(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】自動取引装置、制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G07D 11/235 20190101AFI20240607BHJP
G07D 11/26 20190101ALI20240607BHJP
G07D 11/60 20190101ALI20240607BHJP
【FI】
G07D11/235
G07D11/26
G07D11/60
(21)【出願番号】P 2021025720
(22)【出願日】2021-02-19
【審査請求日】2023-03-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加文字 克
(72)【発明者】
【氏名】石原 和弥
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-117801(JP,A)
【文献】特開2019-045927(JP,A)
【文献】特開2013-109727(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00-13/00
G07D 1/00- 3/16
G07F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
現金の預け払いを行う自動取引装置であって、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサと、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラと、
前記センサでの検知結果と、前記カメラによって撮影された画像とに基づいて、前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、
を具備
し、
前記制御部は、前記画像において所定の割合で白飛びが発生し、または、前記画像において所定の割合で黒つぶれが発生し、かつ、前記センサにより前記顧客が検知されないときに、前記自動取引装置の運用を停止するとともに、前記自動取引装置の運用を停止したことを通知する、
自動取引装置。
【請求項2】
現金の預け払いを行う自動取引装置であって、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサと、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラと、
前記センサでの検知結果と、前記カメラによって撮影された画像とに基づいて、前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、
タッチパネルと、
を具備
し、
前記制御部は、前記画像において所定の割合の白飛びの発生、または、前記画像において所定の割合の黒つぶれの発生により前記カメラによる正常な撮影が可能でないと判定したときに前記自動取引装置の前からの移動を前記顧客に促すメッセージを前記タッチパネルに表示させ、前記メッセージの表示後に、前記画像に基づいて前記カメラによる正常な撮影が可能でないと判定し、かつ、前記センサにより前記顧客が検知されたときに、前記メッセージを前記タッチパネルに再度表示させる、
自動取引装置。
【請求項3】
現金の預け払いを行う自動取引装置であって、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサと、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラと、
前記センサでの検知結果と、前記カメラによって撮影された画像とに基づいて、前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、
タッチパネルと、
を具備
し、
前記制御部は、前記画像において所定の割合の白飛びの発生、または、前記画像において所定の割合の黒つぶれの発生により前記カメラによる正常な撮影が可能でないと判定したときに前記自動取引装置の前からの移動を前記顧客に促すメッセージを前記タッチパネルに表示させ、前記メッセージの表示後に、前記画像に基づいて前記カメラによる正常な撮影が可能でないと判定し、かつ、前記センサにより前記顧客が検知されないときに、前記自動取引装置の運用を停止する、
自動取引装置。
【請求項4】
現金の預け払いを行う自動取引装置であって、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサと、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラと、
前記センサでの検知結果と、前記カメラによって撮影された画像とに基づいて、前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、
貨幣入出金口と、
を具備
し、
前記制御部は、
前記センサにより前記顧客が検知された後、前記貨幣入出金口に貨幣が残留したままの状態で、前記画像に基づいて前記顧客が前記自動取引装置から立ち去ったと判定したときに、前記自動取引装置からの貨幣の取り忘れがあることを前記顧客に知らせるためのアラームを開始し、
前記アラームの開始後に、前記顧客と異なる人物、かつ、残留貨幣を横取りしようとしている前記人物が前記カメラによって撮影されているときに、前記貨幣入出金口を閉鎖する、
自動取引装置。
【請求項5】
現金の預け払いを行う自動取引装置であって、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサと、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラと、
前記センサでの検知結果と、前記カメラによって撮影された画像とに基づいて、前記自動取引装置の動作を制御する制御部と、
貨幣入出金口と、
を具備
し、
前記制御部は、
前記センサにより前記顧客が検知された後、前記貨幣入出金口に貨幣が残留したままの状態で、前記画像に基づいて前記顧客が前記自動取引装置から立ち去ったと判定したときに、前記自動取引装置からの貨幣の取り忘れがあることを前記顧客に知らせるためのアラームを開始し、
前記アラームの開始後に、前記顧客と異なる人物、かつ、残留貨幣を横取りしようとしている前記人物が前記カメラによって撮影されず、かつ、前記貨幣入出金口に貨幣が残留していないときに、前記アラームを終了する、
自動取引装置。
【請求項6】
現金の預け払いを行う自動取引装置における制御方法であって、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサでの検知結果を取得し、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラによって撮影された画像を取得し、
前記検知結果と前記画像とに基づいて前記自動取引装置の動作を制御
し、
前記画像において所定の割合で白飛びが発生し、または、前記画像において所定の割合で黒つぶれが発生し、かつ、前記センサにより前記顧客が検知されないときに、前記自動取引装置の運用を停止するとともに、前記自動取引装置の運用を停止したことを通知する、
制御方法。
【請求項7】
現金の預け払いを行う自動取引装置が具備するプロセッサに、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能なセンサでの検知結果を取得し、
前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能なカメラによって撮影された画像を取得し、
前記検知結果と前記画像とに基づいて前記自動取引装置の動作を制御
し、
前記画像において所定の割合で白飛びが発生し、または、前記画像において所定の割合で黒つぶれが発生し、かつ、前記センサにより前記顧客が検知されないときに、前記自動取引装置の運用を停止するとともに、前記自動取引装置の運用を停止したことを通知する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動取引装置、制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
顧客自身の操作によって現金の預け払いを行う自動取引装置として、自動取引装置の前に顧客が存在することを検知する「顧客センサ」を有するものがある。顧客センサが顧客を検知しないときには自動取引装置を低消費電力状態にする一方で、顧客センサが顧客を検知したときには自動取引装置を低消費電力状態から取引可能状態へ移行させる。自動取引装置は、ATM(Automatic Teller Machine)と呼ばれることもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-331251号公報
【文献】特開2010-061196号公報
【文献】特開2008-197939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
顧客センサによる顧客検知だけでは実現できない自動取引装置の動作がある。
【0005】
そこで、本開示では、自動取引装置の様々な動作を可能にする技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の自動取引装置は、センサと、カメラと、制御部とを有する。前記センサは、前記自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能である。前記カメラは、前記自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能である。前記制御部は、前記センサでの検知結果と、前記カメラによって撮影された画像とに基づいて、前記自動取引装置の動作を制御する。
【発明の効果】
【0007】
開示の技術によれば、自動取引装置の様々な動作が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本開示の実施例1の自動取引装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、本開示の実施例1の自動取引装置の外観の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、本開示の実施例1の自動取引装置の構成の一例を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、本開示の実施例1の自動取引装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4B】
図4Bは、本開示の実施例1の自動取引装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施例を図面に基づいて説明する。以下の実施例において同一の構成には同一の符号を付す。
【0010】
[実施例1]
<自動取引装置の外観>
図1及び
図2は、本開示の実施例1の自動取引装置の外観の一例を示す図である。
図1には正面図を示し、
図2には側面図を示す。
【0011】
図1において、現金の預け払いを行う自動取引装置10は、顧客センサ11と、スピーカ12と、カード挿入口13aと、通帳投入口14aと、タッチパネル15と、紙幣入出金口16aと、硬貨入出金口17a、顧客カメラ18とを有する。
【0012】
スピーカ12は、案内音声を出力する。
【0013】
カード挿入口13aには、磁気カードまたはICカードが挿入される。
【0014】
通帳投入口14aには、預金通帳が投入される。
【0015】
タッチパネル15は、各種の画面を表示し、顧客の操作を受け付ける。
【0016】
紙幣入出金口16aには紙幣が投入される。また、出金紙幣が紙幣入出金口16aから排出される。
【0017】
硬貨入出金口17aには硬貨が投入される。また、出金硬貨が硬貨入出金口17aから排出される。
【0018】
以下では、紙幣入出金口16aと硬貨入出金口17aとを「貨幣入出金口」と総称することがある。
【0019】
顧客センサ11は、
図2に示すように、自動取引装置10の正面に存在する顧客Cを検知可能である。顧客センサ11の一例として、赤外線を用いた近接センサが挙げられる。
【0020】
顧客カメラ18は、常時撮影を行い、
図2に示すように、自動取引装置10の正面に存在する顧客Cを撮影可能である。
【0021】
<自動取引装置の構成>
図3は、本開示の実施例1の自動取引装置の構成の一例を示す図である。
【0022】
図3において、自動取引装置10は、制御部21と、記憶部22と、ネットワークインタフェースモジュール23と、タッチパネル15と、顧客カメラ18と、顧客センサ11と、カード処理ユニット13と、通帳処理ユニット14と、紙幣処理ユニット16と、硬貨処理ユニット17とを有する。
【0023】
制御部21は、顧客センサ11での検知結果を取得する一方で、顧客カメラ18によって撮影された画像(以下では「撮影画像」と呼ぶことがある)を顧客カメラ18から取得し、顧客センサ11での検知結果と撮影画像とに基づいて、自動取引装置10の動作を制御する。制御部21は、ハードウェアとして、例えばプロセッサにより実現される。制御部21を実現するプロセッサの一例として、CPU(Central Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等が挙げられる。
【0024】
記憶部22は、ハードウェアとして、例えば、メモリ、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disk Drive)等により実現される。
【0025】
ネットワークインタフェースモジュール23は、ネットワークを介して勘定系システムと接続される。ネットワークインタフェースモジュール23の一例として、NIC(Network Interface Card)等が挙げられる。
【0026】
カード処理ユニット13は、カード挿入口13aに挿入された磁気カードまたはICカードに記録された情報(以下では「カード記録情報」と呼ぶことがある)を読み取って制御部21へ出力する。
【0027】
通帳処理ユニット14は、通帳投入口14aに投入された預金通帳の磁気ストライプに記録された情報を読み取って制御部21へ出力する。また、通帳処理ユニット14は、制御部21から入力された情報に基づいて、預金通帳への記帳を行う。
【0028】
紙幣処理ユニット16は、紙幣入出金口16aに投入された紙幣を鑑別および計数し、取引が成立すると券種ごとに紙幣を紙幣カセット(図示省略)に格納する。また、紙幣処理ユニット16は、券種ごとの紙幣カセットから出金される紙幣を計数し、出金紙幣を紙幣入出金口16aから排出する。
【0029】
硬貨処理ユニット17は、硬貨入出金口17aに投入された硬貨を計数し、取引が成立すると金種ごとに硬貨を硬貨カセット(図示省略)に格納する。また、硬貨処理ユニット17は、金種ごとの硬貨カセットから出金される硬貨を計数し、出金硬貨を硬貨入出金口17aから排出する。
【0030】
顧客センサ11は、顧客Cを検知したときに検知信号を制御部21へ出力する。
【0031】
顧客カメラ18は、撮影画像を制御部21へ出力する。
【0032】
<自動取引装置における処理手順>
図4A及び
図4Bは、本開示の実施例1の自動取引装置における処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0033】
ステップS100では、制御部21は、自動取引装置10を低消費電力状態に移行させる。例えば、制御部21は、紙幣処理ユニット16及び硬貨処理ユニット17の動作を停止させたり、タッチパネル15を消灯させることにより自動取引装置10を低消費電力状態に移行させる。
【0034】
次いで、ステップS110では、制御部21は、顧客カメラ18により顧客Cが検知されたか否かを判定する。制御部21は、撮影画像を解析することにより顧客Cが検知されたか否かを判定する。制御部21は、例えば、パターンマッチングや機械学習等の既存の手法を用いて撮影画像を解析することにより、顧客Cを検出したり、自動取引装置10と顧客Cとの間の距離(以下では「顧客距離」と呼ぶことがある)を測定することが可能である。顧客カメラ18により顧客Cが検知されたときは(ステップS110:Yes)、処理はステップS120へ進み、顧客カメラ18により顧客Cが検知されないときは(ステップS110:No)、処理はステップS140へ進む。
【0035】
ステップS120では、制御部21は、顧客センサ11の不良の有無を判定する。顧客センサ11に不良があるときは(ステップS120:No)、処理はステップS130へ進み、顧客センサ11に不良がないときは(ステップS120:Yes)、処理はステップS160へ進む。
【0036】
ステップS130では、制御部21は、自動取引装置10の運用を継続したまま、顧客センサ11の不良を係員に通知する。例えば、制御部21は、スピーカ12から特定の音声を出力したり、係員が所持する携帯端末へネットワークインタフェースモジュール23を介して特定のメッセージを送信することにより、顧客センサ11の不良を通知する。ステップS130の処理後、処理はステップS160へ進む。
【0037】
ステップS140では、制御部21は、顧客センサ11により顧客Cが検知されたか否かを判定する。顧客センサ11により顧客Cが検知されたときは(ステップS140:Yes)、処理はステップS160へ進み、顧客センサ11により顧客Cが検知されないときは(ステップS140:No)、処理はステップS150へ進む。
【0038】
ステップS150では、制御部21は、顧客カメラ18が故障した、または、顧客センサ11が故障したと判定して、自動取引装置10の運用を停止し、自動取引装置10の運用を停止したことを係員に通知する。例えば、制御部21は、スピーカ12から特定の音声を出力したり、係員が所持する携帯端末へネットワークインタフェースモジュール23を介して特定のメッセージを送信することにより、自動取引装置10の運用を停止したことを係員に通知する。ステップS150の処理により、処理手順は終了する。
【0039】
ステップS160では、制御部21は、自動取引装置10を低消費電力状態から取引可能状態に移行させる。例えば、制御部21は、紙幣処理ユニット16及び硬貨処理ユニット17を起動させたり、タッチパネル15を点灯させることにより自動取引装置10を取引可能状態に移行させる。
【0040】
次いで、ステップS170では、制御部21は、顧客カメラ18による正常な撮影が可能か否かを判定する。例えば、制御部21は、撮影画像において所定の割合で白飛びが発生したり、または、撮影画像において所定の割合で黒つぶれが発生しているときに、顧客カメラ18の設置環境等が原因で、顧客カメラ18による正常な撮影が可能でないと判定する。顧客カメラ18による正常な撮影が可能なときは(ステップS170:Yes)、処理はステップS240へ進み、顧客カメラ18による正常な撮影が可能でないときは(ステップS170:No)、処理はステップS180へ進む。
【0041】
ステップS180では、制御部21は、自動取引装置10の前からの移動を顧客Cに促すメッセージ(以下では「移動メッセージ」と呼ぶことがある)をタッチパネル15に表示させる。例えば、制御部21は、「こちらのATMは現在ご利用できません。隣のATMをご利用下さい。」という移動メッセージをタッチパネル15に表示させる。
【0042】
次いで、ステップS190では、制御部21は、ステップS170と同様に、顧客カメラ18による正常な撮影が可能か否かを判定する。顧客カメラ18による正常な撮影が可能なときは(ステップS190:Yes)、処理はステップS100に戻り、顧客カメラ18による正常な撮影が可能でないときは(ステップS190:No)、処理はステップS200へ進む。
【0043】
ステップS200では、制御部21は、顧客センサ11により顧客Cが検知されたか否かを判定する。顧客センサ11により顧客Cが検知されたときは(ステップS200:Yes)、処理はステップS210へ進み、顧客センサ11により顧客Cが検知されないきは(ステップS200:No)、処理はステップS230へ進む。
【0044】
ステップS200において顧客Cが検知されたときは、顧客Cの手によって顧客カメラ18が覆われている等の悪戯が顧客カメラ18に対して行われていることが想定される。そこで、ステップS210では、制御部21は、移動メッセージをタッチパネル15に再度表示させ、ステップS220では、制御部21は、自動取引装置10の運用を継続したまま、顧客カメラ18に対して悪戯が行われている可能性があることを係員に通知する。例えば、制御部21は、スピーカ12から特定の音声を出力したり、係員が所持する携帯端末へネットワークインタフェースモジュール23を介して特定のメッセージを送信することにより、顧客カメラ18に対して悪戯が行われている可能性があることを係員に通知する。ステップS220の処理後、処理はステップS100に戻る。
【0045】
ステップS230では、制御部21は、ステップS150と同様に、顧客カメラ18が故障した、または、顧客センサ11が故障したと判定して、自動取引装置10の運用を停止し、自動取引装置10の運用を停止したことを係員に通知する。ステップS230の処理により、処理手順は終了する。
【0046】
一方で、ステップS240では、制御部21は、撮影画像における撮影対象に動きがあるか否かを判定する。撮影対象に動きがあるときは(ステップS240:Yes)、制御部21は顧客Cが正常に撮影されていると判定し、処理はステップS250へ進む。一方で、撮影対象に動きがないときは(ステップS240:No)、制御部21は顧客C以外の物体が顧客Cとして誤検知されていると判定し、処理はステップS100に戻る。
【0047】
ステップS250では、制御部21は、取引メニュー画面をタッチパネル15に表示させる。
【0048】
次いで、ステップS260では、制御部21は、取引メニュー画面に含まれる複数の取引ボタンの何れかが押下されるまで待機する(ステップS260:No)。複数の取引ボタンの各々は、入金、出金、振込等のそれぞれの取引内容に対応して表示される。複数の取引ボタンの何れかが押下されると(ステップS260:Yes)、処理はステップS270へ進む。
【0049】
ステップS270では、制御部21は、カード挿入口13aへの磁気カードまたはICカードの挿入を顧客Cに促す画面であるカード挿入画面をタッチパネル15に表示させる。
【0050】
次いで、ステップS280では、制御部21は、磁気カードまたはICカードがカード挿入口13aに挿入されるまで待機する(ステップS280:No)。磁気カードまたはICカードがカード挿入口13aに挿入されると(ステップS280:Yes)、処理はステップS290へ進む。
【0051】
ステップS290では、制御部21は、タッチパネル15への暗証番号の入力を顧客Cに促す画面である暗証番号入力画面をタッチパネル15に表示させる。
【0052】
次いで、ステップS300では、制御部21は、暗証番号の入力が完了するまで待機する(ステップS300:No)。暗証番号の入力が完了すると(ステップS300:Yes)、処理はステップS310へ進む。
【0053】
ステップS310では、制御部21は、カード記録情報に基づいて、暗証番号が正しいか否かを判定する。暗証番号が正しいときは(ステップS310:Yes)、処理はステップS320へ進み、暗証番号が正しくないときは(ステップS310:No)、処理手順は終了する。
【0054】
ステップS320では、制御部21は、取引金額の入力を顧客Cに促す画面である金額入力画面をタッチパネル15に表示させる。
【0055】
次いで、ステップS330では、制御部21は、取引金額の入力が完了するまで待機する(ステップS330:No)。取引金額の入力が完了すると(ステップS330:Yes)、処理はステップS340へ進む。
【0056】
ステップS340では、制御部21は、取引金額の確認を顧客Cに促す画面である金額確認画面をタッチパネル15に表示させる。
【0057】
次いで、ステップS350では、制御部21は、金額確認画面に含まれる確認ボタンが押下されるまで待機する(ステップS350:No)。確認ボタンが押下されると(ステップS350:Yes)、処理はステップS360へ進む。
【0058】
ステップS360では、制御部21は、ステップS260で押下された取引ボタンに応じた入出金処理を行う。
【0059】
次いで、ステップS370では、制御部21は、紙幣入出金口16aに紙幣が残留していないか否か、及び、硬貨入出金口17aに硬貨が残留していないか否かを判定する。以下では、紙幣入出金口16aに残留している紙幣と、硬貨入出金口17aに残留している硬貨とを「残留貨幣」と総称することがある。残留貨幣があるときは(ステップS370:No)、処理はステップS380へ進み、残留貨幣がないときは(ステップS370:Yes)、処理手順は終了する。
【0060】
ステップS380では、制御部21は、残留貨幣があるままで顧客Cが自動取引装置10から立ち去ったか否かを判定する。例えば、制御部21は、撮影画像に基づいて、顧客距離が所定の閾値TH以上になったときに顧客Cが自動取引装置10から立ち去ったと判定し、顧客距離が閾値TH未満にあるときに顧客Cが未だ自動取引装置10の前に存在すると判定する。顧客Cが自動取引装置10から立ち去ったときは(ステップS380:Yes)、処理はステップS390へ進み、顧客Cが未だ自動取引装置10の前に存在するときは(ステップS380:No)、処理はステップS370に戻る。
【0061】
ステップS390では、制御部21は、自動取引装置10からの貨幣の取り忘れがあること、つまり、残留貨幣があることを顧客Cに知らせるためのアラーム(以下では「残留通知アラーム」と呼ぶことがある)を開始する。例えば、制御部21は、スピーカ12からの特定の音声の出力を開始することにより、残留通知アラームを開始する。
【0062】
次いで、ステップS400では、制御部21は、ステップS260~S350において自動取引装置10に対する操作を行った顧客Cと異なる人物で、かつ、残留貨幣を横取りしようとしている人物(以下では「不審者」と呼ぶことがある)が顧客カメラ18によって撮影されているか否かを撮影画像に基づいて判定する。制御部21は、例えば、パターンマッチングや機械学習等の既存の手法を用いて撮影画像を解析することにより、撮影画像中の人物が不審者であるか否かを判定することが可能である。不審者が撮影されているときは(ステップS400:Yes)、処理はステップS410へ進み、不審者が撮影されていないときは(ステップS400:No)、処理はステップS420へ進む。
【0063】
ステップS410では、制御部21は、貨幣入出金口を閉鎖することにより、残留貨幣が不審者に横取りされることを防止する。ステップS410の処理により、処理手順は終了する。
【0064】
一方で、ステップS420では、制御部21は、ステップS370と同様に、残留貨幣があるか否かを判定する。残留貨幣があるときは(ステップS420:No)、処理はステップS400に戻り、残留貨幣がないときは(ステップS420:Yes)、処理はステップS430へ進む。
【0065】
ステップS420で残留貨幣がないときは、ステップS390で開始された残留通知アラームに気付いた顧客Cが自動取引装置10に戻って来て残留貨幣を受領したものと推測される。そこで、ステップS430では、制御部21は、残留通知アラームを終了する。ステップS430の処理により、処理手順は終了する。
【0066】
以上、実施例1について説明した。
【0067】
[実施例2]
制御部21での上記説明における各処理の全部または一部は、各処理に対応するプログラムを制御部21に実行させることによって実現しても良い。例えば、上記説明における各処理に対応するプログラムが記憶部22に記憶され、プログラムが制御部21によって記憶部22から読み出されて実行されても良い。また、プログラムは、任意のネットワークを介して自動取引装置10に接続されたプログラムサーバに記憶され、そのプログラムサーバから自動取引装置10にダウンロードされて実行されたり、自動取引装置10が読み取り可能な記録媒体に記憶され、その記録媒体から読み出されて実行されても良い。自動取引装置10が読み取り可能な記録媒体には、例えば、メモリカード、USBメモリ、SDカード等の可搬の記憶媒体が含まれる。また、プログラムは、任意の言語や任意の記述方法にて記述されたデータ処理方法であり、ソースコードやバイナリコード等の形式を問わない。また、プログラムは必ずしも単一的に構成されるものに限られず、複数のモジュールや複数のライブラリとして分散構成されるものや、OSに代表される別個のプログラムと協働してその機能を達成するものも含む。
【0068】
以上、実施例2について説明した。
【0069】
以上のように、本開示の自動取引装置(実施例の自動取引装置10)は、センサ(実施例の顧客センサ11)と、カメラ(実施例の顧客カメラ18)と、制御部(実施例の制御部21)とを有する。センサは、自動取引装置の正面に存在する顧客を検知可能である。カメラは、自動取引装置の正面に存在する顧客を撮影可能である。制御部は、センサでの検知結果と、カメラによって撮影された画像とに基づいて、自動取引装置の動作を制御する。
【0070】
例えば、制御部は、画像に基づいて顧客が検知されないと判定し(実施例のステップS110:No)、かつ、センサにより顧客が検知されないときに(実施例のステップS140:No)、自動取引装置の運用を停止するとともに、自動取引装置の運用を停止したことを通知する(実施例のステップS150)。
【0071】
また例えば、制御部は、画像に基づいて前記顧客が検知されないと判定し(実施例のステップS110:No)、かつ、センサにより顧客が検知されたときに(実施例のステップS140:Yes)、自動取引装置を低消費電力状態から取引可能状態に移行させる(実施例のステップS160)。
【0072】
また例えば、制御部は、画像に基づいてカメラによる正常な撮影が可能でないと判定したときに(実施例のステップS170:No)自動取引装置の前からの移動を顧客に促すメッセージをタッチパネル(実施例のタッチパネル15)に表示させる(実施例のステップS180)。また、制御部は、メッセージの表示後に、画像に基づいてカメラによる正常な撮影が可能でないと判定し(実施例のステップS190:No)、かつ、センサにより顧客が検知されたときに(実施例のステップS200:Yes)、メッセージをタッチパネルに再度表示させ(実施例のステップS210)、自動取引装置の運用を継続したまま、カメラに対して悪戯が行われている可能性があることを通知する(実施例のステップS220)。
【0073】
また例えば、制御部は、画像に基づいてカメラによる正常な撮影が可能でないと判定したときに(実施例のステップS170:No)自動取引装置の前からの移動を顧客に促すメッセージをタッチパネル(実施例のタッチパネル15)に表示させる(実施例のステップS180)。また、制御部は、メッセージの表示後に、画像に基づいてカメラによる正常な撮影が可能でないと判定し(実施例のステップS190:No)、かつ、センサにより顧客が検知されないときに(実施例のステップS200:No)、自動取引装置の運用を停止するとともに、自動取引装置の運用を停止したことを通知する(実施例のステップS230)。
【0074】
また例えば、制御部は、センサにより顧客が検知された後(実施例のステップS140)、貨幣入出金口に貨幣が残留したままの状態で(実施例のステップS370:No)、画像に基づいて顧客が自動取引装置から立ち去ったと判定したときに(実施例のステップS380:Yes)、自動取引装置からの貨幣の取り忘れがあることを顧客に知らせるためのアラームを開始する(実施例のステップS390)。
【0075】
また例えば、制御部は、アラームの開始後に、顧客と異なる不審者がカメラによって撮影されているときに(実施例のステップS400:Yes)、貨幣入出金口を閉鎖する(実施例のステップS410)。
【0076】
また例えば、制御部は、アラームの開始後に、顧客と異なる不審者がカメラによって撮影されず(実施例のステップS400:No)、かつ、貨幣入出金口に貨幣が残留していないときに(実施例のステップS420:Yes)、アラームを終了する(実施例のステップS430)。
【0077】
このように、センサでの検知結果と、カメラによって撮影された画像とに基づいて自動取引装置の動作を制御することで、自動取引装置の様々な動作が可能になる。
【符号の説明】
【0078】
10 自動取引装置
11 顧客センサ
18 顧客カメラ
21 制御部