(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】ループ方向性結合器
(51)【国際特許分類】
H01P 5/18 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
H01P5/18 P
(21)【出願番号】P 2020113221
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長瀬 健司
【審査官】赤穂 美香
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0046620(US,A1)
【文献】特開2014-123831(JP,A)
【文献】特開2021-118513(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0234248(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01P 5/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主線路部と、第1副線路部及び第2副線路部を含む副線路部と、前記主線路部と前記副線路部との間に設けられた結合線路部を含むループ線路部と、を備え、
前記主線路部は、第1金属ブロックを用いた導波管線路により構成されており、
前記副線路部は、第2金属ブロックを用いた同軸線路により構成されており、
前記ループ線路部は、多層基板を用いたストリップ線路により構成
され、
前記ループ線路部は、前記結合線路部と前記第1副線路部及び前記第2副線路部の各々との間に設けられた接続線路部を含み、
前記接続線路部の線路長は、前記第1副線路部と前記第2副線路部との配置間隔が1波長間隔以上となる値に設定されている、
ループ方向性結合器。
【請求項2】
前記多層基板における前記結合線路部の周囲に複数本のスルーホールが配列されていることにより、前記主線路部と前記副線路部との間における結合空間が形成されるものであることを特徴とする
請求項1記載のループ方向性結合器。
【請求項3】
前記第1金属ブロックにおける前記多層基板に対する対向面部が平面状であることを特徴とする請求項1
又は請求項2記載のループ方向性結合器。
【請求項4】
前記第1金属ブロックに対する前記第2金属ブロック及び前記多層基板の取付け角度が調整自在であることにより、前記主線路部に対する前記結合線路部の傾き角度が調整自在であることを特徴とする請求項1から
請求項3のうちのいずれか1項記載のループ方向性結合器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ループ方向性結合器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ループ方向性結合器が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。ループ方向性結合器は、例えば、無線通信装置における送信機とアンテナとの間に設けられるものである。かかるループ方向性結合器を用いることにより、送信機による出力電力を監視することができるとともに、アンテナによる反射電力を監視することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、ループ方向性結合器は、1本の主線路の機能を果たす線路部(以下「主線路部」という。)を有するものであり、かつ、2本の副線路の機能を果たす線路部(以下「副線路部」という。)を有するものである。また、ループ方向性結合器は、主線路部と副線路部との間における電磁結合用の線路部(以下「結合線路部」という。)を有するものである。ループ方向性結合器における結合線路部は、ループ状の線路部(以下「ループ線路部」という。)のうちの少なくとも一部により構成されている。
【0005】
従来のループ方向性結合器における主線路部は、金属ブロック(以下「第1金属ブロック」という。)を用いた導波管線路により構成されている。また、従来のループ方向性結合器における副線路部は、他の金属ブロック(以下「第2金属ブロック」という。)を用いた同軸線路により構成されている。すなわち、第2金属ブロックに2個の貫通孔が設けられており、当該2個の貫通孔に2本の金属線がそれぞれ通されている。このようにして、副線路部が構成されている。
【0006】
ここで、従来のループ方向性結合器においては、第1金属ブロックにおける第2金属ブロックに対する対向面部又は第2金属ブロックにおける第1金属ブロックに対する対向面部に凹部が形成されている。例えば、特許文献1記載のループ方向性結合器においては、第2金属ブロックにおける第1金属ブロックに対する対向面部に凹部が形成されている。また、従来のループ方向性結合器においては、当該凹部の内部に他の金属ブロック(以下「第3金属ブロック」という。)が設けられている。第3金属ブロックにより、上記2本の金属線が互いに電気的に接続されている。
【0007】
すなわち、従来のループ方向性結合器においては、上記凹部により、主線路部と副線路部との間における電磁結合用の空間(以下「結合空間」という。)が形成されるものである。また、従来のループ方向性結合器におけるループ線路部は、上記凹部の内部に第3金属ブロックが設けられた構造による同軸線路により構成されている。
【0008】
従来のループ方向性結合器を製造するとき、ループ線路部を実現するための金属加工が要求される。すなわち、第1金属ブロック又は第2金属ブロックに上記凹部を形成する金属加工が要求されるとともに、第3金属ブロックを形成する金属加工が要求される。ここで、使用される周波数(以下「使用周波数」という。)が高いとき、ループ線路部のサイズが小さいことにより、かかる金属加工が困難である。したがって、従来のループ方向性結合器においては、特に使用周波数が高いとき、製造が困難であるという問題があった。
【0009】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、使用周波数に対して製造が容易な構造を有するループ方向性結合器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示に係るループ方向性結合器は、主線路部と、第1副線路部及び第2副線路部を含む副線路部と、主線路部と副線路部との間に設けられた結合線路部を含むループ線路部と、を備え、主線路部は、第1金属ブロックを用いた導波管線路により構成されており、副線路部は、第2金属ブロックを用いた同軸線路により構成されており、ループ線路部は、多層基板を用いたストリップ線路により構成され、ループ線路部は、結合線路部と第1副線路部及び第2副線路部の各々との間に設けられた接続線路部を含み、接続線路部の線路長は、第1副線路部と第2副線路部との配置間隔が1波長間隔以上となる値に設定されているものである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、上記のように構成したので、使用周波数に対して製造が容易な構造を有するループ方向性結合器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施の形態1に係るループ方向性結合器の要部を示す斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るループ方向性結合器の要部を示す断面図である。
【
図3】実施の形態1に係るループ方向性結合器における多層基板及びコネクタの要部を示す平面図である。
【
図4】比較用のループ方向性結合器の要部を示す斜視図である。
【
図5】比較用のループ方向性結合器の要部を示す断面図である。
【
図6】実施の形態1に係るループ方向性結合器において、多層基板を用いることにより電磁波が遮断されることを示す説明図である。
【
図7】比較用のループ方向性結合器において、第1金属ブロックにおける第2金属ブロックに対する対向面部が非平面状であることを示す説明図である。
【
図8】実施の形態1に係るループ方向性結合器において、第1金属ブロックにおける多層基板に対する対向面部が平面状であることを示す説明図である。
【
図9】実施の形態1に係る他のループ方向性結合器の要部を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るループ方向性結合器の要部を示す斜視図である。
図2は、実施の形態1に係るループ方向性結合器の要部を示す断面図である。
図3は、実施の形態1に係るループ方向性結合器における多層基板及びコネクタの要部を示す平面図である。
図1~
図3を参照して、実施の形態1に係るループ方向性結合器について説明する。
【0014】
ループ方向性結合器1は、主線路部2を有するものである。主線路部2は、第1金属ブロックB1を用いた導波管線路により構成されている。
【0015】
ループ方向性結合器1は、副線路部3を有するものである。副線路部3は、2個の副線路部4を含むものである。すなわち、副線路部3は、第1副線路部4_1及び第2副線路部4_2を含むものである。副線路部3は、第2金属ブロックB2を用いた同軸線路により構成されている。より具体的には、第2金属ブロックB2に2個の貫通孔H1_1,H1_2が設けられている。貫通孔H1_1に金属線W_1が通されていることにより、第1副線路部4_1が構成されている。貫通孔H1_2に金属線W_2が通されていることにより、第2副線路部4_2が構成されている。
【0016】
ループ方向性結合器1は、ループ線路部5を有するものである。ループ線路部5は、多層基板B3を用いたストリップ線路により構成されている。多層基板B3は、第1金属ブロックB1と第2金属ブロックB2との間に設けられている。多層基板B3の表面部には、ストリップ線路における地導体の機能を果たす金属パターンP1_1が設けられている。多層基板B3の裏面部には、ストリップ線路における地導体の機能を果たす金属パターンP1_2が設けられている。金属パターンP1_1と金属パターンP1_2とは、スルーホールH2により電気的に接続されている。
【0017】
多層基板B3の内部には、ストリップ線路における信号導体の機能を果たす金属パターンP2が設けられている。金属パターンP2により、第1副線路部4_1の一端部(より具体的には金属線W_1の一端部)と第2副線路部4_2の一端部(より具体的には金属線W_2の一端部)とが電気的に接続されている。
【0018】
第1副線路部4_1の他端部にコネクタ6_1が設けられており、かつ、第2副線路部4_2の他端部にコネクタ6_2が設けられている。個々のコネクタ6は、第2金属ブロックB2の外部に突出している。
【0019】
ここで、主線路部2の側面部に開口部Aが設けられている。金属パターンP2は、開口部Aにより主線路部2に対して電磁的に結合する部位(図中P2_1)を含むものである。すなわち、かかる金属パターンP2_1により、結合線路部7の要部が構成されている。金属パターンP2_1の長手方向は、主線路部2の管軸方向に対して傾いている。図中、θは、かかる傾き角度を示している。傾き角度θが変化することにより、ループ方向性結合器1の性能が変化するものである。
【0020】
また、スルーホールH2は、金属パターンP2_1の周囲に配列された複数本のスルーホールH2_1を含むものである。複数本のスルーホールH2_1により囲まれた領域により、主線路部2に対する結合空間Sが形成されるものである。すなわち、ループ方向性結合器1においては、多層基板B3の内部に結合空間Sが形成されるものである。
【0021】
また、金属パターンP2は、結合線路部7と第1副線路部4_1との間における接続用の線路部(以下「接続線路部」という。)8_1の機能を果たす部位(図中P2_2_1)を含むものである。また、スルーホールH2は、かかる金属パターンP2_2_1の両側に配列された複数本のスルーホールH2_2_1を含むものである。
【0022】
また、金属パターンP2は、結合線路部7と第2副線路部4_2との間における接続用の線路部(以下「接続線路部」という。)8_2の機能を果たす部位(図中P2_2_2)を含むものである。また、スルーホールH2は、かかる金属パターンP2_2_2の両側に配列された複数本のスルーホールH2_2_2を含むものである。
【0023】
個々の接続線路部8の長さ(以下「線路長」という。)Lは、所定の値に設定されている。具体的には、例えば、線路長Lは、第1副線路部4_1が配置されている位置と第2副線路部4_2が配置されている位置との間隔(以下「配置間隔」という。)Dが使用周波数fに対応する波長λと同等の間隔(以下「1波長間隔」という。)以上となる値に設定されている。ここで、配置間隔Dは、主線路部2の管軸直交方向に対する間隔である。
【0024】
このようにして、ループ方向性結合器1の要部が構成されている。
【0025】
次に、
図4及び
図5を参照して、ループ方向性結合器1に対する比較用のループ方向性結合器1’について説明する。ループ方向性結合器1’は、従来のループ方向性結合器に相当するものである。
【0026】
ループ方向性結合器1’は、主線路部2’を有するものである。主線路部2’は、第1金属ブロックB1’を用いた導波管線路により構成されている。
【0027】
ループ方向性結合器1’は、副線路部3’を有するものである。副線路部3’は、2個の副線路部4’を含むものである。すなわち、副線路部3’は、第1副線路部4’_1及び第2副線路部4’_2を含むものである。副線路部3’は、第2金属ブロックB2’を用いた同軸線路により構成されている。より具体的には、第2金属ブロックB2’に2個の貫通孔H1’_1,H1’_2が設けられている。貫通孔H1’_1に金属線W’_1が通されていることにより、第1副線路部4’_1が構成されている。貫通孔H1’_2に金属線W’_2が通されていることにより、第2副線路部4’_2が構成されている。
【0028】
主線路部2’の側面部に開口部A’が設けられている。また、主線路部2’の外周部における開口部A’を含む領域に凹部R’が設けられている。凹部R’の内部に第3金属ブロックB3’が設けられている。第3金属ブロックB3’により、第1副線路部4’_1の一端部(より具体的には金属線W’_1の一端部)と第2副線路部4’_2の一端部(より具体的には金属線W’_2の一端部)とが電気的に接続されている。
【0029】
すなわち、ループ方向性結合器1’においては、凹部R’により、主線路部2’に対する結合空間S’が形成されるものである。また、ループ方向性結合器1’におけるループ線路部5’は、凹部R’の内部に第3金属ブロックB3’が設けられた構造による同軸線路により構成されている。ここで、第3金属ブロックB3’の中央部は、開口部A’と対向配置されている。すなわち、第3金属ブロックB3’の中央部により、主線路部2’に対する結合線路部7’が構成されている。
【0030】
第1副線路部4’_1の他端部にコネクタ6’_1が設けられており、かつ、第2副線路部4’_2の他端部にコネクタ6’_2が設けられている。個々のコネクタ6’は、第2金属ブロックB2’の外部に突出している。
【0031】
このようにして、ループ方向性結合器1’の要部が構成されている。
【0032】
次に、ループ方向性結合器1’における課題について説明する。また、ループ方向性結合器1を用いることによる効果について説明する。
【0033】
第一に、ループ方向性結合器1’においては、第1金属ブロックB1’の凹部R’により結合空間S’が形成されるものである。このため、第1副線路部4’_1と第2副線路部4’_2との配置間隔D’(不図示)を大きくすることが困難である。より具体的には、配置間隔D’を1波長間隔以上にすることが困難である。このため、ループ方向性結合器1’の製造が困難であるという問題があった。
【0034】
これに対して、ループ方向性結合器1においては、多層基板B3のサイズを大きくすることにより、線路長Lを容易に大きくすることができる。これにより、配置間隔Dを容易に大きくすることができる。より具体的には、配置間隔Dを1波長間隔以上にすることができる。これにより、ループ方向性結合器1’に比して、ループ方向性結合器1の製造を容易にすることができる。
【0035】
第二に、ループ方向性結合器1’においては、第1金属ブロックB1’の凹部R’により結合空間S’が形成されるものである。凹部R’の内部に第3金属ブロックB3’が設けられた構造による同軸線路によりループ線路部5’が構成されている。
【0036】
このため、ループ方向性結合器1’を製造するとき、ループ線路部5’を実現するための金属加工が要求される。すなわち、第1金属ブロックB1’に凹部R’を形成する金属加工が要求されるとともに、第3金属ブロックB3’を形成する金属加工が要求される。ここで、使用周波数fが高いとき、対応する波長λが短いことにより、ループ線路部5’のサイズが小さくなる。このとき、かかる金属加工が困難であるという問題があった。
【0037】
これに対して、ループ方向性結合器1においては、多層基板B3に設けられた複数本のスルーホールH2_1により囲まれた空間により結合空間Sが形成されるものである。また、多層基板B3を用いたストリップ線路によりループ線路部5が構成されている。
【0038】
このため、ループ方向性結合器1を製造するとき、凹部R’に相当する凹部を第1金属ブロックB1に形成する金属加工が不要である。また、第3金属ブロックB3’に相当する金属ブロックを形成する金属加工も不要である。これにより、ループ方向性結合器1’に比して、ループ方向性結合器1の製造を容易にすることができる。特に、使用周波数fが高いとき、ループ方向性結合器1の製造を容易にすることができる。
【0039】
第三に、ループ方向性結合器1においては、多層基板B3における金属パターンP2の形状等により、種々の回路を実現することができる。すなわち、ループ方向性結合器1’のループ線路部5’における回路設計の自由度に比して、ループ方向性結合器1のループ線路部5における回路設計の自由度を向上することができる。
【0040】
第四に、ループ方向性結合器1においては、多層基板B3を用いたストリップ線路によりループ線路部5が構成されている。すなわち、信号導体の機能を果たす金属パターンP2が多層基板B3の内部に設けられており、かつ、地導体の機能を果たす金属パターンP1が多層基板B3の両面部に設けられている。これにより、多層基板B3の外部から多層基板B3の内部に侵入しようとする電磁波Eを遮断することができる(
図6参照)。この結果、電磁波Eに対する耐性を向上することができる。
【0041】
第五に、ループ方向性結合器1’においては、凹部R’が設けられていることにより、第1金属ブロックB1’における第2金属ブロックB2’に対する対向面部O’の面形状が非平面状である。すなわち、対向面部O’の面形状が階段状である(
図7参照)。
【0042】
これに対して、ループ方向性結合器1においては、凹部R’に相当する凹部が不要である。これにより、第1金属ブロックB1における多層基板B3に対する対向面部Oの面形状を平面状にすることができる(
図8参照)。これにより、第1金属ブロックB1’を製造するときの工程数(すなわち金属加工における加工回数)に比して、第1金属ブロックB1を製造するときの工程数(すなわち金属加工における加工回数)を低減することができる。この結果、製造コストの低減を図ることができる。
【0043】
次に、
図9を参照して、ループ方向性結合器1の変形例について説明する。
【0044】
図9に示す如く、複数本のねじ9により第2金属ブロックB2及び多層基板B3が第1金属ブロックB1に固定されているものであっても良い。
図9に示す例においては、4本のねじ9_1,9_2,9_3,9_4により第2金属ブロックB2及び多層基板B3が第1金属ブロックB1に固定されている。ねじ9_1,9_2,9_3,9_4は、貫通孔H3_1,H3_2,H3_3,H3_4にそれぞれ通されている。個々の貫通孔H3は、第2金属ブロックB2及び多層基板B3を貫通している。
【0045】
ここで、個々の貫通孔H3の形状は、扇状(すなわち円弧状)である。かかる円弧に対応する円の中心位置は、例えば、多層基板B3における結合線路部7の中心位置に対応している。これにより、第1金属ブロックB1に対する第2金属ブロックB2及び多層基板B3の取付け角度φが調整自在である。ここで、取付け角度φは、かかる円の円周方向(すなわち多層基板B3の板面に沿う方向)に対する角度である。
【0046】
取付け角度φが変化することにより、主線路部2に対する結合線路部7の傾き角度θ(
図3参照)が変化する。傾き角度θが変化することにより、ループ方向性結合器1の性能が変化する。すなわち、ループ方向性結合器1においては、取付け角度φを調整することにより、その性能を調整することができる。
【0047】
次に、ループ方向性結合器1の他の変形例について説明する。
【0048】
図1~
図3に示す例においては、第1金属ブロックB1において、主線路部2に対する両側部に凸部が設けられている。これにより、第1金属ブロックB1の外形が十字状であり、多層基板B3の片面部の全体が第1金属ブロックB1に当接している。
【0049】
第1金属ブロックB1は、これらの凸部を有しないものであっても良い。ただし、多層基板B3を機械的に安定させる観点から、これらの凸部が設けられているのがより好適である。
【0050】
以上のように、実施の形態1に係るループ方向性結合器1は、主線路部2と、第1副線路部4_1及び第2副線路部4_2を含む副線路部3と、主線路部2と副線路部3との間に設けられた結合線路部7を含むループ線路部5と、を備え、主線路部2は、第1金属ブロックB1を用いた導波管線路により構成されており、副線路部3は、第2金属ブロックB2を用いた同軸線路により構成されており、ループ線路部5は、多層基板B3を用いたストリップ線路により構成されている。これにより、使用周波数fに対してループ方向性結合器1の製造を容易にすることができる。
【0051】
なお、本願開示はその開示の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0052】
1 ループ方向性結合器、2 主線路部、3 副線路部、4_1 副線路部(第1副線路部)、4_2 副線路部(第2副線路部)、5 ループ線路部、6 コネクタ、7 結合線路部、8 接続線路部、9 ねじ、A 開口部、B1 第1金属ブロック、B2 第2金属ブロック、B3 多層基板、H1 貫通孔、H2 スルーホール、H3 貫通孔、P1 金属パターン、P2 金属パターン、W 金属線。