(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】セル監視回路、及び、管理システム
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20240607BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20240607BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240607BHJP
G01R 19/00 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H01M10/42 P
H01M10/44 P
G01R19/00 B
(21)【出願番号】P 2020539491
(86)(22)【出願日】2019-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2019033491
(87)【国際公開番号】W WO2020045418
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-08-19
(31)【優先権主張番号】P 2018160104
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】520133916
【氏名又は名称】ヌヴォトンテクノロジージャパン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】小林 仁
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-211402(JP,A)
【文献】特開2015-156728(JP,A)
【文献】特表2014-527680(JP,A)
【文献】特開2012-253836(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42-10/48
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
G01R 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
セル監視回路であって、
蓄電セルの蓄電量を計測する計測回路と、
前記計測回路が前記蓄電セルとは異なる交流電源か
ら絶縁状態で電力供給を受けるための絶縁素子と、
前記蓄電セルの状態を管理する管理装置に、前記計測回路によって計測された前記蓄電量を示す情報を、前記絶縁素子を介して送信する通信回路と、
前記交流電源から前記絶縁素子を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、前記直流電力を前記計測回路に供給する変換回路とを備え、
前記絶縁素子
の一次側は、交流電力線を介して前記交流電源に接続され、
前記絶縁素子の二次側は、前記通信回路と前記変換回路に接続され、
前記交流電力線には、前記セル監視回路とは異なる他のセル監視回路、及び、前記管理装置が接続され
、
前記通信回路は、前記交流電源から前記セル監視回路に交流電力の供給が行われているときに、前記交流電力の周波数よりも高い周波数帯域を使用して前記管理装置が備える制御マイコンと通信を行う
セル監視回路。
【請求項2】
前記通信回路は、前記周波数帯域のうちの一部を前記セル監視回路に割り当てられた通信チャンネルとして使用する
請求項
1に記載のセル監視回路。
【請求項3】
さらに、前記変換回路の出力電圧に応じて前記計測回路の起動または停止を制御するための制御信号を出力する電圧検知回路を備える
請求項1
または2に記載のセル監視回路。
【請求項4】
さらに、前記交流電力の周波数に同期したクロック信号を生成するクロック生成回路を備え、
前記計測回路は、生成された前記クロック信号に基づいて前記蓄電セルの蓄電量を計測する
請求項1~
3のいずれか1項に記載のセル監視回路。
【請求項5】
さらに、前記セル監視回路を他のセル監視回路と識別するための識別情報が記憶される記憶部を備える
請求項1~
4のいずれか1項に記載のセル監視回路。
【請求項6】
蓄電セルの状態を管理する管理装置と、
セル監視回路とを備え、
前記セル監視回路は、
前記蓄電セルの蓄電量を計測する計測回路と、
前記計測回路が前記蓄電セルとは異なる交流電源から絶縁状態で電力供給を受けるための絶縁素子と、
前記管理装置に、前記計測回路によって計測された前記蓄電量を示す情報を、前記絶縁素子を介して送信する通信回路と、
前記交流電源から前記絶縁素子を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、前記直流電力を前記計測回路に供給する変換回路とを備え、
前記絶縁素子
の一次側は、交流電力線を介して前記交流電源に接続され、
前記絶縁素子の二次側は、前記通信回路と前記変換回路に接続され、
前記交流電力線には、前記セル監視回路とは異なる他のセル監視回路、及び、前記管理装置が接続され
、
前記通信回路は、前記交流電源から前記セル監視回路に交流電力の供給が行われているときに、前記交流電力の周波数よりも高い周波数帯域を使用して前記管理装置が備える制御マイコンと通信を行う
管理システム。
【請求項7】
前記管理システムは、複数の前記蓄電セルに対応する複数の前記セル監視回路を備え、
複数の前記セル監視回路のそれぞれは、当該セル監視回路が備える前記絶縁素子を介して、複数の前記セル監視回路に共通の前記交流電力線に接続され、
前記管理装置は、前記交流電力線を介して複数の前記セル監視回路のそれぞれと通信を行う
請求項
6に記載の管理システム。
【請求項8】
複数の前記セル監視回路のそれぞれは、前記周波数帯域のうちの一部を当該セル監視回路に割り当てられた通信チャンネルとして使用する
請求項
7に記載の管理システム。
【請求項9】
複数の前記セル監視回路のそれぞれは、
さらに、当該セル監視回路を他のセル監視回路と識別するための識別情報が記憶される記憶部を備え、
計測された蓄電量に、当該セル監視回路の識別情報が付与された前記情報を前記管理装置に送信する
請求項
7または
8に記載の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、セル監視回路、及び、これを備える管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、動作電源の冗長性を向上させることで、動作の信頼性を確保することができる電池電圧監視装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、通信に関する構成要素の追加を抑制しつつ、セルバランスが崩れることを抑制することができるセル監視回路、及び、これを用いた管理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係るセル監視回路は、蓄電セルの蓄電量を計測する計測回路と、前記計測回路が前記蓄電セルとは異なる電源から非接触で電力供給を受けるための絶縁素子と、前記蓄電セルの状態を管理する管理装置に、前記計測回路によって計測された前記蓄電量を示す情報を、前記絶縁素子を介して送信する通信回路とを備える。
【0006】
本開示の一態様に係る管理システムは、蓄電セルの状態を管理する管理装置と、セル監視回路とを備え、前記セル監視回路は、前記蓄電セルの蓄電量を計測する計測回路と、前記計測回路が前記蓄電セルとは異なる電源から非接触で電力供給を受けるための絶縁素子と、前記管理装置に、前記計測回路によって計測された前記蓄電量を示す情報を、前記絶縁素子を介して送信する通信回路とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、通信に関する構成要素の追加を抑制しつつ、セルバランスが崩れることを抑制することができるセル監視回路、及び、これを用いた管理システムが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。
【
図2】
図2は、実施の形態2に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。
【
図3】
図3は、実施の形態3に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。
【
図4】
図4は、実施の形態3に係るBMSにおける、BMU及び複数のセル監視回路の接続関係を示す図である。
【
図5】
図5は、伝送路のインピーダンスの周波数特性を示す図である。
【
図6】
図6は、伝送路の電力スペクトラムを示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態3の変形例に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。
【
図8】
図8は、実施の形態4に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施の形態1)
[構成]
以下、実施の形態1に係るBMS(Battery Management System、バッテリマネジメントシステム)について説明する。まず、実施の形態1に係るBMSの構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。
【0010】
実施の形態1に係るBMS100は、例えば、電気自動車などの車両に搭載される。BMS100は、BMU(Battery Management Unit)10と、複数の組電池20と、複数の組電池20に対応する複数のセル監視回路(CSC:Cell Supervising Circuit)30とを備える。
図1では、組電池20及びセル監視回路30は、2つずつ図示されているが、組電池20及びセル監視回路30の数は2つに限定されず、3つ以上であってもよい。また、BMS100は、組電池20及びセル監視回路30のそれぞれを1つだけ備えてもよい。
【0011】
BMU10は、複数の組電池20の状態の監視、及び、複数の組電池20の制御を行う。組電池20は、複数の二次電池セル21を含むが、少なくとも1つの二次電池セル21を含めばよい。二次電池セル21は、蓄電セルの一例である。二次電池セル21は、具体的には、リチウムイオン電池であるが、ニッケル水素電池などその他の電池であってもよい。複数の二次電池セル21は、例えば、直列接続されるが、一部または全部が並列接続されていてもよい。
【0012】
なお、組電池20が1つ以上の二次電池セル21によって構成されることは必須ではなく、1つ以上の蓄電キャパシタセルによって構成されてもよい。蓄電キャパシタセルは、蓄電セルの別の一例である。蓄電キャパシタセルは、具体的には、電気二重層コンデンサであるが、リチウムイオンキャパシタなどであってもよい。
【0013】
BMU10は、具体的には、複数の通信回路11と、複数の一次側電源回路12と、制御マイコン13とを備える。
図1では、通信回路11及び一次側電源回路12は、2つずつ図示されているが、BMU10は、通信回路11及び一次側電源回路12を、セル監視回路30に対応する数だけ備えていればよい。なお、BMU10は、少なくとも制御マイコン13を備えていればよい。
【0014】
通信回路11は、BMU10がセル監視回路30と通信を行うための回路である。通信回路11は、具体的には、信号を送信するための送信回路、フィルタ、及び、増幅回路、並びに、信号を受信するための受信回路、フィルタ、及び、増幅回路などを含む。
【0015】
一次側電源回路12は、トランス38、及び、二次側電源回路39とともに、スイッチング電源回路40を構成する。スイッチング電源回路40は、組電池20とは異なる経路でセル監視回路30へ非接触給電を行うための電源回路である。つまり、セル監視回路30は、組電池20ではなく、スイッチング電源回路40によって供給される電力によって動作する。
【0016】
制御マイコン13は、複数の組電池20の状態の監視、及び、複数の組電池20の制御を行う。
【0017】
複数のセル監視回路30は、複数の組電池20に1対1で対応する回路である。セル監視回路30は、回路モジュールであり、基板に回路部品が実装されることによって形成される。セル監視回路30は、具体的には、計測回路31と、通信回路37と、トランス38と、二次側電源回路39とを備える。
【0018】
計測回路31は、組電池20に含まれる複数の二次電池セル21それぞれの蓄電量を計測する。計測回路31は、具体的には、組電池20に含まれる複数の二次電池セル21それぞれの電圧値を当該二次電池セル21の蓄電量を示すパラメータとして計測する。計測回路31は、複数の二次電池セル21に対応する複数のスイッチング素子32と、マルチプレクサ33と、AD変換器34と、記憶部35と、制御回路36とを備える。計測回路31は、蓄電量を直接または間接に示すパラメータを計測すればよい。
【0019】
複数のスイッチング素子32は、オンすることで対応する複数の二次電池セル21の個々の蓄電量を放電させて調整する。
【0020】
マルチプレクサ33は、選択回路であり、複数の二次電池セル21の両端の電圧値を選択する。
【0021】
AD変換器34は、マルチプレクサ33によって選択入力されるアナログの電圧値をデジタルの電圧値に変換する。
【0022】
記憶部35は、例えば、不揮発性の半導体メモリであり、セル監視回路30を他のセル監視回路30と識別するためのアドレス(言い換えれば、識別情報または認識符号)が記憶される。このアドレスは、組電池20を他の組電池20と識別するための識別情報と考えることもできる。なお、
図1の例では、記憶部35は、計測回路31の一部として図示されている(つまり、計測回路31によって備えられている)が、計測回路31とは別の構成要素とされてもよい。
【0023】
制御回路36は、AD変換器34から出力されるデジタルの電圧値に、記憶部35に記憶されたアドレスを付与した情報(計測回路31によって計測された蓄電量を示す情報とも記載される)を生成し、生成した情報を通信回路37に出力する。制御回路36は、言い換えれば、制御ロジック回路である。
【0024】
通信回路37は、組電池20の状態を管理するBMU10に、計測回路31によって計測された蓄電量を示す情報を、トランス38を介して送信する。通信回路37は、具体的には、信号を送信するための送信回路、フィルタ、及び、増幅回路、並びに、信号を受信するための受信回路、フィルタ、及び、増幅回路などを含む。
【0025】
トランス38は、計測回路31が組電池20とは異なる電源(具体的には、一次側電源回路)から非接触で電力供給を受けるための絶縁素子である。トランス38、二次側電源回路39、及び、一次側電源回路は、スイッチング電源回路40を構成する。なお、セル監視回路30は、トランス38に代えて他のコイル素子を絶縁素子として備えてもよい。
【0026】
スイッチング電源回路40は、組電池20とは異なる経路でセル監視回路30へ非接触給電を行うための電源回路である。計測回路31及び通信回路37は、組電池20ではなく、スイッチング電源回路40によって供給される電力によって動作する。スイッチング電源回路40は、言い換えれば、絶縁型DC-DCコンバータである。
【0027】
なお、スイッチング電源回路40のスイッチング周波数は、例えば、350kHz程度であり、セル監視回路30(通信回路37)とBMU10(通信回路11)との通信における搬送波の周波数帯域は、350kHzよりも高い。
【0028】
[効果等]
一般的なBMSは、組電池20の過充電による発熱、発火、爆発、及び、劣化を抑制し、かつ、充電によって二次電池セル21の蓄電量を最大化するために。組電池20に含まれる複数の二次電池セル21の蓄電量(SOC:State Of Charge)を均等化するセルバランス処理を行った上で組電池を充電する。このとき、BMUは、二次電池セルの蓄電量(言い換えれば、二次電池セルの電圧値)を管理するために、複数のセル監視回路と、デージ(数珠つなぎ)通信を実施する。
【0029】
一般的なBMSにおいては、複数のセル監視回路のそれぞれは、当該セル監視回路の監視対象の組電池(二次電池セル)から電力の供給を受ける。このような構成においては、複数のセル監視回路の動作電力のばらつきが、セルバランスが崩れる要因となる。特に、複数のセル監視回路の通信頻度の違いによって生じる動作電力のバラツキは、セルバランスが崩れる大きな要因となる。
【0030】
セルバランスが崩れることを抑制するため、組電池と異なる別電源(BMSが車載用途の場合は、12Vバッテリなど)からセル監視回路へ電力を供給する方法が考えられる。この方法においては、上記別電源と組電池とは、ガルバニックアイソレーションされる必要がある。別電源からセル監視回路へ電力を供給する方法は、具体的には、トランスを用いた絶縁型DC-DCコンバータによるセル監視回路へ給電などである。
【0031】
しかしながら、別電源からセル監視回路へ電力を供給する方法を一般的なBMSに適用する場合、複数のセル監視回路とBMUとの間に、電力供給経路(例えば、配線またはハーネスなど)を設ける必要がある。そうすると、部品点数の増加、及び、重量の増大などの新たな課題が生じる。
【0032】
これに対し、BMS100は、スイッチング電源回路40による電力供給経路(電力線50及びトランス38)を、BMU10及びセル監視回路30の通信経路としても使用するため、電力供給経路を別途設ける必要がない。つまり、BMS100は、部品点数の増加、及び、重量の増大などを抑制し、かつ、セル監視回路30の動作電力のばらつきによってセルバランスが崩れることを抑制することができる。
【0033】
[複数のセル監視回路を区別する方法]
次に、記憶部35に記憶されるアドレスの意義について説明する。BMS100においては、二次電池セル21毎に蓄電量を管理する必要があるため、セル監視回路30の上位システムであるBMU10が個々の二次電池セル21を特定できる仕組みが必要になる。
【0034】
ここで、一般的なBMSでは、デージ通信が行われ、デージ通信においてはバケツリレー式に通信が行われるため、通信開始時に複数のセル監視回路30のそれぞれに固有のアドレスが順番に付与される。これに対し、BMS100では、複数のセル監視回路30が並行してBMU10と通信を行うため、順番にアドレスを付与する方法を使用することはできないという課題がある。
【0035】
そこで、BMS100では、セル監視回路30が備える記憶部35に当該セル監視回路30に固有のアドレスが記憶される。セル監視回路30は、計測回路31によって計測された電圧値に、当該セル監視回路30のアドレスが付与された情報をBMU10に送信する。これにより、BMU10は、通信によって取得した電圧値がどのセル監視回路30から送信されたものか(どの組電池20の電圧値か)を区別して管理することができる。1つの組電池20に含まれる複数の二次電池セル21の電圧値は順番に送信されるため、1つの組電池20に含まれる複数の二次電池セル21の区別は、例えば、この順番によって行われる。
【0036】
(実施の形態2)
[構成]
以下、実施の形態2に係るBMSについて説明する。まず、実施の形態2に係るBMSの構成について説明する。
図2は、実施の形態2に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。なお、実施の形態2では、実施の形態1との相違点を中心に説明が行われ、実施の形態1で説明された事項については、適宜、説明が省略または簡略化される。
【0037】
実施の形態2に係るBMS100aは、BMU10aと、複数の組電池20と、複数の組電池20に対応する複数のセル監視回路30aとを備える。
【0038】
BMU10とBMU10aとの相違点は、BMU10aは、一次側電源回路12に代えて、交流電源12aを備えている点である。交流電源12aは、交流電力線50aを介してセル監視回路30aに交流電力を供給する。つまり、BMS100aでは、BMU10aからセル監視回路30aにガルバニックアイソレーション境界を超えて交流電力が供給される。
【0039】
セル監視回路30とセル監視回路30aとの相違点は、セル監視回路30aは、二次側電源回路39に代えて、変換回路39aを備えている点である。
【0040】
変換回路39aは、交流電源12aからトランス38を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を計測回路31及び通信回路37に供給する。つまり、実施の形態2では、トランス38は、計測回路31が組電池20とは異なる交流電源12aから非接触で電力供給を受けるための絶縁素子である。変換回路39aは、具体的には、全波整流回路、平滑回路、及び、レギュレータなどによって構成される。交流電源12aの周波数は、例えば、350kHzであり、実効値は、例えば、5Vである。なお、交流電源12aの周波数、及び、実効値は特に限定されない。
【0041】
[効果等]
実施の形態1で説明したスイッチング電源回路40は、スイッチング周波数、及び、スイッチングパルス幅が変動するため、スイッチングノイズの周波数成分が広範囲に広がる場合がある。つまり、通信品質を確保することが難しい可能性がある。
【0042】
これに対し、BMS100aは、交流電力が伝送される交流電力線50aを介して通信が行われる。交流電力の波形が単一周波数の正弦波であれば、周波数成分は広がりにくいため、通信品質を確保しやすい効果が得られる。また、周波数成分は広がりにくいことにより、通信を行う周波数帯の自由度も向上される。
【0043】
(実施の形態3)
[構成]
以下、実施の形態3に係るBMSについて説明する。まず、実施の形態3に係るBMSの構成について説明する。
図3は、実施の形態3に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。なお、実施の形態3では、実施の形態1及び2との相違点を中心に説明が行われ、実施の形態1及び2で説明された事項については、適宜、説明が省略または簡略化される。
【0044】
実施の形態3に係るBMS100bは、BMU10bと、複数の組電池20と、複数の組電池20に対応する複数のセル監視回路30bとを備える。
【0045】
BMU10aとBMU10bとの相違点は、BMU10bは、通信回路11及び交流電源12aをそれぞれ1つだけ備え、さらに、トランス14を備える点である。なお、BMU10bは、トランス14に変えて他のコイル素子を絶縁素子として備えてもよい。
【0046】
BMU10bの通信回路11は、トランス14を介して交流電力線50bに接続される。具体的には、トランス14の一次側コイルが通信回路11に接続され、トランス14の二次側コイルが交流電力線50bに接続される。
【0047】
この交流電力線50bは複数のセル監視回路30bによって共用される。つまり、複数のセル監視回路30bのそれぞれは、当該セル監視回路30bが備えるトランス38を介して、複数のセル監視回路30bに共通の交流電力線50bに接続される。具体的には、トランス38の一次側コイルが交流電力線50bに接続され、トランス38の二次側コイルが通信回路37及び変換回路39aに接続される。
【0048】
このような接続関係により、BMU10bは、交流電力線50bを介して複数のセル監視回路30bのそれぞれと通信を行うことができる。交流電力線50bは、デージ通信線である。
【0049】
セル監視回路30aとセル監視回路30bとの相違点は、セル監視回路30bは、クロック生成回路39bを備える点である。
【0050】
クロック生成回路39bは、交流電力の周波数に同期したクロック信号を生成する。計測回路31は、生成されたクロック信号に基づいて二次電池セル21の電圧値を計測する。クロック生成回路39bは、具体的には、位相同期回路(言い換えれば、PLL(Phase Locked Loop)回路)によって実現される。
【0051】
[効果等]
BMS100bでは、単一の交流電源12aを用いて、複数のセル監視回路30bへガルバニックアイソレーション境界を超えて交流電力を供給することができる。また、専用の交流電力線50bにより、容易に通信を行うことができる。
【0052】
BMS100bに類似する構成として、複数の組電池20を接続する電源ライン(バスバーとも呼ばれる)を使用してPLC(Power Line Communication)を行う構成が想定される。このような構成では、通信線を不要にすることができる。
【0053】
ここで、一般的に、バスバーはGND配線がない単配線であるため、通信の伝送線路として使用するにはノイズ耐性が低いという課題がある。また、バスバーには大電流が断続的に流されることから非常に大きな外乱ノイズが発生する。このため通信品質を確保することが難しいという課題もある。
【0054】
しかしながら、BMS100bでは、バスバーとは別の交流電力線50bを用いて、通信が行われる。具体的には、BMS100bでは、交流電源12aからガルバニックアイソレーション境界を超えて複数のセル監視回路30bへの電力供給が行われるとともに、交流電力線50bを用いて通信が行われる。これにより、複数のセル監視回路30b間に電力供給経路(具体的には、配線またはハーネスなど)を新たに設けることなく、通信品質の高い通信が可能となる。
【0055】
[通信の周波数帯域]
次に、BMS100bにおける通信の搬送波の周波数帯域について説明する。
図4は、BMS100bにおける、BMU10b及び複数のセル監視回路30bの接続関係を示す図であり、
図5は、交流電力線50bを含む伝送路のインピーダンスの周波数特性を示す図である。
【0056】
図4及び
図5に示されるように、交流電力線50bを含む伝送路は、交流電力の周波数に適した特性を有している。具体的には、伝送路の共振周波数は、交流電力の周波数と実質的に同じ周波数に設定される。伝送路の共振周波数、及び、交流電力の周波数は、例えば、数百kHzであり、
図4及び
図5の例では、350kHzである。これにより、ロスの少ない電力供給が実現される。
【0057】
また、BMS100bにおいては、通信において使用される周波数帯域は、交流電力の周波数よりも高い。つまり、セル監視回路30bの通信回路37は、交流電力の周波数よりも高い周波数帯域を使用して通信を行う。通信の搬送波周波数は、例えば、20MHzである。
【0058】
このように、通信の搬送波周波数が交流電力線50bの共振周波数から離れた高い周波数帯域に設定されれば、BMS100bは、伝送路のインピーダンス特性においてインピーダンスが高い周波数帯域を使用して比較的低い通信電力で通信を行うことができる。なお、このような周波数帯域の設定の仕方は、実施の形態1及び2にも適用できる。
【0059】
[通信のチャンネル]
また、通信に使用される周波数帯域は、複数の周波数チャンネルに分割されてもよい。
図6は、交流電力線50bを含む伝送路の電力スペクトラムを示す図である。
【0060】
図6に示されるように、BMS100bは、通信で使用する周波数帯域の複数の通信チャンネル1~n(nは2以上の自然数)に分割する。複数のセル監視回路30bのそれぞれは、周波数帯域のうちの一部を当該セル監視回路30bに割り当てられた通信チャンネルとして使用する。これにより、通信速度及び通信品質を向上することができる。
【0061】
例えば、送信チャンネルと受信チャンネルとを区別することで全二重通信が実現される。また、複数のセル監視回路30bにそれぞれ別の通信チャンネルを割り当てて通信することで、複数のセル監視回路30bとBMU10b間の同時通信が実現される。また、BMS100bは、複数の通信チャンネルから通信状態が最も良好な通信チャンネルを選択して通信を行うこともでき、また、2つの通信チャンネルを同じ信号の送信に使用し、受信側で受信された信号の比較を行うことで冗長通信が実現される。なお、このような周波数帯域を複数の通信チャンネルに分ける手法は、実施の形態1及び2にも適用できる。
【0062】
[クロック生成回路]
次に、クロック生成回路39bの意義について説明する。一般的に、組電池のSOC及びSOH(State Of Helth)を正確に算出するには、正確なOCV(Open Circuit Voltage)求めることが必要である。しかしながら、組電池20がセットに組み込まれた状態では、実際に負荷をゼロにして正確なOCVを測定することは困難である。
【0063】
そこで、二次電池セル21の内部インピーダンスを計測することで、セル電圧の計測値から動作時電流及び内部インピーダンスによる電圧降下分を差し引いてOCVを算出する方法が考えられる。この方法によって正確なOCVを算出するためには、複数の二次電池セル21の電圧の計測タイミングと電流の計測タイミングとを高い精度で一致させる必要がある。
【0064】
また、一般的には、この電流の計測は、バスバーの1箇所を対象としてBMU側で行われ、複数のセル監視回路のそれぞれは、個別のクロック発振器を備え、複数のセル監視回路は同期することなく独立に動作する。この場合、電圧の計測タイミングは、デージ通信によってBMU側から指示されるが、通信時間の遅れと複数のセル監視回路のクロック発信器のバラツキにより、電流と電圧との計測タイミングを精度良く同期させることができない。
【0065】
これに対し、BMS100bでは、複数のセル監視回路30bに単一の交流電源12aから交流電力が供給されている。したがって、クロック生成回路39bが交流電力の周波数に基づいてクロック信号を生成することで、複数のセル監視回路30bそれぞれのシステムクロックを同期させることができる。さらに、交流電力の周波数にBMU10b側の電流計測タイミングを同期させることで、セル監視回路30bが行う二次電池セル21の電圧の計測タイミングと、BMU10b側の電流の計測タイミングとを精度良く同期させることができる。
【0066】
そうすると、BMS100bは、二次電池セル21の内部インピーダンスを正確に計測することで正確なOCVを算出することができ、より高精度にSOC及びSOHを算出することができる。
【0067】
[変形例]
セル監視回路30bは、1つの二次電池セル21のみを監視対象としてもよい。
図7は、セル監視回路30bが1つの二次電池セル21のみを監視対象とするBMS(実施の形態3の変形例に係るBMS)の機能構成の概略を示す図である。
図7に示されるBMS100cでは、計測回路31cは、マルチプレクサ33を備えていない。つまり、BMS100cでは、マルチプレクサ33を省略することが可能である。なお、実施の形態1及び2において、セル監視回路30またはセル監視回路30aは、1つの二次電池セル21のみを監視対象としてもよい。
【0068】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4に係るBMSについて説明する。まず、実施の形態4に係るBMSの構成について説明する。
図8は、実施の形態4に係るBMSの機能構成の概略を示す図である。なお、実施の形態4では、実施の形態1~3との相違点を中心に説明が行われ、実施の形態1~3で説明された事項については、適宜、説明が省略または簡略化される。
【0069】
実施の形態3に係るBMS100dは、BMU10bと、複数の組電池20(
図8で図示せず)と、複数の組電池20に対応する複数のセル監視回路30dとを備える。
【0070】
セル監視回路30dは、変換回路39aの後段に電圧検知回路39dを備える。図示されないが、セル監視回路30dのその他の構成は、セル監視回路30bと同様である。
【0071】
電圧検知回路39dは、変換回路39aの出力電圧に応じて計測回路31の起動または停止を制御するための制御信号を出力する。電圧検知回路39dは、具体的には、コンパレータ回路などによって実現され、変換回路39aの出力電圧が所定電圧以上になると制御信号(ハイレベル)を出力する。電圧検知回路39dは、変換回路39aの出力電圧が所定電圧未満の場合は制御信号を停止する(ローレベル)。なお、制御信号の論理は逆であってもよく、電圧検知回路39dは、変換回路39aの出力電圧が所定電圧未満の場合に制御信号(ハイレベル)を出力し、変換回路39aの出力電圧が所定電圧以上の場合は制御信号を停止(ローレベル)してもよい。
【0072】
上述のように、変換回路39aは、交流電源12aからの交流電力を直流電力に変換するため、電圧検知回路39dは、セル監視回路30dに交流電源12aから交流電力が供給され始めると制御信号を出力する回路であるといえる。この制御信号は、例えば、セル監視回路30dの起動または停止を制御するための信号(例えば、パワーオンリセット信号など)であり、具体的には、制御回路36に出力される。
【0073】
一般的に、組電池20が使用されていないときには、セル監視回路をシャットダウンして、組電池20の電力消費を極力抑える必要がある。例えば、BMSが電気自動車に搭載される場合、電気自動車が停止している状態で組電池20の充電が行われずに1~2年程度放置されても、組電池20が完全放電状態にならないこと(電気自動車が動作できること)が必要である。
【0074】
セル監視回路をシャットダウンするために、セル監視回路(より詳細には、セル監視回路に相当するバッテリマネジメントIC。言い換えれば、電池監視IC。)は、シャットダウンモードを有するが、シャットダウンモード時のセル監視回路を起動させる方法には検討の余地がある。BMUは、組電池20などの高電圧系とは別の電源系統を使用するため、基準電圧がセル監視回路と異なる。BMUがセル監視回路を起動させるには、ガルバニックアイソレーション境界を超えて起動信号をセル監視回路に与える必要がある。
【0075】
起動信号をセル監視回路に与える方法としては、フォトカプラを用いる方法、及び、デージ通信インターフェースを通じて起動信号を送信する方法などが考えられる。フォトカプラを用いる方法では、複数のセル監視回路とBMUとの間を接続する配線またはハーネスが必要であることが課題である。また、デージ通信インターフェースを通じて起動信号を送信する方法では、シャットダウンモード時もセル監視回路30dが起動信号を受信できるように受信回路をオフすることができず、シャットダウンモード時にわずかな消費電力が必要となるという課題がある。
【0076】
これに対し、BMS100dでは、BMU10bは、交流電源12aのオン及びオフによって電圧検知回路39dから計測回路31への制御信号(つまり、起動信号)のオン及びオフを制御できる。つまり、交流電力を検知する電圧検知回路39dがセル監視回路30d側に設置されることで、BMU10bは、容易にセル監視回路30dを起動することができる。
【0077】
なお、交流電力を直流電力に変換する変換回路39aは、具体的には、ダイオードブリッジと平滑コンデンサで構成できるので回路電流は不要である。また、電圧検知回路39dは、交流電力を整流したDC電源に基づいて動作するため、組電池20側から電源供給を受ける必要がない。したがって、セル監視回路30dのような構成によれば、シャットダウンモード時にセル監視回路30dが消費する組電池20からの供給電力をほぼゼロにすることができる。
【0078】
(まとめ)
以上説明したように、セル監視回路30は、二次電池セル21の蓄電量を計測する計測回路31と、計測回路31が二次電池セル21とは異なる電源から非接触で電力供給を受けるためのトランス38と、二次電池セル21の状態を管理するBMU10に、計測回路31によって計測された蓄電量を示す情報を、トランス38を介して送信する通信回路37とを備える。二次電池セル21は、蓄電セルの一例であり、トランス38は、絶縁素子の一例であり、BMU10は、管理装置の一例である。なお、セル監視回路30a、30b、及び、30dも同様の構成である。
【0079】
このようなセル監視回路30は、二次電池セル21とは別の電源からの電力供給経路を、BMU10との通信経路としても使用するため、通信に関する構成要素の追加を抑制しつつ、セル監視回路30の動作電力のばらつきによってセルバランスが崩れることを抑制することができる。
【0080】
また、例えば、BMS100bにおいては、上記電源は、交流電源12aであり、セル監視回路30bは、さらに、交流電源12aからトランス38を介して供給される交流電力を直流電力に変換し、直流電力を計測回路31に供給する変換回路39aを備える。
【0081】
このようなセル監視回路30bは、交流電力を直流電力に変換して動作することができる。
【0082】
また、例えば、BMS100bにおいては、トランス38は、交流電力線50bを介してく交流電源12aに接続される。交流電力線50bには、セル監視回路30bとは異なる他のセル監視回路30b、及び、BMS100bが接続される。
【0083】
このようなセル監視回路30bは、他のセル監視回路30bと共通の交流電力線50bを用いてBMU10と通信を行うことができる。
【0084】
また、例えば、BMS100bにおいては、通信回路37は、交流電力の周波数よりも高い周波数帯域を使用して通信を行う。
【0085】
このようなセル監視回路30bは、伝送路のインピーダンス特性においてインピーダンスが高い周波数帯域を使用して比較的低い通信電力で通信を行うことができる。
【0086】
また、例えば、BMS100bにおいては、通信回路37は、周波数帯域のうちの一部をセル監視回路30bに割り当てられた通信チャンネルとして使用する。
【0087】
このようなセル監視回路30bは、通信チャンネルを活用することで、通信速度及び通信品質を向上することができる。
【0088】
また、例えば、セル監視回路30dは、さらに、変換回路39aの出力電圧に応じて計測回路31の起動または停止を制御するための制御信号を出力する電圧検知回路39dを備える。
【0089】
このようなセル監視回路30dによれば、BMU10bは、容易にセル監視回路30dを起動することができる。
【0090】
また、例えば、セル監視回路30bは、さらに、交流電力の周波数に同期したクロック信号を生成するクロック生成回路39bを備える。計測回路31は、生成されたクロック信号に基づいて二次電池セル21の蓄電量を計測する。
【0091】
これにより、例えば、単一の交流電源12aから複数のセル監視回路30bに交流電力が供給されているときには、交流電力を利用して複数のセル監視回路30bそれぞれのシステムクロックを同期させることができる。
【0092】
また、例えば、セル監視回路30bは、さらに、セル監視回路30bを他のセル監視回路30bと識別するためのアドレスが記憶される記憶部35を備える。アドレスは、識別情報の一例である。
【0093】
このようなセル監視回路30bによって、セル監視回路30bのアドレスが付与された蓄電量が送信されれば、BMU10bは、通信によって取得した蓄電量がどのセル監視回路30bから送信されたものかを区別して管理することができる。
【0094】
また、BMS100は、二次電池セル21の状態を管理するBMU10と、セル監視回路30とを備える。セル監視回路30は、二次電池セル21の蓄電量を計測する計測回路31と、計測回路31が二次電池セル21とは異なる電源から非接触で電力供給を受けるためのトランス38と、BMU10に、計測回路によって計測された蓄電量を示す情報を、トランス38を介して送信する通信回路37とを備える。BMS100は、管理システムの一例である。
【0095】
このようなBMS100は、二次電池セル21とは別の電源からの電力供給経路を、BMU10及びセル監視回路30の通信経路としても使用するため、通信に関する構成要素の追加を抑制しつつ、セル監視回路30の動作電力のばらつきによってセルバランスが崩れることを抑制することができる。
【0096】
また、例えば、BMS100bは、複数の二次電池セル21に対応する複数のセル監視回路30bを備える。複数のセル監視回路30bのそれぞれは、当該セル監視回路30が備えるトランス38を介して、複数のセル監視回路30bに共通の交流電力線50bに接続される。BMU10bは、交流電力線50bを介して複数のセル監視回路30bのそれぞれと通信を行う。
【0097】
このようなBMS100bにおいて、BMU10bは、複数のセル監視回路30bに共通の交流電力線50bを用いて複数のセル監視回路30bのそれぞれと通信を行うことができる。
【0098】
また、例えば、BMS100bにおいて、BMU10bは、交流電力線50bを通じて交流電力の周波数よりも高い周波数帯域を使用して通信を行う。複数のセル監視回路30bのそれぞれは、周波数帯域のうちの一部を当該セル監視回路30bに割り当てられた通信チャンネルとして使用する。
【0099】
このようなBMS100bは、通信チャンネルを活用することで、通信速度及び通信品質を向上することができる。
【0100】
また、例えば、BMS100bにおいて、複数のセル監視回路30bのそれぞれは、さらに、当該セル監視回路30bを他のセル監視回路30bと識別するためのアドレスが記憶される記憶部35を備え、計測された蓄電量に、当該セル監視回路30bのアドレスが付与された情報をBMU10bに送信する。
【0101】
このようなBMS100bにおいては、セル監視回路30bによってセル監視回路30bのアドレスが付与された情報が送信さることで、BMU10bは、通信によって取得した蓄電量がどのセル監視回路30bから送信されたものかを区別して管理することができる。
【0102】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0103】
例えば、上記実施の形態では、絶縁素子としてトランスが例示されたが、絶縁素子は、電磁共鳴結合器などの他の絶縁素子であってもよい。
【0104】
また、上記実施の形態では、電気自動車に用いられる組電池が管理対象とされたが、BMSは、どのような用途の電池を管理してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態で説明された回路構成は、一例であり、本開示は上記回路構成に限定されない。つまり、上記回路構成と同様に、本開示の特徴的な機能を実現できる回路も本開示に含まれる。例えば、上記回路構成と同様の機能を実現できる範囲で、ある素子に対して、直列又は並列に、スイッチング素子(トランジスタ)、抵抗素子、または容量素子等の素子が接続されたものも本開示に含まれる。
【0106】
また、上記実施の形態において、セル監視回路に含まれる構成要素は、どのように集積化されてもよい。例えば、計測回路、及び、通信回路は、単一の集積回路として実現されてもよいし、それぞれ別の集積回路として実現されてもよい。
【0107】
また、上記実施の形態では、セル監視回路は、ハードウェアによって実現された。しかしながら、セル監視回路に含まれる構成要素の一部は、当該構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。セル監視回路に含まれる構成要素の一部は、CPU(Central Processing Unit)またはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0108】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、上記実施の形態において説明された動作において、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して行われてもよい。
【0109】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、または、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【0110】
例えば、本開示は、BMU、蓄電キャパシタマネジメントシステム、または、蓄電キャパシタマネジメントユニットなどとして実現されてもよい。本開示は、上記実施の形態のセル監視回路またはBMSを搭載した電気自動車などの車両として実現されてもよい。本開示は、上記実施の形態のセル監視回路またはBMSを搭載した車両以外の機器として実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本開示のセル監視回路、及び、これを用いたBMSは、車載用途などに幅広く利用できる。
【符号の説明】
【0112】
10、10a、10b BMU
11、37 通信回路
12 一次側電源回路
12a 交流電源
13 制御マイコン
14、38 トランス
20 組電池
21 二次電池セル
30、30a、30b、30d セル監視回路
31、31c 計測回路
32 スイッチング素子
33 マルチプレクサ
34 AD変換器
35 記憶部
36 制御回路
39 二次側電源回路
39a 変換回路
39b クロック生成回路
39d 電圧検知回路
40 スイッチング電源回路
50 電力線
50a、50b 交流電力線
100、100a、100b、100c、100d BMS