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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】カバー
(51)【国際特許分類】
   A46B 17/04 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
A46B17/04
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020142832
(22)【出願日】2020-08-26
(65)【公開番号】P2022038367
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000228442
【氏名又は名称】日本クロージャー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝己
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭58-058735(JP,U)
【文献】特開平10-323228(JP,A)
【文献】特表2018-511373(JP,A)
【文献】登録実用新案第3145888(JP,U)
【文献】特開昭62-053610(JP,A)
【文献】登録実用新案第3174731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯ブラシにおける、柄の先端部とブラシ毛が植毛された植毛部を含む頭部を保護するカバーであって、
前記ブラシ毛の先端に対向するように配される基部と、
前記基部の両側面側から垂下し、前記頭部の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁と、
を備え、
前記一対の側壁は、
これらの対向面同士の間隔を前記頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ前記基部から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の下方に設けられ、前記頭部のうち前記柄の先端部を挟持可能な保持部と、
前記傾斜部と前記保持部とのなす角度の変化を抑制する補強部と、
をそれぞれ有すると共に、
前記補強部は、前記傾斜部及び保持部の外壁面から更に外側に張り出すように設けられる少なくとも一つのリブにより構成されることを特徴とするカバー。
【請求項2】
前記リブは、前記傾斜部及び保持部のうち前記頭部が挿入される側の先端部分に設けられていることを特徴とする請求項に記載のカバー。
【請求項3】
前記保持部の下端には、前記柄における前記植毛部とは反対側の面に対向し、前記頭部の抜け落ちを抑制する第1ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカバー。
【請求項4】
前記第1ストッパ部は、前記一対の側壁の下端にそれぞれ形成され、かつ、前記第1ストッパ部の隙間は非直線的な隙間により構成されており、
外力が作用していない状態で、これら一対の第1ストッパ部のうちの一方に設けられた少なくとも1か所の凸部が、他方に設けられた少なくとも1か所の凹部内に進入するように構成されていることを特徴とする請求項に記載のカバー。
【請求項5】
前記基部の前端には、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への
移動を規制する第2ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のカバー。
【請求項6】
前記基部の前端には、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への移動を規制する第2ストッパ部が設けられていることを特徴とする請求項3または4に記載のカバー。
【請求項7】
前記第2ストッパ部は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっており、前記一対の第1ストッパ部の先端側には、該第2ストッパ部の屈曲形状内部に進入する突起部がそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項6に記載のカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯ブラシに用いられるカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、歯ブラシにおける頭部(植毛部が設けられている部分)を保護するためのカバーが知られている。このようなカバーにおいては、ブラシ毛の先端が、カバーに接しないようにするのが望ましい。そのため、頭部の形状及び寸法に合わせて、専用のカバーが用いられるのが一般的である。従って、多種多様の歯ブラシに対応させるためには、それぞれ寸法及び形状が異なるカバーが必要となり、製造用の金型を複数種類用意しなければならないなど、コストが増加してしまっていた。
【0003】
そこで、本願の出願人は、多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーに関する技術を既に提案している(特願2020-019524号)。しかしながら、歯ブラシやカバーの寸法や材質によっては、歯ブラシの頭部にカバーを装着する際に、ブラシ毛の一部がカバーの側方の外側にはみ出してしまい、装着作業が面倒になったり、ブラシ毛の一部が変形してしまったりすることが分かった。そのため、カバーを適用することが可能な歯ブラシの種類が十分多いとは必ずしも言えない。従って、未だ改良の余地がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-53610号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、多種多様の歯ブラシに利用可能なカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するために以下の手段を採用した。
【0007】
すなわち、本発明のカバーは、
歯ブラシにおける柄の先端部ブラシ毛が植毛された植毛部を含む頭部を保護するカバーであって、
前記ブラシ毛の先端に対向するように配される基部と、
前記基部の両側面側から垂下し、前記頭部の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁と、
を備え、
前記一対の側壁は、
これらの対向面同士の間隔を前記頭部の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ前記基部から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部と、
前記傾斜部の下方に設けられ、前記頭部のうち前記柄の先端部を挟持可能な保持部と、
前記傾斜部と前記保持部とのなす角度の変化を抑制する補強部と、
をそれぞれ有することを特徴とする。
【0008】
本発明によれば、一対の側壁は、これらの対向面同士の間隔が頭部の幅に応じて変更可能な可撓性を有する傾斜部を備えている。そのため、サイズの異なる各種頭部に対して、本発明のカバーを適用することができ、また、一対の傾斜部の下方には、頭部のうち柄の先端部を挟持可能な保持部をそれぞれ有しているので、柄の先端部が動いてしまうことを
抑制することができる。これにより、ブラシ毛の先端などがカバーに接してしまうことを抑制することができる。また、一対の側壁は、傾斜部と保持部とのなす角度の変化を抑制する補強部をそれぞれ有している。これにより、カバーを頭部に装着する際に、傾斜部と保持部との境界部が内側に向かって食い込むように変形してしまうことを抑制できるため、ブラシ毛の一部がカバーの側方にはみ出してしまうことを抑制することができる。従って、より一層、サイズの異なる各種頭部に対して、本発明のカバーを適用することができる。
【0009】
前記補強部は、前記傾斜部及び保持部の外壁面から更に外側に張り出すように設けられる少なくとも一つのリブにより構成されるとよい。
【0010】
そして、前記リブは、前記傾斜部及び保持部のうち前記頭部が挿入される側の先端部分に設けられていると好適である。
【0011】
これにより、カバーに頭部が挿入される際に、ブラシ毛が傾斜部及び保持部よりも外側にはみ出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0012】
前記保持部の下端には、前記柄における前記植毛部とは反対側の面に対向し、前記頭部の抜け落ちを抑制する第1ストッパ部が設けられているとよい。
【0013】
これにより、カバーが歯ブラシの頭部から脱落してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0014】
前記第1ストッパ部は、前記一対の側壁の下端にそれぞれ形成され、かつ、前記第1ストッパ部の隙間は非直線的な隙間により構成されており、
外力が作用していない状態で、これら一対の第1ストッパ部のうちの一方に設けられた少なくとも1か所の凸部が、他方に設けられた少なくとも1か所の凹部内に進入するように構成されているとよい。
【0015】
この構成を採用するとよい点は、次の通りである。すなわち、第1ストッパ部の隙間が直線的な隙間で構成される場合、搬送などのため複数のカバーをまとめて収容される状態にすると、あるカバーの隙間に、別のカバーの一部が入り込んでしまい(スタッキングと呼ばれる)、これらのカバー同士が連結されたような状態になってしまう。そのため、カバーを別々に取り外す作業が必要となってしまう。そこで、上記のように、第1ストッパ部の隙間を非直線的な隙間により構成し、外力が作用していない状態で、これら一対の第1ストッパ部のうちの一方に設けられた少なくとも1か所の凸部が、他方に設けられた少なくとも1か所の凹部内に進入するように構成することで、上記のようなスタッキング現象が発生してしまうことを抑制することができる。
【0016】
前記基部の前端には、前記一対の側壁とは間隔を空けた状態で、前記頭部の先端側への移動を規制する第2ストッパ部が設けられているとよい。
【0017】
これにより、側壁の可撓性を失うことなくカバーが歯ブラシの柄の方に移動してしまうことを抑制することができる。
【0018】
前記第2ストッパ部は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっており、前記一対の第1ストッパ部の先端側には、該第2ストッパ部の屈曲形状内部に進入する突起部がそれぞれ設けられているとよい。
【0019】
これにより、一対の側壁と第2ストッパ部の間の隙間が、突起部によって遮られるため
、上述したようなスタッキング現象の発生を抑制することができる。
【0020】
なお、上記各構成は、可能な限り組み合わせて採用し得る。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、多種多様の歯ブラシに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す図である。
図2図2は本発明の実施例1に係るカバーの斜視図である。
図3図3は本発明の実施例1に係るカバーの平面図である。
図4図4は本発明の実施例1に係るカバーの正面図である。
図5図5は本発明の実施例1に係るカバーの側面図である。
図6図6は本発明の実施例1に係るカバーの底面図である。
図7図7は本発明の実施例1に係るカバーの模式的断面図である。
図8図8は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図である。
図9図9は歯ブラシに比較例に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図である。
図10図10は本発明の実施例2に係るカバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0024】
(実施例1)
図1図9を参照して、本発明の実施例1に係るカバーについて説明する。本実施例に係るカバーは、歯ブラシにおける頭部を保護するために用いられる。図1を参照して、本実施例に係るカバーの使用形態について説明する。
【0025】
<カバーの使用形態>
図1は歯ブラシに本実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す図である。図1中のカバーについては、模式的断面図にて示している。歯ブラシ1は、柄10と、頭部20とを備えている。頭部20は、柄10の先端側に一体に設けられる先端部22と、この先端部22の上面にブラシ毛が植毛された植毛部21とを備えている。本実施例に係るカバー100は、この頭部20に取り付けられることで、頭部20を保護する役割を担っている。
【0026】
<カバー>
特に、図2図7を参照して、本実施例に係るカバー100の構成について説明する。図2は本発明の実施例1に係るカバーの斜視図である。図3は本発明の実施例1に係るカバーの平面図である。図4は本発明の実施例1に係るカバーの正面図であり、図3中、V1方向に見た図である。図5は本発明の実施例1に係るカバーの側面図であり、図3中、V2方向に見た図である。図6は本発明の実施例1に係るカバーの底面図である。図7は本発明の実施例1に係るカバーの模式的断面図であり、図3中、AA断面図である。なお、上記の図1中のカバー100についても、図3中のAA断面図に相当する。
【0027】
本実施例に係るカバー100は、樹脂材料により構成され、射出成形など従来の成形方法によって得ることができる。また、カバー100を構成する樹脂材料は、外部から頭部20を見ることができるように、透明の材料を用いると好適である。具体的には、透過率が90%以上の材料を用いると好適である。更に、カバー100は、頭部20を保護するという観点から、ある程度の硬さが得られるように硬質材料により構成されると好適である。その一方で、以下に示すように、ある程度弾性変形が可能となるような弾性を有する材料であるのが望ましい。これらの各種条件を満たす材料としては、PP(ポリプロピレン)やPET(ポリエチレンテレフタレート)などを挙げることができる。
【0028】
そして、カバー100は、植毛部21におけるブラシ毛の先端に対向するように配される基部110と、基部110の両側面側から垂下し、頭部20の両側面にそれぞれ対向するように配される一対の側壁120とを備えている。一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔を頭部20の幅に応じて変更可能とする可撓性を有し、かつ基部110から離れるにつれて、これらの対向面同士が近付くように傾斜する傾斜部122をそれぞれ有している。また、一対の側壁120は、傾斜部122の下方に設けられ、頭部20のうち柄10の先端部22を挟持可能な保持部121をそれぞれ有している。更に、一対の側壁120は、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化を抑制する補強部として機能するリブ123をそれぞれ有している。
【0029】
リブ123は、傾斜部122及び保持部121の外壁面から更に外側に張り出すように設けられている。本実施例においては、一対の側壁120に、それぞれ1か所のリブ123が、傾斜部122及び保持部121のうち頭部20が挿入される側の先端部分に設けられている。このリブ123は、傾斜部122の上端から保持部121の下端に至るように設けられている。なお、リブ123と保持部121の内壁面との接続部(境界部)、及び、リブ123と傾斜部122の寧壁面との接続部(境界部)には、面取り(いわゆるC面やR面)などを設けると好適である。
【0030】
そして、保持部121の下端には、柄10における植毛部21とは反対側の面に対向し、頭部20の抜け落ちを抑制する第1ストッパ部130が設けられている。第1ストッパ部130は、一対の側壁120の下端(保持部121の下端に相当する)にそれぞれ形成される。そして、一対の第1ストッパ部130の対向面同士の間には隙間が形成される。この第1ストッパ部130の隙間を、便宜上、第1隙間S1と称する。
【0031】
この第1隙間S1は、非直線的な隙間により構成されている。本実施例の場合には、カバー100に外力が作用していない状態で、一対の第1ストッパ部130のうちの一方に設けられた凸部131が、他方に設けられた凹部132内に進入するように構成されている(図6参照)。このような構成を採用することで、第1隙間S1について、その一端側から他端側を直視した場合に、凸部131により遮られて、凸部131よりも他端側の隙間が見えないように構成されている。なお、図示の例では、凸部131と凹部132が1か所ずつ設けられる場合の構成を示したが、このような凸部と凹部を2か所以上設ける構成を採用することができる。また、第1隙間S1が蛇行するような構成を採用することもできる。
【0032】
また、基部110の前端には、一対の側壁120とは間隔を空けた状態で、頭部20の先端側への移動を規制する第2ストッパ部140が設けられている。以下、一対の側壁120と第2ストッパ部140との間の隙間を、便宜上、第2隙間S2と称する。
【0033】
第2ストッパ部140は、幅方向の中央が幅方向の両端よりも先端側に向かって突出した屈曲形状となっている(図3及び図6参照)。そして、一対の第1ストッパ部130の先端側には、第2ストッパ部140の屈曲形状内部に進入する突起部133がそれぞれ設
けられている。このような突起部133が設けられることで、図5に示すように、第2隙間S2のうち、基部110とは反対側の端部付近が、突起部133によって遮られるように構成されている。
【0034】
<本実施例に係るカバーの優れた点>
上記のように構成されるカバー100においては、歯ブラシ1の頭部20がカバー100に挿入される際、頭部20のブラシ毛21の先端が基部110に対向するように挿入される。すると、柄10の先端部22の側面は保持部121に保持される。そして、本実施例に係るカバー100によれば、一対の側壁120は、これらの対向面同士の間隔が頭部20の幅に応じて変更可能な可撓性を有する傾斜部122を備えている。そのため、サイズの異なる各種頭部に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。なお、一対の側壁120に傾斜部122を設けることによって、幅の広い頭部20を一対の保持部121により保持した状態においても、基部110に対して、その幅方向の外側に、側壁120が出っ張ってしまうことを抑制できる効果もある。
【0035】
また、上記の通り、柄10の先端部22は保持部121により挟持されるので、柄10の先端部22が動いてしまうことを抑制することができる。これにより、ブラシ毛21の先端などがカバー100に接してしまうことを抑制することができる。
【0036】
そして、本実施例においては、一対の側壁120は、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化を抑制する補強部としてのリブ123をそれぞれ有している。これにより、カバー100を頭部20に装着する際に、柄10の幅に沿って保持部121は拡幅するとともに、傾斜部122も保持部121とのなす角度を維持したまま拡幅することで傾斜部122と保持部121との境界部が内側に向かって食い込むように変形してしまうことを抑制できるため、ブラシ毛21の一部がカバー100の側方にはみ出してしまうことを抑制することができる。従って、より一層、サイズの異なる各種頭部に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。この点について、図8及び図9を参照して、より詳細に説明する。図8は歯ブラシに本発明の実施例1に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図である。なお、図8においては、リブ123を透視した図を示しており、透視した部分を点線にて示している。図9は歯ブラシに比較例に係るカバーが取り付けられた状態を示す正面図である。また、図8及び図9においては、歯ブラシ1の柄10の部分については省略している(柄10の一部を切断した状態を示している)。
【0037】
カバー100に歯ブラシ1の頭部20が装着(挿入)されると、柄10の先端部22によって、カバー100における一対の傾斜部122が撓み、一対の保持部121が両側に開くように、一対の側壁120は変形する。ここで、カバー100に外力が作用していない状態において、傾斜部122と保持部121とのなす角度をα1(図4参照)とする。そして、カバー100に歯ブラシ1の頭部20が装着された状態において、傾斜部122と保持部121とのなす角度をα2(図8参照)とする。本実施例においては、上記のように、リブ123によって、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化が抑制されるため、多少、傾斜部122と保持部121は変形するが、角度α2を角度α1とほぼ同等に維持することができる。
【0038】
これに対して、図9に示す比較例に係るカバー100Xは、補強部としてのリブ123を設けない場合について示している。なお、このカバー100Xは、リブ123が設けられていない点を除き、本実施例に係るカバー100の構成と同一である。ここで、カバー100Xに歯ブラシ1の頭部20が装着された状態において、傾斜部122と保持部121とのなす角度をα3とする。すると、このカバー100Xにおいては、リブ123が設けられていないため、傾斜部122と保持部121との境界部(屈曲部)が、より一層屈曲するため、角度α3<角度α1(角度α3<角度α2)となる。つまり、カバー100
Xを頭部20に装着する際に、傾斜部122と保持部121との境界部が内側に向かって食い込むように変形してしまう。これにより、歯ブラシ1やカバー100Xの寸法や材質によっては、歯ブラシ1の頭部20にカバー100Xを装着する際に、ブラシ毛21の一部がカバー100Xの側方の外側にはみ出してしまう(図9中、囲みSに示す付近)。従って、装着作業が面倒になったり、ブラシ毛21の一部が変形してしまったりすることがある。
【0039】
本実施例に係るカバー100の場合には、リブ123を設けることで、比較例に係るカバー100Xの場合のような不具合を解消することができる。従って、より一層、多種多様の頭部20に対して、本実施例に係るカバー100を適用することができる。また、本実施例においては、傾斜部122及び保持部121のうち頭部20が挿入される側の先端部分にリブ123が設けられる構成を採用している。従って、カバー100に頭部20が挿入される際に、ブラシ毛21が傾斜部122及び保持部121よりも外側にはみ出してしまうことを、より確実に抑制することができる。
【0040】
また、本実施例に係る保持部121の下端には、頭部20の抜け落ちを抑制する第1ストッパ部130が設けられている。これにより、カバー100が歯ブラシ1の頭部20から脱落してしまうことを、より確実に抑制することができる。更に、本実施例に係るカバー100においては、頭部20の先端側への移動を規制する第2ストッパ部140も設けられている。これにより、カバー100が歯ブラシ1の柄10の方に移動してしまうことを抑制することができる。
【0041】
ここで、複数のカバー100をまとめて収容する状態にすると、あるカバー100の隙間に、別のカバー100の一部が入り込んでしまい(スタッキングと呼ばれる)、これらのカバー同士が連結されたような状態になってしまうおそれがある。このようなスタッキングが生じた場合、カバー100を別々に取り外す作業が必要となってしまう。特に、自動機を用いて、カバー100を歯ブラシ1に取り付けるようにする場合には、上記のようなスタッキングは大きな障害となってしまう。本実施例に係るカバー100によれば、このようなスタッキングの発生も抑制することができる。この点について、以下に説明する。
【0042】
本実施例に係るカバー100においては、第1ストッパ部130の隙間(第1隙間S1)と、一対の側壁120と第2ストッパ部140との間の隙間(第2隙間S2)とが存在する。これらの第1隙間S1と第2隙間S2が、スタッキングの発生原因となり得る。しかしながら、本実施例においては、第1隙間S1は、非直線的な隙間により構成されている。具体的には、カバー100に外力が作用していない状態で、一対の第1ストッパ部130のうちの一方に設けられた凸部131が、他方に設けられた凹部132内に進入するように構成されている。これにより、あるカバーの第1隙間Sに別のカバーの一部が入り込もうとしても、凸部131によって阻まれ、スタッキングの発生を抑制することができる。また、本実施例においては、一対の第1ストッパ部130の先端側には、第2ストッパ部140の屈曲形状内部に進入する突起部133がそれぞれ設けられている。これにより、第2隙間S2のうち、基部110とは反対側の端部付近が、突起部133によって遮られるように構成されている。従って、あるカバーの第2隙間Sに別のカバーの一部が入り込もうとしても、突起部133によって阻まれ、スタッキングの発生を抑制することができる。
【0043】
(実施例2)
図10には、本発明の実施例2が示されている。本実施例においては、補強部(リブ)に関する構成が、上記実施例1とは異なる場合の構成を示す。その他の構成および作用については実施例1と同一なので、同一の構成部分については同一の符号を付して、その説
明は省略する。図10は本発明の実施例2に係るカバーの斜視図である。
【0044】
上記実施例1に係るカバー100においては、一対の側壁120に対して、それぞれ1か所にのみリブ123が設けられる場合の構成を示した。これに対して、本実施例に係るカバー100Aにおいては、一対の側壁120に対して、それぞれ3か所にリブ123,123a,123bが設けられる構成を採用している。その他の構成については、実施例1に係るカバー100の構成と同一であるので、その説明は省略する。
【0045】
本実施例に係るカバー100Aにおいても、実施例1の場合と同様に、傾斜部122及び保持部121のうち頭部20が挿入される側の先端部分にリブ123が設けられている。そして、本実施例に係るカバー100Aにおいては、傾斜部122及び保持部121のうち、中央とリブ123とは反対側の付近にも、リブ123a,123bが設けられている。
【0046】
以上のような構成により、本実施例に係るカバー100Aにおいても、上記実施例1の場合と同様の効果を得ることができる。また、本実施例に係るカバー100Aにおいては、複数のリブ123,123a,123bが設けられているので、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化を、より一層抑制することができる。
【0047】
(その他)
実施例1においては、一対の側壁120に対して、それぞれ1か所にのみリブ123が設けられる場合の構成を示し、実施例2においては、一対の側壁120に対して、それぞれ3か所にリブ123,123a,123bが設けられる場合の構成を示した。しかしながら、本発明に係るカバーにおいては、一対の側壁に対して、それぞれ設けられる補強部(リブ)の個数は限定されないことは言うまでもない。
【0048】
また、上記各実施例に示すリブ123,123a,123bは、傾斜部122の上端から保持部121の下端に至るように構成される場合を示した。しかしながら、本発明におけるリブの構成は、そのような構成に限定されることはない。少なくとも傾斜部122と保持部121との境界部を跨ぐようにリブを構成することで、傾斜部122と保持部121とのなす角度の変化を抑制する補強部としての機能を発揮させることができる。
【0049】
また、本発明における補強部は、傾斜部と保持部とのなす角度の変化を抑制する機能を発揮すれば、「リブ」とは言えないような構成についても採用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1…歯ブラシ
10…柄
20…頭部
21…植毛部 22…先端部
100…カバー
110…基部
120…側壁
121…保持部 122…傾斜部 123,123a,123b…リブ
130…第1ストッパ部
131…凸部 132…凹部 133…突起部
140…第2ストッパ部
S1…第1隙間
S2…第2隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10