(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】作業車両の操作装置
(51)【国際特許分類】
A01B 63/111 20060101AFI20240607BHJP
A01B 63/10 20060101ALI20240607BHJP
G05G 1/04 20060101ALI20240607BHJP
G05G 1/01 20080401ALI20240607BHJP
G05G 5/06 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A01B63/111
A01B63/10 Z
G05G1/04 Z
G05G1/01 C
G05G5/06 C
(21)【出願番号】P 2020195531
(22)【出願日】2020-11-25
【審査請求日】2022-12-29
(31)【優先権主張番号】P 2020104666
(32)【優先日】2020-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】渡部 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】大木 享
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-052771(JP,A)
【文献】特開2006-014638(JP,A)
【文献】特開2001-209449(JP,A)
【文献】特開2012-161264(JP,A)
【文献】特開2019-196169(JP,A)
【文献】特開昭62-146501(JP,A)
【文献】特開2017-063686(JP,A)
【文献】特開平09-074815(JP,A)
【文献】特開2012-158208(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01869960(EP,A1)
【文献】特開2019-106932(JP,A)
【文献】特開2019-213565(JP,A)
【文献】特許第5715855(JP,B2)
【文献】実開昭56-131809(JP,U)
【文献】特開平11-313515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/00-63/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業装置の高さを設定するためのポジションレバーと、
前記作業装置の昇降感度を調節するための感度調節レバーと、
前記ポジションレバーにより設定された高さに前記作業装置が位置する作業状態と、前記設定された高さよりも上方に前記作業装置が位置する非作業状態とを、選択的に切り替えるための昇降レバーと、
を備えた作業車両の操作装置であって、
前記昇降レバーは、前記ポジションレバー及び前記感度調節レバーよりも後方に配置されて
おり、
前記昇降レバーは、前記作業車両が転覆した場合に作業者を保護するために設けられる転倒保護フレームよりも、前記作業車両の幅方向の内側に配置されており、
前記昇降レバーは、前記作業車両の前後方向に移動することで、前記作業状態と前記非作業状態とを選択的に切り替えるとともに、前記幅方向に移動することで、前記作業状態若しくは前記非作業状態を維持し、
前記昇降レバーは、前記幅方向の揺動の支点となる第1揺動軸部と、前記前後方向の揺動の支点となる第2揺動軸部とを有している、作業車両の操作装置。
【請求項2】
ローラー部と、
前記ローラー部に接触しながら前記ローラー部に対して相対的に移動する接触部材と、を有し、
前記ローラー部又は前記接触部材は、前記昇降レバーの前記前後方向の移動に応じて前記前後方向へ移動し、
前記ローラー部と前記接触部材との一方は、前記ローラー部と前記接触部材との他方へ向かって付勢されており、
前記接触部材は、前記ローラー部を、前記接触部材に対して前記前後方向に相対的に移動させつつ前記作業車両の上下方向に移動させる接触面を有する請求項1に記載の作業車両の操作装置。
【請求項3】
前記接触面は、前記上下方向において前記ローラー部側へ突出している部分と、前記突出している部分の前記前後方向の両側で前記ローラー部側に対して凹んでいる部分と、を有する請求項
2に記載の作業車両の操作装置。
【請求項4】
前記昇降レバーが挿通される昇降ガイド穴を有し且つ前記昇降レバーをガイドする昇降ガイド板を備え、
前記昇降ガイド穴は、
前記前後方向に延びており、かつ前記作業状態と前記非作業状態とを切り替えるための前記昇降レバーの前記前後方向の移動をガイドする第1穴部と、
前記第1穴部の前記前後方向の一方の端部から前記作業車両の幅方向に延びており、かつ前記非作業状態を維持するための前記昇降レバーの前記幅方向の移動をガイドする第2穴部と、を有する請求項1から
3のいずれか1項に記載の作業車両の操作装置。
【請求項5】
前記第2穴部は、前記第1穴部の前記前後方向の前記一方の端部から前記幅方向の外側に延びており、
前記第2穴部に位置する前記昇降レバーを前記幅方向の外側に付勢する第1付勢部材を備える請求項
4に記載の作業車両の操作装置。
【請求項6】
前記昇降ガイド穴は、前記第1穴部の前記前後方向の他方の端部から前記作業車両の幅方向の外側に延びており、かつ前記作業状態を維持するための前記昇降レバーの前記幅方向の移動をガイドする第3穴部と、を有し、
前記第3穴部に位置する前記昇降レバーを前記幅方向の外側に付勢する第1付勢部材を備える請求項
4又は
5に記載の作業車両の操作装置。
【請求項7】
前記作業状態を維持するために前記昇降レバーの移動を規制する規制部材を備える請求項1から
6のいずれか1項に記載の作業車両の操作装置。
【請求項8】
前記幅方向において、前記昇降レバーは、前記ポジションレバーと前記感度調節レバーとの間に配置されている請求項1から
7のいずれか1項に記載の作業車両の操作装置。
【請求項9】
油圧シリンダのフィードバック機構を有し、
前記第1穴部に位置する前記昇降レバーを、前記前後方向において前記油圧シリンダのスプールのニュートラル位置から離れる方向に付勢する第2付勢部材を備える請求項
5又は
6に記載の作業車両の操作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジションレバーにより設定された制御目標高さに作業装置が位置する作業状態と、制御目標高さよりも上方に作業装置が位置する非作業状態とを、選択的に切り替えるための昇降レバーを備えた作業車両の操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業装置(例えば、耕耘装置)に関する操作レバーとして、作業装置の制御目標高さを設定するためのポジションレバー、作業装置の昇降感度を調節するための感度調節レバー、及び昇降レバーとを備えた作業車両の操作装置が開示されている。
【0003】
作業者は、ポジションレバーの操作により作業状態と非作業状態とを切り替えるためには、ポジションレバーの操作ストロークが長くなり易いため、作業者の手間が掛かり易い。加えて、作業領域と非作業領域とを何度も往き来する場合には、制御目標高さを均一にできない虞がある。
【0004】
作業者は、昇降レバーの操作により、ポジションレバーにより設定された制御目標高さに作業装置が位置する作業状態と、制御目標高さよりも上方に作業装置が位置する非作業状態とを、選択的に切り替える。作業装置による作業が行われる作業領域から、作業装置による作業が行われない非作業領域へ作業車両が移動する場合に、作業者は、昇降レバーの操作により、非作業状態へ切り替える。一方で、作業者は、非作業領域から作業領域へ移動した後で、昇降レバーの操作により、非作業状態から作業状態へ選択的に切り替える。作業者は、作業領域と非作業領域とを何度も往き来する場合であっても、昇降レバーの操作により、作業状態と非作業状態とを容易に切り替えできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
作業者は、作業車両を運転しながら、作業装置に関する操作レバーを用いて作業装置の操作を行う。このため、作業車両の運転を考慮した上での作業装置に関する操作レバーの操作性について改善の余地が残されていた。
【0007】
そこで、ポジションレバーにより設定された制御目標高さに作業装置が位置する作業状態と、制御目標高さよりも上方に作業装置が位置する非作業状態とを、選択的に切り替えるための昇降レバーを備えた作業車両の操作装置であって、作業装置に関する操作レバーの操作性を改善できる作業車両の操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係る作業車両の操作装置は、作業装置の高さを設定するためのポジションレバーと、前記作業装置の昇降感度を調節するための感度調節レバーと、前記ポジションレバーにより設定された高さに前記作業装置が位置する作業状態と、前記設定された高さよりも上方に前記作業装置が位置する非作業状態とを、選択的に切り替えるための昇降レバーと、を備える。前記昇降レバーは、前記ポジションレバー及び前記感度調節レバーよりも後方に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態に係る作業車両の右側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る操作装置の右側面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る操作装置の左上前方から見た斜視図(その1)である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る操作装置の一部を左上後方から見た拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る操作装置の左上前方から見た斜視図(その2)である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る操作装置の上面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る操作装置の動きを説明するための説明図である。
【
図8】
図8は、変更例1に係る操作装置の右側面図である。
【
図9】
図9は、変更例1に係る操作装置の左上前方から見た斜視図(その1)である。
【
図10】
図10は、変更例1に係る操作装置の左上前方から見た斜視図(その2)である。
【
図13】
図13は、変更例1に係る昇降ガイド板の上面図である。
【
図14】
図14は、変更例2に係る昇降ガイド板の上面図である。
【
図15】
図15は、変更例3に係る操作装置の左上前方から見た斜視図である。
【
図16】
図16は、変更例3に係る操作装置の動きを説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[実施形態の概要]
一実施形態に係る作業車両の操作装置は、作業装置の高さを設定するためのポジションレバーと、前記作業装置の昇降感度を調節するための感度調節レバーと、前記ポジションレバーにより設定された高さに前記作業装置が位置する作業状態と、前記設定された高さよりも上方に前記作業装置が位置する非作業状態とを、選択的に切り替えるための昇降レバーと、を備える。前記昇降レバーは、前記ポジションレバー及び前記感度調節レバーよりも後方に配置されている。
【0011】
作業者は、作業車両の後方に配置された作業装置を実際に視認して作業装置の位置を確認しながら、昇降レバーにより、作業装置の状態を作業状態と非作業状態とを切り替えることが多い。昇降レバーをポジションレバー及び感度調節レバーよりも後方に配置することで、昇降レバーがポジションレバー及び感度調節レバーよりも前方に配置される場合と比較して、作業装置の位置の確認中に、昇降レバーが視野に入り易くなったり、昇降レバーのグリップ部を握り易くなったりする。これにより、作業者は、実際の作業装置の位置に応じて、昇降レバーを操作し易くなり、操作レバーの操作性を改善できる。
【0012】
前記昇降レバーは、前記作業車両が転覆した場合に作業者を保護するために設けられる転倒保護フレームよりも、前記作業車両の幅方向の内側に配置されてよい。これにより、作業車両が転倒した場合であっても、転倒保護フレームにより昇降レバーが運転座席側へ向かって倒れ込むことを抑制できる。
【0013】
前記作業車両の操作装置は、ローラー部と、前記ローラー部に接触しながら前記ローラー部に対して相対的に移動する接触部材と、を有してよい。前記昇降レバーが、前記作業車両の前後方向に移動することにより、前記作業状態と前記非作業状態とが切り替えられてよい。前記ローラー部又は前記接触部材は、前記昇降レバーの前記前後方向の移動に応じて前記前後方向へ移動してよい。前記ローラー部と前記接触部材との一方は、前記ローラー部と前記接触部材との他方へ向かって付勢されてよい。前記接触部材は、前記ローラー部を、前記接触部材に対して前記前後方向に相対的に移動させつつ前記作業車両の上下方向に移動させる接触面を有してよい。ローラー部と接触部材との一方は、他方へ向かって付勢されているため、ローラー部が、上下方向のうち接触部材から離れる方向へ移動する際に付勢されている力に抗いながら、接触部材に対して前後方向に相対的に移動する。従って、ローラー部の前後方向の移動させるために、作業者が昇降レバーに力を加える必要があり、作業者が意図せずに昇降レバーに当たったとしても、作業状態又は非作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0014】
前記接触面は、前記上下方向において前記ローラー部側へ突出している部分と、前記突出している部分の前記前後方向の両側で前記ローラー部側に対して凹んでいる部分と、を有してよい。これにより、作業状態から非作業状態への切り替えと非作業状態から作業状態への切り替えとの両方で、ローラー部が接触面の突出している部分を越えながら移動する。ローラー部と接触部材との一方は、他方へ向かって付勢されているため、ローラー部が突出している部分を越えるためには、作業者が昇降レバーに力を加える必要があり、作業者が意図せずに昇降レバーに当たったとしても、作業状態又は非作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0015】
前記昇降レバーが、前記作業車両の前後方向に移動することにより、前記作業状態と前記非作業状態とが切り替えられてよい。前記操作装置は、前記昇降レバーが挿通される昇降ガイド穴を有し且つ前記昇降レバーをガイドする昇降ガイド板を備えてよい。前記昇降ガイド穴は、前記前後方向に延びており、かつ前記作業状態と前記非作業状態とを切り替えるための前記昇降レバーの前記前後方向の移動をガイドする第1穴部と、前記第1穴部の前記前後方向の一方の端部から前記作業車両の幅方向に延びており、かつ前記非作業状態を維持するための前記昇降レバーの前記幅方向の移動をガイドする第2穴部と、を有してよい。これにより、作業者は、非作業状態に切り替えた後に、昇降レバーを幅方向に移動するだけで、非作業状態を維持することができる。作業者が意図せずに昇降レバーに当たっても、非作業状態から作業状態へ切り替えられ難くでき、非作業領域で作業状態へ切り替わることを抑制できる。
【0016】
前記第2穴部は、前記第1穴部の前記前後方向の前記一方の端部から前記幅方向の外側に延びてよい。前記操作装置は、前記第2穴部に位置する前記昇降レバーを前記幅方向の外側に付勢する付勢部材を備えてよい。作業者が意図せずに昇降レバーに当たっても、非作業状態から作業状態へさらに切り替えられ難くできる。また、作業者は、身体の近くから遠くへ昇降レバーを動かすよりも、身体の遠くから近くへ昇降レバーを動かす方が、楽に動かすことができる。従って、付勢部材の付勢力に抗って昇降レバーを動かす場合には、身体の遠くから近くへ昇降レバーを動かすことで、作業者の負担を軽減できる。
【0017】
前記昇降ガイド穴は、前記第1穴部の前記前後方向の他方の端部から前記作業車両の幅方向の外側に延びており、かつ前記作業状態を維持するための前記昇降レバーの前記幅方向の移動をガイドする第3穴部と、を有してよい。前記作業車両の操作装置は、前記第3穴部に位置する前記昇降レバーを前記幅方向の外側に付勢する付勢部材を備えてよい。これにより、作業者が意図せずに昇降レバーに当たっても、作業状態から非作業状態へさらに切り替えられ難くできる。また、作業者は、身体の近くから遠くへ昇降レバーを動かすよりも、身体の遠くから近くへ昇降レバーを動かす方が、楽に動かすことができる。従って、付勢部材の付勢力に抗って昇降レバーを動かす場合には、身体の遠くから近くへ昇降レバーを動かすことで、作業者の負担を軽減できる。
【0018】
前記操作装置は、前記作業状態を維持するために前記昇降レバーの移動を規制する規制部材を備えてよい。これにより、作業者が意図せずに昇降レバーに当たっても、作業状態から非作業状態へ切り替え難くできる。
【0019】
前記作業車両の幅方向において、前記昇降レバーは、前記ポジションレバーと前記感度調節レバーとの間に配置されてよい。これにより、ポジションレバー及び感度調節レバーを操作した後に昇降レバーを操作し易くできる。同様に、昇降レバーを操作した後にポジションレバー及び感度調節レバーを操作し易くできる。その結果、作業者の操作性を向上できる。
【0020】
以下にでは、図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0021】
(1)作業車両の概略構成
作業車両1の概略構成について、
図1から
図7を用いて説明する。以下では、図中の矢印X、矢印Y、矢印Zで示した方向を、それぞれ走行車両の前後方向、走行車両の幅方向、走行車両の高さ方向と定義して説明を行う。また、図中の矢印U、矢印D、矢印F、矢印B、矢印L及び矢印Rで示した方向を、それぞれ上方向、下方向、前方向、後方向、左方向及び右方向と定義して説明を行う。なお、
図2から
図4は、作業状態における昇降レバーの位置を示しており、
図5及び
図6は、作業状態から非作業状態へ切り替えた後の昇降レバーの位置を示す。
図7Aから
図7Cの左図は、規制機構の左側面図であり、各状態におけるローラー部と接触部材との位置関係を示す。
図7Aから
図7Cの右図は、昇降ガイド板の上面図であり、各状態における昇降レバーの位置を示す。
図7Aは、作業状態を示す図であり、
図7Bは、作業状態から非作業状態へ切り替える途中の状態を示す図であり、
図7Cは、非作業状態を示す図である。なお、各図において、説明の便宜のために、一部の部材の図示が省略されていることがあることに留意すべきである。
【0022】
図1に、作業車両1を示す。本実施形態に係る作業車両1は、トラクタである。作業車両1は、左右一対の前輪2Fと及び左右一対の後輪2Bとを有する。原動部に位置するエンジン3からの駆動力によって前輪2F及び後輪2Bが駆動し、作業車両1は走行する。
【0023】
作業車両1は、運転部4と、ミッションケース5と、転倒保護フレーム7と、リンク機構10と、を備えてよい。運転部4は、原動部の後方に位置する運転座席4Sを有する。ミッションケース5は、車体フレームの後部を構成する。転倒保護フレーム7は、作業車両1が転覆した場合に作業者を保護するために設けられる転倒保護構造(ROPS:rollover protective structure)を構成する。転倒保護フレーム7は、後輪2Bの上方に配置される左右一対の後輪フェンダの間に配置される。転倒保護フレーム7は、運転座席4Sよりも後方に配置される。転倒保護フレーム7は、運転座席4Sよりも幅方向Yの両外側から上方向Uに延びる支持フレーム部と、運転座席4Sよりも上方で幅方向Yに延びて左右の支持フレーム部を繋ぐ上フレーム部と、を有する。
【0024】
リンク機構10は、ミッションケース5の後方に左右一対のリフトアーム11と、トップリンク12Aと、左右一対のロアリンク12Bと、を有する。左右一対のリフトアーム11は、左右の支持部材を介して左右一対のロアリンク12Bを吊り下げ支持する。作業車両1の車体後部にリンク機構10を介して作業装置20を連結する。本実施形態では、作業装置20は、耕耘作業を行うための耕耘装置である。具体的には、作業装置20は、ロータリ耕耘装置である。作業車両1では、車体フレームの後部に設けられた動力取り出し軸から取り出されたエンジン3の駆動力をロータリ耕耘装置(作業装置20)に伝達する。リフトアーム11は、ミッションケース5に収容されている油圧シリンダによって上下揺動可能に油圧駆動される。油圧シリンダは、リフトアーム11を介してリンク機構10を昇降駆動する。油圧シリンダは、ミッションケース5に収容されている制御弁によって制御される。
【0025】
図1に示すように、作業装置20(ロータリ耕耘装置)は、耕深検出機構22を有する。耕深検出機構22は、作業装置20の耕耘ロータ21の後方を覆うように作業装置20に設けた後部カバー23、後部カバー23の上端部に連動ロッド24を介して入力アーム部が連動するように構成して作業装置20の機体上部に設けた出力リンク25を備えて構成してある。
【0026】
後部カバー23は、耕耘ロータ21の上方を覆うように構成して作業装置20の機体に固定された上部カバー26に対して後部カバー23の上端部に位置する機体横向きの軸芯まわり上下揺動自在に連結している。後部カバー23が有するばね受け体と、上部カバー26が有するばね支持体とにわたって設けた下降操作ばね27が後部カバー23を下降側に揺動付勢しており、後部カバー23の下端側が耕耘ロータ21による耕耘後の地面上に接地するようになっている。出力リンク25は、作業装置20の機体に固定のブラケットに対して軸芯まわりで回動自在に連結しており、後部カバー23が上下揺動するに伴い、連動ロッド24のために後部カバー23に連動して軸芯まわりで揺動する。耕深検出機構22は、後部カバー23を接地センサーとし、この接地センサーの上部カバー26に対する揺動角に基いて作業装置20による耕耘深さを検出し、この検出結果を出力リンク25の出力アーム部から出力して、制御弁へ伝達される。
【0027】
作業車両1は、作業装置20に関する操作を行うための操作レバーを備えた操作装置40を備える。実施形態では、操作レバーは、運転席の右横側に配置されている。操作装置40は、操作レバーとして、ポジションレバー41と、感度調節レバー42と、昇降レバー43と、を有する。ポジションレバー41は、作業装置20の高さを設定するためのレバーである。感度調節レバー42は、作業装置20の昇降感度を調節するためのレバーである。本実施形態では、感度調節レバー42によって、耕深の変化量に応じた昇降感度が調整できる。
【0028】
昇降レバー43は、作業状態と非作業状態とを選択的に切り替えるためのレバーである。作業状態は、ポジションレバーにより設定された高さ(制御目標高さ)に作業装置20が位置する状態である。非作業状態は、設定された高さよりも上方に作業装置20が位置する状態である。非作業状態では、作業装置20が接地しない状態である。
【0029】
ポジションレバー41は、感度調節レバー42よりも運転座席4S側(左側)に配置されている。ポジションレバー41は、第1作業リンク機構を介して油圧シリンダ(リフトアーム11)を制御する制御弁に連動連結されている。ポジションレバー41は、前後揺動可能に配置されている。ポジションレバー41が、後方B(
図2の反時計方向)に向けて揺動されるに連れて、リフトアーム11は、ポジションレバー41の位置に対応した位置まで上昇する。一方で、ポジションレバー41が、前方F(
図2の時計方向)に向けて揺動されるに連れて、リフトアーム11は、ポジションレバー41の位置に対応した位置まで下降する。ポジションレバー41は、第1作業リンク機構に連結された第1レバー本体部41bと、第1レバー本体部41bの上部に設けられ且つ作業者によって把持される第1グリップ部41gと、を有する。
【0030】
感度調節レバー42は、ポジションレバー41よりも幅方向Yの外側(右側)に配置されている。感度調節レバー42は、第2作業リンク機構を介して油圧シリンダ(リフトアーム11)を制御する制御弁に連動連結されている。感度調節レバー42は、ポジションレバー41と同じ支点で、前後揺動可能に配置されている。感度調節レバー42が、後方B(
図2の反時計方向)に向けて揺動されるに連れて、作業装置20(ロータリ耕耘装置)から検出された耕深の変化量に対する作動感度が敏感になり、作業装置20が昇降するときの応答性が良くなる。すなわち、耕深の変化量に対する昇降量が大きくなる。一方で、感度調節レバー42が、前方F(
図2の時計方向)に向けて揺動されるに連れて、作業装置20(ロータリ耕耘装置)から検出された耕深の変化量に対する作動感度が鈍感になり、作業装置20が昇降するときの応答性が悪くなる。すなわち、耕深の変化量に対する昇降量が小さくなる。感度調節レバー42は、第2作業リンク機構に連結された第2レバー本体部42bと、第2レバー本体部42bの上部に設けられ且つ作業者によって把持される第2グリップ部42gと、を有する。
【0031】
図2に示すように、昇降レバー43は、ポジションレバー41及び感度調節レバー42よりも後方に配置されている。昇降レバー43は、第3作業リンク機構43Lを介して、油圧シリンダ(リフトアーム11)を制御する制御弁に連動連結されている。昇降レバー43は、第3作業リンク機構43Lに連結された第3レバー本体部43bと、第3レバー本体部43bの上部に設けられ且つ作業者によって把持される第3グリップ部43gと、を有する。昇降レバー43が、作業車両1の前後方向Xに移動することにより、作業状態と非作業状態とが切り替えられる。
【0032】
第3作業リンク機構43Lは、機械式のリンク機構である。従って、作業状態と非作業状態とを選択的に切り替えは、昇降レバー43の操作に応じた電気的な制御によっては行われない。第3作業リンク機構43Lは、第1揺動軸部431Aと、第1アーム432Aと、第2揺動軸部431Bと、第2アーム432Bと、第1連結ロッド433Aと、第3アーム432Cと、第3揺動軸部431Cと、第2連結ロッド433Bと、第4アーム432Dと、第4揺動軸部431Dと、を有してよい。
【0033】
第1揺動軸部431Aは、第3レバー本体部43bの下端部に連動連結されている。第3レバー本体部43b(ポジションレバー41)は、第1揺動軸部431Aの第1軸心431ACを支点として揺動可能である。実施形態では、第3レバー本体部43bは、幅方向Yに揺動可能である。第1揺動軸部431Aには、第1アーム432Aの上端部が固定されている。
【0034】
第1アーム432Aは、第2揺動軸部431Bに固定されており、第2揺動軸部431Bの第2軸心431BCを支点として揺動可能である。実施形態では、第1アーム432Aは、前後方向Xに揺動可能である。第2揺動軸部431Bの揺動に応じて、ポジションレバー41も揺動する。従って、ポジションレバー41は、第2軸心431BCを支点として回動可能である。
【0035】
第2アーム432Bは、第2揺動軸部431Bに固定されている。第2アーム432Bは、第1アーム432Aに対して相対的に固定されており、第1アーム432Aの揺動に応じて、第2アーム432Bは、第2軸心431BCを支点として揺動する。
【0036】
第1連結ロッド433Aは、前後方向Xに延びるロッドである。第1連結ロッド433Aの後端部は、第2アーム432Bと連動連結しており、第1連結ロッド433Aの前端部は、第3アーム432Cと連動連結している。
【0037】
第3アーム432Cは、第1連結ロッド433Aと、第2連結ロッド433Bと連結されている。第3アーム432Cは、第3アーム432Cの下端部に位置する第3揺動軸部431Cの第3軸心431CCを支点として揺動可能である。第3揺動軸部431Cは、ミッションケース5に固定されており、ミッションケース5から幅方向Yの外側へ延びる。
【0038】
第2連結ロッド433Bは、第3アーム432Cと、第4アーム432Dと連動連結されている。第4アーム432Dは、第4揺動軸部431Dの第4軸心431DCを支点として揺動する。第4揺動軸部431Dは、制御弁に連動連結されており、第4アーム432Dの揺動に応じて回動する。
【0039】
(2)操作装置
操作装置40の詳細について説明する。
図2、
図3、
図6等に示すように、操作装置40は、操作レバーをガイドするガイド板45を備える。ガイド板45は、全体ガイド板451と、昇降ガイド板452と、を有してよい。全体ガイド板451は、ポジションレバー41、感度調節レバー42及び昇降レバー43をガイドする。全体ガイド板451は、ポジションレバー41が挿通される第1ガイド穴451h1と、感度調節レバー42が挿通される第2ガイド穴451h2と、昇降レバー43が挿通される第3ガイド穴451h3と、を有する。全体ガイド板451は、昇降ガイド板452よりも上方へ位置してよい。昇降ガイド板452は、第1揺動軸部431Aよりも上方に位置してよい。なお、昇降レバー43が昇降ガイド板452によりガイドされる場合には、昇降レバー43は、第3ガイド穴451h3によりガイドされなくてもよい。
【0040】
昇降ガイド板452は、昇降レバー43をガイドする。昇降ガイド板452は、他の操作レバーをガイドしなくてよい。昇降ガイド板452は、昇降レバー43が挿通される昇降ガイド穴452hを有する。
図7に示すように、昇降ガイド穴452hは、第1穴部452h1と、第2穴部452h2と、第3穴部452h3と、を有してよい。第1穴部452h1は、前後方向Xに延びており、かつ作業状態と非作業状態とを切り替えるための昇降レバー43の前後方向Xの移動をガイドする。第2穴部452h2は、第1穴部452h1の前後方向Xの一方の端部から作業車両1の幅方向Yに延びており、かつ非作業状態を維持するための昇降レバー43の幅方向Yの移動をガイドする。第3穴部452h3は、第1穴部452h1の前後方向Xの他方の端部から作業車両1の幅方向Yに延びており、かつ作業状態を維持するための昇降レバー43の幅方向Yの移動をガイドする。第2穴部452h2及び第3穴部452h3のそれぞれは、第1穴部452h1の前後方向Xの端部から幅方向Yの外側に延びてよい。本実施形態では、第2穴部452h2は、第1穴部452h1の後端部から幅方向Yの外側に延び、第3穴部452h3は、第1穴部452h1の前端部から幅方向Yの外側に延びる。また、昇降ガイド板452は、昇降ガイド穴452hに向かって突出し、かつ前後方向Xにおいて第2穴部452h2と第3穴部452h3との間に位置するガイド突出部452pを有してよい。
【0041】
図2、
図6等に示すように、昇降レバー43は、ポジションレバー41及び感度調節レバー42よりも後方に配置されている。第3ガイド穴451h3の前端縁は、第1ガイド穴451h1の後端縁及び第2ガイド穴451h2の後端縁よりも後方に位置してよい。作業車両1の上面視において、前後方向Xにおいて第2ガイド穴451h2と第3ガイド穴451h3とが重なる位置に配置されてよい。また、昇降レバー43は、転倒保護フレーム7よりも、幅方向Yの内側に配置されてよい。昇降レバー43は、ポジションレバー41よりも幅方向Yの内側に配置されてよい。
【0042】
図3及び
図4等に示すように、操作装置40は、付勢部材47(第1付勢部材)を備えてよい。付勢部材47は、第2穴部452h2に位置する昇降レバー43を幅方向Yの外側に付勢する。また、付勢部材47は、第3穴部452h3に位置する昇降レバー43を幅方向Yの外側に付勢する。付勢部材47は、第1揺動軸部431A及び第1アーム432Aに固定されており、ポジションレバー41を幅方向Yの外側に付勢している。実施形態では、付勢部材47はバネである。
【0043】
操作装置40は、作業状態と非作業状態との切り替えを規制する規制機構48を備えてよい。規制機構48(操作装置40)は、ローラー部481、接触部材482、揺動部材483、支持部材484、規制付勢部材485、及び吊下支持部材486を備える。
【0044】
ローラー部481は、例えば、回動可能な筒状部材481Aと、筒状部材481Aの内部に挿入される幅方向Yに延びる支持部(不図示)とにより構成されてよい。支持部は、揺動部材483に固定されており、揺動部材483から幅方向Yの内側へ延びている。
【0045】
接触部材482は、第2アーム432Bに固定されている。接触部材482は、昇降レバー43の前後方向Xの移動に応じて前後方向Xへ移動する。これにより、接触部材482は、ローラー部481に接触しながらローラー部481に対して相対的に移動する。接触部材482の一方の端部(上端部)は、第2アーム432Bに固定されている。
図7に示すように、接触部材482の他方の端部(下端部)は、ローラー部481よりも前方でローラー部481よりも下方へ延びている前側延出部482Fと、ローラー部481よりも後方でローラー部481よりも下方へ延びている後側延出部482Bと、前後方向Xにおいて前側延出部482Fと後側延出部482Bとの間で、ローラー部481側へ突出する突出部482Cと、を有する。本実施形態では、ローラー部481は、接触部材482よりも下側へ位置しているため、突出部482Cは、下方へ突出している。前側延出部482Fと突出部482Cとの間は、上方へ凹んでおり、突出部482Cと後側延出部482Bとの間は、上方へ凹んでいる。
【0046】
接触部材482は、ローラー部481に接触する接触面482Sを有する。接触面482Sは、前側延出部482Fと後側延出部482Bとの間の接触部材482の下端面の少なくとも一部である。また、接触面482Sの少なくとも一部は、突出部482Cの下端面により構成される。従って、接触面482Sは、上下方向Zにおいてローラー部481側へ突出している部分と、突出している部分の前後方向Xの両側でローラー部481側に対して凹んでいる部分と、を有する。これにより、接触面482Sは、接触部材482に対してローラー部481を前後方向Xに相対的に移動させつつ作業車両1の上下方向Zに移動させる。
【0047】
揺動部材483は、後述の第5揺動軸部484Bの第5軸心484BCを支点として揺動可能である。前後方向Xにおける揺動部材483の一方の端部(前端部483F)は、第5揺動軸部484Bにより支持されている。前後方向Xにおける揺動部材483の他方の端部(後端部483B)は、接触部材482側へ付勢されている。具体的には、揺動部材483の後端部483Bには、規制付勢部材485が取り付けられている。
【0048】
支持部材484は、揺動部材483を支持する。支持部材484は、補強部材を介して転倒保護フレーム7に固定されている。支持部材484は、基板484Aと、基板484Aから幅方向Yの内側へ延びる第5揺動軸部484Bとを有する。第5揺動軸部484Bは、揺動部材483に設けられた開口へ挿入されている。基板484Aと第5揺動軸部484Bに挿入されるピンとの間に揺動部材483が位置する。
【0049】
規制付勢部材485は、ローラー部481と接触部材482との一方を、ローラー部481と接触部材482との他方へ向かって付勢するための部材である。本実施形態では、規制付勢部材485は、揺動部材483を上方向、すなわち接触部材482側へ向かって付勢する。これにより、揺動部材483に指示されているローラー部481が接触部材482側へ向かって付勢される。規制付勢部材485の下端部は、接触部材482に取り付けられている。規制付勢部材485の上端部は、転倒保護フレーム7から幅方向Yの内側へ延びる吊下支持部材486により取り付けられている。これにより、規制付勢部材485が吊り下げ支持されている。規制付勢部材485は、バネであり、バネの収縮により接触部材482を上側に引っ張る。
【0050】
作業者が、昇降レバー43を操作することで、作業状態から非作業状態へ切り替えるケースについて説明する。
図3等に示すように昇降レバー43が前側に位置する状態は、作業状態である。
図7Aの右図に示すように、昇降レバー43の第3レバー本体部43bの少なくとも一部は、第3穴部452h3に位置する。これにより、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、ガイド突出部452pによって昇降レバー43が後方へ移動することを抑制できる。第3レバー本体部43bの残りは、第1穴部452h1に位置してよい。ここで、
図7Aの左図に示すように、ローラー部481は、規制付勢部材485により接触部材482側(すなわち上方)へ付勢されているため、接触部材482は、ローラー部481から垂直抗力Nを受ける。垂直抗力Nの後方成分の力Nbによって、接触部材482に後方への力が加わり、
図7Aにおいて接触部材482に固定されている第2アーム432Bに、第2揺動軸部431Bの第2軸心431BCを支点として反時計回りへの力が働く。その結果、昇降レバー43を前方へ移動させる力が働くため、昇降レバー43が、第1穴部452h1のみに位置していても、自動的に後方へ移動しない。
【0051】
図5から
図7に示すように、作業者が、昇降レバー43を後方に揺動操作する。具体的には、作業者が、昇降レバー43を幅方向Yの内側(左方向L)へ移動させてから、第1穴部452h1に沿って前方から後方へ移動する。これにより、第2軸心431BCを支点として第1アーム432Aが後方へ揺動する。これにより、第2軸心431BCを支点として第2アーム432Bが前方へ揺動し、第1連結ロッド433Aが、前方へ摺動する。第3アーム432Cは、第3軸心431CCを支点として前方へ揺動する。第2連結ロッド433Bは、第3アーム432Cの揺動に応じて、前方へ摺動し、第4アーム432Dは、第4軸心431DCを支点として前方へ揺動する。第4アーム432Dの前方への揺動は、第4アーム432Dの前方に設けられた前側ストッパ435Fにより規制される。第4アーム432Dの前方への揺動に応じて、リフトアーム11が上昇し、作業装置20が上昇する。
【0052】
昇降レバー43が前方から後方へ移動する際に、ローラー部481が接触面482Sを転がりながら接触部材482に対して相対的に移動する。昇降レバー43の後方への移動に応じて、接触部材482が前方へ移動する。これにより、ローラー部481は、接触部材482に対して相対的に後方へ移動する。また、ローラー部481は、接触部材482の突出部482Cの頂点に到達するまで、接触面482Sに沿って下方へ移動する。これにより、揺動部材483は、第5軸心484BCを支点として下方へ揺動する。ローラー部481が突出部482Cの頂点を越えると、ローラー部481は、接触面482Sに沿って上方へ移動する。これにより、揺動部材483は、第5軸心484BCを支点として上方へ揺動する。
【0053】
なお、
図7Bの左図に示すように、ローラー部481が突出部482Cの頂点に到達するまで、接触部材482に垂直抗力Nの後方成分の力Nbが働く。一方で、ローラー部481が突出部482Cの頂点を越えると、接触部材482に垂直抗力Nの前方成分の力Nfが接触部材482に働く。垂直抗力Nの前方成分の力Nfによって、接触部材482に前方への力が加わり、第2アーム432Bに、第2揺動軸部431Bの第2軸心431BCを支点として時計回りへの力が働く。その結果、昇降レバー43を後方へ移動させる力が働くため、昇降レバー43を後方へ移動し易くなる。
【0054】
その後、
図6に示すように、作業者は、昇降レバー43を幅方向Yの外側(右方向R)へ操作してよい。また、昇降レバー43は、付勢部材47の付勢力によって、幅方向Yの外側へ移動してよい。昇降レバー43は、第2穴部452h2に沿って幅方向Yの内側から外側へ移動する。これにより、昇降レバー43は、第1軸心431ACを支点として幅方向Yの外側へ揺動してよい。この場合、
図7Cの右図に示すように、昇降レバー43の第3レバー本体部43bの少なくとも一部は、第2穴部452h2に位置する。これにより、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、ガイド突出部452pによって昇降レバー43が前方へ移動することを抑制できる。第3レバー本体部43bの残りは、第1穴部452h1に位置してよい。
【0055】
また、
図7Cの左図に示すように、ローラー部481は、規制付勢部材485により接触部材482側(すなわち上方)へ付勢されているため、垂直抗力Nの前方成分の力Nfによって、接触部材482に前方への力が加わる。これにより、
図7Cの左図において、第2アーム432Bに、第2揺動軸部431Bの第2軸心431BCを支点として時計回りへの力が働く。その結果、昇降レバー43を後方へ移動させる力が働くため、昇降レバー43が、第1穴部452h1のみに位置していても、自動的に前方へ移動しない。なお、
図7C右図に示すように、昇降レバー43が、第2穴部452h2又は第1穴部452h1の後部に位置する場合(すなわち、非作業状態)では、
図7A右図に示すような昇降レバー43が、第3穴部452h3又は第1穴部452h1の前部に位置する場合(すなわち、作業状態)と比べて、付勢部材47の付勢力(バネの弾性力)が大きくてよい。すなわち、非作業状態の垂直抗力N(力Nf)は、作業状態の垂直抗力N(力Nb)が大きくてよい。また、ミッションケース5内の油圧シリンダによる昇降レバー43を前方へ向かわせる油圧の力が働いていた場合、力Nfは、力Nbに油圧の力を合わせた力よりも大きくてよい。これにより、昇降レバー43が前方へ移動し難くなり、非作業状態から作業状態への切り替えがさらに発生し難くできる。
【0056】
作業者が、昇降レバー43を操作することで、非作業状態から作業状態へ切り替えるケースについて説明する。
図5、
図6等に示すように昇降レバー43が後側に位置する状態は、非作業状態である。作業者は、昇降レバー43を幅方向Yの内側(左方向L)へ操作してよい。これにより、昇降レバー43は、第2穴部452h2に沿って幅方向Yの外側から内側へ移動する。これにより、昇降レバー43は、第1軸心431ACを支点として幅方向Yの内側へ揺動してよい。
【0057】
その後、作業者は、昇降レバー43を前方に揺動操作する。昇降レバー43は、第1穴部452h1に沿って後方から前方へ移動する。これにより、第2軸心431BCを支点として第1アーム432Aが前方へ揺動する。これにより、第2軸心431BCを支点として第2アーム432Bが後方へ揺動し、第1連結ロッド433Aが、後方へ摺動する。第3アーム432Cは、第3軸心431CCを支点として後方へ揺動する。第2連結ロッド433Bは、第3アーム432Cの揺動に応じて、後方へ摺動し、第4アーム432Dは、第4軸心431DCを支点として後方へ揺動する。第4アーム432Dの後方への揺動は、第4アーム432Dの後方に設けられた後側ストッパ435Bにより規制される。第4アーム432Dの後方への揺動に応じて、リフトアーム11が下降し、作業装置20が、ポジションレバー41により設定された高さまで下降する。
【0058】
その後、作業者は、昇降レバー43を幅方向Yの外側(右方向R)へ操作してよい。また、昇降レバー43は、付勢部材47の付勢力によって、幅方向Yの外側へ移動してよい。昇降レバー43は、第1穴部452h1に沿って幅方向Yの内側から外側へ移動する。これにより、昇降レバー43は、第1軸心431ACを支点として幅方向Yの外側へ揺動してよい。
【0059】
本実施形態では、昇降レバー43は、ポジションレバー41及び感度調節レバー42よりも後方に配置されている。作業者は、作業車両1の後方に配置された作業装置20を実際に視認して作業装置20の位置を確認しながら、昇降レバー43により、作業装置20の状態を作業状態と非作業状態とを切り替えることが多い。昇降レバー43をポジションレバー41及び感度調節レバー42よりも後方に配置することで、昇降レバー43がポジションレバー41及び感度調節レバー42よりも前方に配置される場合と比較して、作業装置20の位置の確認中に、昇降レバーが視野に入り易くなったり、昇降レバー43の第3グリップ部43gを握り易くなったりする。これにより、作業者は、実際の作業装置20の位置に応じて、昇降レバー43を操作し易くなり、操作レバーの操作性を改善できる。
【0060】
また、本実施形態では、操作装置40は、ローラー部481と接触部材482とを有する。接触部材482は、昇降レバー43の前後方向Xの移動に応じて前後方向Xへ移動する。ローラー部481は、接触部材482へ向かって付勢されている。接触部材482は、ローラー部481を、接触部材482に対して前後方向Xに相対的に移動させつつ作業車両1の上下方向Zに移動させる接触面482Sを有する。これにより、ローラー部481が、上下方向Zのうち接触部材482から離れる方向(下方)へ移動する際に付勢されている力に抗いながら、接触部材482に対して前後方向Xに相対的に移動する。従って、ローラー部481の前後方向Xの移動させるために、作業者が昇降レバー43に力を加える必要があり、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たったとしても、作業状態又は非作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0061】
また、本実施形態では、接触面482Sは、上下方向Zにおいてローラー部481側へ突出している部分と、突出している部分の前後方向Xの両側でローラー部481側に対して凹んでいる部分と、を有する。これにより、作業状態から非作業状態への切り替えと非作業状態から作業状態への切り替えとの両方で、ローラー部481が接触面482Sの突出している部分、すなわち、突出部482Cの頂点を越えながら移動する。ローラー部481は、接触部材482へ向かって付勢されているため、ローラー部481が、突出部482Cの頂点を越えるためには、作業者が昇降レバー43に力を加える必要があり、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たったとしても、作業状態又は非作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0062】
また、本実施形態では、昇降レバー43は、転倒保護フレーム7よりも、幅方向Yの内側に配置されてよい。これにより、作業車両1が転倒した場合であっても、転倒保護フレーム7により昇降レバー43が運転座席4S側へ向かって倒れ込むことを抑制できる。
【0063】
また、昇降ガイド板452は、昇降レバー43が挿通される昇降ガイド穴452hを有する。昇降ガイド穴452hは、第1穴部452h1と、第2穴部452h2と、を有してよい。これにより、作業者は、非作業状態に切り替えた後に、昇降レバー43を幅方向Yに移動するだけで、非作業状態を維持することができる。作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、非作業状態から作業状態へ切り替えられ難くでき、非作業領域で作業状態へ切り替わることを抑制できる。
【0064】
また、本実施形態では、操作装置40は、第2穴部452h2に位置する昇降レバー43を幅方向Yの外側に付勢する付勢部材47を備える。作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、非作業状態から作業状態へさらに切り替えられ難くできる。また、作業者は、身体の近くから遠くへ昇降レバー43を動かすよりも、身体の遠くから近くへ昇降レバー43を動かす方が、楽に動かすことができる。従って、付勢部材47の付勢力に抗って昇降レバー43を動かす場合には、身体の遠くから近くへ昇降レバー43を動かすことで、作業者の負担を軽減できる。
【0065】
また、本実施形態では、操作装置40は、第3穴部452h3に位置する昇降レバー43を幅方向Yの外側に付勢する付勢部材47を備える。作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、作業状態から非作業状態へさらに切り替えられ難くできる。また、作業者は、身体の近くから遠くへ昇降レバー43を動かすよりも、身体の遠くから近くへ昇降レバー43を動かす方が、楽に動かすことができる。従って、付勢部材47の付勢力に抗って昇降レバー43を動かす場合には、身体の遠くから近くへ昇降レバー43を動かすことで、作業者の負担を軽減できる。
【0066】
なお、本実施形態では、操作装置40は、規制機構48を備えるため、後述の規制部材49を備えなくても、作業状態と非作業状態との切り替えが規制される。規制部材49を手動で操作する必要がないため、作業者の意図しない作業状態と非作業状態とを切り替えを抑制しつつも、作業者の操作性を改善できる。
【0067】
また、本実施形態では、第1穴部452h1は、前後方向Xに沿って、すなわち、前後方向Xに平行に延びており、第2穴部452h2及び第3穴部452h3のそれぞれは、幅方向Yに沿って、すなわち、幅方向Yに平行に延びている。これにより、後述の変更例に係る昇降ガイド板452と比べて、作業者は、昇降レバー43を細かく操作する必要がなくなるため、操作レバーの操作性を向上できる。
【0068】
(3)変更例1
次に、変更例1に係る操作装置40について、
図8から
図13を用いて説明する。上述の実施形態と同様の部分は説明を適宜省略する。なお、
図8及び
図9は、作業状態における昇降レバーの位置を示しており、
図10から
図12は、作業状態から非作業状態へ切り替えた後の昇降レバー43の位置を示す。
図13A及び
図13Bは、昇降ガイド板452の上面図である。
図13Aは、作業状態における昇降レバー43の位置を示し、
図13Bは、非作業状態における昇降レバー43の位置を示す。なお、各図において、説明の便宜のために、一部の部材の図示が省略されていることがあることに留意すべきである。
【0069】
図11等に示すように、作業車両1の幅方向Yにおいて、昇降レバー43は、ポジションレバー41と感度調節レバー42との間に配置されている。昇降レバー43の第3グリップ部43gの外側縁が、ポジションレバー41の第1グリップ部41gの外側縁よりも幅方向Yの内側に位置してよい。また、昇降レバー43の第3グリップ部43gの外側縁が、感度調節レバー42の第2グリップ部42gの内側縁よりも幅方向Yの外側に位置してよい。また、幅方向Yにおいて、昇降レバー43が挿通される第3ガイド穴451h3の外側縁が、ポジションレバー41が挿通される第1ガイド穴451h1の外側縁よりも内側に位置してよい。幅方向Yにおいて、第3ガイド穴451h3の内側縁が、感度調節レバー42が挿通される第2ガイド穴451h2の内側縁よりも外側に位置してよい。また、幅方向Yにおいて、昇降ガイド穴452hの外側縁が、第1ガイド穴451h1の外側縁よりも内側に位置してよく、幅方向Yにおいて、昇降ガイド穴452hの内側縁が、第2ガイド穴451h2の内側縁よりも外側に位置してよい。
【0070】
作業車両1の幅方向Yにおいて、昇降レバー43は、ポジションレバー41と感度調節レバー42との間に配置されている。これにより、ポジションレバー41及び感度調節レバー42を操作した後に昇降レバー43を操作し易くできる。同様に、昇降レバー43を操作した後にポジションレバー41及び感度調節レバー42を操作し易くできる。その結果、作業者の操作性を向上できる。
【0071】
図13に示すように、昇降ガイド穴452hは、前後方向Xに延びる第1穴部452h1と、第1穴部452h1の後端部から幅方向Yの外側に延びる第2穴部452h2と、を有してよい。昇降ガイド板452は、昇降ガイド穴452hに向かって後方へ延びる後方突起部452rを有してよい。後方突起部452rは、第1穴部452h1の幅方向Yの外側で第1穴部452h1に隣接し且つ第2穴部452h2の前方に位置してよい。第2穴部452h2は、後方突起部452rよりも幅方向Yの外側から幅方向Yに沿って延びてもよい。後方突起部452rは、円弧状であってよい。なお、昇降ガイド穴452hは、第1穴部452h1の前後方向Xの前端部から作業車両1の幅方向Yに延びる第3穴部452h3を有さなくてよい。
【0072】
昇降ガイド板452は、後方突起部452rを有するため、
図13Bに示すように、昇降レバー43が非作業状態となる位置に存在している場合に、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、後方突起部452rによって昇降レバー43が幅方向Yの内側(左方向L)へ移動し難くなり、作業者の意図しない作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0073】
また、操作装置40は、作業状態を維持するために昇降レバー43の移動を規制する規制部材49を備えてよい。
図11等に示すように、規制部材49は、幅方向Yに延びる前端部49Aと、幅方向Yに延びる後端部49Bと、前端部49Aと後端部49Bとを繋ぐ本体部49Cとを有する。規制部材49は、本体部49Cの軸心周りに回動可能である。操作装置40は、昇降ガイド穴452hが第3穴部452h3を有さない場合に、規制部材49を備えてよい。
【0074】
昇降レバー43の後方に後端部49Bが位置するように、規制部材49を配置することで、昇降レバー43は、後端部49Bによって後方へ位置することが阻害される。これにより、作業状態から非作業状態への切り替えが不能になる。これにより、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、作業状態から非作業状態へ切り替え難くできる。一方で、
図11等に示すように、規制部材49を幅方向Yの内側へ回動させることで、昇降レバー43の後方に後端部49Bが位置しなくなる。これにより、作業状態から非作業状態への切り替えが可能になる。
【0075】
なお、変更例1に係る操作装置40は、規制機構48を備えなくてよい。これにより、部材数を少なくすることができ、製造コストの増加を抑制できる。
【0076】
(4)変更例2
次に、変更例2に係る操作装置40について、
図14を用いて説明する。上述の実施形態及び変更例1と同様の部分は説明を適宜省略する。なお、
図14Aから
図14Cは、昇降ガイド板452の上面図である。
図14Aは、作業状態における昇降レバー43の位置を示し、
図14B及び
図14Cは、非作業状態における昇降レバー43の位置を示す。なお、各図において、説明の便宜のために、一部の部材の図示が省略されていることがあることに留意すべきである。
【0077】
変更例2に係る操作装置40では、昇降ガイド板452は、前後方向Xに延びる第1穴部452h1、第1穴部452h1の後端部から幅方向Yの外側に延びると第2穴部452h2とを有する。第1穴部452h1は、前方第1穴部452h1aと、隣接第1穴部452h1bと、を有する。前方第1穴部452h1aは、隣接第1穴部452h1bよりも前方に位置する。従って、前方第1穴部452h1aの前端縁FE1は、隣接第1穴部452h1bの前端縁FE2よりも前方に位置する。隣接第1穴部452h1bは、前方第1穴部452h1aよりも幅方向Yの外側(右方向R)に位置し、かつ前方第1穴部452h1aの一部と重なっている。第2穴部452h2は、隣接第1穴部452h1bの後端部から幅方向Yの外側に延びる。
【0078】
図14Aに示すように、昇降レバー43が前方第1穴部452h1aの前端縁FE1に接触している状態では、作業状態である。
図14Bに示すように、昇降レバー43の少なくとも一部が第2穴部452h2に位置している状態では、非作業状態である。
図14Cに示すように、昇降レバー43が隣接第1穴部452h1bの前端縁FE2に接触している状態では、非作業状態である。これにより、昇降レバー43の少なくとも一部が第2穴部452h2に位置している状態(
図14B参照)において、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たって、昇降レバー43が第1穴部452h1に移動したとしても、昇降レバー43が隣接第1穴部452h1bの前端縁FE2に接触して、昇降レバー43の移動が止まる(
図14C参照)。これにより、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たったとしても、非作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0079】
(5)その他実施形態
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【0080】
上述の実施形態において、ローラー部481が、第2アーム432Bに直接又は他の部材を介して間接的に固定されていてもよく、揺動部材483に接触部材482が固定されていてもよい。この場合には、ローラー部481が、昇降レバー43の前後方向Xの移動に応じて前後方向Xへ移動する。また、接触部材482が、ローラー部481へ向かって付勢されている。これにより、ローラー部481が、接触部材482に対して前後方向Xに相対的に移動しつつ作業車両1の上下方向Zに移動する。その結果、ローラー部481の前後方向Xの移動させるために、作業者が昇降レバー43に力を加える必要があり、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たったとしても、作業状態又は非作業状態への切り替えが発生し難くできる。
【0081】
また、接触部材482の接触面482Sの前後方向Xの中央は、上下方向Zにおいてローラー部481側に対して凹んでおり、凹んでいる部分の前後方向Xの両側は、ローラー部481側へ突出していてよい。ローラー部481が接触面482Sの凹んでいる部分に接触する場合には、非作業状態であってよい。この場合、付勢部材47によってローラー部481が接触面482Sの凹んでいる部分に移動しやすくなるため、作業状態から非作業状態へ容易に切り替えることができる。一方で、ローラー部481を接触面482Sの凹んでいる部分から前方へ移動させるためには、付勢部材47の付勢力に抗って昇降レバー43を移動させる必要がある。従って、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、非作業状態から作業状態へ切り替え難くできる。また、接触面482Sの前方部分は、ローラー部481側へ突出しており、接触面482Sの後方部分は、ローラー部481側に対して凹んでいてもよい。これにより、作業状態から非作業状態へ容易に切り替えることができる一方で、作業者が意図せずに昇降レバー43に当たっても、非作業状態から作業状態へ切り替え難くできる。
【0082】
上述の実施形態では、作業装置20は、ロータリ耕耘装置であるケースを説明したが、これに限られない。作業装置20は、牽引式の耕耘装置(例えば、プラウ)であってよい。この場合、感度調節レバー42によって、牽引負荷の変化量に応じた昇降感度が調整できてよい。例えば、感度調節レバー42が、後方Bに向けて揺動されるに連れて、作業装置20から検出された牽引負荷の変化量に対する作動感度が敏感になり、作業装置20が昇降するときの応答性が良くなる。すなわち、耕深の変化量に対する昇降量が大きくなる。一方で、感度調節レバー42が、前方Fに向けて揺動されるに連れて、作業装置20から検出された牽引負荷の変化量に対する作動感度が鈍感になり、作業装置20が昇降するときの応答性が悪くなる。すなわち、耕深の変化量に対する昇降量が小さくなる。
【0083】
上述の実施形態及び各変更例は、適宜組み合わされてもよい。例えば、実施形態に係る昇降ガイド穴452hは、第1穴部452h1と第2穴部452h2とのみを有し、第3穴部452h3を有さなくてよい。また、変更例1,2に係る操作装置40は、規制機構48を有してもよい。
【0084】
(6)変更例3
次に、変更例3に係る操作装置40について、
図15~
図16を用いて説明する。上述の実施形態及び変更例1~2と同様の部分は説明を適宜省略する。なお、
図15は、変更例3に係る操作装置の左上前方から見た斜視図であり、
図16は、変更例3に係る操作装置の動きを説明するための説明図である。なお、各図において、説明の便宜のために、一部の部材の図示が省略されていることがあることに留意すべきである。
【0085】
変更例3に係る操作装置40は、付勢部材433C(第2付勢部材)を備える。具体的には、
図15に示すように、付勢部材433Cは、第1連結ロッド433Aの一部にバネを設けることによって構成されている。
【0086】
以下、
図16を参照して、変更例3に係る操作装置40によって奏される効果について、油圧シリンダのスプールのニュートラル位置Nが前後方向Xにおいてガイド突出部452P付近にあるケースを例に挙げて説明する。
【0087】
第1に、作業者が、非作業状態(昇降レバー43の第3レバー本体部43bの少なくとも一部は、第2穴部452h2に位置する状態)において、昇降レバー43を操作して、昇降レバー43の位置を、
図16に示す位置Aから位置Bに移動させる。
【0088】
第2に、作業者が、昇降レバー43を位置Bに移動させた後、昇降レバー43から手を離すと、付勢部材433Cが設けられていない場合、昇降レバー43は、油圧シリンダのフィードバック機構によって前後方向Xの前側Fに押し込まれ(すなわち、油圧シリンダのスプールのニュートラル位置Nの方向に押し込まれ)、また、付勢部材47によって幅方向Yの外側(右方向R)へ付勢される結果、位置Bから位置Cに移動してしまう。
【0089】
ここで、油圧シリンダのフィードバック機構は、油圧シリンダが最上げ位置まで来た時に油の流入を止めるように、油圧シリンダのスプールを直接動かすという油圧シリンダアッシに盛り込まれている機構である。
【0090】
上述の結果、昇降レバー43の位置が、作業者の意図する位置からずれる可能性がある。上述するケースの他に、昇降レバー43の位置が、第2穴部452h2にある場合であっても、上述のニュートラル位置Nによっては、油圧シリンダのフィードバック機構の力により、昇降レバー43の位置が、前後方向Xの前側Fや後側Bに、すなわち、かかるニュートラル位置Nの方向にずれることがある。
【0091】
かかる昇降レバー43の位置ずれを解決するために、変更例3に係る操作装置40では、上述の付勢部材433Cが設けられた。
【0092】
上述のように、かかる付勢部材433Cは、第1穴部452h1に位置する昇降レバー43を、前後方向Xにおいて、上述のニュートラル位置Nから離れる方向(すなわち、昇降レバー43から見て上述のニュートラル位置Nと反対の方向)に付勢するように構成されている。
【0093】
例えば、上述のニュートラル位置Nが、昇降レバー43の前後方向Xの後側Bにある場合には、昇降レバー43は、上述のフィードバック機構によって前後方向Xの後側Bに押し込まれるため、付勢部材433Cは、かかる押し込まれる力に対する反力によって、昇降レバー43を前後方向Xの前側Fに付勢する。
【0094】
かかる付勢部材433Cが設けられることによって、上述のケースでは、作業者が、昇降レバー43の位置を位置Bに移動させた後、昇降レバー43から手を離しても、油圧シリンダのフィードバック機構により前後方向Xの前側Fに押し込まれる力(すなわち、油圧シリンダのスプールのニュートラル位置Nの方向に押し込まれる力)及び付勢部材433Cによって前後方向Xの後側Bに付勢される力が相殺され、付勢部材47Cによって幅方向Yの外側に付勢される力によって、昇降レバー43の第3レバー本体部43bの少なくとも一部は、第2穴部452h2に位置する状態に戻る。その結果、昇降レバー43の位置が作業者の意図する位置からずれてしまうという事態を回避することができる。
【符号の説明】
【0095】
1 :作業車両
7 :転倒保護フレーム
20 :作業装置
40 :操作装置
41 :ポジションレバー
42 :感度調節レバー
43 :昇降レバー
45 :ガイド板
47 :付勢部材(第1付勢部材)
49 :規制部材
433C :付勢部材(第2付勢部材)
452 :昇降ガイド板
452h :昇降ガイド穴
452h1 :第1穴部
452h2 :第2穴部
452h3 :第3穴部
481 :ローラー部
482 :接触部材
482S :接触面