、確実に支援を受けることができる。
【0046】
乗降支援案内システム1は、さらに、駅Aに設置されている複数の監視カメラ、駅Bに設置されている複数の監視カメラ、及び、列車9に設置されている複数の監視カメラを備える。
【0047】
なお、図1には、乗降支援案内システム1が備える監視カメラのうち、駅Aに設置されている監視カメラ15A(1)~15A(5)の5台、駅Bに設置されている監視カメラ15B(1)~15B(5)の5台、列車9に設置されている監視カメラ15C(1)及び15C(2)の2台のみが例として示されている。以下、これらの監視カメラを互いに区別しない場合、監視カメラ15と総称する。
【0048】
監視カメラ15A(1)は改札機13Aの入場用レーンを通過する利用者を正面から撮影する。監視カメラ15A(2)は改札機13Aの退場用レーンを通過する利用者を正面から撮影する。監視カメラ15A(3)は端末装置14Aの正面に立った人物を正面から撮影する。監視カメラ15A(4)は駅Aに停止する列車の先頭車両の最も先頭側の右側のドアを通って列車に乗車する人を正面から撮影する。監視カメラ15A(5)は駅Aに停止する列車の先頭車両の最も先頭側の右側のドアを通って列車から降車する人を正面から撮影する。
【0049】
監視カメラ15B(1)は改札機13Bの入場用レーンを通過する利用者を正面から撮影する。監視カメラ15B(2)は改札機13Bの退場用レーンを通過する利用者を正面から撮影する。監視カメラ15B(3)は端末装置14Bの正面に立った人物を正面から撮影する。監視カメラ15B(4)は駅Bに停止する列車の先頭車両の最も先頭側の右側のドアを通って列車に乗車する人を正面から撮影する。監視カメラ15B(5)は駅Bに停止する列車の先頭車両の最も先頭側の右側のドアを通って列車から降車する人を正面から撮影する。
【0050】
監視カメラ15C(1)は列車9の先頭車両の最も先頭側の右側のドアを通って列車に乗車する人と、列車9の先頭車両の最も先頭側の左側のドアを通って列車から降車する人を正面から撮影する。監視カメラ15C(2)は列車9の先頭車両の最も先頭側の左側のドアを通って列車に乗車する人と、列車9の先頭車両の最も先頭側の右側のドアを通って列車から降車する人を正面から撮影する。
【0051】
乗降支援案内システム1が実際に備える監視カメラ15の数は、駅に設置されている改札機13の入場用レーン及び退場用レーンの数、駅に設置されている端末装置14の数、列車が備えるドアの数等によって様々に変化する。また、乗降支援案内システム1が、例えば、駅構内の、改札機13や端末装置14が設置されていない場所に設置されている監視カメラ15を備えてもよい。
【0052】
乗降支援案内システム1は、さらに、駅員及び乗務員の各々が携帯している端末装置を備える。なお、図1には、乗降支援案内システム1が備えるそれらの端末装置のうち、駅員Xが携帯している端末装置16X(管理者用端末装置の一例)、乗務員Yが携帯している端末装置16Y(乗務員用端末装置の一例)、駅員Zが携帯している端末装置16Z(管理者用端末装置の一例)のみが例として示されている。以下、これらの端末装置を互いに区別しない場合、端末装置16と総称する。
【0053】
乗降支援案内システム1が実際に備える端末装置16の数は、駅員及び乗務員の数等によって様々に変化する。
【0054】
端末装置16のハードウェアは通信インタフェース、GNSS(Global Navigation Satellite System)ユニット、カメラ(後述する二次元コードの読み取りに用いられる)を備えるタブレット型のコンピュータである。すなわち、端末装置16は、コンピュータのメモリに記憶されているプログラムに従い、コンピュータのプロセッサがデータ処理を行うことにより実現される装置である。また、端末装置16は、タッチスクリーンを備え、ユーザに対し各種情報を通知するための画面を表示すると共に、その画面に対するユーザのタッチ操作を受け付け、受け付けたタッチ操作に応じた処理を実行する。
【0055】
サーバ装置11は、サーバ装置12、改札機13の各々、端末装置14の各々、監視カメラ15の各々、及び、端末装置16の各々と、ネットワーク8を介して互いに通信を行う。ネットワーク8は、例えば、インターネットと、インターネットに接続された有線又は無線のLAN(Local Area Network)、インターネットに接続された移動体通信網等を含む。
【0056】
本実施形態においては、乗降支援案内システム1が備える監視カメラ15のうち、駅に停止している列車から降車する人を正面から撮影する監視カメラ15(図1に例示の監視カメラ15の中では、監視カメラ15A(5)及び監視カメラ15B(5))の画像から、その画像に写っている列車、その画像に写っている車両、及び、その画像に写っているドアを確実に識別するために、列車の各ドアの近傍に二次元コードQが配置されている。
【0057】
図2は、列車のドアの近傍に配置されている二次元コードQを例示した図である。図2の例では、二次元コードQが列車の外面のドアのすぐ上に配置されている。なお、二次元コードQが配置される位置は、列車が駅に停止した際に、ドアを撮影する監視カメラ15の画像に入る位置であれば、いずれの位置であってもよい。二次元コードQは、列車番号、車両番号、ドア位置(前側、中央、後側)を示す情報をコード化した二次元画像である。
【0058】
サーバ装置11のメモリには、駅員及び乗務員に要支援者に関する情報を案内するためのデータを管理するための各種テーブルが記憶されている。それらのテーブルには、要支援者テーブル、要支援者検知ログテーブル、乗車券情報テーブル、監視カメラテーブル、端末装置テーブルが含まれる。
【0059】
図3は要支援者テーブルのデータ構成を例示した図である。要支援者テーブルは、過去の所定期間内にいずれかの駅又は列車において検知された要支援者の各々に応じたレコードの集まりである。要支援者テーブルのレコードは、「要支援者ID」欄、「特徴量データ」欄、「支援種類」欄、「最終検知場所」欄、「最終検知時刻」欄、「乗車駅」欄、「乗車時刻」欄、「乗車車両番号」欄、「乗車ドア位置」欄、「乗車完了フラグ」欄、「降車駅」欄、「降車時刻」欄、「降車完了フラグ」欄、「支援対応者」欄を備える。
【0060】
「要支援者ID」欄には要支援者の識別情報が格納される。「特徴量データ」欄には監視カメラ15が撮影した要支援者の画像から抽出された特徴量データが格納される。「支援種類」欄には要支援者が必要とする支援の種類が格納される。要支援者が必要とする支援の種類の例としては、車椅子補助、視覚補助、聴覚補助、高齢者補助、低年齢者補助、誘導補助等が挙げられる。
【0061】
「最終検知場所」欄には要支援者が最後に検知された場所が格納される。「最終検知時刻」欄には要支援者が最後に検知された時刻が格納される。「乗車駅」欄には要支援者が列車に乗車する駅の駅名が格納される。「乗車時刻」欄には要支援者が列車に乗車する時刻が格納される。
【0062】
「乗車車両番号」欄には要支援者が乗車する列車の車両番号が格納される。「乗車ドア位置」欄には要支援者が車両に乗り込む際に用いるドアの位置を示す情報(例えば、前側、中間、後側等)が格納される。
【0063】
「乗車完了フラグ」欄には要支援者の列車への乗車が完了しているか否かを示すフラグが格納される。すなわち、要支援者が列車に乗車するまでは「乗車完了フラグ」欄に「No」が格納され、要支援者が列車に乗車した後は「乗車完了フラグ」欄に「Yes」が格納される。
【0064】
「降車駅」欄には要支援者が列車から降車する駅の駅名が格納される。「降車時刻」欄には要支援者が列車から降車する時刻が格納される。
【0065】
「降車完了フラグ」欄には要支援者の列車からの降車が完了しているか否かを示すフラグが格納される。すなわち、要支援者が列車から降車するまでは「降車完了フラグ」欄に「No」が格納され、要支援者が列車から降車した後は「降車完了フラグ」欄に「Yes」が格納される。
【0066】
「支援対応者」欄には要支援者に対し支援を提供する対応者の識別情報が格納される。本実施形態において、「支援対応者」欄には、対応者が使用する端末装置16の識別情報(後述の端末装置テーブル(図7)の「端末ID」欄の情報)が格納されるものとするが、例えば対応者の氏名等が「支援対応者」欄に格納されてもよい。支援の対応者は、要支援者が駅に入場して列車に乗車するまでは乗車駅の駅員、要支援者が列車に乗車中はその列車の乗務員、要支援者が列車から降車して駅から退場するまでは降車駅の駅員である。なお、要支援者の列車への乗車時と、列車からの降車時には、駅員と乗務員が適宜連携して支援を行う。
【0067】
図4は要支援者検知ログテーブルのデータ構成を例示した図である。サーバ装置11のメモリには、要支援者テーブルのレコードの各々に応じた要支援者検知ログテーブルが記憶されている。要支援者検知ログテーブルは、要支援者が過去に検知された場所、時刻等を記録するためのテーブルである。
【0068】
要支援者検知ログテーブルは、要支援者の検知毎のレコードの集まりである。要支援者検知ログテーブルのレコードは、「検知時刻」欄、「検知場所」欄、「検知種類」欄、「乗降」欄を備える。
【0069】
「検知時刻」欄には要支援者が検知された時刻が格納される。「検知場所」欄には要支援者が検知された場所を示す情報が格納される。要支援者が検知された場所とは、監視カメラ15が撮影した画像から要支援者が検知された場合はその監視カメラ15の設置されている場所を意味し、駅員又は乗務員が端末装置16に対し要支援者に関する情報を入力した場合はその時点でその端末装置16のGNSSユニットが測定した位置を撮影できる監視カメラ15のうちその位置に最も近い監視カメラ15の設置されている場所を意味する。
【0070】
「検知種類」欄には要支援者が画像認識により検知されたか、駅員又は乗務員による端末装置16に対する情報の入力により検知されたか、を示す情報が格納される。すなわち、前者であれば「検知種類」欄には「画像認識」が格納され、後者であれば「手入力」が格納される。
【0071】
「乗降」欄には要支援者が検知された際、列車に乗車した場合は「乗車」、列車から降車した場合は「降車」が格納される。
【0072】
図5は乗車券情報テーブルのデータ構成を例示した図である。乗車券情報テーブルは、降車駅が指定された乗車券を用いて要支援者が駅に入場する際に改札機13が乗車券から読み取った情報を記録するためのテーブルである。降車駅が指定された乗車券には、使用が1回に限られた磁気券や、使用可能区間が定められた定期券等が含まれる。乗車券情報テーブルのレコードは、「時刻」欄、「場所」欄、「要支援者ID」欄、「降車駅」欄を備える。
【0073】
「時刻」欄には、降車駅が指定された乗車券を用いて要支援者が駅に入場する際にその要支援者が撮影された時刻が格納される。「場所」欄には、降車駅が指定された乗車券を用いて要支援者が駅に入場する際にその要支援者を撮影した監視カメラ15の設置されている場所を示す情報が格納される。「要支援者ID」欄には要支援者の識別情報が格納される。「降車駅」欄には乗車券から読み取られた降車駅の駅名が格納される。
【0074】
なお、読み取られた乗車券が、使用可能区間が定められている定期券である場合、「降車駅」欄には、以下の規則に従い特定される降車駅の駅名が格納されるものとする。
(1)乗車駅(入場した駅)が使用可能区間の端点(始点または終点)の駅である場合、他方の端点の駅を降車駅とし、その駅名が「降車駅」欄に格納される。
(2)乗車駅(入場した駅)が使用可能区間の端点の駅でない場合、端点の2つの駅の両方を降車駅の候補とし、それらの駅名が「降車駅」欄に格納される。
【0075】
図6は監視カメラテーブルのデータ構成を例示した図である。監視カメラテーブルは監視カメラ15の各々に応じたレコードの集まりである。監視カメラテーブルのレコードは、「カメラID」欄、「場所」欄、「緯度経度」欄、「撮影方向」欄を備える。
【0076】
「カメラID」欄には監視カメラ15の識別情報が格納される。「場所」欄には監視カメラ15が設置されている場所を示す情報が格納される。「場所」欄に格納される情報は、例えば、「駅A入場用改札」、「駅A改札近くのキオスク端末」、「駅B1番ホーム1番車両右前側ドア」等の情報である。「緯度経度」欄には監視カメラ15が設置されている位置の緯度経度が格納される。「撮影方向」欄には監視カメラ15の撮影方向を示す情報が格納される。
【0077】
図7は端末装置テーブルのデータ構成を例示した図である。端末装置テーブルは、端末装置14及び端末装置16の各々に応じたレコードの集まりである。端末装置テーブルのレコードは、「端末ID」欄、「場所」欄、「使用者種類」欄を備える。
【0078】
「端末ID」欄には端末装置14又は端末装置16の識別情報が格納される。なお、「端末ID」欄に格納される識別情報は、サーバ装置11が要支援者情報を送信する際の送信先を識別する情報として使用される。
【0079】
「場所」欄には端末装置14又は端末装置16の場所を示す情報が格納される。端末装置14に関する「場所」欄には、例えば、「駅A改札近く」といった情報が格納される。端末装置16に関する「場所」欄には、端末装置16のGNSSユニットが測定した位置を撮影できる監視カメラ15のうちその位置に最も近い監視カメラ15の設置されている場所を示す情報が格納される。
【0080】
「使用者種類」欄には端末装置14又は端末装置16の使用者の種類を示す情報が格納される。具体的には、「使用者種類」欄には、駅員が使用する端末装置16であることを示す「駅員」、乗務員が使用する端末装置16であることを示す「乗務員」、駅に設置されている端末装置14であることを示す「共用」のいずれかが格納される。
【0081】
図8は、サーバ装置11の機能構成を模式的に示した図である。すなわち、サーバ装置11のハードウェアであるコンピュータのプロセッサが、メモリに記憶されているプログラムに従うデータ処理を行うと、図8に示す構成部を備える装置が実現される。以下にサーバ装置11の機能構成を説明する。
【0082】
記憶部110は各種データを記憶する。受信部111は外部の装置から各種データを受信する。受信部111が受信するデータには、改札機13の各々から送信されてくる乗車券から読み取られた情報、監視カメラ15の各々から送信されてくる画像を表す画像データ、端末装置14及び端末装置16の各々から送信されてくる要支援者情報が含まれる。受信部111が受信したデータは記憶部110に記憶される。
【0083】
画像認識部112は、受信部111が監視カメラ15の各々から受信した画像データが表す画像から人物と、その人物の所持物を認識する。人物の所持物には、視覚障がい者が使用する白杖、下肢に障がいがある障がい者が使用する車椅子、高齢者が使用する手押し車、低年齢者が背負うランドセル等が含まれる。画像認識部112は、人物及びその人物の所持物を認識する課程において、それらの人物(所持物を含む)の特徴量データを生成する。
【0084】
人物識別部113は、画像認識部112が認識した人物の特徴量データと、要支援者テーブル(図3)に格納されている特徴量データとの類似度に基づき、要支援者テーブルにデータが登録されている要支援者の中から、画像データから新たに認識された人物と同一の人物を識別する。人物識別部113は、要支援者テーブルにデータが登録されている要支援者の中に、画像データから新たに認識された人物と同一の人物がいた場合、要支援者テーブル(図3)の、その人物のレコードを更新すると共に、その人物の要支援者検知ログテーブル(図4)に、新たな検知に関するレコードを追加する。
【0085】
要支援者判定部114は、人物識別部113によって、要支援者テーブルにデータが登録されている要支援者の中に、画像データから新たに認識された人物と同一の人物がいない、と判定された場合、画像データから新たに認識された人物の所持物の種類に基づき、その人物が要支援者であるか否かを判定する。例えば、画像データから新たに認識された人物の所持物に車椅子があれば、その人物を、支援の種類が「車椅子補助」である要支援者と判定する。要支援者判定部114は、画像データから新たに認識された人物が要支援者であると判定した場合、要支援者テーブル(図3)に、その人物のレコードを追加すると共に、その人物の要支援者検知ログテーブル(図4)を新たに生成し、新たな検知に関するレコードを追加する。
【0086】
乗降情報特定部115は、要支援者テーブル(図3)、要支援者検知ログテーブル(図4)、乗車券情報テーブル(図5)、及び、サーバ装置11がサーバ装置12から受信する運行情報が更新されると、更新後のそれらの情報と、監視カメラテーブル(図6)に格納されている情報に基づき、更新された情報に関係する要支援者の未確定の乗降情報、すなわち、要支援者の乗車駅、乗車時刻、降車駅、降車時刻に関する情報のうち未確定の情報を特定(既に特定されていた場合は再特定)し、その結果で要支援者テーブル(図3)を更新する。
【0087】
通知先特定部116は、乗降情報特定部115により要支援者の乗降情報が新たに特定されて、要支援者テーブル(図3)が更新されると、更新後の乗降情報に基づき、その乗降情報を含む要支援者情報の通知先を特定する。
【0088】
具体的には、通知先特定部116は、列車に乗車する前の要支援者に関しては、その要支援者の乗車駅(すなわち、その要支援者が今いる駅)の駅員の端末装置16と、その要支援者の乗車予定の列車の乗務員の端末装置16を要支援者情報の通知先として特定する。また、通知先特定部116は、列車への乗車が完了し、まだ降車していない要支援者に関しては、その要支援者が乗車している列車の乗務員の端末装置16と、その要支援者の降車予定の駅の駅員の端末装置16を要支援者情報の通知先として特定する。
【0089】
送信部117は、通知先特定部116により特定された通知先に対し、要支援者情報を送信する。以上がサーバ装置11の機能構成の説明である。
【0090】
続いて、要支援者Pが列車9に乗車して駅Aから駅Bに移動する場合を例として、乗降支援案内システム1の動作を説明する。
【0091】
まず、要支援者Pは乗車券を改札機13A(入場用レーン)に読み取らせ、改札機13Aを通過し駅Aに入場する。改札機13Aは要支援者Pの乗車券から読み取った情報をサーバ装置11に送信し、サーバ装置11はその情報を乗車券情報テーブル(図5)に登録する。
【0092】
要支援者Pが改札機13Aを通過する際、監視カメラ15A(1)が撮影した画像に要支援者Pが写る。サーバ装置11は、監視カメラ15A(1)から送信されてくる画像から要支援者Pの特徴量データを生成し、要支援者テーブル(図3)に格納されている特徴量データと照合することで、要支援者Pが要支援者テーブルに既に登録されている要支援者であるか否かを判定する。
【0093】
要支援者Pが要支援者テーブルに既に登録されている要支援者であれば、サーバ装置11は要支援者テーブルの要支援者Pのレコードを更新するとともに、要支援者Pの要支援者検知ログテーブル(図4)に新たな検知に関するレコードを追加する。
【0094】
要支援者Pが要支援者テーブルにまだ登録されていない要支援者であれば、サーバ装置11は要支援者テーブルに要支援者Pの新たなレコードを追加するとともに、要支援者Pの要支援者検知ログテーブル(図4)に新たに生成する。その際、サーバ装置11により、要支援者Pの支援の種類も特定され、その情報が要支援者テーブルの要支援者Pのレコードの「支援種類」欄に格納される。
【0095】
サーバ装置11は、要支援者テーブルの要支援者Pのレコードを更新する際、もしくは、要支援者テーブルに要支援者Pのレコードを新たに追加する際、「最終検知場所」欄に監視カメラ15A(1)の場所を示す情報を格納し、「最終検知時刻」欄に監視カメラ15A(1)が要支援者Pを撮影した時刻を格納し、「乗車駅」欄に駅Aの駅名を格納し、「乗車完了フラグ」欄と「降車完了フラグ」欄に「No」を格納し、「乗車時刻」欄、「乗車車両番号」欄、「乗車ドア位置」欄、「降車駅」欄、「降車時刻」欄に空データ(Null値)を格納する。
【0096】
続いて、サーバ装置11は、乗車券情報テーブル(図5)に新たに登録された、要支援者Pの乗車券から読み取られた情報(監視カメラ15A(1)が要支援者Pを撮影した時刻と同時刻に改札機13Aが読み取った情報)を参照し、その情報から降車駅を特定できる場合、その降車駅の駅名を、要支援者テーブルの要支援者Pのレコードの「降車駅」欄に格納する。
【0097】
要支援者Pの乗車券から読み取られた情報に基づき降車駅が特定できない場合、サーバ装置11は要支援者Pの要支援者検知ログテーブル(図4)に格納されている情報に基づき、要支援者Pの降車駅の特定を試みる。例えば、サーバ装置11は、要支援者Pが過去に駅Aから列車に乗車した記録があれば、その列車に乗車した時刻と、その列車から要支援者Pが降車した駅名及び時刻を特定する。そして、サーバ装置11は、要支援者Pが駅Aから乗車し、例えばC駅で降車した記録が所定数以上あり、かつ、それらの乗車の時刻が現在時刻の前後所定時間内の時刻であれば、高い確率で要支援者PはC駅で降車すると考えられる。この場合、要支援者テーブルの要支援者Pのレコードの「降車駅」欄にはC駅の駅名が格納される。
【0098】
上記のように、乗車券情報テーブル(図5)又は要支援者検知ログテーブル(図4)の情報に基づき要支援者Pの降車駅が特定された場合、サーバ装置11はサーバ装置12から受信した最新の運行情報に基づき、要支援者Pが乗車すると思われる列車を特定し、要支援者テーブルの要支援者Pのレコードの「乗車時刻」欄にその列車が駅Aに到着する時刻を格納し、「降車時刻」欄にその列車が「降車駅」欄の駅に到着する時刻を格納する。要支援者Pが乗車すると思われる列車とは、例えば、駅Aから「降車駅」欄の駅に向かう列車のうち、現在時刻に所定時間(利用者が改札機13Aからホームに移動するために通常要する時間)を加算した時刻以降に駅Aに最初に到着する列車である。
【0099】
上記のように、要支援者Pの乗車予定の列車が特定され、「乗車駅」欄、「乗車時刻」欄、「降車駅」欄、「降車時刻」欄の全てに情報が格納された場合、サーバ装置11は端末装置テーブル(図7)を参照し、駅Aの駅員の端末装置16と、要支援者Pの乗車予定の列車の乗務員の端末装置16の端末IDを特定し、それらの端末IDにより識別される端末装置16に要支援者情報を送信する。
【0100】
図9は、駅員及び乗務員の端末装置16に表示される、要支援者情報を表示する画面(以下、「要支援者情報通知画面」という)を例示した図である。要支援者情報通知画面には、サーバ装置11から端末装置16が受信した要支援者情報がリスト表示される。
【0101】
駅員の端末装置16に表示される要支援者情報通知画面においては、まだ列車への乗車が完了しておらず、「支援対応者」欄に駅員の端末装置16の端末IDが含まれていない要支援者の行が強調表示される。また、乗務員の端末装置16に表示される要支援者情報通知画面においては、まだ列車からの降車が完了しておらず、「支援対応者」欄に乗務員の端末装置16の端末IDが含まれていない要支援者の行が強調表示される。
【0102】
駅員又は乗務員は、手が空いていれば、要支援者情報通知画面に強調表示される要支援者のうち、支援の必要性、緊急性、要支援者のいる場所と自分のいる場所との距離等に基づきいずれかの要支援者を自分が対応する要支援者として決定する。駅員又は乗務員は、決定した要支援者の行を選択しタッチした後、「対応」ボタンをタッチする。この操作に応じて、駅員又は乗務員の端末装置16からサーバ装置11へその端末装置16の端末IDと選択された要支援者の要支援者IDを含む対応通知が送信される。サーバ装置11は対応通知を受信すると、対応通知に含まれる要支援者IDに応じた要支援者テーブル(図3)のレコードの「支援対応者」欄に対応通知に含まれる端末IDを格納する。
【0103】
駅員は、要支援者情報通知画面に表示される情報を用いて、自分が対応する要支援者のいる場所に向かい、その要支援者に対する支援を行う。また、乗務員は、要支援者情報通知画面に表示される情報を用いて、自分が対応する要支援者の支援に備える。
【0104】
要支援者Pは、改札機13Aを通過した後、直接ホームに向かい列車9に乗車してもよいが、必要とする支援を確実にスムーズに受けたいと思う場合、端末装置14Aに向かい、端末装置14Aを操作して自分の乗降情報を乗降支援案内システム1に登録する。要支援者Pが端末装置14Aの正面に到達すると、監視カメラ15A(3)が撮影した画像に要支援者Pが写る。サーバ装置11は、監視カメラ15A(3)から送信されてくる画像から要支援者Pを認識し、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「最終検知場所」欄と「最終検知時刻」欄を更新する。また、サーバ装置11は、要支援者Pの要支援者検知ログテーブル(図4)に新たな検知に関するレコードを追加する。
【0105】
なお、要支援者テーブルと要支援者検知ログテーブルの更新に伴い、駅Aの駅員や要支援者Pが乗車予定の列車の乗務員の端末装置16には更新後の要支援者Pに関する情報が送信され、要支援者情報通知画面の表示が更新される。
【0106】
要支援者Pは端末装置14Aの画面にタッチ操作を行い、図10に示す画面(以下、「要支援者情報入力画面」という)を表示させる。なお、端末装置14Aは画面を表示し画面に対する要支援者Pのタッチ操作を受け付けることに代えて、音声認識と音声合成により要支援者Pと対話し、音声により要支援者Pの入力を受け付けることもできる。
【0107】
要支援者情報入力画面には、要支援者Pを監視カメラ15A(3)が撮影した画像が表示される。また、要支援者情報入力画面には、「支援種類」欄、「乗車駅」欄、「乗車時刻」欄、「乗車車両番号」欄、「乗車ドア位置」欄、「降車駅」欄、「降車時刻」欄が表示される。これらの欄には、要支援者Pの要支援者テーブル(図3)のレコードの同名欄に格納されている情報が表示される。要支援者Pは、これらの欄の情報を確認し、誤っている情報を修正し、空欄に新たに情報を入力する。
【0108】
なお、要支援者情報入力画面の各欄には、運行情報等に基づき、入力されるべき情報の候補がメニュー表示され、要支援者Pはそれらのメニューから正しい候補を選択することで、容易に入力を完了することができる。例えば、「降車駅」欄には駅Aから発車する列車の通過する駅の駅名がメニュー表示される。また、「乗車時刻」欄には駅Aから「降車駅」欄の駅に向かう列車のうち、現在時刻に所定時間(利用者が端末装置14Aからホームに移動するために通常要する時間)を加算した時刻以降に駅Aに到着する列車の到着時刻がメニュー表示される。そして、要支援者Pが「乗車時刻」欄に情報を入力すると、「降車時刻」欄には自動的に「乗車時刻」欄の時刻に駅Aを発車し「降車駅」欄の駅に向かう列車が「降車駅」欄の駅に到着する時刻が入力される。
【0109】
要支援者Pが要支援者情報入力画面の「登録」ボタンをタッチすると、要支援者情報入力画面において入力された情報が端末装置14Aからサーバ装置11に送信され、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードが更新される。
【0110】
要支援者Pが改札機13Aを通過した時点では降車駅が特定されておらず、要支援者Pが端末装置14Aに対し新たに降車駅を入力した場合、この時点でサーバ装置11から駅Aの駅員と要支援者Pが乗車予定の列車の乗務員の端末装置16に要支援者情報が送信される。
【0111】
要支援者Pが改札機13Aを通過した後、直接、もしくは、端末装置14Aにおいて要支援者情報の入力を終えた後、自分が乗車する列車が到着するホームに向かい、そのホームのいずれかの乗車位置に到着すると、ホームに設置されている監視カメラ15のいずれかが要支援者Pを撮影する。
【0112】
今、要支援者Pは列車9が到着するホームの先頭車両の前側のドアに応じた乗車位置に到着したものとする。この場合、監視カメラ15A(4)が撮影した画像に要支援者Pが写る。サーバ装置11は、監視カメラ15A(4)から送信されてくる画像から要支援者Pを認識し、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「最終検知場所」欄、「最終検知時刻」欄、「乗車車両番号」欄、「乗車ドア位置」欄を更新する。この場合、「乗車車両番号」欄には「1番」が、また、「乗車ドア位置」欄には「前側」が格納される。また、サーバ装置11は、要支援者Pの要支援者検知ログテーブル(図4)に新たな検知に関するレコードを追加する。
【0113】
要支援者Pがホームに移動する間、駅Aの駅員Xが要支援者Pの対応者としてホームに向かうものとする。また、列車9の乗務員Yが要支援者Pの対応者として列車9の先頭車両の前側のドア付近に向かうものとする。
【0114】
駅員Xは、ホームで列車9の到着を待つ要支援者Pを見つけ、要支援者Pに声掛けをした後、要支援者Pと共に列車9の到着を待つ。その間、もし要支援者情報通知画面(図9)に表示される要支援者Pの情報に不足しているものがあれば、駅員Xは要支援者Pから不足している情報をヒアリングし、要支援者情報通知画面の要支援者Pの行をタッチした後、「情報入力」ボタンをタッチする。この操作に応じて、端末装置16Xには端末装置14Aに表示される要支援者情報入力画面(図10)と同様の画面(以下、この画面も「要支援者情報入力画面」という)が表示される。駅員Xは要支援者情報入力画面にヒアリングした情報を入力し、「登録」ボタンをタッチする。これにより、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの情報が更新される。
【0115】
要支援者Pと駅員Xが待つホームに列車9が到着し停止すると、駅員Xは端末装置16Xに表示される要支援者情報通知画面(図9)の「コード読取」ボタンをタッチした後、列車9のドアの上に配置されている二次元コードQ(図2)を端末装置16Xのカメラで撮影する。端末装置16Xはカメラで撮影した二次元コードQを復号し、列車9の列車番号、車両番号、ドア位置を示す情報を得る。
【0116】
端末装置16Xは列車番号、車両番号、ドア位置を示す情報と、駅員Xにより要支援者情報通知画面において選択されている要支援者Pの要支援者IDを含む更新要求をサーバ装置11に送信する。サーバ装置11は、端末装置16Xから受信した更新要求に含まれる情報と、その情報に含まれる列車番号が示す列車9の運行情報を用いて、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「乗車車両番号」欄、「乗車ドア位置」欄、「乗車時刻」欄、「降車時刻」欄を更新する。
【0117】
ホームに停止した列車9の先頭車両の前側のドア付近には、乗務員Yが待機しており、要支援者Pは、駅員Xと乗務員Yの支援を受けながら、列車9に乗車する。その際、監視カメラ15C(1)が撮影した画像に要支援者Pが写り、要支援者テーブル(図3)と要支援者検知ログテーブル(図4)が更新される。
【0118】
要支援者Pが列車9への乗車を完了すると、駅員Xは端末装置16Xに表示される要支援者情報通知画面(図9)の要支援者Pの行をタッチした後、「乗車完了」ボタンをタッチする。この操作に応じて、端末装置16Xからサーバ装置11に、要支援者Pの要支援者IDを含む乗車完了通知が送信される。
【0119】
サーバ装置11は乗車完了通知を受信すると、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「乗車完了フラグ」欄に「Yes」を格納する。その結果、例えば乗務員Yを含む列車9の乗務員は自分の端末装置16に表示される要支援者情報通知画面において、要支援者Pの乗車の完了を確認することができる。
【0120】
また、サーバ装置11は、乗車完了通知を受信すると、端末装置テーブル(図7)を参照し、「降車駅」欄が示す駅Bの駅員の端末装置16の端末IDを特定し、それらの端末IDにより識別される端末装置16に要支援者情報を送信する。その結果、駅員Zを含む駅Bの駅員の端末装置16に表示される要支援者情報通知画面(図9)には、要支援者Pに関する情報が表示される。
【0121】
駅Bの駅員の端末装置16に表示される要支援者情報通知画面(図9)においては、乗車が完了し、駅Bの駅員の端末装置16の端末IDが「支援対応者」欄に含まれていない要支援者の行が強調表示される。駅員Zは、要支援者情報通知画面において強調表示されている要支援者Pの行をタッチした後、「対応」ボタンをタッチする。この操作により、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「支援対応者」欄に端末装置16Zの端末IDが追加される。駅員Zは列車9が駅Bに到着する前に、列車9が到着するホームの先頭車両の前側のドア付近に向かい、そこで待機する。
【0122】
列車9が駅Bに到着し停止すると、要支援者Pは乗務員Yと駅員Zの支援を受けながら、開いたドアを通って列車9から降車する。その際、監視カメラ15B(5)が撮影した画像に要支援者Pが写り、要支援者テーブル(図3)と要支援者検知ログテーブル(図4)が更新される。
【0123】
要支援者Pの降車が完了すると、駅員Zは要支援者情報通知画面(図9)の要支援者Pの行をタッチした後、「降車完了」ボタンをタッチする。この操作により、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「降車完了フラグ」欄に「Yes」が格納される。その結果、例えば乗務員Yを含む列車9の乗務員は自分の端末装置16に表示される要支援者情報通知画面において、要支援者Pの降車の完了を確認することができる。
【0124】
その後、必要に応じて要支援者Pは駅員Zの支援を受けながら、改札機13Bに向かい、改札機13Bに乗車券を読み取らせ、改札機13Bの退場用レーンを通って駅Bから退場する。その際、監視カメラ15B(2)が撮影した画像に要支援者Pが写り、要支援者テーブル(図3)と要支援者検知ログテーブル(図4)が更新される。その際、要支援者テーブル(図3)の要支援者Pのレコードの「乗車駅」欄、「乗車時刻」欄、「乗車車両番号」欄、「乗車ドア位置」欄、「乗車完了フラグ」欄、「降車駅」欄、「降車時刻」欄、「降車完了フラグ」欄には空データ(Null値)が格納される。
【0125】
以上が、乗降支援案内システム1の動作例の説明である。上述した乗降支援案内システム1によれば、列車を利用する要支援者は、端末装置等の携帯を要することなく、また、駅員や乗務員を探す手間を要することなく、駅員や乗務員の支援をスムーズに受けることができる。
【0126】
[変形例]
上述した実施形態は本発明の技術的思想の範囲内で様々に変形されてよい。以下にそれらの変形例を示す。なお、以下に示す変形例の2以上が適宜組み合わされてもよい。
【0127】
(1)乗降支援案内システム1を利用可能な移動体は列車に限られない。定まった経路を移動する移動体であれば、バス等の車両、船舶、航空機等のいずれに関しても、乗降支援案内システム1の利用が可能である。
【0128】
(2)端末装置16は移動体の管理者(駅員等)又は乗務員が携帯する携帯端末装置に限られない。例えば、端末装置16の一部が、管理者が待機する執務室や移動体内の固定位置に設置されている端末装置であってもよい。
【0129】
(3)移動体のドアの近傍に配置され、移動体又はそのドアの識別情報を示すコードは、二次元コードに限られない。同じ識別情報を示す一次元コードが用いられてもよい。
【0130】
(4)上述した実施形態においては、要支援者テーブル(図3)に格納される情報は、常に取得時刻が遅い情報(新しい情報)の方が、取得時刻が早い情報(古い情報)よりも正しい情報であるものとし、更新時には新しい情報で古い情報を上書きすることが想定されている。要支援者テーブルに格納される要支援者に関する情報として、互いに矛盾する2つの情報が取得された場合、必ずしもそれらの情報の取得時刻が遅い方を正しい情報として用いなくてもよい。
【0131】
例えば、監視カメラ15が撮影した画像からの人物や所持物の認識において生じる誤りの確率は、移動体の利用者、管理者、乗務員等の人が入力した情報に含まれる誤りの確率よりも高い。従って、画像から認識した情報に基づき特定された要支援者に関する情報と、利用者や管理者等の人により入力された要支援者に関する情報との間に矛盾が生じた場合には、それらの情報のうち人により入力された情報を正しい情報として用いる構成が採用されてもよい。
【0132】
(5)上述した実施形態においては、駅に配置されている改札機13、端末装置14、監視カメラ15、端末装置16や、列車に配置されている監視カメラ15、端末装置16は、直接、ネットワーク8に接続することが想定されている。これに代えて、駅や列車に、それらの装置とネットワーク8の間の通信を中継する中継装置が設けられてもよい。その場合、上述した実施形態においてサーバ装置11が行うものとした処理の少なくとも一部を中継装置が行ってもよい。また、上述した実施形態においてサーバ装置11が行うものとした処理の少なくとも一部を端末装置14又は端末装置16が行ってもよい。例えば、画像から人物やその人物の所持物を認識する処理が、端末装置14、端末装置16、又は、中継装置において行われてもよい。
【0133】
(6)上述した実施形態においては、要支援者の乗車駅及び降車駅の駅員と、要支援者が乗車する列車の乗務員の端末装置16に要支援者情報が通知されるものとしたが、要支援者情報の通知先はこれらに限られない。例えば、乗車駅又は降車駅が無人駅である場合、その無人駅を管理する管理者のいる近隣の駅の駅員の端末装置16に要支援者情報が通知されてもよい。
【0134】
(7)駅員や乗務員に要支援者情報の通知が行われるタイミングは、上述した実施形態において説明したタイミングに限られない。例えば、上述した実施形態においては、要支援者が列車に乗車を完了したタイミングで、降車駅の駅員の端末装置16に要支援者情報が送信されるものとしたが、例えば、要支援者の降車駅が特定されたタイミングで、降車駅の駅員の端末装置16に要支援者情報が送信されてもよい。
【0135】
(8)駅員又は乗務員が、要支援者情報通知画面(図9)に対する操作により、検知されている複数の要支援者の間に、支援の必要性、緊急性等の観点から、優先順位を付けられるようにしてもよい。例えば、駅員Sが要支援者Tを対応中、まだ対応者のいない要支援者Uに対する支援の緊急性が高い(例えば、乗車予定の列車の発車時刻が近い等)ことに気付いた場合、要支援者情報通知画面において要支援者Uの優先順位を高く設定することで、同じ駅の他の駅員に、要支援者Uに対する早急な対応を促すことができる。
【0136】
(9)上述した実施形態においては、要支援者が列車に対する乗降を完了した際に、駅員が端末装置16に対し操作を行い、その操作に応じて、サーバ装置11経由で、乗務員の端末装置16に要支援者の乗降の完了が通知される。これに代えて、もしくは加えて、要支援者が列車に対する乗降を開始した際に、駅員が端末装置16に対し操作を行い、その操作に応じて、サーバ装置11経由で、乗務員の端末装置16に要支援者の乗降の開始が通知されてもよい。また、駅員に代えて、乗務員が端末装置16に対し操作を行い、その操作に応じて、サーバ装置11経由で、駅員の端末装置16に要支援者の乗降の開始又は完了が通知されてもよい。
【符号の説明】
【0137】
1…乗降支援案内システム、8…ネットワーク、9…列車、11…サーバ装置、12…サーバ装置、13…改札機、14…端末装置、15…監視カメラ、16…端末装置、110…記憶部、111…受信部、112…画像認識部、113…人物識別部、114…要支援者判定部、115…乗降情報特定部、116…通知先特定部、117…送信部。
図1
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図10