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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】素子とセンサー及び電子装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 30/60 20230101AFI20240607BHJP
   H10K 30/85 20230101ALI20240607BHJP
   H10K 30/86 20230101ALI20240607BHJP
   H10K 50/15 20230101ALI20240607BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240607BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
H10K30/60
H10K30/85
H10K30/86
H05B33/22 D
H05B33/14 A
H01L27/146 E
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020142592
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2021040133
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-05-02
(31)【優先権主張番号】10-2019-0108398
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0103484
(32)【優先日】2020-08-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】390019839
【氏名又は名称】三星電子株式会社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】129,Samsung-ro,Yeongtong-gu,Suwon-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】朴 敬 培
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 直俊
(72)【発明者】
【氏名】許 哲 準
(72)【発明者】
【氏名】朴 性 俊
(72)【発明者】
【氏名】尹 晟 榮
【審査官】小林 幹
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0093821(US,A1)
【文献】Sung Hyun Kim et al.,“Effects of Gold-Nanoparticle Surface and Vertical Coverage by Conducting Polymer between Indium Tin Oxide and the Hole Transport Layer on Organic Light-Emitting Diodes”,Applied Materials & Interfaces,2015年,Vol. 7,p.15031-15041
【文献】Ju-An Yoon et al.,“Highly efficient blue organic light-emitting diodes using quantum well-like multiple emissive layer structure”,Nanoscale Research Letters,2014年,Vol. 9, Article number 191,p.1-7
【文献】An-Na Cho and Nam-Gyu Park,“Impact of Interfacial Layers in Perovskite Solar Cells”,ChemSusChem,2017年,Vol. 10,p.3687-3704
【文献】Yawei Ma et al.,“Dual hole transport layers for blue-light-emitting PLED: Suppress the formation of exciplex towards high device performance and color purity”,Organic Electronics,2019年02月,Vol. 68,p.103-107
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10K 10/00-99/00
H01L 27/146
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置する活性層と、
前記第1電極と前記活性層との間に位置する複数の補助層と、を有し、
前記複数の補助層は、
前記活性層に接触する第1補助層と、
前記第1電極に接触する第2補助層と、を含み、
前記活性層のHOMOエネルギー準位、前記第1補助層のHOMOエネルギー準位、前記第2補助層のHOMOエネルギー準位、及び前記第1電極の仕事関数は順次に浅くなり、 前記活性層、前記第1補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1、2、及び3を満足することを特徴とする素子。
[関係式1]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式2]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
[関係式3]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
(前記関係式1、2、及び3で、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ は前記第1補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、前記エネルギーバリアはHOMOエネルギー準位の差である。)
【請求項2】
第1電極及び第2電極と、
前記第1電極と前記第2電極との間に位置する活性層と、
前記第1電極と前記活性層との間に位置する複数の補助層と、を有し、
前記複数の補助層は、
前記活性層に接触する第1補助層と、
前記第1電極に接触する第2補助層と、を含み、
前記活性層のLUMOエネルギー準位、前記第1補助層のLUMOエネルギー準位、前記第2補助層のLUMOエネルギー準位、及び前記第1電極の仕事関数は、順次に深くなり、
前記活性層、前記第1補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1、2、及び3を満足することを特徴とする素子。
[関係式1]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
[関係式2]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
[関係式3]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
(前記関係式1、2、及び3で、ΔΦ は前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ は前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ は前記第1補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、前記エネルギーバリアはLUMOエネルギー準位の差である。)
【請求項3】
ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦは、それぞれ0.5eV以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の素子。
【請求項4】
前記活性層、前記第1補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1E、2E、及び3Eを満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の素子。
[関係式1E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式2E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式3E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
(前記関係式1E~3Eで、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアである。)
【請求項5】
前記複数の補助層は、前記第1補助層と前記第2補助層との間に位置する第3補助層を更に含み、
前記活性層のHOMOエネルギー準位、前記第1補助層のHOMOエネルギー準位、前記第3補助層のHOMOエネルギー準位、前記第2補助層のHOMOエネルギー準位、及び前記第1電極の仕事関数は順次に浅くなり、
前記活性層、前記第1補助層、前記第3補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4及び5を満足することを特徴とする請求項1に記載の素子。
[関係式4]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式5]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
(前記関係式4及び5で、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第3補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第3補助層との間のエネルギーバリアである。)
【請求項6】
前記複数の補助層は、前記第1補助層と前記第2補助層との間に位置する第3補助層を更に含み、
前記活性層のLUMOエネルギー準位、前記第1補助層のLUMOエネルギー準位、前記第3補助層のLUMOエネルギー準位、前記第2補助層のLUMOエネルギー準位、及び前記第1電極の仕事関数は、順次に深くなり、
前記活性層、前記第1補助層、前記第3補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4及び5を満足することを特徴とする請求項2に記載の素子。
[関係式4]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
[関係式5]
|ΔΦ -ΔΦ |≦0.1eV
(前記関係式4及び5で、ΔΦ は前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ は前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ は前記第3補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ は前記第1補助層と前記第3補助層との間のエネルギーバリアである。)
【請求項7】
前記活性層、前記第1補助層、前記第3補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギー準位は、下記関係式6を満足することを特徴とする請求項5又は6に記載の素子。
[関係式6]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
(前記関係式6で、ΔΦは前記第3補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第3補助層との間のエネルギーバリアである。)
【請求項8】
ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦは、それぞれ0.5eV以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の素子。
【請求項9】
前記第1電極は、アノードであり、
前記第2電極は、カソードであることを特徴とする請求項1に記載の素子。
【請求項10】
前記第2電極と前記活性層との間に位置する電子バッファー層を更に含むことを特徴とする請求項9に記載の素子。
【請求項11】
前記電子バッファー層は、ランタン族元素、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、又はこれらの合金を含むことを特徴とする請求項10に記載の素子。
【請求項12】
前記電子バッファー層は、
前記活性層に最も近く位置する第1電子バッファー層と、
前記第2電極に最も近く位置する第2電子バッファー層と、を含み、
前記活性層のLUMOエネルギー準位、前記第1電子バッファー層のLUMOエネルギー準位、前記第2電子バッファー層のLUMOエネルギー準位、及び前記第2電極の仕事関数は、順次に深くなり、
前記活性層、前記第1電子バッファー層、前記第2電子バッファー層、及び前記第2電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式7を満足することを特徴とする請求項10に記載の素子。
[関係式7]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
(前記関係式7で、ΔΦは前記活性層と前記第1電子バッファー層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2電子バッファー層と前記第2電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ及びΔΦのエネルギーバリアはLUMOエネルギー準位の差である。)
【請求項13】
前記活性層、前記第1電子バッファー層、前記第2電子バッファー層、及び前記第2電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式8及び9を満足することを特徴とする請求項12に記載の素子。
[関係式8]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式9]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
(前記関係式8及び9で、ΔΦは前記活性層と前記第1電子バッファー層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2電子バッファー層と前記第2電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1電子バッファー層と前記第2電子バッファー層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦのエネルギーバリアはLUMOエネルギー準位の差である。)
【請求項14】
ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦは、それぞれ0.5eV以下であることを特徴とする請求項13に記載の素子。
【請求項15】
前記第1電極は、カソードであり、
前記第2電極は、アノードであることを特徴とする請求項に記載の素子。
【請求項16】
前記第2電極と前記活性層との間に位置する正孔バッファー層を更に含むことを特徴とする請求項15に記載の素子。
【請求項17】
前記第1補助層及び前記第2補助層は、それぞれ10nm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の素子。
【請求項18】
前記第1補助層及び前記第2補助層は、それぞれ有機物質を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の素子。
【請求項19】
前記活性層は、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換する光電変換層であることを特徴とする請求項1又は2に記載の素子。
【請求項20】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の素子を含むことを特徴とするセンサー。
【請求項21】
請求項1乃至19のいずれか一項に記載の素子を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項22】
請求項20に記載のセンサーを含むことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、素子とセンサー及び電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光電変換素子は、光を受けて電気信号に変換する素子として、光ダイオード及び光トランジスターなどを含み、センサー又は光検出器に適用される。
【0003】
センサーは、高い解像度が日々要求されており、これに伴い画素の大きさが小さくなっている。現在主に使用するシリコン光ダイオードの場合、画素の大きさが小さくなりながら吸収面積が減るため、感度低下が発生する。そのために、シリコンを代替する有機物質が研究されている。
【0004】
有機物質は、吸光係数が大きく、分子構造により特定の波長領域の光を選択的に吸収するため、光ダイオード及び色フィルターを同時に代替することができ、高集積に有利である。
【0005】
しかし、有機物質は、高い結合エネルギー(binding energy)及び再結合(recombination)の挙動により、シリコンとは異なる特性を示し、有機物質の特性を正確に予測し難いため、光電変換素子で要求される物性を容易に制御することが難しい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-140677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、残留電荷を減らして電荷抽出特性を改善させた素子、素子を含むセンサー、素子又はセンサーを含む電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による素子は、第1電極及び第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に位置する活性層と、前記第1電極と前記活性層との間に位置する複数の補助層と、を有し、前記複数の補助層は、前記活性層に最も近く位置する第1補助層と、前記第1電極に最も近く位置する第2補助層と、を含み、前記活性層のエネルギー準位、前記第1補助層のエネルギー準位、前記第2補助層のエネルギー準位、及び前記第1電極の仕事関数は、順次に深くなるか又は順次に浅くなり、前記活性層、前記第1補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1を満足する。
[関係式1]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
前記関係式1で、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアである。
【0009】
前記第1補助層は、前記活性層に接触し、前記第2補助層は、前記第1電極に接触し得る。
前記活性層、前記第1補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式2及び3を満足し得る。
[関係式2]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式3]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
前記関係式2及び3で、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアである。
ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦは、それぞれ約0.5eV以下であり得る。
前記活性層、前記第1補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1E、2E、及び3Eを満足し得る。
[関係式1E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式2E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式3E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
前記関係式1E~3Eで、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアである。
前記複数の補助層は、前記第1補助層と前記第2補助層との間に位置する第3補助層を更に含み、前記活性層のエネルギー準位、前記第1補助層のエネルギー準位、前記第3補助層のエネルギー準位、前記第2補助層のエネルギー準位、及び前記第1電極の仕事関数は、順次に深くなるか又は順次に浅くなり、前記活性層、前記第1補助層、前記第3補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4及び5を満足し得る。
[関係式4]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式5]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
前記関係式4及び5で、ΔΦは前記活性層と前記第1補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2補助層と前記第1電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第3補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第3補助層との間のエネルギーバリアである。
前記活性層、前記第1補助層、前記第3補助層、前記第2補助層、及び前記第1電極のエネルギー準位は、下記関係式6を満足し得る。
[関係式6]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
前記関係式6で、ΔΦは前記第3補助層と前記第2補助層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1補助層と前記第3補助層との間のエネルギーバリアである。
ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦは、それぞれ約0.5eV以下であり得る。
前記第1電極は、アノードであり、前記第2電極は、カソードであり、前記エネルギーバリアは、HOMOエネルギー準位の差であり得る。
前記素子は、前記第2電極と前記活性層との間に位置する電子バッファー層を更に含み得る。
前記電子バッファー層は、ランタン族元素、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、又はこれらの合金を含み得る。
前記電子バッファー層は、前記活性層に最も近く位置する第1電子バッファー層と、前記第2電極に最も近く位置する第2電子バッファー層と、を含み、前記活性層のLUMOエネルギー準位、前記第1電子バッファー層のLUMOエネルギー準位、前記第2電子バッファー層のLUMOエネルギー準位、及び前記第2電極の仕事関数は、順次に深くなり、前記活性層、前記第1電子バッファー層、前記第2電子バッファー層、及び前記第2電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式7を満足し得る。
[関係式7]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
前記関係式7で、ΔΦは前記活性層と前記第1電子バッファー層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2電子バッファー層と前記第2電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ及びΔΦのエネルギーバリアはLUMOエネルギー準位の差である。
前記活性層、前記第1電子バッファー層、前記第2電子バッファー層、及び前記第2電極のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式8及び9を満足し得る。
[関係式8]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式9]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
前記関係式8及び9で、ΔΦは前記活性層と前記第1電子バッファー層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第2電子バッファー層と前記第2電極との間のエネルギーバリアであり、ΔΦは前記第1電子バッファー層と前記第2電子バッファー層との間のエネルギーバリアであり、ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦのエネルギーバリアはLUMOエネルギー準位の差である。
ΔΦ、ΔΦ、及びΔΦは、それぞれ約0.5eV以下であり得る。
前記第1電極は、カソードであり、前記第2電極は、アノードであり、前記エネルギーバリアは、LUMOエネルギー準位の差であり得る。
前記素子は、前記第2電極と前記活性層との間に位置する正孔バッファー層を更に含み得る。
前記第1補助層及び前記第2補助層は、それぞれ約10nm以下の厚さを有し得る。
前記第1補助層及び前記第2補助層は、それぞれ有機物質を含み得る。
前記活性層は、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換する光電変換層であり得る。
【0010】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様によるセンサーは、前記素子を含む。
【0011】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による電子装置は、前記素子又は前記センサーを含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、残留電荷を減らして電荷抽出特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態による素子を示す断面図である。
図2図1の素子におけるアノード、補助層、及び活性層のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
図3】第2実施形態による素子を示す断面図である。
図4図3の素子におけるアノード、補助層、及び活性層のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
図5】第3実施形態による素子を示す断面図である。
図6図5の素子のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
図7】第4実施形態による素子を示す断面図である。
図8図7の素子におけるカソード、補助層、及び活性層のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
図9】第5実施形態による素子を示す断面図である。
図10図9の素子におけるカソード、補助層、及び活性層のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
図11】一実施形態によるイメージセンサーの一例を概略的に示す断面図である。
図12】一実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す平面図である。
図13図12のイメージセンサーの一例を示す断面図である。
図14】イメージセンサーの他の例を示す断面図である。
図15】他の実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す平面図である。
図16図15のイメージセンサーの断面図である。
図17】実施例1、2による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
図18】比較例1による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
図19】比較例2、6による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
図20】比較例3による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
図21】比較例4、7による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
図22】比較例5による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
図23】比較例8による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
図24】実施例1及び比較例1~4による素子の光電変換効率を示すグラフである。
図25】実施例2及び比較例1、6、7による素子の光電変換効率を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。しかし、実際に適用される構造は、多様な異なる形態に実現することができ、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0015】
図面において、複数の層及び領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0016】
層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上」にあるという場合、これは他の部分の「直上」にある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。反対にある部分が他の部分の「直上」にあるという場合には、中間にまた他の部分がないことを意味する。
【0017】
以下で、別途の定義がない限り、「置換の」とは、化合物中の水素原子が、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、アジド基、アミジノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、カルボニル基、カルバミル基、チオール基、エステル基、カルボキシル基やその塩、スルホン酸基やその塩、リン酸やその塩、シリル基、C1乃至C20アルキル基、C2乃至C20アルケニル基、C2乃至C20アルキニル基、C6乃至C30アリール基、C7乃至C30アリールアルキル基、C1乃至C30アルコキシ基、C1乃至C20ヘテロアルキル基、C3乃至C20ヘテロアリール基、C3乃至C20ヘテロアリールアルキル基、C3乃至C30シクロアルキル基、C3乃至C15シクロアルケニル基、C6乃至C15シクロアルキニル基、C3乃至C30ヘテロシクロアルキル基、及びこれらの組み合わせから選択される置換基に置換されたことを意味する。
【0018】
以下で、別途の定義がない限り、「ヘテロ」とは、N、O、S、Se、Te、Si、及びPから選択されるヘテロ原子を1個~4個含有するものを意味する。
【0019】
以下で、「組み合わせ」とは、混合及び二以上の積層構造を含む。
【0020】
以下で、エネルギー準位(energy level)は、最高占有分子軌道(highest occupied molecular orbital:HOMO)エネルギー準位又は最低非占有分子軌道(lowest unoccupied molecular orbital:LUMO)エネルギー準位である。
【0021】
以下で、仕事関数(work function)又はエネルギー準位は、真空レベル(vacuum level)からの絶対値で表される。また、仕事関数又はエネルギー準位が深い、高い、又は大きいということは、真空レベルを「0eV」として絶対値が大きいことを意味し、仕事関数又はエネルギー準位が浅い、低い、又は小さいということは、真空レベルを「0eV」として絶対値が小さいことを意味する。
【0022】
以下、第1実施形態による素子を説明する。
【0023】
素子は、例えば一対の電極と一対の電極との間に位置する活性層を含み、活性層は、例えば光電気物質(opto-electronic material)を含む。光電気物質は、例えば光を受けて電気的特性を示す物質及び/又は電界を受けて光を出す物質などを含むが、これに限定されるものではない。素子は、例えば光電変換素子、発光素子、太陽電池、又は光センサーであるが、これに限定されるものではない。
【0024】
素子は、例えば少なくとも一つの有機物質を含む有機素子であり、例えば少なくとも一つの有機物質を含む有機ダイオード(organic diode)である。有機素子は、例えば有機光電変換素子、有機発光素子、有機太陽電池、又は有機光センサーであるが、これに限定されるものではない。
【0025】
ここでは、素子の一例として光電変換素子を説明する。
【0026】
図1は、第1実施形態による素子を示す断面図である。
【0027】
図1を参照すると、本実施形態による素子100は、アノード10、カソード20、活性層30、補助層40、及び電子バッファー層50を含む。
【0028】
基板(図示せず)は、アノード10側に配置されるか、又はカソード20側に配置される。基板は、例えばガラスのような無機物質、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、又はこれらの組み合わせのような有機物質又はシリコンウエハーなどで作られる。基板は省略され得る。
【0029】
アノード10とカソード20とは互いに対向する。
【0030】
アノード10及びカソード20のうちの少なくとも一つは、透明電極である。透明電極は、約80%以上の高い光透過度を有する。透明電極は、例えば酸化物導電体、炭素導電体、及び金属薄膜のうちの少なくとも一つを含み、酸化物導電体は、例えばインジウムスズ酸化物(indium tin oxide:ITO)、インジウム亜鉛酸化物(indium zinc oxide:IZO)、亜鉛スズ酸化物(zinc tin oxide:ZTO)、アルミニウムスズ酸化物(Aluminum tin oxide:AlTO)、及びアルミニウム亜鉛酸化物(Aluminum zinc oxide:AZO)から選択される一つ以上であり、炭素導電体は、グラフェン及び炭素ナノ体から選択される一つ以上であり、金属薄膜は、アルミニウム、マグネシウム、銀、金、これらの合金、又はこれらの組み合わせを含む非常に薄い薄膜である。
【0031】
アノード10及びカソード20のうちのいずれか一つは、反射電極である。ここで、反射電極は、例えば約10%未満の光透過度又は約5%以上の高い反射率を有する。反射電極は、金属のような反射導電体を含み、例えばアルミニウム(Al)、銀(Ag)、金(Au)、又はこれらの合金を含む。
【0032】
一例として、アノード10及びカソード20は、それぞれ透明電極である。
【0033】
一例として、アノード10は透明電極であり、カソード20は反射電極である。
【0034】
一例として、アノード10は反射電極であり、カソード20は透明電極である。
【0035】
活性層30は、アノード10とカソード20との間に位置する。
【0036】
活性層30は、少なくとも一部の波長領域の光を吸収して電気的信号に変換する光電変換層であり、光電変換層は、例えば緑色波長領域の光(以下、「緑色光という)、青色波長領域の光(以下、「青色光」という)、赤色波長領域の光(以下、「赤色光」という)、及び赤外線波長領域の光(以下、「赤外光」という)のうちの一部を電気的信号に変換する。
【0037】
一例として、活性層30は、青色光、緑色光、赤色光、及び赤外光のうちのいずれか一つを選択的に吸収する。ここで、青色光、緑色光、赤色光、及び赤外光のうちのいずれか一つを選択的に吸収するということは、吸光スペクトルのピーク吸収波長(λmax)が約380nm以上500nm未満、約500~600nm、約600nm超700nm以下、及び約700nm超~3000nm以下の波長領域のうちのいずれか一つに存在し、当該波長領域内の吸光スペクトルがその他の波長領域の吸光スペクトルよりも顕著に高いことを意味する。
【0038】
活性層30は、少なくとも一つのp型半導体及び少なくとも一つのn型半導体がpn接合(pn junction)を形成し、外部から光を受けてエキシトン(exciton)を生成した後、生成されたエキシトンを正孔と電子とに分離する。
【0039】
p型半導体及びn型半導体は、それぞれ吸光物質であり、例えばp型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一つは、有機吸光物質である。一例として、p型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一つは、所定の波長領域の光を選択的に吸収する波長選択性吸光物質であり、例えばp型半導体及びn型半導体のうちの少なくとも一つは、波長選択性有機吸光物質である。p型半導体とn型半導体とは、互いに同一又は異なる波長領域でピーク吸収波長(λmax)を有する。
【0040】
一例として、p型半導体は、電子供与モイエティ、パイ共役連結基、及び電子求引モイエティを含むコア構造を有する有機物質である。
【0041】
p型半導体は、例えば下記化学式1で表されるが、これに限定されるものではない。
【0042】
[化学式1]
EDG-HA-EAG
【0043】
上記化学式1で、
HAは、O、S、Se、Te、及びSiのうちの少なくとも一つを有するC2乃至C30ヘテロ環基であり、
EDGは電子供与基であり、
EAGは電子求引基である。
【0044】
一例として、上記化学式1で表されるp型半導体は、例えば下記化学式1Aで表される。
【0045】
【化1A】
【0046】
上記化学式1Aで、
Xは、O、S、Se、Te、SO、SO、又はSiRであり、
Arは、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリーレン基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロ環基、又はこれらの中から選択される二以上の融合環であり、
Ar1a及びAr2aは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基又は置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基であり、
Ar1a及びAr2aは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに結合して融合環を形成し、
1a乃至R3a、R及びRは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基、置換若しくは非置換のC1乃至C6アルコキシ基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0047】
一例として、上記化学式1Aで、Ar1a及びAr2aは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のフェニル基、置換若しくは非置換のナフチル基、置換若しくは非置換のアントラセニル基、置換若しくは非置換のフェナントレニル基、置換若しくは非置換のピリジニル(pyridinyl)基、置換若しくは非置換のピリダジニル(pyridazinyl)基、置換若しくは非置換のピリミジニル(pyrimidinyl)基、置換若しくは非置換のピラジニル(pyrazinyl)基、置換若しくは非置換のキノリニル(quinolinyl)基、置換若しくは非置換のイソキノリニル(isoquinolinyl)基、置換若しくは非置換のナフチリジニル(naphthyridinyl)基、置換若しくは非置換のシンノリニル(cinnolinyl)基、置換若しくは非置換のキナゾリニル(quinazolinyl)基、置換若しくは非置換のフタラジニル(phthalazinyl)基、置換若しくは非置換のベンゾトリアジニル(benzotriazinyl)基、置換若しくは非置換のピリドピラジニル(pyridopyrazinyl)基、置換若しくは非置換のピリドピリミジニル(pyridopyrimidinyl)基、及び置換若しくは非置換のピリドピリダジニル(pyridopyridazinyl)基から選択される。
【0048】
一例として、上記化学式1AのAr1a及びAr2aは、互いに融合して環を形成し、Ar1a及びAr2aは、例えば単一結合、-(CRn2-(n2は1又は2)、-O-、-S-、-Se-、-N=、-NR-、-SiR-、及び-GeR-より選択される一つに連結されて環を形成する。ここで、R乃至Rは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基、置換若しくは非置換のC1乃至C6アルコキシ基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0049】
一例として、上記化学式1で表されるp型半導体は、例えば下記化学式1B又は1Cで表される。
【0050】
【化1B-1C】
【0051】
上記化学式1B又は1Cで、
は、Se、Te、O、S、SO、又はSOであり、
Arは、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリーレン基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロ環基、又はこれらの中から選択される二以上の融合環であり、
乃至Rは、それぞれ独立して、水素、重水素、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルコキシ基、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、シアノ含有基、及びこれらの組み合わせから選択され、
Gは、単一結合、-O-、-S-、-Se-、-N=、-(CR-、-NR-、-SiR-、-GeR-、-(C(R)=C(R))-、及びSnRより選択され、ここで、R、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びRは、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、置換若しくは非置換のC1乃至C10アルキル基、置換若しくは非置換のC1乃至C10アルコキシ基、及び置換若しくは非置換のC6乃至C12アリール基から選択され、RとR、RとR、RとR、RとR、及びRとRは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに連結されて環を形成し、kは1又は2であり、
は、O、S、Se、Te、及びC(R)(CN)(ここでRは水素、シアノ基(-CN)及びC1乃至C10アルキル基から選択される)より選択され、
6a乃至R6d、R7a乃至R7d、R16及びR17は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、シアノ含有基、及びこれらの組み合わせから選択され、
6a乃至R6dは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに隣接する2つが互いに連結されて融合環を形成し、
7a乃至R7dは、それぞれ独立して存在するか、又は互いに隣接する2つが互いに連結されて融合環を形成する。
【0052】
一例として、上記化学式1BのArは、ベンゼン、ナフチレン、アントラセン、チオフェン、セレノフェン、テルロフェン、ピリジン、ピリミジン、又はこれらの中から選択される二以上の融合環である。
【0053】
n型半導体は、例えばフラーレン又はフラーレン誘導体であるが、これに限定されるものではない。
【0054】
活性層30は、p型半導体とn型半導体とがバルク異種接合(bulk heterojunction)形態に混合された真性層(intrinsic layer:I層)である。この時、p型半導体とn型半導体とは、約1:9~9:1の体積比に混合され、上記範囲内で、例えば約2:8~8:2の体積比に混合され、上記範囲内で、例えば約3:7~7:3の体積比に混合され、上記範囲内で、例えば約4:6~6:4の体積比に混合され、上記範囲内で、例えば約5:5の体積比に混合される。
【0055】
活性層30は、上述したp型半導体を含むp型層及び上述したn型半導体を含むn型層を含む二重層を含む。この時、p型層とn型層との厚さ比は、約1:9~9:1であり、上記範囲内で、例えば約2:8~8:2、約3:7~7:3、約4:6~6:4、又は約5:5である。
【0056】
活性層30は、真性層以外にp型層及び/又はn型層を更に含む。p型層は上述したp型半導体を含み、n型層は上述したn型半導体を含む。例えば、p型層/I層、I層/n型層、p型層/I層/n型層などの多様な組み合わせで含まれる。
【0057】
補助層40は、アノード10と活性層30との間に位置する正孔補助層であり、正孔補助層は、例えば正孔輸送層、正孔注入層、及び/又は電子遮断層を含む。補助層40は、活性層30で分離された電荷(例えば正孔)をアノード10側に移動させる通路の役割を果たす。この時、電荷(例えば正孔)の移動方向は、活性層30、補助層40、及びアノード10である。
【0058】
補助層40は、複数の層を含み、第1補助層40a及び第2補助層40bを含む。第1補助層40aは、活性層30に最も近く位置し、例えば活性層30に接触する。第2補助層40bは、アノード10に最も近く位置し、例えばアノード10に接触する。
【0059】
図2は、図1の素子におけるアノード10、補助層40、及び活性層30のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
【0060】
図2を参照すると、活性層30で分離された正孔は、HOMOエネルギー準位に沿ってアノード10に伝達され、例えば活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)に沿って移動する。
【0061】
この時、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)は、真空準位(vacuum level)から順次に浅くなり、例えば活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)が最も深く、アノード10の仕事関数(WF10)が最も浅く、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)及び第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)は、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)とアノード10の仕事関数(WF10)との間である。即ち、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)は、カスケードエネルギー準位(cascading energy level)を有する。
【0062】
一例として、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)は、階段型である。
【0063】
隣接する層の間には所定のエネルギーバリア(energy barrier)が存在し、エネルギーバリアは、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層40aと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)を含む。エネルギーバリア(ΔΦ)は、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)と第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)とアノード10の仕事関数(WF10)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)と第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)との差である。
【0064】
隣接する層の間の各エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)の差は、非常に小さく、実質的に同じである。
【0065】
一例として、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1を満足する。
【0066】
[関係式1]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0067】
一例として、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1補助層40aと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば活性層30、第1補助層40a、及び第2補助層40bのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式2を満足する。
【0068】
[関係式2]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0069】
一例として、第1補助層40aと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式3を満足する。
【0070】
[関係式3]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0071】
一例として、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層40aと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)のそれぞれの差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、上述した関係式1、2、及び3を同時に満足する。
【0072】
このように、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のそれぞれの間のエネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)が上述した関係式を満足することによって、正孔が移動する経路に位置する層の界面で発生する正孔の移動遅延を防止して高い電荷抽出効率を示す。また隣接する層の間の界面に所望せずに留まる残留電荷(remaining charge carriers)を減らしたり防止したりして累積した残留電荷によるイメージ残像を減らしたり防止したりすることができる。従って、素子の電気的性能を改善することができる。
【0073】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1A、2A、及び/又は3Aを満足する。
【0074】
[関係式1A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式2A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式3A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0075】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1B、2B、及び/又は3Bを満足する。
【0076】
[関係式1B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式2B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式3B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0077】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1C、2C、及び/又は3Cを満足する。
【0078】
[関係式1C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式2C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式3C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0079】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1D、2D、及び/又は3Dを満足する。
【0080】
[関係式1D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式2D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式3D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0081】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1E、2E、及び/又は3Eを満足する。
【0082】
[関係式1E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式2E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式3E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0083】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1F、2F、及び/又は3Fを満足する。
【0084】
[関係式1F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式2F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式3F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0085】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1G、2G、及び/又は3Gを満足する。
【0086】
[関係式1G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式2G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式3G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0087】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1H、2H、及び/又は3Hを満足する。
【0088】
[関係式1H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式2H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式3H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0089】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1I、2I、及び/又は3Iを満足する。
【0090】
[関係式1I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式2I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式3I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0091】
一例として、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ約0.5eV以下であり、上記範囲内で、約0.4eV以下、約0.3eV以下、又は約0.25eV以下である。例えば、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ独立して、約0.10eV~0.25eVであり、上記範囲内で、約0.15eV~0.25eV、約0.18eV~0.25eV、又は約0.20eV~0.25eVである。
【0092】
第1補助層40a及び第2補助層40bは、それぞれ独立して、約10nm以下の厚さを有し、例えばそれぞれ独立して、約8nm以下、約7nm以下、約5nm以下、又は約3nm以下の厚さを有する。
【0093】
第1補助層40a及び第2補助層40bは、それぞれ有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。一例として、第1補助層40a及び第2補助層40bのうちの少なくとも一つは、有機物質を含む。一例として、第1補助層40a及び第2補助層40bは、それぞれ有機物質を含む。
【0094】
電子バッファー層50は、カソード20と活性層30との間に位置し、活性層30で分離された電荷(例えば電子)をカソード20側に移動させる。この時、電荷(例えば電子)の移動方向は、活性層30、電子バッファー層50、及びカソード20である。一例として、電子バッファー層50は、活性層30に接触する。一例として、電子バッファー層50の一面は活性層30に接触し、電子バッファー層50の他の一面はカソード20に接触する。
【0095】
電子バッファー層50は、例えば有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。一例として、電子バッファー層50は、数ナノメートルの厚さの非常に薄い薄膜であり、例えば約8nm以下、約7nm以下、約5nm以下、例えば約3nm以下、例えば約2nm以下の厚さを有する。電子バッファー層50は、例えば約1nm~8nm、約1nm~7nm、約1nm~5nm、約1nm~3nm、約1nm~2nmの厚さを有する。
【0096】
一例として、電子バッファー層50は、無機物質を含み、カソード20よりも低い仕事関数を有する無機物質を含む。例えば、電子バッファー層50の仕事関数は、カソード20の仕事関数よりも約0.5eV以上小さい。例えばカソード20の仕事関数は約4.5eV以上であり、電子バッファー層50の仕事関数は約4.0eV以下である。例えば、カソード20の仕事関数は約4.5eV以上であり、電子バッファー層50の仕事関数は約3.5eV以下である。例えば、カソード20の仕事関数は約4.5eV以上であり、電子バッファー層50の仕事関数は約3.0eV以下である。例えば、カソード20の仕事関数は約4.5eV以上であり、電子バッファー層50の仕事関数は約2.8eV以下である。例えば、カソード20の仕事関数は約4.5eV~5.0eVであり、電子バッファー層50の仕事関数は約1.5eV~4.0eV、約1.5eV~3.5eV、約1.5eV~3.0eV、約1.5eV~2.8eVである。
【0097】
電子バッファー層50は、上述した仕事関数を満足すると共に熱蒸着(thermal evaporation)により形成される物質で作られる。このように電子バッファー層50が熱蒸着により形成されることによって、電子バッファー層50の形成段階及び/又は後続工程で活性層30が熱的物理的損傷を受けることを防止し、活性層30の劣化による素子の性能低下を防止することができる。
【0098】
このような特性を満足する無機物質として、例えばランタン族元素、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、アルミニウム(Al)、又はこれらの合金を含む。ランタン族元素は、例えばイッテルビウム(Yb)を含む。
【0099】
電子バッファー層50は、省略され得る。
【0100】
素子100は、アノード10又はカソード20の一面に位置する反射防止層(図示せず)を更に含み得る。反射防止層は、光が入射する側に配置されて入射光の反射度を低めることによって光吸収度をより改善する。例えば、アノード10側に光が入射する場合、反射防止層はアノード10の一面に位置し、カソード20側に光が入射する場合、反射防止層はカソード20の一面に位置する。
【0101】
反射防止層は、例えば約1.6~2.5の屈折率を有する物質を含み、例えば上記範囲の屈折率を有する金属酸化物、金属硫化物、及び有機物のうちの少なくとも一つを含む。反射防止層は、例えばアルミニウム含有酸化物、モリブデン含有酸化物、タングステン含有酸化物、バナジウム含有酸化物、レニウム含有酸化物、ニオビウム含有酸化物、タンタル含有酸化物、チタン含有酸化物、ニッケル含有酸化物、銅含有酸化物、コバルト含有酸化物、マンガン含有酸化物、クロム含有酸化物、テルル含有酸化物、又はこれらの組み合わせのような金属酸化物;亜鉛スルフィドのような金属硫化物;又はアミン誘導体のような有機物を含むが、これに限定されるものではない。
【0102】
素子100は、アノード10又はカソード20側から光が入射して活性層30が所定の波長領域の光を吸収すると内部でエキシトンが生成される。エキシトンは、活性層30で正孔と電子とに分離され、分離された正孔は第1補助層40a及び第2補助層40bを通過してアノード10に移動し、分離された電子は電子バッファー層50を通過してカソード20に移動して電流が流れるようになる。
【0103】
以下、第2実施形態による素子を説明する。
【0104】
図3は、第2実施形態による素子を示す断面図である。
【0105】
図3を参照すると、本実施形態による素子100は、上述した実施形態と同様に、互いに対向するアノード10及びカソード20、アノード10とカソード20との間に位置する活性層30、アノード10と活性層30の間に位置する補助層40、及びカソード20と活性層30との間に位置する電子バッファー層50を含む。各構成要素は上述した通りである。
【0106】
しかし、上述した実施形態とは異なり、補助層40は、第1補助層40a及び第2補助層40b以外に第3補助層40cを更に含む。第3補助層40cは第1補助層40aと第2補助層40bとの間に位置し、例えば第3補助層40cの一面は第1補助層40aに接触し、第3補助層40cの他の一面は第2補助層40bに接触する。
【0107】
第1補助層40a、第3補助層40c、及び第2補助層40bは、順次に積層された構造を有する。これによって活性層30で分離された電荷(例えば正孔)の移動方向は、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10である。
【0108】
図4は、図3の素子におけるアノード10、補助層40、及び活性層30のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
【0109】
図4を参照すると、活性層30で分離された正孔は、HOMOエネルギー準位に沿ってアノード10に伝達され、例えば活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)に沿って移動する。
【0110】
この時、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)は、真空準位から順次に浅くなり、例えば活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)が最も深く、アノード10の仕事関数(WF10)が最も浅く、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)、及び第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)は、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)とアノード10の仕事関数(WF10)との間である。即ち、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)は、カスケードエネルギー準位を有する。
【0111】
一例として、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)は、階段型である。
【0112】
一例として、隣接する層の間には所定のエネルギーバリアが存在し、エネルギーバリアは、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第3補助層40cと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層40aと第3補助層40cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)を含む。エネルギーバリア(ΔΦ)は、活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)と第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)とアノード10の仕事関数(WF10)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は、第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)と第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)と第3補助層40cのHOMOエネルギー準位(HOMO40c)との差である。
【0113】
隣接する層の間の各エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)の差は、非常に小さく、実質的に同じである。
【0114】
一例として、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層40a、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、上記関係式1を満足する。
【0115】
一例として、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第3補助層40cと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4を満足する。
【0116】
[関係式4]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0117】
一例として、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1補助層40aと第3補助層40cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば活性層30、第1補助層40a、及び第3補助層40cのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式5を満足する。
【0118】
[関係式5]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0119】
一例として、第2補助層40bと第3補助層40cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1補助層40aと第3補助層40cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば第1補助層40a、第3補助層40c、及び第2補助層40bのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式6を満足する。
【0120】
[関係式6]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0121】
一例として、活性層30と第1補助層40aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層40bとアノード10との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第3補助層40cと第2補助層40bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層40aと第3補助層40cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)のそれぞれの差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、上記関係式4、5、及び6を同時に満足する。
【0122】
このように、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のそれぞれの間のエネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)が上述した関係式を満足することによって、正孔が移動する経路に位置する層の界面で発生する正孔の移動遅延を防止して高い電荷抽出効率を示す。また隣接する層の間の界面に所望せずに留まる残留電荷を減らしたり防止したりして累積した残留電荷によるイメージ残像を減らしたり防止したりすることができる。従って、素子の電気的性能を改善することができる。
【0123】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4A、5A、及び/又は6Aを満足する。
【0124】
[関係式4A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式5A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式6A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0125】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4B、5B、及び/又は6Bを満足する。
【0126】
[関係式4B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式5B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式6B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0127】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4C、5C、及び/又は6Cを満足する。
【0128】
[関係式4C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式5C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式6C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0129】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4D、5D、及び/又は6Dを満足する。
【0130】
[関係式4D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式5D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式6D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0131】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4E、5E、及び/又は6Eを満足する。
【0132】
[関係式4E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式5E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式6E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0133】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4F、5F、及び/又は6Fを満足する。
【0134】
[関係式4F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式5F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式6F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0135】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4G、5G、及び/又は6Gを満足する。
【0136】
[関係式4G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式5G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式6G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0137】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4H、5H、及び/又は6Hを満足する。
【0138】
[関係式4H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式5H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式6H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0139】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層40a、第3補助層40c、第2補助層40b、及びアノード10のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4I、5I、及び/又は6Iを満足する。
【0140】
[関係式4I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式5I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式6I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0141】
一例として、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ約0.5eV以下であり、上記範囲内で、約0.4eV以下、約0.3eV以下、又は約0.25eV以下である。例えば、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ独立して、約0.10eV~0.25eVであり、上記範囲内で、約0.15eV~0.25eV、約0.18eV~0.25eV、又は約0.20eV~0.25eVである。
【0142】
第1補助層40a、第2補助層40b、及び第3補助層40cは、それぞれ独立して、約10nm以下の厚さを有し、例えばそれぞれ独立して、約8nm以下、約7nm以下、約5nm以下、又は約3nm以下の厚さを有する。
【0143】
第1補助層40a、第2補助層40b、及び第3補助層40cは、それぞれ有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。一例として、第1補助層40a、第2補助層40b、及び第3補助層40cのうちの少なくとも一つは、有機物質を含む。一例として、第1補助層40a、第2補助層40b、及び第3補助層40cは、それぞれ有機物質を含む。
【0144】
以下、第3実施形態による素子を説明する。
【0145】
図5は、第3実施形態による素子を示す断面図である。
【0146】
図5を参照すると、素子100は、図1に示した実施形態と同様に、互いに対向するアノード10及びカソード20、アノード10とカソード20との間に位置する活性層30、アノード10と活性層30との間に位置して第1補助層40a及び第2補助層40bを含む補助層40、及びカソード20と活性層30との間に位置する電子バッファー層50を含む。各構成要素は上述した通りである。
【0147】
しかし、図1に示した実施形態とは異なり、電子バッファー層50は、第1電子バッファー層50a及び第2電子バッファー層50bを含む。第1電子バッファー層50aは、活性層30に最も近く位置し、例えば活性層30に接触する。第2電子バッファー層50bは、カソード20に最も近く位置し、例えばカソード20に接触する。
【0148】
図6は、図5の素子のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
【0149】
活性層30で分離された正孔は、HOMOエネルギー準位に沿ってアノード10に伝達され、例えば活性層30のHOMOエネルギー準位(HOMO30)、第1補助層40aのHOMOエネルギー準位(HOMO40a)、第2補助層40bのHOMOエネルギー準位(HOMO40b)、及びアノード10の仕事関数(WF10)に沿って移動する。具体的な説明は上述した通りである。
【0150】
活性層30で分離された電子は、LUMOエネルギー準位に沿ってカソード20に伝達され、例えば活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1電子バッファー層50aのLUMOエネルギー準位(LUMO50a)、第2電子バッファー層50bのLUMOエネルギー準位(LUMO50b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)に沿って移動する。一例として、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1電子バッファー層50aのLUMOエネルギー準位(LUMO50a)、第2電子バッファー層50bのLUMOエネルギー準位(LUMO50b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、階段型である。
【0151】
隣接する層の間には所定のエネルギーバリアが存在し、エネルギーバリアは、活性層30と第1電子バッファー層50aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2電子バッファー層50bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1電子バッファー層50aと第2電子バッファー層50bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)を含む。エネルギーバリア(ΔΦ)は活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)と第1電子バッファー層50aのLUMOエネルギー準位(LUMO50a)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第2電子バッファー層50bのLUMOエネルギー準位(LUMO50b)とカソード20の仕事関数(WF20)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第1電子バッファー層50aのLUMOエネルギー準位(LUMO50a)と第2電子バッファー層50bのLUMOエネルギー準位(LUMO50b)との差である。
【0152】
隣接する層の間の各エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)の差は、非常に小さく、実質的に同じである。
【0153】
一例として、活性層30と第1電子バッファー層50aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2電子バッファー層50bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1電子バッファー層50a、第2電子バッファー層50b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式7を満足する。
【0154】
[関係式7]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0155】
一例として、活性層30と第1電子バッファー層50aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1電子バッファー層50aと第2電子バッファー層50bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1電子バッファー層50a、及び第2電子バッファー層50bのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式8を満足する。
【0156】
[関係式8]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0157】
一例として、第1電子バッファー層50aと第2電子バッファー層50bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2電子バッファー層50bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、第1電子バッファー層50a、第2電子バッファー層50b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式9を満足する。
【0158】
[関係式9]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0159】
一例として、活性層30と第1電子バッファー層50aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2電子バッファー層50bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1電子バッファー層50aと第2電子バッファー層50bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)のそれぞれの差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1電子バッファー層50a、第2電子バッファー層50b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、上記関係式7、8、及び9を同時に満足する。
【0160】
このように、アノード10、第1及び第2補助層(40a、40b)、及び活性層30のそれぞれの間のエネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)と、活性層30、第1及び第2電子バッファー層(50a、50b)、及びカソード20のそれぞれの間のエネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)とが上述した関係式を満足することによって、正孔が移動する経路に位置する層の界面で発生する正孔の移動遅延を防止し、電子が移動する経路に位置する層の界面で発生する電子の移動遅延を同時に防止してより高い電荷抽出効率を示す。また、隣接する層の間の界面に所望せずに留まる残留電荷を減らしたり防止したりして累積した残留電荷によるイメージ残像をより減らしたり防止したりすることができる。従って、素子の電気的性能をより改善することができる。
【0161】
一例として、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ約0.5eV以下であり、上記範囲内で、約0.4eV以下、約0.3eV以下、又は約0.25eV以下である。例えば、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ独立して、約0.10eV~0.25eVであり、上記範囲内で、約0.15eV~0.25eV、約0.18eV~0.25eV、又は約0.20eV~0.25eVである。
【0162】
第1電子バッファー層50a及び第2電子バッファー層50bは、それぞれ独立して、約10nm以下の厚さを有し、例えばそれぞれ独立して、約8nm以下、約7nm以下、約5nm以下、又は約3nm以下の厚さを有する。
【0163】
第1電子バッファー層50a及び第2電子バッファー層50bは、それぞれ有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。一例として、第1電子バッファー層50a及び第2電子バッファー層50bのうちの少なくとも一つは、有機物質を含む。一例として、第1電子バッファー層50a及び第2電子バッファー層50bは、それぞれ有機物質を含む。
【0164】
以下、第4実施形態による素子を説明する。
【0165】
図7は、第4実施形態による素子を示す断面図である。
【0166】
図7を参照すると、素子100は、アノード10、カソード20、活性層30、補助層60、及び正孔バッファー層70を含む。
【0167】
アノード10、カソード20、及び活性層30は、上述した通りである。
【0168】
補助層60はカソード20と活性層30との間に位置する電子補助層であり、電子補助層は、例えば電子輸送層、電子注入層、及び/又は正孔遮断層を含む。補助層60は、活性層30で分離された電荷(例えば電子)をカソード20側に移動させる通路の役割を果たす。この時、電荷(例えば電子)の移動方向は、活性層30、補助層60、及びカソード20である。
【0169】
補助層60は、複数の層を含み、第1補助層60a及び第2補助層60bを含む。第1補助層60aは、活性層30に最も近く位置し、例えば活性層30に接触する。第2補助層60bは、カソード20に最も近く位置し、例えばカソード20に接触する。
【0170】
図8は、図7の素子におけるカソード20、補助層60、及び活性層30のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
【0171】
図8を参照すると、活性層30で分離された電子は、LUMOエネルギー準位に沿ってカソード20に伝達され、例えば活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)に沿って移動する。
【0172】
この時、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、真空準位から順次に深くなり、例えば活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)が最も浅く、カソード20の仕事関数(WF20)が最も深く、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)及び第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)は、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)とカソード20の仕事関数(WF20)との間である。即ち、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、カスケードエネルギー準位を有する。
【0173】
一例として、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、階段型である。
【0174】
隣接する層の間には所定のエネルギーバリアが存在し、エネルギーバリアは、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層60aと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)を含む。エネルギーバリア(ΔΦ)は活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)と第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)とカソード20の仕事関数(WF20)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)と第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)との差である。
【0175】
隣接する層の間の各エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)の差は、非常に小さく、実質的に同じである。
【0176】
一例として、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1を満足する。
【0177】
[関係式1]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0178】
一例として、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1補助層60aと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層60a、及び第2補助層60bのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式2を満足する。
【0179】
[関係式2]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0180】
一例として、第1補助層60aと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式3を満足する。
【0181】
[関係式3]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0182】
一例として、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層60aと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)のそれぞれの差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、上記関係式1、2、及び3を同時に満足する。
【0183】
このように、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のそれぞれの間のエネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)が上述した関係式を満足することによって、電子が移動する経路に位置する層の界面で発生する電子の移動遅延を防止して高い電荷抽出効率を示す。また隣接する層の間の界面に所望せずに留まる残留電荷を減らしたり防止したりして累積した残留電荷によるイメージ残像を減らしたり防止したりすることができる。従って、素子の電気的性能を改善することができる。
【0184】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1A、2A、及び/又は3Aを満足する。
【0185】
[関係式1A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式2A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式3A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0186】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1B、2B、及び/又は3Bを満足する。
【0187】
[関係式1B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式2B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式3B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0188】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1C、2C、及び/又は3Cを満足する。
【0189】
[関係式1C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式2C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式3C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0190】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1D、2D、及び/又は3Dを満足する。
【0191】
[関係式1D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式2D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式3D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0192】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1E、2E、及び/又は3Eを満足する。
【0193】
[関係式1E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式2E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式3E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0194】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1F、2F、及び/又は3Fを満足する。
【0195】
[関係式1F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式2F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式3F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0196】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1G、2G、及び/又は3Gを満足する。
【0197】
[関係式1G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式2G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式3G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0198】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1H、2H、及び/又は3Hを満足する。
【0199】
[関係式1H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式2H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式3H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0200】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式1I、2I、及び/又は3Iを満足する。
【0201】
[関係式1I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式2I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式3I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0202】
一例として、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ約0.5eV以下であり、上記範囲内で、約0.4eV以下、約0.3eV以下、又は約0.25eV以下である。例えば、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ独立して、約0.105eV~0.25eVであり、上記範囲内で、0.15eV~0.25eV、約0.18eV~0.25eV、又は約0.20eV~0.25eVである。
【0203】
第1補助層60a及び第2補助層60bは、それぞれ独立して、約10nm以下の厚さを有し、例えばそれぞれ独立して、約8nm以下、約7nm以下、約5nm以下、又は約3nm以下の厚さを有する。
【0204】
第1補助層60a及び第2補助層60bは、それぞれ有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。一例として、第1補助層60a及び第2補助層60bのうちの少なくとも一つは、有機物質を含む。一例として、第1補助層60a及び第2補助層60bは、それぞれ有機物質を含む。
【0205】
正孔バッファー層70は、アノード10と活性層30との間に位置し、活性層30で分離された電荷(例えば正孔)をアノード10側に移動させる。この時、電荷(例えば正孔)の移動方向は、活性層30、正孔バッファー層70、及びアノード10である。一例として、正孔バッファー層70は活性層30に接触する。一例として、正孔バッファー層70の一面は活性層30に接触し、正孔バッファー層70の他の一面はアノード10に接触する。
【0206】
正孔バッファー層70は、数ナノメートル厚さの非常に薄い薄膜であり、例えば約8nm以下、約7nm以下、又は約5nm以下の厚さを有する。正孔バッファー層70は、例えば約1nm~8nm、約1nm~7nm、又は約1nm~5nmの厚さを有する。
【0207】
正孔バッファー層70は、例えば有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。
【0208】
一例として、正孔バッファー層70は、有機物質を含む。
【0209】
一例として、正孔バッファー層70は、例えば下記化学式4A又は4Bで表される化合物を含むが、これに限定されるものではない。
【0210】
【化4A-4B】
【0211】
上記化学式4A又は4Bで、
及びMは、それぞれ独立して、CR、SiR、NR、O、S、Se、又はTeであり、
Ar1b、Ar2b、Ar3b、及びAr4bは、それぞれ独立して、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基又は置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基であり、
及びGは、それぞれ独立して、単一結合、-(CRn3-、-O-、-S-、-Se-、-N=、-NR-、-SiR-、又は-GeR-であり、ここでn3は1又は2であり、
30乃至R37及びR乃至Rは、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロ環基、置換若しくは非置換のC1乃至C6アルコキシ基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0212】
一例として、正孔バッファー層70は、下記化学式4A-1又は4B-1で表される化合物であるが、これに限定されるものではない。
【0213】
【化(4A-1)-(4B-1)】
【0214】
上記化学式4A-1又は4B-1で、
、M、G、G、R30乃至R37は、上述した通りであり、
38乃至R45は、それぞれ独立して、水素、置換若しくは非置換のC1乃至C30アルキル基、置換若しくは非置換のC6乃至C30アリール基、置換若しくは非置換のC3乃至C30ヘテロアリール基、置換若しくは非置換のC1乃至C6アルコキシ基、ハロゲン、又はシアノ基である。
【0215】
一例として、正孔バッファー層70は、下記化学式4A-1a又は4B-1aで表される化合物であるが、これに限定されるものではない。
【0216】
【化(4A-1a)-(4B-1a)】
【0217】
上記化学式4A-1a又は4B-1aで、R38乃至R45及びR及びRは、上述した通りである。
【0218】
図7では正孔バッファー層70が単一層で示されているが、これに限定されず、正孔バッファー層70は2層以上の複数層を含み得る。一例として、正孔バッファー層70は、第1正孔バッファー層(図示せず)及び第2正孔バッファー層(図示せず)を含み、例えば第1正孔バッファー層は、活性層30に最も近く位置し、例えば活性層30に接触する。第2正孔バッファー層は、アノード10に最も近く位置し、例えばアノード10に接触する。例えば、活性層30、第1正孔バッファー層、第2正孔バッファー層、及びアノードの間のエネルギー準位の差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1正孔バッファー層、第2正孔バッファー層、及びアノード10のそれぞれの間のHOMOエネルギー準位の差は、図5及び図6に示した活性層30、第1電子バッファー層50a、第2電子バッファー層50b、及びカソード20のそれぞれの間のLUMOエネルギー準位の差と同様に、上記関係式7、8、及び/又は9を満足する。
【0219】
一例として、正孔バッファー層70は、省略され得る。
【0220】
素子100は、アノード10又はカソード20の一面に位置する反射防止層(図示せず)を更に含み得る。反射防止層は上述した通りである。
【0221】
素子100は、アノード10又はカソード20側から光が入射して活性層30が所定の波長領域の光を吸収すると内部でエキシトンが生成される。エキシトンは活性層30で電子と正孔とに分離され、分離された電子は第1補助層60a及び第2補助層60bを通過してカソード20に移動し、分離された正孔は正孔バッファー層70を通過してアノード10に移動して電流が流れるようになる。
【0222】
以下、第5実施形態による素子を説明する。
【0223】
図9は、第5実施形態による素子を示す断面図である。
【0224】
図9を参照すると、素子100は、上述した実施形態と同様に、互いに対向するアノード10及びカソード20、アノード10とカソード20との間に位置する活性層30、カソード20と活性層30との間に位置する補助層60、及びアノード20と活性層30との間に位置する正孔バッファー層70を含む。各構成要素は上述した通りである。
【0225】
しかし、上述した実施形態とは異なり、補助層60は、第1補助層60a及び第2補助層60b以外に第3補助層60cを更に含む。第3補助層60cは、第1補助層60aと第2補助層60bとの間に位置し、例えば第3補助層60cの一面は第1補助層60aに接触し、第3補助層60cの他の一面は第2補助層60bに接触する。
【0226】
補助層60は、第1補助層60a、第3補助層60c、及び第2補助層60bが順次に積層された構造を有し、これによって活性層30で分離された電荷(例えば電子)の移動方向は、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20である。
【0227】
図10は、図9の素子におけるカソード20、補助層60、及び活性層30のエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムである。
【0228】
図10を参照すると、活性層30で分離された電子は、LUMOエネルギー準位に沿ってカソード20に伝達され、例えば活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(HOMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)に沿って移動する。
【0229】
この時、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、真空準位から順次に深くなり、例えば活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)が最も浅く、カソード20の仕事関数(WF20)が最も深く、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)、及び第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)は、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)とカソード20の仕事関数(WF20)との間である。即ち、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、カスケードエネルギー準位を有する。
【0230】
一例として、活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)、第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)、第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)、第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)、及びカソード20の仕事関数(WF20)は、階段型である。
【0231】
一例として、隣接する層の間には所定のエネルギーバリアが存在し、エネルギーバリアは、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第3補助層60cと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層60aと第3補助層60cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)を含む。エネルギーバリア(ΔΦ)は活性層30のLUMOエネルギー準位(LUMO30)と第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)とカソード20の仕事関数(WF20)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)と第2補助層60bのLUMOエネルギー準位(LUMO60b)との差であり、エネルギーバリア(ΔΦ)は第1補助層60aのLUMOエネルギー準位(LUMO60a)と第3補助層60cのLUMOエネルギー準位(LUMO60c)との差である。
【0232】
隣接する層の間の各エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)の差は、非常に小さく、実質的に同じである。
【0233】
一例として、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層60a、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、上記関係式1を満足する。
【0234】
一例として、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第3補助層60cと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4を満足する。
【0235】
[関係式4]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0236】
一例として、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1補助層60aと第3補助層60cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層60a、及び第3補助層60cのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式5を満足する。
【0237】
[関係式5]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0238】
一例として、第2補助層60bと第3補助層60cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)と、第1補助層60aと第3補助層60cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)との差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、第1補助層60a、第3補助層60c、及び第2補助層60bのエネルギーダイヤグラムは、下記関係式6を満足する。
【0239】
[関係式6]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0240】
一例として、活性層30と第1補助層60aとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第2補助層60bとカソード20との間のエネルギーバリア(ΔΦ)、第3補助層60cと第2補助層60bとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)、そして第1補助層60aと第3補助層60cとの間のエネルギーバリア(ΔΦ)のそれぞれの差は、非常に小さく、実質的に同じである。例えば、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、上記関係式4、5、及び6を同時に満足する。
【0241】
このように、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のそれぞれの間のエネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)が上述した関係式を満足することによって、電子が移動する経路に位置する層の界面で発生する正孔の移動遅延を防止して高い電荷抽出効率を示す。また隣接する層の間の界面に所望せずに留まる残留電荷を減らしたり防止したりして累積した残留電荷によるイメージ残像を減らしたり防止したりすることができる。従って、素子の電気的性能を改善することができる。
【0242】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4A、5A、及び/又は6Aを満足する。
【0243】
[関係式4A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式5A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
[関係式6A]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.1eV
【0244】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4B、5B、及び/又は6Bを満足する。
【0245】
[関係式4B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式5B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式6B]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0246】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4C、5C、及び/又は6Cを満足する。
【0247】
[関係式4C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式5C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
[関係式6C]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.07eV
【0248】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4D、5D、及び/又は6Dを満足する。
【0249】
[関係式4D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式5D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式6D]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0250】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4E、5E、及び/又は6Eを満足する。
【0251】
[関係式4E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式5E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
[関係式6E]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.05eV
【0252】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4F、5F、及び/又は6Fを満足する。
【0253】
[関係式4F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式5F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式6F]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0254】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4G、5G、及び/又は6Gを満足する。
【0255】
[関係式4G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式5G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
[関係式6G]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.03eV
【0256】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4H、5H、及び/又は6Hを満足する。
【0257】
[関係式4H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式5H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式6H]
|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0258】
上記範囲内で、活性層30、第1補助層60a、第3補助層60c、第2補助層60b、及びカソード20のエネルギーダイヤグラムは、下記関係式4I、5I、及び/又は6Iを満足する。
【0259】
[関係式4I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式5I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
[関係式6I]
0<|ΔΦ-ΔΦ|≦0.01eV
【0260】
一例として、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ約0.5eV以下であり、上記範囲内で、約0.4eV以下、約0.3eV以下、又は約0.25eV以下である。例えば、エネルギーバリア(ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ、ΔΦ)は、それぞれ独立して、約0.10eV~0.25eVであり、上記範囲内で、約0.15eV~0.25eV、約0.18eV~0.25eV、又は約0.20eV~0.25eVである。
【0261】
第1補助層60a、第2補助層60b、及び第3補助層60cは、それぞれ独立して、約10nm以下の厚さを有し、例えばそれぞれ独立して、約8nm以下、約7nm以下、約5nm以下、又は約3nm以下の厚さを有する。
【0262】
第1補助層60a、第2補助層60b、及び第3補助層60cは、それぞれ有機物質、無機物質、及び/又は有機-無機物質を含む。一例として、第1補助層60a、第2補助層60b、及び第3補助層60cのうちの少なくとも一つは、有機物質を含む。一例として、第1補助層60a、第2補助層60b、及び第3補助層60cは、それぞれ有機物質を含む。
【0263】
上述した素子100は、多様な電子装置に適用され、例えば太陽電池、発光装置、センサー、光検出器、及び光センサーなどに適用されるが、これに限定されるものではない。
【0264】
一例として、素子100は、センサーに適用され、センサーは、例えばイメージセンサーである。
【0265】
以下、上述した素子を適用したイメージセンサーの一例について図面を参照して説明する。ここでイメージセンサーの一例として有機CMOSイメージセンサーについて説明する。
【0266】
図11は、一実施形態によるイメージセンサーの一例を概略的に示す断面図である。
【0267】
図11を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー300は、半導体基板110、絶縁層80、素子100、及び色フィルター層70を含む。
【0268】
半導体基板110は、シリコン基板であり、伝送トランジスター(図示せず)及び電荷貯蔵所155が集積されている。伝送トランジスター及び/又は電荷貯蔵所155は、画素毎に集積されている。電荷貯蔵所155は、素子100に電気的に連結される。
【0269】
半導体基板110の上には、また金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成されている。金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これに限定されるものではない。
【0270】
金属配線及びパッドの上には絶縁層80が形成されている。絶縁層80は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のような無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFのような低誘電率(low K)物質で作られる。絶縁層80は、電荷貯蔵所155を露出するトレンチ85を有する。トレンチ85は、充填材で満たされている。
【0271】
絶縁層80の上には上述した素子100が形成されている。素子100は、図1図3図5図7、又は図9に示した素子100である。素子100は、光電変換素子であり、具体的な説明は上述した通りである。素子100のアノード10又はカソード20は電荷貯蔵所155に連結されている。
【0272】
素子100の上には色フィルター層70が形成されている。色フィルター層70は、青色画素に形成されている青色フィルター70a、赤色画素に形成されている赤色フィルター70b、及び緑色画素に形成されている緑色フィルター70cを含む。しかし、これに限定されず、シアンフィルター、マゼンタフィルター、及び/又はイエローフィルターを代わりに又は追加的に含むことができる。
【0273】
素子100と色フィルター層70との間には絶縁膜180が形成されている。絶縁膜180は省略され得る。
【0274】
色フィルター層70の上には集光レンズ(図示せず)が更に形成され得る。集光レンズは、入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー模様又は半球模様であるが、これに限定されるものではない。
【0275】
図12は、一実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す平面図であり、図13は、図12のイメージセンサーの一例を示す断面図である。
【0276】
図12及び図13を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー400は、光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積されている半導体基板110、下部絶縁層60、色フィルター層70、上部絶縁層80、及び上述した素子100を含む。上述した素子100は、光電変換素子である。
【0277】
半導体基板110は、シリコン基板であり、光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積されている。光感知素子(150a、150b)は、光ダイオード(photodiode)である。
【0278】
光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスター、及び/又は電荷貯蔵所155は、画素毎に集積され、一例として図のように光感知素子(150a、150b)は青色画素及び赤色画素にそれぞれ含まれ、電荷貯蔵所155は緑色画素に含まれる。
【0279】
光感知素子(150a、150b)は光をセンシングし、センシングされた情報は伝送トランジスターにより伝達され、電荷貯蔵所155は素子100に電気的に連結され、電荷貯蔵所155の情報は伝送トランジスターにより伝達される。
【0280】
半導体基板110の上には、また金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成されている。金属配線及びパッドは、信号遅延を減らすために低い比抵抗を有する金属、例えばアルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、及びこれらの合金で作られるが、これに限定されるものではない。しかし、上記構造に限定されず、金属配線及びパッドが光感知素子(150a、150b)の下部に位置することもできる。
【0281】
金属配線及びパッドの上には下部絶縁層60が形成されている。下部絶縁層60は、酸化ケイ素及び/又は窒化ケイ素のような無機絶縁物質、又はSiC、SiCOH、SiCO、及びSiOFのような低誘電率(low K)物質で作られる。下部絶縁層60は、電荷貯蔵所155を露出するトレンチを有する。トレンチは充填材で満たされている。
【0282】
下部絶縁層60の上には色フィルター層70が形成されている。色フィルター層70は、青色画素に形成されている青色フィルター70a及び赤色画素に形成されている赤色フィルター70bを含む。本実施形態では緑色フィルターを備えていない例を説明するが、場合によっては緑色フィルターを備えることもできる。
【0283】
色フィルター層70の上には上部絶縁層80が形成されている。上部絶縁層80は、色フィルター層70による段差を除去して平坦化する。上部絶縁層80及び下部絶縁層60は、パッドを露出する接触口(図示せず)及び緑色画素の電荷貯蔵所155を露出する貫通口85を有する。
【0284】
上部絶縁層80の上には上述した素子100が形成されている。素子100は、図1図3図5図7、又は図9に示した素子100である。素子100は、光電変換素子であり、具体的な説明は上述した通りである。素子100のアノード10又はカソード20は電荷貯蔵所155に連結されている。
【0285】
素子100の上には集光レンズ(図示せず)が更に形成され得る。集光レンズは、入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー模様又は半球模様であるが、これに限定されるものではない。
【0286】
図14は、イメージセンサーの他の例を示す断面図である。
【0287】
図14を参照すると、本実施形態によるイメージセンサー500は、上述した実施形態と同様に光感知素子(150a、150b)、伝送トランジスター(図示せず)、及び電荷貯蔵所155が集積されている半導体基板110、上部絶縁層80、及び素子100を含む。
【0288】
しかし、本実施形態によるイメージセンサー500は、上述した実施形態とは異なり、光感知素子(150a、150b)が垂直方向に積層されており、色フィルター層70が省略されている。光感知素子(150a、150b)は、電荷貯蔵所(図示せず)に電気的に連結され、光感知素子(150a、150b)によりセンシングされた情報は伝送トランジスターにより伝達される。光感知素子(150a、150b)は、積層の深さにより各波長領域の光を選択的に吸収する。
【0289】
素子100は、図1図3図5図7、又は図9に示した素子100である。素子100は、光電変換素子であり、具体的な説明は上述した通りである。素子100のアノード10又はカソード20は、電荷貯蔵所155に連結されている。
【0290】
図15は、他の実施形態によるイメージセンサーを概略的に示す平面図であり、図16は、図15のイメージセンサーの断面図である。
【0291】
本実施形態によるイメージセンサー600は、緑色波長領域の光を選択的に吸収する緑色素子、青色波長領域の光を選択的に吸収する青色素子、及び赤色波長領域の光を選択的に吸収する赤色素子が積層されている構造である。
【0292】
本実施形態によるイメージセンサー600は、半導体基板110、下部絶縁層60、中間絶縁層65、上部絶縁層80、第1素子100a、第2素子100b、及び第3素子100cを含む。
【0293】
半導体基板110は、シリコン基板であり、伝送トランジスター(図示せず)及び電荷貯蔵所(155a、155b、155c)が集積されている。
【0294】
半導体基板110の上には金属配線(図示せず)及びパッド(図示せず)が形成されており、金属配線及びパッドの上には下部絶縁層60が形成されている。
【0295】
下部絶縁層60の上には、第1素子100a、第2素子100b、及び第3素子100cが順次に形成されている。
【0296】
第1素子100a、第2素子100b、及び第3素子100cは、それぞれ独立して、図1図3図5図7、又は図9に示した素子100である。素子100は、光電変換素子であり、具体的な説明は上述した通りである。素子100のアノード10又はカソード20は、電荷貯蔵所(155a、155b、155c)に連結されている。
【0297】
第1素子100aの活性層30は、赤色、青色、及び緑色のうちのいずれか一つの波長領域の光を選択的に吸収して光電変換する光電変換素子である。例えば、第1素子100aは赤色光電変換素子である。第1素子100aのアノード10又はカソード20は、第1電荷貯蔵所155aに電気的に連結される。
【0298】
第1素子100aの上には、中間絶縁層65が形成されている。
【0299】
中間絶縁層65の上には、第2素子100bが形成されている。
【0300】
第2素子100bの活性層30は、赤色、青色、及び緑色のうちのいずれか一つの波長領域の光を選択的に吸収して光電変換する光電変換素子である。例えば、第2素子100bは青色光電変換素子である。第2素子100bのアノード10又はカソード20は、第2電荷貯蔵所155bに電気的に連結される。
【0301】
第2素子100bの上には、上部絶縁層80が形成されている。下部絶縁層60、中間絶縁層65、及び上部絶縁層80は、電荷貯蔵所(155a、155b、155c)を露出する複数の貫通口を有する。
【0302】
上部絶縁層80の上には第3素子100cが形成されている。第3素子100cの活性層30は、赤色、青色、及び緑色のうちのいずれか一つの波長領域の光を選択的に吸収して光電変換する光電変換素子である。例えば、第3素子100cは、緑色光電変換素子である。第3素子100cのアノード10又はカソード20は、第3電荷貯蔵所155cに電気的に連結される。
【0303】
第3素子100cの上には、集光レンズ(図示せず)が更に形成され得る。集光レンズは、入射光の方向を制御して光を一つの地点に集める。集光レンズは、例えばシリンダー模様又は半球模様であるが、これに限定されるものではない。
【0304】
図面では、第1素子100a、第2素子100b、及び第3素子100cが順次に積層された構造を示したが、これに限定されず、積層順序は多様に変わり得る。
【0305】
上記のようにそれぞれ異なる波長領域の光を吸収する第1素子100a、第2素子100b、及び第3素子100cが積層された構造を有することによってイメージセンサーの大きさをより減らして小型化イメージセンサーを実現することができる。
【0306】
上述した素子及びイメージセンサーは、それぞれ多様な電子装置に適用され、例えば携帯電話、デジタルカメラなどに適用されるが、これに限定されるものではない。
【0307】
以下、実施例を通じて上述した実施形態をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は単に説明の目的のためのものであり、権利範囲を制限するものではない。
【0308】
≪素子の製作I≫
【0309】
<実施例1>
【0310】
ガラス基板上にITOをスパッタリングで積層して150nm厚さのアノード(WF:4.9eV)を形成する。次にアノードの上に下記化学式A-1で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの下部補助層(HOMO:5.10eV)を形成し、その上に下記化学式A-2で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの上部補助層(HOMO:5.31eV)を形成する。次に上部補助層上に下記化学式Bで表されるp型半導体(λmax:545nm)とフラーレン(C60)であるn型半導体とを1:1の体積比に共蒸着して100nm厚さの光電変換層(HOMO:5.55eV)を形成する。次に光電変換層上にYbを熱蒸着して1.5nm厚さの電子バッファー層(WF:2.6eV)を形成する。次に電子バッファー層上にITO(WF:4.7eV)をスパッタリングして7nm厚さのカソードを形成する。次にカソードの上に酸化アルミニウム(Al)を蒸着して50nm厚さの反射防止層を形成し、ガラス板で封止して素子を製作する。
【0311】
【化(A-1)-(B)】
【0312】
<比較例1>
【0313】
下部補助層及び上部補助層の代わりに、下記化学式A-3で表される化合物を蒸着して5nm厚さの単一補助層(HOMO:5.73eV)を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0314】
【化A-3】
【0315】
<比較例2>
【0316】
上記化学式A-2で表される化合物の代わりに下記化学式A-4で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの上部補助層(HOMO:5.43eV)を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0317】
【化A-4】
【0318】
<比較例3>
【0319】
上記化学式A-2で表される化合物の代わりに下記化学式A-5で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの上部補助層(HOMO:5.22eV)を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0320】
【化A-5】
【0321】
<比較例4>
【0322】
上記化学式A-2で表される化合物の代わりに下記化学式A-6で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの上部補助層(HOMO:5.50eV)を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0323】
【化A-6】
【0324】
<比較例5>
【0325】
上記化学式A-1で表される化合物の代わりに下記化学式A-7で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの下部補助層(HOMO:5.00eV)を形成し、上記化学式A-2で表される化合物の代わりに上記化学式A-6で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの上部補助層(HOMO:5.50eV)を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0326】
【化A-7】
【0327】
≪素子の製作II≫
【0328】
<実施例2>
【0329】
2.5nm厚さの上部補助層の代わりに5nm厚さの上部補助層を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0330】
<比較例6>
【0331】
2.5nm厚さの上部補助層の代わりに5nm厚さの上部補助層を形成したことを除き、比較例2と同様の方法で素子を製作する。
【0332】
<比較例7>
【0333】
2.5nm厚さの上部補助層の代わりに5nm厚さの上部補助層を形成したことを除き、比較例4と同様の方法で素子を製作する。
【0334】
<比較例8>
【0335】
上記化学式A-1で表される化合物の代わりに上記化学式A-3で表される化合物を蒸着して5nm厚さの下部補助層(HOMO:5.73eV)を形成し、上記化学式A-2で表される化合物の代わりに上記化学式A-1で表される化合物を蒸着して2.5nm厚さの上部補助層(HOMO:5.10eV)を形成したことを除き、実施例1と同様の方法で素子を製作する。
【0336】
≪評価I≫
【0337】
実施例及び比較例による素子のエネルギーバリアは、下記表1及び図19~25の通りである。
【0338】
図17は、実施例1、2による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すエネルギーダイヤグラムであり、図18は、比較例1による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムであり、図19は、比較例2、6による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムであり、図20は、比較例3による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムであり、図21は、比較例4、7による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムであり、図22は、比較例5による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムであり、図23は、比較例8による素子のアノードから活性層までのエネルギー準位を示すダイヤグラムである。
【0339】
【表1】
【0340】
≪評価II≫
【0341】
実施例及び比較例による素子の残留電子(remaining electrons)特性を評価する。
【0342】
残留電子特性は、1フレーム(frame)で光電変換された電荷が信号処理に使用されずに残って次のフレームで直前フレームの電荷が読まれる電荷の量をいい、実施例及び比較例による素子に光電変換が起こる緑色波長領域の光を一定時間照射して光を消した後、Keithley2400装置で、10-6秒単位で測定される電流量で評価する。残留電子の量は、5000luxでh+/s/μm単位で測定し、実施例1及び2による素子の残留電子の量をそれぞれ100(基準)とする時、比較例による素子の残留電子の相対的な量で評価する。
【0343】
補助層の総厚さ(T)が5nmである実施例及び比較例の残留電子特性は下記表2の通りであり、補助層の総厚さ(T)が7.5nmである実施例と比較例の残留電子特性は下記表3の通りである。
【0344】
【表2】
【0345】
【表3】
【0346】
表2及び3を参照すると、実施例による素子は、比較例による素子と比較して残留電子特性が改善されたことを確認することができる。
【0347】
≪評価III≫
【0348】
実施例及び比較例による光電変換素子の光電変換効率を評価する。
【0349】
光電変換効率(EQE)は、400nm~720nm波長領域でIncidentPhoton to Current Efficiency(IPCE)方法で評価する。
【0350】
図24は、実施例1及び比較例1~4による素子の光電変換効率を示すグラフであり、図25は、実施例2及び比較例1、6、7による素子の光電変換効率を示すグラフである。
【0351】
図24及び図25を参照すると、実施例による素子は、比較例による素子と比較して同等又は改善された光電変換効率を示すことを確認することができる。また補助層の厚さによる光電変換効率の低下が観察されないことを確認することができる。
【0352】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で多様に変更実施することが可能である。
【符号の説明】
【0353】
10 アノード
20 カソード
30 活性層
40 補助層
40a、40b、40c 第1~第3補助層
50 電子バッファー層
50a、50b 第1、第2電子バッファー層
60 補助層、下部絶縁層
60a、60b、60c 第1~第3補助層
65 中間絶縁層
70 正孔バッファー層、色フィルター層
70a、70b、70c 青色、赤色、緑色フィルター
80 絶縁層、上部絶縁層
85 トレンチ、貫通口
100 素子
100a、100b、100c 第1~第3素子
110 半導体基板
150a、150b、150c 光感知素子
155 電荷貯蔵所
155a、155b、155c 第1~第3電荷貯蔵所
180 絶縁膜
300、400、500、600 イメージセンサー

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25