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特許7499705可撓性電気導電性ペースト及びそれを使用して製造されるデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】可撓性電気導電性ペースト及びそれを使用して製造されるデバイス
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/48 20060101AFI20240607BHJP
   C08G 18/80 20060101ALI20240607BHJP
   C08G 18/08 20060101ALI20240607BHJP
   C08K 3/08 20060101ALI20240607BHJP
   C08L 75/04 20060101ALI20240607BHJP
   C08L 71/12 20060101ALI20240607BHJP
   C08L 67/02 20060101ALI20240607BHJP
   C09J 9/02 20060101ALI20240607BHJP
   C09J 175/04 20060101ALI20240607BHJP
   C09J 171/12 20060101ALI20240607BHJP
   C09J 167/02 20060101ALI20240607BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20240607BHJP
   H01B 1/22 20060101ALI20240607BHJP
   H05K 3/32 20060101ALI20240607BHJP
   H05K 1/09 20060101ALI20240607BHJP
   H05K 3/12 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
C08G18/48 079
C08G18/80
C08G18/08 038
C08K3/08
C08L75/04
C08L71/12
C08L67/02
C09J9/02
C09J175/04
C09J171/12
C09J167/02
C09J11/04
H01B1/22 A
H01B1/22 D
H05K3/32 B
H05K1/09 D
H05K3/12 610B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020570869
(86)(22)【出願日】2019-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-14
(86)【国際出願番号】 US2019037735
(87)【国際公開番号】W WO2019246100
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2022-05-18
(31)【優先権主張番号】62/686,343
(32)【優先日】2018-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/799,394
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】523478687
【氏名又は名称】デュポン チャイナ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129458
【弁理士】
【氏名又は名称】梶田 剛
(72)【発明者】
【氏名】ヒ ヒョン リー
(72)【発明者】
【氏名】エドモンド フランシス シーファー ジュニア
(72)【発明者】
【氏名】ホアン ヴィ トラン
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-037526(JP,A)
【文献】国際公開第2016/199678(WO,A1)
【文献】特開2018-041692(JP,A)
【文献】特開平06-205702(JP,A)
【文献】特開2015-119022(JP,A)
【文献】特表2009-511717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G18/00- 18/87
C08G71/00- 71/04
C09J 1/00- 5/10
C09J 9/00-201/10
H01B 1/00- 1/24
H05K 3/32
H05K 1/09
H05K 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)導電性金属粉末と、
(b)ポリエステルポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドであって、前記ポリ
エステルポリオールとフェノキシ樹脂の両方がヒドロキシ基(OH)を含有するものであ
り、前記フェノキシ樹脂が第二ヒドロキシ基を含む化合物であり、以下の構造を有する基
本繰り返し形態を有するものと、
【化1】

(式中、RはH又は低級アルカンである
(c)イソシアネート基(NCO)を含有するブロック化脂肪族ポリイソシアネートと

(d)1つ又は複数の極性非プロトン性溶媒と
を含むポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物であり、前記樹脂ブレンドと前記ブロック
化脂肪族ポリイソシアネートとが前記1つ又は複数の溶媒中に溶解され、前記金属粉末が
前記1つ又は複数の溶媒中に分散される、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物。
【請求項2】
前記導電性金属粉末が銀粉末又は銀被覆銅粉末を含む、請求項1に記載のペースト組成
物。
【請求項3】
前記ペースト組成物が55~80wt%の導電性金属粉末、7~20wt%の樹脂ブレ
ンド、0.5~5wt%のブロック化脂肪族ポリイソシアネート及び15~35wt%の
1つ又は複数の溶媒を含み、wt%が前記ペースト組成物の全重量に基づいている、請求
項1又は2に記載のペースト組成物。
【請求項4】
前記樹脂ブレンドのヒドロキシ基の数の、前記ブロック化脂肪族ポリイソシアネートの
イソシアネート基の数に対する比、OH/NCOが8~25の範囲であり、前記金属粉末
の重量の、前記樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドが4~7の範囲であ
る、請求項1~3のいずれか一項に記載のペースト組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のペースト組成物を含む電気導電性接着剤。
【請求項6】
前記樹脂ブレンドのヒドロキシ基の数の、前記ブロック化脂肪族ポリイソシアネートの
イソシアネート基の数に対する比、OH/NCOが1~10の範囲であり、前記金属粉末
の重量の、前記樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドが7~10の範囲で
ある、請求項1~3のいずれか一項に記載のペースト組成物。
【請求項7】
請求項1~4又は6のいずれか一項に記載のペースト組成物を使用して形成される電気
導電性ポリマー厚膜。
【請求項8】
(a)導電性金属粉末と、
(b)ポリエステルポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドであって、前記ポリ
エステルポリオールとフェノキシ樹脂の両方ともがヒドロキシ基(OH
)を含有するものであり、前記フェノキシ樹脂が第二ヒドロキシ基を含む化合物であり、
以下の構造を有する基本繰り返し形態を有するものと、
【化2】

(式中、RはH又は低級アルカンである
と、
(c)イソシアネート基(NCO)を含有するブロック化脂肪族ポリイソシアネートと

(d)1つ又は複数の極性非プロトン性溶媒とを含む、請求項1~4又は6のいずれか
一項に記載のポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物であって、前記樹脂ブレンドと前記
ブロック化脂肪族ポリイソシアネートとが前記1つ又は複数の溶媒中に溶解され、前記金
属粉末が前記1つ又は複数の溶媒中に分散されているポリマー厚膜電気導電性ペースト組
成物から形成される電気導電実体を含有する電気回路を含み、
前記ペースト組成物が硬化されている、物品。
【請求項9】
前記実体が電気導電性接着剤又は電気導電性ポリマー厚膜である、請求項8に記載の物
品。
【請求項10】
着用可能な衣類である、請求項8に記載の物品。
【請求項11】
少なくとも1つのターミナルを有する電気回路要素を、第1及び第2の主表面を有し且
つ前記第1の表面上に導電トレースを有する基材に付着させる方法であり、
(a)複数の嵌め合い部分から構成される射出成形用型であって、前記基材上に形成さ
れるように定められる溶融プラスチック材料を受容するように適合される内部キャビティ
を、組み立てられる時に一緒に画定する射出成形用型を提供する工程と、
(b)コンプライアント電気導電性接着剤を、前記少なくとも1つのターミナル又は前
記ターミナルに電気的に接続されるように定められる前記導電トレースの接続ポイントの
うちの少なくとも一方の上に堆積させる工程と、
(c)前記射出成形用型を前記基材及びその中に密閉される前記回路要素と共に組み立
てる工程であって、前記回路要素が前記第1の表面上に位置されており、前記少なくとも1つのターミナルが前記接続ポイントと位置合せしており、且つ前記電気導電性接着剤と接触している工程と、
(d)その後に前記内部キャビティを溶融プラスチック材料で充填する工程と、
(e)前記プラスチック材料を固化し、その後、前記基材及びそれに付着された前記回
路要素を前記射出成形用型から取り出す工程とを含み、
前記プラスチック材料が、固化される時に、前記回路要素を少なくとも部分的に埋め込み
、且つ前記少なくとも1つのターミナルが前記導電トレースに電気的に接続されると共に
それを前記基材に固定するように前記キャビティが構成され、及び前記コンプライアント
電気導電性接着剤が、請求項1~4又は6のいずれか一項に記載のポリマー厚膜電気導電
性ペースト組成物を含む、方法。
【請求項12】
前記回路要素が、固化されたプラスチック材料中に部分的に埋め込まれるように前記内
部キャビティが構成されるか、又は、前記回路要素が、前記固化されたプラスチック材料
中に完全に埋め込まれるように前記内部キャビティが構成される、請求項11に記載の方
法。
【請求項13】
(i)少なくとも1つのターミナルを有する少なくとも1つの電気回路要素及び(ii
)第1及び第2の主表面を有し且つ前記第1の表面上に導電トレースパターンを有する基材を含む回路組立体であって、前記少なくとも1つのターミナルと前記導電トレースとが、それらの間に挟まれる請求項1~4又は6のいずれか一項に記載のポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物を含む電気導電性接着剤によって電気的に接続される、回路組立体。
【請求項14】
前記回路要素が、部分的に又は完全に埋め込まれるオーバーモールドされたプラスチッ
クによって前記電気回路要素が前記基材に付着される、請求項13に記載の回路組立体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年6月18日に出願された米国仮特許出願第62/686,343号、及び2019年1月31日に出願された米国仮特許出願第62/799,394号の35USC119(e)下の利益を請求する。前記出願は両方とも、それへの参照によってあらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、可撓性電気導電性接着剤として使用するための且つ伸縮性電気回路を基材上に形成するためのポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物、並びにこのような組成物を使用して製造されるデバイス及び回路組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
伸縮性電気導体及び可撓性電気導電性接着剤(ECA)がますます必要とされている。インモールドエレクトロニクス(IME)産業における動向は、熱成形前にLEDなどの電気部品を基材上の導電トレースに付着させることである。エポキシ熱硬化性樹脂をベースとしたECAペーストは、導電トレース上の強い接着力を達成するために十分に機能する。しかしながら、付着された構成要素はしばしば、高度に架橋した組成物の限られたレベルの可撓性のために屈曲される時に容易に分離する。熱可塑性バインダーをベースとしたECAペーストは可撓性問題に対処するために良い。しかしながら、接着力は典型的に、必要とされる接着力に適合しない。
【0004】
伸縮性導体は、着用可能な衣類における電気回路のために必要である。このような導体は伸縮性であり且つ洗浄及び乾燥サイクルに耐えることができる必要がある。
【0005】
改良された伸縮性電気導体及び可撓性電気導電性接着剤(ECA)が継続的に必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
(a)導電性金属粉末と、
(b)ポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドであって、ポリオールとフェノキシ樹脂の両方がヒドロキシ基(OH)を含有するものと、
(c)イソシアネート基(NCO)を含有するブロック化脂肪族ポリイソシアネートと、
(d)1つ又は複数の極性、非プロトン性溶媒とを含むポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物を提供し、ここで、樹脂ブレンドとブロック化脂肪族ポリイソシアネートとが1つ又は複数の溶媒中に溶解され、金属粉末が1つ又は複数の溶媒中に分散される。
【0007】
一実施形態において樹脂ブレンドのヒドロキシ基の数の、ブロック化脂肪族ポリイソシアネートのイソシアネート基の数に対する比、OH/NCOは8~25の範囲であり、金属粉末の重量の、樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドは4~7の範囲であり、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物は、ECAとして用いるために特に適している。
【0008】
別の実施形態において樹脂ブレンドのヒドロキシ基の数の、ブロック化脂肪族ポリイソシアネートのイソシアネート基の数に対する比、OH/NCOは1~10の範囲であり、金属粉末の重量の、樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドは7~10の範囲であり、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物は、伸縮性電気導体の印刷において使用するために特に適している。このような導体は、衣服及び伸縮性導体を必要とするその他の物品用の電気回路において有用である。
【0009】
また、本発明は、本発明のポリマー厚膜電気導電性接着剤ペースト組成物を使用して1つ又は複数の電気回路要素が導電性金属トレースを支持する基材上に付着される電気回路組立体、及び本発明のポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物から形成される伸縮性電気導体を含有する物品を提供する。
【0010】
別の態様において、本発明は、ターミナルを有する電気回路要素を、第1及び第2の主表面を有し且つ第1の表面上に導電トレースを有する基材に付着させる方法であって、
(a)複数の嵌め合い部分から構成される射出成形用型であって、基材上に形成されるように定められる溶融プラスチック材料を受容するように適合される内部キャビティを、組み立てられる時に一緒に画定する射出成形用型を提供する工程と、
(b)請求項1~12のいずれか一項に記載の電気導電性接着剤をターミナル又はターミナルに電気的に接続されるように定められる導電トレースの接続ポイントのうちの少なくとも一方の上に堆積させる工程と、
(c)射出成形用型を基材及びその中に密閉される回路要素と共に組み立てる工程であって、回路要素が第1の表面上に位置されており、ターミナルが接続ポイントと位置合わせしており且つ電気導電性接着剤と接触している工程と、
(d)その後に内部キャビティを溶融プラスチック材料で充填する工程と、
(e)プラスチック材料を固化し、その後、基材及びそれに付着された回路要素を射出成形用型から取り出す工程とを含む方法を提供し、
ここで、プラスチック材料が、固化される時に、回路要素を少なくとも部分的に埋め込み、且つターミナルが導電トレースに電気的に接続されると共にそれを基材に固定するようにキャビティが構成される。
【0011】
本発明は、以下の本発明のある特定の好ましい実施形態の詳細な説明及び添付の図面への参照がなされる場合、より十分に理解され、さらなる利点が明らかになり、ここで同様の符号は、いくつかの図面を通して同様の要素を意味する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】基材に固定される電気コネクタ組立体を備える先行技術の回路組立体の部分を略断面図において示す。
図2】本開示の電気導電性接着剤を使用して電気コネクタ組立体が基材に固定される回路組立体の部分を略断面図において示す。
図3】本開示の電気導電性接着剤を使用して電気コネクタ組立体が基材に固定される別の回路組立体の部分を略断面図において示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ある態様において、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物に関する。
【0014】
一実施形態においてこの導電性ペースト組成物は、電気回路要素を基材に接着することができ、回路要素と基材上の導電トレースとの間の良好な電気接続を提供することができる。また、本発明は、このような組成物を用いて作られるデバイス、及びこのようなデバイスを製造するための方法に関する。組成物は、ベース基材が変形され得るか又は最終用途の間可撓性のままであるように定められる用途など、様々な用途において使用され得る。
【0015】
別の実施形態において、ペースト組成物を用いて、着用可能な衣類及びシートなどの物品のための伸縮性電気導体を形成する。また、本発明は、このような導体を備える物品を提供する。
【0016】
「導電性」としてのペースト組成物の記載は、組成物を構造物に形成し、その後に、デバイスとそれに接続された電気回路との間に又は回路の構成要素間に電流を通すのに十分な導電性を示すように加工することができることを意味するように行われる。多くの場合、本電気導電性接着剤(ECA)で作られる機械的及び電気的接続は、従来のはんだ付けに代わる選択肢であり得る。
【0017】
本発明の様々な態様は、インモールドエレクトロニクス(IME)デバイス及び回路組立体の製造に適合し得る十分な可撓性を有して基材に電気部品を接合及び接続することができる電気導電性接着剤の必要性に関する。
【0018】
概説するならば、IMEデバイスは、様々な半導体及びその他の電子部品が上に実装される基材(通常はポリマー)を含む。ECAを使用して、構成要素が基材に固定され、基材上に形成される金属導体トレースに電気的に接続される。多くの場合、基材は、複雑な、非平面形状を有する。例えば、IMEデバイスは、自動車のダッシュボードにおいて広範囲に使用される。構成要素が基材に付着された後に実施される熱成形プロセスによって必要とされる形状を形成することができるのが特に望ましい。しかしながら、これは、接続部が強く且つ可撓性であり、成形プロセスの熱応力及び機械的応力に耐え、強靭且つ運転において信頼性が高い最終組立体をもたらすことを必要とする。機械的結合性はその最終用途において最終組立体のために同様に有益であり、ここで、それはおそらく、温度限界、熱サイクル、振動、及びその他の機械力からの応力を受ける。ECA調合物はこれまで、一般的に、信頼性が高い製造プロセスを可能にする十分に良い強度と可撓性との組合せを示しておらず、典型的な最終用途のための強靭な特性を示さない。
【0019】
別の態様において、本ECAペースト組成物は、適した導電性金属トレースを支持する基材上に任意の所望のタイプの電気回路要素が付着される、IMEデバイスなどの電気回路組立体を作るためのプロセスにおいて使用される。ECAペースト組成物の使用は、容易に自動化される簡単な回路組立製造作業において回路要素が基材に機械的に付けられ且つ同時に導電トレースに電気的に接続されることを可能にする。機械的に強い付着は、その意図された最終用途において製造作業の信頼性及び収量並びに回路組立体の耐久性を有益に改良する。
【0020】
開示のさらに別の態様は、いま説明したプロセスを使用して作られる電気回路組立体などの電気回路組立体を提供する。また、それは、電気回路要素が本発明のペースト組成物を使用して導電性金属トレースを支持する基材上に付着される電気回路組立体を提供する。実施において、本ECA組成物を使用して基材に付着され且つ接続される回路要素は、回路要素を少なくとも部分的に埋め込む適したプラスチック材料でそれをオーバーモールドすることによってさらに固定される。オーバーモールディングは、限定されないが、射出成形技術などの任意の適した方法によって実施され得る。
【0021】
本明細書中で用いられるとき、用語「電気回路要素」は、限定されないが、様々な半導体、トランジスタ、集積回路(IC)、離散的デバイス、発光ダイオード(LED)、レジスタ、キャパシタ、インダクタ、変圧器、アンテナ、機械的又は容量性スイッチ、リレー、コネクタ、並びに本技術分野に公知のその他の電気、電子、光電子、及び電子機械の部品及び組立体のいずれかを意味する。これらのデバイスのそれぞれは通常、それらが他の電気回路に電気的に接続され得るターミナルを有する。実施形態において、本ECAペースト組成物は特に、「表面実装」デバイスとして本技術分野に公知のデバイスを付着及び接続するのに特に適している。本ECAペースト組成物を使用して、基材上に手作業で配置されるデバイスを付着させることができるが、それを有利に使用して、「ピックアンドプレース」又は他の同様な自動化技術によって、基材上に配置されるデバイスを付着させる。或いは、デバイスは、以下により詳細に説明されるように、オーバーモールディングプロセスの一部として位置決め及び付着され得る。
【0022】
理想的には、ECAペースト組成物は、回路要素を基材に付着させるための高い結合強さ及び要素のターミナルと基材上の導電トレースとの間の低抵抗接続の両方を提供する。着用可能な衣類のための電気導体を提供するとき、ペースト組成物は、伸縮性であり且つ洗浄及び乾燥サイクルに耐えることができる導体をもたらさなければならない。
【0023】
ペースト組成物を用いて着用可能な衣類及びシートなどの物品のための伸縮性電気導体被膜を形成するとき、ペースト組成物から形成される電気導電性被膜は、それが堆積されている基材に十分に付着しなければならない。物品が着用可能な衣類であるとき、被膜は、洗浄及びドライサイクルに供されるにもかかわらずその導電性特性を維持しなければならない。
【0024】
電気導電性接着剤(ECA)組成物
本ポリマー厚膜電気導電性接着剤ペースト組成物は、導電性金属粉末と、ポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドと、ブロック化脂肪族ポリイソシアネートと、1つ又は複数の極性、非プロトン性溶媒とを含み、ここで、樹脂ブレンド及びブロック化脂肪族ポリイソシアネートとが1つ又は複数の溶媒中に溶解され、金属粉末が1つ又は複数の溶媒中に分散される。
【0025】
ペースト組成物は、ポリマーが電気導電性接着剤又は電気導電性被膜としてその意図された最終用途の間構成要素として存続するので、ポリマー厚膜ペースト組成物と名付けられる。組成物の様々な成分が以下の節において詳細に考察される。
【0026】
導電性金属粉末
本明細書において言及される導電性金属粉末は電気導電性金属粉末である。例示的な金属としては、銀、金、銅、ニッケル、パラジウム、白金、アルミニウム、並びにこれらの合金及び混合物が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、電気導電性金属は、Ag、Cu、及びPdからなる群から選択される。一実施形態において、電気導電性金属は、その加工性及び高い導電率のために有益である、銀から本質的になる。しかし、コストの低減又は他の特性の修正のために、少なくとも少量の卑金属を含む組成物が使用されてもよい。さらに他の実施形態において、金属粉末は、任意の厚さの銀シェルが銅などの前述の金属の別の金属のコアを覆うコア-シェル粒子など、コア-シェル粒子を含み得る。簡潔さのために、このような粉末粒子は、例えば、銀被覆銅粉末と呼ぶことができる。さらに他の実施形態において、銀粉末を塩化銀粉末と混合することができる。本電気導電性ペースト組成物の実施形態において使用される導電性金属粉末は、最終用途及びそれに関わる機能性及び製造要件にのみ応じて、以下に説明される樹脂ブレンド、ブロック化ポリイソシアネート、及び溶媒とは関係なく選択され得る。
【0027】
本ペースト組成物において使用される導電性金属粉末は、限定されないが、以下のモルフォロジーの任意の1つ又は複数を含む、任意のモルフォロジーを有する微粒子として供給され得る:フレーク形態、球状形態、ロッド形態、粒状形態、結節状形態、層状又は被覆形態、又は他の不規則な形態。また、2種以上のこれらのタイプの粒子の混合物又は異なった粒径分布を有する同じタイプの粒子の混合物も考えられる。2種以上のタイプの粉末が使用される場合、例えば、2種のタイプの銀粉末が使用される場合、より小さい粒径を有する銀粉末が最初に混合されるのが好ましく、試料は、より大きいd50を有する銀粉末が添加される前にロールミルされる。
【0028】
金属粉末の粒径は、必要とされる機能性特性が達成可能である場合、一切の特定の制限を受けない。本明細書において使用される「粒径」は、「メジアン径」又はd50(50%体積分布径を意味する)を指すことが意図されている。また、粒径分布は、粒子の90体積%がd90より小さいことを意味するd90、又は粒子の10%がd10より小さいことを意味するd10など、他の特性を特徴とし得る。これらの体積分布径特性のいずれも、Microtrac X100粒径分布計(Montgomeryville,PA)により用いられるレーザー回折及び分散法を含む(ただし、これらに限定されない)、当業者によって理解される多数の方法によって測定することができる。例えば、Horiba Instruments Inc.(Irvine,CA)から市販されているLA-910型粒径分析計を使用するレーザー光散乱も使用することができる。様々な実施形態において、金属粒子のメジアン径は、Microtrac X100分析計を使用して測定されるとき、0.2μm超及び10μm未満、又は0.5μm超及び10μm未満、又は1μm超及び10μm未満である。
【0029】
一実施形態において、電気導電性金属粉末は、ペースト組成物の全重量に基づいてペースト組成物の約55wt%~約80wt%を構成する。さらなる実施形態において、電気導電性金属粉末は、ペースト組成物の約60wt%~約70wt%を構成する。導電性粉末の量は、望ましいレベルの導電率に達するために十分でなければならないが、非常に高い粉末配合量は、組成物のレオロジー又は所望の方法によってそれを堆積する能力に悪影響を与え得る。
【0030】
必要とされる導電率のレベルは、組成物の意図された最終用途及びそれに応じて保持されなければならない電流量に依存する。例えば、シールディング及び帯電防止用途は比較的あまり大きくない電流に関わるが、デバイス接続部ではより大きい電流が予想される。より長い経路長を有する延長導体は典型的に、電圧降下が合格限界内であり且つ十分なノイズ余裕度が維持されるように、さらに高い導電率を要求する。様々な実施形態において、その完成状態の本ECAは、10、25、50、75、又は100mΩ/□/25.4μm(25.4μm=1ミル)の下限から150、200、又は250mΩ/□/25.4μmの上限までの範囲内のシート抵抗を示す。100~150mΩ/□/25.4μmのシート抵抗を有する調合物は、典型的な最終用途において電気部品を回路に接続するために有用であることがわかった。伸縮性延長導体については、完成状態で50mΩ/□/25.4μm未満のシート抵抗の値を有する組成物が望ましい。
【0031】
シート抵抗は、蒸着膜のための公知の4-プローブ技術を使用して測定することができる。或いは、サーペンタイン又は蛇行パターンの抵抗を作ることができ、従来のオーム計を使用して測定することができる。例えば、本開示による被膜は、19mm×16mmの面積の半分を覆うサーペンタイントレースパターンを用いて特性決定され、トレースは全体にわたり厚さ約10μm及び幅1mmであり、その隣接した脚は1mm離隔される。
【0032】
ポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンド
樹脂ブレンドは、ポリオールとフェノキシ(ポリヒドロキシエーテル)樹脂との樹脂ブレンドである。
【0033】
適したポリオール樹脂は、複数のヒドロキシ基を含有し、イソシアネートと反応してポリウレタンを形成する。このような樹脂には、限定されないが、ポリエステルジオールが含まれる。実施形態において、本ECAは、500~5000g/モルの範囲の分子量を有する、ポリオール樹脂と調合される。
【0034】
実施形態において、本ECA組成物は、第二ヒドロキシ基を含有し且つ以下の構造:
【0035】
【化1】
【0036】
(式中、RはH又は低級アルカンであり得る)を有する基本繰り返し形態を有するフェノキシ樹脂と調合される。実施形態において、R=Hであり、以下の基本繰り返し形態:
-[O-C6H4-C(CH3)2-C6H4-O-CH2CHOHCH2]-をもたらす。
【0037】
様々な実施形態において、フェノキシ樹脂は、25,000~70,000Daの平均分子量Mw、並びに85~250の繰り返し単位を有することができる。
【0038】
一実施形態において、樹脂ブレンドは、ペースト組成物の全重量に基づいてペースト組成物の約7wt%~約20wt%を構成する。
【0039】
一実施形態において、ポリオールは、ペースト組成物の全重量に基づいてペースト組成物の約1wt%~約5wt%を構成し、フェノキシ樹脂は、ペースト組成物の全重量に基づいてペースト組成物の約6wt%~約15wt%を構成する。
【0040】
ブロック化脂肪族ポリイソシアネート
ブロック化脂肪族ポリイソシアネートは、室温で安定しているが加熱時に解離してイソシアネート官能価を再生するイソシアネート反応生成物である。次に、得られたポリイソシアネートを樹脂ブレンド中の活性ヒドロキシ含有化合物と反応させることができる。実施形態において、本明細書で使用されるブロック化脂肪族イソシアネートは、典型的に110~160℃の硬化温度でそれらのブロッキング剤を放出する。
【0041】
典型的な脂肪族ポリイソシアネートは、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)及びイソホロンジイソシアネート(IPDI)である。
【0042】
典型的なブロッキング剤は、3,5-ジメチルピラゾール(DMP)、ジエチルマロネート(DEM)、ジイソプロピルアミン(DIPA)、1,2,4-トリアゾール(TRIA)及びメチルエチルケトン(MEKO)である。
【0043】
典型的なブロック化脂肪族ポリイソシアネートは、DMPブロック化HDI、(DEM)/(DIPA)ブロック化HDI及びDEMブロック化ポリイソシアネートであり、HDI及びIPDIの両方を使用する。
【0044】
一実施形態において、ブロック化脂肪族ポリイソシアネートは、ペースト組成物の全重量に基づいてペースト組成物の約0.5wt%~約5wt%を構成する。
【0045】
溶媒
1つ又は複数の極性、非プロトン性溶媒がペースト組成物中に存在している。樹脂ブレンドとブロック化脂肪族ポリイソシアネート(polyisocyante)とが1つ又は複数の溶媒中に溶解され、金属粉末が1つ又は複数の溶媒中に分散される。少量の付加的な溶媒をペースト組成物に添加して、分配又は印刷のための最終粘度を調節することができる。
【0046】
使用される典型的な溶媒には、限定されないが、ジプロピレングリコールメチルエーテル、2-ブトキシエタノール及びトリエチルホスフェートが含まれる。
【0047】
一実施形態において、溶媒は、ペースト組成物の全重量に基づいてペースト組成物の約15wt%~約35wt%を構成する。溶媒の量は典型的に、所望の堆積方法を容易にする望ましいレオロジー及びその他の特性を提供するために調節される。
【0048】
ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物の調製
樹脂ブレンドを溶媒中に分散させ、混合して樹脂ブレンドを溶解する。それを例えば、70℃に加熱し、撹拌して樹脂を溶解し、有機媒体を形成することができる。樹脂ブレンドの一部分を異なった溶媒中に又は同じ溶媒中に溶解して付加的な有機媒体を形成することができる。或いは、単一の有機媒体を使用することができる。ブロック化脂肪族ポリイソシアネートを有機媒体の1つに添加して混合する。金属粉末を有機媒体の1つに添加して混合する。金属粉末は典型的に、各添加後に混合しながら段階的に増量しながら添加され、より良い湿潤を確実にする。2つ以上の有機媒体が調製された場合、上記の工程のいずれかの後に媒体を配合することができ、得られたペースト組成物をミルする。ペースト組成物を分配又は印刷する前に溶媒を添加して粘度を調節することができる。
【0049】
ECAとして使用される組成物
OH/NCO比が8~25の範囲であり且つ金属粉末の重量の、樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドが4~7の範囲であるとき、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物はECAとして機能する。ECAは、電気部品を基材上の導電トレースに付着させるように機能する。例えば、ECAペースト組成物は、導電トレース及び電気部品、例えば、LED上に分配され得、その後、分配されたECA上に配置され得る。次に、基材を例えば120~150℃で30~60分間加熱して、溶媒をECA組成物から蒸発させる。
【0050】
伸縮性導体を形成するために使用される組成物
OH/NCO比が1~10の範囲であり且つ金属粉末の重量の、樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドが7~10の範囲であるとき、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物は、基材上に伸縮性電気導体を形成するように機能する。例えば、前述のペースト組成物を導体の所望のパターンで基材上に印刷することができる。次に、基材を例えば120~140℃で加熱して、溶媒をペースト組成物から蒸発させる。
【0051】
回路要素を基材に付着させるためのECAの使用
この開示の別の態様において、本ECA組成物を使用して、電気デバイス及び電子デバイスを基材に付着させ、それらを導電トレースに接続させる。理想的には、この付着は、改良された電気的及び機械的信頼性を提供する。
【0052】
図1は、ECA組成物を使用せずに作られる先行技術の回路組立体の一部分を10で概略的に示す。コネクタ組立体12が基材28に固定され、それは図面の下部に位置したユーザー側と、対向した構成要素側とを有する。印刷された表示を担持することができる、グラフィックインクの層22と、基礎誘電体層24とが基層20の構成要素側に、予め決められたパターンで製造され且つ基材28の構成要素側の一部を占める導電性金属トレース26と一緒に配置される。回路組立体に対して本明細書中で用いられるとき、用語「基材」は、図1に図示される層及び任意の他の介在する或いは他の方法で含有される機能層又は美的層など、存在している任意の他の層と一緒に、基層20を一括して意味する。導電トレース26を含む、基材28は典型的に、図に示されるものから外に側方に延在する。
【0053】
コネクタ組立体12は、基材28の導電トレース26の指定接続ポイントに電気的に接続されるように定められるターミナルとして構成される一方の端部にそれぞれ接続パッド18を有する、複数のコネクタピン14を備える。ピン14は通常、電気導電性金属、最も一般的には銅又は銅含有合金から製造される。ピン14の対向した端部19は、適した雌コネクタ(図示せず)と嵌め合わせるように構成される。いくつかの実施形態において、ピン14は銀又は金などの貴金属でめっきされ、嵌め合わせコネクタとの電気接続を損なう場合がある腐蝕を抑える。ピン14は慣例的に、フェノール又はポリアミドプラスチックからしばしば製造される、コネクタヘッダー16内にそれらを成形することによって配置及び固定される。
【0054】
説明を明快にするために、図1は、コネクタ組立体12の配置が明らかに見られるように、より大きい回路組立体の一部だけを示す。典型的な回路組立体は、図示される部分の外側に基材28上に位置される他のタイプの付加的な電気部品又は電子部品を備える。また、導電トレース26のパターンはさらに延在し、意図された機能性のために必要に応じて、接続パッド18によって様々な付加的な構成要素を互いに且つコネクタ組立体12のピン14に接続するために使用される。
【0055】
図1を引き続き参照して、コネクタ組立体12は、基材28の構成要素側にコネクタ組立体12を固定するポリマー材料の層30をオーバーモールドすることによって基材28に機械的に固定される。図示される実施において、端部19を含む、コネクタヘッダー16の上のそれぞれのピンの一部分が、オーバーモールディング層30を通って突き出て、それが相補的な、嵌め合わせコネクタに接続されるか或いは他の方法で外部電気回路(図示せず)に接続されることを可能にする。
【0056】
オーバーモールディング層のための従来の材料は基材への電気部品又は電子部品の強い機械的付着を提供することができるが、完成デバイスにおいて信頼性が高い且つ強靭な電気接続を同時に確実にすることは困難であることがわかった。大抵の最終用途において、基材と全てのその構成要素は、温度限界、熱サイクル、及び外部振動を受ける。これらのいずれも、電気接続の初期破損を引き起こし得る。
【0057】
電気的な問題は任意のタイプの構成要素に関して生じ得るが、マルチピン電気コネクタについて特に深刻であることがわかった。例えば、図1の組立体は、様々な従来の又はタッチパッドスイッチと計器と表示ライトとを備える自動車用のインストルメントパネルとして使用されてもよい。典型的に、これらのデバイスは、エンジン及びその他の車のシステムと電気的に連通しなければならず、必要な電気信号はしばしば、複数導体配線用ハーネスを通る。製造及び修理を容易にするために、配線用ハーネスは通常、インストルメントパネル上の相応するコネクタ(コネクタ組立体12など)と嵌め合わせるように構成されるコネクタを終端とする。ハーネスの曲げがコネクタ上への応力に影響を及ぼし、外部振動からの力が実装ポイントで結合及び局在化されるので、配線用ハーネスの接続は特に弱い。さらに、コネクタは、必要とされる数の個々の導体を提供するために大きくなければならない場合があり、それは、車の実用寿命の間複数の接続及び切断を存続させなければならない。配線用ハーネスとインストルメントパネルとの間の信頼性のない接続は、運転手のフラストレーション、不便さ、及び潜在的な安全上の問題、並びに車の供給元の高い製造費及び修理費をもたらす。
【0058】
接続の電気的信頼性は基本的には、構成要素と導電性金属トレース26との間の接続部を直接にはんだ付けすることによって改良され得るが、このようなプロセスはしばしば、費用及び製造性の両方について実用的ではない。ポリカーボネート及びポリエステルなど、基材28において基層20及びその他のものにしばしば使用される材料は、はんだ付けのための必要とされる温度を許容することができない。多くの望ましい構成は、非平面基材構造を特徴とし、それは通常、平面の加工物を必要な形状に成形することによって製造される。このような物品の製造は、構成要素を配置すること及び必要とされる接続部を初期に平面の基材上に作ること、並びにその後にだけ、必要とされる成形又は他の熱成形プロセスを実施することによって助長される。しかしながら、この方法は、成形の温度及び機械的応力を許容する付着プロセス及び接続プロセスを必要とする。他方、基材を成形した後のデバイスの配置及びはんだ付けは、典型的な自動化方法を使用して達成するのがより難しい。
【0059】
或いは、接続部は、前のECA材料を使用して製造されてもよい。エポキシなど、熱硬化性ポリマーをベースとしたECAは良い機械的強度及び高い導電率を提供し得るが、接続部は典型的に、非常に硬質であるので、必要とされる成形プロセス又は稼働中の振動を許容することができない。シリコーンをベースとしたECAは、単独で十分な強度をもたらさない場合があり、しばしば、望ましくなく低い電気導電率を有し、製造効率のために支障となる長い硬化サイクルを必要とし得る。
【0060】
いくつかの先行技術の適用において、嵌め合わせコネクタ等を基材28上のコネクタ12に固定する他の外部手段を提供することが必要であるのがわかった。例えば、スプリングクリップを使用して嵌め合わせコネクタを捕捉することができるか、又は基材28において(場合により成形ボスにおいて)ボルト穴を通って延在するか若しくはねじ穴と係合するねじ部品が必要とされる場合がある。
【0061】
しかしながら、本ECAを使用することによって、図1の構成から修正された構成において信頼性が高い接続部を作ることができることが見出された。図2において40で概略的に図示されるように、準拠している電気導電性接着剤層42が接続パッド18と導電性金属トレース26との間に接続ポイント27において挟まれる。導電性金属トレースのパターンは通常、必要とされる幅の線状に基材の全体にわたって延在し、接続ポイント27は、簡単な製造及び信頼性が高い接続を容易にするために任意選択的にある程度拡大されることは理解されよう。本ECA組成物によって与えられる強度及び可撓性は、回路組立体40が、両方ともオーバーモールディングに関わる、並びに最終用途の間に直面するような熱応力及び機械的応力に耐えることを可能にすると考えられる。改良された構造物が説明され、図2に図示される。説明を明快にするために、図2はまた、単一構成要素だけを備える組立体の一部分を図示するが、任意のタイプの及び任意の数の付加的な電気部品又は電子部品が基材28上のどこかに存在し得、及び導電トレース26を使用して接続されることが理解されなければならない。最も一般的には、複数の構成要素が含有される。これらのいずれも、本ECAを使用して同じ方法で有利に固定及び接続され得る。
【0062】
図示される実施形態において、コネクタ組立体12は、オーバーモールディング層30によってさらに固定される。固定される構成要素及び導電トレース26などの基材材料との相容性のほかに、オーバーモールディング材料に特定の制限条件はない。オーバーモールディングは様々な構成要素のために個々に実施され得るが、効率のために、全ての当該構成要素のオーバーモールディングは単一の操作で有利に達成され得る。或いは、与えられた回路組立体内の構成要素のいくつかは、他の公知の技術によって実装され得る。
【0063】
図2はまた、オーバーモールディング材料30中に部分的に入れられるコネクタ組立体12を図示するが、ピン14の十分な長さが突き出て信頼性が高い接続を可能にする限り、コネクタヘッダー16は完全に埋め込まれてもよいことは理解されるであろう。他のタイプの構成要素も、同様に部分的に又は完全に埋め込まれ得る。図2は、全ての構成要素が基材28の片面にあるとみなして説明されたが、本明細書において説明された技術を使用して構成要素が基材の両面に実装される他の実施形態もまた考えられる。
【0064】
本開示の態様は、図2の40で図示される回路組立体など、回路組立体を製造するための方法を提供する。基材28は、必要な電気的及び機械的特性を有する任意のポリマー材料から構成される、基層20から出発して製造される。回路組立体を熱加工によって構成して非平面表面を提供しなければならない実施形態については、ポリエステル又はポリカーボネートなどの成形可能な材料が有利に使用される。しかしながら、他の実施形態において基層20は、限定されないが、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリアミド、ポリイミド、又はエポキシなどの任意の相容性ポリマー系材料から構成され得る。基層材料は任意選択的に、補強又は熱的挙動を改良するための充填材、例えば粒子又は繊維充填材を含有する。
【0065】
コンプライアントECAを使用する本実装技術は、可撓性であり、薄く、且つ場合により非平面であり得る基材に構成要素を固定するために特に有益である。しかしながら、基材が平面であり、非常に厚くて著しい可撓性を示すことができないか、或いは他の方法で硬質である他の実施もまた、本明細書において示される本発明の範囲内にあるものとして考えられる。例えば、限定されないが、アルミニウムなどの金属及びアルミナなどの非金属などの有機及び無機の両方の硬質基材材料もまた可能である。
【0066】
基材28はさらに、様々な構成要素の間の必要とされる相互接続を提供するように構成される導電性金属トレース26のパターンを含む。また、機能性又は美的特性を提供する付加的な層が任意の使用可能な順に含有されてもよい。図2に見られるように、層22などの、グラフィックインクを使用して印刷される装飾又は表示を備える1つ又は複数の層が任意の便利な方法によって基層20上に配置される。任意の装飾又はインク塗装層の最上部に誘電体層24が典型的に提供される。導電性金属トレース26のパターンが誘電体層24の最上部に形成される。トレース26は一般的に、導電性ペースト又はインクを印刷することによって形成されるが、限定されないがフォトリソグラフィなどの他の方法もまた、使用することができる。
【0067】
付加的な機能層又は装飾層が、全基材28を含む積層体内に任意のレベルで含有され得ることは理解されよう。例えば、ノイズ余裕度又はシールディングを改良するために導電性グランド・プレーンが含有されてもよい。実施形態において、図2の構成においてグラフィックインク層22と誘電体層24との間に導電性インクの層を印刷することによってこのようなグランド・プレーンが提供されてもよい。他の実施において、導電トレースを複数の層で、介在する誘電体と共に提供してクロスオーバーを可能にし、ほかの場合なら構成され得ないであろうより複雑な回路パターンに対処してもよい。誘電体などの層24は基層20の全面積を包含し得るが、いくつかの実施において層のいずれかの被覆範囲がパターン化され得、機能性又は審美性のために必要に応じて特定の面積に限られ得る。例えば、導電トレースのためのバリアを提供して、電気的相互作用及び腐蝕又は化学的又は機械的特性の他の不利な劣化の両方を防ぐことが必要な場合がある。
【0068】
実施形態において、複数の嵌め合い部分から構成される射出成形用型を必要とする射出成形工程を使用してコネクタ組立体12が基材28に付着される。部分が組み立てられるとき、それらは、基材28を収容する内部キャビティを形成し、溶融プラスチック材料が中に射出されるように定められるキャビティをさらに画定する。射出された材料が固化した後、それはコネクタ組立体12をオーバーモールドし、少なくとも部分的に埋め込み、それを基材28に固定する。基材が型内に配置され、オーバーモールディング材料が、その面の一方又は両方に適用されるこの形態の射出成形は、しばしば「インサート成形」と呼ばれる。
【0069】
実施において、射出成形用型は、第1及び第2の嵌め合い部分から構成される。第1の嵌め合い部分は、コネクタ組立体12が一時的に受容される凹部又は他の同等のフィクスチャーと共に構成される。凹部は、ピン14の配置を収容及び係合するパターンの一連の小さな穴を備えることができる。嵌め合い型部分(このように位置されるコネクタ組立体12を含む)がその後、基材28の周りで一体にされるとき、その接続パッド18のそれぞれが、介在するECA 42と共に、相手側部品接続ポイント27と適切に位置合わせされて接続を達成するようにコネクタ組立体12が位置決め及び固定される。実施形態において、嵌め合い部分を組み立てることによって、基材28の面に垂直に方向づけられるわずかな力が適用され、接続パッド18がECA 42と接触させられるように凹部が任意選択的に構成される。実施において、図2に示されるように、接着剤をわずかに変形し、十分な電気的接触を促進するために力が十分である場合、それは有益である。次に、適した溶融プラスチックが型の内部キャビティ内に射出され、コネクタ組立体12がオーバーモールディングプラスチック30内に少なくとも部分的に埋め込まれてそれが固化すると固定されるようにする。その後、型の嵌め合い部分を引き戻し、コネクタ組立体12を第1の部分から解放し、完成された回路組立体40を取り出すことを可能にする。コネクタ組立体12の埋め込みは、それぞれのピン14の端部19を十分突き出させておいてそれが接続されることを可能にしながら、十分な付着を提供するために十分である。いくつかの実施形態において、コネクタヘッダー16は、オーバーモールディングプラスチック30によって完全に包まれ、付着強度を高める。オーバーモールディングプロセスは、他のタイプの構成要素の同じ有利な機械的及び電気的接続を提供する。外部接続を必要としない構成要素のタイプは、任意選択的に完全に包まれ、さらにより確実な付着をもたらし得る。オーバーモールディング30は、コネクタ組立体12及び固定されているその他の構成要素を担持する基材28の表面部分を完全に取り囲みさえすればよいが、それは有利には、導電トレース26のパターン全体を覆うために十分に延在し、好ましくは基材28の全てを覆って、最大の保護及び機械的結合性をもたらす。
【0070】
基材上の電気回路は、いくつかの場合、自給式及びオンボードバッテリー又は他の供給源によって電力供給されてもよいが、より一般的には電気回路は他の外部デバイスと相互作用するか、又はそれらを制御する。例えば、基材は、任意のタイプの家庭電化製品のための制御盤として、又は車室内にダッシュボード、コンソール、ドア、又は他の適切な位置に設けられる、自動車用のインストルメントパネルとして構成されてもよい。したがって、オンボード電気回路はそれらのデバイスに、通常は同様に電源に接続されなければならない。最も一般的には、外部電気回路へのこの接続は、コネクタ組立体12と嵌め合わせるように定められるコネクタによって達成される。
【0071】
いくつかの実施形態において、完成された回路組立体40のユーザー側が凹み、突出部、又は他の表面特徴を備えることが望ましい。例えば、タッチセンス容量式スイッチを円形、四角形、又は矩形の凹みに位置決めして、ユーザーが指で触れられる領域を見つけるのを助けることができる。このような表面特徴は任意の適した方法で、及び回路組立体40を製造するための工程の順序の異なった段階で形成され得る。1つの選択肢において、前述の射出成形のために使用される型は、初期に平面の基材が、オーバーモールディングプラスチック30が成形されるのと同時に要望通りに熱により軟化及び変形されるように所望の特徴のネガ像を備えてもよい。或いは、前述のプロセスにおいて、インク層22、誘電体層24、及び導電トレース26などの層を基層20上に位置させることによって基材28を平面形態に作製した後だがオーバーモールディングプラスチック30の前に、基材は熱間圧縮、真空成形等によって熱成形される。
【0072】
また、ECA 42の堆積は、限定されないが、ブラッシング、噴霧、インクジェット印刷、ノズル印刷、ステンシル印刷、スクリーン印刷、又はシリンジ堆積などの異なった方法で実施され得る。それは、導電トレース26の接続ポイント27に直接に、又はトレースに接続されている構成要素のターミナル上のどちらか、或いは両方で、接続のために定められた領域に適用され得る。堆積は、構成要素の配置前に製造の任意の好都合な段階に行うことができる。上述のプロセスにおいて、射出成形工程の直前にECA 42を導電トレース26に適用する。
【0073】
異なった実施形態において、構成要素のターミナル又は組立後にそれが嵌め合わさる導電トレースの部分のどちらか又は両方の上に必要な量のECAが堆積され得る。一般的には、導電性金属トレースを製造するために慣例的に使用される材料はECAほど実質的にコンプライアントでないので、本ECAを使用することにより、接触がなされる領域に追加量の導電性金属トレース材料を単に積み重ねるよりもより強靭な接続を提供する。そのコンプライアンスのために、本ECAはまた、エポキシなどの熱硬化性ポリマーを使用して接着性をもたらす調合物よりも、図2の構成において優れている。このような材料は強く接着するが、それらの低めのコンプライアンスは、成形又は最終用途の間に応力を十分に吸収せず、そのためそれらは強靭且つ弾性である接続部をもたらさない。
【0074】
コンプライアントECA 42の介在は、コネクタ組立体12のマルチピン形態など、複数のターミナルを備える回路要素を実装するのに特に有利である。製造のばらつきは不可避的に、各ピン14の異なったものの接続パッド18の底部が共通の幾何学的平面にない原因となる。代わりに、ピンはわずかに異なった長さを有する。したがって、コネクタ組立体が図1の先行技術の構成において導電トレース26と接触させて下方に付勢されるとき、最も長いピンが最初に接触し、ピンのその他のものが不完全な、間欠的な、又は高い抵抗接触を形成し得る。いくつかのピンがそれらの導電トレースに全く達することができない場合もある。しかしながら、わずかな長さの差は、初期製造において及び最終用途の間の両方でECA 42のコンプライアンスによって吸収され得、より強靭な機械的及び電気的性能をもたらす。
【0075】
本発明の態様を実施する際に使用される様々な層及び構成要素の厚さは通常、いかなる特定の制限も受けない。実施形態において、図2に示される基材28の様々な層は以下の厚さを有してもよい:基層20(0.2~1mm);グラフィックインク22(1~2μm);誘電体層24(5~20μm);導電性金属トレース26(5~40μm);及びECA層42(20~70μm)。図面はコネクタ組立体12の2つのピン14を図示するが、他の構成もまた考えられることが理解されなければならない。例えば、組立体は単一のピン又は円形形態で配置される複数のピンを有し得るが、より一般的にはそれらは、単一ラインに沿って又は2つ以上の平行なラインに沿って等しい間隔で配列される複数のピンを組み入れる。ラインのそれぞれが2~20のピンを含むコネクタ組立体が非常に一般的に使用されるが、より大きい数もまた、存在し得る。全てのこれらのコネクタのタイプは公知であり、本プロセスにおいて予想される。
【実施例
【0076】
実施例、比較実験
本発明のある特定の実施形態の操作及び作用は、以下に記載される一連の実施例からより十分に理解され得る。これらの実施例が基づく実施形態は、単に代表的なものであり、本発明の態様を例証する実施形態の選択は、実施例に記載されない材料、成分、反応物質、条件、技術及び/又は構成が本明細書での使用に適さないこと、又は実施例に記載されない主題が添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲から排除されることを示さない。
【0077】
実施例1~6、比較実験A~B
ECAペースト組成物の調製
実施例1~6のECAペースト組成物は以下の方法で調製された。
【0078】
ポリマー媒体1(PM-1)-フェノキシ樹脂とポリエステルポリオールとのブレンド(PKHM-301、Gabriel,Akron,OH)40wt%と60wt%のジプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol(商標)DPM、Dow Chemical Co.,Midland,MI)とを混合することによって調製された。製造元は、PKHM-301が、334のヒドロキシ含有量(OH当量、g/equiv.)及び39,000Daの分子量を有する、その固体銘柄フェノキシPKHC樹脂とオリゴマーポリエステルポリオールとの溶融ブレンドであると示している。PKHM-301とDowanol(商標)DPMとの混合物を12時間の間70℃で加熱及び撹拌し、次に、室温で一晩撹拌して樹脂の全てを溶解した。
【0079】
ポリマー媒体2(PM-2)-19wt%のフェノキシ樹脂(PKHH、Gabriel,Akron,OH)と、フェノキシ樹脂とポリエステルポリオールとのブレンド(PKHM-301、Gabriel,Akron,OH)19wt%と、62wt%の2-ブチオキシエタノール(Butyl Cellosolve(商標)、Dow Chemical Co.Midland,MI)とを混合することによって調製された。PKHHの製造元は、それが280のヒドロキシ含有量(OH当量、g/equiv.)及び52,000Daの分子量を有すると言っている。この混合物を12時間の間70℃で加熱及び撹拌し、次に、室温で一晩撹拌して樹脂の全てを溶解した。
【0080】
ポリマー媒体3(PM-3)-48.2wt%(1重量部のフェノキシ樹脂(PKHH Gabriel,Akron,OH)及び2重量部のPKHM-301ブレンド(Gabriel,Akron,OH)と51.8wt%の2-ブチオキシエタノール(Butyl Cellosolve(商標)、Dow Chemical Co.Midland,MI)とを混合することによって調製された。この混合物を12時間の間70℃で加熱及び撹拌し、次に、室温で一晩撹拌して樹脂の全てを溶解した。
【0081】
使用されるブロック化脂肪族ポリイソシアネート(BAP)は:
BAP-1-DMPブロック化HDI(Desmodur(登録商標)PL350 MPA/SN、Covestro,Baytown,TX)、当量=約400(NCO当量、g/equiv.)
BAP-2-(DEM)/(DIPA)ブロック化HDI(Desmodur(登録商標)BL3370 MPA、Covestro,Baytown,TX)、当量=約470(NCO当量、g/equiv.)
BAP-3-HDI及びIPDIの両方を使用するDEMブロック化ポリイソシアネート(Desmodur(登録商標)BL3475 BA/SN、Covestro,Baytown,TX)、
当量=約510(NCO当量、g/equiv.)。
【0082】
使用される銀粉末は:
Ag-A:略球状、d50約5.5μm及びd90約13μmを有する銀粉末
Ag-B:略球状、d50約2.1μm及びd90
約5.6μmを有する銀粉末。
【0083】
使用される溶媒は:
S-1-2-ブチオキシエタノール(Butyl Cellosolve(商標)、Dow Chemical Co.Midland,MI)
S-2-ジプロピレングリコールメチルエーテル(Dowanol(商標)DPM、Dow Chemical Co.,Midland,MI)
S-3-トリエチルホスフェート(Eastman Chemical Co.,Kingsport,TN)。
【0084】
ブロック化脂肪族ポリイソシアネート及び付加的な溶媒を、実施例において使用される有機媒体に添加し、その後に、30秒間1000rpmでThinky混合した。次に、銀粉末を添加し、その後に、30秒間1000rpmでThinky混合した。次に、得られた試料を3本ロールミルに数回送り、ECAペースト組成物の調製を終えた。
【0085】
それぞれの前述の混合工程は、自転公転ミキサー中で行うことができる。例えば、1000rpmで30秒間運転するThinky(登録商標)ミキサー(Thinky(登録商標)USA,Inc.,LagunaHills,CAから入手可能)が好適であった。十分に混合された後、ペースト組成物を25μm間隙を有する3本ロールミルを0~150psi(約1.04MPa)に徐々に増加される圧力で繰り返し通過させた。適切なミルは、Charles Ross and Son,Hauppauge,NYから入手することができる。2種以上のタイプの銀粉末が配合において使用される場合、より小さなd50を有する銀が最初に混合されるのが好ましい。次に、この試料は、より大きいd50を有する銀粉末が混合される前にロールミルされる。第2の銀粉末が添加された後、最終ペースト組成物は同じミルパラメーターを使用して再びミルされる。
【0086】
各ペースト組成物の分散度は、ASTM規格試験方法D1210-05(これはASTM International,West Conshohocken,PAにより公表されており、参照により本明細書に組み込まれる)に従って、市販の分散度(FOG)ゲージ(例えば、Precision Gage and Tool,Dayton,Ohioから入手可能なゲージ)を使用して測定することができる。得られるデータは、通常、X/Yとして表されるFOG値として表現され、検出される最も大きい粒子の大きさがXμmであり、メジアン径がYμmであることを意味する。実施形態では、本ペースト組成物のFOG値は典型的には20/10以下であり、これは典型的には良好な印刷性に十分であることが見出された。
【0087】
通常、加工されたペースト組成物は、必要に応じて少量の溶媒を添加して分配、ステンシル又はスクリーン印刷のために適した粘度を得ることによって印刷前に調節される。粘度値は、#14スピンドル及び#6カップのBrookfield粘度計(Brookfield Inc.,Middleboro,MA)を用いて得ることができる。典型的に、約60~90Pa・sの最終粘度(10rpm/3分で測定された)は良い分配印刷結果を生じることが見出されており、25~70Pa・sの最終粘度(10rpm/3分で測定された)は良いスクリーン印刷結果を生じることが見出されているが、若干の変動、例えば±30Pa・s以上は、精密印刷機器及びパラメーターに応じて、許容範囲であろう。
【0088】
実施例及び比較実験において使用される成分のそれぞれのグラム(g)量及びOH/NCO比が表Iに示される。
【0089】
【表1】
【0090】
接着剤の特性決定
実施例1~6及び比較実験A~BのECAペースト組成物の接着性性能を以下の手順によって測定した。
1. Nordson EFD流体分配装置と共に用いるためにそれぞれのECAペースト組成物を6mlシリンジ内に移した。Nordson EFDの設定を調節してそれぞれのECAのための分配された材料の一定の体積を得た。
2. 導電性銀トレースを使用して作られた試験クーポンの銀パッド上にECAペースト組成物を分配した。銀パッドは、ECAを使用してパッドに、1206パッケージSMD LED、例えばMemcon ML153N-RWTデバイスを固定することを可能にするために幅0.050インチ(1.27mm)であった。試験クーポン上のトレースは電圧をLEDに印加することができるように構成され、LEDの動作を検証した。
3. LEDを分配されたECA上に手作業で配置した。最低限30のLEDが接着試験試料セットを構成した。
4. 試験クーポンをBlue-M炉内に置き、ECAを120℃で20分間硬化させた。
5. ECA接着の結合性を検証するため、LEDを点灯するために3VDCの電圧をそれぞれのLEDに印加した。
6. Dage 4000剪断試験機内に配置するために試験クーポンを作製した。LEDを試験クーポンへのその接続から取り除くために必要とされる力を測定するためにDage 4000によってくさび剪断試験を実施する。Dageは、LEDを外すために必要とされる力をグラム単位で記録する。くさび剪断試験を試験クーポン上のそれぞれのLEDについて繰り返した。接着試験の30回の反復が完全な接着試験データセットを構成した。
【0091】
このように測定された平均接着性は、ECAペースト組成物のそれぞれの30のデータセットについて表IIに示される。
【0092】
【表2】
【0093】
可撓性の特性決定
表IIIの試料の可撓性性能は以下に説明されるように測定された。
1. Nordson EFD流体分配装置と共に使用するためにECA調合物を6mlシリンジ内に移した。Nordson EFDの設定を調節してそれぞれのECAのための分配された材料の一定の体積を得た。
2. 導電性銀トレースを使用して作られた試験クーポンの銀パッド上にECA材料を分配した。銀パッドは、ECAを使用してパッドに1206パッケージSMD LED、例えばMemcon ML153N-RWTデバイスを固定することを可能にするために幅0.050インチ(1.27mm)であった。試験クーポン上のトレースは電圧をLEDに印加することができるように構成され、LEDの動作を検証した。
3. LEDを分配されたECA上に手作業で配置した。最低限30のLEDが可撓性試験の試料セットを構成した。
4. 試験クーポンをBlue-M炉内に置き、ECAを120℃で20分間硬化させた。
5. ECA接着の結合性を検証するため、LEDを点灯するために3VDCの電圧をそれぞれのLEDに印加した。
6. 試験クーポンの一方の端部を直径1インチ(2.54cm)のPVC管にテープで固定した。2つの可撓性試験をそれぞれの試験クーポン上で実施した。
a. 可撓性試験1 - 試験クーポンをPVC管の外径の周りに強く巻き付け、次に、取り外した。巻き付け及び取り外しを10回繰り返した。3VDCの電圧をそれぞれのLEDに印加して、それが点灯するかどうかを試験し、結果を記録した。
b.可撓性試験2-試験クーポンをPVC管の外径の周りに強く巻き付け、テープを使用して試験クーポンの自由端を管に固定した。試験クーポンを15分間放置した。15分後に及び試験クーポンを取り外さずに、3VDCの電圧をそれぞれのLEDに印加して、屈曲状態である間にそれが点灯するかどうかを試験し、結果を記録した。全てのLEDが試験クーポン上で試験された後、それを管から分離した。
7. 十分な試験クーポンを使用して可撓性試験を繰り返して、LED試験を30回繰り返した。
【0094】
このように測定される可撓性のデータを表IIIに示す。
【0095】
【表3】
【0096】
表IIの接着性のデータは、ブロック化ポリイソシアネート、フェノキシ樹脂及び可撓性ポリエステルポリオールを含有する実施例1~6のペーストで付着されたLEDは、その組成物中にブロック化ポリイソシアネートを含有しない比較実験Aで付着されたLEDよりも望ましくは高い接着力を示すことを示す。表IIIの可撓性のデータは、ブロック化ポリイソシアネート、フェノキシ樹脂及び可撓性ポリエステルポリオールを含有する実施例1~6は、多くのLEDの不良を有する比較実験B(エポキシ硬化系)と比較してほとんど又は全くLEDの不良を有さないすぐれた可撓性をもたらすことを示す。
【0097】
実施例7、比較実験C
オーバーモールドされた電気コネクタを有する試験パネルの製造
実施例7については、試験パネルの形態の一連の25の回路組立体を作った。それらは、自動車のインストルメントパネルに組み込まれてもよいものを代表する様々なタイプの電気回路及び機能を備えた。試験パネルは、図3に図示された形態に似た形態で概して構造化された。製造後に、それらは、本製造方法及びそこで使用される本ECA組成物の効率を示すために試験された。
【0098】
図3の構造物60は、図2の40で示される構造物の改良形態である。図2の基材28の層の他に、図3の基材48はさらに、クロスオーバー誘電体層24とグラフィックインク層22との間に付加的な銀導電層44及び基礎誘電体層46を備えた。基材48は、約16.5cm平方のプラスチックシートの基層20を使用して作製され、その上にユーザー表示を提供する従来の印刷可能グラフィックインク組成物の厚さ1~2μmの層22、グランド・プレーンを提供する基礎誘電体層46及び銀導電層44が印刷された。次に、DuPont ME778クロスオーバー誘電体ペースト(DuPont,Wilmington,DEから市販されている)の誘電体層24をスクリーン印刷によって適用し、約10μmの厚さに乾燥させた。最後に、DuPont ME602又はME603導電性銀をベースとしたペースト(DuPont,Wilmington,DEから市販されている)をクロスオーバー誘電体層24上にスクリーン印刷することによって導電トレースのパターンが形成された。厚さ10、15、又は20ミル(約250、375、又は500μm)のポリカーボネート(PC)シート又は厚さ7.5ミル(約200μm)のポリエチレンテレフタレート(PET)シートのどちらかを基層として使用することによってパネルを作製した。導体パッドのそれぞれの上に0.008インチ(200μm)のステンシルを使用して上記の実施例6の組成を有する適量のコンプライアントECA 42をステンシル印刷し、次に、乾燥させた。その後、真空成形操作を使用して、試験パネルに含まれる様々な構成において10の静電容量式タッチスイッチに相当する様々な表面凹みを作製した。試験パネル60は、Durastar(商標)DS1910HFポリマー(Eastman Chemical Company,Kingsport,TNから入手可能)を使用して様々な構成要素がオーバーモールドされるインサート成形操作によって完成された。
【0099】
試験目的のために、トレースは、0.1インチ(2.54mm)間隔でそれぞれ10ピンの2列を有する従来の表面実装コネクタ(Samtec TSM-110-01-T-DV)に接続される接続ポイントとして構成される一連のコネクタパッドから始まるように配置された。トレースは、これらのピンから様々なオンボード回路要素につながっていた。それぞれのボードは、それぞれのトレースがその各端部において一対のピンに接続している、異なった長さの2つのループバックトレースを有した。また、他のピンからのトレースは、従来の表面実装LEDインジケータが上に位置されて接続される8対の隣接したパッドにつながっていた。
【0100】
試験は、様々な回路機能を果たすために特注設計された制御器を使用するか、又は従来の実験室試験装置及びピンに手作業で接続される電源を使用するかのどちらかで実施され得る。ループバックトレースとLEDとの両方の特性決定は、表面実装コネクタとそれからつながっている導電トレースとの間の電気接続の効率を決定することを可能にした。
【0101】
ループバックトレースのために、適切なピンに適用されるプローブを有する従来のオーム計を使用して測定される抵抗が、使用される導電性インク及び成形されただけのその呼称寸法(長さ、幅、及び高さ)に基づいて、トレースについて予想される抵抗に近い場合、良い接続が推測された。高めの抵抗は、ピンターミナルとトレースとの間の不十分な接続に帰せられた。非常に低い抵抗はおそらく、介在するグランド・プレーンによって短絡の結果として得られた。
【0102】
それぞれのLEDは、導電トレースによってそのデバイスターミナルに公称で接続される2つのコネクタピン上にバイアス電圧を直接に印加することによること、及び制御器を使用することによることの両方で試験された。予想される方法で通電される場合及びその場合にだけデバイスが照明され且つ通電されない場合は切れている場合それぞれのLEDについて適切な接続が推測された。いかなる通電条件下でも動作しなかったLEDは、コネクタにおける不良を示し得るが、また、導電トレース又はLED自体への接続が不良である場合に起こり得る。同様に、絶えず点灯しているか又は予想される方法で制御器によって機能を果たし得ないかどちらかであるLEDについてコネクタ自体に関する結論を引き出すことはできない。成形操作の結果としてコネクタ上の隣接したピン間に短絡が存在していないことは別個に確認された。
【0103】
上記の実施例6のECA組成物を使用して作られる接続部を有するパネルのこの試験からのデータは、表IVに示される。また、それぞれのパネルのために使用される基層材料(PC又はPET)及びその厚さも記載される。2つのループバックトレースについての結果は、両方のトレースが想定の範囲内の抵抗を示した場合「+」として示される。「開(n)」は「n」(n=1又は2)個のトレースが開回路されることを示すが、「短絡(n)」は、トレースの「n」個に短絡を示した(すなわち、予想されるよりもずっと低い抵抗)。適切に機能したLEDの数もまた示される。
【0104】
【表4】
【0105】
比較実験Bのために、上述の同じ技術を使用して別の一連の15個の試験パネル(図示せず)を作ったが、ただし、コンプライアントECAは取り除かれた。したがって、導電トレースと様々なLEDとマルチピンコネクタとの間の接続は、オーバーモールディングプロセスの間に形成される物理的接触にのみ依拠した。
【0106】
【表5】
【0107】
表IV及びVに示されるデータの比較は、典型的なイン・モールド電子回路組立体をシミュレートする試験パネルにおいて確実に接続する際のコンプライアントECAの効率を示す。
【0108】
実施例8
実施例7の試験は、同じ構成(図3)において39個の付加的な試験パネルを製造及び試験することによって繰り返された。実施例6のコンプライアントECA組成物を使用して全ての接続部を作った。同じ試験を実施し、表VIに示される結果をもたらした。
【0109】
【表6】
【0110】
実施例9
上記のECAを使用して作られた接続部の信頼性は、実験室空気中85℃又は湿り空気(85%相対湿度)中85℃のどちらかで、試験パネルのいくつかを長時間の環境応力に供することによって試験された。暴露時間は、2448~3312h(102~138d)の範囲であった。2つのループバックトレースの抵抗は、暴露の開始時及び後に実験室マルチメーターを使用して測定され、表VIIに記載された値をもたらした。7個のパネル上の14のトレースのうち、13が良好な抵抗を維持したが、パネル7上のトレースの1つが暴露中に開いた。
【0111】
【表7】
【0112】
このように本発明を非常に詳細に説明してきたが、この詳細に厳格に忠実である必要はなく、追加的な変更形態及び修正形態が当業者にとって想到される場合があり、全て添付の特許請求の範囲に定義される通りの本発明の範囲に入ることが理解されるであろう。
【0113】
数値の範囲が本明細書で列挙又は規定されるが、その範囲は、その端点及びその範囲内の個別の整数及び分数の全てを含み、並びにまた、あたかもより狭い範囲のそれぞれが明示的に列挙されるのと同じ程度に、記載された範囲内の値のより大きい群の下位群を形成する、端点並びに内側の整数及び分数の様々な可能な組合せの全てによって形成されるその中のより狭い範囲のそれぞれを含む。数値の範囲が述べられた値よりも大きいと本明細書で述べられる場合、その範囲は、それにもかかわらず、有限であり、本明細書で記載される通り、本発明に関連して操作可能である値によってその上側端で拘束される。数値の範囲が、述べられた値よりも小さいと本明細書で述べられる場合、その範囲は、それにもかかわらず、ゼロでない値によってその下側端で拘束される。
【0114】
本明細書において、特に明示的に述べられないか、又は使用に関連して反対に示されない限り、本明細書の主題の実施形態が、ある特定の特徴又は要素を含む、包含する、含有する、有する、それらからなる、又はそれらによって若しくはそれらから構成されると述べられ又は記載される場合、明示的に述べられた又は記載されたものに加えて1つ又は複数の特徴又は要素が実施形態で存在してもよい。しかしながら、本明細書の主題の代わりの実施形態が、ある特定の特徴又は要素から本質的になると述べられ又は記載されてもよく、この実施形態では、操作の原理又は実施形態の際立った特性を実質的に変更する特徴又は要素はそこに存在しない。本明細書の主題の更なる代わりの実施形態が、ある特定の特徴又は要素からなると述べられ又は記載されてもよく、この実施形態において、又はその実態のない変形形態では、具体的に述べられ又は記載された特徴又は要素のみが存在する。さらに、用語「含む」は、用語「から本質的になる」及び「からなる」によって包含される例を含むことが意図される。同様に、用語「から本質的になる」は、用語「からなる」によって包含される例を含むことが意図される。
【0115】
本明細書においていくつかの場合、ポリマー(ミクロゲルとして調製されるものを含める)は、ポリマーを製造するために使用されるモノマー又はそれらの量に言及することによって説明されることは理解されるはずである。このような説明は最終ポリマーを説明するために使用される特定の専門用語を含まなくてもよく又はプロダクト・バイ・プロセス用語が入ってなくてもよいが、モノマー及び量への任意のこのような言及は、ポリマーがそれらのモノマー(すなわちそれらのモノマーの共重合単位)又はモノマーのその量、並びに相当するポリマー及びそれらの組成物を含むことを意味すると解釈されるべきである。
【0116】
量、濃度、又は他の値若しくはパラメーターが、範囲、好ましい範囲、又は上側の好ましい値及び下側の好ましい値のリストのいずれかとして与えられる場合、これは、範囲が別個に開示されるかどうかにかかわらず、任意の上側範囲限界又は好ましい値、並びに任意の下側範囲限界又は好ましい値の任意の対から形成された範囲の全てを具体的に開示すると理解されるべきである。ある範囲の数値が本明細書において列挙される場合、特に明記しない限り、その範囲は、その終点並びにその範囲内の全ての整数及び分数を包含することを意図する。本発明の範囲は、範囲を明確にする場合に列挙された具体的な値に限定されることを意図されない。
【0117】
本明細書において、特に別に述べられないか、又は使用の文脈により反対に示されない限り、
(a)本明細書で列挙される量、サイズ、範囲、処方、パラメーター、並びに他の量及び特性は、特に用語「約」によって修飾される場合、必要とはしないが正確であってもよく、また近似値であってもよく、及び/又は許容範囲、換算係数、四捨五入、測定誤差等を反映して、記載された値より(必要に応じて)大きいか又は小さくてもよく、並びに本発明の文脈の範囲内で、表記値に機能的及び/又は操作可能な同等性を有するそれ以外のそれらの値を表記値の範囲内で包含してもよく、及び
(b)部、パーセンテージ、又は比の全ての数量が部、パーセンテージ、又は重量比として与えられ、表記部、パーセンテージ、又は重量比は合計100になってもならなくてもよい。
以下、本明細書に記載の主な発明について列記する。
(1) (a)導電性金属粉末と、
(b)ポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドであって、ポリオールとフェノキシ樹脂の両方がヒドロキシ基(OH)を含有するものと、
(c)イソシアネート基(NCO)を含有するブロック化脂肪族ポリイソシアネートと、
(d)1つ又は複数の極性、非プロトン性溶媒と
を含むポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物であり、前記樹脂ブレンドと前記ブロック化脂肪族ポリイソシアネートとが前記1つ又は複数の溶媒中に溶解され、前記金属粉末が前記1つ又は複数の溶媒中に分散される、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物。
(2) 前記導電性金属粉末が銀粉末を含む、(1)に記載のペースト組成物。
(3) 前記導電性金属粉末が銀被覆銅粉末を含む、(1)に記載のペースト組成物。
(4) 前記ペースト組成物が55~80wt%の導電性金属粉末、7~20wt%の樹脂ブレンド、0.5~5wt%のブロック化脂肪族ポリイソシアネート及び15~35wt%の1つ又は複数の溶媒を含み、wt%が前記ペースト組成物の全重量に基づいている、(1)~(3)のいずれか一項に記載のペースト組成物。
(5) 前記樹脂ブレンドのヒドロキシ基の数の、前記ブロック化脂肪族ポリイソシアネートのイソシアネート基の数に対する比、OH/NCOが8~25の範囲であり、前記金属粉末の重量の、前記樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドが4~7の範囲である、(1)~(4)のいずれか一項に記載のペースト組成物。
(6) 請求項(1)~(5)のいずれか一項に記載のペースト組成物を含む電気導電性接着剤。
(7) 前記樹脂ブレンドのヒドロキシ基の数の、前記ブロック化脂肪族ポリイソシアネートのイソシアネート基の数に対する比、OH/NCOが1~10の範囲であり、前記金属粉末の重量の、前記樹脂ブレンドの重量に対する比、金属/樹脂ブレンドが7~10の範囲である、(1)~(4)のいずれか一項に記載のペースト組成物。
(8) (1)~(5)又は(7)のいずれか一項に記載のペースト組成物を使用して形成される電気導電性ポリマー厚膜。
(9) (a)導電性金属粉末と、
(b)ポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドであって、ポリオールとフェノキシ樹脂との樹脂ブレンドの両方ともがヒドロキシ基(OH)を含有するものと、
(c)イソシアネート基(NCO)を含有するブロック化脂肪族ポリイソシアネートと、
(d)1つ又は複数の極性、非プロトン性溶媒とを含む、(1)~(5)又は(7)のいずれか一項に記載のポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物でああり、前記樹脂ブレンドと前記ブロック化脂肪族ポリイソシアネートとが前記1つ又は複数の溶媒中に溶解され、前記金属粉末が前記1つ又は複数の溶媒中に分散され、
及び前記ペースト組成物が硬化されている、ポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物から形成される電気導電実体を含有する電気回路を含む物品。
(10) 前記実体が電気導電性接着剤である、(9)に記載の物品。
(11) 前記実体が電気導電性ポリマー厚膜である、(9)に記載の物品。
(12) 着用可能な衣類である、(9)に記載の物品。
(13) 少なくとも1つのターミナルを有する電気回路要素を、第1及び第2の主表面を有し且つ前記第1の表面上に導電トレースを有する基材に付着させる方法であり、
(a)複数の嵌め合い部分から構成される射出成形用型であって、前記基材上に形成されるように定められる溶融プラスチック材料を受容するように適合される内部キャビティを、組み立てられる時に一緒に画定する射出成形用型を提供する工程と、
(b)コンプライアント電気導電性接着剤を、前記少なくとも1つのターミナル又は前記ターミナルに電気的に接続されるように定められる前記導電トレースの接続ポイントのうちの少なくとも一方の上に堆積させる工程と、
(c)前記射出成形用型を前記基材及びその中に密閉される前記回路要素と共に組み立てる工程であって、前記回路要素が前記第1の表面上に位置されており、前記少なくとも1つのターミナルが前記接続ポイントと位置合せしており且つ前記電気導電性接着剤と接触している工程と、
(d)その後に前記内部キャビティを溶融プラスチック材料で充填する工程と、
(e)前記プラスチック材料を固化し、その後、前記基材及びそれに付着された前記回路要素を前記射出成形用型から取り出す工程とを含み、
前記プラスチック材料が、固化される時に、前記回路要素を少なくとも部分的に埋め込み、且つ前記少なくとも1つのターミナルが前記導電トレースに電気的に接続されると共にそれを前記基材に固定するように前記キャビティが構成される、方法。
(14) 少なくとも1つのターミナルを有する電気回路要素を、第1及び第2の主表面を有し且つ前記第1の表面上に導電トレースを有する基材に付着させる方法であり、
(a)複数の嵌め合い部分から構成される射出成形用型であって、前記基材上に形成されるように定められる溶融プラスチック材料を受容するように適合される内部キャビティを、組み立てられる時に一緒に画定する射出成形用型を提供する工程と、
(b)コンプライアント電気導電性接着剤を、前記少なくとも1つのターミナル又は前記ターミナルに電気的に接続されるように定められる前記導電トレースの接続ポイントのうちの少なくとも一方の上に堆積させる工程と、
(c)前記射出成形用型を前記基材及びその中に密閉される前記回路要素と共に組み立てる工程であって、前記回路要素が前記第1の表面上に位置されており、前記少なくとも1つのターミナルが前記接続ポイントと位置合せしており且つ前記電気導電性接着剤と接触している工程と、
(d)その後に前記内部キャビティを溶融プラスチック材料で充填する工程と、
(e)前記プラスチック材料を固化し、その後、前記基材及びそれに付着された前記回路要素を前記射出成形用型から取り出す工程とを含み、
前記プラスチック材料が、固化される時に、前記回路要素を少なくとも部分的に埋め込み、且つ前記少なくとも1つのターミナルが前記導電トレースに電気的に接続されると共にそれを前記基材に固定するように前記キャビティが構成され、及び前記コンプライアント電気導電性接着剤が、(1)~(5)又は(7)のいずれか一項に記載のポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物を含む、方法。
(15) 前記回路要素が、固化されたプラスチック材料中に部分的に埋め込まれるように前記内部キャビティが構成される、(13)又は(14)に記載の方法。
(16) 前記回路要素が、前記固化されたプラスチック材料中に完全に埋め込まれるように前記内部キャビティが構成される、(13)又は(14)に記載の方法。
(17) (i)少なくとも1つのターミナルを有する少なくとも1つの電気回路要素及び(ii)第1及び第2の主表面を有し且つ前記第1の表面上に導電トレースパターンを有する基材を含む回路組立体であって、前記少なくとも1つのターミナルと前記導電トレースとが、それらの間に挟まれる(1)~(5)又は(7)のいずれか一項に記載のポリマー厚膜電気導電性ペースト組成物を含む電気導電性接着剤によって電気的に接続される、回路組立体。
(18) 前記回路要素が少なくとも部分的に埋め込まれるオーバーモールドされたプラスチックによって前記電気回路要素が前記基材に付着される、(17)に記載の回路組立体。
(19) 前記回路要素が、前記オーバーモールドされたプラスチック中に完全に埋め込まれる、(18)に記載の回路組立体。
図1
図2
図3