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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】コンロ用パッキン
(51)【国際特許分類】
   F24C 15/08 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
F24C15/08 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020094839
(22)【出願日】2020-05-29
(65)【公開番号】P2021188839
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000222141
【氏名又は名称】東洋アルミエコープロダクツ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 義孝
(74)【代理人】
【識別番号】100206195
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100224650
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 晴加
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【識別番号】100175662
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 英明
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】中川 圭一
(72)【発明者】
【氏名】木村 将俊
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-293822(JP,A)
【文献】特開2014-122303(JP,A)
【文献】実開平06-010493(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 15/06-15/10
C09K 3/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
調理設備のワークトップと、このワークトップにドロップイン式で設置され前記ワークトップの表面に係止するユニット周縁部を備えたコンロユニットとの境界部分に取付されるパッキン本体を有するコンロ用パッキンであって、
前記パッキン本体は、
前記ユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有し、
幅方向の中間部位に長手方向に沿って連続して形成された折り曲げ部と、
前記折り曲げ部の一方側に隣接し前記ワークトップの表面に配置される第1の部分と、
前記折り曲げ部の他方側に隣接し前記ユニット周縁部の表面に配置される第2の部分とを備え、
前記折り曲げ部の厚みは、前記第1の部分及び前記第2の部分の最大厚みよりも薄いものであり
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方が、裏面はフラットであり、表面は前記裏面に対し平行でない傾斜面であり、前記折り曲げ部の近傍に最大厚み部分を有し、前記最大厚み部分から端縁部に向かって厚みが連続的に減少するテーパ形状に形成されている、
コンロ用パッキン。
【請求項2】
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記折り曲げ部の中間位置を通る面に対し面対称な形態に形成されている、請求項1記載のコンロ用パッキン。
【請求項3】
前記折り曲げ部は、前記パッキン本体の表面及び裏面の少なくとも一方側に形成され、前記第1の部分と前記第2の部分とで挟まれた溝を備える、請求項1又は請求項2記載のコンロ用パッキン。
【請求項4】
前記パッキン本体は、その表面及び裏面の両方側に前記溝を有している、請求項3記載のコンロ用パッキン。
【請求項5】
調理設備のワークトップと、このワークトップにドロップイン式で設置され前記ワークトップの表面に係止するユニット周縁部を備えたコンロユニットとの境界部分に取付されるパッキン本体を有するコンロ用パッキンであって、
前記パッキン本体は、
前記ユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有し、
幅方向の中間部位に長手方向に沿って連続して形成された折り曲げ部と、
前記折り曲げ部の一方側に隣接し前記ワークトップの表面に配置される第1の部分と、
前記折り曲げ部の他方側に隣接し前記ユニット周縁部の表面に配置される第2の部分とを備え、
前記折り曲げ部の厚みは、前記第1の部分及び前記第2の部分の最大厚みよりも薄いものであり、
前記第1の部分及び前記第2の部分の少なくとも一方が、裏面はフラットであり、表面は前記裏面に対し平行でない傾斜面であり、前記折り曲げ部の近傍に最大厚み部分を有し、前記最大厚み部分から端縁部に向かって厚みが連続的に減少するテーパ形状に形成されており、
前記折り曲げ部は、前記パッキン本体の表面及び裏面に形成され、前記第1の部分と前記第2の部分とで挟まれた溝を備え、
前記パッキン本体の表面側の前記溝の幅寸法が、裏面側の前記溝の幅寸法以上に設定されている、コンロ用パッキン。
【請求項6】
前記パッキン本体は透光性を有している、請求項1から請求項のいずれかに記載のコンロ用パッキン。
【請求項7】
前記パッキン本体は、その裏面が粘着性を有する、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコンロ用パッキン。
【請求項8】
前記パッキン本体の裏面に配置された剥離シートを更に含む、請求項1から請求項7のいずれかに記載のコンロ用パッキン。
【請求項9】
前記第1の部分と前記第2の部分とは、前記折り曲げ部の中間位置を通る面に対し面対称な形態に形成されている、請求項5記載のコンロ用パッキン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコンロ用パッキンに関し、特に調理設備のワークトップにドロップイン式で設置されたコンロユニットとワークトップとの境界部分に取付されるコンロ用パッキンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7は、特許文献1に従来例として示されたコンロ台の要部を示す斜視図であり、図8は、図7のY-Y線で切断した断面図である。
【0003】
システムキッチンに代表される調理設備は主としてシンク、作業台、コンロ台で構成される。図7及び図8を参照して、コンロ台10は、複数のガスコンロ又はIHコンロ23(IHクッキングヒーターとも言う)を天板21やフレーム22で一体化したコンロユニット20を、キャビネット11のワークトップ30に形成した開口部31へ嵌め込んで固定する、いわゆるドロップイン式で製作されるものが多い。ドロップイン式でワークトップ30に組み付けられるコンロユニット20は、通常、上面側におけるユニット周縁部20aをワークトップ30の開口部31よりも大きく形成して、このユニット周縁部20aがワークトップ30の表面に係止するよう設計される。又、ユニット周縁部20aとワークトップ30との間には、両者が直接接触して互いに損傷するのを防止するためゴムパッキン40等が配置されるが、その結果、ユニット周縁部20aとワークトップ30の表面との境界部分に隙間50が生じ、この隙間50にゴミや汚れ等が入り込み蓄積するという問題が生じていた。
【0004】
この問題を解決する手段として、特許文献1では、コンロユニットのユニット周縁部とワークトップの表面との境界部分を覆うコンロ用パッキン(従来例1)が提案されている。このコンロ用パッキンは、スチレン系樹脂の押出成形により製作した変形自在な棒状体よりなり、全体が一定の粘着性を有しており、ユニット周縁部と接触する面には突起部が形成される。従来例1のコンロ用パッキンは、その粘着性によって、ユニット周縁部とワークトップとの境界部分に押し付けることで取付することができ、その際、突起部を境界部分の隙間に挿入させることで、取付状態の安定性と仕上げの美麗さとが得られるようになされている。
【0005】
ところで近年、コンロユニットとワークトップとの境界部分の隙間を従前より小さくした又は全く無くしたコンロ台が開発されている。この種のコンロ台に対し、従来例1のコンロ用パッキンでは、その突起部をユニット周縁部とワークトップとの境界部分に挿入させるのが困難なため、確実な取付状態を得るのが難しくなる。そこで、この種のコンロ台に対応するため、特許文献2では、隙間の大きさに応じて変形し得る突起部を備えたコンロ用パッキン(従来例2)が提案されている。この従来例2では、取付の際、コンロユニットとワークトップとの境界部分へコンロ用パッキンを押し付けることにより突起部を変形させて、適切な取付状態を得ることができるとされている。
【0006】
又、特許文献3には、外表面が傾斜部で形成され、ワークトップに接する載置部と、ユニット周縁部に接する第1突起部及び第2突起部とを有するコンロ用パッキン(従来例3)が記載されている。このコンロ用パッキンは、ユニット周縁部とワークトップとに対して、第1突起部、第2突起部、及び載置部の各々が接する部分が粘着性を有するアクリル系エラストマーで形成され、その他の部分は、脂肪酸アミドを含有させて非粘着性としたアクリル系エラストマーで形成されている。これにより傾斜部の外表面の滑り性が向上するため、傾斜部の表面を指で滑らかになぞりながら第1突起部をユニット周縁部とワークトップとの隙間に押しつけて効率良く嵌め込むことができる。従来例3によれば、コンロ用パッキンの外表面の滑り性が良好なため、指先で押圧しながらなぞる作業を円滑に行えるので、効率の良い取付が可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2009-293822号公報
【文献】特開2013-007537号公報
【文献】特開2015-28389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来例2のコンロ用パッキンは、従来例1の問題点を解決するが、断面形状が複雑なために上下や表裏の区別が分かりにくく、使用者が取り付け方向を間違えて、適切に取付できなくなるおそれがある。又、軟質樹脂で製作されることにより表面が少なからずタック性(粘着性)を備えている。このため、表面の滑り性が劣っているので、取付するにあたり外側に面する表面を指先で押圧しながらなぞる作業が困難になり、取付に時間がかかるという問題を生じさせていた。更に、加熱調理時にコンロから生じる熱の影響を長期間受けることで、隙間に入り込ませた突起部が経時により変質し、それにより交換のためコンロ用パッキンを取り外す際に突起部が切れて隙間に残留し、結果的に取り外し作業の手間を増大させるおそれがある。更に又、コンロユニットとワークトップとの境界部分に隙間が無いタイプのコンロ台に適用した場合は、ユニット周縁部に接する側の突起部が折り畳まれた変形状態で取付されることになるが、コンロ用パッキンの硬度によっては折り畳まれた突起部が元の形状に復元しようとする反発力が大きくなり、その結果、コンロ用パッキンとユニット周縁部との間に浮きや隙間を生じさせて、本来の機能を発揮できないという問題を生じさせるおそれがある。
【0009】
他方、従来例3のコンロ用パッキンの場合、滑り性を向上させるためにスリップ剤として脂肪酸アミド等を配合し非粘着性としているが、経時変化によりコンロ用パッキンの表面にスリップ剤成分がブリードするおそれがある。これにより、コンロ用パッキンの美観性が損なわれたり、ブリードしたスリップ剤成分により汚れが付着し易くなったりする等の問題を生じさせるおそれがある。
【0010】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、コンロユニットとワークトップとの境界部分に隙間が有っても無くても、効率的な取付が可能なコンロ用パッキンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、調理設備のワークトップと、このワークトップにドロップイン式で設置されワークトップの表面に係止するユニット周縁部を備えたコンロユニットとの境界部分に取付されるパッキン本体を有するコンロ用パッキンであって、パッキン本体は、ユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有し、幅方向の中間部位に長手方向に沿って連続して形成された折り曲げ部と、折り曲げ部の一方側に隣接しワークトップの表面に配置される第1の部分と、折り曲げ部の他方側に隣接しユニット周縁部の表面に配置される第2の部分とを備え、折り曲げ部の厚みは、第1の部分及び第2の部分の最大厚みよりも薄いものであり、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方が、裏面はフラットであり、表面は裏面に対し平行でない傾斜面であり、折り曲げ部の近傍に最大厚み部分を有し、最大厚み部分から端縁部に向かって厚みが連続的に減少するテーパ形状に形成されているものである
【0012】
このように構成すると、パッキン本体は、ユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有するので、コンロユニットとワークトップとの境界部分の形態に合わせることができる。折り曲げ部の厚みが第1の部分及び第2の部分の最大厚みよりも薄く形成されているので、折り曲げ部でパッキン本体を折り曲げて、第1の部分と第2の部分との成す角度を所要の角度に設定することができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、第1の部分と第2の部分とは、折り曲げ部の中間位置を通る面に対し面対称な形態に形成されているものである。
【0014】
このように構成すると、第1の部分と第2の部分とが面対称となるので、これらの区別がなくなる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、折り曲げ部は、パッキン本体の表面及び裏面の少なくとも一方側に形成され、第1の部分と第2の部分とで挟まれた溝を備えるものである。
【0016】
このように構成すると、パッキン本体における溝を形成した部位が折り曲げ部となる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の構成において、パッキン本体は、その表面及び裏面の両方側に溝を有しているものである。
【0018】
このように構成すると、パッキン本体を折り曲げ部で表面側へ折り曲げるのが容易になる。
【0019】
請求項5記載の発明は、調理設備のワークトップと、このワークトップにドロップイン式で設置されワークトップの表面に係止するユニット周縁部を備えたコンロユニットとの境界部分に取付されるパッキン本体を有するコンロ用パッキンであって、パッキン本体は、ユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有し、幅方向の中間部位に長手方向に沿って連続して形成された折り曲げ部と、折り曲げ部の一方側に隣接しワークトップの表面に配置される第1の部分と、折り曲げ部の他方側に隣接しユニット周縁部の表面に配置される第2の部分とを備え、折り曲げ部の厚みは、第1の部分及び第2の部分の最大厚みよりも薄いものであり、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方が、裏面はフラットであり、表面は裏面に対し平行でない傾斜面であり、折り曲げ部の近傍に最大厚み部分を有し、最大厚み部分から端縁部に向かって厚みが連続的に減少するテーパ形状に形成されており、折り曲げ部は、パッキン本体の表面及び裏面に形成され、第1の部分と第2の部分とで挟まれた溝を備え、パッキン本体の表面側の溝の幅寸法が、裏面側の溝の幅寸法以上に設定されているものである
請求項6記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の構成において、パッキン本体は透光性を有しているものである。
【0020】
このように構成すると、パッキン本体を通して、ワークトップとコンロユニットとの境界部分の位置を視覚的に把握することができる。
【0023】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の構成において、パッキン本体は、その裏面が粘着性を有するものである。
【0024】
このように構成すると、裏面の粘着性により、第1の部分をワークトップの表面に貼り付けると共に、第2の部分をユニット周縁部の表面に貼り付けることができる。
【0025】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の構成において、パッキン本体の裏面に配置された剥離シートを更に含むものである。
【0026】
このように構成すると、パッキン本体の裏面の粘着性部位が、剥離シートで覆われる。
【0027】
請求項9記載の発明は、請求項記載の発明の構成において、第1の部分と第2の部分とは、折り曲げ部の中間位置を通る面に対し面対称な形態に形成されているものである。
【0028】
このように構成すると、第1の部分と第2の部分とが面対称となるので、これらの区別がなくなる。
【発明の効果】
【0029】
請求項1記載の発明は、折り曲げ部を折り曲げることにより第1の部分と第2の部分との成す角度を変更可能な構造としたので、コンロユニットとワークトップとの境界部分に隙間が有る場合及び隙間が無い場合のいずれであっても、パッキン本体で境界部分を確実に覆うことが可能である。又、折り曲げ部によりパッキン本体の折り曲げ位置を視覚的に把握しやすくなるから、折り曲げ部を目印にすることで、パッキン本体を適切な取付位置に配置するのが容易になる。又、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方において、パッキン本体の中央部から端縁部に向かって厚みが減少するテーパ形状としたので、取付後における第1の部分の外表面と第2の部分の外表面との成す角度が直角よりもやや大きい鈍角となるので、コンロ用パッキンの汚れを拭き取る際に、折り曲げ部の汚れを取り除き易くなる。更に、端縁部の厚みが薄くなることで、この部分に汚れが蓄積しにくくなる等の利点が得られる。
【0030】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、折り曲げ部を挟んで面対称な部分のどちらを第1の部分、第2の部分としてもよいから、取付作業時にパッキン本体の向きに注意する必要がなくなり、コンロ用パッキンの取付作業能率が向上する。
【0031】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、溝の深さや厚みにより折り曲げ部の厚みや形成範囲を設計して、パッキン本体の変形性を調整することが可能である。又、折り曲げ部が溝を備えることにより、折り曲げ部の位置を視覚的及び触覚的に把握するのがより簡単になるから、コンロ用パッキンの取付作業効率が向上する。
【0032】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明の効果に加えて、取付のより容易なコンロ用パッキンを提供できる。折り曲げ部が表裏面の両方に溝を備えることにより、折り曲げ位置の把握が一層簡単になると共に、折り曲げ個所を容易に決定できるから、コンロ用パッキンの取付作業がより容易になる。
【0033】
請求項5記載の発明は、折り曲げ部を折り曲げることにより第1の部分と第2の部分との成す角度を変更可能な構造としたので、コンロユニットとワークトップとの境界部分に隙間が有る場合及び隙間が無い場合のいずれであっても、パッキン本体で境界部分を確実に覆うことが可能である。又、折り曲げ部によりパッキン本体の折り曲げ位置を視覚的に把握しやすくなるから、折り曲げ部を目印にすることで、パッキン本体を適切な取付位置に配置するのが容易になる。又、第1の部分及び第2の部分の少なくとも一方において、パッキン本体の中央部から端縁部に向かって厚みが減少するテーパ形状としたので、取付後における第1の部分の外表面と第2の部分の外表面とが成す角度が直角よりもやや大きい鈍角となるので、コンロ用パッキンの汚れを拭き取る際に、折り曲げ部の汚れを取り除き易くなる。更に、端縁部の厚みが薄くなることで、この部分に汚れが蓄積しにくくなる等の利点が得られる。更に、溝の深さや厚みにより折り曲げ部の厚みや形成範囲を設計して、パッキン本体の変形性を調整することが可能である。又、折り曲げ部が溝を備えることにより、折り曲げ部の位置を視覚的及び触覚的に把握するのがより簡単になるから、コンロ用パッキンの取付作業効率が向上する。更に、折り曲げ部が表裏面の両方に溝を備えることにより、折り曲げ位置の把握が一層簡単になると共に、折り曲げ個所を容易に決定できるから、コンロ用パッキンの取付作業がより容易になる。更に、パッキン本体を折り曲げ部で折り曲げやすくなるから、コンロ用パッキンの取付作業の効率がより向上する。
請求項記載の発明は、請求項1から請求項のいずれかに記載の発明の効果に加えて、折り曲げ部を境界部分に合致させるのが容易となるから、コンロ用パッキンを適切な取付位置に配置して、美麗な仕上がり状態を確実に得ることができる。
【0035】
請求項7記載の発明は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の発明の効果に加えて、裏面の粘着性により、パッキン本体を、容易には脱落することがないよう所定位置に取付するのが容易になる。
【0036】
請求項8記載の発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の発明の効果に加えて、粘着性部位を剥離シートで覆ったので、コンロ用パッキンの取り扱い性が向上する。
【0037】
請求項9記載の発明は、請求項記載の発明の効果に加えて、折り曲げ部を挟んで面対称な部分のどちらを第1の部分、第2の部分としてもよいから、取付作業時にパッキン本体の向きに注意する必要がなくなり、コンロ用パッキンの取付作業能率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明の第1の実施の形態によるコンロ用パッキンを、中間部を省略して示す斜視図である。
図2図1のX-X線における拡大断面図である。
図3図1のコンロ用パッキンの使用状況を示す断面図である。
図4図1のコンロ用パッキンの異なる使用状況を示す断面図である。
図5】本発明の第2の実施の形態によるコンロ用パッキンの拡大断面図である。
図6】本発明のコンロ用パッキンの更に異なる実施の形態に関するものであって、折り曲げ部とその近傍を示す断面図である。
図7】特許文献1に従来例として記載されたコンロ台の要部を示す斜視図である。
図8図6のY-Y線で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態によるコンロ用パッキンを、中間部を省略して示す斜視図であり、図2は、図1のX-X線における拡大断面図である。
【0040】
本実施の形態によるコンロ用パッキンPは、コンロ台等の調理設備のワークトップ30と、このワークトップ30にドロップイン式で設置されワークトップ30の表面に係止するユニット周縁部20aを備えたコンロユニット20との境界部分及びその近傍部分(図7図8参照)に取付されるパッキン本体1を有する。
【0041】
図1及び図2を参照して、本実施の形態のパッキン本体1は、コンロユニットのユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有する長尺物であり、幅方向の中間部位に長手方向に沿って連続して形成された、その周囲より厚みの薄い折り曲げ部2と、折り曲げ部2の一方側に隣接しワークトップの表面に配置される第1の部分1aと、折り曲げ部2の他方側に隣接しユニット周縁部の表面に配置される第2の部分1bとを備え、ワークトップ及びユニット周縁部の各表面に接する裏面1cが粘着性を有している。従って、本実施の形態では、折り曲げ部の厚みは、第1の部分および第2の部分の最大厚みよりも薄くなるように設定されている。
【0042】
ここで、折り曲げ部2の周囲とは、第1の部分1a及び第2の部分1bにおける、折り曲げ部2から連続する一定範囲の近傍領域を指すものである。従ってパッキン本体1は、第1の部分1a又は第2の部分1bから折り曲げ部2に到る間に、厚みが減少するように形成されていればよい。
【0043】
パッキン本体1の第1の部分1aと第2の部分1bとは、折り曲げ部2の中間位置を通る面に対し面対称な形態に形成されている。又、パッキン本体1の表面及び裏面には断面が略コ字状の溝3、4がそれぞれ形成され、これにより第1の部分1aと第2の部分1bとで挟まれた折り曲げ部2が形成されている。尚、本例では、表面側の溝3と裏面側の溝4の各幅寸法が略同一となるよう設計されている。又、パッキン本体1は透光性を有している。この場合、パッキン本体1は透明又は半透明とすることができ、無色でも有色でもよい。第1の部分1a及び第2の部分1bは、裏面はフラットとし表面を傾斜面とすることにより、パッキン本体1の中央部から端縁部に向かう幅方向に厚みが減少するテーパ形状に形成されている。更に、パッキン本体1の裏面1cに剥離シート6が配置され、これにより、テープ状のパッキン本体1を巻き取った状態等の取り扱いの容易な形態とすることが可能となる。
【0044】
パッキン本体1の裏面に粘着性を発現させる手段として、本例では、パッキン本体1の裏面側に、粘着性付与剤を配合した粘着層5を形成する。即ち、パッキン本体1の主要部には例えばアクリル系エラストマーを用い、裏面側の粘着層5には粘着性付与剤を配合したアクリル系エラストマーを用い、両者を共押出成形法で一体化させることにより、裏面側に粘着層5を形成している。
【0045】
パッキン本体の寸法は、適用対象のコンロ台に応じ適宜設定されるものであり、例えば、幅寸法が10~20mm、溝の幅寸法が1~5mm、長さはコンロの全周囲に取り付け可能な長さとされる。本例では、パッキン本体を、幅寸法=約15mm、最大厚み=約1mm、表面及び裏面の各溝の幅寸法=約2mm、長さ=約2.5mの成形体とした。
【0046】
図3は、図1のコンロ用パッキンの使用状況を示す断面図であり、図4は、図1のコンロ用パッキンの異なる使用状況を示す断面図である。図3図4とは、ユニット周縁部20aとワークトップ30との境界部分における隙間50の有無において相違が有る。
【0047】
ユニット周縁部20aとワークトップ30との境界部分及びその近傍部分を全周にわたり覆うように取付されるコンロ用パッキンPは、その長さが、一般的なコンロユニットのユニット周縁部の外周長さよりも十分長くなるように設定される。これにより、通常のコンロユニットに対しては、1本のコンロ用パッキンPで対応可能となる。
【0048】
コンロ用パッキンPの取付作業は概ね以下のような手順で行われる。この手順は、図3の場合及び図4の場合において実質的に共通である。
【0049】
始めにパッキン本体1から剥離シート6を一部剥離して粘着層5を一部露出させる。そして、長手方向の端部から順に、パッキン本体1の折り曲げ部2をユニット周縁部20aとワークトップ30との境界部分に沿わせるようにして位置合わせして、折り曲げ部2を折り曲げながら、第1の部分1aの裏面の粘着層5aをワークトップ30における境界部分の近傍部分の表面に押し当てると共に、第2の部分1bの裏面の粘着層5bをユニット周縁部20aにおける境界部分の近傍部分の表面に貼り付け、これらに表面側から押圧力を加える。引き続き、残りの剥離シート6を剥離して粘着層5を露出させつつ、折り曲げ部2を境界部分に沿わせながら、第1の部分1a及び第2の部分1bの表面を指先で押圧しつつ長手方向へなぞっていく。これにより、折り曲げ部2で適切に折り曲げられた状態のパッキン本体1を、ユニット周縁部20aとワークトップ30との境界部分及びその近傍部分の全周にわたり覆うように取付けることができる。最後に、パッキン本体1の終端部を、取付開始位置におけるパッキン本体1の始端側部分の上に一部重ね、押圧力を加えて密着させた後、残余部分を切断し、取付作業を完了する。
【0050】
本実施の形態のコンロ用パッキンPは、以下に述べるような作用・効果を奏する。
【0051】
パッキン本体がユニット周縁部の外周面形状に合わせて変形可能なテープ状の形態を有するので、コンロユニットとワークトップとの境界部分の形態にパッキン本体を容易且つ確実に合致させることができる。折り曲げ部は厚みが薄く形成されているので、折り曲げ部でパッキン本体を折り曲げて、第1の部分と第2の部分との成す角度を所要の角度に設定することができる。折り曲げ部が、パッキン本体における折り曲げ位置を視覚的に示す目印となるから、パッキン本体を適切な取付位置に配置するのが容易になる。折り曲げ部をこのような構成としておけば、例えば、パッキン本体が無色透明であったとしても、折り曲げ部の厚みが薄いため、パッキン本体の他の部分と光の透過度合いの違いにより折り曲げ部を視覚的に識別することが可能となる。又、裏面の粘着性により、第1の部分をワークトップの表面に貼り付けると共に第2の部分をユニット周縁部の表面に貼り付けることができる。これらにより、ユニット周縁部の表面とワークトップの表面とが成す角度に合わせて第1の部分と第2の部分とを折り曲げた状態で、パッキン本体をコンロユニットとワークトップとの境界部分及びその近傍部分に沿って容易且つ確実に貼り付けることができる。貼り付けられたパッキン本体は、境界部分及びその近傍部分にゴミや汚れが付着したり侵入したりするのを防止する。
【0052】
従来例2と比較すると、本例のコンロ用パッキンPは、折り曲げ部を折り曲げることにより境界部分に沿うように取り付けることができるので、コンロユニットとワークトップとの境界部分に隙間が有る場合及び隙間が無い場合のいずれであっても、パッキン本体で境界部分を確実に覆うことが可能であり、脱落のおそれもないという利点を有する。又、境界部分に隙間が有る場合において、パッキン本体はこの隙間に挿入される部分を持たないので、コンロ用パッキンを取り外したときに隙間内に残留物を生じさせるそれがないから、除去作業を容易に行えるという利点も有している。
【0053】
従来例3と比較すると、本例のコンロ用パッキンPは、パッキン本体を取付する際にコンロユニットとワークトップとの境界部分の隙間に突起部を押し込む必要がないから、第1の部分及び第2の部分の表面に高い滑り性が要求されることがない。その結果、スリップ剤の添加が不要になるから、ブリード現象の発生を回避できるという利点を有している。又、スリップ剤を配合しないから、スリップ剤が粘着層へ移行することにより粘着性を経時的に低減させるという問題も生じさせない。
【0054】
更に本例では、第1の部分と第2の部分とを面対称としたので、これらの区別がなくなる。これにより、折り曲げ部を挟んで面対称な部分のどちらを第1の部分、第2の部分としてもよいから、取付作業時にパッキン本体の向きに注意する必要がなくなり、コンロ用パッキンの取付作業能率が向上する。特に、コンロ用パッキンをコンロユニットに対し時計回りでも反時計回りでも取付できるから、使用者の利き手が左右いずれでも作業性に差異を生じないという利点を有する。
【0055】
又、パッキン本体における溝を形成した部位が折り曲げ部となるが、溝の深さや厚みにより折り曲げ部の厚みや形成範囲を設計して、パッキン本体の折り曲げ性を調整することが可能である。更に、折り曲げ部が溝を備えることにより、折り曲げ部の位置を視覚的及び触覚的に把握するのがより簡単になるから、コンロ用パッキンの取付作業効率が向上する。これらの効果は、溝を表裏面両方に形成することにより、一層向上する。
【0056】
又、パッキン本体が透光性を有することにより、パッキン本体を通してワークトップとコンロユニットとの境界部分の位置を視覚的に把握することができるから、取付作業の際に、折り曲げ部を境界部分に合致させるのが容易となり、コンロ用パッキンを適切な取付位置に配置して、美麗な仕上がり状態を確実に得ることができる。
【0057】
パッキン本体の断面形状を、第1の部分及び第2の部分を、裏面はフラットとし表面を傾斜面とすることにより、中央部から端縁部に向かって厚みが減少するテーパ形状となるように形成したので、第1の部分及び第2の部分の厚みが段階的に薄くなるから、取付後における第1の部分の外表面と第2の部分の外表面とが成す角度が直角よりもやや大きい鈍角となるので、コンロ用パッキンの汚れを拭き取る際に、折り曲げ部の汚れを取り除き易くなる。又、端縁部の厚みが薄くなることで、この部分に汚れが蓄積しにくくなる等の利点が得られる。更に、製造原料の使用量を節減して、製造コストを抑制できる。
【0058】
パッキン本体の裏面側に形成した粘着層はパッキン本体と一体化されているから、使用後にコンロ用パッキンを取り外すときに粘着層が分離することが無く、ワークトップやコンロユニットの表面に糊残りを生じさせるおそれがない。
【0059】
境界部分に隙間が有る場合及び隙間が無い場合の両方のタイプのコンロに適用でき、いずれの場合にも同等のシール性能を発揮させることができる。このことから、本例のコンロ用パッキンは、様々な仕様の調理設備へ適用可能であることが理解される。
【0060】
[第2の実施の形態]
図5は、本発明の第2の実施の形態によるコンロ用パッキンの拡大断面図である。
【0061】
本実施の形態は、パッキン本体1における第1の部分1a及び第2の部分1bの厚み寸法を中央部から端部に渡りほぼ均一に形成したものである。
この実施の形態によれば、長尺平板状のパッキン本体1の中央に折り曲げ部としての溝3、4を形成するだけよく、非常にシンプルな形状となるので製造が簡便にできる。
【0062】
[その他の実施の形態]
図6は、本発明のコンロ用パッキンの更に異なる実施の形態に関するものであって、折り曲げ部とその近傍を示す断面図である。
【0063】
図6の(A)に示す実施の形態は、パッキン本体1の表面及び裏面の両方側に溝3、4を形成する場合において、表面側の溝3の幅寸法W1を、裏面側の溝4の幅寸法W2以上に設定したものである。具体的には、W1:W2の比率を、1:0.9~1:0.5の範囲となるように設定する。このようにすると、パッキン本体を表面側へ折り曲げるのが容易になるから、取付の容易なコンロ用パッキンを提供できる。
【0064】
図6の(B)に示す実施の形態は、パッキン本体1の裏面側に形成する溝7を、断面櫛歯状に形成したものである。このような形態の溝7であっても、折り曲げ部2を容易に折り曲げることが可能である。
【0065】
図6の(C)に示す実施の形態は、パッキン本体1の表面側にのみに溝3を形成したものである。この場合、溝3の深さは、表裏両面に溝を形成する場合よりも大きくするのが好ましい。少なくともパッキン本体1の表面側に溝3が形成されていれば、折り曲げ部の折り曲げ易さが担保される。
【0066】
尚、溝については、パッキン本体の裏面側にのみ形成することも可能である。溝の断面形状は、例示した略コ字状のほか、V字状、U字状、半円状や、これらを組み合わせた形状としてもよい。
【0067】
又、上記の実施の形態では、パッキン本体の第1の部分と第2の部分とを面対称に形成したが、これに限定されず、非対称の形態としてもよい。具体的には、第1の部分と第2の部分とで、幅寸法や厚み寸法、断面形状等を異ならせてもよい。
【0068】
又、上記の実施の形態では、折り曲げ部は幅方向の中間部位に1つ形成されていたが、複数形成されていてもよい。また、折り曲げ部に形成される溝を複数形成してもよい。
【0069】
又、折り曲げ部の厚みは、少なくとも一部が第1の部分及び第2の部分の最大厚みよりも薄く設定されている部分があればよく、折り曲げ部の一部に第1の部分及び第2の部分の最大厚み以上の厚みを有する部分を備えることを排除するものではない。
【0070】
又、第1の部分及び第2の部分を端縁へ向かって厚みが減少するテーパ形状とする場合、上記の実施の形態では、パッキン本体の裏面がフラットであり表面が傾斜する形態のテーパ状としたが、これとは反対に、表面がフラットであり裏面が傾斜する形態としてもよく、或いは表裏面両方が傾斜してもよい。いずれにしてもテーパ形状化することで、清掃がし易くなると共に、軽量化、製造コストの削減等の利点が得られる。
【0071】
パッキン本体は透光性を有するものとしたが、非透光性であってもよい。
【0072】
裏面に粘着性を付与する手段として、裏面に粘着剤を塗布する方法や、裏面に両面粘着テープを配設する方法等を採用してもよい。
【0073】
剥離シートを備える場合、パッキン本体とは異なる彩色を施してもよい。通常、パッキン本体は取付時に目立たないよう無色とする場合が多いので、剥離シートを着色することにより、パッキン本体と剥離シートとを視覚的に区別し易くなる。
【0074】
上記の実施の形態では、コンロ用パッキンを合成樹脂の押出成形法で製作しているが、他の成形法で製作してもよい。又、基剤の合成樹脂としてアクリル系エラストマー以外の樹脂を用いてもよい。
【符号の説明】
【0075】
P…コンロ用パッキン
1…パッキン本体
1a…第1の部分
1b…第2の部分
1c…裏面
2…折り曲げ部
3…溝(表面側)
4…溝(裏面側)
5(5a、5b)…粘着層
6…剥離シート
7…溝(櫛歯状)
10…コンロ台
11…キャビネット
20…コンロユニット
20a…ユニット周縁部
21…天板
22…フレーム
23…IHコンロ
30…ワークトップ
31…開口部
40…ゴムパッキン
50…隙間
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8