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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】全周モップ
(51)【国際特許分類】
   A47L 13/24 20060101AFI20240607BHJP
   A47L 13/20 20060101ALI20240607BHJP
   A47L 13/258 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A47L13/24 A
A47L13/20 A
A47L13/258
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020143900
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022039077
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000133445
【氏名又は名称】株式会社ダスキン
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100184343
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】西村 和竹
(72)【発明者】
【氏名】足立 知志
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼津 拓未
(72)【発明者】
【氏名】長崎 里佳
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-135559(JP,A)
【文献】特開2013-128682(JP,A)
【文献】特開2003-102665(JP,A)
【文献】中国実用新案第205018987(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 13/20~13/258
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
払拭部と柄部とを有するモップにおいて、
前記払拭部は、縦断面が上下に長く、所定の間隙を隔てて且つ対向して延びている一対の保持板を有する、保持部と、前記保持部を覆ったモップ布地と、を有しており、
前記モップ布地は、前記払拭部の外周面全体に渡ってパイルが存在するように、前記保持部を覆っており、
前記保持部は、前記保持板の長手方向途中にて、前記一対の保持板を対向した状態で連結している、連結軸部を、有しており、
前記柄部は、前記連結軸部に回動可能に連結した連結端部と、前記連結端部から前記連結軸部に対して直交する方向に延びている柄本体と、を有しており、前記柄本体は、前記連結軸部の軸周りに、前記所定の間隙を通ることによって360度回動可能になっている、
ことを特徴とする全周モップ。
【請求項2】
前記一対の保持板の各々は、長手方向に延びた矩形の板体である、
請求項1記載の全周モップ。
【請求項3】
前記板体が、外向きの縦断面凸型形状を、有している、
請求項2記載の全周モップ。
【請求項4】
前記板体が、外向きの縦断面円弧形状を、有している、
請求項2記載の全周モップ。
【請求項5】
前記モップ布地は、前記保持板に対して、着脱可能になっている、
請求項1~4のいずれか一つに記載の全周モップ。
【請求項6】
前記モップ布地は、開口を有する袋体の形態を有しており、前記保持板を前記開口を通して前記袋体内に入れ込んで前記開口を絞ることによって、前記保持に取り付けられるようになっている、
請求項5記載の全周モップ。
【請求項7】
前記開口が、伸縮可能部材によって開閉するようになっている、
請求項6記載の全周モップ。
【請求項8】
前記開口が、紐部材で絞られることによって閉じるようになっている、
請求項6記載の全周モップ。
【請求項9】
前記一対の保持板の間は、前記モップ布地によって覆われている、
請求項1~8のいずれか一つに記載の全周モップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、払拭部の外周面全体に渡ってパイルが存在するように構成された所謂「全周モップ」に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のモップは、一般に、次のような構成を有している。
(1)払拭部の下面側にパイルが設けられている。
(2)払拭部の上面側の中央に、柄と連結するための連結部が突出して設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4643819号公報
【文献】特許第5552372号公報
【文献】特開平10-328108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のモップによって上下又は左右が狭い隙間を清掃しようとすると、次のような不具合があった。
(1)連結部が邪魔になって、払拭部を隙間に挿入できず、それ故、隙間を清掃できない。
(2)連結部が隙間を構成している家具等に当たり、家具等が傷付いてしまう。
【0005】
本発明は、隙間を構成している家具・壁・床面等を傷付けることなく、全周のパイルを使用して狭い隙間を効果的に清掃できる、モップを、提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、払拭部と柄部とを有するモップにおいて、
前記払拭部は、縦断面が上下に長く、所定の間隙を隔てて且つ対向して延びている一対の保持板を有する、保持部と、前記保持部を覆ったモップ布地と、を有しており、
前記モップ布地は、前記払拭部の外周面全体に渡ってパイルが存在するように、前記保持部を覆っており、
前記保持部は、前記保持板の長手方向途中にて、前記一対の保持板を対向した状態で連結している、連結軸部を、有しており、
前記柄部は、前記連結軸部に回動可能に連結した連結端部と、前記連結端部から前記連結軸部に対して直交する方向に延びている柄本体と、を有しており、前記柄本体は、前記連結軸部の軸周りに、前記所定の間隙を通ることによって360度回動可能になっている、
ことを特徴とする全周モップである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、払拭部の上面又は下面又は各側面を使用して、すなわち、全周のパイルを使用して、特に上下が狭い隙間を有効に清掃できる。しかも、その際、隙間を構成している家具・壁・床面等が払拭部と柄部との連結部によって傷付けられるのを、防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の全周モップの全体を示す斜視図である。
図2】払拭部と柄部とを示す拡大斜視部分図である。
図3】払拭部からモップ布地を取り外す様子を示す斜視図である。
図4】払拭部からモップ布地を取り外した状態の全周モップの全体を示す斜視図である。
図5】払拭部に対する柄部の回動を示す斜視図である。
図6】保持部と柄部とを示す拡大斜視部分図である。
図7図6のVII矢視図である。
図8】保持部と保持部から取り外した柄部の連結側の端部とを示す拡大斜視図である。
図9図6の分解斜視図である。
図10】保持部に対して柄部が傾斜した状態を示す側面図である。
【0009】
図11】保持部に対して柄部が直線状になった状態を示す側面図である。
図12図6のXII-XII断面図である。
図13図12のXIII-XIII断面図である。
図14】保持板の縦断面図である。
図15】払拭部に対する柄部の回動を模式的に示す側面図である。
図16】保持板の縦断面形態の別の第1例を示し、縦断面横凸形の形態を有する保持板を示す図である。
図17】保持板の縦断面形態の別の第2例を示し、縦断面横三角形の形態を有する保持板を示す図である。
図18】保持板の縦断面形態の別の第3例を示し、縦断面半円形の形態を有する保持板を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の一実施形態の全周モップの全体を示す斜視図である。この全周モップ10は、払拭部2と柄部3とを有している。払拭部2は、保持部5とモップ布地6とを有している。モップ布地6は、払拭部2の外周面全体に渡ってパイルが存在するように、保持部5を覆っている。それ故、図1のモップは「全周モップ」と称している。
【0011】
図2は、払拭部2と柄部3とを示す拡大斜視部分図である。払拭部2において、モップ布地6は、図3に示されるように、保持部5に対して着脱自在に取り付けられている。図4は、払拭部2からモップ布地6を取り外した状態の全周モップ10を示す斜視図である。全周モップ10においては、柄部3が、保持部5ひいては払拭部2に対して、図5の矢印Aに示されるように、360度回動可能となっている。
【0012】
図6は、保持部5と柄部3の連結側の端部とを示す拡大斜視図である。図7は、図6のVII矢視図である。図8は、保持部5と保持部5から取り外した柄部3の連結側の端部とを示す拡大斜視図である。図9は、図6の分解図である。保持部5は、所定の間隙100を隔てて且つ対向してY方向に延びている一対の保持板51、51を、有している。
【0013】
保持部5は、保持板51の長手方向途中にて、一対の保持板51、51を対向した状態で連結している、連結軸部53を、有している。柄部3は、連結軸部53に回動可能に連結した連結端部38と、連結端部38から連結軸部53に対して直交する方向に延びている、柄本体30と、を有している。連結軸部53は、保持板51の長手方向の略中央の位置に設けられるのが好ましいが、長手方向の一端側へ寄った位置に設けられてもよい。そして、柄本体30は、図5図10、及び図11の矢印Aに示されるように、連結軸部53の軸回りに且つ一対の保持板51、51の両側の間隙101、101を通って、360度回動可能になっている。
【0014】
連結軸部53及び連結端部38の、具体的構造は、分解斜視図である図9、縦断面図である図12及び図13に、示されている。図12は、図6のXII-XII断面図であり、図13図12のXIII-XIII断面図である。図9に示されるように、柄部3の連結端部38は、柄本体30よりも少し太いブロック体からなっており、柄本体30に対して直交する方向Xに延びた貫通孔382を有している。
【0015】
連結軸部53は、一対の軸部体54、55と1本の固定ピン56とからなっている。一対の軸部体54、55は、それぞれ、固定ピン56が挿通する貫通孔541、551を、有している。軸部体54は、内端に嵌合凸部542を有しており、軸部体55は、内端に被嵌合凹部552を有している。一対の軸部体54、55は、X方向の両側から貫通孔382内に挿し込まれ、軸部体54の嵌合凸部542が軸部体55の被嵌合凹部552に嵌合することにより、連結している。更に、連結された一対の軸部体54、55は、貫通孔541、551に挿通された固定ピン56によって、X方向の両側から把持されており、これにより、強固に一体となっている。これにより、連結軸部53が構成され、柄部3の連結端部38は、一体となった一対の軸部体54、55の軸回りに回動可能となっている。
【0016】
保持板51は、図14に示されるように、縦断面長方形の形態を有している。連結軸部53及び連結端部38は、図11に示されるように、一対の保持板51、51の上下寸法Hの範囲内に、すなわち、間隙100内に、収まるように構成されている。これにより、連結端部38は、連結軸部53の軸回りに回動しても、間隙100の外へ露出しないようになっている。
【0017】
モップ布地6は、図3に示されるように、開口61を有する袋体60と、袋体60の外面全面に設けられた多数のパイル62と、を有している。モップ布地6は、保持板51を開口61を通して袋体60内に入れ込んで開口61を絞ることによって、保持体51に取り付けられるようになっている。開口61の周縁611は、伸縮可能部材、例えばゴム紐を、有しており、開口61は、伸縮可能部材によって開閉するようになっている。なお、開口61は、紐部材で絞られることによって閉じるようになっていてもよい。
【0018】
図1等においては、全周モップ10の構成を理解しやすくするために、払拭部2の保持部5の一対の保持板51、51の間の間隙100が見えているが、実際は、間隙100は、モップ布地6のパイル62によって略覆われている。すなわち、モップ布地6は、払拭部2の外周面全体に渡ってパイル62が存在するように、保持部5を覆っている。
【0019】
本実施形態の全周モップ10によれば、次のような作用効果を発揮できる。
(1)柄部3の柄本体30は、図5に示されるように、連結軸部53の軸回りに且つ一対の保持板51、51の両側の間隙101を通って、360度回動可能である。すなわち、柄部3は、図15に示されるように、払拭部2に対して、連結軸部53の軸回りに、位置A、B、C、D、及び、その間の任意の位置を、とることができる。したがって、全周モップ10を、次のように有効に使用できる。
【0020】
(1-1)柄部3を位置A又は位置Cで使用すると、図11に示されるように、払拭部2を直線形態で使用できるので、払拭部2を、上下がかなり狭い隙間すなわち高さがかなり低い隙間の奥まで挿し込んで、当該隙間を清掃できる。したがって、高さがかなり低い隙間を良好に清掃できる。
【0021】
(1-2)柄部3を、位置B又はその近傍で使用し、又は、位置D又はその近傍で使用すると、払拭部2を一般的なモップと同様に使用できる。したがって、種々の箇所を清掃できる。
【0022】
(2)払拭部2の外周面全体に渡ってモップ布地6のパイル62が存在しているので、払拭部2の全周を清掃に使用できる。したがって、全周モップ10を、次のように有効に使用できる。
【0023】
(2-1)柄部3を、位置Aから位置Bを経て位置Cまでの間で使用すると、払拭部2の下面を使用して清掃でき、位置Cから位置Dを経て位置Aまでの間で使用すると、払拭部2の上面を使用して清掃できる。すなわち、払拭部2の上面及び下面を任意に使用して清掃できるので、清掃性能を向上できる。
【0024】
(2-2)柄部3を位置A又は位置Cで使用する場合に、柄部3を柄部3の軸回りに回転させれば、払拭部2の上面及び下面だけでなく両側面も使用して清掃でき、すなわち、払拭部2の全周を使用して清掃できる。したがって、清掃性能をより向上できる。
【0025】
(3)連結軸部53及び連結端部38が、一対の保持板51、51の上下寸法Hの範囲内に、すなわち、間隙100内に、収まるように構成されているので、柄部3を、図15の位置A、B、C、D、及び、その間の任意の位置で、使用した場合でも、連結軸部53及び連結端部38が払拭部2から外に突出することはない。したがって、柄部3をどのような位置で使用した場合でも、特に位置A又は位置Cで使用した場合でも、連結軸部53又は連結端部38が清掃箇所の周囲の家具・壁・床面等に接触することはなく、よって、それらが傷付くのを防止できる。
【0026】
(4)モップ布地6は、保持板51を開口61を通して袋体60内に入れ込んで開口61を絞ることによって、保持体51に取り付けられるようになっており、しかも、開口61は、伸縮可能部材によって開閉するようになっている。したがって、モップ布地6の交換作業を容易に実行できる。
【0027】
[別の実施形態]
保持板51の縦断面の形態は、図14の長方形に限るものではなく、図16に示される横凸形、又は、図17に示される横三角形、又は、図18に示される半円形でもよい。なお、図16では、凸部515が保持板51の外側に位置しており、図17では、頂点516が保持板51の外側に位置しており、図18では、円弧面517が保持板51の外側に位置している。払拭部2は、保持板51がこのような縦断面形態を有することにより、次のような効果を発揮できる。すなわち、(a)保持板51の剛性が増すので、払拭部2による清掃作業を安定して行うことができる。(b)保持板51を傾斜させて払拭部2の側面を清掃に使用する際に、パイル62を被清掃面に確実に押し付けることができ、よって、清掃性を向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明の全周モップは、狭い隙間を効果的に清掃できるので、産業上の利用価値が大である。
【符号の説明】
【0029】
2 払拭部
3 柄部
30 柄本体
38 連結端部
5 保持部
51 保持板
53 連結軸部
6 モップ布地
62 パイル
10 全周モップ
100 間隙
101 (両側の)間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18