(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】ガスレンジ用トッププレート覆い
(51)【国際特許分類】
F24C 15/12 20060101AFI20240607BHJP
F24C 3/12 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
F24C15/12 D
F24C3/12 Z
(21)【出願番号】P 2020094836
(22)【出願日】2020-05-29
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【氏名又は名称】野口 晴加
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【氏名又は名称】山本 直樹
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭一
(72)【発明者】
【氏名】木村 将俊
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-029709(JP,U)
【文献】特開2015-007513(JP,A)
【文献】特開2013-058472(JP,A)
【文献】特開2018-091602(JP,A)
【文献】特開2019-219065(JP,A)
【文献】特開2020-044567(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 9/00-15/14
F24C 3/00- 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスバーナーを有するガスレンジのトッププレートを覆うためのガスレンジ用トッププレート覆いであって、
前記ガスバーナーの外径に対応した第1開口を備える第1シート本体を有する第1カバーと、
前記第1カバーに重ねて設けられ、前記ガスバーナーに挿通されその径が前記第1開口の径より大きく前記第1カバーの外径より小さい第2開口が形成され、前記トッププレートの全体を覆うように設置可能な第2シート本体を有する第2カバーとを備え
、
前記第1カバーは、前記第1開口周りに形成され、異なったタイプのガスバーナーに対応した他の開口を形成するための複数個の開口補助線と、
一の前記開口補助線とこれに隣接する他の前記開口補助線との間を横断するように形成された罫線とを備える、ガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項2】
前記第1カバーは、前記開口補助線が前記第1開口周りに同心円状に複数個形成されている、請求項
1記載のガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項3】
前記ガスレンジは、複数個のガスバーナーを有し、
前記第1カバーは、前記ガスバーナーに対応した個数の前記第1シート本体を有し、
前記第2カバーは、前記ガスバーナーに対応した位置の前記第2開口が形成されている、請求項1
又は請求項2記載のガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項4】
前記第2カバーは、前記第1カバーの上方に重ねて設けられる、請求項1から請求項
3のいずれかに記載のガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項5】
前記第1シート本体は、不燃紙からなる基層の少なくとも一方面に金属箔が積層された、請求項1から請求項
4のいずれかに記載のガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項6】
前記第1シート本体は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされた、請求項1から請求項
4のいずれかに記載のガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項7】
前記第2シート本体は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされた、請求項1から請求項
6のいずれかに記載のガスレンジ用トッププレート覆い。
【請求項8】
ガスバーナーを有するガスレンジのトッププレートを覆うためのガスレンジ用トッププレート覆いであって、
前記ガスバーナーの外径に対応した第1開口を備える第1シート本体を有する第1カバーと、
前記第1カバーに重ねて設けられ、前記ガスバーナーに挿通されその径が前記第1開口の径より大きく前記第1カバーの外径より小さい第2開口が形成され、前記トッププレートの全体を覆うように設置可能な第2シート本体を有する第2カバーとを備え、
前記第1シート本体は、不燃紙からなる基層の少なくとも一方面に金属箔が積層されたものであると共に、前記第2シート本体は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものである、ガスレンジ用トッププレート覆い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はガスレンジ用トッププレート覆いに関し、特に、バーナー部以外のトッププレートが平坦であるガスレンジ用トッププレート覆いに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスレンジにおいては汚れを拭き取りやすくするため、ガスレンジのトッププレートが平坦なものが増加している。そして、このようなガスレンジのトッププレート上に設置し、トッププレートの汚れを防止するガスレンジ用トッププレート覆いが種々提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、ガスレンジにおけるガスバーナーの周囲のトッププレートを覆うためのガスレンジ用トッププレート覆いとして、不燃紙等の紙の少なくとも一方面にアルミニウム箔等の金属箔が貼り付けられたシート本体からなり、ガスレンジはその製造メーカーの違いや同一メーカー内であっても機種毎にガスバーナーの形状や大きさが異なる場合があるので、シート本体にはガスバーナーに対してその外径に対応した開口が形成されたものが開示されている。又、開口周りには、形状や大きさの異なったタイプのガスバーナーに対応した他の開口を形成するためのミシン目等の開口補助線が形成されている。このようなトッププレート覆いを用いれば、開口補助線を手やペーパーナイフ等で切り取ることで、異なったタイプのガスバーナーに対応した開口を形成することができるので、様々なタイプのガスバーナーに対して、ガスバーナーの周囲のトッププレートの汚れを防ぐことができるものとなる。
【0004】
一方で、特許文献1に記載のガスレンジ用トッププレート覆いでは、これによって覆われるガスバーナー周囲の汚れは防ぐことができるものの、トッププレート全体の汚れを防ぐことはできなかった。
【0005】
これに対し、特許文献2では、トッププレート全体を覆うガスレンジ用トッププレート覆いとして、不燃紙等の紙の両面全面にアルミニウム箔等の金属箔が貼り付けられたシート本体からなり、シート本体には特定機種のガスレンジのガスバーナーに対応した位置に第1開口、第2開口及び第3開口が形成されたものが開示されている。又、ガスレンジの製造メーカーの違いや同一メーカー内であっても機種毎にガスバーナーの形状や大きさが異なり、更には、各ガスバーナー間の間隔も機種毎に異なる場合があるので、ガスレンジ用トッププレート覆いとしては、できる限り多くの異なるタイプの複数の機種に適合できる機能(機種適合性)を高めるように設計することが使用者の利便性向上のため、及び商品を安価に提供するためにも求められる。このようなことから、開口周りには、異なったタイプ(他の機種)のガスバーナーに対応した位置に開口補助線としての切れ目が形成され、更にその外方には、更に異なったタイプのガスバーナーに対応した位置に切れ目が形成されている。これらの複数個の開口補助線は、それぞれ異なったタイプのガスバーナーのトッププレートにおける位置に対応するため、非同心円状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2015-7513号公報
【文献】特開2012-57901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献2のようなトッププレート全体を覆うようなガスレンジ用トッププレート覆いの場合、一般的な3つのガスバーナーを備えたガスレンジであれば、その幅が60cmから70cm程度の大きさであるので、ガスレンジ用トッププレート覆いもそれと同様の大きさとなる。
【0008】
このようなガスレンジ用トッププレート覆いの開口補助線としての切れ目を切り取ることで異なったタイプのガスバーナーに対応させようとする場合には、ガスレンジ用トッププレート覆いの幅が大きいため、開口の切れ目の切り取り作業自体がし難かった。そのため、設置作業をより容易にする手段が求められていた。
【0009】
又、ガスバーナーの形状に対応した適切な切り取り作業を行うには、ガスバーナーの形状を確認しながら行う必要があるので、ガスレンジの前で切り取り作業をして設置することが多いが、一般的なキッチンは大きなスペースも無いので、サイズの大きいガスレンジ用トッププレート覆いの切り取り作業は取り回し性の面でも不便であった。
【0010】
更に、開口の切れ目の切り取りには、はさみや商品に附属するプラスチック製のナイフを用いて行うが、前述のように切り取り作業がし難かったため、望んだ形状の開口を形成することに多少の困難性があった。
【0011】
更に、特許文献2のようなガスレンジ用トッププレート覆いは、不燃紙の両面がアルミニウム箔で覆われるのでトッププレート覆いに保形性が得られるが、その大きさは前述のとおり幅が60cmから70cm程度の大きさとなるので、商品として陳列するスペースを抑えるために2つ折りのように折り畳んだ状態の商品包装形態とする場合がある。この場合、商品を購入した消費者が使用時にはガスレンジ用トッププレート覆いを拡げてトッププレート上に設置するが、商品流通段階で付いた折り目が拡げたときにうまく戻らずに折り目の部分が浮いた状態になってしまい、見た目の問題や使用時に不便となる問題があった。
【0012】
更に、トッププレートと接する面がアルミニウム箔であるため、トッププレートに対して滑り易い場合があり、切り取り作業を含む設置の際や使用時にガスレンジ用トッププレート覆いがずれる虞もあった。
【0013】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、設置作業が容易となるガスレンジ用トッププレート覆いを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、ガスバーナーを有するガスレンジのトッププレートを覆うためのガスレンジ用トッププレート覆いであって、ガスバーナーの外径に対応した第1開口を備える第1シート本体を有する第1カバーと、第1カバーに重ねて設けられ、ガスバーナーに挿通されその径が第1開口の径より大きく第1カバーの外径より小さい第2開口が形成され、トッププレートの全体を覆うように設置可能な第2シート本体を有する第2カバーとを備え、第1カバーは、第1開口周りに形成され、異なったタイプのガスバーナーに対応した他の開口を形成するための複数個の開口補助線と、一の開口補助線とこれに隣接する他の開口補助線との間を横断するように形成された罫線とを備えるものである。
【0015】
このように構成すると、第1カバー及び第2カバーを設置することでガスバーナーの周囲を含むトッププレートの全体を覆うことができる。又、異なったタイプのガスバーナーに対応した開口形成が容易となる。
【0018】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1カバーは、開口補助線が第1開口周りに同心円状に複数個形成されているものである。
【0019】
このように構成すると、開口補助線が非同心円状に形成されている場合に比べて切り取り易くなる。
【0020】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、ガスレンジは、複数個のガスバーナーを有し、第1カバーは、ガスバーナーに対応した個数の第1シート本体を有し、第2カバーは、ガスバーナーに対応した位置の第2開口が形成されているものである。
【0021】
このように構成すると、複数個のガスバーナーを有するガスレンジに対応する。
【0022】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、第2カバーは、第1カバーの上方に重ねて設けられるものである。
【0023】
このように構成すると、第2カバーが第1カバーの外周端部を押さえる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、第1シート本体は、不燃紙からなる基層の少なくとも一方面に金属箔が積層されたものである。
【0025】
このように構成すると、耐熱性、切り取り性及び保形性に優れる。
【0026】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、第1シート本体は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものである。
【0027】
このように構成すると、耐熱性に優れる。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、第2シート本体は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものである。
【0029】
このように構成すると、折り曲げた状態で商品として流通したとしても拡げれば直ぐに折り目がフラットな状態となる。
請求項8記載の発明は、ガスバーナーを有するガスレンジのトッププレートを覆うためのガスレンジ用トッププレート覆いであって、ガスバーナーの外径に対応した第1開口を備える第1シート本体を有する第1カバーと、第1カバーに重ねて設けられ、ガスバーナーに挿通されその径が第1開口の径より大きく第1カバーの外径より小さい第2開口が形成され、トッププレートの全体を覆うように設置可能な第2シート本体を有する第2カバーとを備え、第1シート本体は、不燃紙からなる基層の少なくとも一方面に金属箔が積層されたものであると共に、第2シート本体は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものである。
このように構成すると、第1カバー及び第2カバーを設置することでガスバーナーの周囲を含むトッププレートの全体を覆うことができる。又、耐熱性、切り取り性及び保形性に優れる。更に、折り曲げた状態で商品として流通したとしても拡げれば直ぐに折り目がフラットな状態となる。
【発明の効果】
【0030】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、第1カバー及び第2カバーを設置することでトッププレートの全体を覆うことができるため、設置作業が容易となる。又、異なったタイプのガスバーナーに対応した開口形成が容易となるため、様々な機種のガスレンジに対し設置作業が容易となる。
【0032】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、開口補助線が非同心円状に形成されている場合に比べて切り取り易くなるため、設置作業がより容易となる。
【0033】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、複数個のガスバーナーを有するガスレンジに対応するため、機種適合性が向上する。
【0034】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、第2カバーが第1カバーの外周端部を上方から押さえるため、第1カバーの外周端部の浮き上がりを防止することで、使用時に吹きこぼれ等の汚れがトッププレートまで侵入することを防止する。
【0035】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、耐熱性、切り取り性及び保形性に優れるため、設置作業がし易く、安全性が向上し、使用状態が安定する。
【0036】
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、耐熱性に優れるため、安全性が向上する。
【0037】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、折り曲げた状態で商品として流通したとしても拡げれば直ぐに折り目がフラットな状態となるため、ガスコンロへの設置時にトッププレートとの間で浮き上がりが生じる虞を防止する。
請求項8記載の発明は、第1カバー及び第2カバーを設置することでトッププレートの全体を覆うことができるため、設置作業が容易となる。又、耐熱性、切り取り性及び保形性に優れるため、設置作業がし易く、安全性が向上し、使用状態が安定する。更に、折り曲げた状態で商品として流通したとしても拡げれば直ぐに折り目がフラットな状態となるため、ガスコンロへの設置時にトッププレートとの間で浮き上がりが生じる虞を防止する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】この発明の第1の実施の形態のガスレンジ用トッププレート覆いの概略形状を示す平面図である。
【
図2】
図1で示したガスレンジ用トッププレート覆いに含まれる第1カバーの概略形状を示す平面図である。
【
図3】
図1で示したガスレンジ用トッププレート覆いに含まれる第2カバーの概略形状を示す平面図である。
【
図4】
図3で示した第2カバーと、種々のトッププレートにおけるガスバーナー位置とを併せて示す模式図である。
【
図6】この発明の第2の実施の形態のガスレンジ用トッププレート覆いの概略形状を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1はこの発明の第1の実施の形態のガスレンジ用トッププレート覆いの概略形状を示す平面図であり、
図2は
図1で示したガスレンジ用トッププレート覆いに含まれる第1カバーの概略形状を示す平面図であり、
図3は
図1で示したガスレンジ用トッププレート覆いに含まれる第2カバーの概略形状を示す平面図であり、
図5は
図1で示したV-Vラインの断面図である。
【0040】
これらの図を参照して、トッププレート覆い1は、図示しないガスレンジのトッププレートに設置して用いられ、平面視円形リング形状の第1シート本体13を備える第1カバー11a~11cと、第1カバー11a~11cの上方に重ねて設けられ、トッププレート全体を覆うことが可能な大きさであって平面視矩形形状の第2シート本体23を備える第2カバー21とから主に構成されている。
【0041】
特に
図2を参照して、第1カバー11aの第1シート本体13は、不燃紙からなる基層の少なくとも一方面にアルミニウム箔等の金属箔が積層されて構成され、特定機種のガスバーナーの外径に対応した第1開口12をその中心に有する。又、第1開口12周りには、異なったタイプのガスバーナーに対応した他の開口を形成するための開口補助線としてのミシン目14が形成されており、その外方には更に異なったタイプのガスバーナーに対応した他の開口を形成するためのミシン目15、16、17が順に同心円状に形成されている。又、ミシン目15とミシン目16との間を横断するように、上方からのプレスにより罫線18a、18bが形成されている。又、第1カバー11b、11cも第1カバー11aと同様の構造であり、第1カバー11cはミシン目19(第1カバー11aのミシン目17に相当)より外方は切り取られて設置されている。
【0042】
又、特に
図3を参照して、第2カバー21の第2シート本体23は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされて構成され、その径が第1開口12の径より大きく第1カバー11a~11cの外径より小さい第2開口22a~22cが、それぞれガスバーナーに対応した位置に形成されている。
【0043】
ここで、第2開口22a~22cの設計位置(大きさ、範囲を含む。)について詳細に説明する。
【0044】
図4は
図3で示した第2カバーと、種々のトッププレートにおけるガスバーナー位置とを併せて示す模式図である。
【0045】
同図を参照して、第2カバー21の外縁を図示しないトッププレートの外縁に対応させたときの、第2カバー21に対するガスバーナーの投影位置を破線で描いている。即ち、第2カバー21の第2開口22a~22cは、特定機種のガスバーナー位置26a~26c、他の機種のガスバーナー位置27a~27c、及び、更に他の機種のガスバーナー位置28a~28cを平面視において包含するように第2カバー21における位置が設定されている。
【0046】
上述した従来の特許文献2のようなガスレンジ用トッププレート覆いにおける開口は、直接ガスバーナー位置に対応させる必要があるために、種々のガスバーナー位置に共通する比較的小さい領域(いわば最大公約数的な領域)に形成され、開口補助線を切り取って必要な形状の開口を形成することでようやく設置作業が進行していた。しかし、この発明の第1の実施の形態によるガスレンジ用トッププレート覆いでは、第2開口22a~22cの第2カバー21における位置を、種々のガスバーナー位置を包含する比較的大きい領域(いわば最小公倍数的な領域)に設定することで、第2カバー21の設置の際には切り取り作業を基本的に不要とし、上方から第2開口22a~22cにガスバーナーを挿通させるのみで簡便に設置できるようにしたものである。そして、このように種々のガスバーナー位置を包含する領域に第2開口22a~22cを形成した場合には、ガスバーナー位置と第2開口22a~22cとの間に隙間(第2カバー21では覆われない部分)が発生してしまうが、この隙間は第2カバー21と重ねて設置する第1カバー11a~11cによりカバーされ、吹きこぼれ等の汚れがトッププレートにまで侵入することを防止する。
【0047】
戻って
図1~
図3及び
図5を参照して、使用時の設置作業にあっては、まず第1カバー11a~11cの各々を設置したいガスレンジのガスバーナーに合わせ、必要に応じて使用者の手やプラスチック製ナイフ等により開口補助線としてのミシン目14~17に沿って切り取って開口を形成してから設置する。このとき、第1カバー11a~11cは円形リング形状であり、ミシン目14~17は同心円状に形成されているため、第1カバー11a~11cを2つ折りにするとミシン目14~17は半円状になり容易に切り取ることができる。尚、ガスバーナーがオーバルタイプ(平面視略楕円形状)の場合は、罫線18a、18bに沿って切り取ることができる。次に、第1カバー11a~11cの上方から、第2カバー21をその第2開口22a~22cがガスバーナーに挿通するようにして設置する。
【0048】
このようにして設置されたトッププレート覆い1にあっては、他の開口を形成するための切り取り作業はサイズの小さい第1カバー11a~11cに対して行うため容易となる。そして、サイズの大きい第2カバー21によりトッププレート全体を覆うことができる。このような二重構造としたことで、設置作業が容易となるものである。
【0049】
又、上述したように第1カバー11a~11cは開口補助線としてのミシン目14~17が第1開口周りに同心円状に複数個形成されているため、開口補助線が非同心円状に形成されている場合に比べて切り取り易くなるため、設置作業がより容易となる。
【0050】
更に、第1カバー11a~11cはガスバーナーに対応した個数(第1の実施の形態の場合3個)の第1シート本体13を有し、第2カバー21はガスバーナーに対応した位置の第2開口22a~22cが形成されていることで、複数個のガスバーナーを有するガスレンジに対応するため、機種適合性が向上する。即ち、ガスバーナーの形状や大きさ、ガスバーナー間の間隔が異なる様々な機種に適合させることが可能となる。
【0051】
更に、第2カバー21は、第1カバー11a~11cの上方に重ねて設けられることで、第2カバー21が第1カバー11a~11cの外周端部20a~20c(第1カバー11cの場合、外周端部20cはミシン目19に相当)を上方から押さえるため、第1カバー11a~11cの外周端部20a~20cの浮き上がりを防止することで、使用時に吹きこぼれ等の汚れがトッププレートまで侵入することを防止する。
【0052】
更に、第1シート本体13は、不燃紙からなる基層の少なくとも一方面に金属箔が積層されたものであることで、耐熱性、切り取り性及び保形性に優れるため、使用状態が安定する。
【0053】
更に、第2シート本体23は、ガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものであることで、折り曲げた状態で商品として流通したとしても広げれば直ぐに折り目がフラットな状態となるため、ガスコンロへの設置時にトッププレートとの間で浮き上がりが生じる虞を防止する。又、第2シート本体23は、トッププレートの大部分を覆うことになるが、上記のようなガラス繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものとした場合には、従来の特許文献2のトッププレート覆いのように不燃紙の両面にアルミニウム箔を積層した構成のものに比べて耐久性が向上するため、長期間使用することが可能となる。
【0054】
第2シート本体23のガラス繊維の繊維目付は、特に限定されないが、20g/m2以上3000g/m2以下が好ましく、50g/m2以上300g/m2以下がより好ましく、100g/m2以上150g/m2以下が更に好ましい。20g/m2以上とすることでシリコーン樹脂をコートしたときに裏抜けして得られた第2カバーの意匠性が低下する虞を防止し、3000g/m2以下とすることで第2カバーの全体厚みが厚くなり折り曲げに対する強度が高くなりすぎ、商品梱包時に折り曲げた状態にし難くなる虞を防止すると共に、材料コスト面で有利となる。シリコーン樹脂のコート量も特に限定されないが、20g/m2以上500g/m2以下が好ましく、この範囲内であれば優れた防汚性能を発揮することが可能となる。50g/m2以上200g/m2以下がより好ましく、150g/m2以下が更に好ましい。20g/m2以上とすることでシリコーン樹脂がガラス繊維を十分にコートしきれずに第2カバー表面にガラス繊維が突き出した状態になる虞を防止し、500g/m2以下とすることで第2カバーの全体厚みが厚くなり折り曲げに対する強度や反発力が高くなりすぎ、商品梱包時に折り曲げた状態にし難くなる虞を防止すると共に、材料コスト面で有利となる。また、第2カバーの表面及び裏面にコートするシリコーン樹脂の組成や分子量等をそれぞれ変更することで表面性状を制御しても良い。例えば、トッププレートに接する面である裏面はタック性を向上させて滑り難くすることでトッププレートからのずれを抑制し、一方でその反対面である表面は滑り易くすることで表面に付着する油汚れ等の除去をし易くしても良い。
【0055】
次に、
図6はこの発明の第2の実施の形態のガスレンジ用トッププレート覆いの概略形状を示す平面図である。
【0056】
この第2の実施の形態のトッププレート覆い31の基本的な構成は上述した第1の実施の形態のトッププレート覆い1と同様であるため、差異点を中心に以下説明する。
【0057】
同図を参照して、トッププレート覆い31は、2個の第1シート本体43a、43bを有する第1カバー41a、41bと、第2開口52a、52bが形成された第2シート本体53を有する第2カバー51とから主に構成されている。
【0058】
使用時の設置作業に際しては、上述した第1の実施の形態のトッププレート覆い1の場合と同様に、第1カバー41a、41bの各々をガスレンジのガスバーナーに対応させて設置した後、第2カバー51を、その第2開口52a、52bに2個のガスバーナーが挿通されるように第1カバー41a、41bの上方に重ねて設置する。
【0059】
このように第1シート本体43a、43b及び第2開口52a、52bを2個とすることで、ガスバーナーが2個であるガスレンジに対しても本発明は適用可能である。
【0060】
尚、上記の実施の形態では、第1シート本体が特定の積層体構成からなるものであったが、他の構成であっても良い。例えば、ガラス繊維のような耐熱性の高い繊維からなる基層の少なくとも一方面にシリコーン樹脂のような耐熱性の高い樹脂がコーティングされたものであっても良く、このように構成することで、耐熱性に優れ、安全性が向上する。又、耐熱性の高い樹脂のみで構成されるものであっても構わない。ガラス繊維からなる基材の少なくとも一方面にシリコーン樹脂がコーティングされたものを採用する場合、このような第1シート本体のガラス繊維の繊維目付やシリコーン樹脂のコート量は特に限定されないが、第2シート本体で例示したものと同様の範囲のものが適用できる。
【0061】
又、上記の実施の形態では、第1シート本体や第2シート本体が特定の形状であったが、他の形状であっても良い。例えば第2シート本体はガスレンジのトッププレートより大きいサイズに形成し、使用時にはミシン目等により所望のサイズに切り取ることができるものであっても良い。又、第1シート本体及び第2シート本体の外縁に微細な平面視凹凸形状を設けることで取り扱い時の安全性を高めても良い。
【0062】
更に、上記の実施の形態では、開口補助線がミシン目であったが、切り取る箇所を補助や誘導するものであれば良く、例えば厚さ方向の中間まで形成された切れ目やプレス形成による罫線や単に印刷等により描かれた線や模様であっても良い。又、開口補助線は無くてもよい。例えば、使用者が設置時に第1シート本体の第1開口をガスバーナーに合わせて第1シート本体の第1開口近傍の不要な箇所を切り取ったり、別途で準備されたガスバーナーの大きさに対応した切り取り線が印刷された台紙と第1シート本体を合わせて台紙の切り取り線に沿って第1開口の近傍の不要な箇所を切り取ったりして第1シート本体を設置してもよい。
【0063】
更に、上記の実施の形態では、複数個の開口補助線はそれぞれ同心円状に形成されていたが、非同心円状に形成されていても良い。
【0064】
更に、上記の実施の形態では、開口補助線は特定の個数及び位置に形成されていたが、その個数や位置は特に限定されるものでなく、少なくとも1つ形成されていれば良い。
【0065】
更に、上記の実施の形態では、奥側の第1カバーの第1シート本体は外方がミシン目に沿って切り取られていたが、外方側の全周の切り取りに代えて、第2カバーの第2シート本体からはみ出る部分のみを切除したり、折り曲げたりしても良い。又、第1カバーの複数個の第1シート本体同士は、設置時に重複する部分があっても良い。
【0066】
更に、上記の実施の形態では、第1カバー及び第2カバーの開口は円形であったが、その形状は特に限定されるものではなく、楕円形や多角形など種々の開口形状とすることもできる。
【0067】
更に、上記の実施の形態では、第1カバーは平面視円形であったが、その形状は特に限定されるものでなく、楕円形や多角形など所望の形状とすることもできる。
【0068】
更に、上記の実施の形態では、第2カバーは平面視矩形形状であったが、その形状は特に限定されるものでなく、楕円形や多角形など所望の形状とすることもできる。
【0069】
更に、上記の実施の形態では、第1カバー及び第2カバーは2個又は3個のガスバーナーに対応していたが、少なくとも1つのガスバーナーを有するガスレンジに対応するものであれば良い。又、4個以上のガスバーナーを有するガスレンジに対応するものであっても良い。更に、第1カバーの第1シート本体や第2カバーの第2開口はガスバーナーと同数であったが、ガスバーナーの個数より多くして余剰分を設ける場合もガスバーナーに対応することに含まれる。
【0070】
更に、上記の実施の形態では、第2カバーは第1カバーの上方に重ねて設けられていたが、第1カバーの下方に重ねて設けられるものであっても良い。
【0071】
更に、上記の実施の形態において、第1シート本体や第2シート本体の表面に耐熱インキ等によって絵柄や情報表示等が印刷されていても良い。
【0072】
更に、上記の実施の形態において、第2シート本体表面のシリコーン樹脂コートの組成を変更しても良い。例えば、トッププレートに接する面は滑り難くすることでトッププレートからのずれを抑制し、一方でその反対面は滑り易くすることで表面に付着して油汚れ等の除去をし易くしても良い。
【0073】
更に、上記の実施の形態において、第1カバーと第2カバーとが脱着自在でなく固定や一体化されていても良い。
【符号の説明】
【0074】
1、31…トッププレート覆い
11、41…第1カバー
12、42…第1開口
13、43…第1シート本体
14~17、19…ミシン目
18…罫線
20…外周端部
21、51…第2カバー
22、52…第2開口
23、53…第2シート本体
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。