(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】高電圧遮断器
(51)【国際特許分類】
H01H 33/12 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
H01H33/12
(21)【出願番号】P 2020568422
(86)(22)【出願日】2019-06-05
(86)【国際出願番号】 EP2019064679
(87)【国際公開番号】W WO2019234110
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2022-06-03
(32)【優先日】2018-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】523380173
【氏名又は名称】ヒタチ・エナジー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HITACHI ENERGY LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリコ,エンニオ
(72)【発明者】
【氏名】カラマリ,マッテオ
(72)【発明者】
【氏名】ファッビ,ロベルト
【審査官】井上 信
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第4289941(US,A)
【文献】実開昭60-24113(JP,U)
【文献】西独国実用新案公開第1637309(DE,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 33/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電圧遮断ユニット(1)であって、少なくとも第1の固定メインコンタクト(21)および第1の固定補助コンタクト(22)を有する固定コンタクトアセンブリ(2)と、
少なくとも第1の可動メインコンタクト(31)および第1の可動補助コンタクト(32)を有する可動コンタクトアセンブリ(3)とを含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)および前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1の固定メインコンタクト(21)および前記第1の固定補助コンタクト(22)に対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置へと回転する高電圧遮断ユニット(1)において、前記遮断ユニット(1)の開動作中において、前記第1の固定メインコンタクト(21)からの前記第1の可動メインコンタクト(31)の分離が、前記第1の固定補助コンタクト(22)からの前記第1の可動補助コンタクト(32)の分離の前に行われ、
さらに、前記第1の可動補助コンタクト(32)と前記第1の固定補助コンタクト(22)との間の相対開速度V1は、前記第1の可動メインコンタクト(31)と前記第1の固定メインコンタクト(21)との間の相対開速度V2よりも大きく、
前記第1の可動メインコンタクト(31)は、第1のコンタクトアーム(311)および第2のコンタクトアーム(312)を含み、
前記固定コンタクトアセンブリ(2)は固定コンタクト本体(20)を含み、
前記第1の固定メインコンタクト(21)は、前記固定コンタクト本体(20)の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面(211)および第2のコンタクト表面(212)を含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)の前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)は、それらのそれぞれの対向する表面上にコンタクトストリップ(350)を含み、前記コンタクトストリップ(350)は、前記固定コンタクト本体(20)の前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)に動作可能に結合可能であり、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、第2の回転軸(320)上に堅牢に固定されるコンタクト支持部(321)と、前記コンタクト支持部(321)の端に存在するコンタクトヘッド(322)とを含み、
前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)は、第1の回転軸(310)に沿って互いに平行かつ離間し、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1のコンタクトアーム(311)と前記第2のコンタクトアーム(312)との間に位置決めされる、高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項2】
高電圧遮断ユニット(1)であって、少なくとも第1の固定メインコンタクト(21)および第1の固定補助コンタクト(22)を有する固定コンタクトアセンブリ(2)と、
少なくとも第1の可動メインコンタクト(31)および第1の可動補助コンタクト(32)を有する可動コンタクトアセンブリ(3)とを含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)および前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1の固定メインコンタクト(21)および前記第1の固定補助コンタクト(22)に対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置へと回転する高電圧遮断ユニット(1)において、前記遮断ユニット(1)の開動作中において、前記第1の固定メインコンタクト(21)からの前記第1の可動メインコンタクト(31)の分離が、前記第1の固定補助コンタクト(22)からの前記第1の可動補助コンタクト(32)の分離の前に行われ、
さらに、前記第1の可動補助コンタクト(32)と前記第1の固定補助コンタクト(22)との間の相対開速度V1は、前記第1の可動メインコンタクト(31)と前記第1の固定メインコンタクト(21)との間の相対開速度V2よりも大きく、
前記第1の可動メインコンタクト(31)は、第1のコンタクトアーム(311)および第2のコンタクトアーム(312)を含み、
前記固定コンタクトアセンブリ(2)は固定コンタクト本体(20)を含み、
前記第1の固定メインコンタクト(21)は、前記固定コンタクト本体(20)の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面(211)および第2のコンタクト表面(212)を含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)の前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)は、それらのそれぞれの対向する表面上にコンタクトストリップ(350)を含み、前記コンタクトストリップ(350)は、前記固定コンタクト本体(20)の前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)に動作可能に結合可能であり、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、第2の回転軸(320)上に堅牢に固定されるコンタクト支持部(321)と、前記コンタクト支持部(321)の端に存在するコンタクトヘッド(322)とを含み、
前記第1の固定補助コンタクト(22)は、前記固定コンタクト本体(20)の底部に位置決めされる第3のコンタクト表面(223)を含み、前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)は、互いに実質的に平行であり、前記第3のコンタクト表面(223)は、前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)に実質的に垂直である、高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項3】
前記コンタクトヘッド(322)は、前記固定コンタクト本体(20)の前記第3のコンタクト表面(223)に動作可能に結合可能である、請求項
2に記載の高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項4】
高電圧遮断ユニット(1)であって、少なくとも第1の固定メインコンタクト(21)および第1の固定補助コンタクト(22)を有する固定コンタクトアセンブリ(2)と、
少なくとも第1の可動メインコンタクト(31)および第1の可動補助コンタクト(32)を有する可動コンタクトアセンブリ(3)とを含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)および前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1の固定メインコンタクト(21)および前記第1の固定補助コンタクト(22)に対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置へと回転する高電圧遮断ユニット(1)において、前記遮断ユニット(1)の開動作中において、前記第1の固定メインコンタクト(21)からの前記第1の可動メインコンタクト(31)の分離が、前記第1の固定補助コンタクト(22)からの前記第1の可動補助コンタクト(32)の分離の前に行われ、
さらに、前記第1の可動補助コンタクト(32)と前記第1の固定補助コンタクト(22)との間の相対開速度V1は、前記第1の可動メインコンタクト(31)と前記第1の固定メインコンタクト(21)との間の相対開速度V2よりも大きく、
前記第1の可動メインコンタクト(31)は、第1のコンタクトアーム(311)および第2のコンタクトアーム(312)を含み、
前記固定コンタクトアセンブリ(2)は固定コンタクト本体(20)を含み、
前記第1の固定メインコンタクト(21)は、前記固定コンタクト本体(20)の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面(211)および第2のコンタクト表面(212)を含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)の前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)は、それらのそれぞれの対向する表面上にコンタクトストリップ(350)を含み、前記コンタクトストリップ(350)は、前記固定コンタクト本体(20)の前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)に動作可能に結合可能であり、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、第2の回転軸(320)上に堅牢に固定されるコンタクト支持部(321)と、前記コンタクト支持部(321)の端に存在するコンタクトヘッド(322)とを含み、
前記可動コンタクトアセンブリ(3)は、前記第1の可動補助コンタクト(32)に前記開速度V1を与えるスナップ作用により、前記第1の可動補助コンタクト(32)に作用する弾性デバイス(4)を含むか、または、
前記可動コンタクトアセンブリ(3)は、前記第1の可動補助コンタクト(32)に前記開速度V1を与えるスナップ作用により、前記第1の可動補助コンタクト(32)に作用する弾性デバイス(4)を含み前記弾性デバイス(4)は、ばねデバイスを含み、
前記弾性デバイス(4)は、前記コンタクト支持部(321)と前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)との間でそれぞれ前記第2の回転軸(320)上に同軸にマウントされる第1のねじりばね(41)および第2のねじりばね(42)を含む、高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項5】
高電圧遮断ユニット(1)であって、少なくとも第1の固定メインコンタクト(21)および第1の固定補助コンタクト(22)を有する固定コンタクトアセンブリ(2)と、
少なくとも第1の可動メインコンタクト(31)および第1の可動補助コンタクト(32)を有する可動コンタクトアセンブリ(3)とを含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)および前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1の固定メインコンタクト(21)および前記第1の固定補助コンタクト(22)に対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置へと回転する高電圧遮断ユニット(1)において、前記遮断ユニット(1)の開動作中において、前記第1の固定メインコンタクト(21)からの前記第1の可動メインコンタクト(31)の分離が、前記第1の固定補助コンタクト(22)からの前記第1の可動補助コンタクト(32)の分離の前に行われ、
さらに、前記第1の可動補助コンタクト(32)と前記第1の固定補助コンタクト(22)との間の相対開速度V1は、前記第1の可動メインコンタクト(31)と前記第1の固定メインコンタクト(21)との間の相対開速度V2よりも大きく、
前記第1の可動メインコンタクト(31)は、第1のコンタクトアーム(311)および第2のコンタクトアーム(312)を含み、
前記固定コンタクトアセンブリ(2)は固定コンタクト本体(20)を含み、
前記第1の固定メインコンタクト(21)は、前記固定コンタクト本体(20)の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面(211)および第2のコンタクト表面(212)を含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)の前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)は、それらのそれぞれの対向する表面上にコンタクトストリップ(350)を含み、前記コンタクトストリップ(350)は、前記固定コンタクト本体(20)の前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)に動作可能に結合可能であり、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、第2の回転軸(320)上に堅牢に固定されるコンタクト支持部(321)と、前記コンタクト支持部(321)の端に存在するコンタクトヘッド(322)とを含み、
前記遮断ユニット(1)の閉位置において、前記第1の可動メインコンタクト(31)は、前記第1の固定メインコンタクト(21)に結合される一方、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1の固定補助コンタクト(22)から切り離され、前記遮断ユニット(1)の前記開動作は、前記第1の可動メインコンタクト(31)が回転し、かつ、前記第1の固定メインコンタクト(21)に接触したままである一方、前記第1の可動補助コンタクト(32)が前記第1の固定補助コンタクト(22)に接触される第1のステップと、前記第1の可動メインコンタクト(31)が回転し続けるとともに前記開速度V2で前記第1の固定メインコンタクト(21)から切り離される一方、前記第1の可動補助コンタクト(32)が前記第1の可動メインコンタクト(31)の回転方向と反対の方向に曲げ戻されるとともに、それとの電気的接触を維持する前記第1の固定補助コンタクト(22)上を摺動する第2のステップと、前記第1の可動メインコンタクト(31)が回転し続ける一方、前記第1の可動補助コンタクト(32)が前記第1の固定補助コンタクト(22)から前記開速度V1で離れるようにスナップする第3のステップと、前記第1の可動メインコンタクト(31)および前記第1の可動補助コンタクト(32)の両方が、対応する前記第1の固定メインコンタクト(21)および前記第1の固定補助コンタクト(22)から切り離される第4のステップと、を含む、高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項6】
前記可動コンタクトアセンブリ(3)は、前記第1の可動補助コンタクト(32)に前記開速度V1を与えるスナップ作用により、前記第1の可動補助コンタクト(32)に作用する弾性デバイス(4)を含むか、または、
前記可動コンタクトアセンブリ(3)は、前記第1の可動補助コンタクト(32)に前記開速度V1を与えるスナップ作用により、前記第1の可動補助コンタクト(32)に作用する弾性デバイス(4)を含み前記弾性デバイス(4)は、ばねデバイスを含み、
前記第3のステップにおいて、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記弾性デバイス(4)の作用下において、前記第1の可動メインコンタクト(31)の同じ方向における回転によって前記第1の固定補助コンタクト(22)から離れるようにスナップする、請求項5に記載の高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項7】
高電圧遮断ユニット(1)であって、少なくとも第1の固定メインコンタクト(21)および第1の固定補助コンタクト(22)を有する
第1の固定コンタクトアセンブリ(2)と、
少なくとも第1の可動メインコンタクト(31)および第1の可動補助コンタクト(32)を有する可動コンタクトアセンブリ(3)とを含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)および前記第1の可動補助コンタクト(32)は、前記第1の固定メインコンタクト(21)および前記第1の固定補助コンタクト(22)に対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置へと回転する高電圧遮断ユニット(1)において、前記遮断ユニット(1)の開動作中において、前記第1の固定メインコンタクト(21)からの前記第1の可動メインコンタクト(31)の分離が、前記第1の固定補助コンタクト(22)からの前記第1の可動補助コンタクト(32)の分離の前に行われ、
さらに、前記第1の可動補助コンタクト(32)と前記第1の固定補助コンタクト(22)との間の相対開速度V1は、前記第1の可動メインコンタクト(31)と前記第1の固定メインコンタクト(21)との間の相対開速度V2よりも大きく、
前記第1の可動メインコンタクト(31)は、第1のコンタクトアーム(311)および第2のコンタクトアーム(312)を含み、
前記第1の固定コンタクトアセンブリ(2)は固定コンタクト本体(20)を含み、
前記第1の固定メインコンタクト(21)は、前記固定コンタクト本体(20)の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面(211)および第2のコンタクト表面(212)を含み、
前記第1の可動メインコンタクト(31)の前記第1のコンタクトアーム(311)および前記第2のコンタクトアーム(312)は、それらのそれぞれの対向する表面上にコンタクトストリップ(350)を含み、前記コンタクトストリップ(350)は、前記固定コンタクト本体(20)の前記第1のコンタクト表面(211)および前記第2のコンタクト表面(212)に動作可能に結合可能であり、前記第1の可動補助コンタクト(32)は、第2の回転軸(320)上に堅牢に固定されるコンタクト支持部(321)と、前記コンタクト支持部(321)の端に存在するコンタクトヘッド(322)とを含み、
前記第1の固定コンタクトアセンブリ(2)から離間される第2の固定コンタクトアセンブリを少なくとも含むか、または、
前記第1の固定コンタクトアセンブリ(2)および前記第2の固定コンタクトアセンブリから離間される第3の固定コンタクトアセンブリを含み、前記第2の固定コンタクトアセンブリおよび前記第3の固定コンタクトアセンブリのうちの1つは接地電位にある、高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項8】
前記可動コンタクトアセンブリ(3)には、前記第2の固定コンタクトアセンブリおよび/または前記第3の固定コンタクトアセンブリに結合可能/切り離し可能な第2の可動メインコンタクトおよび第2の可動補助コンタクトが設けられる、請求項
7に記載の高電圧遮断ユニット(1)。
【請求項9】
請求項1に記載の遮断ユニット(1)を含む、高電圧スイッチギア。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
説明
本発明は、高電圧遮断器に関し、特に、高電圧金属封入スイッチギアにおいて使用される高電圧遮断器または組み合わされた遮断器および接地スイッチのコンタクトアセンブリに関する。本発明の目的のために、「高電圧」という用語は、ACの1000ボルトを上回る動作電圧を指すよう使用される。
【背景技術】
【0002】
特に、本発明に従った高電圧遮断器は、その革新的な構造により、シンプル、効果的かつコンパクトなソリューションに従って、必要とされる電気的動作の実行を最適化することを可能にする。
【0003】
ガス絶縁スイッチギア装置における遮断のための電気的動作または遮断および接地のための電気的動作は、対応する固定コンタクトに対して結合/切り離し得る1つ以上の可動コンタクトの平行移動によって行われ得ることが、現状技術から既知である。既知のタイプのデバイスの有意な欠点は、たとえば入力ラインまたは出力ライン上での遮断のためにさまざまな動作を実行するために、当該デバイスが、互いに対して構造的に別体かつ別個である専用の構成要素を使用するという事実によるものである。これにより、さまざまな動作を実現するのに用いられる構成要素の数が多くなり、装置の全体の寸法および容積の増加を伴うことになり、その結果、コスト面でさらなる負担がかかることになる。
【0004】
さらに、遮断ユニット、または、組み合わされた遮断および接地ユニットは、典型的にはモータドライブである回転作動手段によって動作され得ることが現状技術から既知である。可動コンタクトは、通常、モータに堅牢に固定され、必要とされる遮断および/または接地動作を実行するためにモータにより堅牢に回転する。
【0005】
開閉動作中に生じる電気アークに耐えるために、固定および可動コンタクトアセンブリには、通常、補助コンタクトが設けられる。補助コンタクトは、開閉動作中に電流がその中へスイッチングされる電気アークに対してより良好な抵抗を有する材料から形成されるか、または、当該材料を含む。当該材料の例としては、W/Cu合金が挙げられる。
【0006】
ダブルバスバー(DBB: Double Bus Bar)空気絶縁スイッチギア(AIS: Air Insulated Switchgear)におけるバス切替(Bus Transfer)動作における場合のような特定の場合、一般にガス絶縁スイッチギア(GIS: Gas Insulated Switchgear)におけるよりもはるかに高い有意な電圧降下による、2つのバスバー間のある電圧差に対処する必要がある。そのような条件下では、アークコンタクト材料の急速なアブレーションにつながり得る有意なアークエネルギーが存在する。
【0007】
したがって、スイッチギアの適切な機能性を保証するために、そのような用途のための標準的な要件(たとえば、IEC標準バス切替電流スイッチングテスト(IEC Standard Bus Transfer Current Switching test))は、N°100 CO動作からなるバス切替電流スイッチングテストに適用されるべき電圧定格および電流定格を定義する際に特に厳しい。
【0008】
たとえば、170kVの公称電圧および≧2000Aの定格正常電流を有する用途を参照して、バス切替定格は100V/1600Aである。これらの条件において、コンタクトを回転するための通常使用される速度では、補助コンタクトは、開の際に、たとえば>100msの時間で延長された電気アーク持続時間に晒され、閉の際に、有意なプレアークを伴う。
【0009】
そのような有意なアークエネルギーは、アークコンタクト材料の急速なアブレーションにつながり、絶縁協調が失なわれる。公称コンタクトはアークによって累進的に影響を受け、DS機能性が失われ、バス切替テストの失敗につながる。
【0010】
上で概説した問題を回避し、かつ、回転DSまたは組み合わされたDS/ESによるバス切替テストに合格するために、開の際の電気アーク持続時間は、許容可能なアークエネルギーレベルにまで大きく低減されなければならない。
【0011】
したがって、アークコンタクト同士間の相対開速度は、有意に増加されるべきであり、たとえば、少なくとも10倍多く増加されるべきである。これは、高速ドライブによって達成され得るが、そのようなソリューションは、必ず、モータドライブのサイズの有意な過大化ならびにコストおよび技術的リスク(機械的、シーリングなど)の増加につながる。
【0012】
上記の考察に基づいて、上述の限界および問題を克服することを可能にする高電圧遮断ユニットのための利用可能な技術的ソリューションを有する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
したがって、本開示は、上述の欠点のうちの少なくともいくつかを克服することを可能にする高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0014】
特に、本発明は、遮断ユニットの開閉動作時における電気アークの悪影響に耐えることが可能な高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、遮断ユニットの作動ドライブのサイズを過大化することなく、適切なアーク抵抗を保証することができる高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0016】
さらに、本発明は、電気アークの形成の場合におけるコンタクト表面のアブレーションが有意に低減される高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0017】
さらに、本発明は、閉動作時の電気アークのプレストライキング(pre-striking)のリスクが有意に低減される高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0018】
さらに、本発明は、バス切替標準テストをある安全マージンでパスすることができる高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0019】
さらに、本発明は、回転DSまたは組み合わされたDS/ESの一般的な電力テスト性能が増加される高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【0020】
さらに、本発明は、構成要素の数が低減されたコンパクトな構造を有し、信頼性があり、かつ、競争力のあるコストで相対的に容易に製造される高電圧遮断ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
したがって、本発明は、少なくとも第1の固定メインコンタクトおよび第1の固定補助コンタクトを有する固定コンタクトアセンブリと、少なくとも第1の可動メインコンタクトおよび第1の可動補助コンタクトを有する可動コンタクトアセンブリとを含む高電圧遮断ユニットであって、第1の可動メインコンタクトおよび第1の可動補助コンタクトは、第1の固定メインコンタクトおよび第1の固定補助コンタクトに対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置へと回転する高電圧遮断ユニットに関する。本開示の高電圧遮断ユニットは、遮断ユニットの開動作中において、第1の固定メインコンタクトからの第1の可動メインコンタクトの分離が、第1の固定補助コンタクトからの第1の可動補助コンタクトの分離の前に行われることを特徴し、さらに、第1の可動補助コンタクトと第1の固定補助コンタクトとの間の相対開速度V1は、第1の可動メインコンタクトと第1の固定メインコンタクトとの間の相対開速度V2よりも大きいことを特徴とする。
【0022】
以下の記載においてより良好に説明されるように、本発明の高電圧遮断ユニットの特定の構造、特に固定コンタクトアセンブリおよび可動コンタクトアセンブリの特定の構造によって、上述の問題は回避され得るか、または、少なくとも大幅に低減され得る。
【0023】
実際には、本開示の高電圧遮断ユニットでは、対応する固定メインコンタクトおよび固定補助コンタクトからの可動メインコンタクトおよび可動補助コンタクトの分離は、異なる瞬間および異なる速度で行われ、補助コンタクトの分離は、メインコンタクトの分離よりも後でかつより速い速度で行われる。
【0024】
これにより、可動コンタクトアセンブリの作動ドライブのサイズを過大化する必要なしに、アーク持続時間が有意に低減される。実際、第1の可動メインコンタクトの速度V2は、たとえば、<1.5rad/sといった相対的に低い値に維持される一方、第1の可動補助コンタクトの速度V1は、V2よりも1桁分大きい大きさと同じくらいであり得るか、または、さらに大きくあり得る。これにより、アーク持続時間は大きく低減され得る。
【0025】
以下の記載においてより良好に説明されるように、本開示による高電圧遮断ユニットの典型的な実施形態では、可動コンタクトアセンブリは、有利なことに、対応する第1の固定補助コンタクトから分離する際に、スナップ作用により、第1の可動補助コンタクトに作用する弾性デバイスを含み、これにより、第1の可動補助コンタクトに開速度V2を与える。
【0026】
そのような場合において、弾性デバイスは、ばねデバイスを簡便に含み得、たとえば、第1の可動補助コンタクトにスナップ作用を与えるように適切に位置決めされる1つ以上のばねを簡便に含み得る。
【0027】
本発明に従った高電圧遮断ユニットの有利な実施形態では、第1の可動メインコンタクトは、好ましくは、第1の回転軸の周りを回転し、第1の可動補助コンタクトは、第1の回転軸とは異なるとともに第1の回転軸から離れている第2の回転軸の周りを回転する。
【0028】
実際には、本発明の高圧遮断ユニットでは、開速度V1は、第2の回転軸周りの第1の可動補助コンタクトの回転角速度である一方、開速度V2は、第1の回転軸周りの第1の可動メインコンタクトの回転角速度である。
【0029】
この場合、高電圧遮断ユニットの非常に好ましい実施形態では、第2の回転軸は、有利なことに、第1の可動メインコンタクトの回転中において第1の固定メインコンタクトおよび第1の固定補助コンタクトに対する第2の回転軸の相対位置が変化するように、第1の可動メインコンタクトに旋回可能に固定される。
【0030】
実際には、この実施形態によれば、高圧遮断ユニットの遮断動作中において、第1の可動補助コンタクトの第2の回転軸は、固定コンタクトアセンブリに対して固定されないが、変化する。特に、以下においてより良好に説明されるように、第1の可動補助コンタクトの第2の回転軸と、第1の固定メインコンタクトおよび補助コンタクトとの間の距離は、少なくとも遮断動作の段階中において増加する。
【0031】
ここで開示される高電圧遮断ユニットの特定の実施形態では、第1の可動メインコンタクトは、第1の回転軸に沿って互いに平行かつ離間する第1のコンタクトアームおよび第2のコンタクトアームを含み、第1の可動補助コンタクトは、第1のコンタクトアームと第2のコンタクトアームとの間に位置決めされる。
【0032】
高電圧遮断ユニットの典型的な実施形態は、固定コンタクトアセンブリが固定コンタクト本体を含むことを特徴とする。第1の固定メインコンタクトは、有利なことに、固定コンタクト本体の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面および第2のコンタクト表面を含む。さらに、第1の固定補助コンタクトは、好ましくは、固定コンタクト本体の底部に位置決めされる第3のコンタクト表面を含む。本発明の目的のために、「底部」という用語は、第1の可動補助コンタクトに最も近い固定コンタクト本体の部分を指す。
【0033】
さらに、第1のコンタクト表面および第2のコンタクト表面は、互いに実質的に平行であり、第3のコンタクト表面は、第1のコンタクト表面および第2のコンタクト表面に実質的に垂直である。
【0034】
実際には、本発明のこの非常に好ましい実施形態では、固定コンタクトアセンブリは、単一の固定コンタクト本体によって形成される。当該単一の固定コンタクト本体は、第1および第2の対向する面上に、第1および第2のコンタクト表面を形成する2つの平行な表面を有し、第1および第2の対向する面に垂直な第3の面上に、第3のコンタクト表面を形成する第3の表面を有する。
【0035】
そのような場合、本開示の高電圧遮断ユニットの好ましい実施形態によれば、第1の可動メインコンタクトの第1のコンタクトアームおよび第2のコンタクトアームは、有利なことに、それらのそれぞれの対向する表面上にコンタクトストリップを含み、コンタクトストリップは、以下により良く説明されるように、固定コンタクト本体の第1のコンタクト表面および第2のコンタクト表面に動作可能に結合可能である。
【0036】
さらに、第1の可動補助コンタクトは、有利なことに、第2の回転軸上に堅牢に固定されるコンタクト支持部と、コンタクト支持部の端に存在するコンタクトヘッドとを含み、コンタクトヘッドは、以下においてより良く説明されるように、固定コンタクト本体の第3のコンタクト表面に動作可能に結合可能である。
【0037】
本明細書において開示されるような高電圧遮断ユニットの実施形態では、弾性デバイスは、好ましくは、コンタクト支持部と第1のコンタクトアームおよび第2のコンタクトアームとの間でそれぞれ第2の回転軸上に同軸にマウントされる第1のねじりばねおよび第2のねじりばねを含む。
【0038】
本発明に従った高電圧遮断ユニットの典型的な動作状況では、遮断ユニットの閉位置において、第1の可動メインコンタクトは、第1の固定メインコンタクトに結合される一方、第1の可動補助コンタクトは、第1の固定補助コンタクトから切り離される。したがって、閉位置では、電流は、第1の固定メインコンタクトおよび第1の可動メインコンタクトのみを通って流れる。代替的には、閉位置では、第1の可動メインコンタクトおよび第1の可動補助コンタクトの両方が、対応する固定コンタクトと係合する。
【0039】
次いで、遮断ユニットの開動作は、典型的には、第1の可動メインコンタクトが回転し、かつ、第1の固定メインコンタクトに接触したままである一方、第1の可動補助コンタクトが第1の固定補助コンタクトに接触される第1のステップを含む。この段階の間、電流は、第1の固定メインコンタクトおよび第1の可動メインコンタクトならびに第1の固定補助コンタクトおよび第1の可動補助コンタクトを通って流れる。この第1のステップは、閉位置において、第1の可動メインコンタクトおよび第1の可動補助コンタクトの両方が対応する固定コンタクトと係合する場合、存在しない。
【0040】
遮断ユニットの開動作の第2のステップでは、第1の可動メインコンタクトが回転し続けるとともに開速度V2で第1の固定メインコンタクトから切り離される一方、第1の可動補助コンタクトが第1の可動メインコンタクトの回転方向と反対の方向に曲げ戻されるとともに、それとの電気的接触を維持する第1の固定補助コンタクト上を摺動する。したがって、この段階の間、電流経路は、メインコンタクトから補助コンタクトへ転換される。
【0041】
次いで、遮断ユニットの開動作の第3のステップでは、第1の可動メインコンタクトが回転し続ける一方、第1の可動補助コンタクトが第1の固定補助コンタクトから開速度V1で離れるようにスナップする。これは、可動コンタクトアセンブリと固定コンタクトアセンブリとの間の実際の分離が行われ、電気アークが形成される段階である。上で説明したように、開速度V1は、従来の開速度に対して(すなわち、典型的には、ドライブによって可動メインコンタクトに与えられる開速度V2に対して)非常に高くなり得るので、アーク持続時間は大幅に低減され得、これにより、前述の悪影響が最小化される。
【0042】
最後に、遮断ユニットの開位置では、第1の可動メインコンタクトおよび第1の可動補助コンタクトの両方が、対応する第1の固定メインコンタクトおよび第1の固定補助コンタクトから切り離される。
【0043】
ここで開示される高電圧遮断ユニットの好ましい実施形態では、第3のステップにおいて、第1の可動補助コンタクトは、好ましくは、弾性デバイスの作用下において、第1の可動メインコンタクトの同じ方向における回転によって第1の固定補助コンタクトから離れるようにスナップする。
【0044】
以下においてより良好に説明されるように、本発明の好ましい実施形態では、開動作の段階中における第1の可動補助コンタクトは、第1の固定補助コンタクトの表面との機械的干渉によって、第1の可動メインコンタクトの回転方向と反対方向に曲げ戻され、これにより、たとえばばねデバイスといった弾性デバイスに荷重がかかる。
【0045】
次いで、開動作のその後の段階では、第1の可動補助コンタクトと第1の固定補助コンタクトとの間の機械的干渉がなくなり、弾性デバイスの作用下において、第1の可動メインコンタクトの回転方向に第1の可動補助コンタクトが迅速に自由にスナップし、これにより、対応する第1の固定補助コンタクトからの分離が達成される。
【0046】
換言すれば、本発明の非常に好ましい実施形態では、この後者の動作段階では、第1の可動補助コンタクトに作用する弾性手段によって加えられる力は、第1の可動補助コンタクトと第1の固定補助コンタクトとの間の機械的抵抗に打ち勝つ。したがって、第1の可動補助コンタクトは、その回転軸周りの第1の可動補助コンタクトの回転角速度によって実質的に与えられる開速度V1で反時計回りに回転することによって、第1の固定補助コンタクトから離れるように迅速に自由にスナップする。
【0047】
本発明に従った高電圧遮断ユニットの実施形態によれば、遮断ユニットは、少なくとも第2の固定コンタクトアセンブリを含み得る。
【0048】
好ましくは、第2の固定コンタクトアセンブリは、第1の固定コンタクトアセンブリから簡便に離間されており、実施形態では、第1の可動メインコンタクトの回転平面内に位置する。実際には、この実施形態によれば、第1の可動メインコンタクトは、連続するコンタクト位置を通る回転によって、第1または第2の固定コンタクトアセンブリのいずれかと結合され得る。好ましい代替的な実施形態によれば、第2の固定コンタクトアセンブリは、第1の可動メインコンタクトの回転平面の外側に位置し、可動コンタクトアセンブリには、第1の固定コンタクトおよび可動コンタクトと同様の態様で、第2の固定コンタクトと結合可能/切り離し可能な第2の可動メインコンタクトおよび第2の可動補助コンタクトが簡便に設けられる。
【0049】
本発明に従った高電圧遮断ユニットのさらなる好ましい実施形態では、遮断ユニットは、第1の固定コンタクトアセンブリおよび第2の固定コンタクトアセンブリから離間されるとともに第1の可動メインコンタクトの回転平面内に位置する第3の固定コンタクトアセンブリを含み得、第2の固定コンタクトアセンブリおよび第3の固定コンタクトアセンブリのうちの1つは接地電位にある。これにより、高電圧スイッチギアの典型的な組み合わせられた遮断および接地動作を実行することが可能である。
【0050】
特に、接地電位にある固定コンタクトに、対応する固定補助コンタクトが提供される場合、IEC62271-102 Annex Cにおいて特定される誘導電流スイッチングテスト(Induced Current Switching test)のより厳しい定格に達することが可能になる。そうでなければ、はるかに高価な高速接地遮断器の使用が必要になる。
【0051】
開示される遮断ユニットを含む高電圧スイッチギアも、本発明の部分である。
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面において例として示される、本発明の高電圧遮断ユニットの好ましいが排他的ではない実施形態の記載からより明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【
図1】コンタクト閉位置における本発明に従った高電圧遮断ユニットの実施形態の斜視図である。
【
図2】コンタクト開位置における本発明に従った高電圧遮断ユニットの実施形態の斜視図である。
【
図3】コンタクト開位置における本発明に従った高電圧遮断ユニットの実施形態のより詳細な斜視図である。
【
図4】コンタクト閉位置における本発明に従った高電圧遮断ユニットの実施形態の第2の斜視図である。
【
図5】本発明に従った高電圧遮断ユニットの開動作の第1の段階の斜視図である。
【
図6】本発明に従った高電圧遮断ユニットの開動作の第2の段階の斜視図である。
【
図7】本発明に従った高電圧遮断ユニットの開動作の第3の段階の斜視図である。
【
図8】コンタクト開位置における本発明に従った高電圧遮断ユニットの実施形態の第2の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
添付の図面を参照して、本発明の高電圧遮断ユニットは、参照番号1によって示され、そのより一般的な定義において、少なくとも第1の固定メインコンタクト21および第1の固定補助コンタクト22を有する固定コンタクトアセンブリ2を含む。
【0054】
遮断ユニット1はさらに、少なくとも第1の可動メインコンタクト31および第1の可動補助コンタクト32を有する可動コンタクトアセンブリ3を含む。第1の可動メインコンタクト31および第1の可動補助コンタクト32は、第1の固定メインコンタクト21および第1の固定補助コンタクト22に対して、コンタクト閉位置からコンタクト開位置まで回転する。既知の実施形態によれば、第1の可動メインコンタクト31は、所望の開動作または閉動作を実行するために回転運動を第1の可動メインコンタクト31に与える、たとえば電子的に制御される回転モータといったモータドライブに動作可能に接続され得る。
【0055】
本発明の遮断ユニット1の際立った特徴の1つは、遮断ユニット1の開動作中において、第1の固定メインコンタクト21からの第1の可動メインコンタクト31の分離が、対応する第1の固定補助コンタクト22からの第1の可動補助コンタクト32の分離の前に行われるという事実によって与えられる。
【0056】
さらに、本発明の遮断ユニット1は、第1の可動補助コンタクト32と第1の固定補助コンタクト22との間の相対開速度V1が、第1の可動メインコンタクト31と第1の固定メインコンタクト21との間の相対開速度V2よりも大きいことを特徴とする。
【0057】
換言すると、本発明の遮断ユニット1では、メインコンタクト21および31の間の分離は、補助コンタクト32および22の間の分離に対して、異なる時間および異なる速度で行われる。
【0058】
高電圧遮断ユニット1の典型的な実施形態では、可動コンタクトアセンブリ3は、第1の可動補助コンタクト32に開速度V2を与えるスナップ作用により、第1の可動補助コンタクト32に作用する弾性デバイス4をさらに含む。換言すると、たとえばモータドライブにより第1の可動メインコンタクト31が速度V2で移動される間、第1の可動メインコンタクト31の速度V2よりも大きい速度V1でのスナップ作用により、弾性デバイス4によって第1の可動補助コンタクト32の開動作が作動される。
【0059】
好ましくは、弾性デバイス4は簡便には、たとえば、好適に位置決めされる1つ以上のねじりばねといったばねデバイスを含み得る。
【0060】
示される実施形態では、高圧遮断ユニット1の開閉動作は、第1の回転軸310周りの第1の可動メインコンタクト31の回転と、第2の回転軸320周りの第1の可動補助コンタクト32の回転とによって行われる。
【0061】
特に
図1~
図3を参照して、第1の回転軸310の位置は、第1の固定メインコンタクト21および第1の固定補助コンタクト22に対して固定される一方、第2の回転軸320は、第1の可動メインコンタクト31、特に、第1の回転軸310に対するその偏心位置において、旋回可能に固定される。
【0062】
実際には、開速度V1は、第2の回転軸320周りの第1の可動補助コンタクト32の回転角速度によって与えられる一方、開速度V2は、第1の回転軸310周りの第1の可動メインコンタクト31の回転角速度によって与えられる。
【0063】
したがって、第1の固定メインコンタクト21および第1の固定補助コンタクト22に対する第2の回転軸320の相対位置は、第1の可動メインコンタクト31の回転中において変化する。特に、
図1の閉位置では、第2の回転軸320は、第1の回転軸310と、固定メインコンタクト21および固定補助コンタクト22との間に位置決めされる一方、
図2および
図3の開位置では、第2の回転軸320は、反時計回りに動かされ、固定メインコンタクト21および固定補助コンタクト22からのその距離が増加される。
【0064】
添付の図面に示される高電圧遮断ユニット1の実施形態では、第1の可動メインコンタクト31は、互いに平行である第1のコンタクトアーム311および第2のコンタクトアーム312を含む。さらに、第1のコンタクトアーム311および第2のコンタクトアーム312は、第1の回転軸310に沿って互いから離間し、これによりそれらの間に空間が残される。
【0065】
これにより、第1の可動補助コンタクト32は、第1のコンタクトアーム311と第2のコンタクトアーム312との間の上記空間に簡便に位置決めされ得、これにより、可動コンタクトアセンブリ3の非常にコンパクトな構造が得られる。
【0066】
添付の図面の実施形態に示されるように、固定コンタクトアセンブリ2は、可動コンタクトアセンブリ3に向かって突出する細長い形状を有する固定コンタクト本体20を含む。
【0067】
次いで、第1の固定メインコンタクト21は、細長い固定コンタクト本体20の対向する面上に位置決めされる第1のコンタクト表面211および第2のコンタクト表面212を含む一方、第1の固定補助コンタクト22は、固定コンタクト本体20の底部、すなわち可動コンタクトアセンブリ3に近い固定コンタクト本体20の端、に位置決めされる第3のコンタクト表面223を含む。
【0068】
実際には、添付の図に明確に示されるように、第1のコンタクト表面211および第2のコンタクト表面212は、互いに実質的に平行である一方、第3のコンタクト表面223は、第1のコンタクト表面211および第2のコンタクト表面212に対して実質的に垂直である。
【0069】
したがって、構成の観点から、固定コンタクトアセンブリ2は、第1および第2の対向する面上に、第1および第2のコンタクト表面を形成する2つの平行な表面211および212を有する単一の固定コンタクト本体20によって簡便に形成され得る。固定コンタクト本体20にはさらに、固定コンタクト本体20の第1および第2の対向する面に垂直な第3の面上に、第3のコンタクト表面を形成する第3の表面223が設けられる。これにより、固定コンタクトアセンブリ2の全体的な設計は、非常にコンパクトな設計を有し得、かつ、非常に容易に製造され得る。
【0070】
特に
図2および
図3に示される実施形態を参照して、第1の可動メインコンタクト31の第1のコンタクトアーム311および第2のコンタクトアーム312は各々、それらのそれぞれの対向する表面上、すなわち、互いに対向する第1のコンタクトアーム311および第2のコンタクトアーム312の表面上、に位置決めされるコンタクトストリップ350を含む。
【0071】
コンタクトストリップ350は、固定コンタクト本体20の第1のコンタクト表面211および第2のコンタクト表面212に動作可能に結合可能であり、遮断ユニット1が閉位置にある際に公称電流経路を提供する。
【0072】
次いで、第1の可動補助コンタクト32は、第2の回転軸320上に堅牢に固定される第1の端を有する細長い本体の形態にあるコンタクト支持部321と、コンタクト支持部321の第2の端に存在するコンタクトヘッド322とを含む。
【0073】
コンタクトヘッド322は、固定コンタクト本体20の第3のコンタクト表面223に動作可能に結合可能であり、遮断ユニット1の開動作のある段階中において、転換電流経路(commutated current path)を提供する。
【0074】
高電圧遮断ユニット1の実施形態では、弾性デバイス4は、コンタクト支持部321と第1のコンタクトアーム311および第2のコンタクトアーム312との間でそれぞれ第2の回転軸(320)上に同軸にマウントされる第1のねじりばね41および第2のねじりばね42を含む。
【0075】
添付の
図4~
図8を参照して、本発明の高圧遮断ユニット1の開動作は、以下のように説明され得る。
【0076】
図4を参照して、遮断ユニット1の閉位置において、第1の可動メインコンタクト31は、第1の固定メインコンタクト21に結合され、これにより、公称電流経路を提供する一方、第1の可動補助コンタクト32は、第1の固定補助コンタクト22から切り離される。
【0077】
次いで、
図5を参照して、開動作の第1のステップにおいて、第1の可動メインコンタクト31は、たとえば反時計回りに回転し、かつ、第1の固定メインコンタクト21に接触したままである一方、第1の可動補助コンタクト32は、第1の固定補助コンタクト22に接触される。この段階の間、電流は、メインコンタクト21,31および補助コンタクト22,32の両方のシステムを通って、メインコンタクト21,31および補助コンタクト22,32のシステムの接触抵抗に依存する強度で流れる。
【0078】
前述のように、高電圧遮断ユニット1のより一般的な実施形態では、閉位置において、第1の可動メインコンタクト31および第1の可動補助コンタクト32の両方が、対応する固定メインコンタクト21および固定補助コンタクト22と係合する。そのような場合、上述の第1のステップは存在しない。
【0079】
図6に示される開動作の第2のステップでは、第1の可動メインコンタクト31が反時計回りに回転し続けるとともに開速度V2で第1の固定メインコンタクト21から切り離される(メインコンタクト開)一方、第1の可動補助コンタクト32が第1の可動メインコンタクト31の回転方向と反対の方向に時計回りに曲げ戻されるとともに、それとの電気的接触を維持する第1の固定メインコンタクト21上を摺動する。したがって、この段階の間、電流経路は、メインコンタクトシステムから補助コンタクトシステムへ転換される。同時に、第1の可動補助コンタクト32が曲げ戻されて時計方向に回転させる、第1の可動補助コンタクト32と第1の固定補助コンタクト22との間の機械的な干渉により、弾性手段4に荷重がかかる。
【0080】
次いで、第1の可動メインコンタクト31は反時計回りに回転し続け、第1の可動補助コンタクト32は、
図7の位置に達するまでその回転軸320が固定コンタクトアセンブリから離れるように動かされる間に、第1の固定補助コンタクト21上を摺動する。
【0081】
そのような位置では、弾性手段4によって加えられる力は、第1の可動補助コンタクト32と第1の固定補助コンタクト22との間の機械的抵抗に打ち勝つ。したがって、第1の可動補助コンタクト32は、回転軸320周りの第1の可動補助コンタクト32の回転角速度によって実質的に与えられる開速度V1で反時計回りに回転することによって、第1の固定補助コンタクト22から離れるように迅速に自由にスナップする。
【0082】
最後に、
図8を参照して、開位置では、第1の可動メインコンタクト31および第1の可動補助コンタクト32の両方が、対応する第1の固定メインコンタクト21および第1の固定補助コンタクト22から切り離される。
【0083】
高圧遮断ユニット1の開動作は、第1の可動メインコンタクト31の反時計周りの動きと、第1の可動補助コンタクト32の時計周りの最初の動きと、その後のその反時計周りのスナップ作用とを参照して記載されている。明らかなことに、当該動作は、第1の可動メインコンタクト31を時計回りに回転し、第1の可動補助コンタクト32を最初に反時計回りに回転し、次いで時計回りに回転することにより、同様の態様で行われ得る。
【0084】
添付の図面に表されていない高電圧遮断ユニット1の特定の実施形態によれば、遮断ユニット1は、少なくとも第2の固定コンタクトアセンブリを含み得る。
【0085】
第2の固定コンタクトアセンブリは、第1の固定コンタクトアセンブリ2から簡便に離間され、第1の可動メインコンタクト31の回転平面内に位置する。実際には、この実施形態によれば、第1の可動メインコンタクト31は、連続するコンタクト位置を通る回転によって、第1の固定コンタクトアセンブリ2または第2の固定コンタクトアセンブリのいずれかと結合され得る。
【0086】
さらに、遮断ユニット1は、第1の固定コンタクトアセンブリ2および第2の固定コンタクトアセンブリから離間される第3の固定コンタクトアセンブリを含み得、第3の固定コンタクトアセンブリは、第1の可動メインコンタクト31の回転平面内に位置しており、第2の固定コンタクトアセンブリ2および第3の固定コンタクトアセンブリのうちの1つが接地電位にある。これにより、高電圧スイッチギアの典型的な組み合わされた遮断および接地動作を実行することが可能である。
【0087】
以上の記載から、ここで開示される高電圧遮断ユニットは、先行技術の遮断ユニットの際立った技術的課題を完全に解決することが明らかである。
【0088】
特に、本発明によって達成され得る固定補助コンタクトと固定メインコンタクトとの間の高い分離速度によって、従来の遮断ユニットに対してアーク持続時間を低減することが可能になる。結果として、電気アークの形成の場合のコンタクト表面のアブレーションは、有意に低減される。これは、遮断ユニットの動作寿命に対してだけでなく、ある安全マージンでバス切替標準テストをパスする能力、および、より一般的には電力テスト性能を向上させる能力に対しても非常にポジティブな影響を有する。
【0089】
さらに、アーク曝露が少ないのでコンタクトのアブレーションが大幅に低減されるため、閉動作中のプレストライキングのリスクも有意に低減され、これにより、閉動作中においても高電圧遮断ユニットの性能が大きく向上される。
【0090】
さらに、遮断ユニットの構造が極めてシンプルであり、構成要素の数が低減されているので、製造およびメンテナンスコストが最小化されることにも注目すべきである。加えて、構造は極めてコンパクトであり、遮断ユニット内の空間および容積を大幅に最適化することが可能である。
【0091】
このように考えられる高電圧遮断ユニットに対していくつかの変形例が可能であり、当該変形例はすべて、添付の請求の範囲内にある。実際には、使用される材料ならびにそれに伴う寸法および形状は、要件および現状技術に従って、任意のものであり得る。