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特許7499657ヘッドユニット間のズレ量検出方法及びそれを用いたインクジェット印刷装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】ヘッドユニット間のズレ量検出方法及びそれを用いたインクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
B41J2/01 203
B41J2/01 209
B41J2/01 451
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020151949
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046083
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100093056
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 勉
(74)【代理人】
【識別番号】100142930
【弁理士】
【氏名又は名称】戸高 弘幸
(74)【代理人】
【識別番号】100175020
【弁理士】
【氏名又は名称】杉谷 知彦
(74)【代理人】
【識別番号】100180596
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 要
(74)【代理人】
【識別番号】100195349
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 信喜
(72)【発明者】
【氏名】市岡 義和
【審査官】佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-079657(JP,A)
【文献】特開2018-134777(JP,A)
【文献】特開2018-094821(JP,A)
【文献】特開2015-009552(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷媒体の幅方向に複数個のヘッドユニットを配置されている印刷ヘッドに対し、印刷媒体を搬送方向に搬送させて印刷を行うインクジェット印刷装置におけるヘッドユニット間のズレ量検出方法において、
前記複数個のヘッドユニットは、一方のヘッドユニットと、前記一方のヘッドユニットに対して前記幅方向にて隣接しているつなぎ部分に配置された他方のヘッドユニットとで構成されており、前記搬送方向から見て重複している重複領域では、前記一方のヘッドユニットの複数個のノズルと、前記他方のヘッドユニットの複数個のノズルとが前記搬送方向から見て前記幅方向において交互に配置されており、前記重複領域に位置するノズル群を用いて前記印刷媒体に対してズレ量検出用チャートを印刷する過程であって、
前記ズレ量検出用チャートは、
前記一方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第1の線分を印刷され、前記複数本の第1の線分は、第1の個数のノズルだけ隔てた第1の間隔で印刷されており、
前記他方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第2の線分を印刷され、前記複数本の第2の線分は、前記搬送方向から見た場合に、前記一方のヘッドユニットのノズルとノズルの中心に前記他方のヘッドユニットのノズルが位置している理想取り付け状態において、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央に位置するノズルにより、前記第1の個数より少ない第2の個数だけ隔てた第2の間隔で印刷されており、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された基準セグメントチャートと、
前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも一方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された一方側セグメントチャートと、
前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも他方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された他方側セグメントチャートと、を備え、
前記ズレ量検出用チャートを読み取る過程と、
前記読み取ったズレ量検出用チャートの基準セグメントチャート、一方側セグメントチャート、他方側セグメントチャートの各セグメントチャートのうち、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定する過程と、
を備えていることを特徴とするヘッドユニット間のズレ量検出方法。
【請求項2】
請求項1に記載のヘッドユニット間のズレ量検出方法において、
前記ズレ量検出用チャートは、前記基準セグメントチャートと、前記一方側セグメントチャートと、前記他方側セグメントチャートとを、前記幅方向に複数個含むことを特徴とするヘッドユニット間のズレ量検出方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のヘッドユニット間のズレ量検出方法において、
前記ズレ量検出用チャートが前記一方側セグメントチャートと、前記他方側セグメントチャートとをそれぞれ前記搬送方向において複数個含む場合には、
前記基準セグメントチャートに近い一方側セグメントチャートは、前記複数本の第2の線分が三本で構成され、中央の第2の線分が前記基準セグメントチャートの一方側の第2の線分と前記幅方向で同じ位置に印字率100%で印刷され、前記中央の第2の線分に対して両側に位置する第2の線分が印字率50%で印刷され、
前記基準セグメントチャートに近い他方側セグメントチャートは、前記複数本の第2の線分が三本で構成され、中央の第2の線分が前記基準セグメントチャートの他方側の第2の線分と前記幅方向で同じ位置に印字率100%で印刷され、前記中央の第2の線分に対して両側に位置する第2の線分が印字率50%で印刷されていることを特徴とするヘッドユニット間のズレ量検出方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれかに記載のヘッドユニット間のズレ量検出方法において、
前記濃度のピークは、印字濃度が高いことを特徴とするヘッドユニット間のズレ量検出方法。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のヘッドユニット間のズレ量検出方法において、
前記決定する過程に続いて、前記決定されたセグメントチャートに基づいて、ヘッドユニット間のつなぎ部分における前記幅方向の位置を調整する調整過程を備えていることを特徴とするヘッドユニット間のズレ量検出方法。
【請求項6】
印刷媒体の幅方向に複数個のヘッドユニットを配置されている印刷ヘッドに対し、印刷媒体を搬送方向に搬送させて印刷を行うインクジェット印刷装置において、
前記複数個のヘッドユニットは、一方のヘッドユニットと、前記一方のヘッドユニットに対して前記幅方向にて隣接しているつなぎ部分に配置された他方のヘッドユニットとで構成されており、前記搬送方向から見て重複している重複領域では、前記一方のヘッドユニットの複数個のノズルと、前記他方のヘッドユニットの複数個のノズルとが前記搬送方向から見て前記幅方向において交互に配置されており、
前記印刷ヘッドを操作し、前記重複領域に位置するノズル群を用いて前記印刷媒体に対してズレ量検出用チャートを印刷させる制御部と、
前記搬送方向における前記印刷ヘッドの下流側に配置され、前記ズレ量検出用チャートを読み取る読み取り手段と、
を備え、
前記ズレ量検出用チャートは、
前記一方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第1の線分を印刷され、前記複数本の第1の線分は、第1の個数のノズルだけ隔てた第1の間隔で印刷されており、
前記他方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第2の線分を印刷され、前記複数本の第2の線分は、前記搬送方向から見た場合に、前記一方のヘッドユニットのノズルとノズルの中心に前記他方のヘッドユニットのノズルが位置している理想取り付け状態において、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央に位置するノズルにより、前記第1の個数より少ない第2の個数だけ隔てた第2の間隔で印刷されており、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された基準セグメントチャートと、
前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも一方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された一方側セグメントチャートと、
前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも他方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された他方側セグメントチャートと、を備え、
前記読み取り手段により読み取ったズレ量検出用チャートの基準セグメントチャート、一方側セグメントチャート、他方側セグメントチャートの各セグメントチャートのうち、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定し、前記決定されたセグメントチャートに基づいて、ヘッドユニット間のつなぎ部分における前記幅方向の位置を調整することを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェット印刷装置において、
前記ズレ量検出用チャートは、前記基準セグメントチャートと、前記一方側セグメントチャートと、前記他方側セグメントチャートとを、前記幅方向に複数個含むことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載のインクジェット印刷装置において、
前記ズレ量検出用チャートが前記一方側セグメントチャートと、前記他方側セグメントチャートとをそれぞれ前記搬送方向において複数個含む場合には、
前記基準セグメントチャートに近い一方側セグメントチャートは、前記複数本の第2の線分が三本で構成され、中央の第2の線分が前記基準セグメントチャートの一方側の第2の線分と前記幅方向で同じ位置に印字率100%で印刷され、前記中央の第2の線分に対して両側に位置する第2の線分が印字率50%で印刷され、
前記基準セグメントチャートに近い他方側セグメントチャートは、前記複数本の第2の線分が三本で構成され、中央の第2の線分が前記基準セグメントチャートの他方側の第2の線分と前記幅方向で同じ位置に印字率100%で印刷され、前記中央の第2の線分に対して両側に位置する第2の線分が印字率50%で印刷されていることを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項9】
請求項6から8のいずれかに記載のインクジェット印刷装置において、
前記濃度のピークは、印字濃度が高いことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷媒体の幅方向に複数個のヘッドユニットを組み合わせて構成された印刷ヘッドにより印刷を行う際に、ヘッドユニット間の幅方向におけるズレ量を検出するヘッドユニットのズレ量検出方法及びそれを用いたインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷装置には、連続紙という形態の印刷媒体に印刷を行うものがある。このようなインクジェット印刷装置では、一般的に、ロール状の連続紙を巻き出し、所定の搬送方向(副走査方向とも呼ばれる)に搬送する。この搬送方向に直交する、連続紙の幅方向(主走査方向とも呼ばれる)に長軸を向けて印刷ヘッドが配置されている。印刷ヘッドは、搬送方向に搬送されている連続紙に向けてインク滴を吐出することにより、連続紙に画像の印刷を行う。
【0003】
この印刷ヘッドは、インク滴を吐出するための複数個のノズルが形成されたヘッドユニットを、連続紙の幅方向に複数個配置して構成されていることがある。これは、印刷ヘッドの製造コストを低減するためや、印刷ヘッドが破損した際のメンテナンスの容易さを実現するためである。このような構成の印刷ヘッドの構成には、複数個のヘッドユニットを平面視にて千鳥配置としたものがある。また、他の印刷ヘッドの構成には、平面視で台形状を呈する複数個のヘッドユニットを、上底と下底とを搬送方向に向けた姿勢で配置し、隣接するヘッドユニットごとに上底と下底とを交互に入れ替え、各ヘッドユニットのうちの台形の脚を平行にして近接させて一直線配置としたものがある。
【0004】
千鳥配置の印刷ヘッドでは、搬送方向から見た場合、幅方向におけるノズルの位置が重複する配置となっているのが一般的である。その一方、一直線配置の印刷ヘッドでは、搬送方向から見た場合、幅方向におけるノズルの位置が重複しない配置となっているのが一般的である。つまり、一直線配置では、一方のヘッドユニットと、これに隣接する他方のヘッドユニットとでは、それらの複数個のノズルのうち、搬送方向から見て重複する領域に配置された複数個のノズルが、搬送方向から見ると幅方向において重複せずに交互に位置することで印刷時における所定解像度となるように取り付けられている。そして、搬送方向から見て重複していない領域では、それぞれのヘッドユニット単独で印刷時における所定の解像度となるようにノズルが配置されている。
【0005】
このように複数個のヘッドユニットで印刷ヘッドが構成されている場合には、印刷ヘッドの組み立て時やメンテナンス時の交換作業時に、ヘッドユニットのノズル単位で位置合わせをすることが非常に困難である。そのため、ヘッドユニット同士が幅方向において隣接する部分(以下、つなぎ部分と称する)で取り付け位置のバラツキが生じることがある。このようなバラツキが生じた場合には、幅方向におけるインクの打滴位置がずれるので。印刷品質が劣化する。
【0006】
そこで、印刷ヘッドに対して連続紙を搬送させつつ特定のズレ量検出用チャートを印刷させ、その結果に応じてヘッドユニットのズレ量を検出し、ヘッドユニットの位置を微調整することが行われる。
【0007】
従来、この種のヘッドユニット間のズレ量検出方法として、上流側のヘッドユニットによる第1のラインと、上流ヘッドに幅方向で隣接し、搬送方向にて離間して配置された下流側のヘッドユニットによる第2のラインとを印刷する際に、第1のラインに続き、搬送方向に設計値で離間した場合において搬送方向で印刷位置が一致するように第1のずらし時間後に第2のラインを印刷する。そして、第1のラインと第2のラインとの組み合わせごとに搬送方向における位置をずらして印刷する。このようにして印刷されたズレ量検出用チャートを用いて、どの組み合わせの第1のラインと第2のラインとが搬送方向において一致するかにより、ヘッドユニット間の搬送方向における位置を調整するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2019-181931号公報(図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の方法は、千鳥配置における搬送方向にけるズレ量を検出するものである。そのため、一直線配置における幅方向のズレ量を検出することができないという問題がある。
【0010】
また、千鳥配置の印刷ヘッドであって、搬送方向から見て隣接し、幅方向にずれて配置されたヘッドユニット間においては、搬送方向から見て幅方向にて重複した領域のノズルが幅方向にて重複した位置に配置されているものがある。このような構成の千鳥配置の印刷ヘッドでは、搬送方向から見て隣接し、幅方向にずれて配置された各ヘッドユニットの重複した領域のノズルから搬送方向に線分を印刷する。そして、設計的には幅方向で同じ位置に配置されている各ノズルで印刷された線分同士の距離を求めることにより、前記各ヘッドユニットの幅方向におけるズレ量を容易に算出できる。しかしながら、上述した一直線配置の印刷ヘッドでは、隣接したヘッドユニットの重複した領域では、設計的に幅方向において重複しない位置に各ノズルが配置されている。したがって、上記の手法は、一直線配置の印刷ヘッドには適用できない。
【0011】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、搬送方向からみて重複した領域のノズルで印刷を行うことにより、つなぎ部分における幅方向におけるズレ量を検出できるヘッドユニット間のズレ量検出方法及びそれを用いたインクジェット印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、印刷媒体の幅方向に複数個のヘッドユニットを配置されている印刷ヘッドに対し、印刷媒体を搬送方向に搬送させて印刷を行うインクジェット印刷装置におけるヘッドユニット間のズレ量検出方法において、前記複数個のヘッドユニットは、一方のヘッドユニットと、前記一方のヘッドユニットに対して前記幅方向にて隣接しているつなぎ部分に配置された他方のヘッドユニットとで構成されており、前記搬送方向から見て重複している重複領域では、前記一方のヘッドユニットの複数個のノズルと、前記他方のヘッドユニットの複数個のノズルとが前記搬送方向から見て前記幅方向において交互に配置されており、前記重複領域に位置するノズル群を用いて前記印刷媒体に対してズレ量検出用チャートを印刷する過程であって、前記ズレ量検出用チャートは、前記一方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第1の線分を印刷され、前記複数本の第1の線分は、第1の個数のノズルだけ隔てた第1の間隔で印刷されており、前記他方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第2の線分を印刷され、前記複数本の第2の線分は、前記搬送方向から見た場合に、前記一方のヘッドユニットのノズルとノズルの中心に前記他方のヘッドユニットのノズルが位置している理想取り付け状態において、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央に位置するノズルにより、前記第1の個数より少ない第2の個数だけ隔てた第2の間隔で印刷されており、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された基準セグメントチャートと、前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも一方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された一方側セグメントチャートと、前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも他方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された他方側セグメントチャートと、を備え、前記ズレ量検出用チャートを読み取る過程と、前記読み取ったズレ量検出用チャートの基準セグメントチャート、一方側セグメントチャート、他方側セグメントチャートの各セグメントチャートのうち、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定する過程と、を備えていることを特徴とするものである。
【0013】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、印刷する過程においてズレ量検出用チャートを印刷媒体に印刷する。読み取る過程で読み取ったズレ量検出用チャートについて、基準セグメントチャートと、一方側セグメントチャートと、他方側セグメントチャートとの中から、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定する。各セグメントチャートは、複数本の第1の線分と、複数本の第2の線分とから構成され、第1の線分と第2の線分との間隔が一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとのつなぎ部分の距離に応じて移動する。したがって、基準セグメントチャートが濃度のピークとなる場合には、一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとが理想取り付け状態である。一方側セグメントチャートが濃度のピークとなる場合には、一方のヘッドユニットが他方側にずれているか、他方のヘッドユニットが一方側へずれている状態である。他方側セグメントチャートが濃度のピークとなる場合には、一方のヘッドユニットが他方側にずれているか、他方のヘッドユニットが他方側へずれている状態である。したがって、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定することにより、一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとのつなぎ部分における理想取り付け状態からの幅方向へのズレ量を得られる。その結果、このズレ量に基づいてヘッドユニット間のつなぎ部分における幅方向の位置を調整すれば、インクジェット印刷装置における印刷品質を向上できる。
【0014】
また、本発明において、前記ズレ量検出用チャートは、前記基準セグメントチャートと、前記一方側セグメントチャートと、前記他方側セグメントチャートとを、前記幅方向に複数個含むことが好ましい(請求項2)。
【0015】
幅方向にセグメントチャートの個数が多いので、幅方向に濃度の平均化処理などを行うことができる。そのため、一つのセグメントチャートに異常があった場合でもその影響を抑制できる。したがって、ズレ量を正確に求めることができる。
【0016】
また、本発明において、前記ズレ量検出用チャートが前記一方側セグメントチャートと、前記他方側セグメントチャートとをそれぞれ前記搬送方向において複数個含む場合には、前記基準セグメントチャートに近い一方側セグメントチャートは、前記複数本の第2の線分が三本で構成され、中央の第2の線分が前記基準セグメントチャートの一方側の第2の線分と前記幅方向で同じ位置に印字率100%で印刷され、前記中央の第2の線分に対して両側に位置する第2の線分が印字率50%で印刷され、前記基準セグメントチャートに近い他方側セグメントチャートは、前記複数本の第2の線分が三本で構成され、中央の第2の線分が前記基準セグメントチャートの他方側の第2の線分と前記幅方向で同じ位置に印字率100%で印刷され、前記中央の第2の線分に対して両側に位置する第2の線分が印字率50%で印刷されていることが好ましい(請求項3)。
【0017】
重複領域では、一方のヘッドユニットの複数個のノズルと、他方のヘッドユニットの複数のノズルとが搬送方向から見て幅方向で交互に配置されている。したがって、第2の線分を幅方向に1個のノズル分ずらすことができない。そこで、複数本の第2の線分を三本で構成し、中央の第2の線分を印字率100%とし、両側の第2の線分を印字率50%とする。これにより、一方側セグメントチャートと他方側セグメントチャートにおける第2の線分を、見かけ上、幅方向に1個のノズル分だけずれたように印刷できる。したがって、幅方向へのズレ量の最小の検出単位を1個のノズル分とすることができる。その結果、ヘッドユニット間における位置合わせを精密に行うことができる。
【0018】
また、本発明において、前記濃度のピークは、印字濃度が高いことが好ましい(請求項4)。
【0019】
濃度のピークには印字濃度が高い場合と低い場合とがある。印字濃度が高い場合を濃度のピークとすることで、各セグメントチャートの中から一つのセグメントチャートを視覚的に決定しやすくできる。
【0020】
また、本発明において、前記決定する過程に続いて、前記決定されたセグメントチャートに基づいて、ヘッドユニット間のつなぎ部分における前記幅方向の位置を調整する調整過程を備えていることが好ましい(請求項5)。
【0021】
調整過程では、ズレ量に基づきヘッドユニットの位置を調整する。したがって、インクジェット印刷装置における印刷品質を向上できる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明は、印刷媒体の幅方向に複数個のヘッドユニットを配置されている印刷ヘッドに対し、印刷媒体を搬送方向に搬送させて印刷を行うインクジェット印刷装置において、前記複数個のヘッドユニットは、一方のヘッドユニットと、前記一方のヘッドユニットに対して前記幅方向にて隣接しているつなぎ部分に配置された他方のヘッドユニットとで構成されており、前記搬送方向から見て重複している重複領域では、前記一方のヘッドユニットの複数個のノズルと、前記他方のヘッドユニットの複数個のノズルとが前記搬送方向から見て前記幅方向において交互に配置されており、前記印刷ヘッドを操作し、前記重複領域に位置するノズル群を用いて前記印刷媒体に対してズレ量検出用チャートを印刷させる制御部と、前記搬送方向における前記印刷ヘッドの下流側に配置され、前記ズレ量検出用チャートを読み取る読み取り手段と、を備え、前記ズレ量検出用チャートは、前記一方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第1の線分を印刷され、前記複数本の第1の線分は、第1の個数のノズルだけ隔てた第1の間隔で印刷されており、前記他方のヘッドユニットにより前記搬送方向に沿った複数本の第2の線分を印刷され、前記複数本の第2の線分は、前記搬送方向から見た場合に、前記一方のヘッドユニットのノズルとノズルの中心に前記他方のヘッドユニットのノズルが位置している理想取り付け状態において、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央に位置するノズルにより、前記第1の個数より少ない第2の個数だけ隔てた第2の間隔で印刷されており、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された基準セグメントチャートと、前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも一方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された一方側セグメントチャートと、前記複数本の第2の線分は、前記複数本の第1の線分を印刷したノズル同士の中央よりも他方側に偏って位置する前記他方のヘッドユニットのノズルにより印刷され、前記基準セグメントチャートに対して前記搬送方向において離れた位置に印刷され、前記複数本の第1の線分と前記複数本の第2の線分とにより構成された他方側セグメントチャートと、を備え、前記読み取り手段により読み取ったズレ量検出用チャートの基準セグメントチャート、一方側セグメントチャート、他方側セグメントチャートの各セグメントチャートのうち、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定し、前記決定されたセグメントチャートに基づいて、ヘッドユニット間のつなぎ部分における前記幅方向の位置を調整することを特徴とするものである。
【0023】
[作用・効果]請求項6に記載の発明によれば、制御部が印刷ヘッドを操作して、ズレ量検出用チャートを印刷媒体に印刷する。読み取り手段で読み取ったズレ量検出用チャートについて、基準セグメントチャートと、一方側セグメントチャートと、他方側セグメントチャートとの中から、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定する。各セグメントチャートは、複数本の第1の線分と、複数本の第2の線分とから構成され、第1の線分と第2の線分との間隔が一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとのつなぎ部分の距離に応じて移動する。したがって、基準セグメントチャートが濃度のピークとなる場合には、一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとが理想取り付け状態である。一方側セグメントチャートが濃度のピークとなる場合には、一方のヘッドユニットが他方側にずれているか、他方のヘッドユニットが一方側へずれている状態である。他方側セグメントチャートが濃度のピークとなる場合には、一方のヘッドユニットが他方側にずれているか、他方のヘッドユニットが他方側へずれている状態である。したがって、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定することにより、一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとのつなぎ部分における理想取り付け状態からの幅方向へのズレ量を得られる。その結果、このズレ量に基づいてヘッドユニット間のつなぎ部分における幅方向の位置を調整すれば、インクジェット印刷装置における印刷品質を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るヘッドユニット間のズレ量検出方法によれば、濃度がピークとなるセグメントチャートを決定することにより、一方のヘッドユニットと他方のヘッドユニットとのつなぎ部分における理想取り付け状態からの幅方向へのズレ量を得られる。その結果、このズレ量に基づいてヘッドユニット間のつなぎ部分における幅方向の位置を調整すれば、インクジェット印刷装置における印刷品質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例に係るインクジェット印刷システムの全体構成を示す図である。
図2】印刷ヘッド及び複数個のヘッドユニットと連続紙との位置関係を示す平面図である。
図3】ヘッドユニット同士の位置関係を示す一部拡大図である。
図4】理想取り付け状態におけるズレ量検出用チャートの一例を示す図である。
図5】他方側へ2個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。
図6】他方側へ1個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。
図7】ヘッドユニット間の調整処理を示すフローチャートである。
図8】理想取り付け状態におけるズレ量検出用チャートの他の例を示す図である。
図9】他方側へ2個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。
図10】他方側へ1個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。
図11】印刷ヘッド及び複数個のヘッドユニットと連続紙との位置関係を示す他の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の一実施例について説明する。
図1は、実施例に係るインクジェット印刷システムの全体構成を示す図である。図2は、印刷ヘッド及び複数個のヘッドユニットと連続紙との位置関係を示す平面図である。図3は、ヘッドユニット同士の位置関係を示す一部拡大図である。
【0027】
本実施例に係るインクジェット印刷システム1は、給紙部3と、インクジェット印刷装置5と、排紙部7とを備えている。
【0028】
給紙部3は、例えば、ロール状の連続紙WPを水平軸周りに回転可能に保持している。給紙部3は、インクジェット印刷装置5に対して連続紙WPを巻き出して供給する。排紙部7は、インクジェット印刷装置5で印刷された連続紙WPを水平軸周りに巻き取る。連続紙WPの供給側を上流とし、連続紙WPの排紙側を下流とすると、給紙部3はインクジェット印刷装置5の上流側に配置されており、排紙部7はインクジェット印刷装置5の下流側に配置されている。
【0029】
ここで、連続紙WPが上流から下流に搬送される方向を搬送方向X(副走査方向)とする。連続紙WPの搬送方向Xと水平方向で直交する、図1における紙面の奥手前方向を幅方向Y(主走査方向)とする。搬送方向Xと幅方向Yに直交する方向を高さ方向Zとする。なお、以下の説明においては、適宜に搬送方向Xと称したり、X方向と称したりする。
【0030】
インクジェット印刷装置5は、給紙部3からの連続紙WPを取り込むための駆動ローラ9を上流側に備えている。駆動ローラ9によって給紙部3から巻き出された連続紙WPは、複数個の搬送ローラ11に沿って搬送方向Xに搬送される。最下流の搬送ローラ11と排紙部7との間には、駆動ローラ13が配置されている。駆動ローラ13は、搬送ローラ11上を搬送方向Xに搬送されている連続紙WPを搬送し、排紙部7に向かって連続紙WPを送り出す。
【0031】
なお、上述した連続紙WPが本発明における「印刷媒体」に相当する。
【0032】
インクジェット印刷装置5は、駆動ローラ9と駆動ローラ13との間に、印刷ユニット15と、乾燥部17と、検査部19とを搬送方向Xにおける上流側から下流側に向かってその順序で備えている。乾燥部17は、印刷ユニット15によって印刷された画像の乾燥を行う。検査部19は、印刷された部分を読み取り、印刷面に汚れや抜け等がないかを画像処理により検査する。また、検査部19は、後述するズレ量検出用チャートを読み取ってズレ量を決定するための画像処理などを行う。
【0033】
印刷ユニット13は、搬送ローラ11による連続紙WPの搬送経路に対して高さ方向Zに離間して配置されている。印刷ユニット13は、連続紙WPに向けてインク滴を吐出する印刷ヘッド21を備えている。本実施例では、4個の印刷ヘッド21を備えている構成を例にとって説明する。各印刷ヘッド21は、幅方向Yに長軸を有する。各印刷ヘッド21は、連続紙WPの全幅にわたって印刷できるように、連続紙WPの幅を超える長さを有する。
【0034】
ここでは、各印刷ヘッド21を、搬送方向Xの上流から下流に向かって順に、印刷ヘッド21aと、印刷ヘッド21bと、印刷ヘッド21cと、印刷ヘッド21dとする。本明細書では、各印刷ヘッド21を区別する必要がある場合には、符号21に符号(aなど)を付加するが、区別する必要がない場合には、単に符号21のみの印刷ヘッド21とする。印刷ヘッド21a~21dは、少なくとも2色のインク滴を吐出し、連続紙WPに多色印刷が可能に構成されている。ここでは、例えば、印刷ヘッド21aがブラック(K)インクを吐出し、印刷ヘッド21bがシアン(C)インクを吐出し、印刷ヘッド21cがマゼンタ(M)インクを吐出し、印刷ヘッド21dがイエロー(Y)インクを吐出する。各印刷ヘッド21a~21dは、搬送方向Xに沿って所定距離だけ互いに離間して配置されている。
【0035】
なお、以下の説明においては、ブラック(K)インクを吐出する印刷ヘッド21aを例にとって説明するが、他の色の印刷ヘッド21b~21dにも適用できる。
【0036】
印刷ヘッド21は、幅方向Yに複数個のヘッドユニット23を備えている。印刷ヘッド21は、2個のヘッドユニット23同士の「つなぎ部分」を複数箇所に有する。ヘッドユニット23は、インク滴を吐出するためのノズル25を複数個備えている。複数個のノズル25は、搬送方向Xと幅方向Yに配列されている。ここでは、発明の理解を容易にするため、2個のヘッドユニット23だけを例にとって説明する。以下の説明においては、必要に応じて、図3に示すヘッドユニット23のうち、幅方向Yにおける左側に配置されているヘッドユニット23をヘッドユニット23aと称し、ヘッドユニット23aに隣接して配置されているヘッドユニット23をヘッドユニット23bと称する。
【0037】
ヘッドユニット23は、インク滴を吐出するノズル25を備えている。ヘッドユニット23は、ノズル25が複数個形成されている。ヘッドユニット23は、例えば、平面視で外形が台形状を呈する。印刷ヘッド21は、複数個のヘッドユニット23を幅方向Yに一直線状に配置されている。換言すると,印刷ヘッド21は、一直線配置である。詳細には、印刷ヘッド21は、台形状を呈する複数個のヘッドユニット23を、上底と下底とを搬送方向Xに向けた姿勢で配置して構成されている。複数個のヘッドユニット23は、隣接するヘッドユニット23ごとに上底と下底とを交互に入れ替えられて配置されている。複数個のヘッドユニット23は、各ヘッドユニット23のうちの台形の脚を平行にして近接されて配置されている。このとき、ヘッドユニット23同士の間隔D1,つまり、ヘッドユニット23同士の台形の脚の間隔D1は、印刷ヘッド21の所定の解像度により決められている。但し、この間隔D1は、設計上の解像度を幅方向Yにわたって均等に得られる場合の「理想取り付け状態」からずれたヘッドユニット23の取り付け状態によっては変わることになる。つまり、理想取り付け状態では、間隔D1=idである。一方、ヘッドユニット23間が理想取り付け状態からずれると、間隔D1=id±aとなる。
【0038】
図3に示すように、印刷ヘッド21は、搬送方向Xから見た場合、幅方向Yにおける各ノズル25の位置が重複しない配置となっている。詳細には、幅方向Yに隣接しているヘッドユニット23aとヘッドユニット23bのうち、搬送方向Xから見て幅方向Yで重複している重複領域DAでは、ヘッドユニット23aのノズル25と、ヘッドユニット23bのノズル25とが、幅方向Yにおいて交互に配置されている。これにより、印刷ヘッド21としては、重複領域DAにおいて所定の解像度となる。換言すると、理想取り付け状態では、ヘッドユニット23aのノズル25同士の中心に、ヘッドユニット23bのノズル25が配置されている。また、ヘッドユニット23bのノズル25同士の中心に、ヘッドユニット23aのノズル25が配置されている。なお、図示省略しているが、重複領域DA以外の領域では、幅方向Yにおけるノズル25の間隔が重複領域DAよりも狭い間隔で配置されている。これにより、印刷ヘッド25の幅方向Yにおける全領域にわたり所定の解像度となる。因みに、解像度が1200dpiである場合、理想取り付け状態におけるヘッドユニット23aのノズル25とヘッドユニット23bのノズル25の中心同士の間隔は、約21μmになる。ヘッドユニット23間が理想取り付け状態からずれて間隔D1=id±aとなった場合には、重複領域DAにおいてノズル25の間隔が理想状態である設計値からずれ、重複領域DAにおいては設計上の解像度を得られないことになる。
【0039】
制御部27は、図示しないCPUやメモリを備えている。制御部27は、図示しない外部コンピュータから印刷データを受け取る。制御部27は、印刷データを印刷処理用データに変換した後、駆動ローラ9,13を操作して連続紙WPを搬送方向Xに搬送させる。制御部27は、印刷処理用データに応じて印刷ヘッド21からインク滴を吐出させる。このようにして、制御部27は、印刷データに基づく画像を連続紙WPに印刷させる。制御部27は、以下に説明するような、ズレ量検出用チャートTCの印刷処理用データを予め記憶している。ズレ量検出用チャートTCは、ヘッドユニット23同士の幅方向Yにおける間隔D1のズレ量を検出するためのものである。インクジェット印刷システムのオペレータがズレ量検出用チャートTCの印刷を指示すると、制御部27は、ズレ量検出用チャートTCの印刷処理用データを読み出して、駆動ローラ9,13及び印刷ヘッド21を操作してズレ量検出用チャートを連続紙WPに印刷させる。また、制御部27は、検査部19によって画像処理され、濃度がピークとなったセグメントチャートに関するズレ量を表す情報を受け取る。受け取ったズレ量を表す情報は、図示しない表示部に表示される。インクジェット印刷システム1のオペレータは、この表示を見て印刷ヘッド21におけるヘッドユニット23の位置調整を行う。
【0040】
次に、図4図6を参照して、ズレ量検出用チャートについて説明する。なお、図4は、理想取り付け状態におけるズレ量検出用チャートの一例を示す図である。図5は、他方側へ2個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。図6は、他方側へ1個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。なお、図4図6におけるノズル25は、ズレ量検出用チャートTCに含まれないが、理解を容易にするために付加している。
【0041】
実施例に係るズレ量検出用チャートTCは、基準セグメントチャートRCと、一方側セグメントチャートSC1と、他方側セグメントチャートSC2とを備えている。
【0042】
例えば、図4に示す基準セグメントチャートRCは、次のように構成されている。
【0043】
基準セグメントチャートRCは、ヘッドユニット23aで印刷された複数本の第1の線分L1と、ヘッドユニット23bで印刷された第2の線分L2とを印刷されている。複数本の第1の線分L1は、第1の個数LP(例えば、3個)のノズル25だけ隔てた第1の間隔S1で印刷されている。複数本の第2の線分L2は、搬送方向Xから見た場合に、ヘッドユニット23aのノズル25間の中心にヘッドユニット23bのノズル25が位置している「理想取り付け状態」において、複数本の第1の線分L1を印刷したノズル25同士の中央に位置するノズル25により、第1の個数LP2より少ない第2の個数LP2(例えば、1個)だけ隔てた第2の間隔S2で印刷されている。
【0044】
一方側セグメントチャートSC1は、次のように構成されている。
【0045】
一方側セグメントチャートSC1における複数本の第2の線分L2は、複数本の第1の線分L1を印刷したノズル25同士の中央よりも一方側(例えば、図4における幅方向Yの右方)に偏って位置するヘッドユニット23bのノズル25により印刷されている。また、一方側セグメントチャートSC1における複数本の第2の線分L2は、基準セグメントチャートRCに対して搬送方向Xにおいて離間した位置に印刷されている。一方側セグメントチャートSC1は、これらの複数本の第1の線分L1と複数本の第2の線分L2とにより構成されている。
【0046】
他方側セグメントチャートSC2は、次のように構成されている。
【0047】
他方側セグメントチャートSC2における複数本の第2の線分L2は、複数本の第1の線分L1を印刷したノズル25同士の中央よりも他方側(例えば、図4における幅方向Yの左方)に偏って位置するヘッドユニット23bのノズル25により印刷されている。また、他方側セグメントチャートSC2における複数本の第2の線分L2は、基準セグメントチャートRCに対して搬送方向Xにおいて離間した位置に印刷されている。本実施例では、基準セグメントチャートRCを挟んで、一方側セグメントチャートSC1の反対側に印刷されている。他方側セグメントチャートSC2は、これらの複数本の第1の線分L1と複数本の第2の線分L2とにより構成されている。
【0048】
本実施例におけるズレ量検出用チャートTCは、例えば、上述した基準セグメントチャートRCと、一方側セグメントチャートSC1と、他方側セグメントチャートSC2とを、幅方向Yに8個含む。
【0049】
上述した図4に示すズレ量検出用チャートTCは、理想取り付け状態であって、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとの間隔D1=idとなっている。つまり、つなぎ部分の重複領域DAにおいても設計どおりの解像度を得られる状態で、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとが印刷ヘッド21に取り付けられている。
【0050】
このようなズレ量検出用チャートTCは、基準セグメントチャートRCと、一方側セグメントチャートSC1と、他方側セグメントチャートSC2とのうち、基準セグメントチャートRCが最も濃度のピークが高くなる。具体的には、基準セグメントチャートRCの濃度が最も濃くなる。図4に示すように、一方側セグメントチャートSC1と他方側セグメントチャートSC2とは、それぞれ第1の線分L1の間に第2の線分L2が2個ずつ印刷されている。連続紙WPの下地が見えている領域の総面積は、基準セグメントチャートRCも一方側セグメントチャートSC1及び他方側セグメントチャートSC2も同じである。換言すると、ヘッドユニット23aの3個のノズル25によって印刷されていない領域と、ヘッドユニット23bの2個のノズル25によって印刷されていない領域との合計の非印刷領域がある。しかしながら、基準セグメントチャートRCは、非印刷領域が第1の線分L1で細かく分断されている。そのため、基準セグメントチャートRCにおける連続紙WPの下地の影響は、一方側セグメントチャートSC1や他方側セグメントチャートSC2よりも小さくなる。その結果、基準セグメントチャートRCは、視覚的に最も印刷濃度が高くなる。換言すると、第1の線分L1と第2の線分L2による画像の濃度が最も濃くなる。したがって、ズレ量検出用チャートTCを印刷した結果、基準セグメントチャートRCに印刷による濃度のピークがある場合には、間隔D1=idとなる理想取り付け状態であることが判断できる。
【0051】
次に、例えば、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとがつなぎ部分において間隔D1=idからずれた場合について説明する。
【0052】
例えば、ヘッドユニット23aが2個のノズル25分だけ他方側(幅方向Yにおける左方)にずれ、あるいは、ヘッドユニット23bが2個のノズル25分だけ一方側(幅方向Yにおける右方)にずれ、間隔D1が理想取り付け状態のidからずれて印刷ヘッド21に取り付けられている場合について説明する。この場合のズレ量検出用チャートTCは、例えば、図5に示すようになる。
【0053】
このようになったズレ量検出用チャートTCは、他方側セグメントチャートSC2に濃度のピークが現れる。したがって、印刷ヘッド21は、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとが理想取り付け状態から2個のノズル25分だけ幅方向Yに位置ずれしていることがわかる。これにより、位置ずれとは逆方向にヘッドユニット23aまたはヘッドユニット23bの幅方向Yの位置を2個のノズル25分だけ調整すればよいことがわかる。
【0054】
次に、例えば、ヘッドユニット23aが1個のノズル25分だけ他方側(幅方向Yにおける左方)にずれ、あるいは、ヘッドユニット23bが1個のノズル25分だけ一方側(幅方向Yにおける右方)にずれ、間隔D1が理想取り付け状態のidからずれて印刷ヘッド21に取り付けられている場合について説明する。この場合のズレ量検出用チャートTCは、例えば、図6に示すようになる。
【0055】
このようになったズレ量検出用チャートTCは、基準セグメントチャートRCと他方側セグメントチャートSC2との二つに濃度のピークが現れることになる。したがって、印刷ヘッド21は、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとが理想取り付け状態から1個のノズル25分だけ幅方向Yに位置ずれしていることがわかる。これにより、位置ずれとは逆方向にヘッドユニット23aまたはヘッドユニット23bの幅方向Yの位置を1個のノズル25分だけ調整すればよいことがわかる。
【0056】
次に、上述したズレ量検出用チャートTCによるヘッドユニット23間の間隔D1の調整処理について説明する。この調整処理は、例えば、図7に示す手順で行われる。図7は、ヘッドユニット間の調整処理を示すフローチャートである。
【0057】
ステップS1(印刷する過程)
ズレ量検出用チャートTCを印刷する。オペレータは、インクジェット印刷システム1に対してズレ量検出用チャートTCの印刷開始を指示する。この指示により、制御部27は、印刷ヘッド21を操作して、上述したズレ量検出用チャートTCを連続紙WPに印刷させる。
【0058】
ステップS2(読み取る過程)
制御部27は、検査部19を操作して、印刷したズレ量検出用チャートTCを読み取る。
【0059】
ステップS3
検査部19は、読み取ったズレ量検出用チャートTCに対して画像処理を行う。
【0060】
ステップS4(決定する過程)
検査部19は、ズレ量検出用チャートTCを構成するセグメントチャートのいずれに濃度のピークが位置するかを決定する。検査部19は、その決定に基づいて、制御部27に対して一方側または他方側のズレ方向とともにズレ量を情報として出力する。制御部27は、図示しない表示部にその情報を表示する。
【0061】
ステップS5(調整過程)
インクジェット印刷システム1のオペレータは、図示しない表示部に表示された情報に基づいて、印刷ヘッド21におけるヘッドユニット23について幅方向Yの位置をノズル25間の距離分だけ調整する。
【0062】
本実施例によると、ズレ量検出用チャートTCのうちの濃度がピークとなるセグメントチャートを決定することにより、一方のヘッドユニット23aと他方のヘッドユニット23bとのつなぎ部分における理想取り付け状態からの幅方向Yへのズレ量を得られる。その結果、このズレ量に基づいてヘッドユニット23間のつなぎ部分における幅方向Yの位置を調整すれば、インクジェット印刷装置5における印刷品質を向上できる。
【0063】
また、上述したズレ量検出用チャートTCは、基準セグメントチャートRCと、一方側セグメントチャートSC1と、他方側セグメントチャートSC2とを、幅方向Yに8個含むように構成されている。したがって、幅方向Yにセグメントチャートの個数が多いので、幅方向Yに濃度の平均化処理などを行うことができる。そのため、一つのセグメントチャートに異常があった場合でもその影響を抑制できる。したがって、ノズル25に詰まりなどの不具合があってもズレ量を正確に求めることができる。
【0064】
なお、上述した実施例におけるズレ量検出用チャートTCでは、ヘッドユニット23のずれ方によっては、基準セグメントチャートRCと他方側セグメントチャートSC2との二つに濃度差が僅かで、いずれに、あるいは両方に濃度ピークがあるのか判定することが困難な場合が生じることがある。その場合には、次に示すようなズレ量検出用チャートTCaとすることが好ましい。
【0065】
ここで、図8図10を参照する。図8は、理想取り付け状態におけるズレ量検出用チャートの他の例を示す図である。図9は、他方側へ2個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。図10は、他方側へ1個のノズル分だけずれた状態を示すズレ量検出用チャートを示す図である。
【0066】
このズレ量検出用チャートTCaは、上述した図4のズレ量検出用チャートTCに比べて、一方側セグメントチャートSC3と、他方側セグメントチャートSC4とが追加されている。換言すると、ズレ量検出用チャートTCaは、搬送方向Xにおける一方側と他方側のそれぞれにおいて2個(一方側セグメントチャートSC1,SC3と、他方側セグメントチャートSC2,SC4)のセグメントチャートを含む。具体的には、基準セグメントチャートRCと一方側セグメントチャートSC1との搬送方向Xにおける間に、一方側セグメントチャートSC3を追加している。また、基準セグメントチャートRCと他方側セグメントチャートSC2との搬送方向Xにおける間に、他方側セグメントチャートSC4を追加している。
【0067】
追加した一方側セグメントチャートSC3、つまり、基準セグメントチャートRCに近い一方側セグメントチャートSC3は、第2の線分L2が三本で構成されている。中央の第2の線分L2は、基準セグメントチャートRCの一方側の第2の線分L2と幅方向Yで同じ位置に印字率100%で印刷されている。中央の第2の線分L2に対して幅方向Yの両側に位置する2本の第2の線分L2は、印字率50%で印刷されている。なお、印字率50%は、例えば、搬送方向Xにおいてインク滴を断続的に吐出させ、連続的な線分ではなく点線からなる線分で実現してもよい。
【0068】
追加した他方側セグメントチャートSC4、つまり、基準セグメントチャートRCに近い他方側セグメントチャートSC4は、第2の線分L2が三本で構成されている。中央の第2の線分L2は、基準セグメントチャートRCの他方側の第2の線分L2と幅方向Yで同じ位置に印字率100%で印刷されている。中央の第2の線分L2に対して幅方向Yの両側に位置する第2の線分L2は、印字率50%で印刷されている。
【0069】
このようなズレ量検出用チャートTCaでは、基準セグメントチャートRCが視覚的に印刷濃度が最も高くなる。一方側セグメントチャートSC3と他方側セグメントチャートSC4と、一方側セグメントチャートSC1と他方側セグメントチャートSC2との順に印刷濃度が低くなる。したがって、ズレ量検出用チャートTCaを印刷した結果、基準セグメントチャートRCに印刷による濃度のピークがある場合には、間隔D1=idとなる理想取り付け状態であることが判断できる。
【0070】
次に、例えば、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとがつなぎ部分において間隔D1=idからずれた場合について説明する。
【0071】
例えば、ヘッドユニット23aが2個のノズル25分だけ他方側(幅方向Yにおける左方)にずれ、あるいは、ヘッドユニット23bが2個のノズル25分だけ一方側(幅方向Yにおける右方)にずれ、間隔D1が理想取り付け状態のidからずれて印刷ヘッド21に取り付けられている場合について説明する。この場合のズレ量検出用チャートTCaは、例えば、図9に示すようになる。
【0072】
このようになったズレ量検出用チャートTCaは、上述した図5のズレ量検出用チャートTCと同様に、他方側セグメントチャートSC2に濃度のピークが現れる。したがって、印刷ヘッド21は、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとが理想取り付け状態から2個のノズル25分だけ幅方向Yに位置ずれしていることがわかる。これにより、位置ずれとは逆方向にヘッドユニット23aまたはヘッドユニット23bの幅方向Yの位置を調整すればよいことがわかる。なお、図9において、他方側セグメントチャートSC4は、連続紙WPの下地がノズル25の4個分露出し、他方側セグメントチャートSC2は、連続紙WPの下地がノズル25の5個分露出している。これにより他方側セグメントチャートSC4の印字濃度の方が高くなるように思われる。しかしながら、他方側セグメントチャートSC4は、第2の線分L2の二本が印字濃度50%であるので、他方側セグメントチャートSC2の印字濃度の方が高くなる。
【0073】
次に、例えば、ヘッドユニット23aが1個のノズル25分だけ他方側(幅方向Yにおける左方)にずれ、あるいは、ヘッドユニット23bが1個のノズル25分だけ一方側(幅方向Yにおける右方)にずれ、間隔D1が理想取り付け状態のidからずれて印刷ヘッド21に取り付けられている場合について説明する。この場合のズレ量検出用チャートTCaは、例えば、図10に示すようになる。
【0074】
このようになったズレ量検出用チャートTCaは、他方側セグメントチャートSC4に濃度のピークが現れる。したがって、印刷ヘッド21は、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとが理想取り付け状態から1個のノズル25分だけ幅方向Yに位置ずれしていることがわかる。これにより、位置ずれとは逆方向にヘッドユニット23aまたはヘッドユニット23bの幅方向Yの位置を調整すればよいことがわかる。なお、図10において、他方側セグメントチャートSC4は、連続紙WPの下地がノズル25の4個分露出し、他方側セグメントチャートSC2は、連続紙WPの下地がノズル25の5個分露出している。また、他方側セグメントチャートSC4は、連続紙WPの下地が1個のノズル25に相当する領域ごとに幅方向Yにて分断されている。したがって、他方側セグメントチャートSC4は、第2の線分L2の二本が印字濃度50%であっても、他方側セグメントチャートSC2より印字濃度が高くなる。
【0075】
このようになったズレ量検出用チャートTCaは、他方側セグメントチャートSC4だけに濃度のピークが現れることになる。したがって、印刷ヘッド21は、ヘッドユニット23aとヘッドユニット23bとが理想取り付け状態から1個のノズル25分だけ幅方向Yに位置ずれしていることがわかる。これにより、位置ずれとは逆方向にヘッドユニット23aまたはヘッドユニット23bの幅方向Yの位置を調整すればよいことがわかる。
【0076】
このように構成されたズレ量検出用チャートTCaは、一方側セグメントチャートSC3と他方側セグメントチャートSC4における第2の線分L2を、見かけ上、幅方向Yに1個のノズル25だけずれたように印刷できる。したがって、幅方向Yへのズレ量の最小の検出単位を1個のノズル25分とすることができる。その結果、ヘッドユニット23間における位置合わせを精密に行うことができる。
【0077】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0078】
(1)上述した実施例では、図2に示すように、印刷ヘッド21を構成する複数個のヘッドユニット23が平面視で台形状である場合を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような形状に限定されない。例えば、図11に示すような形状のものであってもよい。
【0079】
すなわち、ヘッドユニット23が平面視で平行四辺形状を呈するものであってもよい。このようなヘッドユニット23であっても上述したズレ量検出用チャートTC、TCaを印刷することにより、ズレ量を求めることができる。このような平行四辺形状を呈するヘッドユニット23も、印刷ヘッド21に一直線配置されると、搬送方向Xから見た場合、幅方向Yにおける各ノズル25の位置が重複しない配置となっている。
【0080】
(2)上述した実施例では、ズレ量検出用チャートTC、TCaが幅方向Yに8個のセグメントチャートを含むように構成されている。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。つまり、幅方向Yに1個のセグメントチャートを含む構成であってもよい。また、幅方向Yに9個以上のセグメントチャートを含むようにしてもよい。
【0081】
(3)上述した実施例では、ズレ量検出用チャートTCaにおいて第2の線分L2の一部を印字率50%としている。しかしながら、本発明は、このような形態に限定されない。つまり、第2の線分L2の一部の印字率は、中央の第2の線分L2より低い印字率であればよい。
【0082】
(4)上述した実施例では、濃度のピークは印字濃度が高いとしている。しかしながら、本発明は、濃度のピークは、印字濃度が低いとしてもよい。例えば、上述した連続紙WPの下地が黒色のものを用い、白色インクを吐出させてズレ量検出用チャートTCを印刷する。このようにして印刷したズレ量検出用チャートTCは、理想取り付け状態において、基準セグメントチャートRCが最も印字濃度が低くなる。したがって、濃度のピークとして印字濃度が低いセグメントチャートを決定しても、上述したズレ量を求めることができる。
【0083】
(5)上述した実施例では、ズレ量検出用チャートTC、TCaにおいて、基準セグメントチャートRCの搬送方向Xにおける上流側と下流側とに一方側セグメントチャートSC1,SC3と他方側セグメントチャートSC2,SC4とを配置している。しかしながら、本発明は、このような配置に限定されない。つまり、基準セグメントチャートRCを搬送方向Xにおける上流側または下流側の端部に配置し、その下流側または上流側に順に一方側セグメントチャートSC1,SC3と他方側セグメントチャートSC2,SC4を配置するようにしてもよい。
【0084】
(6)上述した実施例では、印刷媒体として連続紙WPを例にとった。しかしながら、本発明は連続紙WPに限定されない。例えば、印刷媒体としては、枚葉紙や軟包装フィルムであっても本発明に適用できる。
【0085】
(7)上述した実施例では、印刷ヘッド21が4個配置されたインクジェット印刷装置5を例にとって説明した。しかしながら、本発明は、このような構成に限定されない。例えば、1個の印刷ヘッド21を備えていれば、本発明を適用できる。
【0086】
(8)上述した実施例では、セグメントチャートとして連続する線分を使用する例を挙げている。しかしながら、本発明は、連続する線分に限定されない。例えば、基準セグメントチャート、一方側セグメントチャート、他方側セグメントチャートで条件が同じであれば、セグメントチャートの縦線を破線に変更した場合にも本発明は適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
以上のように、本発明は、ヘッドユニット間のズレ量検出方法及びそれを用いたインクジェット印刷装置に適している。
【符号の説明】
【0088】
1 … インクジェット印刷システム
3 … 給紙部
5 … インクジェット印刷装置
7 … 排紙部
X … 搬送方向
Y … 幅方向
Z … 高さ方向
9,13 … 駆動ローラ
11 … 搬送ローラ
15 … 印刷ユニット
17 … 乾燥部
19 … 検査部
21(21a、21b、21c,21d) … 印刷ヘッド
23(23a、23b) … ヘッドユニット
25 … ノズル
27 … 制御部
TC … ズレ量検出用チャート
RC … 基準セグメントチャート
SC1,SC3 … 一方側セグメントチャート
SC2,SC4 … 他方側セグメントチャート
L1 … 第1の線分
S1 … 第1の間隔
L2 … 第2の線分
S2 … 第2の間隔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11