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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20240607BHJP
   G06Q 30/0283 20230101ALI20240607BHJP
【FI】
G06Q30/0207
G06Q30/0283 492
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020187951
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077207
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】392026693
【氏名又は名称】株式会社NTTドコモ
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 将成
(72)【発明者】
【氏名】作山 学
【審査官】永野 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-148911(JP,A)
【文献】特開2019-148888(JP,A)
【文献】特開2020-112872(JP,A)
【文献】特開2019-144654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動サービスを提供する事業者の設備をユーザが或る期間利用したときに当該事業者が当該ユーザから得られる見込み収益額を算出する第1算出部と、
前記或る期間に前記事業者が前記設備を前記移動サービスに供することで確率的に期待し得る期待収益額を算出する第2算出部と、
算出された前記見込み収益額及び前記期待収益額の差額を用いて、前記ユーザが前記設備を利用したときに得られる特典に関する情報を含む提示情報を生成する生成部と、
生成された提示情報を前記ユーザの通信端末に送信する送信部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記第1算出部及び前記第2算出部は、
複数の経路の各々を前記ユーザが移動するときに利用する前記設備について前記算出を行い、
前記生成部は、
前記複数の経路のうち、第1の経路を前記ユーザが移動する場合の前記差額と、前記第1の経路とは異なる第2の経路を前記ユーザが移動する場合の前記差額との差に基づいて、前記提示情報を生成する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第1の経路は、前記ユーザが移動する距離、当該ユーザが当該移動に要する時間、又は、当該ユーザが当該移動に要する料金のうち、少なくともいずれかが最も小さい経路である
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の経路は、前記ユーザの移動履歴に基づいて当該ユーザが経由する可能性が閾値以上であると算出された経路である
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第2の経路は、
前記複数の経路のうち、当該経路を移動する場合の前記差額が最も大きい経路である
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記生成部は、
前記第1の経路を前記ユーザが移動する場合の前記差額と前記第2の経路を前記ユーザが移動する場合の前記差額との差に対し、或る条件に応じて変動する係数を乗算して、前記ユーザが前記設備を利用したときの利用料金の割引額を前記特典と算出する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記生成部は、機械学習により算出された前記係数を用いる
ことを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記生成部は、前記係数及び前記設備の利用履歴に関する情報を教師データとした機械学習により算出された前記係数を用いる
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記生成部は、前記係数と、前記第1の経路及び前記第2の経路を比較したときの前記ユーザが移動する距離の違い、当該ユーザが当該移動に要する時間の違い、又は、当該ユーザが当該移動に要する料金の違いに関する情報とを教師データとした機械学習により算出された、前記係数を用いる
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記係数と、複数種類の移動サービスにおける前記設備の利用履歴に関する情報とを教師データとした機械学習により算出された、前記係数を用いる
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動サービスの利用料金を決める技術に関する。
【背景技術】
【0002】
カーシェア、自転車シェア、又はキックボードシェアを代表としたシェアリングモビリティが急速に普及しつつある。このシェアリングモビリティにおいて、ユーザからの要求時に必要な設備(空いているシェアカーなど)が不足している場合に、周辺において利用可能な設備を代替として提示するという手法が広く行われている。ただし、このような手法はユーザの要求に合っているとは限らず、また、ユーザに対してより遠い設備への移動を強いる可能性がある。
【0003】
このため、この種の移動サービスにおいては、需要と供給のマッチングの最適化に関して様々な取り組みが行われている。例えば特許文献1には、会員の目的地に相当するカーステーションの混雑度が高い場合、移動距離が近い代替カーステーションを会員に提示し、提示された代替カーステーションを利用した会員には、目的地のカーステーションを利用した場合に比べて増加した所要時間に応じた割引料金を適用する仕組みが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-215921号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただし、利用料金の割引のようなユーザに対する特典の内容は、事業者又はユーザにとって適切に決める必要がある。
【0006】
そこで、本発明は、移動サービスにおいてユーザに与える特典を適切に決定するための仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、移動サービスを提供する事業者の設備をユーザが或る期間利用したときに当該事業者が当該ユーザから得られる見込み収益額を算出する第1算出部と、前記或る期間に前記事業者が前記設備を前記移動サービスに供することで確率的に期待し得る期待収益額を算出する第2算出部と、算出された前記見込み収益額及び前記期待収益額の差額を用いて、前記ユーザが前記設備を利用したときに得られる特典に関する情報を含む提示情報を生成する生成部と、生成された提示情報を前記ユーザの通信端末に送信する送信部とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移動サービスにおいてユーザに与える特典を適切に決定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るシェアリングモビリティシステム1の全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】上記実施形態に係るユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図3】上記実施形態に係るサーバ装置30のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図4】上記実施形態に係るサーバ装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】上記実施形態に係るサーバ装置30の記憶部35が記憶する設備情報を例示する図である。
図6】上記実施形態に係るサーバ装置30の記憶部35が記憶するユーザ情報を例示する図である。
図7】上記実施形態に係るサーバ装置30の動作を例示するフローチャートである。
図8】上記実施形態に係るサーバ装置30によって算出される複数の経路候補を例示する図である。
図9】上記実施形態に係るユーザ端末10においてユーザに提示される提示情報を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[構成]
図1は、本実施形態のシェアリングモビリティシステム1の一例を示す図である。シェアリングモビリティシステム1は、車両(ここでは自動車)を利用するユーザが利用する通信端末としてそれぞれ機能する複数のユーザ端末10と、利用可能な車両が駐車されるカーポートに設置された複数のカーポート装置20と、シェアリングモビリティシステム1によってユーザに移動サービスを提供する事業者によって管理されるサーバ装置30とを備える。サーバ装置30は、本発明に係る情報処理装置として機能する。車両及びカーポートは、ユーザに移動サービスを提供する事業者の設備である。ネットワーク2は、これらユーザ端末10、カーポート装置20及びサーバ装置30を相互に通信可能に接続する。ネットワーク2は、例えばLAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)、若しくはこれらの組み合わせであり、有線区間又は無線区間を含んでいる。ネットワーク2は、例えば第5世代移動通信システムに準拠したネットワークであることが望ましいが、必ずしもこれに限らない。
【0011】
シェアリングモビリティシステム1において、ユーザは自身のユーザ端末10を操作して、任意の出発地から任意の目的地までの車両の利用を要求する。この要求はユーザ端末10からサーバ装置30にネットワーク2経由で送られる。サーバ装置30は、上記出発地の近辺において利用可能な車両を特定し、その車両が駐車されているカーポート(出発カーポートという)から上記目的地の近辺においてその車両を駐車可能な空きカーポート(目的カーポートという)までの経路を算出する。サーバ装置30は、ユーザ端末10に対して、そのユーザが乗車するべき車両、出発カーポートから目的カーポートまでの経路、及び、その利用料金等に関する情報(提示情報という)を生成して送信する。ユーザはユーザ端末10において出力された提示情報を見て、自身が利用する移動サービスの詳細について知ることができる。
【0012】
このシェアリングモビリティシステム1においては、ユーザに対する車両の利用料金が変動する、いわゆるダイナミックプライシングが用いられる。本実施形態の特徴の1つは、移動サービスを提供する事業者の状況及びその移動サービスを利用するユーザの状況に応じて、適切な利用料金を決定する点にある。
【0013】
図2は、ユーザ端末10のハードウェア構成の一例を示す図である。ユーザ端末10は、例えばスマートホン、携帯電話機、タブレット、ウェアラブル端末又はパーソナルコンピュータ等のコンピュータである。ユーザ端末10は、物理的には、プロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、入力装置1005、出力装置1006、測位装置1007及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。なお、以下の説明では、「装置」という文言は、回路、デバイス、ユニットなどに読み替えることができる。ユーザ端末10のハードウェア構成は、図に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。
【0014】
ユーザ端末10における各機能は、プロセッサ1001、メモリ1002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ1001が演算を行い、通信装置1004による通信を制御したり、メモリ1002及びストレージ1003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0015】
プロセッサ1001は、例えば、オペレーティングシステムを動作させてコンピュータ全体を制御する。プロセッサ1001は、周辺装置とのインターフェース、制御装置、演算装置、レジスタなどを含む中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)によって構成されてもよい。また、例えばベースバンド信号処理部や呼処理部などがプロセッサ1001によって実現されてもよい。
【0016】
プロセッサ1001は、プログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュール、データなどを、ストレージ1003及び通信装置1004の少なくとも一方からメモリ1002に読み出し、これらに従って各種の処理を実行する。プログラムとしては、後述する動作の少なくとも一部をコンピュータに実行させるプログラムが用いられる。ユーザ端末10の機能ブロックは、メモリ1002に格納され、プロセッサ1001において動作する制御プログラムによって実現されてもよい。各種の処理は、1つのプロセッサ1001によって実行されてもよいが、2以上のプロセッサ1001により同時又は逐次に実行されてもよい。プロセッサ1001は、1以上のチップによって実装されてもよい。なお、プログラムは、電気通信回線を介してネットワーク2からユーザ端末10に送信されてもよい。
【0017】
メモリ1002は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、RAM(Random Access Memory)などの少なくとも1つによって構成されてもよい。メモリ1002は、レジスタ、キャッシュ、メインメモリ(主記憶装置)などと呼ばれてもよい。メモリ1002は、本実施形態に係る方法を実施するために実行可能なプログラム(プログラムコード)、ソフトウェアモジュールなどを保存することができる。
【0018】
ストレージ1003は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であり、例えば、CD-ROM(Compact Disc ROM)などの光ディスク、ハードディスクドライブ、フレキシブルディスク、光磁気ディスク(例えば、コンパクトディスク、デジタル多用途ディスク、Blu-ray(登録商標)ディスク)、スマートカード、フラッシュメモリ(例えば、カード、スティック、キードライブ)、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストリップなどの少なくとも1つによって構成されてもよい。ストレージ1003は、補助記憶装置と呼ばれてもよい。ストレージ1003は、演奏評価プログラムや後述する楽譜データ群を記憶する。
【0019】
通信装置1004は、有線ネットワーク及び無線ネットワークの少なくとも一方を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であり、例えばネットワークデバイス、ネットワークコントローラ、ネットワークカード、通信モジュールなどともいう。通信装置1004は、例えば周波数分割複信(FDD:Frequency Division Duplex)及び時分割複信(TDD:Time Division Duplex)の少なくとも一方を実現するために、高周波スイッチ、デュプレクサ、フィルタ、周波数シンセサイザなどを含んで構成されてもよい。例えば、送受信アンテナ、アンプ部、送受信部、伝送路インターフェースなどは、通信装置1004によって実現されてもよい。送受信部は、送信部と受信部とで、物理的に、または論理的に分離された実装がなされてもよい。
【0020】
入力装置1005は、外部からの入力を受け付ける入力デバイス(例えば、キー、マイクロフォン、スイッチ、ボタン、センサなど)である。出力装置1006は、外部への出力を実施する出力デバイス(例えば、ディスプレイ、スピーカー、LEDランプなど)である。なお、入力装置1005及び出力装置1006は、一体となった構成(例えば、タッチスクリーン)であってもよい。
【0021】
測位装置1007は、ユーザ端末10の位置を測定する測位手段であり、例えばGPS(Global Positioning System)ユニットである。
【0022】
プロセッサ1001、メモリ1002などの各装置は、情報を通信するためのバスによって接続される。バスは、単一のバスを用いて構成されてもよいし、装置間ごとに異なるバスを用いて構成されてもよい。
【0023】
また、ユーザ端末10は、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのハードウェアを含んで構成されてもよく、当該ハードウェアにより、各機能ブロックの一部又は全てが実現されてもよい。例えば、プロセッサ1001は、これらのハードウェアの少なくとも1つを用いて実装されてもよい。
【0024】
図3は、サーバ装置30のハードウェア構成を示す図である。サーバ装置30のハードウェア構成は、図3に示した各装置を1つ又は複数含むように構成されてもよいし、一部の装置を含まずに構成されてもよい。また、それぞれ筐体が異なる複数の装置が通信接続されて、サーバ装置30を構成してもよい。
【0025】
サーバ装置30は、物理的には、プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。サーバ装置30における各機能は、プロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信を制御したり、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。プロセッサ3001、メモリ3002、ストレージ3003、通信装置3004、及びこれらを接続するバスは、ユーザ端末10について説明したプロセッサ1001、メモリ1002、ストレージ1003、通信装置1004、及びこれらを接続するバスと、ハードウェアとしては同様であるため、その説明を省略する。ただし、通信装置3004は、無線通信の通信規格に従って通信を行うためのハードウェアである必要はなく、任意の有線通信の通信規格に従ってネットワーク2を介してコンピュータ間の通信を行うためのハードウェア(送受信デバイス)であってもよい。
【0026】
カーポート装置20は、物理的にはユーザ端末10やサーバ装置30と同様に、プロセッサ、メモリ、ストレージ、通信装置、入力装置、出力装置及びこれらを接続するバスなどを含むコンピュータ装置として構成されている。カーポート装置20における各機能は、プロセッサ、メモリなどのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることによって、プロセッサが演算を行い、通信装置による通信を制御したり、メモリ及びストレージにおけるデータの読み出し及び書き込みの少なくとも一方を制御したりすることによって実現される。
【0027】
図4は、サーバ装置30の機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、サーバ装置30において、取得部31と、経路算出部32と、第1算出部33と、記憶部35と、第2算出部34と、生成部36と、送信部37という機能が実現される。
【0028】
取得部31は、ユーザ端末10又はカーポート装置20から、要求や通知、或いは位置情報等の各種情報をネットワーク2経由で取得する。
【0029】
経路算出部32は、ユーザが指定した出発地の近辺において利用可能な車両を特定し、その車両が駐車されているカーポート(出発カーポートという)から、ユーザが指定した目的地の近辺においてその車両を駐車可能な空きカーポート(目的カーポートという)に至るまでの1以上の経路候補群を算出する。
【0030】
第1算出部33は、移動サービスを提供する事業者の設備(ここでは各カーポートに駐車されていて利用可能な車両)をユーザが或る期間利用したときに事業者がユーザから得られる見込み収益額PPを算出する。具体的には、1台の車両を利用するときの単位時間(例えば1時間)当たりについて、通常料金Pと呼ばれる基準となる料金が予め決められており、第1算出部33は、この通常料金Pに対して車両の利用時間Hを乗算することで、見込み収益額PP(見込み収益額PP=通常料金P×利用時間H)を算出する。
【0031】
第2算出部34は、或る期間に事業者が設備を移動サービスに供することで確率的に期待し得る期待収益額EPを算出する。具体的には、第2算出部34は、各々の設備の利用履歴に基づいて、将来の各設備及び各期間における需要予測を行い、さらに、各々の設備の利用履歴に基づいて、将来の各設備及び各期間における事業者の収益額を統計的に算出し(例えば過去の各設備及び各期間における収益額の平均値を、将来の各設備及び各期間における収益額とするなど)、これを期待収益額EPとする。各設備の需要予測(ユーザからの予約又は利用が入る確率の予測)及び期待収益額の算出は、ディープラーニング等の機械学習を利用して実現してもよい。
【0032】
記憶部35は、各設備に関する設備情報、各ユーザに関するユーザ情報、及び地図・交通情報を記憶している。
【0033】
設備情報は、図5に例示するように、各設備(車両又はカーポート)を識別する設備ID、各設備の位置、各設備の通常料金、及び、各設備の利用履歴等に関する情報を含む。
【0034】
ユーザ情報は、図6に例示するように、各ユーザを識別するユーザID、各ユーザの属性、ユーザによる利用料金の支払い手段等に関する情報を含む。
【0035】
地図・交通情報は、移動サービスの提供エリアに含まれる各道路の位置、各道路において走行可能な方向及び車線数、及び各道路における信号等に関する情報や、その提供エリア内の各道路における渋滞や事故等に関する情報を含む。また、地図・交通情報には、各地域において所定のセンシング装置によってセンシングされた交通量に関する情報や、日時等の条件に応じて道路上の車両群がどのような移動をするのかというマクロ的な観点からの統計情報を含んでいてもよい。これら地図・交通情報は、車両の経路及びその経路を車両が移動するときの所要時間の算出に用いられる。なお、車両の経路及びその経路を車両が移動するときの所要時間の算出には、例えばダイクストラ法やA*(A-Star)アルゴリズムなどの周知のアルゴリズムが用いられる。
【0036】
生成部36は、第1算出部33により算出された見込み収益額PP及び第2算出部34により算出された期待収益額EPの差額(差額=見込み収益額PP-期待収益額EP)を用いて、ユーザが設備を利用したときに得られる特典を決定し、当該特典に関する情報を含む提示情報を生成する。ここでいう特典とは、前述した通常料金P×利用時間Hに対する割引額Dのことである。つまり、ユーザは通常料金P×利用時間Hから割引額Dを減算した料金(これを利用料金という)を事業者に支払うことで、事業者の設備を利用することができる。なお、見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額を用いて、特典である割引額Dを決定する方法については、後で詳述する。
【0037】
送信部37は、ユーザ端末10又はカーポート装置20に対して、要求や通知、或いは上記の提示情報等の各種情報をネットワーク2経由で送信する。
【0038】
[動作]
次に、サーバ装置30の動作について説明する。図7に示す各処理の手順は、サーバ装置30に実装されているプログラムに記述されている。なお、以下の説明において、サーバ装置30を処理の主体として記載する場合には、具体的にはプロセッサ3001、メモリ3002などのハードウェア上に所定のソフトウェア(プログラム)を読み込ませることで、プロセッサ3001が演算を行い、通信装置3004による通信や、メモリ3002及びストレージ3003におけるデータの読み出し及び/または書き込みを制御することにより、処理が実行されることを意味する。ユーザ端末10及びカーポート装置20についても同様である。
【0039】
図7において、サーバ装置30(取得部31)は、ユーザからの乗車に関する要求をユーザ端末10からネットワーク2経由で取得する(ステップS11)。この要求には、例えばユーザのユーザID、そのユーザによって指定された出発地、出発希望日時、経由地、経由地への到着希望日時、目的地、及び目的地への到着希望日時等に関する情報が含まれているが、経由地に関する情報は必須ではない。
【0040】
サーバ装置30(経路算出部32)は、上記要求に含まれている情報に基づいて、上記出発地の近辺において利用可能な車両を特定し、その車両が駐車されているカーポート(出発カーポートという)から上記経由地を経由し、上記目的地の近辺においてその車両を駐車可能な空きカーポート(目的カーポートという)に至るまでの2以上の経路候補群を算出する(ステップS12)。この経路候補群は、経路を示す各位置のほか、経路の各位置を車両が通過する予定日時が含まれている。
【0041】
ここで、図8は、サーバ装置30(経路算出部32)によって算出された経路候補群を例示する概念図である。経路候補R1は、ユーザが指定した出発地(例えばユーザの現在地U)の近辺にある出発カーポートS1から、ユーザが指定した目的地Gの近辺にある目的カーポートG1に至る経路を表している。経路候補R2は、出発カーポートS1から目的カーポートG1に至る、経路候補R1とは異なる経路を表している。経路候補R3は、ユーザが指定した出発地の近辺にある出発カーポートS2からユーザが指定した目的地Gの近辺にある目的カーポートG2に至る経路を表している。なお、これらの経路候補群のうちいずれかは、ユーザが出発地から目的地まで移動する距離(ここでは各出発カーポートから目的カーポートまでの経路候補上の距離)、当該ユーザが当該移動に要する時間(ここでは各出発カーポートから目的カーポートまでの経路候補を移動するときに予想される車両の利用時間H)、又は、当該ユーザが当該移動に要する料金(ここでは各出発カーポートにおける車両の通常料金P×上記利用時間H)が最も小さい経路である。ここでは、経路候補R1が、ユーザが出発地から目的地まで移動する距離が最も小さい経路であると仮定する。つまり、経路候補R1は、ユーザにとって移動に要する負担が最も小さい経路であると言える。一方、
【0042】
次に、サーバ装置30(第1算出部33)は、各経路候補について、ユーザが出発カーポートから目的カーポートに至るまでの所要時間にわたってその出発カーポートから借りた車両を利用した場合に、事業者がユーザから得られる見込み収益額PPを算出する(ステップS13)。具体的には、サーバ装置30(第1算出部33)は、各経路候補において、出発カーポートに駐車している車両について決められた通常料金Pに、出発カーポートから目的カーポートに至るまでの利用時間Hを乗算して、見込み収益額PPを算出する。これにより、図8に例示した経路候補R1,R2,R3の各々について、見込み収益額PPが算出される。
【0043】
次に、サーバ装置30(第2算出部34)は、各経路候補について、ユーザが出発カーポートから目的カーポートに至るまでの所要時間にわたって、事業者が確率的に期待し得る期待収益額EPを算出する(ステップS14)。具体的には、サーバ装置30(第2算出部34)は、上記出発カーポートに駐車している車両の利用履歴に基づいて、ユーザが出発カーポートから目的カーポートに至るまでの所要時間にわたって、その車両による過去の収益額の平均値を算出し、この平均値に基づいて上記出発カーポートから上記目的カーポートに至るまでの所要時間における期待収益額EPを算出する。これにより、図8に例示した経路候補R1,R2,R3の各々について、期待収益額EPが算出される。
【0044】
サーバ装置30(生成部36)は、各経路候補について第1算出部33により算出された見込み収益額PP及び第2算出部34により算出された期待収益額EPの差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)の差を用いて、ユーザが得られる特典(つまり、通常料金P×利用時間Hからの割引額D)を決定し、当該特典に関する情報を含む提示情報を生成する(ステップS15)。
【0045】
このステップS13~S15の処理について、より具体的に説明する。まず、経路候補R1,R2,R3の見込み収益額PP、期待収益額EP、その差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)を次のように仮定する。
経路候補R1
見込み収益額PP=5000円、期待収益額EP=4000円、差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)=1000円
経路候補R2
見込み収益額PP=5000円、期待収益額EP=500円、差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)=4500円
経路候補R3
見込み収益額PP=8800円、期待収益額EP=5000円、差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)=3800円
【0046】
ここで、差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)が大きい経路候補は、見込み収益額PPに対して期待収益額EPが小さいということになるから、相対的に需要が低い設備(つまり過去に利用された確率が車両)を利用する経路であると言える。一方、差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)が小さい経路候補は、見込み収益額PPに対して期待収益額EPが大きいということになるから、相対的に需要が高い設備(過去に利用された確率が高い車両)を利用する経路であると言える。
【0047】
生成部36は、経路候補群のうち、任意の2つの経路候補の組み合わせごとに、これら2つの経路候補の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)の差(ここでは、差の絶対値とする)を算出する。この場合は次のようになる。
経路候補R1の差額(PP-EP)と経路候補R2の差額(PP-EP)との差:|1000円-4500円|=3500円
経路候補R1の差額(PP-EP)と経路候補R3の差額(PP-EP)との差:|1000円-3800円|=2800円
経路候補R2の差額(PP-EP)と経路候補R3の差額(PP-EP)との差:|4500円-3800円|=700円
【0048】
生成部36は、これらの差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)の差に基づいて、ユーザに提示する割引額Dを決定する。具体的には、例えば2つの経路候補がユーザに提示される場合は、これらの差額の差が割引額Dの最大値となる。このとき、生成部36は、ユーザが出発地から目的地まで移動する距離(ここでは各出発カーポートから目的カーポートまでの経路候補上の距離)、当該ユーザが当該移動に要する時間(ここでは各出発カーポートから目的カーポートまでの経路候補を移動するときに予想される車両の利用時間H)、又は、当該ユーザが当該移動に要する料金(ここでは各出発カーポートにおける車両の通常料金P×上記利用時間H)が最も小さい経路候補についての差額と、その他の経路候補についての差額との差に基づいて、ユーザに提示する割引額Dを決定する。つまり、サーバ装置30(生成部36)は、ユーザが出発地から目的地まで移動する距離(ここでは各出発カーポートから目的カーポートまでの経路候補上の距離)が最も小さい経路候補に相当する経路候補R1(第1の経路)についての差額と、その他の経路候補R2、R3(第2の経路)についての差額との差に基づいて、特典を決定して提示情報を生成する。
【0049】
例えば経路候補R1を第1の経路とし、経路候補R2を第2の経路として提示する場合、経路候補R1の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)と経路候補R2の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)との差である3500円が、相対的に需要が低い設備を利用する経路候補R2に関する割引額Dの最大値となる。生成部36は、経路候補R1の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)と経路候補R2の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)との差である3500円に対して所定の係数(1以下の係数であり、利益率という、ここでは例えば0.3とする)を乗算した3500円×0.3=1050円を、経路候補R2の見込み収益額PP=8800円に対する割引額Dとしたうえで、8800円-840円=7960円を利用料金として提示する。これにより、相対的に需要が低い経路候補R3についてユーザの利用を誘導することができる。
【0050】
3つ以上の経路候補を提示する場合、生成部36は、上述した2つの経路候補の場合と同様の考え方で割引額Dを算出する。例えば経路候補R1を第1の経路として、経路候補R2を第2の経路とし、経路候補R3を第3の経路として提示する場合、経路候補R1の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)と経路候補R2の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)との差である3500円が、相対的に需要が低い設備を利用する経路候補R2に関する割引額の最大値となる。また、経路候補R1の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)と経路候補R3の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)との差である2800円が、相対的に需要が低い設備を利用する経路候補R3に関する割引額の最大値となる。生成部36は、経路候補R1の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)と経路候補R2の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)との差である3500円に対して所定の利益率(例えば0.3)を乗算して、3500円×0.3=1050円を経路候補R2の見込み収益額PP=5000円に対する割引額Dとし、5000円-1050円=3950円を利用料金として提示する。また、生成部36は、経路候補R1の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)と経路候補R3の差額(見込み収益額PP-期待収益額EP)との差である2800円に対して所定の利益率(例えば0.3)を乗算して、2800円×0.3=840円を経路候補R3の見込み収益額PP=8800円に対する割引額Dとし、8800円-840円=7960円を利用料金として提示する。これにより、相対的に需要が低い経路候補R2,R3についてユーザの利用を誘導することができる。
【0051】
そして、サーバ装置30(送信部37)は、ユーザ端末10に対して、生成した提示情報をネットワーク2経由で送信する(ステップS16)。ユーザはユーザ端末10において出力された提示情報を見て、自身が利用し得る移動サービスの詳細について知ることができる。図9は、例えば経路候補R1を第1の経路とし、経路候補R2を第2の経路として提示する場合の提示情報の一例である。図9に例示するように、経路候補R1については通常料金P×利用時間H=5000円から割引額D=0円を減算した利用料金5000円を提示している。また、経路候補R2については通常料金P×利用時間H=5000円から割引額D=1050円を減算した利用料金3950円を提示している。なお、図9において、「地図」と表記されたソフトボタンをユーザが選択することで、カーポートの地図がユーザ端末10に表示されるようになっている。
【0052】
ユーザは提示情報として表示された経路候補からいずれかを選択し、サーバ装置30に対してその経路候補に対応する車両の利用を指定することができる。以降、所定の処理を経て、ユーザは自らが指定した車両を利用可能となる。
【0053】
以上説明した実施形態によれば、移動サービスに供される各設備の見込み収益額及び期待収益額の差額に基づいてユーザに与えられる特典が決定されるから、事業者にとって適切な範囲で特典の付与を行うことが可能となる。また、ユーザに対しては、経路候補群のうち、ユーザが移動する距離、当該ユーザが当該移動に要する時間又は当該ユーザが当該移動に要する料金が最も小さい経路のいずれかに相当する第1の経路に関する提示情報が少なくとも提示されることになるから、ユーザが目的地に移動するときの負担度を考慮した情報提示が実現可能となる。
【0054】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0055】
[変形例1]
上記実施形態においては、複数の経路候補の比較に用いる第1の経路は、算出された経路候補群のうち、ユーザが移動する距離、ユーザが移動に要する時間、又は、ユーザが移動に要する料金のうち少なくともいずれかが最も小さい経路であった。ただし、第1の経路は、この例に限らない。生成部36は、複数の経路候補のうち、任意の経路候補を第1の経路とし、その第1の経路とは異なる経路候補を第2の経路をとしてもよい。つまり、生成部36は、複数の経路のうち、第1の経路をユーザが移動する場合の差額(見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額)と、第1の経路とは異なる第2の経路をユーザが移動する場合の差額(見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額)との差に基づいて、提示情報を生成すればよい。
【0056】
また、上記の第1の経路は、ユーザの移動履歴に基づいて当該ユーザが経由する可能性が閾値以上であると算出された経路候補であってもよい。ユーザの移動履歴は、例えばユーザ端末10の測位機能により測位された位置データの履歴がユーザ端末10等からサーバ装置30に送信され、図6に例示したユーザ情報としてサーバ装置30の記憶部35に記憶されていればよい。生成部36は、この移動履歴に基づいて、経路候補ごとに、ユーザが過去にその経路候補上に存在していた確率(可能性)を算出する。これにより、ユーザが普段よく通る経路を含む経路候補が特定可能となる。このようにユーザが普段よく通る経路を含む経路候補を第1の経路となり、その第1の経路とは異なる経路候補を第2の経路となる。つまり、生成部36は、ユーザの移動履歴に基づいて当該ユーザが経由する可能性が閾値以上であると算出された第1の経路をユーザが移動する場合の差額(見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額)と、その第1の経路とは異なる第2の経路をユーザが移動する場合の差額(見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額)との差に基づいて、提示情報を生成する。これにより、ユーザの移動指向性を考慮して、ユーザが通り慣れた経路候補を含む経路候補群についての提示情報をユーザに提示することができる。
【0057】
[変形例2]
第1の経路と比較される第2の経路は、相対的に需要が低い設備を利用する経路、つまり、当該経路を移動する場合の見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額が、複数の経路候補のうち最も大きい経路であってもよい。これにより、相対的に需要が低い設備を利用する経路候補に関する提示情報をユーザに提示することができる。
【0058】
[変形例3]
実施形態で説明した利益率を動的に変更してもよい。つまり、生成部36は、複数の経路候補のうち、第1の経路をユーザが移動する場合の差額(見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額)と第2の経路をユーザが移動する場合の差額(見込み収益額PP及び期待収益額EPの差額)との差に対し、或る条件に応じて変動する係数に相当する利益率を乗算して、ユーザが設備を利用したときの割引額Dを決定するようにしてもよい。
【0059】
生成部36は、機械学習により算出された利益率を用いるようにしてもよい。例えば上述した利益率に相当する係数を小さくすれば、割引額Dが小さくなるから事業者にとっての収益は大きくなる一方、ユーザにとっては割引額Dが小さくなると提示された設備を利用したいという動機付けにはなりづらくなる。逆に、上述した利益率に相当する係数を大きくすれば、割引額Dが大きくなるから事業者にとっての収益は小さくなる一方、ユーザにとっては割引額Dが大きくなると提示された設備を利用したいという動機付けになり得る。そこで、生成部36は、利益率及び設備の利用履歴に関する情報を教師データとして機械学習を行い、ユーザの行動変容率を向上させるための利益率を最適化するアルゴリズムを生成し、そのアルゴリズムに従って利益率を決定してもよい。ここでいう、行動変容率とは、提示情報の提示に応じて、ユーザがその提示情報によって提示された設備を利用した割合であり、提示情報の提示履歴及び設備の利用履歴から特定可能である。これにより、利益率に基づく事業者の収益と、利益率に基づいてユーザに提示した設備が利用される割合とのバランスを最適化することが期待できる。
【0060】
また、例えば、提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが移動する距離の違いが大きい場合には、上述した利益率に相当する係数を大きくすることで、移動距離が大きい方の経路候補の割引額Dを大きくしなければ、ユーザにとって、移動距離が大きい方の経路候補を選択したいという動機付けにはならない。逆に、提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが移動する距離の違いが小さい場合には、上述した利益率に相当する係数を小さくしても、ユーザにとって、移動距離が大きい方の経路候補を選択してもよいという意思決定をさせることが期待できる。これは、第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが移動する距離の違いに限らず、例えば提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが当該移動に要する時間の違い、又は、提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが移動に要する料金の違いにおいても同様である。そこで、教師データとして、利益率と、提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが移動する距離の違い、提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが当該移動に要する時間の違い、又は、提示情報において第1の経路及び第2の経路を比較したときのユーザが移動に要する料金の違いのいずれかに関する情報とを用いて機械学習を行い、ユーザの行動変容率を向上させるための利益率を最適化するアルゴリズムを生成し、そのアルゴリズムに従って利益率を決定してもよい。これにより、利益率に基づく事業者の収益と、利益率に基づいてユーザに提示した設備が利用される割合とのバランスを最適化することが期待できる。
【0061】
なお、本発明において用いられる機械学習の手法としては、例えばバンディットアルゴリズム等の強化学習、或る瞬間若しくは或る時刻幅におけるユーザ要求をもとにしたグリーディーアルゴリズムに基づく最適化、又は、組み合わせ問題としての最適化法の適用などが考えられる。
【0062】
[変形例4]
本発明は、自動車に限らず、二輪車やキックボード等の様々な移動サービスに対して適用可能である。また、例えば二輪車を利用してカーポートまで移動し、そのカーポートから自動車を利用するなどのような複数種類の移動サービスを経由して移動する場合には、生成部36は、各々の移動サービスごとに上述したような見込み収益額PP及び期待収益額EPを算出し、それらの差額を用いて提示情報を生成すればよい。この場合、生成部36は、上述した利益率と複数種類の移動サービスに関するユーザの設備の利用履歴に関する情報を教師データとした機械学習により、ユーザの行動変容率を向上させるための利益率を最適化するアルゴリズムを生成し、そのアルゴリズムに従って利益率を決定してもよい。
【0063】
[変形例5]
ユーザに与えられる特典は、料金の割引に限らず、ポイントと呼ばれる、金銭に代替可能な価値情報のユーザへの付与や、そのような価値情報のユーザへのキックバック、ユーザへのプレゼント、ユーザに対する特別なキャンペーンの提示などであってもよい。
【0064】
[変形例6]
上記実施形態では、本発明に係る情報処理装置の一例としてサーバ装置30を例示したが、図4に例示した機能ブロックを実現する情報処理装置であれば本発明を適用可能である。
【0065】
[そのほかの変形例]
なお、上記実施形態の説明に用いたブロック図は、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロック(構成部)は、ハードウェア及びソフトウェアの少なくとも一方の任意の組み合わせによって実現される。また、各機能ブロックの実現方法は特に限定されない。すなわち、各機能ブロックは、物理的又は論理的に結合した1つの装置を用いて実現されてもよいし、物理的又は論理的に分離した2つ以上の装置を直接的又は間接的に(例えば、有線、無線などを用いて)接続し、これら複数の装置を用いて実現されてもよい。機能ブロックは、上記1つの装置又は上記複数の装置にソフトウェアを組み合わせて実現されてもよい。
【0066】
機能には、判断、決定、判定、計算、算出、処理、導出、調査、探索、確認、受信、送信、出力、アクセス、解決、選択、選定、確立、比較、想定、期待、見做し、報知(broadcasting)、通知(notifying)、通信(communicating)、転送(forwarding)、構成(configuring)、再構成(reconfiguring)、割り当て(allocating、mapping)、割り振り(assigning)などがあるが、これらに限られない。たとえば、送信を機能させる機能ブロック(構成部)は、送信部(transmitting unit)や送信機(transmitter)と呼称される。いずれも、上述したとおり、実現方法は特に限定されない。
【0067】
情報の通知は、本開示において説明した態様/実施形態に限られず、他の方法を用いて行われてもよい。例えば、情報の通知は、物理レイヤシグナリング(例えば、DCI(Downlink Control Information)、UCI(Uplink Control Information))、上位レイヤシグナリング(例えば、RRC(Radio Resource Control)シグナリング、MAC(Medium Access Control)シグナリング、報知情報(MIB(Master Information Block)、SIB(System Information Block)))、その他の信号又はこれらの組み合わせによって実施されてもよい。また、RRCシグナリングは、RRCメッセージと呼ばれてもよく、例えば、RRC接続セットアップ(RRC Connection Setup)メッセージ、RRC接続再構成(RRC Connection Reconfiguration)メッセージなどであってもよい。
【0068】
本開示において説明した各態様/実施形態は、LTE(Long Term Evolution)、LTE-A(LTE-Advanced)、SUPER 3G、IMT-Advanced、4G(4th generation mobile communication system)、5G(5th generation mobile communication system)、FRA(Future Radio Access)、NR(new Radio)、W-CDMA(登録商標)、GSM(登録商標)、CDMA2000、UMB(Ultra Mobile Broadband)、IEEE 802.11(Wi-Fi(登録商標))、IEEE 802.16(WiMAX(登録商標))、IEEE 802.20、UWB(Ultra-WideBand)、Bluetooth(登録商標)、その他の適切なシステムを利用するシステム及びこれらに基づいて拡張された次世代システムの少なくとも一つに適用されてもよい。また、複数のシステムが組み合わされて(例えば、LTE及びLTE-Aの少なくとも一方と5Gとの組み合わせ等)適用されてもよい。
【0069】
本開示において説明した各態様/実施形態の処理手順、シーケンス、フローチャートなどは、矛盾の無い限り、順序を入れ替えてもよい。例えば、本開示において説明した方法については、例示的な順序を用いて様々なステップの要素を提示しており、提示した特定の順序に限定されない。
【0070】
情報等は、上位レイヤ(又は下位レイヤ)から下位レイヤ(又は上位レイヤ)へ出力され得る。複数のネットワークノードを介して入出力されてもよい。
【0071】
入出力された情報等は特定の場所(例えば、メモリ)に保存されてもよいし、管理テーブルを用いて管理してもよい。入出力される情報等は、上書き、更新、又は追記され得る。出力された情報等は削除されてもよい。入力された情報等は他の装置へ送信されてもよい。
【0072】
判定は、1ビットで表される値(0か1か)によって行われてもよいし、真偽値(Boolean:true又はfalse)によって行われてもよいし、数値の比較(例えば、所定の値との比較)によって行われてもよい。
【0073】
本開示において説明した各態様/実施形態は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよいし、実行に伴って切り替えて用いてもよい。また、所定の情報の通知(例えば、「Xであること」の通知)は、明示的に行うものに限られず、暗黙的(例えば、当該所定の情報の通知を行わない)ことによって行われてもよい。
以上、本開示について詳細に説明したが、当業者にとっては、本開示が本開示中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本開示は、請求の範囲の記載により定まる本開示の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本開示の記載は、例示説明を目的とするものであり、本開示に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0074】
ソフトウェアは、ソフトウェア、ファームウェア、ミドルウェア、マイクロコード、ハードウェア記述言語と呼ばれるか、他の名称で呼ばれるかを問わず、命令、命令セット、コード、コードセグメント、プログラムコード、プログラム、サブプログラム、ソフトウェアモジュール、アプリケーション、ソフトウェアアプリケーション、ソフトウェアパッケージ、ルーチン、サブルーチン、オブジェクト、実行可能ファイル、実行スレッド、手順、機能などを意味するよう広く解釈されるべきである。
また、ソフトウェア、命令、情報などは、伝送媒体を介して送受信されてもよい。例えば、ソフトウェアが、有線技術(同軸ケーブル、光ファイバケーブル、ツイストペア、デジタル加入者回線(DSL:Digital Subscriber Line)など)及び無線技術(赤外線、マイクロ波など)の少なくとも一方を使用してウェブサイト、サーバ、又は他のリモートソースから送信される場合、これらの有線技術及び無線技術の少なくとも一方は、伝送媒体の定義内に含まれる。
【0075】
本開示において説明した情報、信号などは、様々な異なる技術のいずれかを使用して表されてもよい。例えば、上記の説明全体に渡って言及され得るデータ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、シンボル、チップなどは、電圧、電流、電磁波、磁界若しくは磁性粒子、光場若しくは光子、又はこれらの任意の組み合わせによって表されてもよい。
なお、本開示において説明した用語及び本開示の理解に必要な用語については、同一の又は類似する意味を有する用語と置き換えてもよい。例えば、チャネル及びシンボルの少なくとも一方は信号(シグナリング)であってもよい。また、信号はメッセージであってもよい。また、コンポーネントキャリア(CC:Component Carrier)は、キャリア周波数、セル、周波数キャリアなどと呼ばれてもよい。
【0076】
本開示において使用する「システム」及び「ネットワーク」という用語は、互換的に使用される。
【0077】
また、本開示において説明した情報、パラメータなどは、絶対値を用いて表されてもよいし、所定の値からの相対値を用いて表されてもよいし、対応する別の情報を用いて表されてもよい。例えば、無線リソースはインデックスによって指示されるものであってもよい。
上述したパラメータに使用する名称はいかなる点においても限定的な名称ではない。さらに、これらのパラメータを使用する数式等は、本開示で明示的に開示したものと異なる場合もある。様々なチャネル(例えば、PUCCH、PDCCHなど)及び情報要素は、あらゆる好適な名称によって識別できるので、これらの様々なチャネル及び情報要素に割り当てている様々な名称は、いかなる点においても限定的な名称ではない。
【0078】
本開示においては、「移動局(MS:Mobile Station)」、「ユーザ端末10(user terminal)」、「ユーザ装置(UE:User Equipment)」、「端末」などの用語は、互換的に使用され得る。
移動局は、当業者によって、加入者局、モバイルユニット、加入者ユニット、ワイヤレスユニット、リモートユニット、モバイルデバイス、ワイヤレスデバイス、ワイヤレス通信デバイス、リモートデバイス、モバイル加入者局、アクセス端末、モバイル端末、ワイヤレス端末、リモート端末、ハンドセット、ユーザエージェント、モバイルクライアント、クライアント、又はいくつかの他の適切な用語で呼ばれる場合もある。
【0079】
ユーザ端末10又はカーポート装置20は、送信装置、受信装置、通信装置などと呼ばれてもよい。
【0080】
「判断(determining)」、「決定(determining)」という用語は、多種多様な動作を包含する場合がある。「判断」、「決定」は、例えば、判定(judging)、計算(calculating)、算出(computing)、処理(processing)、導出(deriving)、調査(investigating)、探索(looking up、search、inquiry)(例えば、テーブル、データベース又は別のデータ構造での探索)、確認(ascertaining)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、受信(receiving)(例えば、情報を受信すること)、送信(transmitting)(例えば、情報を送信すること)、入力(input)、出力(output)、アクセス(accessing)(例えば、メモリ中のデータにアクセスすること)した事を「判断」「決定」したとみなす事などを含み得る。また、「判断」、「決定」は、解決(resolving)、選択(selecting)、選定(choosing)、確立(establishing)、比較(comparing)などした事を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。つまり、「判断」「決定」は、何らかの動作を「判断」「決定」したとみなす事を含み得る。また、「判断(決定)」は、「想定する(assuming)」、「期待する(expecting)」、「みなす(considering)」などで読み替えられてもよい。
【0081】
「接続された(connected)」、「結合された(coupled)」という用語、又はこれらのあらゆる変形は、2又はそれ以上の要素間の直接的又は間接的なあらゆる接続又は結合を意味し、互いに「接続」又は「結合」された2つの要素間に1又はそれ以上の中間要素が存在することを含むことができる。要素間の結合又は接続は、物理的なものであっても、論理的なものであっても、或いはこれらの組み合わせであってもよい。例えば、「接続」は「アクセス」で読み替えられてもよい。本開示で使用する場合、2つの要素は、1又はそれ以上の電線、ケーブル及びプリント電気接続の少なくとも一つを用いて、並びにいくつかの非限定的かつ非包括的な例として、無線周波数領域、マイクロ波領域及び光(可視及び不可視の両方)領域の波長を有する電磁エネルギーなどを用いて、互いに「接続」又は「結合」され経路考えることができる。
【0082】
本開示において使用する「に基づいて」という記載は、別段に明記されていない限り、「のみに基づいて」を意味しない。言い換えれば、「に基づいて」という記載は、「のみに基づいて」と「に少なくとも基づいて」の両方を意味する。
【0083】
上記の各装置の構成における「手段」を、「部」、「回路」、「デバイス」等に置き換えてもよい。
【0084】
本開示において、「含む(include)」、「含んでいる(including)」及びそれらの変形が使用されている場合、これらの用語は、用語「備える(comprising)」と同様に、包括的であることが意図される。さらに、本開示において使用されている用語「又は(or)」は、排他的論理和ではないことが意図される。
【0085】
本開示において、例えば、英語でのa,an及びtheのように、翻訳により冠詞が追加された場合、本開示は、これらの冠詞の後に続く名詞が複数形であることを含んでもよい。
【0086】
本開示において、「AとBが異なる」という用語は、「AとBが互いに異なる」ことを意味してもよい。なお、当該用語は、「AとBがそれぞれCと異なる」ことを意味してもよい。「離れる」、「結合される」などの用語も、「異なる」と同様に解釈されてもよい。
【符号の説明】
【0087】
1…シェアリングモビリティシステム、2…ネットワーク、10…ユーザ端末、1001…プロセッサ、1002…メモリ、1003…ストレージ、1004…通信装置、1005…入力装置、1006…出力装置、1007…測位装置、20…カーポート装置、30…サーバ装置、31…取得部、32…経路算出部、33…第1算出部、34…第2算出部、35…記憶部、36…生成部、37…送信部、3001…プロセッサ、3002…メモリ、3003…ストレージ、3004…通信装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9