(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】根菜収穫機
(51)【国際特許分類】
A01D 33/08 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
A01D33/08
(21)【出願番号】P 2020153135
(22)【出願日】2020-09-11
【審査請求日】2022-12-29
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】藤田 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】池田 圭
(72)【発明者】
【氏名】井上 大嗣
(72)【発明者】
【氏名】村上 健太
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-74797(JP,A)
【文献】特開2015-122961(JP,A)
【文献】特開2019-208370(JP,A)
【文献】特開平9-220010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 33/08
A01D 33/06
A01D 33/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場の作物を抜き取る収穫装置と、
前記収穫装置によって抜き取られた作物を収容容器へ向けて搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される作物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて判定対象の作物の品質を判定する品質判定部と、
同一の搬送経路を搬送方向下手側へ搬送される前記判定対象の作物に対して、前記品質判定部の判定結果が予め設定された基準を満たす作物と、前記判定結果が前記基準を満たさない作物と、を区別可能なように印を付することを可能なマーキング装置と、が備えられ
、
前記マーキング装置は、前記判定結果が前記基準を満たさないものであると、前記判定対象の作物に前記印を付するように構成されている根菜収穫機。
【請求項2】
前記品質判定部は、前記品質を、前記基準を満たす青果品質と、前記基準を満たさない加工品質及び廃棄品質と、の三段階で判定可能に構成され、
前記マーキング装置は、前記判定結果が前記加工品質または前記廃棄品質であると、前記判定対象の作物に前記印を付するように構成されている請求項
1に記載の根菜収穫機。
【請求項3】
圃場の作物を抜き取る収穫装置と、
前記収穫装置によって抜き取られた作物を収容容器へ向けて搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される作物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて判定対象の作物の品質を判定する品質判定部と、
同一の搬送経路を搬送方向下手側へ搬送される前記判定対象の作物に対して、前記品質判定部の判定結果が予め設定された基準を満たす作物と、前記判定結果が前記基準を満たさない作物と、を区別可能なように印を付することを可能なマーキング装置と、が備えられ、
前記マーキング装置は、前記判定対象の作物に傷のマーキングを付し、または、前記判定対象の作物の下部を切断する切断装置であ
る根菜収穫機。
【請求項4】
前記切断装置を前記搬送装置に対して遠近移動するように制御可能な制御部が備えられ、
前記制御部は、前記判定結果が前記基準を満たすものであると作物と当接しない不使用位置に前記切断装置を位置させ、前記判定結果が前記基準を満たさないものであると前記不使用位置よりも前記搬送装置の位置する側に前記切断装置を位置させる請求項
3に記載の根菜収穫機。
【請求項5】
圃場の作物を抜き取る収穫装置と、
前記収穫装置によって抜き取られた作物を収容容器へ向けて搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送される作物を撮像する撮像装置と、
前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて判定対象の作物の品質を判定する品質判定部と、
同一の搬送経路を搬送方向下手側へ搬送される前記判定対象の作物に対して、前記品質判定部の判定結果が予め設定された基準を満たす作物と、前記判定結果が前記基準を満たさない作物と、を区別可能なように印を付することを可能なマーキング装置と、
前記判定結果に基づいて前記搬送装置によって搬送された前記判定対象の作物の搬送先を決定する搬送先決定装置と、が備えられ、
前記搬送先は、前記搬送先決定装置よりも搬送方向下手側で複数の経路に分岐され、
前記搬送先決定装置に、揺動することによって前記判定対象の作物を前記複数の経路の一つに案内する板状部材と、前記板状部材を揺動制御する揺動制御機構と、が備えられてい
る根菜収穫機。
【請求項6】
前記品質判定部は、前記品質を複数段階で判定可能に構成され、
前記マーキング装置は、前記複数段階の前記判定結果に応じて前記判定対象の作物に前記印を付するように構成されている請求項
3から5の何れか一項に記載の根菜収穫機。
【請求項7】
前記マーキング装置は前記搬送装置の経路の途中に設けられ、
前記搬送装置における前記マーキング装置よりも下流側の前記経路に隣接した状態で、作業者が前記判定対象の作物を選別するために着座する椅子が備えられている請求項1から6の何れか一項に記載の根菜収穫機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、根菜収穫機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示された作物収穫機では、搬送装置(文献では「搬送機構」)によって搬送される作物(文献では「人参」)を撮像する撮像装置(文献では「カメラ」)が備えられている。撮像装置によって撮像された作物のサイズ等に基づいて作物の品質情報が判定され、低品質な作物が自動的に圃場へ廃棄される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで特許文献1に開示された作物収穫機では、低品質な作物がそのまま圃場へ廃棄されるが、低品質な作物であっても、用途次第では潜在的な需要を掘り起こして付加価値を高められる作物も存在し得る。しかし、作物の収穫量が多量であると、低品質な作物の中から付加価値を高められる見込みの有りそうな作物を仕分ける作業は、作業者に重労働を強いたり、作業者の経験や勘に頼ったりするため、容易なことではなかった。このため、低品質な作物の多くが、潜在的な需要を掘り起こされることなく廃棄されていた。
【0005】
本発明の目的は、作物の品質を容易に見分けられる根菜収穫機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による根菜収穫機は、圃場の作物を抜き取る収穫装置と、前記収穫装置によって抜き取られた作物を収容容器へ向けて搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送される作物を撮像する撮像装置と、前記撮像装置によって撮像された画像に基づいて判定対象の作物の品質を判定する品質判定部と、同一の搬送経路を搬送方向下手側へ搬送される前記判定対象の作物に対して、前記品質判定部の判定結果が予め設定された基準を満たす作物と、前記判定結果が前記基準を満たさない作物と、を区別可能なように印を付することを可能なマーキング装置と、が備えられていることを特徴とする。
【0007】
本発明によると、撮像装置によって撮像された画像に基づいて判定された品質に基づいて、作物に他の作物と区別可能な処理が施される。このことから、作物の収穫量が多量であっても、作物の夫々が品質に応じて区別可能となる。これにより、低品質な作物の中から付加価値を高められる見込みの有りそうな作物が容易に仕分けられ、収穫した作物の多くを有効に商品化できる。即ち、作物の品質を容易に見分けられる根菜収穫機が実現される。
【0008】
本発明において、前記品質判定部は、前記品質を複数段階で判定可能に構成され、前記マーキング装置は、前記複数段階の前記判定結果に応じて前記判定対象の作物に前記印を付するように構成されていると好適である。
【0009】
本構成によると、品質が複数段階で判定されるため、判定対象の作物の品質が複数段階で他の作物と区別される。これにより、作物の詳細な品質区別が容易に可能となる。
【0010】
本発明において、前記マーキング装置は、前記判定結果が前記基準を満たさないものであると、前記判定対象の作物に前記印を付するように構成されていると好適である。
【0011】
高品質な作物であると、作物そのものに高い商品価値が認められる場合が多いため、高品質な作物にマーキング装置による処理が施されると、作物そのものの商品価値が下がる虞がある。本構成であれば、判定結果が予め設定された基準を満たさない場合に、マーキング装置による処理が作物に施されるため、高品質な作物に処理を施すことなく、高品質な作物と低品質な作物とに亘って作物の品質を容易に見分けられる。
【0012】
本発明において、前記品質判定部は、前記品質を、前記基準を満たす青果品質と、前記基準を満たさない加工品質及び廃棄品質と、の三段階で判定可能に構成され、前記マーキング装置は、前記判定結果が前記加工品質または前記廃棄品質であると、前記判定対象の作物に前記印を付するように構成されていると好適である。
【0013】
本構成であれば、マーキング装置による処理対象を、加工品質の作物と廃棄品質の作物とに限定する構成が可能となる。少なくとも廃棄品質の作物にマーキング装置による処理が施されるため、廃棄品質の作物の判別が容易に可能となる。また、青果品質の作物にマーキング装置による処理が施されない構成とすることによって、高品質な作物の商品価値を下げることなく、作物の詳細な品質区別が容易に可能となる。
【0014】
本発明において、前記マーキング装置は、前記判定対象の作物に傷のマーキングを付し、または、前記判定対象の作物の下部を切断する切断装置であると好適である。
【0015】
本構成によると、マーキング装置が判定対象の作物を部分的に切断する構成であるため、作物の切断度合いに応じて作物の品質区別が容易に可能となる。
【0016】
本発明において、前記切断装置を前記搬送装置に対して遠近移動するように制御可能な制御部が備えられ、前記制御部は、前記判定結果が前記基準を満たすものであると作物と当接しない不使用位置に前記切断装置を位置させ、前記判定結果が前記基準を満たさないものであると前記不使用位置よりも前記搬送装置の位置する側に前記切断装置を位置させると好適である。
【0017】
本構成であれば、品質判定部の判定結果に応じて切断装置が搬送装置に対して遠近移動可能であるため、品質判定部の判定結果に応じて作物の切断度合いが容易に変更可能となる。これにより、作物の判別が作物の品質に応じて容易に可能となる。
【0018】
本発明において、前記マーキング装置は前記搬送装置の経路の途中に設けられ、前記搬送装置における前記マーキング装置よりも下流側の前記経路に隣接した状態で、作業者が前記判定対象の作物を選別するために着座する椅子が備えられていると好適である。
【0019】
本構成によって、作物の中に中品質や低品質な作物が混在する場合であっても、作業者は、これらの作物の中から付加価値を高められる見込みの有りそうな作物を容易に見分けられる。
【0020】
本発明において、前記判定結果に基づいて前記搬送装置によって搬送された前記判定対象の作物の搬送先を決定する搬送先決定装置が備えられていると好適である。
【0021】
本構成であれば、判定対象の作物の品質に応じて作物を異なる搬送先へ搬送する構成が可能となる。これにより、作物を仕分ける作業者が居なくても、作物が搬送先決定装置によって品質ごとに仕分けられる。
【0022】
本発明において、前記搬送先は、前記搬送先決定装置よりも搬送方向下手側で複数の経路に分岐され、前記搬送先決定装置に、揺動することによって前記判定対象の作物を前記複数の経路の一つに案内する板状部材と、前記板状部材を揺動制御する揺動制御機構と、が備えられていると好適である。
【0023】
本構成であれば、板状部材が揺動することによって、作物が複数の搬送先のうちの一つに案内され、作物が品質ごとに仕分けられる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図3】撮像装置と制御装置とマーキング装置とを示す側面模式ブロック図である。
【
図4】品質値、及び、閾値で区切られる判定結果を示す図である。
【
図5】判定結果に基づくマーキング装置の制御処理を示すフローチャート図である。
【
図6】別実施形態として搬送先決定装置を示す側面模式ブロック図である。
【
図7】別実施形態として搬送先決定装置を示す平面模式ブロック図である。
【
図8】別実施形態として搬送先決定装置を示す平面模式ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の実施形態における前後方向及び左右方向は、特段の説明がない限り、以下のように記載している。作物収穫機の一例である人参収穫機(機体)の収穫作業時における前進側の進行方向が「前」であり、後進側の進行方向が「後」である。前後方向での前向き姿勢を基準として右側に相当する方向が「右」であり、左側に相当する方向が「左」である。
【0026】
〔根菜収穫機の構成〕
図1及び
図2に、根菜収穫機の一例である人参収穫機が示されており、人参収穫機は人参Aを収穫する。人参Aは圃場に複数植えられ、本発明における『判定対象の作物』である。右及び左のクローラ型式の走行装置1に支持された機体の右前部に、運転部2及びエンジン3が支持されている。機体の左前部に、引き起こし装置4と、土ほぐし刃5と、引き抜きベルト6と、回転刃7と、が支持されている。
【0027】
走行装置1による機体の前進に伴って、引き起こし装置4によって人参Aの葉部A1が上方に引き起こされる。また、機体が進行しながら土ほぐし刃5が土中に入り込んだ状態で振動することによって、人参Aの横側方の土が崩されて人参Aの引き抜きが容易になる。人参Aの葉部A1が、引き抜きベルト6によって挟持されることによって、人参Aが引き抜かれる。そして、人参Aの下部の尻尾部分が回転刃7によって切断され、人参Aが引き抜きベルト6によって斜め後上方に搬送される。
【0028】
機体の左側部において、引き抜きベルト6の上部の後方に葉部搬送ベルト8及び回転刃9が備えられ、葉部搬送ベルト8及び回転刃9の下方に搬送ベルト10が備えられている。葉部搬送ベルト8の後部に、斜め後下方に傾斜する案内板11が備えられ、機体の左側部の後部に、機体の左右中央側に向いて斜め右下方に傾斜する案内板12が備えられている。
【0029】
引き抜きベルト6によって後上方に搬送された人参Aの葉部A1が、葉部搬送ベルト8に受け渡されて挟持される。人参Aは葉部搬送ベルト8によって後方へ搬送され、回転刃9によって人参Aと葉部A1との間が切断されて、人参Aが搬送ベルト10に落下する。
葉部A1はそのまま葉部搬送ベルト8によって後方に搬送されて、案内板11に放出され、案内板11から案内板12に落下して、機体の後側の地面に落下する。
【0030】
搬送ベルト10の搬送方向と斜めに交差する固定の案内板13が搬送ベルト10の上側に備えられ、搬送ベルト10の後部から右方に向ってコンベア14が備えられている。コンベア14の右端部(搬送方向終端部)に隣接して回収袋15が備えられており、コンベア14の後方に作業者用の椅子16が備えられている。回収袋15は、本発明における『収容容器』に相当する。
【0031】
これにより、葉部搬送ベルト8から落下した人参Aが搬送ベルト10によって後方に搬送される。人参Aが案内板13に達すると、案内板13によって搬送ベルト10からコンベア14に案内される。コンベア14によって人参Aが右方に搬送される途中において、椅子16における作業者が、不良の人参Aをコンベア14から取り出す。良品の人参Aはコンベア14によって搬送されて回収袋15に投入される。
【0032】
引き起こし装置4及び引き抜きベルト6の前部は、本発明における『収穫装置』に相当する。また、引き抜きベルト6のうち前部よりも後上方に延びる部分と、搬送ベルト10と、コンベア14と、が本発明における『搬送装置』に相当する。即ち、『収穫装置』としての引き起こし装置4及び引き抜きベルト6の前部によって圃場の人参Aが抜き取られ、抜き取られた人参Aは、『搬送装置』としての引き抜きベルト6と搬送ベルト10とコンベア14とによって回収袋15へ向けて搬送される。
【0033】
〔撮像装置について〕
図1~
図3に示されるように、引き抜きベルト6の搬送経路の途中に撮像ボックス20が備えられ、引き抜きベルト6によって搬送される人参Aが搬送経路の途中で撮像ボックス20の内部を通過する。撮像ボックス20は遮光性を有し、撮像ボックス20の内部は外部からの光の影響を受け難い。撮像ボックス20の内部にカメラ20Aと光源20Bとが備えられている。カメラ20Aは本発明における『撮像装置』である。
【0034】
カメラ20Aは、例えばCCDやCMOS型等の撮像素子を有し、引き抜きベルト6よって搬送される人参Aの搬送方向と直交(または略直交)する横方向から人参Aを撮像する。換言すると、カメラ20Aは引き抜きベルト6における搬送経路の側部位置から人参Aを撮像する。光源20Bは、撮像ボックス20の内部を通過する人参Aを照射する。これにより、カメラ20Aは、収穫作業時の天候や日照に関係なく、引き抜きベルト6によって搬送される人参Aを一定の光度で撮像できる。つまり、撮像ボックス20の内部の空間は、カメラ20Aの撮像空間である。
【0035】
〔品質判定部が含まれる制御装置の構成について〕
機体に電子制御装置(ECU)を有する制御装置30が備えられ、制御装置30に、走行制御部(不図示)と作業制御部30Aと画像認識部30Bと品質判定部30Cとが備えられている。走行制御部は機体の走行に関する制御を行う。作業制御部30Aは、本発明における『制御部』であって、作業装置に関する制御を行う。なお、作業装置に、後述するマーキング装置21が含まれる。
【0036】
画像認識部30Bは、カメラ20Aによって撮像された画像に基づいて判定対象の作物である人参Aの品質を解析処理する。具体的には、カメラ20Aによって撮像された画像を解析処理することによって人参Aを抽出し、画像認識部30Bは人参Aの形状、色、大きさ等を識別する。そして画像認識部30Bは、この画像認識に基づいて人参Aの品質を数値化処理する。数値化処理された人参Aの品質は、品質値Qとして出力される。
【0037】
品質判定部30Cは、品質値Qに基づいて人参Aの品質を判定する。
図4に示されるように、品質判定部30Cは2つの閾値T1,T2を有し、人参Aの品質を、『青果品質』と『加工品質』と『廃棄品質』との三段階で判定可能に構成されている。『青果品質』とは、人参Aを生鮮野菜(例えば高級野菜)として店頭に陳列可能な品質を意味する。『加工品質』とは、人参Aの形状・色・大きさ等が予め決められた規格の範囲外であるために店頭に陳列不能であるものの、加工食品に転用可能な品質を意味する。『廃棄品質』とは、人参Aの形状・色・大きさ等が規格外であって、かつ、食用としても不適格な品質(例えば廃棄野菜の品質、あるいは肥料、飼料の品質)を意味する。このように、品質判定部30Cは、人参Aの品質を三段階で判定可能に構成されている。
【0038】
閾値T2は閾値T1よりも大きな値を有する。品質値Qが閾値T2よりも高ければ(または閾値T2以上であれば)、品質判定部30Cは人参Aの品質を『青果品質』と判定する。品質値Qが閾値T1以上(または閾値T1よりも高く)かつ閾値T2以下(または閾値T2未満)であれば、品質判定部30Cは人参Aの品質を『加工品質』と判定する。品質値Qが閾値T2未満(または閾値T2以下)であれば、品質判定部30Cは人参Aの品質を『廃棄品質』と判定する。このように、品質判定部30Cは、カメラ20Aによって撮像された画像に基づいて人参Aの品質を判定する。そして、『青果品質』と『加工品質』と『廃棄品質』との何れかの情報を含む制御信号として、判定結果Rが品質判定部30Cから作業制御部30Aへ出力される。詳細に関しては後述するが、作業制御部30Aは、判定結果Rに基づいて、マーキング装置21を駆動制御する。
【0039】
〔マーキング装置について〕
引き抜きベルト6のうち、撮像ボックス20よりも搬送方向下手側の箇所に、マーキング装置21が設けられている。マーキング装置21は、品質判定部30Cの判定結果Rに基づいて判定対象の人参Aを他の人参Aと区別可能な状態となるように、判定対象の人参Aに対する処理を施す。
【0040】
図3に示されるように、マーキング装置21は、例えば回転式のカッター21Aを有し、マーキング装置21は人参Aの下部のみを切断可能である。つまり、マーキング装置21は、判定対象の人参Aを部分的に切断する『切断装置』である。また、マーキング装置21は、カッター21Aをスライド移動させるスライド機構21Bを有し、カッター21Aは、人参Aの搬送方向に対して直交(または略直交)する方向、即ち機体横方向にスライド可能に構成されている。
【0041】
カッター21Aが引き抜きベルト6の位置する側にスライドすると、カッター21Aが人参Aの下部と当接し、人参Aの下部に対して切断作用する。この状態におけるマーキング装置21(カッター21A)の位置を、『切断位置』と称する。
【0042】
また、カッター21Aが引き抜きベルト6の位置する側と反対側にスライドすると、カッター21Aが人参Aから離れ、人参Aの下部と当接しない。この状態におけるマーキング装置21(カッター21A)の位置を、『不使用位置』と称する。
【0043】
加えて、『切断位置』と『不使用位置』との間に『マーキング位置』が設定される。マーキング装置21(カッター21A)が『マーキング位置』に位置すると、カッター21Aと人参Aとが当接し、人参Aの下部は切断されずに、人参Aの下部に、いわゆる傷がマーキングされる。即ち、カッター21Aは、引き抜きベルト6(搬送装置)に対して遠近移動可能に構成されている。
【0044】
判定結果Rに、マーキング装置21が判定対象の人参Aに処理を施すか否かの基準が予め設定されている。判定結果Rが『青果品質』であれば、作業制御部30Aは、判定結果Rが予め設定された基準を満たすものであると判定する。そして作業制御部30Aは、マーキング装置21(カッター21A)が『不使用位置』に位置するように、マーキング装置21を駆動制御する。この状態で、マーキング装置21が判定対象の人参Aに処理を施さない。
【0045】
判定結果Rが『加工品質』または『廃棄品質』であれば、作業制御部30Aは、判定結果Rが予め設定された基準を満たさないものであると判定する。そして作業制御部30Aは、カッター21Aと人参Aとが当接するように、マーキング装置21(カッター21A)を引き抜きベルト6の位置する側へスライド制御する。これにより、マーキング装置21は判定対象の人参Aに処理を施す。
【0046】
即ち、作業制御部30Aは、『切断装置』としてのマーキング装置21を引き抜きベルト6に対して遠近移動するように制御可能に構成されている。判定結果Rが予め設定された基準を満たすものであると、作業制御部30Aは、マーキング装置21(カッター21A)を人参Aと当接しない『不使用位置』に位置させる。また、判定結果Rが予め設定された基準を満たさないものであると、作業制御部30Aは、上述の『不使用位置』よりも引き抜きベルト6の位置する側にマーキング装置21(カッター21A)を位置させる。
【0047】
図5に基づいて、品質判定部30C及び作業制御部30Aによるマーキング装置21の制御処理について説明する。まず、画像認識部30Bから品質値Qが品質判定部30Cへ入力される(ステップ#01)。そして画像認識部30Bは、品質値Qと閾値T1,T2とを比較することによって、人参Aの品質が『青果品質』と『加工品質』と『廃棄品質』との何れであるかを判定し、判定結果Rを作業制御部30Aへ出力する(ステップ#02)。
【0048】
判定結果Rが『青果品質』である場合(ステップ#02:青果品質)、作業制御部30Aは、カッター21Aと人参Aとが当接しない距離までカッター21Aが引き抜きベルト6から離間するように、スライド機構21Bを駆動制御する(ステップ#03)。つまり、マーキング装置21(カッター21A)の位置が『不使用位置』に位置する。また、判定結果Rが『青果品質』である場合、作業制御部30Aはカッター21Aを停止させる制御も可能である。
【0049】
判定結果Rが『加工品質』である場合(ステップ#02:加工品質)、作業制御部30Aは、カッター21Aを回転制御するとともに、カッター21Aと人参Aとが僅かに当接する程度にスライド機構21Bを駆動制御する(ステップ#04)。つまり、マーキング装置21(カッター21A)の位置が『マーキング位置』に位置する。これにより、判定結果Rが『青果品質』である場合と比較して、カッター21Aが引き抜きベルト6の位置する側へ接近する。この状態でカッター21Aと人参Aとが当接すると、人参Aの下部は切断されずに、人参Aの下部にカッター21Aによって、いわゆる傷がマーキングされる。
【0050】
判定結果Rが『廃棄品質』である場合(ステップ#02:廃棄品質)、作業制御部30Aは、カッター21Aを回転制御するとともに、判定結果Rが『加工品質』である場合よりも、カッター21Aが更に引き抜きベルト6の位置する側へ位置するように、スライド機構21Bを駆動制御する(ステップ#05)。つまり、マーキング装置21(カッター21A)の位置が『切断位置』に位置する。この状態でカッター21Aと人参Aとが当接すると、人参Aの下部は切断される。また、判定結果Rが『廃棄品質』である場合、作業制御部30Aは、判定結果Rが『加工品質』である場合よりも、カッター21Aを更に高速回転させる制御も可能である。
【0051】
このように、マーキング装置21は、判定結果Rが予め設定された基準を満たさないものであると、判定対象の人参Aに、当該基準を満たす人参Aと区別するための処理を可能に構成されている。また、本実施形態では、品質判定部30Cは、判定対象の人参Aの品質を、当該基準を満たす『青果品質』と、当該基準を満たさない『加工品質』及び『廃棄品質』と、の三段階で判定可能に構成されている。このことから、マーキング装置21は、複数段階の判定結果Rに応じて判定対象の人参Aに、他の人参Aと区別するための処理を可能に構成されている。
【0052】
本実施形態では、『青果品質』と判定された人参Aと、『加工品質』と判定されて傷のマーキングされた人参Aと、『廃棄品質』と判定されて下部が切断された人参Aと、の夫々が、搬送ベルト10及びコンベア14で搬送される。コンベア14及び椅子16の位置する領域は、本発明における『人為選別領域』である。即ち、『収穫装置』と回収袋15とに亘る経路のうち、マーキング装置21よりも下流側の経路に、人参Aの品質に応じて人参Aを人為的に選別可能な『人為選別領域』が設けられている。これにより、椅子16における作業者が、コンベア14の上を搬送される人参Aの品質を見分けやすくなって、作業者の選別負担が軽減される。椅子16の作業者は、傷のマーキングされた人参Aと、下部が切断された人参Aと、の少なくとも一方をコンベア14から取り出して回収袋15以外のコンテナや袋に投入することが可能である。
【0053】
〔別実施形態〕
本発明は、上述の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
【0054】
(1)上述の実施形態において、『青果品質』と判定された人参Aと、『加工品質』と判定されて傷のマーキングされた人参Aと、『廃棄品質』と判定されて下部が切断された人参Aと、の夫々が、搬送ベルト10及びコンベア14で搬送されるが、この実施形態に限定されない。例えば、『青果品質』と判定された人参Aと、『加工品質』と判定されて傷のマーキングされた人参Aと、『廃棄品質』と判定されて下部が切断された人参Aと、の夫々が各別の搬送先へ案内される構成であっても良い。例えば、
図6及び
図7に示されるように、マーキング装置21よりも搬送方向下手側に搬送先決定装置25が備えられ、搬送先決定装置25よりも搬送方向下手側が複数の経路に分岐される構成であっても良い。
搬送先決定装置25は、判定結果Rに基づいて引き抜きベルト6によって搬送された判定対象の人参Aの搬送先を決定する。
【0055】
図6及び
図7に示される例では、コンベア14の搬送幅方向における中央部分に仕切板26が設けられ、コンベア14の搬送方向終端部に隣接して、第一回収袋15A及び第二回収袋15Bが設けられる構成であっても良い。また、この場合、
図6及び
図7に示される前側案内板13A及び後側案内板13Bのように、案内板13が仕切板26を挟んで前後に2つ設けられる構成であっても良い。つまり、搬送先が搬送先決定装置25よりも搬送方向下手側で複数の経路に分岐されても良い。
【0056】
第一回収袋15Aは仕切板26に対して左右一方側(機体前側)に設けられ、『青果品質』と判定された人参Aが第一回収袋15Aに投入される。第二回収袋15Bは仕切板26に対して左右他方側(機体後側)に設けられ、『加工品質』と判定されてマーキングを有する人参Aが第二回収袋15Bに投入される。
【0057】
図6及び
図7に示される搬送先決定装置25は、水平軸芯まわりに上下揺動可能な平板部材25A(本発明の『板状部材』)と、平板部材25Aを揺動駆動する揺動制御機構25Bと、を有する。作業制御部30Aからの制御信号に基づいて揺動制御機構25Bが駆動制御され、平板部材25Aの角度が変更される。本実施形態において、平板部材25Aは、第一状態と第二状態と第三状態との三段階に上下揺動可能に構成されている。換言すると、平板部材25Aは第一状態と第二状態と第三状態との三段階で傾斜角度を変更可能に構成されている。平板部材25Aの遊端部は、第二状態の場合に第一状態の場合よりも機体後側に位置し、第三状態の場合に第二状態の場合よりも機体後側に位置する。第一状態における平板部材25Aの遊端部は、前側案内板13Aの前端部よりも前側に位置する。第二状態における平板部材25Aの遊端部は、後側案内板13Bの前端部よりも前側に位置するとともに、仕切板26の真上(または略真上)の領域に位置する。
【0058】
平板部材25Aは、第一状態に揺動した状態で、人参Aを仕切板26よりも機体前側に案内する。平板部材25Aは、第二状態に揺動した状態で、人参Aを仕切板26よりも機体後側かつ後側案内板13Bよりも機体前側に案内する。平板部材25Aは、第三状態に揺動した状態で、人参Aを後側案内板13Bよりも機体後側に案内する。
【0059】
作業制御部30Aは、品質判定部30Cの判定結果Rに基づいて揺動制御機構25Bを駆動制御する。判定結果Rが『青果品質』であれば平板部材25Aが第一状態に揺動され、判定結果Rが『加工品質』であれば平板部材25Aが第二状態に揺動され、判定結果Rが『廃棄品質』であれば平板部材25Aが第三状態に揺動される。平板部材25Aの揺動軸芯は、人参Aと葉部A1とを切断する回転刃9よりも前側に位置する。
【0060】
平板部材25Aが第一状態に揺動した状態で、人参Aと葉部A1とが切断されると、人参Aは搬送ベルト10のうち前側案内板13Aよりも搬送方向上手側の部分へ落下する。
つまり、人参Aは、コンベア14のうち仕切板26よりも機体前側部分へ案内される。そして人参Aはコンベア14によって青果用の第一回収袋15Aへ搬送される。
【0061】
平板部材25Aが第二状態に揺動した状態で、人参Aと葉部A1とが切断されると、人参Aが平板部材25Aに落下し、平板部材25Aの傾斜面部分に沿って、搬送ベルト10のうち前側案内板13Aよりも搬送方向下手側かつ後側案内板13Bよりも搬送方向上手側の部分へ落下する。つまり、人参Aは、コンベア14のうち仕切板26よりも機体後側部分へ案内される。そして人参Aはコンベア14によって加工用の第二回収袋15Bへ搬送される。
【0062】
平板部材25Aが第三状態に揺動した状態で、人参Aと葉部A1とが切断されると、人参Aが平板部材25Aに落下し、平板部材25Aの傾斜面部分に沿って搬送ベルト10のうち後側案内板13Bよりも搬送方向下手側の部分へ落下する。そして人参Aは搬送ベルト10の搬送終端部分から圃場の地面へ落下し、廃棄される。
【0063】
このように、搬送先決定装置25に、揺動することによって判定対象の人参Aを複数の経路の一つに案内する平板部材25Aと、平板部材25Aを揺動制御する揺動制御機構25Bと、が備えられている。この場合、椅子16に作業者が存在しなくても良いし、椅子16が機体に設けられなくても良い。
【0064】
なお、
図6及び
図7に示される平板部材25Aは、揺動するもので無くても良く、例えば、前後方向にスライドする構成であっても良い。例えば、
図6に示される平板部材25Aが機体後下向きに傾斜し、平板部材25Aの傾斜角度が保持されたまま、前後にスライドする構成であっても良い。そして、平板部材25Aの後下端部が、機体前後方向において上述の第一状態と第二状態と第三状態との三段階に位置するように、平板部材25Aが前後にスライドする構成であっても良い。
【0065】
また、
図6及び
図7にマーキング装置21が備えられているが、マーキング装置21が備えられない構成であっても良い。この場合、搬送先決定装置25が、判定対象の人参Aを他の人参Aと区別可能な状態とすることを可能な装置、即ち本発明の『マーキング装置』であっても良い。
【0066】
(2)
図6及び
図7に示される例では、搬送先決定装置25が引き抜きベルト6の途中に設けられているが、
図8に示されるように、搬送先決定装置25がコンベア14の搬送終端部分に設けられる構成であっても良い。
図8に示される搬送先決定装置25は、上下軸芯まわりに左右に揺動可能な平板部材25Aと、平板部材25Aを揺動駆動する揺動制御機構25Bと、を有する。作業制御部30Aからの制御信号に基づいて揺動制御機構25Bが駆動制御され、平板部材25Aの角度が変更される。
【0067】
作業制御部30Aは、品質判定部30Cの判定結果Rに基づいて揺動制御機構25Bを駆動制御する。判定結果Rが『青果品質』であれば、平板部材25Aが機体後側へ揺動される。このため、『青果品質』の人参Aがコンベア14によって第一回収袋15Aへ搬送される。判定結果Rが『加工品質』または『廃棄品質』であれば平板部材25Aが機体前側へ揺動される。このため、『加工品質』の人参Aがコンベア14によって第二回収袋15Bへ搬送される。この場合、椅子16における作業者は、『廃棄品質』と判定されて下部が切断された人参Aだけをコンベア14から取り出しても良い。
【0068】
なお、『加工品質』の人参Aと『廃棄品質』の人参Aとが一緒に第二回収袋15Bに投入されても良い。この場合、第二回収袋15Bに『加工品質』の人参Aと『廃棄品質』の人参Aとが混在するが、例えば選果場の選果装置で重量選別や画像認識処理によって、加工品としての人参Aと、廃棄品としての人参Aと、に仕分けられる構成であっても良い。
また、この場合、椅子16に作業者が存在しなくても良いし、椅子16が機体に設けられなくても良い。
【0069】
なお、
図8に示される搬送先決定装置25は、判定結果Rが『青果品質』または『廃棄品質』であれば、平板部材25Aが機体後側へ揺動され、判定結果Rが『加工品質』であれば平板部材25Aが機体前側へ揺動される構成であっても良い。この場合、第一回収袋15Aに『青果品質』の人参Aと『廃棄品質』の人参Aとが混在するが、『廃棄品質』の人参Aは、例えば選果場の選果装置で重量選別が行われる場合に廃棄品に仕分けられる構成であっても良い。
【0070】
また、
図8にマーキング装置21が備えられているが、マーキング装置21が備えられない構成であっても良い。この場合、搬送先決定装置25が、判定対象の人参Aを他の人参Aと区別可能な状態とすることを可能な装置、即ち本発明の『マーキング装置』であっても良い。また、
図8における撮像ボックス20が、例えばコンベア14の経路途中に設けられる構成であっても良い。
【0071】
(3)
図1~
図3に示された実施形態において、『青果品質』と判定された人参Aと、『加工品質』と判定されてマーキングが施された人参Aと、『廃棄品質』と判定されて下部が切断された人参Aと、の夫々が、搬送ベルト10及びコンベア14で搬送されて回収袋15に投入されても良い。この場合、回収袋15に『青果品質』の人参Aと『加工品質』の人参Aと『廃棄品質』の人参Aとが混在するが、下部の切断された『廃棄品質』の人参Aの重量は、『青果品質』や『加工品質』の人参Aと比較して明らかに軽い。このため、『廃棄品質』の人参Aは、例えば選果場の選果装置で重量選別によって確実に廃棄品として仕分けられる。更に、『青果品質』と判定された人参Aと、『加工品質』と判定されてマーキングが施された人参Aと、は当該選果装置で、重量選に加えて画像認識処理等によって、青果品としての人参Aと、加工品としての人参Aと、に仕分けられる。つまり、
図1~
図3に示された実施形態において、『青果品質』、『加工品質』、『廃棄品質』の人参Aの夫々が、纏めて回収袋15に投入されても良い。この場合、椅子16に作業者が存在しなくても良いし、椅子16が機体に設けられなくても良い。
【0072】
(4)
図1~
図3に示された実施形態において、マーキング装置21は、『廃棄品質』と判定された人参Aのみに対して処理を施し、『青果品質』と判定された人参Aと、『加工品質』と判定された人参Aと、に対して処理を施さない構成であっても良い。例えば、判定結果Rが『廃棄品質』であれば、作業制御部30Aは、判定結果Rが予め設定された基準を満たさないものであると判定する。そして作業制御部30Aは、マーキング装置21(カッター21A)を引き抜きベルト6の位置する側へスライド制御し、マーキング装置21が、『廃棄品質』と判定された人参Aの下部を切断する構成であっても良い。加えて、マーキング装置21が、『廃棄品質』と判定された人参Aを葉部A1から切断して圃場面へそのまま廃棄する構成であっても良い。
【0073】
(5)上述の実施形態における『撮像装置』はカメラ20Aであるが、『撮像装置』は撮像ボックス20全体の構成であっても良い。また、『撮像装置』は、カメラ20Aに加えて、またはカメラ20Aに代えて、光学式測距装置(LRF)を有するものであっても良い。そして画像認識部30Bは、光学式測距装置による計測に基づいて人参Aの形状を認識可能な構成であっても良い。
【0074】
(6)上述の実施形態における品質判定部30Cは、判定対象の作物の品質を『青果品質』、『廃棄品質』、『廃棄品質』の三段階で判定可能であるが、品質判定部30Cは、判定対象の作物の品質を二段階で判定しても良い。例えば、品質判定部30Cは、判定対象の人参Aの品質を、『青果品質』と『廃棄品質』との二段階で判定可能に構成されても良い。また、品質判定部30Cは、判定対象の作物の品質を四段階以上で判定しても良い。
つまり、品質判定部30Cは、判定対象の作物の品質を複数段階で判定可能な構成であって良い。
【0075】
(7)上述した実施形態では、マーキング装置21はカッター21A及びスライド機構21Bを有するが、この実施形態に限定されない。例えばマーキング装置21は、人参Aにスタンプ印を刻印するものであっても良いし、例えばレーザー光線で人参Aの表面に焦げ目を着けるものであっても良い。
【0076】
(8)上述した実施形態では、マーキング装置21は引き抜きベルト6の経路途中の箇所に設けられているが、例えばマーキング装置21はコンベア14の経路途中の箇所に設けられても良い。この場合、『撮像装置』はコンベア14の経路途中の箇所のうちマーキング装置21よりも搬送方向上手側箇所に設けられても良い。要するに、マーキング装置21は、『撮像装置』よりも搬送方向下手側の箇所に設けられて良い。
【0077】
(9)上述の制御装置30に、作業制御部30Aと画像認識部30Bと品質判定部30Cとが備えられているが、作業制御部30Aと画像認識部30Bと品質判定部30Cとが一体的に構成されても良い。この場合、制御装置30が本発明の『品質判定部』であっても良いし、制御装置30が本発明の『制御部』であっても良い。
【0078】
(10)作物は、人参A以外にも、大根、牛蒡、玉葱、芋類等の地中で成長するものであっても良い。
【0079】
なお、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。
また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、作物の茎葉部に搬送力を作用させることで地中塊部を圃場から引き抜く形態で収穫を行う根菜収穫機に利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
4 :引き起こし装置(収穫装置)
6 :引き抜きベルト(収穫装置、搬送装置)
10 :搬送ベルト(搬送装置)
13 :案内板(搬送装置)
13A :前側案内板(搬送装置)
13B :後側案内板(搬送装置)
14 :コンベア(搬送装置、人為選別領域)
15 :回収袋(収容容器)
15A :第一回収袋(収容容器)
15B :第二回収袋(収容容器)
16 :椅子(人為選別領域)
20A :カメラ(撮像装置)
21 :マーキング装置(切断装置)
25 :搬送先決定装置
25A :平板部材(板状部材)
25B :揺動制御機構
30A :作業制御部(制御部)
30C :品質判定部
A :人参(作物)
Q :品質値
R :判定結果