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特許7499695固体撮像装置、固体撮像装置の信号処理方法、および電子機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】固体撮像装置、固体撮像装置の信号処理方法、および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H04N 25/672 20230101AFI20240607BHJP
   H04N 25/703 20230101ALI20240607BHJP
【FI】
H04N25/672
H04N25/703
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020215183
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022100908
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】520510612
【氏名又は名称】ゼタテクノロジーズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520510623
【氏名又は名称】広東京之映科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001863
【氏名又は名称】弁理士法人アテンダ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 俊介
(72)【発明者】
【氏名】野房 勇希
(72)【発明者】
【氏名】山本 伸
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 雅明
【審査官】三沢 岳志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-019355(JP,A)
【文献】特開2011-114473(JP,A)
【文献】特開平09-065379(JP,A)
【文献】特開2000-059689(JP,A)
【文献】特開2003-116060(JP,A)
【文献】特開2007-124056(JP,A)
【文献】特開2007-251698(JP,A)
【文献】特開2018-101896(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0276510(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 25/672
H04N 25/703
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、
補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有し、
前記補正回路は、
前記画素部における画素の配置領域に応じて異なる数の隣接画素ユニットを採用可能であり、かつ、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得可能であって、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数で除して、前記補正係数を算出する
固体撮像装置。
【請求項2】
前記補正回路は、
採用する隣接画素ユニットが少ない第1の配置領域では、前記重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の第1の総数で除して、前記補正係数を算出し、
採用する隣接画素ユニットが多い第2の配置領域では、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の第2の総数で除して、前記補正係数を算出する
請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記補正対象の画素ユニットは、補正対象画素を含む領域を含む複数の領域に区分けされ、
前記補正回路は、
前記区分けされた複数の領域に対して設定される重み付け係数で当該各領域における重み付け感度値の総和を取得し、隣接画素ユニットの重み付けした感度値の総和を含めた重み付け感度値を、補正で参照する画素の総数で除して補正係数を取得する。
請求項1または2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、
補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有し、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得可能であって、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和で除して、前記補正係数を算出する
固体撮像装置。
【請求項5】
前記補正回路は、
前記画素部における画素の配置領域に応じて異なる数の隣接画素ユニットを採用可能である
請求項4記載の固体撮像装置。
【請求項6】
前記補正回路は、
採用する隣接画素ユニットが少ない第1の配置領域では、前記重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の第1の総和で除して、前記補正係数を算出し、
採用する隣接画素ユニットが多い第2の配置領域では、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の第2の総和で除して、前記補正係数を算出する
請求項5記載の固体撮像装置。
【請求項7】
前記第1の配置領域は、前記画素部の中央部側の領域を含み、
前記第2の配置領域は、前記画素部の縁部側領域を含む
請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項8】
前記重み付け係数は定数である
請求項1から7のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項9】
前記重み付け係数は、画素の配置条件に応じた関数である
請求項1から7のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項10】
前記補正回路は、
前記重み付け係数により重み付けして重み付け感度値を求める際に、画素の配置条件に応じた状態の理論値を示す関数に関連付けて補正し、加重平均により前記補正係数を取得する
請求項8または9のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項11】
前記画素ユニットの複数の画素に対して一つのマイクロレンズが形成されており、
前記関数は、レンズシェーディングによる理論値を示す関数である
請求項9または10記載の固体撮像装置。
【請求項12】
前記重み付け係数は、前記補正対象の画素ユニットの画素に対して設定される第1の重み付け係数が、他の画素ユニットの画素に対して設定される第2の重み付け係数より大きい
請求項1から11のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項13】
前記重み付け係数は、前記補正対象の画素が配置される対象領域に対する第1の重み付け係数を最大値とし、他の画素配置領域に対する第2の重み付け係数は当該対象領域に対する配置条件に応じた値に設定される
請求項1から12のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項14】
補正回路は、
前記画素の感度値または色差信号を、加重平均に代えて、同一の前記画素ユニットまたは隣接する前記画素ユニットの中央値を前記補正係数として取得する
請求項1から13のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項15】
補正回路は、
前記画素の感度値または色差信号を、加重平均に代えて、同一の前記画素ユニットまたは隣接する前記画素ユニットのモード値を前記補正係数として取得する
請求項1から13のいずれか一に記載の固体撮像装置。
【請求項16】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、
補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有する固体撮像装置の信号処理方法であって、
前記補正回路が、
前記画素部における画素の配置領域に応じて異なる数の隣接画素ユニットを採用し、かつ、
前記補正回路が、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得可能であって、
前記補正回路が、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、
重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数で除して、前記補正係数を算出する
固体撮像装置の信号処理方法。
【請求項17】
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、
補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有する固体撮像装置の信号処理方法であって、
前記補正回路が、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得可能であって、
前記補正回路が、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、
重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和で除して、前記補正係数を算出する
固体撮像装置の信号処理方法。
【請求項18】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、
補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有し、
前記補正回路は、
前記画素部における画素の配置領域に応じて異なる数の隣接画素ユニットを採用可能であり、かつ、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得可能であって、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数で除して、前記補正係数を算出する
電子機器。
【請求項19】
固体撮像装置と、
前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、
前記固体撮像装置は、
光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、
補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有し、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得可能であって、
前記補正回路は、
前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和で除して、前記補正係数を算出する
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置、固体撮像装置の信号処理方法、および電子機器に関し、特に、画素の感度等の補正が可能な固体撮像装置、固体撮像装置の信号処理方法、および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光を検出して電荷を発生させる光電変換素子を用いた固体撮像装置(イメージセンサ)として、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサが実用に供されている。
【0003】
CMOSイメージセンサは、一般的に、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色フィルタやシアン、マゼンタ、イエロー、グリーンの4色補色フィルタを用いてカラー画像を撮像する。
【0004】
一般的に、CMOSイメージセンサにおいて、画素(ピクセル)は個別にカラーフィルタを備えている。フィルタとしては、主として赤色光を透過させる赤(R)フィルタ、主として緑色光を透過させる緑(Gr,Gb)フィルタ、および主として青色光を透過させる青(B)フィルタを含む。
各カラーフィルタを含む画素ユニットが正方配列されて1つの画素群が形成され、複数の画素群が2次元状に配列されて画素部(画素アレイ)が形成される。
このカラーフィルタ配列としては、ベイヤ配列が広く知られている。また、たとえば各画素に対してマイクロレンズが形成されている。
また、高感度化や高ダイナミックレンジ化を図るために、ベイヤ配列の各画素ユニットを複数の同色画素により形成したCMOSイメージセンサも提案されている(たとえば特許文献1、2参照)。
【0005】
このようなCMOSイメージセンサは、デジタルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、医療用内視鏡、パーソナルコンピュータ(PC)、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等の各種電子機器の一部として広く適用されている。
【0006】
特に近年、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)に搭載するイメージセンサの小型化・多画素化が進み、画素サイズも1μmを切るサイズが主流となりつつある。
多画素化による高解像度化を維持し、かつ、画素ピッチ縮小による感度やダイナミックレンジの低下を抑制するため、隣接した複数の同色画素をたとえば4画素ずつ配置し、解像度を追求する際には個別の画素信号を読み出し、高感度やダイナミックレンジ性能を必要とする局面では同色の画素の信号を加算して読み出す手法が一般的に採用されている。
そして、このCMOSイメージセンサは、たとえば画素ユニットに隣接する複数の同色画素で一つのマイクロレンズを共有する。
【0007】
この複数の画素で一つのマイクロレンズを共有する固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)では、画素に距離情報が存在し、PDAF(Phase Detection Auto Focus)機能を持つことが可能である。
一方、このCMOSイメージセンサにおいては、画素アレイに、PDAF(位相検出オートフォーカス)画素が同色で形成されていることから、通常の撮影モードでは、これらのPDAF画素の感度等を補正する必要がある。
【0008】
このような補正を行うために、たとえば、隣接する同色画素の平均値との差を利用した補正方法が提案されている(たとえば特許文献3、4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開平11-298800号公報
【文献】特許第5471117号
【文献】特許第6369233号
【文献】US 9918031 B2
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献3および4に記載されている隣接する同色画素の平均値との差を利用した補正方法によれば、補正対象となる画素の範囲が同一画素ユニット内の同色画素に限定されており、補正方法も限定されているため、より広い範囲で発生する色むら等の感度むらや、複数の要因で発生する感度むらの正確な補正が困難である。
以下に、特許文献3および4に記載されている隣接する同色画素の平均値との差を利用した補正方法についてさらに考察する。
【0011】
図1は、隣接する同色画素の平均値との差を利用した補正方法を採用したRGBセンサとして形成された固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である。
【0012】
図1の画素群1は、Gr画素の画素ユニットPU1、R画素の画素ユニットPU2、B画素の画素ユニットPU3、およびGb画素の画素ユニットPU4がベイヤ配列されている。
画素ユニットPU1は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gr)の4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDが配置されている。画素ユニットPU1において、4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDに対して1つのマイクロレンズMCL1が配置されている。
画素ユニットPU2は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(R)の4画素PXRA、PXRB,PXRC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU2において、4画素PXRA、PXRB,PXRC,PXRDに対して1つのマイクロレンズMCL2が配置されている。
画素ユニットPU3は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(B)の4画素PXBA、PXBB,PXBC,PXRDが配置されている。画素ユニットPU4において、4画素PXBA、PXBB,PXBC,PXBDに対して1つのマイクロレンズMCL3が配置されている。
画素ユニットPU4は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gb)の4画素PXGbA、PXGbB,PXGbC,PXGbRDが配置されている。画素ユニットPU4において、4画素PXbA、PXGbB,PXGbC,PXGbDに対して1つのマイクロレンズMCL4が配置されている。
【0013】
たとえば、図1の画素群1のGr画素のうち、画素PXGrAの感度を補正する場合、画素ユニットPU1の4画素PXGrA、PXGrB,PXGrC,PXGrDの感度をPa~Pd,画素ユニットPU1に斜め方向に隣接する画素ユニットPU4の4画素PXGbA、PXGbB,PXGbC,PXGbDの感度をPe~Phとすると、補正係数Saは、感度Paと画素ユニットの感度の平均値の比として次式で与えられる。
【0014】
[数1]
Sa=Pa/((Pa+Pb+Pc+Pd)/4) 式(1)
【0015】
このように、従来の補正方法では、同一画素ユニット内の同色画素の平均値を使っての感度補正となる。
たとえば、局所的な感度バラつきと、もっと広範囲に及ぶ別要因の感度バラつき等の複合要因で感度バラつきが発生していた場合、たとえば図1において隣接するGb画素PXGbA、PXGbB,PXGbC,PXGbDの感度値Pe~Phを補正の参考にすることができない。
このため従来の補正方法では感度補正が不十分なケースが発生する場合がある。たとえば、感度を補正するには画素ユニットの画素の感度のみを参照することから、複数の画素ユニットや画素群にわたる欠陥、たとえば縞等を修正することが困難である。
【0016】
また、上述したように、携帯電話等の携帯端末装置(モバイル機器)等のカメラモジュールは、小型化、薄型化を図るために、モジュールの高さを低くする要求がある。
この要求に応えるために、搭載するイメージセンサの画角周辺部に入射する光線の角度が大きくなる傾向にある。
画角周辺部における斜め入射光を効率よく光電変換領域(フォトダイオード)に導くことができない場合には、画角周辺部と画角中央部で感度差が大きくでてしまい、シェーディングと呼ばれる画素特性の劣化が発生する可能性がある。
しかし、従来の補正方法では、レンズ端部に向かって発生する単調なシェーディングに起因する感度低下と個別の画素のバラつきを別個に補正できないため、正確な感度補正が困難である。
【0017】
本発明は、広い領域における複数の要因で発生する感度むらを補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の信号処理方法、および電子機器を提供することにある。
本発明は、広い領域における複数の要因で発生する感度むらを補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能であり、しかも局所的な領域の感度むらを高い精度で補正することが可能な固体撮像装置、固体撮像装置の信号処理方法、および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の第1の観点の固体撮像装置は、光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有し、前記補正回路は、前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得する。
【0019】
本発明の第2の観点は、光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を有する固体撮像装置の信号処理方法であって、前記補正回路が、前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けし、重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得する。
【0020】
本発明の第3の観点の電子機器は、固体撮像装置と、前記固体撮像装置に被写体像を結像する光学系と、を有し、前記固体撮像装置は、光電変換を行う複数の同色画素を含む画素ユニットが複数配置された画素部と、補正対象となる前記画素ユニットの画素の感度を、取得した補正係数に関連付けて補正する補正回路と、を含み、前記補正回路は、前記補正対象の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、前記補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数により重み付けした重み付け感度値の加重平均により前記補正係数を取得する。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、広い領域における複数の要因で発生する感度むらを補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能となる。
また、本発明によれば、広い領域における複数の要因で発生する感度むらを補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能となり、しかも局所的な領域の感度むらを高い精度で補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】隣接する同色画素の平均値との差を利用した補正方法を採用したRGBセンサとして形成された固体撮像装置(CMOSイメージセンサ)の画素アレイの画素群の一例を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する画素群の一例を抽出して示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの一例を示す回路図である。
図6】本発明の第1の実施形態に係る補正回路が補正係数を取得する補正対象画素ユニット、および、補正対象画素ユニットに隣接する隣接画素ユニットを含む画素アレイ上の補正関連領域の一例を示す図である。
図7】本発明の第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第1の具体例を説明するための図である。
図8】本発明の第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第2の具体例を説明するための図である。
図9】本発明の第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第3の具体例を説明するための図である。
図10】本発明の第2の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図11】本発明の第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第1の具体例を説明するための図である。
図12】本発明の第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第2の具体例を説明するための図である。
図13】本発明の第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第3の具体例を説明するための図である。
図14】本発明の第4の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図15】本発明の第5の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図16】本発明の第6の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図17】本発明の第7の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図18】本発明の第8の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図19】本発明の第9の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図20】本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用される電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に関連付けて説明する。
【0024】
(第1の実施形態)
図2は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の構成例を示すブロック図である。
本実施形態において、固体撮像装置10は、たとえばCMOSイメージセンサにより構成される。
【0025】
この固体撮像装置10は、図2に示すように、画素アレイを含む画素部20、垂直走査回路(行走査回路)30、読み出し回路(カラム読み出し回路)40、水平走査回路(列走査回路)50、タイミング制御回路60、および信号処理回路70を主構成要素として有している。
【0026】
本第1の実施形態において、固体撮像装置10は、後で詳述するように、画素部20に光電変換を行う複数の同色画素(PX)を含む画素ユニット(PU)が複数配置され、信号処理回路70に感度の補正対象となる画素ユニット(PU)の画素PXの感度を、取得した補正係数μに関連付けて補正する補正回路710を有している。
【0027】
本第1の実施形態においては、補正回路710が、補正対象の画素ユニット(PU)における補正で参照する各画素PXの画素信号に応じた感度値、および、補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした重み付け感度値の加重平均により補正係数μを取得する。
本第1の実施形態においては、補正回路710は、補正対象の画素ユニット(PU)における補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値、および、補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数で除して、補正係数μを取得(算出)する。
【0028】
これにより、本第1の実施形態に係る固体撮像装置10は、広い領域における複数の要因で発生する感度むらを補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能となるように構成されている。
【0029】
以下、固体撮像装置10の画素部20における複数の同色画素(本例では同色の4画素)を含む画素ユニット等の具体的な構成、配置等、並びに、各部の構成および機能の概要を説明した後、画素の感度の補正方法について詳述する。
【0030】
(画素部20の画素アレイ200、画素群PXG、画素ユニットPUの構成)
図3は、本発明の第1の実施形態に係る画素部における画素アレイの形成例を示す図である。
図4は、本発明の第1の実施形態に係る画素アレイを形成する画素群の一例を抽出して示す図である。
【0031】
画素部20は、フォトダイオード(光電変換部)と画素内アンプとを含む複数の画素PXが2次元の行列状(マトリクス状)に配列されて画素アレイ200が形成されている。
【0032】
画素PXは、基本的には、フォトダイオードと複数の画素トランジスタを含んで構成される。複数の画素トランジスタとしては、たとえば転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅機能を有するソースフォロワトランジスタ、選択トランジスタを含む。
ただし、本第1の実施形態では、図4に示すように、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFD(Floating Diffusion;浮遊拡散層)を共有する4画素共有構成が採用されている。具体的には、後で詳述するように、4つの色画素フローティングディフュージョンFD11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
また、共有されるフローティングディフュージョンFDは、たとえば任意の画素の感度値の補正の際に、補正で参照する同じ画素ユニットPUの複数の画素から読み出す画素信号の加算部として機能する。
【0033】
本第1の実施形態の画素アレイ200は、後で説明するように、隣接した複数(本第1の実施形態では4)の同色画素をm×m(mは2以上の整数、本第1の実施形態では2×2)の正方配列にして画素ユニットPUが形成されて、隣接する4つの画素ユニットPUにより画素群PXGが形成され、複数の画素群PXGがマトリクス状に配列されて構成されている。
図3の例では、図面の簡単化のため、9つの画素群PXG11,PXG12,PXG13,PXG21,PXG22,PXG23、PXG31,PXG32,PXG33が3×3のマトリクス状に配置された画素アレイ200が示されている。
【0034】
(画素群PXGおよび画素ユニットPUの構成)
図3および図4の画素群PXG11は、Gr画素の画素ユニットPU111、R画素の画素ユニットPU112、B画素の画素ユニットPU113、およびGb画素の画素ユニットPU114がベイヤ配列されている。
画素群PXG12は、Gr画素の画素ユニットPU121、R画素の画素ユニットPU122、B画素の画素ユニットPU123、およびGb画素の画素ユニットPU124がベイヤ配列されている。
画素群PXG13は、Gr画素の画素ユニットPU131、R画素の画素ユニットPU132、B画素の画素ユニットPU133、およびGb画素の画素ユニットPU134がベイヤ配列されている。
【0035】
画素群PXG21は、Gr画素の画素ユニットPU211、R画素の画素ユニットPU212、B画素の画素ユニットPU213、およびGb画素の画素ユニットPU214がベイヤ配列されている。
画素群PXG22は、Gr画素の画素ユニットPU221、R画素の画素ユニットPU222、B画素の画素ユニットPU223、およびGb画素の画素ユニットPU224がベイヤ配列されている。
画素群PXG23は、Gr画素の画素ユニットPU231、R画素の画素ユニットPU232、B画素の画素ユニットPU233、およびGb画素の画素ユニットPU234がベイヤ配列されている。
【0036】
画素群PXG31は、Gr画素の画素ユニットPU311、R画素の画素ユニットPU312、B画素の画素ユニットPU313、およびGb画素の画素ユニットPU314がベイヤ配列されている。
画素群PXG32は、Gr画素の画素ユニットPU321、R画素の画素ユニットPU322、B画素の画素ユニットPU323、およびGb画素の画素ユニットPU324がベイヤ配列されている。
画素群PXG33は、Gr画素の画素ユニットPU331、R画素の画素ユニットPU332、B画素の画素ユニットPU333、およびGb画素の画素ユニットPU334がベイヤ配列されている。
【0037】
このように、画素群PXG11,PXG12,PXG13,PXG21,PXG22,PXG23、PXG31,PXG32,PXG33は同様の構成を有し、繰り返すようにしてマトリクス状に配列されている。
画素群を構成する画素ユニットも画素群共通の構成を有する。したがって、ここでは、代表例として、画素群PXG11の形成する画素ユニットPU111,PU112,PU113,PU114について説明する。
【0038】
画素ユニットPU111は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gr)の4画素PXGr-A、PXGr-B,PXGr-C,PXGr-Dが配置されている。画素ユニットPU111において、4画素PXGr-A、PXGr-B,PXGr-C,PXGr-Dに対して1つのマイクロレンズMCL111が配置されている。
【0039】
画素ユニットPU112は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(R)の4画素PXR-A、PXR-B,PXR-C,PXR-Dが配置されている。画素ユニットPU112において、4画素PXR-A、PXR-B,PXR-C,PXR-Dに対して1つのマイクロレンズMCL112が配置されている。
【0040】
画素ユニットPU113は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(B)の4画素PXB-A、PXB-B,PXB-C,PXR-Dが配置されている。画素ユニットPU113において、4画素PXB-A、PXB-B,PXB-C,PXB-Dに対して1つのマイクロレンズMCL113が配置されている。
【0041】
画素ユニットPU114は、隣接する複数、たとえば2×2の同色(Gb)の4画素PXGb-A、PXGb-B,PXGb-C,PXGbR-Dが配置されている。画素ユニットPU114において、4画素PXb-A、PXGb-B,PXGb-C,PXGb-Dに対して1つのマイクロレンズMCL114が配置されている。
【0042】
他の画素群PXG12,PXG13,PXG21,PXG22,PXG23、PXG31,PXG32,PXG33も、上記した画素群PXG11と同様の構成を有する。
【0043】
ところで、後で詳述するように、本第1の実施形態においては、補正回路710が、補正対象の画素ユニット(PU)における補正で参照する各画素PXの画素信号に応じた感度値、および、それに加えて、補正対象の画素ユニットに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値を、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした重み付け感度値の加重平均により補正係数μを取得する。
後で詳述するように、補正係数μは、重み付けされた各感度値を参照する画素の総和で除して(割って)得られる。
ここで、図3の画素アレイに関連付けて、補正対象のGrまたはGb画素の画素ユニット(PU)に隣接する少なくとも一つの同色(GrまたはGb)の画素ユニット(PU)の複数例について説明する。
【0044】
たとえば、画素群PXG11の画素ユニットPU114の4つのGb画素のうちのいずれかのGb画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU114に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU114に対して、斜め左上方の画素ユニットPU111、斜め右上方の画素ユニットPU121、斜め左下方の画素ユニットPU211、および斜め右下方の画素ユニットPU221の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU114の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU111、PU121、PU211、PU221のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0045】
画素群PXG12の画素ユニットPU124の4つのGb画素のうちのいずれかのGb画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU124に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU114に対して、斜め左上方の画素ユニットPU121、斜め右上方の画素ユニットPU131、斜め左下方の画素ユニットPU221、および斜め右下方の画素ユニットPU231の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU214の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU121、PU131、PU221、PU231のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0046】
画素群PXG22の画素ユニットPU221の4つのGr画素のうちのいずれかのGr画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU221に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU221に対して、斜め左上方の画素ユニットPU114、斜め右上方の画素ユニットPU124、斜め左下方の画素ユニットPU214、および斜め右下方の画素ユニットPU224の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU221の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU114、PU124、PU214、PU224のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0047】
画素群PXG23の画素ユニットPU231の4つのGr画素のうちのいずれかのGr画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU231に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU221に対して、斜め左上方の画素ユニットPU124、斜め右上方の画素ユニットPU134、斜め左下方の画素ユニットPU224、および斜め右下方の画素ユニットPU234の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU221の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU124、PU134、PU224、PU234のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0048】
画素群PXG21の画素ユニットPU214の4つのGb画素のうちのいずれかのGb画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU214に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU214に対して、斜め左上方の画素ユニットPU211、斜め右上方の画素ユニットPU221、斜め左下方の画素ユニットPU311、および斜め右下方の画素ユニットPU321の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU214の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU2111、PU221、PU311、PU321のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0049】
画素群PXG22の画素ユニットPU224の4つのGb画素のうちのいずれかのGb画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU224に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU224に対して、斜め左上方の画素ユニットPU221、斜め右上方の画素ユニットPU231、斜め左下方の画素ユニットPU321、および斜め右下方の画素ユニットPU331の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU224の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU221、PU231、PU321、PU331のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0050】
画素群PXG32の画素ユニットPU321の4つのGr画素のうちのいずれかのGr画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU321に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU321に対して、斜め左上方の画素ユニットPU214、斜め右上方の画素ユニットPU224、斜め左下方の画素ユニットPU314、および斜め右下方の画素ユニットPU324の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU321の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU214、PU224、PU314、PU324のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0051】
画素群PXG33の画素ユニットPU331の4つのGr画素のうちのいずれかのGr画素の感度(または色差信号レベル)を補正する場合、補正対象の画素ユニットPU331に隣接する同色の画素ユニットは、補正対象の画素ユニットPU331に対して、斜め左上方の画素ユニットPU224、斜め右上方の画素ユニットPU234、斜め左下方の画素ユニットPU324、および斜め右下方の画素ユニットPU334の4つである。
補正には、基本的に、補正対象の画素を含む画素ユニットPU321の各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値)に加えて、画素ユニットPU324、PU234、PU324、PU334のうちの少なくとも一つの画素ユニットの各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値)が参照される。
【0052】
上述したように、本第1の実施形態では、図4に示すように、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4画素共有構成が採用されている。
ここで、画素ユニットの4つの同色画素で1つのフローティングディフュージョンFDを共有する4画素共有の一構成例について説明する。
【0053】
(画素ユニットの4画素共有の構成例)
図5は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の画素群の4つの画素で1つのフローティングディフュージョンを共有する画素ユニットの一例を示す回路図である。
【0054】
図5の画素部20において、画素群PXGの画素ユニットPUは、4つの画素(本実施形態では色画素、ここではG画素)、すなわち、第1色画素PX11、第2色画素PX12、第3色画素PX21、および第4色画素PX22が2×2の正方に配置されている。
【0055】
第1色画素PX11は、第1光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD11、および転送トランジスタTG11-Trを含んで構成されている。
【0056】
第2色画素PX12は、第2光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD12、および転送トランジスタTG12-Trを含んで構成されている。
【0057】
第3色画素PX21は、第3光電変換領域により形成されるフォトダイオードPD21、および転送トランジスタTG21-Trを含んで構成されている。
【0058】
第4色画素PX22は、フォトダイオードPD22、および転送トランジスタTG22-Trを含んで構成されている。
【0059】
そして、画素群PXGを形成する画素ユニットPUは、4つの色画素PX11,PX12,PX21,PX22で、フローティングディフュージョンFD11、リセットトランジスタRST11-Tr、ソースフォロワトランジスタSF11-Tr、および選択トランジスタSEL11-Trが共有されている。
【0060】
このような4画素共有構成において、たとえば第1色画素PX11、第2色画素PX12、第3色画素PX21、第4色画素PX22が、同色、たとえばG(Gr,Gb(緑))画素として形成される。
たとえば、第1色画素PX11のフォトダイオードPD11が第1の緑色(G)光電変換部として機能し、第2色画素PX12のフォトダイオードPD12が第2の緑色(G)光電変換部として機能し、第3色画素PX21のフォトダイオードPD21が第3の緑色(G)光電変換部として機能し、第4色画素PX22のフォトダイオードPD22が第4の緑色(G)光電変換部として機能する。
【0061】
フォトダイオードPD11、PD12、PD21、PD22としては、たとえば埋め込みフォトダイオード(PPD)が用いられる。
フォトダイオードPD11,PD12,PD21,P22を形成する基板表面にはダングリングボンドなどの欠陥による表面準位が存在するため、熱エネルギーによって多くの電荷(暗電流)が発生し、正しい信号が読み出せなくなってしまう。
埋め込みフォトダイオード(PPD)では、フォトダイオードPDの電荷蓄積部を基板内に埋め込むことで、暗電流の信号への混入を低減することが可能となる。
【0062】
フォトダイオードPD11,PD12,PD21,PD22は、入射光量に応じた量の信号電荷(ここでは電子)を発生し、蓄積する。
以下、信号電荷は電子であり、各トランジスタがn型トランジスタである場合について説明するが、信号電荷がホールであったり、各トランジスタがp型トランジスタであっても構わない。
【0063】
転送トランジスタTG11-Trは、フォトダイオードPD11とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG11により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG11-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG11が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD11で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0064】
転送トランジスタTG12-Trは、フォトダイオードPD12とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG12により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG12-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG12が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD12で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0065】
転送トランジスタTG21-Trは、フォトダイオードPD21とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG21により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG21-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG21が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD21で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0066】
転送トランジスタTG22-Trは、フォトダイオードPD22とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号TG22により導通状態が制御される。
転送トランジスタTG22-Trは、読み出し制御系の制御の下、制御信号TG22が所定レベルのハイレベル(H)の期間に選択されて導通状態となり、フォトダイオードPD22で光電変換され蓄積された電荷(電子)をフローティングディフュージョンFD11に転送する。
【0067】
リセットトランジスタRST11-Trは、図5に示すように、電源線VDD(または電源電位)とフローティングディフュージョンFD11の間に接続され、制御信号RST11により導通状態が制御される。
リセットトランジスタRST11-Trは、読み出し制御系の制御の下、たとえば読み出しスキャン時に、制御信号RST11がHレベルの期間に選択されて導通状態となり、フローティングディフュージョンFD11を電源線VDD(またはVRst)の電位にリセットする。
【0068】
ソースフォロワトランジスタSF11-Trと選択トランジスタSEL11-Trは、電源線VDDと垂直信号線LSGNの間に直列に接続されている。
ソースフォロワトランジスタSF11-TrのゲートにはフローティングディフュージョンFD11が接続され、選択トランジスタSEL11-Trは制御信号)SEL11により導通状態が制御される。
選択トランジスタSEL11-Trは、制御信号SEL11がHレベルの期間に選択されて導通状態となる。これにより、ソースフォロワトランジスタSF11-TrはフローティングディフュージョンFD11の電荷を電荷量(電位)に応じた利得をもって電圧信号に変換した列出力の読み出し電圧(信号)VSL(PIXOUT)を垂直信号線LSGNに出力する。
【0069】
このような構成において、画素ユニットPUの各画素PX11、PX12、PX21、PX22の転送トランジスタTG11-Tr,TG12-Tr,TG21-Tr,TG22-Trを個別にオン、オフさせ、フォトダイオードPD11、PD12、PD21、PD22で光電変換されて蓄積された電荷を順次共通フローティングディフュージョンFD11に転送させた場合、画素単位の画素信号VSLが垂直信号線LSGNに送出され、カラム読み出し回路40に入力される。
この撮像モードを、本実施形態では、画素独立モードという。
【0070】
一方、各画素PX11、PX12、PX21、PX22の転送トランジスタTG11-Tr,TG12-Tr,TG21-Tr,TG22-Trの複数を同時にオン、オフさせ、TG12-Tr,TG21-Tr,TG22-Trを個別にオン、オフさせ、フォトダイオードPD11、PD12、PD21、PD22で光電変換されて蓄積された電荷を共通フローティングディフュージョンFD11に同時並列的に転送させた場合、フローティングディフュージョンFD11は加算部として機能する。
この場合、画素ユニットPU内の複数、すなわち、2,3、または4画素の画素信号を加算した加算信号が垂直信号線LSGNに送出され、カラム読み出し回路40に入力される。
この撮像モードを、本実施形態では、画素加算モードという。
【0071】
垂直走査回路30は、タイミング制御回路60の制御に応じてシャッター行および読み出し行において行走査制御線を通して画素の駆動を行う。
また、垂直走査回路30は、アドレス信号に従い、信号の読み出しを行うリード行と、フォトダイオードPDに蓄積された電荷をリセットするシャッター行の行アドレスの行選択信号を出力する。
【0072】
通常のピクセル読み出し動作においては、読み出し制御系の垂直走査回路30による駆動により、シャッタースキャンが行われ、その後、読み出しスキャンが行われる。
【0073】
読み出し回路40は、画素部20の各列出力に対応して配置された複数の列信号処理回路(図示せず)を含み、複数の列信号処理回路で列並列処理が可能に構成されてもよい。
【0074】
読み出し回路40は、相関二重サンプリング(CDS:Correlated Double Sampling)回路やADC(アナログデジタルコンバータ;AD変換器)、アンプ(AMP,増幅器)、サンプルホールド(S/H)回路等を含んで構成可能である。
【0075】
水平走査回路50は、読み出し回路40のADC等の複数の列信号処理回路で処理された信号を走査して水平方向に転送し、信号処理回路70に出力する。
【0076】
タイミング制御回路60は、画素部20、垂直走査回路30、読み出し回路40、水平走査回路50等の信号処理に必要なタイミング信号を生成する。
【0077】
信号処理回路70は、所定の信号処理により2次元画像を生成する機能を有してもよい。
信号処理回路70は、補正回路710とメモリ720とを少なくとも有し、たとえば各画素の感度差を補正する感度差補正処理を実行し、処理後の画素信号を後段のISP(Image Signal Processor)などに出力する。
なお、補正回路710は、CMOSイメージセンサチップ内部に配置されていてもよいし、外部に配置されていてもよい。
【0078】
補正回路710は、たとえばメモリ720に記憶された重み付け係数Wiに基づいて、各画素の感度差を補正する感度差補正処理を実行する機能を有する。
補正回路710は、感度差補正処理を実行する際に必要となる補正係数μを取得(算出)してメモリ12に記憶させる補正係数取得処理を実行する。
【0079】
メモリ720は、補正回路710による補正係数取得理で求められた補正係数μを記憶し、必要に応じて補正回路710に供給する。
【0080】
以下に、補正回路710における補正処理について、補正処理としての感度差補正処理に適用される補正係数μを算出して取得する補正係数取得処理を中心に具体例に関連付けて説明する。
【0081】
(補正回路710の補正係数取得処理)
本第1の実施形態において、補正回路710は、補正対象となる画素ユニットPUの画素の感度を、次式(2)により取得(算出)した補正係数μに関連付けて補正する。
【0082】
【数2】


【0083】
補正回路710は、補正対象の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pn、および、補正対象の画素ユニットPUに隣接する少なくとも一つの画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pnを、重み付け係数Wiにより重み付けした重み付け感度値の加重平均により補正係数μを取得する。
【0084】
本第1の実施形態において、補正回路710は、加重平均を重み付けした感度値Pnの総和を、補正で参照する画素の総数nで除して、補正係数μを算出する。
すなわち、補正回路710は、補正対象の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pn、および、補正対象の画素ユニットPUに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pnを、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数nで除して、補正係数μを算出する。
なお、第1の実施形態においては、後述するように、補正回路710が、場合によって、加重平均を重み付けした感度値Pnの総和を、補正で参照する画素の総数nではなく補正対象画素ユニットの画素数で除して、補正係数μを算出することも可能に構成されてもよい。
【0085】
図6は、本発明の第1の実施形態に係る補正回路が補正係数を取得する補正対象画素ユニット、および、補正対象画素ユニットに隣接する隣接画素ユニットを含む画素アレイ上の補正関連領域の一例を示す図である。
【0086】
ここでは、たとえば、図3に示す、画素群PXG11の画素ユニットPU114が補正対象画素ユニットCTPUであり、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111、斜め右上方の画素ユニットPU121、斜め左下方の画素ユニットPU211、および斜め右下方の画素ユニットPU221の4つのうちから1、2、3または4つの画素ユニットを任意に選択して隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4として採用することが可能である。
また、補正対象画素ユニットCTPUの4画素の読み出し値である感度値はP1,P2,P3,P4で示され、隣接画素ユニットAJPU1の4画素の感度値はP5,P6,P7,P8で示され、隣接画素ユニットAJPU2の4画素の感度値はP9,P10,P11,P12で示され、隣接画素ユニットAJPU3の4画素の感度値はP13,P14,P15,P16で示され、隣接画素ユニットAJPU4の4画素の感度値はP17,P18,P19,P20で示されている。
そして、図6に示す3×3の9つの画素ユニットにより補正関連領域CRAが画定される。
【0087】
ここで、本第1の実施形態に係る補正係数取得処理の3つの具体例について説明する。
【0088】
(第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第1の具体例)
図7は、本第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第1の具体例を説明するための図である。
また、式(2-1)は、上記式2の重み付け係数として、第1の重み付け係数CTW1および第2の重み付け係数AJW1を具体的な数値を代入した例を示している。
【0089】
【数3】

【0090】
この第1の具体例では、画素ユニットPU114が補正対象画素ユニットCTPUに相当し、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111斜め右上方の画素ユニットPU121、斜め左下方の画素ユニットPU211、および斜め右下方の画素ユニットPU221の4つが隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4として採用される。
【0091】
補正には、補正対象の画素を含む補正対象画素ユニットCTPUの各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値P1~P4)に加えて、隣接画素ユニットAJPU1の各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値P5~P8)、隣接画素ユニットAJPU2の各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値P9~P12)、隣接画素ユニットAJPU3の各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値P13~P16)、隣接画素ユニットAJPU4の各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値P17~P20)が参照される。
【0092】
そして、式(2-1)に示すように、重み付け係数Wは、補正対象画素ユニットCTPU(PU114)の画素に対して設定される第1の重み付け係数CTW1が「0.15」に設定され、隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の画素に対して設定される第2の重み付け係数AJW1が「0.025」に設定されている。この設定値は上記した条件CTW>AJWを満たしている。
また、第1の重み付け係数CTW1としての「0.15」は補正対象画素ユニットCTPUの4画素の感度値P1~P4に対して設定され、第2の重み付け係数AJW1としての「0.025」は隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の16画素に対して設定される。
したがって、重み付け係数Wの総和は、(0.15×4+0.025×16)=1となり、式2の条件を満たしている。
また、本例では、補正で参照する画素の総数nは「20」となる。
【0093】
このように、第1の具体例では、補正回路710は、補正対象画素ユニットCTPUの左上方の補正対象画素の感度値P1を補正するための補正係数μを取得(算出)する際に、補正対象画素(G画素)と同じ補正対象画素ユニットCTPUに配置されている4つのG画素の感度値P1~P4の各々に第1の重み付け係数CTW1(0.15)を掛け合わせて重み付けした感度値の第1の総和を取得する。
これと並行して、補正対象画素ユニットCTPUの斜め上方に隣接する隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4に配置されている16個のG画素の感度値P5~P20の各々に第2の重み付け係数AJW1(0.025)を掛け合わせて重み付けした感度値の第2の総和を取得する。
そして、重み付けした感度値の第1の総和と第2の総和を加算して重み付け総感度値を取得し、この重み付け総感度値を、補正で参照する画素の総数n(=20)で除して、所望の補正係数μを取得する。
【0094】
これにより、G画素のような同色の複数画素を含む画素ユニットが隣接する画素アレイ200において、単純な平均値ではなく、補正対象画素ユニットCTPUのみならず、補正対象画素ユニットCTPUに隣接する隣接画素ユニットAJPUを含む加重平均を用いて、たとえば1つのマイクロレンズ下で複数の要因で発生する感度むらを補正することができ、より精度の高い画質を実現する。
【0095】
そして、本第1の実施形態において、各重み付け係数Wiは定数で規定されその総和も定数となり、本例では、重み付け係数Wiの総和は1となるように、重み付け係数が設定される。すなわち、補正で参照される隣接画素ユニットの数が多く参照画素が多い程第2の重み付け係数AJW1は小さな値となり、補正で参照される隣接画素ユニットの数が少なく参照画素が少ない程第2の重み付け係数AJW2は大きな値となるように構成されている。
その結果、補正で参照される隣接画素ユニットの数(参照画素の数)の影響を受けることが少なく、サンプリング領域等にかかわりなく、安定してバラツキの少ない精度の高い補正係数μを得ることが可能となる。
【0096】
(第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第2の具体例)
図8は、本第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第2の具体例を説明するための図である。
また、式(2-2)は、上記式2の重み付け係数として、第1の重み付け係数CTW1および第2の重み付け係数AJW1を具体的な数値を代入した例を示している。
【0097】
【数4】

【0098】
この第2の具体例では、画素ユニットPU114が補正対象画素ユニットCTPUに相当し、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111の1つが補正対象ユニットCTPUに隣接する同色の隣接画素ユニットAJPU1として採用される。
なお、これは一例であり、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111、斜め右上方の画素ユニットPU121、斜め左下方の画素ユニットPU211、および斜め右下方の画素ユニットPU221の4つのうちから1,2、または3つの画素ユニットを任意に選択して隣接画素ユニットとして採用することが可能である。
【0099】
補正には、補正対象の画素を含む補正対象画素ユニットCTPUの各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値P1~P4)に加えて、隣接画素ユニットAJPU1の各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値P5~P8)が参照される。
【0100】
そして、式(2-2)に示すように、重み付け係数Wは、補正対象画素ユニットCTPU(PU114)の画素に対して設定される第1の重み付け係数CTW1が「0.15」に設定され、隣接画素ユニットAJPU1の画素に対して設定される第2の重み付け係数AJW1が「0.1」に設定されている。この設定値は上記した条件CTW>AJWを満たしている。
また、第1の重み付け係数CTW1としての「0.15」は補正対象画素ユニットCTPUの4画素の感度値P1~P4に対して設定され、第2の重み付け係数AJW1としての「0.1」は隣接画素ユニットAJPU1の4画素に対して設定される。
したがって、重み付け係数Wの総和は、(0.15×4+0.1×4)=1となり、式2の条件を満たしている。
また、本例では、補正で参照する画素の総数nは「8」となる
【0101】
このように、第2の具体例では、補正回路710は、補正対象画素ユニットCTPUの左上方の補正対象画素の感度値P1を補正するための補正係数μを取得(算出)する際に、補正対象画素(G画素)と同じ補正対象画素ユニットCTPUに配置されている4つのG画素の感度値P1~P4の各々に第1の重み付け係数CTW1(0.15)を掛け合わせて重み付けした感度値の第1の総和を取得する。
これと並行して、補正対象画素ユニットCTPUの斜め上方に隣接する隣接画素ユニットAJPU1に配置されている4個のG画素の感度値P5~P8の各々に第2の重み付け係数AJW1(0.1)を掛け合わせて重み付けした感度値の第2の総和を取得する。
そして、重み付けした感度値の第1の総和と第2の総和を加算して重み付け総感度値を取得し、この重み付け総感度値を、補正で参照する画素の総数n(=8)で除して、所望の補正係数μを取得する。
【0102】
これにより、G画素のような同色の複数画素を含む画素ユニットが隣接する画素アレイ200において、単純な平均値ではなく、補正対象画素ユニットCTPUのみならず、補正対象画素ユニットCTPUに隣接する隣接画素ユニットAJPUを含む加重平均を用いて、たとえば1つのマイクロレンズ下で複数の要因で発生する感度むらを補正することができ、より精度の高い画質を実現する。
【0103】
(第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第3の具体例)
図9は、本第1の実施形態に係る補正係数取得処理の第3の具体例を説明するための図である。
【0104】
この第3の具体例では、補正回路710は、画素部20における画素の配置領域に応じて異なる数の補正に用いる隣接画素ユニットAJPUを採用可能である。
本例では、画素の配置領域として第1の配置領域AR1と第2の配置領域AR2を採用している。
第1の配置領域AR1は、画素部20の中央部側の領域ACTRを含み、第2の配置領域AR2は、画素部20の縁部側領域AEDGを含む。
【0105】
補正回路710は、第1の配置領域AR1では、採用する隣接画素ユニットAJPUが少なくてよく、これに伴い上記式(2-2)に従って重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の第1の総数(図9の例では8)で除して、補正係数μを算出する。
補正回路710は、第2の配置領域AR2では、採用する隣接画素ユニットAJPUを多くして精度を高めた方がよく、これに伴い上記式(2-1)に従って重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の第1の総数(図9の例では20)で除して、補正係数μを算出する。
【0106】
この補正方法によれば、画素部20における画素の配置位置ごとに補正のサンプリングエリアや補正係数を変えることも容易である。
たとえば、図9において、イメージセンサの画素部20の中央部領域ACTRでは式(2-2)の補正式で感度値補正用の補正係数μを取得する。
また、たとえば、斜め光の入射が多くシェーディングの影響が大きいチップ周辺部領域AEDGでは式(2-1)を使い、より広範な範囲の隣接画素を使っての補正も可能となる。
【0107】
以上説明したように、本第1の実施形態において、補正回路710は、補正対象の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pn、および、補正対象の画素ユニットPUに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pnを、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数nで除して、補正係数μを算出する。
【0108】
したがって、本第1の実施形態によれば、広い領域における複数の要因で発生する感度むらを補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能となる利点がある。
【0109】
また、本第1の実施形態によれば、補正回路710は、画素部20における画素の配置領域に応じて異なる数の補正に用いる隣接画素ユニットAJPUを採用可能である。
したがって、本第1の実施形態によれば、広い領域における複数の要因で発生する感度むらをそれぞれ最適な補正方法で個別に補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能であり、しかも局所的な領域の感度むらを高い精度で補正することが可能となる。
【0110】
(第2の実施形態)
図10は、本発明の第2の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
また、式(2-3)は、上記式2の重み付け係数として、第1の重み付け係数CTW1および第2の重み付け係数AJW1,AJW2を具体的な数値を代入した例を示している。
【0111】
【数5】

【0112】
本第2の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、各画素ユニットPUは2×2の4つの同色画素(G)により構成されて、各画素ユニットPUのすべての4画素に対して1つのマイクロレンズMCLが配置されている。
【0113】
これに対して、本第2の実施形態においては、各画素ユニットPUは3×3の9つの同色画素(G)により構成され、補正対象画素ユニットCTPUの左上方の4画素G1~G4に対してのみ、たとえばPDAF機能を持つように1つのマイクロレンズMCL11が配置されている。
そして、補正対象画素ユニットCTPUの残りの画素G5~G9、隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の画素G10~G45、補正対象画素ユニットCTPUに対して上下左右に隣接するB画素およびR画素の画素ユニットの画素のすべてに対して1つのマイクロレンズMCL12が配置されている。
【0114】
さらに、本第2の実施形態においては、補正対象画素ユニットCTPUを補正対象の画素G1~G4が配置される第1の領域AR11と残りの画素G5~G9が配置される第2の領域AR12に区分けされ、第1の領域AR11に第1の重み付け係数CTWに設定し、第2の領域AR12に第2の重み付け係数AJW2を設定して、それぞれの領域で重み付けした感度値の総和を取得し、隣接画素ユニットJPU1の重み付けした感度値の総和を含めた重み付けした感度値を、補正で参照する画素の総数nで除して補正係数μを取得する。
【0115】
そして、式(2-3)に示すように、重み付け係数Wは、補正対象画素ユニットCTPU(PU114)の第1の領域AR11の画素に対して設定される第1の重み付け係数CTW1が「0.111」に設定され、第2の領域AR12の画素に対して設定される第2の重み付け係数AJW2が「0.056」に設定され、隣接画素ユニットAJPU1の画素に対して設定される第2の重み付け係数AJW1が「0.0531」に設定されている。この設定値は上記した条件CTW>AJW2>AJW1を満たしている。
また、第1の重み付け係数CTW1としての「0.111」は補正対象画素ユニットCTPUの第1の領域AR11の4画素G1~G4の感度値P1~P4に対して設定され、第2の重み付け係数AJW2としての「0.056」は補正対象画素ユニットCTPU1の5画素G5~G9に対して設定される。第2の重み付け係数AJW1としての「0.0531」は隣接画素ユニットAJPU1の9画素G10~G18に対して設定される。
したがって、重み付け係数Wの総和は、(0.111×4+0.056×5+0.0531×9)=1となり、式2の条件を満たしている。
また、本例では、補正で参照する画素の総数nは「18」となる。
【0116】
上記したように、本第2の実施形態においては、同色の3×3画素が隣接する画素配列において、中央に位置する補正対象画素ユニットCTPUの同一マイクロレンズを有するグリーン画素G1~G4の感度値を補正するために、同じ画素ユニットCTPUにある画素G5~G9と、隣接する隣接画素ユニットAJPU係数μをかけて重み付けして感度の補正を行う。
換言すると、本実施形態において、重み付け係数は、補正対象の画素が配置される対象領域に対する第1の重み付け係数CTWを最大値とし、他の画素配置領域に対する第2の重み付け係数AJWは対象領域に対する配置条件に応じた値に設定される。
【0117】
このように、補正対象画素からの距離や構造による感度への影響度を重み付けして加算することで、単純な平均値の加算に比べ、精密な感度補正が可能となる。
【0118】
(第3の実施形態)
次の式3は、本発明の第3の実施形態に係る補正係数取得処理に適用される補正係数を取得するための演算式を示す。
【0119】
【数6】


【0120】
本第3の実施形態の補正係数取得処理(式3)が、第1の実施形態の補正係数取得処理と異なる点は、次の通りである。
【0121】
第1の実施形態の補正係数取得処理においては、補正回路710は、補正対象の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pn、および、補正対象の画素ユニットPUに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pnを、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の総数nで除して、補正係数μを算出する。
【0122】
これに対して、本第3の実施形態の補正係数取得処理においては、補正回路710は、補正対象の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pn、および、補正対象の画素ユニットPUに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pnを、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和で除して、補正係数μを算出する。
【0123】
ここで、本第3の実施形態に係る補正係数取得処理の3つの具体例について説明する。
【0124】
(第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第1の具体例)
図11は、本第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第1の具体例を説明するための図である。
また、式(3-1)は、上記式3の重み付け係数として、第1の重み付け係数CTW1および第2の重み付け係数AJW1を具体的な数値を代入した例を示している。
【0125】
【数7】

【0126】
この第1の具体例では、画素ユニットPU114が補正対象画素ユニットCTPUに相当し、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111、斜め右上方の画素ユニットPU121、斜め左下方の画素ユニットPU211、および斜め右下方の画素ユニットPU221の4つが隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4として採用される。
【0127】
補正には、補正対象の画素を含む補正対象画素ユニットCTPUの各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値P1~P4)に加えて、隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の各画素の読み出し値である画素信号に応じた感度値P5~P8、P9~P12、P13~P16、P17~P20が参照される。
【0128】
そして、式(3-1)に示すように、重み付け係数Wは、補正対象画素ユニットCTPU(PU114)の画素に対して設定される第1の重み付け係数CTW1が「5」に設定され、隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の画素に対して設定される第2の重み付け係数AJW1が「3」に設定されている。この設定値は上記した条件CTW>AJWを満たしている。
また、第1の重み付け係数CTW1としての「5」は補正対象画素ユニットCTPUの4画素の感度値P1~P4に対して設定され、第2の重み付け係数AJW1としての「3」は隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の16画素に対して設定される。
また、本例では、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和は「68」となる。
【0129】
このように、第1の具体例では、補正回路710は、補正対象画素ユニットCTPUの左上方の補正対象画素の感度値P1を補正するための補正係数μを取得(算出)する際に、補正対象画素(G画素)と同じ補正対象画素ユニットCTPUに配置されている4つのG画素の感度値P1~P4の各々に第1の重み付け係数AJW1(5)を掛け合わせて重み付けした感度値の第1の総和を取得する。
これと並行して、補正対象画素ユニットCTPUの斜め上方に隣接する隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4に配置されている16個のG画素の感度値P5~P20の各々に第2の重み付け係数AJW1(3)を掛け合わせて重み付けした感度値の第2の総和を取得する。
そして、重み付けした感度値の第1の総和と第2の総和を加算して重み付け総感度値を取得し、この重み付け総感度値を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和n(=68)で除して、所望の補正係数μを取得する。
【0130】
これにより、G画素のような同色の複数画素を含む画素ユニットが隣接する画素アレイ200において、単純な平均値ではなく、補正対象画素ユニットCTPUのみならず、補正対象画素ユニットCTPUに隣接する隣接画素ユニットAJPUを含む加重平均を用いて、たとえば1つのマイクロレンズ下で複数の要因で発生する感度むらを補正することができ、より精度の高い画質を実現する。
【0131】
(第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第2の具体例)
図12は、本第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第2の具体例を説明するための図である。
また、式(3-2)は、上記式2の重み付け係数として、第1の重み付け係数CTW1および第2の重み付け係数AJW1を具体的な数値を代入した例を示している。
【0132】
【数8】

【0133】
この第2の具体例では、画素ユニットPU114が補正対象画素ユニットCTPUに相当し、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111の1つが補正対象ユニットCTPUに隣接する同色の隣接画素ユニットAJPU1として採用される。
なお、これは一例であり、補正対象画素ユニットCTPUに対して、斜め左上方の画素ユニットPU111、斜め右上方の画素ユニットPU121、斜め左下方の画素ユニットPU211、および斜め右下方の画素ユニットPU221の4つのうちから1,2、または3つの画素ユニットを任意に選択して隣接画素ユニットとして採用することが可能である。
【0134】
補正には、補正対象の画素を含む補正対象画素ユニットCTPUの各画素PXの読み出し値(画素信号に応じた感度値P1~P4)に加えて、隣接画素ユニットAJPU1の各画素の読み出し値(画素信号に応じた感度値P5~P8)が参照される。
【0135】
そして、式(3-2)に示すように、重み付け係数Wは、補正対象画素ユニットCTPU(PU114)の画素に対して設定される第1の重み付け係数CTW1が「3」に設定され、隣接画素ユニットAJPU1の画素に対して設定される第2の重み付け係数AJW1が「2」に設定されている。この設定値は上記した条件CTW>AJWを満たしている。
また、第1の重み付け係数CTW1としての「3」は補正対象画素ユニットCTPUの4画素の感度値P1~P4に対して設定され、第2の重み付け係数AJW1としての「2」は隣接画素ユニットAJPU1の4画素に対して設定される。
また、本例では、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和nは「20」となる
【0136】
このように、第2の具体例では、補正回路710は、補正対象画素ユニットCTPUの左上方の補正対象画素の感度値P1を補正するための補正係数μを取得(算出)する際に、補正対象画素(G画素)と同じ補正対象画素ユニットCTPUに配置されている4つのG画素の感度値P1~P4の各々に第1の重み付け係数AJW1(3)を掛け合わせて重み付けして感度値の第1の総和を取得する。
これと並行して、補正対象画素ユニットCTPUの斜め上方に隣接する隣接画素ユニットAJPU1に配置されている4個のG画素の感度値P5~P8の各々に第2の重み付け係数AJW1(2)を掛け合わせて重み付けした感度値の第2の総和を取得する。
そして、重み付けした感度値の第1の総和と第2の総和を加算して重み付け総感度値を取得し、この重み付け総感度値を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総和n(=20)で除して、所望の補正係数μを取得する。
【0137】
これにより、G画素のような同色の複数画素を含む画素ユニットが隣接する画素アレイ200において、単純な平均値ではなく、補正対象画素ユニットCTPUのみならず、補正対象画素ユニットCTPUに隣接する隣接画素ユニットAJPUを含む加重平均を用いて、たとえば1つのマイクロレンズ下で複数の要因で発生する感度むらを補正することができ、より精度の高い画質を実現する。
【0138】
(第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第3の具体例)
図13は、本第3の実施形態に係る補正係数取得処理の第3の具体例を説明するための図である。
【0139】
この第3の具体例では、補正回路710は、画素部20における画素の配置領域に応じて異なる数の補正に用いる隣接画素ユニットAJPUを採用可能である。
本例では、画素の配置領域として第1の配置領域AR21と第2の配置領域AR22を採用している。
第1の配置領域AR21は、画素部20の中央部側の領域ACTRを含み、第2の配置領域AR22は、画素部20の縁部側領域AEDGを含む。
【0140】
補正回路710は、第1の配置領域AR1では、採用する隣接画素ユニットAJPUが少なくてよく、これに伴い上記式(3-2)に従って重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の第1の総数(図13の例では20)で除して、補正係数μを算出する。
補正回路710は、第2の配置領域AR2では、採用する隣接画素ユニットAJPUを多くして精度を高めた方がよく、これに伴い上記式(3-1)に従って重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素の第1の総数(図13の例では68)で除して、補正係数μを算出する。
【0141】
この補正方法によれば、画素部20における画素の配置位置ごとに補正のサンプリングエリアや補正係数を変えることも容易である。
たとえば、図13において、イメージセンサの画素部20の中央部領域ACTRでは式(3-2)の補正式で感度値補正用の補正係数μを取得する。
また、たとえば、斜め光の入射が多くシェーディングの影響が大きいチップ周辺部領域AEDGでは式(3-1)を使い、より広範な範囲の隣接画素を使っての補正も可能となる。
【0142】
以上説明したように、本第3の実施形態において、補正回路710は、補正対象の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pn、および、補正対象の画素ユニットPUに隣接する少なくとも一つの同色の画素ユニットPUにおける補正で参照する各画素の画素信号に応じた感度値Pnを、重み付け係数Wiにより重み付けし、重み付けした感度値の総和を、補正で参照する画素ユニットの重み付け係数値の総数nで除して、補正係数μを算出する。
【0143】
したがって、本第3の実施形態によれば、広い領域における複数の要因で発生する感度むらをそれぞれ最適な補正方法で個別に補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能となる利点がある。
【0144】
また、本第3の実施形態によれば、補正回路710は、画素部20における画素の配置領域に応じて異なる数の補正に用いる隣接画素ユニットAJPUを採用可能である。
したがって、本第3の実施形態によれば、広い領域における複数の要因で発生する感度むらをそれぞれ最適な補正方法で個別に補正することが可能で、より精度の高い画質を実現することが可能であり、しかも局所的な領域の感度むらを高い精度で補正することが可能となる。
【0145】
(第4の実施形態)
次の式4は、本発明の第4の実施形態に係る補正係数取得処理に適用される補正係数を取得するための演算式を示す。
【0146】
【数9】


【0147】
本第4の実施形態の補正係数取得処理(式4)が、第1、第2および第3の実施形態の補正係数取得処理と異なる点は、次の通りである。
【0148】
第4の実施形態の補正係数取得処理においては、前述した重み付け係数Wiが関数f(i)により形成されている。
本第4の実施形態において、関数f(i)はマイクロレンズシェーディングによる理論値を示す関数を含む。
【0149】
ここで、本第4の実施形態に係る補正係数取得処理の具体例について説明する。
【0150】
(第4の実施形態に係る補正係数取得処理の具体例)
図14(A)~(C)は、本発明の第4の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図14(A)は画素群の画素ユニット配列を示し、図14(B)は図14(A)のx-x線における補正対象画素ユニットCTPUの輝度値分布を示し、図14(C)は関数f(i)に関連付けてシェーディングを補正する様子を模式的に示している。
【0151】
本第4の実施形態においては、各画素ユニットPUは4×4の16個の同色画素(G)により構成され、補正対象画素ユニットCTPUおよび隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の各16画素G1~G16等に対して、たとえばPDAF機能を持つように1つのマイクロレンズMCL21がそれぞれ配置されている。
【0152】
本第4の実施形態においては、補正対象画素ユニットCTPUの各画素G1~G16のマイクロレンズMCL21によるシェーディングを補正するように、関数f(i)が形成されている。なお、関数f(i)は待機関数として用いられている。
本例では、隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の感度値を使って補正対象画素からの距離、すなわち影響度に応じた係数も加算されている。
また、本例では、補正で参照する画素の総数nは「16」となる。
【0153】
本第4の実施形態によれば、マイクロレンズMCL21自体の形状のばらつきから発生する感度不良もより正確に補正が可能である。
このように、本第4の実施形態によれば、関数を待機関数として用いることにより、より多様な感度むらを補正することができる。
【0154】
(第5の実施形態)
次の式5は、本発明の第5の実施形態に係る補正係数取得処理に適用される補正係数を取得するための演算式を示す。
【0155】
【数10】


【0156】
本第5の実施形態の補正係数取得処理(式5)が、第4の実施形態の補正係数取得処理と異なる点は、次の通りである。
【0157】
第5の実施形態の補正係数取得処理においては、重み付け係数により重み付けして重み付け感度値を求める際に、画素の配置条件に応じた状態の理論値を示す関数に関連付けて補正した上で、加重平均により補正係数μを取得する。
すなわち、本第5の実施形態において、画素の配置条件に応じた理論値を示す関数とは、上記したマイクロレンズMCL21のシェーディングによる理論値を示す関数f(i)に相当し、この関数f(i)と補正対象画素からの距離で決まる補正係数を掛け合わせてマイクロレンズMCL21によるシェーディングを補正する。
【0158】
ここで、本第5の実施形態に係る補正係数取得処理の具体例について説明する。
【0159】
(第5の実施形態に係る補正係数取得処理の具体例)
図15(A)~(C)は、本発明の第5の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
図15(A)は画素群の画素ユニット配列を示し、図15(B)は図15(A)のx-x線における補正対象画素ユニットCTPUの輝度値分布を示し、図15(C)は関数f(i)に関連付けてシェーディングを補正する様子を模式的に示している。
【0160】
本第5の実施形態においても、第4の実施形態と同様に、各画素ユニットPUは4×4の16個の同色画素(G)により構成され、補正対象画素ユニットCTPUおよび隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の各16画素G1~G16等に対して、たとえばPDAF機能を持つように1つのマイクロレンズMCL21がそれぞれ配置されている。
【0161】
本第5の実施形態においても、4×4画素の同色画素が隣接する画素配列において、中央の補正対象(注目)画素ユニットCTPUのG画素P1~P16上に1つのマイクロレンズMCL21が形成されている。
各画素の感度バラつきを補正する際同じ4×4の画素ユニット内にある16画素の感度値の平均をただとるのではなく、レンズによるシェーディングを補正した上で加重平均をとる方がより正確に1つ1つの画素の感度バラつきの補正が可能である。
本例では、隣接画素ユニットAJPU1~AJPU4の感度値を使って補正対象画素からの距離、すなわち影響度に応じた係数も加算されている。
また、本例では、補正で参照する画素の総数nは「80」となる。
【0162】
本第5の実施形態によれば、マイクロレンズMCL21自体の形状のばらつきから発生する感度不良もより正確に補正が可能である。
このように、本第5の実施形態によれば、関数を待機関数として用いることにより、より多様な感度むらを補正することができる。
【0163】
(第6の実施形態)
図16(A)および(B)は、本発明の第6の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
【0164】
本第6の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、各画素ユニットPUは2×2の4つの同色画素(G)により構成されて、各画素ユニットPUのすべての4画素に対して1つのマイクロレンズMCLが配置されている。
【0165】
これに対して、本第6の実施形態においては、図16(A)に示すように、各画素ユニットPUは3×3の9つの同色画素(G)により構成され、補正対象画素ユニットCTPUの2画素G4,G5に対してのみ、たとえばPDAF機能を持つように1つのマイクロレンズMCL31が配置されている。
あるいは、図16(B)に示すように、各画素ユニットPUは3×3の9つの同色画素(G)により構成され、補正対象画素ユニットCTPUの2画素G4,G5に対してのみ、たとえばPDAF機能を持つように金属シールドMSL31が配置されている。
【0166】
本第6の実施形態によれば、画素ユニットに局所的に含まれるPDAF機能を持つ画素の感度を、同一画素ユニットCTPUまたは他の隣接画素ユニットAJPUの同一色画素の加重平均または周辺画素の感度値に基づいた重み付けをした関数で補正することが可能である。
【0167】
(第7の実施形態)
図17(A)および(B)は、本発明の第7の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
【0168】
本第7の実施形態が、第1の実施形態と異なる点は、次の通りである。
第1の実施形態においては、各画素ユニットPUは2×2の4つの同色画素(G)により構成されて、各画素ユニットPUのすべての4画素に対して1つのマイクロレンズMCLが配置されている。
【0169】
これに対して、本第7の実施形態においては、図16(A)に示すように、各画素ユニットPUは3×3の9つの同色画素(G)により構成され、補正対象画素ユニットCTPUの2画素G4,G5に対してのみ、たとえば白黒画素または近赤外(NIR)画素が配置され、画素ユニットPUに異なる色を含むように構成されている。
【0170】
本第7の実施形態によれば、画素ユニットに局所的に含まれる白黒画素やNIR画素の感度を、同一画素ユニットCTPUまたは他の隣接画素ユニットAJPUの同一色画素の加重平均または周辺画素の感度値に基づいた重み付けをした関数で補正することが可能である。
【0171】
(第8の実施形態)
次の式6は、本発明の第8の実施形態に係る補正係数取得処理に適用される補正係数を取得するための演算式を示す。
【0172】
【数11】


【0173】
図18は、本発明の第8の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
【0174】
本第8の実施形態が、上記した第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7の実施形態と異なる点は、次の通りである。
本第8の実施形態においては、画素の感度を、加重平均の代わりに、同一画素ユニットまたは他の隣接画素ユニットの中央値を補正係数として取得する補正係数取得処理を行う。
【0175】
本第8の実施形態によれば、同色の隣接画素の中央値を用いることにより、従来補正が困難であった広い領域の感度むらを補正することが可能となる。
【0176】
(第9の実施形態)
次の式7は、本発明の第9の実施形態に係る補正係数取得処理に適用される補正係数を取得するための演算式を示す。
【0177】
【数12】


【0178】
式7において、Moがモード値を示し、lがモード値Moを含むクラスの下限を示し、(f + 1)は次のクラス間の度数を示し、(f -1)が先行するクラス間の度数を示し、hがクラス間の幅を示している。
【0179】
図19は、本発明の第9の実施形態に係る補正係数取得処理を説明するための図である。
【0180】
本第9の実施形態が、上記した第1、第2、第3、第4、第5、第6および第7の実施形態と異なる点は、次の通りである。
本第9の実施形態においては、画素の感度を、加重平均の代わりに、同一画素ユニットまたは他の隣接画素ユニットのモード値により補正する。
【0181】
本第9の実施形態によれば、同一画素ユニットまたは他の隣接画素ユニットのモード値を用いることにより、従来補正が困難であった広い領域の感度むらを補正することが可能となる。
【0182】
以上説明した固体撮像装置10は、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯端末、あるいは監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器に、撮像デバイスとして適用することができる。
【0183】
図20は、本発明の実施形態に係る固体撮像装置が適用されるカメラシステムを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【0184】
本電子機器800は、図20に示すように、本実施形態に係る固体撮像装置10が適用可能なCMOSイメージセンサ810を有する。
さらに、電子機器800は、このCMOSイメージセンサ810の画素領域に入射光を導く(被写体像を結像する)光学系(レンズ等)820を有する。
電子機器800は、CMOSイメージセンサ810の出力信号を処理する信号処理回路(PRC)830を有する。
【0185】
信号処理回路830は、CMOSイメージセンサ810の出力信号に対して所定の信号処理を施す。
信号処理回路830で処理された画像信号は、液晶ディスプレイ等からなるモニタに動画として映し出し、あるいはプリンタに出力することも可能であり、またメモリカード等の記録媒体に直接記録する等、種々の態様が可能である。
【0186】
上述したように、CMOSイメージセンサ810として、前述した固体撮像装置10を搭載することで、高性能、小型、低コストのカメラシステムを提供することが可能となる。
そして、カメラの設置の要件に実装サイズ、接続可能ケーブル本数、ケーブル長さ、設置高さなどの制約がある用途に使われる、たとえば、監視用カメラ、医療用内視鏡用カメラなどの電子機器を実現することができる。
【符号の説明】
【0187】
10・・・固体撮像装置、20・・・画素部、200・・・画素アレイ、PXG・・・画素群、PU・・・画素ユニット、CTPU・・・補正対象画素ユニット、AJPU・・・隣接画素ユニット、MCL・・・マイクロレズ、30・・・垂直走査回路、40・・・読み出し回路、50・・・水平走査回路、60・・・タイミング制御回路、70・・・信号処理回路、710・・・補正回路、800・・・電子機器、810・・・CMOSイメージセンサ、820・・・光学系、830・・・信号処理回路(PRC)。


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20