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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/02 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
D06F58/02 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020185718
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075130
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】曽我 浩二
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-208894(JP,A)
【文献】特開2013-113626(JP,A)
【文献】特開2019-076360(JP,A)
【文献】特開2010-266133(JP,A)
【文献】特開2016-81623(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 58/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、前記筐体の内部に配置され、衣類を収容する収容室と、ユーザからの入力を受け付ける制御装置とを備え、前記ユーザからの入力に応じて動作する衣類乾燥機において、
前記制御装置は、前記筐体の前板の下方部分に配置されている入力受付部を含み、
前記入力受付部は、前記ユーザの手指による入力動作を検知するとともに、該入力動作の検知に基づいて前記ユーザからの入力を受け付ける第1検知部と、水分の付着を検知するとともに、該付着の検知に基づいて、前記第1検知部における入力の受付を停止する第2検知部とを有し、
前記第2検知部の前記第1検知部の下方に位置する部分の検知感度は、該部分以外の検知感度よりも低くなっており、
前記第2検知部は、線状に形成され、且つ、前記第1検知部の下方側で、左右方向に延在している線状の延在部を含み、
前記延在部の前記第1検知部の下方に位置する部分の幅は、前記延在部以外であって、少なくとも前記第2検知部の前記第1検知部の上方に位置する部分の幅よりも細く形成されていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項2】
請求項に記載の衣類乾燥機において、
前記前板の下端部は、側面視で、後方に向かって湾曲し、又は、後方に向かって傾斜し、
前記第2検知部の前記第1検知部の下方に位置する部分は、前記前板の前記下端部に設けられていることを特徴とする衣類乾燥機。
【請求項3】
請求項に記載の衣類乾燥機において、
前記第2検知部の前記第1検知部の下方に位置する部分は、前記前板の下縁部よりも上方に設けられていることを特徴とする衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体の前板にユーザからの入力を受け付ける入力受付部が設けられている衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洗濯後の衣類等(いわゆる洗濯物であり、タオル、シーツ等の布製品も含む。)を、ガスバーナ等によって生成した温風で乾燥する衣類乾燥機がある。この種の衣類乾燥機としては、ユーザからの入力を受け付けるための入力受付部が、筐体の前板に設けられたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載のような衣類乾燥機は、入力受付部を介して受け付けた入力に応じて、温風を筐体の内部に設けられた収容室に送り込んで、その収容室に収容された衣類等を乾燥する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-104492号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のような衣類乾燥機では、入力受付部に、ユーザの手指の接触を検知する接触検知センサ(例えば、静電容量式のタッチセンサ等)を設け、その接触検知センサによる検知に応じてユーザからの入力を受け付けるものがある。
【0006】
そのような接触検知センサを採用している場合、その接触検知センサに水分を含んだ洗濯物が接触してしまった際に、その接触検知センサにユーザの手指が接触したと誤認されてしまい、ユーザの意図していない入力が受け付けられてしまうおそれがある。
【0007】
そこで、入力受付部に接触検知センサの他に、水分の付着を検知する水分検知センサを設け、水分検知センサが水分を検知した場合に、接触検知センサの検知(ひいては、入力の受付)を停止するという構成が考えられる。
【0008】
しかし、そのような水分検知センサを設けると、衣類乾燥機の設置位置等によっては、今度は、ユーザが接触検知センサを介して入力を行う際に、そのユーザの手指が水分検知センサにも意図せず接触してしまい、接触検知センサを介した入力の受付も意図せず停止されてしまうおそれがあった。
【0009】
本発明は以上の点に鑑みてなされたものであり、ユーザが意図した入力を適切に受け付けることができる衣類乾燥機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の衣類乾燥機は、
筐体と、前記筐体の内部に配置され、衣類を収容する収容室と、ユーザからの入力を受け付ける制御装置とを備え、前記ユーザからの入力に応じて動作する衣類乾燥機において、
前記制御装置は、前記筐体の前板の下方部分に配置されている入力受付部を含み、
前記入力受付部は、前記ユーザの手指による入力動作を検知するとともに、該入力動作の検知に基づいて前記ユーザからの入力を受け付ける第1検知部と、水分の付着を検知するとともに、該付着の検知に基づいて、前記第1検知部における入力の受付を停止する第2検知部とを有し、
前記第2検知部の前記第1検知部の下方に位置する部分の検知感度は、該部分以外の検知感度よりも低くなっており、
前記第2検知部は、線状に形成され、且つ、前記第1検知部の下方側で、左右方向に延在している線状の延在部を含み、
前記延在部の前記第1検知部の下方に位置する部分の幅は、前記延在部以外であって、少なくとも前記第2検知部の前記第1検知部の上方に位置する部分の幅よりも細く形成されていることを特徴とする。
【0011】
このように、本発明の衣類乾燥機の制御装置の入力受付部は、筐体の前板の下方部分に配置されている。これは、この衣類乾燥機が、操作時におけるユーザの姿勢に対して上方に配置されることを想定されているためである。
【0012】
そのため、ユーザがその入力受付部に含まれる第1検知部に手指による入力動作を行う際には、ユーザの手指の指先よりも手首側の部分(例えば、第2関節の手のひら側の部分)は、第1検知部よりも下方側ほど意図せず接触する可能性が高い。また、ユーザの手指は下方側から上方側へと移動することになるので、指先自体も、第1検知部よりも下方側ほど意図せず接触する可能性が高い。
【0013】
ここで、入力受付部は、第1検知部だけではなく、洗濯物等の接触による誤検知を抑制するために、水分の付着を検知した際に第1検知部における入力の受付を停止する第2検知部も有している。しかし、その第2検知部にユーザの手指が意図せず接触してしまうと、第2検知部で誤検知が生じ、ユーザが意図した入力が適切に受け付けられなくなるおそれがある。
【0014】
そこで、この衣類乾燥機では、第2検知部の第1検知部よりも下方に位置する部分の検知感度は、その部分以外の検知感度よりも低く構成されている。すなわち、ユーザの手指が意図せず接触してしまう可能性の高い部分の検知感度は、その部分以外の検知感度よりも低く構成されている。これにより、第2検知部への接触の度合いが強いものでなければ(すなわち、意図していない接触では)、第1検知部の入力の受付は停止されない。
【0015】
したがって、本発明の衣類乾燥機によれば、洗濯物等の接触による誤検知を抑制できるだけでなく、意図しないユーザの手指の接触による入力の受付の停止も抑制されるので、ユーザが意図した入力を適切に受け付けることができる。
【0016】
また
前記第2検知部は、線状に形成され、且つ、前記第1検知部の下方側で、左右方向に延在している線状の延在部を含み、
前記延在部の前記第1検知部の下方に位置する部分の幅は、該部分以外の幅よりも細く形成されている。
【0017】
検知感度を下げる方法として、このように線状の検知部を細くする方法を採用すると、複雑な構造を用いずに検知感度を下げることができるようになる。これにより、製造コストの低減を図ることができる。
【0018】
また、本発明の衣類乾燥機においては、
前記前板の下端部は、側面視で、後方に向かって湾曲し、又は、後方に向かって傾斜し、
前記第2検知部の前記第1検知部の下方に位置する部分は、前記前板の前記下端部に設けられていることが好ましい。
【0019】
このように構成すると、前板の下端部は、下方側ほど、前板前面からの距離が離れることになる。そのため、その下端部に検知感度が同じ検知部を設置した場合には、下方側ほど、検知感度が低くなる。そこで、その下端部に第2検知部の第1検知部の下方に位置する部分を設置すると、その部分における第2検知部の機能、形状を変更しなくても、その部分の検知感度を低くすることができる。これにより、製造コストの低減を図ることができる。
【0020】
また、本発明の衣類乾燥機においては、第2検知部の第1検知部の下方に位置する部分が前板の湾曲又は傾斜する下端部に設けられている場合、
前記第2検知部の前記第1検知部の下方に位置する部分は、前記前板の下縁部よりも上方に設けられていることが好ましい。
【0021】
前板の下端部は、後方に向かって湾曲しつつ延びている、又は、後方に向かって傾斜するように延びているので、その下縁部には、水滴が付着しやすい。そのため、その下縁部に第2検知部を設けると、その水滴による誤検知が生じてしまうおそれがある。そこで、前板の下端部に第2検知部を設ける場合には、このように前板の下縁部よりも上方に第2検知部を設けるようにすると、水滴による誤検知を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る衣類乾燥機の構成を模式的に示す縦断面図。
図2図1の衣類乾燥機の斜視図。
図3図1の衣類乾燥機の配置された状態を模式的に示す側面図。
図4図1の衣類乾燥機の操作パネルの構成を示す平面図。
図5】変形例に係る衣類乾燥機の操作パネルの構成を示す平面図。
図6】第2実施形態に係る衣類乾燥機の操作パネルの構成を模式的に示す側面図。
図7図6の衣類乾燥機の操作パネルの構成を模式的に示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[第1実施形態]
以下、図1図5を参照して、第1実施形態に係る衣類乾燥機D1について説明する。
【0024】
[衣類乾燥機の概略構成]
まず、図1図3を参照して、衣類乾燥機D1の概略構成について説明する。
【0025】
図1に示すように、衣類乾燥機D1は、衣類W(いわゆる洗濯物であり、衣服の他、タオル、シーツ等の布製品も含む。)を収容して回転しつつ乾燥する回転式のドラム1(収容室)を備えている。ドラム1は、回動自在な状態で筐体2の内部に配置されている。
【0026】
筐体2の背面壁2aには、正面に向かって延びる支持軸3が設けられている。支持軸3には、ドラム1のドラム回転軸1aが回転自在に装着されている。これにより、ドラム1は、横倒姿勢(軸線が水平方向となる姿勢)で、筐体2に対し、回転自在に支持されている。
【0027】
ドラム1の前端には、正面開放部1bが形成されている。筐体2の正面側には、ドラム1の正面開放部1bに対応する位置に、片開き式の扉4で覆われた衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bの外周には、リング板5が装着されている。リング板5には、正面開放部1bを介して、ドラム1が回動自在な状態で支持されている。
【0028】
ドラム1の奥壁1cには、前述したドラム回転軸1aが設けられている。ドラム回転軸1aのドラム1の内部側の端部には、フィルタユニット6が取り付けられている。また、ドラム回転軸1aのドラム1の外部側の端部には、軸支されたドラム1の奥壁1cを補強するための補強板1dが取り付けられている。
【0029】
ドラム1の奥壁1cと筐体2の背面壁2aとの間には、ドラム1の内部の空気を筐体2の外部に導く排気路7が設けられている。排気路7の下流端には、筐体2の上部で開口する排気口7aが設けられている。排気路7の上流側には、ファンケース8aが配置されている。
【0030】
ファンケース8aの内部には、排湿ファン8bが収容されている。排湿ファン8bは、支持軸3に回転自在に支持されたファン回転軸8cを備えている。排湿ファン8bは、衣類Wの乾燥に伴い高湿度となったドラム1の内部の空気を排出するとともに、ドラム1の内部に温風を引き込む気流を発生させる。
【0031】
具体的には、排湿ファン8bが回転すると、まず、外気が筐体2の底部に形成されている給気口2cから筐体2の内部に取り込まれる。次に、筐体2の内部に取り込まれた外気は、後述するガスバーナ10aの炎に加熱されて温風となり、後述する温風ダクト11を通ってドラム1の内部に送られる。
【0032】
筐体2の内部には、ドラム1及び排湿ファン8bを回転させるためのモータ9(電動機)と、温風を生成する温風生成ユニット10と、生成された温風をドラム1の内部へ導く温風ダクト11と、乾燥運転時にモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点消火動作等を制御するコントローラ12(制御装置)とが、配置されている。
【0033】
モータ9は、第1駆動軸9a及び第2駆動軸9bの2つの駆動軸を備えている。第1駆動軸9aとドラム1とには、第1伝動ベルト9cが掛け渡されている。第2駆動軸9bと排湿ファン8bのファン回転軸8cとには、第2伝動ベルト9dが掛け渡されている。
【0034】
第1駆動軸9aの回転力は、第1伝動ベルト9cを介してドラム1に伝達され、ドラム1を回転させる。このドラム1の回転により、ドラム1の内部に収容されている衣類Wは、定位置に留まることなく常に動かされる。
【0035】
第2駆動軸9bの回転力は、第2伝動ベルト9dを介してファン回転軸8cに伝達され、排湿ファン8bを回転させる。この排湿ファン8bの回転により、ドラム1の内部に気流が形成される。
【0036】
温風生成ユニット10は、ガスバーナ10aと、ガス噴射ノズル10bと、ガス供給弁装置10cと、放電装置10dとを備えている。
【0037】
ガス供給弁装置10cから供給された燃料ガスは、ガス噴射ノズル10bからガスバーナ10aのガス入口10eへ向けて噴射される。噴射された燃料ガスは、ガス入口10e周辺の燃焼用空気とともにガスバーナ10aに導かれる。その後、その燃焼ガス及び燃焼用空気は、放電装置10dによって着火されて燃焼し、その燃焼によって外気が加熱され温風が生成される。
【0038】
なお、燃焼ガスとともにガスバーナ10aに供給される燃焼用空気は、加熱するための外気と同様に筐体2の底部の給気口2cから取り込まれる。
【0039】
温風ダクト11は、ガスバーナ10aの上方からリング板5に形成された温風出口5aまで延設されている。ガスバーナ10aにより加熱生成された温風は、温風ダクト11を通って温風出口5aへ導かれ、ドラム1の内部へ送り込まれる。
【0040】
ドラム1の内部に送り込まれた温風は、ドラム1に収容されている衣類Wから湿気を吸収してその衣類Wを乾燥させる。衣類Wの乾燥に伴い高湿度となった温風(高湿温風)は、フィルタユニット6を通過して排湿ファン8bへ向かう。このとき、衣類Wから発生した糸屑類がフィルタユニット6に捕捉される。
【0041】
フィルタユニット6を経て排湿ファン8bへ向かった高湿温風は、排湿ファン8bの正面側から入って排湿ファン8bの外周に向かい、排気路7に集約されて排気口7aから機外に排出される。
【0042】
コントローラ12は、前面側の下方部に、操作パネル12a(入力受付部)を有している。操作パネル12aは、いわゆるタッチパネルとして構成されており、ユーザUの手指の接触した位置に応じて、ユーザUからの入力を受け付ける。コントローラ12は、受け付けられた入力の内容に基づいて、乾燥運転時におけるモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点火・消火動作等に関する制御を行う。
【0043】
図2に示すように、筐体2は、略立方体をしており、天板20、底板21、並びに、天板20と底板21との間に位置し、上下方向に延設されている前板22、後蓋23、及び、左右一対の側板24により構成されている。
【0044】
前板22の下方部からは、コントローラ12の操作パネル12aが露出している。前板22の中央には、ドラム1に衣類を投入するための衣類投入口2bが設けられている。衣類投入口2bは、前述のように片開き式の扉4で覆われている。後蓋23は、前述の背面壁2aを構成している。
【0045】
このように構成されている衣類乾燥機D1は、例えば、図3に示すように、洗濯機Lの上方等、比較的高い位置に設置される場合がある。そのように配置されることを想定して、衣類乾燥機D1のコントローラ12の操作パネル12aは、筐体2の前板22の下方部分(例えば、下端部、下端部近傍の部分)に配置されている。
【0046】
これにより、衣類乾燥機D1が、操作時におけるユーザUの姿勢に対して上方に配置されていたとしても、ユーザUが、操作パネル12aに対する操作を、比較的行いやすくなっている。
【0047】
[操作パネルの構成]
次に、図4を参照して、衣類乾燥機D1のコントローラ12(制御装置)の操作パネル12a(入力受付部)の構成について、詳細に説明する。
【0048】
図4に示すように、操作パネル12aは、複数の電極が設けられた略矩形のプリント基板である基板13aと、基板13aの前面側に取り付けられている透明の樹脂板13bとを備えている。複数の電極と樹脂板13bとは密着しており、樹脂板13bにユーザUの手指、水分等が接触した場合に、それらと対応した位置にある電極との静電結合によって、その接触が検知されるようになっている。
【0049】
操作パネル12aの備えている複数の電極には、基板13aの中央部に左右方向に並ぶように設けられた3つの円形状の第1電極13c(第1検知部)と、基板13aの周縁部に沿うように設けられた線状の第2電極13d(第2検知部)とが含まれている。
【0050】
第1電極13cは、ユーザUの手指の接触を検知する。コントローラ12は、その接触の位置及びタイミングに応じて、衣類乾燥機D1の動作に関するユーザUからの指示の入力を受け付け、その入力の内容に応じて、乾燥運転時におけるモータ9の駆動、温風生成ユニット10の点火・消火動作等に関する制御を行う。
【0051】
第2電極13dは、水分の接触を検知する。コントローラ12は、洗濯物、雨水等が接触することによって第2電極13dによる検知が認識された際には、第1電極13cを介した入力の受付(具体的には、第1電極13cによる検知、又は、コントローラ12の備えている制御用の基板等へ検知結果の送信等)を停止する。
【0052】
このように、操作パネル12aには第1電極13cだけでなく第2電極13dが設けられているので、操作パネル12aの水分を含んだ洗濯物等が接触してしまった場合等には、第2電極13dによる検知に基づいて第1電極13cを介した入力の受付が停止される。
【0053】
これにより、そのような場合に、洗濯物等の水分の接触がユーザUの手指の接触と誤認されてしまったとしても、ユーザUの意図していない入力が受け付けられてしまうことが防止されている。
【0054】
ところで、前述のように、衣類乾燥機D1は比較的高い位置に設置される場合がある(図3参照)。そのような場合、衣類乾燥機D1の配置された高さ、ユーザUの体格等によっては、ユーザUの手指が、ユーザUの意図した部分以外の部分に接触してしまったりするおそれがある。
【0055】
例えば、ユーザUが第1電極13cに手指を接触させて入力を行う際に、ユーザUの手指の指先よりも手首側の部分(例えば、第2関節の手のひら側の部分)が、操作パネル12aの下方側の部分に接触してしまうおそれがある。また、そのように配置されている場合、ユーザUの手指は下方側から上方側へと移動することになるので、指先自体も、その移動の過程で第1電極13cの下方側の部分に接触してしまうおそれがある。
【0056】
ここで、基板13aでは、第1電極13cを囲うようにして(すなわち、第1電極13cの下方部分にも)第2電極13dが設けられている。そのため、そのように配置されている場合には、ユーザUの手指が、意図せず第2電極13dに接触してしまうおそれがある。
【0057】
そして、そのようにして、第2電極13dにユーザUの手指が意図せず接触してしまうと、第2電極13dで誤検知が生じて第1電極13cを介した入力の受付が停止され、ユーザUが意図した入力が適切に受け付けられなくなるおそれがある。
【0058】
そこで、衣類乾燥機D1では、第2電極13dの第1電極13cよりも下方に位置する部分の検知感度が、その部分以外の検知感度よりも低く構成されている。
【0059】
具体的には、図4に示すように、第2電極13dは、線状の電極であり、略矩形の基板13aの周縁に沿って配置されている。さらに具体的には、第2電極13dは、基板13aの上縁に沿って左右方向に延びる線状の第1部分13d1と、両側縁に沿って上下方向に延びる左右一対の第2部分13d2と、下縁に沿って左右方向に延びる第3部分13d3(延在部)とによって、構成されている。
【0060】
これらの第2電極13dを構成する部分のうち、第3部分13d3が、第1電極13cよりも下方に位置する部分(すなわち、ユーザUの手指が意図せず接触してしまう可能性の高い部分)となる。
【0061】
ここで、その第3部分13d3の線の幅は、第1部分13d1の線の幅、及び、第2部分13d2の線の幅よりも、細く形成されている。そのため、第3部分13d3の検知感度は、第1部分13d1及び第2部分13d2の検知感度よりも低くなっている。
【0062】
衣類乾燥機D1では、第2電極13dがこのように構成されているので、第2電極13dへの接触の度合いが強いものでなければ(すなわち、ユーザUが意図していない接触では)、第1電極13cの入力の受付は停止されない。
【0063】
したがって、衣類乾燥機D1によれば、洗濯物等の接触による誤検知を抑制できるだけでなく、意図しないユーザUの手指の接触による入力の受付の停止も抑制されるので、ユーザUが意図した入力を適切に受け付けることができる。
【0064】
なお、衣類乾燥機D1では、第2電極13dの検知感度を下げる方法として、第1電極13cの下方に位置する部分の検知部を細くする方法を採用している。これにより、複雑な構造を用いずに検知感度を下げることができるようになっている。ひいては、衣類乾燥機D1の製造コストの低減を図られている。
【0065】
しかし、本発明の衣類乾燥機は、このような構成に限定されるものではなく、第2検知部である第2電極の形状は、第1電極である第1検知部の下方に位置する部分の検知感度が、その部分以外の検知感度よりも低くければよい。
【0066】
そのため、例えば、本実施形態において、図5に示すように、第2電極13dの第3部分13d3全体を、第1部分13d1及び第2部分13d2より細くせずに、第3部分13d3のうち第1電極13cの下方に位置する部分のみを、それ以外の部分よりも細くすることによって、検知感度を低くしてもよい。
【0067】
[第2実施形態]
以下、図6及び図7を参照して、第2実施形態に係る衣類乾燥機D2について説明する。
【0068】
なお、本実施形態の衣類乾燥機D2は、筐体の前板22の形状、及び、コントローラ12の操作パネル12aの基板13a、樹脂板13b及び第2電極13dの形状が異なることを除き、第1実施形態の衣類乾燥機D1と同様の構成を備えている。
【0069】
そのため、以下の説明においては、それらの配置位置についてのみ説明する。また、第1実施形態の衣類乾燥機D1と同一の構成又は対応する構成については、同一の符号を付すとともに、詳細な説明は省略する。
【0070】
図6に示すように、筐体2の前板22は、側面視で上下方向に延びる第1面部22aと、第1面部22aの下方(すなわち、前板22の下端部)に位置し、後方に向かって湾曲しつつ延びている第2面部22bとを有している。第2面部22bの上端は、第1面部22aの下端に連設されており、第2面部22bの下端は、底板21の前端に接続可能に構成されている。
【0071】
コントローラ12の操作パネル12aは、第1面部22aの下方部及び第2面部22bに亘って露出するようにして、前板22の下端部に取り付けられている。
【0072】
図7に示すように、操作パネル12aは、複数の電極が設けられた略矩形のプリント基板である基板13aと、基板13aの前面側に取り付けられている透明の樹脂板13bとを備えている。複数の電極と樹脂板13bとは密着しており、樹脂板13bにユーザUの手指、水分等が接触した場合に、それらと対応した位置にある電極との静電結合によって、その接触が検知されるようになっている。
【0073】
操作パネル12aの備えている複数の電極には、基板13aの中央部に左右方向に並ぶように設けられた3つの円形状の第1電極13c(第1検知部)と、基板13aの周縁部に沿うように設けられた線状の第2電極13d(第2検知部)とが含まれている。
【0074】
第1電極13cは、ユーザUの手指の接触を検知する、コントローラ12は、その検知に基づいて、衣類乾燥機D1の動作に関するユーザUからの指示の入力を受け付ける。また、第2電極13dは、水分の接触を検知する。コントローラ12は、その検知に基づいて、第1電極13cを介した入力の受付を停止する。
【0075】
第2電極13dは、線状の電極であり、略矩形の基板13aの周縁に沿って配置されている。この第2電極13dは、基板13aの上縁に沿って左右方向に延びる線状の第1部分13d1と、両側縁に沿って上下方向に延びる左右一対の第2部分13d2と、下縁に沿って左右方向に延びる第3部分13d3とによって、構成されている。
【0076】
これらの複数の電極が設けられている基板13a及びそれを覆う樹脂板13bは、操作パネル12aを構成するものであるので、操作パネル12aと同様に、筐体2の前板22の第1面部22aの下方部分及び第2面部22bに亘って取り付けられる。そのため、基板13a及び樹脂板13bの下方部分も、第2面部22bに沿って湾曲するような形状となっている。
【0077】
図6に示すように、そのようにして基板13aが前板22に取り付けられた状態では、第2電極13dの第3部分13d3(すなわち、第1電極13cの下方に位置する部分)は、第2面部22bに対応する位置(すなわち、前板22の下端部)に位置する。
【0078】
ここで、前述のように第2面部22bは、下方側ほど、第1面部22a(すなわち、前板22の前面)からの距離が離れることになる。そのため、第1面部22aの下方部分から第2面部22bに亘って取り付けられている基板13aに設けられている電極の検知感度は、機能、形状(例えば、太さ)が同じ場合には、下方側ほど、検知感度が低くなる。
【0079】
そのため、第2電極13dのうち、第2面部22bに対応する位置に設けられている第3部分13d3の検知感度は、第1部分13d1及び第2部分13d2の検知感度に比べて、低くなる。
【0080】
これにより、第2実施形態に係る衣類乾燥機D2は、第1実施形態に係る衣類乾燥機D1と同様の効果を奏するとともに、場所によって機能、形状が異なるような特別な電極を製造しなくてよいので、製造コストの低減を図ることができるようになっている。
【0081】
なお、衣類乾燥機D2では、基板13aが前板22に取り付けられた状態であっても、第2電極13dの第3部分13d3は、第2面部22bの下縁部よりも上方に位置するように設けられている。
【0082】
これは、第2面部22bは、後方に向かって湾曲しつつ延びているので、その下縁部には、水滴が付着しやすく、その下縁部に第3部分13d3を設けると、その水滴による誤検知が生じてしまうおそれがあるためである。
【0083】
しかし、本発明の衣類乾燥機は、そのような構成に限定されるものではない。例えば、本実施形態において、基板13aを覆う樹脂板13bの表面に、水滴を誘導する溝等が形成されている場合には、第3部分13d3を、第2面部22bの下縁に沿って設けてもよい。
【0084】
また、本実施形態においては、第2面部22bは、後方に向かって湾曲しつつ延びている。しかし、本発明の衣類乾燥機は、そのような構成に限定されるものではなく、第2面部は、後方に向かって傾斜するように、直線的に又は階段状に延びるものであってもよい。
【0085】
また、本実施形態においては、第2面部22bは、第2面部22bの下端に連設されている。しかし、本発明の衣類乾燥機は、そのような構成に限定されるものではなく、第1面部と第2面部との間に他の部材が存在していてもよい。
【0086】
また、本実施形態においては、基板13aが前板22に取り付けられた状態で、基板13aの第1電極13c、並びに、第2電極13dの第1部分13d1及び第2部分13d2の一部は、第1面部22aに対応する位置に位置している。しかし、本発明の衣類乾燥機は、そのような構成に限定されるものではなく、基板全体を、第2面部に対応する部分に設けてもよい。
【0087】
[その他の実施形態]
以上、図示の実施形態について説明したが、本発明はこのような形態に限定されるものではない。
【0088】
例えば、上記実施形態では、第1検知部である第1電極13cを、基板13aの中央部に左右方向に並ぶように設けられた3つの円形状の電極とし、第2検知部である第2電極13dを、基板13aの周縁部に沿うように設けられた線状電極としている。
【0089】
しかし、本発明の第1検知部及び第2検知部は、このような構成に限定されるものではなく、第1検知部は、ユーザの手指による入力動作を検知するとともに、その入力動作の検知に基づいてユーザからの入力を受け付けるものであればよいし、第2検知部は、水分の付着を検知するとともに、その付着の検知に基づいて、第1検知部における入力の受付を停止するものであればよい。
【0090】
そのため、例えば、各々の検知部として独立した電極を採用する場合には、その電極の形状は、基板の形状等に応じて、適宜設定してよい。また、各々の検知部として独立した電極を採用せずに、1つの電極の領域を区切って複数の検知部を形成してもよい。さらには、第1検知部として、電極ではなく押圧型のスイッチ等を採用してもよい。
【0091】
また、上記実施形態では、第2検知部である第2電極13dのうち、第2電極13dの下方に位置する第3部分13d3の形状、配置位置を変更することによって、その部分の検知感度を低下させている。しかし、本発明は、そのような構成に限定されるものではない。
【0092】
例えば、第2検知部のうち、第1検知部の下方に位置する部分の構造自体は、他の部分と同様の構造とするとともに、検知信号の制御において、第1検知部の下方に位置する部分で検知された信号に対する反応の感度を調整して、結果的に検知感度を低下させるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0093】
1…ドラム(収容室)、1a…ドラム回転軸、1b…正面開放部、1c…奥壁、1d…補強板、2…筐体、2a…背面壁、2b…衣類投入口、2c…給気口、3…支持軸、4…扉、5…リング板、5a…温風出口、6…フィルタユニット、7…排気路、7a…排気口、8a…ファンケース、8b…排湿ファン、8c…ファン回転軸、9…モータ、9a…第1駆動軸、9b…第2駆動軸、9c…第1伝動ベルト、9d…第2伝動ベルト、10…温風生成ユニット、10a…ガスバーナ、10b…ガス噴射ノズル、10c…ガス供給弁装置、10d…放電装置、10e…ガス入口、11…温風ダクト、12…コントローラ(制御装置)、12a…操作パネル(入力受付部)、13a…基板、13b…樹脂板、13c…第1電極(第1検知部)、13d…第2電極(第2検知部)、13d1…第1部分、13d2…第2部分、13d3…第3部分(延在部)、20…天板、21…底板、22…前板、22a…第1面部、22b…第2面部、23…後蓋、24…側板、D1,D2…衣類乾燥機、L…洗濯機、U…ユーザ、W…衣類。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7