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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/02 20060101AFI20240607BHJP
   E04B 1/343 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
E04F15/02 101H
E04B1/343 H
E04F15/02 P
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021032678
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133790
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2023-09-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤井 忠剛
(72)【発明者】
【氏名】笹島 淳志
(72)【発明者】
【氏名】若松 英司
【審査官】菅原 奈津子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-125743(JP,A)
【文献】特開2015-178713(JP,A)
【文献】特開2005-256340(JP,A)
【文献】実開平04-001901(JP,U)
【文献】韓国公開実用新案第20-2012-0006625(KR,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/343
E04F 15/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
デッキ材と端部固定具を備え、デッキ材は、側面に突出片を有し、端部固定具は、デッキ材の突出片に係止される係止部と、大引の下面に当接する当接部と、大引の側面に固定するための固定部を有しており、デッキ材と大引を固定するものであることを特徴とする簡易構造物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地面や床面等の平面部に設置される簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
地面や床面等の平面部に設置される簡易構造物としてデッキが知られている。
このような簡易構造物の端部には、デッキ材の小口や連結部分を隠す幕板が取付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
幕板の取付け作業は、幕板を取付けるための固定具の位置合わせや固定作業に時間を要しており、幕板の取付けが迅速、且つ容易にできる構造を有し、全体として施工性が向上した簡易構造物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、デッキ材と端部固定具を備え、デッキ材は、側面に突出片を有し、端部固定具は、デッキ材の突出片に係止される係止部と、大引の下面に当接する当接部と、大引の側面に固定するための固定部を有しており、デッキ材と大引を固定するものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、以上の構成により、幕板の取付けが迅速、且つ容易にできる構造を有し、全体として施工性が向上した簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る実施形態の簡易構造物の斜視図である。
図2】幕板の取付け構造を示す斜視図である。
図3】(a)は図1の前側から見た図であり、一部切欠いて示すと共に、前側の幕板及び幕板固定具を仮想線で示す。(b)は図1の左側から見た図であり、一部切欠いて示すと共に、左側の幕板及び幕板固定具を仮想線で示す。
図4】(a)~(c)は端部固定具の取付手順を示す工程図である。
図5】(a)~(c)は幕板固定具の取付手順を示す工程図である。
図6】(a)~(b)は幕板の取付手順を示す工程図である。
図7】(a)~(b)は小口側固定具の取付手順を示す工程図である。
図8】(a)~(b)は幕板固定具の取付手順を示す工程図である。
図9】(a)~(b)は幕板の取付手順を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易構造物1を説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
また、各図において「前」「後」「左」「右」と記載することで、以下の説明における方向を規定する。
【0008】
[簡易構造物の構成]
簡易構造物1は、図1に示すように、地面gに設置されるデッキであり、例えば、建物(図示せず)の出入り口(図示せず)に隣接するように配置される。
この簡易構造物1は、図1及び図2に示すように、地面gに立設された複数の束柱10と、束柱10の上端に配設された複数の大引11と、複数の大引11の上端に敷設された複数のデッキ材12と、大引11及びデッキ材12の端部および側部を隠すように配設された幕板13とを備えている。
【0009】
図2に示すように、大引11とデッキ材12とは互いに前後左右で直交するように配置されている。
束柱10は、前後左右に所定の間隔を空けて並べられており、下端が束石100に固定されている。
大引11は、長手方向を左右方向としており、左右方向に並べられた複数の束柱10の上端に架設されている。
デッキ材12は、長手方向を前後方向として大引11の左右方向に沿って並列しており、このデッキ材12を並列させることによりデッキ面121を構成している。
デッキ材12は、図3(a)に示すように、左右側面に外側に突出する突出片120が設けられており、左右で隣り合うデッキ材12同士の互いに向かい合う突出片120を大引11の上端にねじ止めされるデッキ材固定具122で固定することで連結されている。
幕板13は、図3(a)(b)に示すように、端部固定具2、小口側固定具3及び幕板固定具4を介してデッキ面121の前端及び左右端に配置されている。
幕板13は、全長をデッキ面121の前端及び左右端の全長と略同じとし、全幅を大引11及びデッキ材12の前端及び左右の外側端を隠せる幅としており、取付けたときに大引11及びデッキ材12が周囲から見えないようにしている。
【0010】
[端部固定具2の構成]
端部固定具2は、図3(a)に示すように、デッキ材12と大引11を固定するものであり、図2に示すように、すべての大引11の端部(小口110側)に設けられている。
端部固定具2は、図3(a)に示すように、ベース板20と、係止部21と、当接部22と、固定部23と、上側係合部24と、下側係合部25とを有して一体形成されている。
ベース板20は、図3(a)(b)に示すように、大引11の小口110を塞ぐことができる面積を有するものであり、前面側に上側係合部24及び下側係合部25が設けられ、後面側(大引11側)に係止部21及び当接部22並びに固定部23が設けられている。
【0011】
[係止部及び当接部の構成]
係止部21は、図3(a)に示すように、左側端に配置されたデッキ材12の突出片120に係止されるものである。
係止部21は、ベース板20の上部に設けられた嵌合凹部210の上部に設けられており、下向きの先端がデッキ材12の突出片120の上部に食い込んで引っ掛かるように当接して係止されるフック形状に形成されている。
嵌合凹部210は、デッキ材12の突出片120が嵌合されるものであり、突出片120の突出方向(図3(a)において左側)と平行に凹設されている。
係止部21がデッキ材12の突出片120の上部に当接している状態では、デッキ材12の突出片120が嵌合凹部210に嵌合されている。
【0012】
当接部22は、図3(a)に示すように、大引11の下面111に当接し、係止部21と当接部22とでデッキ材12と大引11とを挟むようにされている。
当接部22は、ベース板20の下部に大引11側に突設されており、大引11側の半部を大引11の下面111に当接する当接面部220とし、ベース板20側の半部を、当接面部220を大引11の下面111に押し付けるように付勢する付勢部221としている。
当接面部220は、その上面が大引11の下面111と平行となるように形成されており、付勢部221は、下方へ凹むように曲げて形成されている。
付勢部221の付勢力は、係止部21と当接部22とでデッキ材12と大引11とを挟んだ状態において作用するようになっており、この付勢力が大引11及びデッキ材12に取り付けたねじ止め前の端部固定具2を保持する力となる。
【0013】
[係止部及び当接部の効果]
このような係止部21及び当接部22は、係止部21がデッキ材12の突出片120の上部に食い込むように当接すると共に、当接部22が大引11の下面111に押し付けられるように当接することで、ねじ止め前の状態で取り付けられた端部固定具2を保持することができる。
そして、端部固定具2が保持されているため、固定部23の大引11に対するねじ止め作業において端部固定具2を人手によって支えることなく行うことができ、これによって、端部固定具2の取付け作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
また、端部固定具2が保持されている状態では、当接部22の付勢部221の付勢力によって端部固定具2が大引11とデッキ材12とを上下から挟持しているため、固定部23の大引11に対するねじ止め作業時の大引11上でのデッキ材12のずれを抑制することができる。
【0014】
[上側係合部及び下側係合部の構成]
上側係合部24及び下側係合部25は、図3(a)に示すように、左側に突設された上向きフック形状に形成されており、幕板固定具4に設けられた下向きフック形状の上側被係合部40と下側被係合部41とが上側係合部24と下側係合部25にそれぞれ上側から係合するようにされている。
【0015】
[固定部の構成]
固定部23は、図3(a)(b)に示すように、ベース板20の前後側部に大引11側に突設され、端部固定具2を取付けた状態において大引11の小口110に挿入されている。
固定部23の大引11側の端部には、タッピングホール230を備えており、このタッピングホール230に大引11の前後の両側面から前後方向にビスbをねじ込むことで、端部固定具2が大引11に固定される。
【0016】
[固定部の効果]
このような固定部23は、端部固定具2を大引11にねじ止めする方向が大引11の前後の両側面から前後方向としているので、デッキ材12にかかわらずねじ止め作業ができ、建物に近い部位の大引11に端部固定具2を取付ける場合でも、この建物にかかわらずねじ止め作業ができる。
したがって、端部固定具2の取付け作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0017】
[小口側固定具の構成]
小口側固定具3は、図3(b)に示すように、左右で隣り合うデッキ材12同士の互いに向かい合う突出片120を連結するデッキ材固定具122の下面に配置され、デッキ材固定具122の上方からねじ込まれるビスb1により固定されている。
小口側固定具3の前方の上部には、幕板固定具4の上側被係合部40が係合される上側係合部30が設けられ、前方の下部には、幕板固定具4の下側被係合部41が係合されるが下側係合部31が設けられている。
デッキ材固定具122の上面は、図3(a)に示すように、隣り合うデッキ材12同士の間の隙間から視覚され、この隙間からデッキ材固定具122にビスb1をねじ込むこむことができるようにされている。
【0018】
[小口側固定具の効果]
このような小口側固定具3は、小口側固定具3をデッキ材固定具122にねじ止めする方向がデッキ材12の上方から下方にねじ込む方向としているので、デッキ材12にかかわらずねじ止め作業ができ、建物に近い部位の大引11に小口側固定具3を取付ける場合でも、この建物にかかわらずねじ止め作業ができる。
したがって、小口側固定具3の取付け作業を容易、且つ迅速に行うことができる。
【0019】
[幕板固定具の構成]
幕板固定具4は、図3(a)(b)に示すように、上側被係合部40の下方に端部固定具2及び小口側固定具3にねじ止めするためのねじ止め部42が設けられている。
ねじ止め部42は、端部固定具2側及び小口固定具3側に凹ませた凹部である。
ねじ止め部42は、幕板固定具4の上側被係合部40と下側被係合部41が、端部固定具2及び小口側固定具3の上側係合部24、30及び下側係合部25、31に係合したときに、ねじ止め部42の端部固定具2側及び小口側固定具3側の面が端部固定具2及び小口側固定具3に当接するようにされている。
また、ねじ止め部42は、この凹部内でビスb2を端部固定具2及び小口側固定具3にねじ込むことで、ビスb2の頭を幕板13側に突出させずに幕板固定具4を端部固定具2及び小口固定具3に固定できるようになっている。
【0020】
[幕板固定具の効果]
このような幕板固定具4は、前方の外側及び左方の外側から幕板13を被せると、幕板固定具4の表面にぴったりと当接させることができ、この状態でビスb3によりねじ止めすることで、幕板13を保持固定することができる。
複数の幕板固定具4は、端部固定具2に対して前後方向に移動できるように係合されていると共に、小口側固定具3に対して左右方向に移動できるように係合されている。
また、複数の幕板固定具4は、図2に示すように、端部固定具2側及び小口側固定具3側の双方の中央の一つがビスb2によりねじ止めされており、このねじ止めされた幕板固定具4以外の幕板固定具4が前述の方向に移動できるようにされている。
すなわち、幕板13が熱延びした際に、固定されない幕板固定具4が幕板の熱延びに追従して端部固定具2及び小口側固定具3に対して移動することで、幕板の熱延びによる変形を防止することができる。
【0021】
[簡易構造物の施工手順]
次に、図4図9を参照して簡易構造物1の施工手順を説明する。
なお、本施工手順では、端部固定具2及び小口側固定具3~幕板13取付けまでの施工手順を説明する。
【0022】
最初に図4~6を参照して端部固定具2及び幕板固定具4並びに幕板13の取付け方法を説明する。
1.端部固定具2の取付け方法(図4(a)(b)(c)参照)
第1工程:図4(a)に示すように、端部固定具2を傾けた状態で、係止部21をデッキ材12の突出片120の上部に斜めから当接させると共に、嵌合凹部210を突出片120に嵌合させる。
第2工程:図4(b)に示すように、端部固定具2を係止部21の当接位置を中心として当接部22が大引11の下面111側に位置すると共に、固定部23が大引11の小口110に挿入するように回転させて、当接部22を下面111に当接させる。
このとき、端部固定具2は、前述したように当接部22に作用する付勢力で大引11とデッキ材12とを挟み、付勢力による挟持力によって大引11とデッキ材12とへの取付け状態が保持されている。
第3工程:図4(c)に示すように、大引11の前後側面から固定部23のタッピングホール230にビスbをねじ込むことで端部固定具2を取付ける。
【0023】
2.幕板固定具4の取付け方法(図5(a)(b)(c)参照)
第1工程:図4(a)に示すように、幕板固定具4を傾けた状態で下側被係合部41を端部固定具2の下側係合部25に係合させる。
第2工程:図4(b)(c)に示すように、下側被係合部41を中心として大引11側に回転させて、上側被係合部40を上側係合部24に係合させる。
この状態では、幕板固定具4が端部固定具2に係合により保持されていると共に、ねじ止め部42の端部固定具2側の面が端部固定具2に当接しており、この状態においてビスb2をねじ止め部42から端部固定具2にねじ込んで固定する。
【0024】
3.幕板13の取付方法(図6(a)(b)参照)
第1工程:図6(a)に示すように、幕板13を幕板固定具4に沿わせるように被せる。
第2工程:図6(b)に示すように、幕板13を下方に下げて幕板13の上部にデッキ材12側に向かって突設された位置決め突起130をデッキ材12の上面に引掛けた状態とし、この状態において幕板13をビスb3により幕板固定具4に固定する。
【0025】
次に、図7~9を参照して小口側固定具3及び幕板固定具4並びに幕板13の取付け方法を説明する。
1.小口側固定具3の取付け方法(図7(a)(b)参照)
第1工程:図7(a)に示すように、小口側固定具3をデッキ材12及びデッキ材固定具122の下方に配置する。
第2工程:図7(b)に示すように、デッキ材固定具122の上方からビスb1により小口側固定具3を固定する。
【0026】
2.幕板固定具4の取付け方法(図8(a)(b)参照)
第1工程:図8(a)に示すように、幕板固定具4を傾けた状態で下側被係合部41を小口側固定具3の下側係合部31に係合させる。
第2工程:図8(b)に示すように、下側被係合部41を中心として大引11側に回転させて、上側被係合部40を上側係合部30に係合させる。
この状態では、幕板固定具4が小口固定具3に係合により保持されていると共に、ねじ止め部42の端部固定具2側の面が端部固定具2に当接しており、この状態においてビスb2をねじ止め部42から幕板固定具4にねじ込んで固定する。
【0027】
3.幕板13の取付方法(図9(a)(b)参照)
第1工程:図9(a)に示すように、幕板13を幕板固定具4に沿わせるように被せる。
第2工程:図9(b)に示すように、幕板13を下方に下げて幕板13の上部にデッキ材12側に向かって突設された位置決め突起130をデッキ材12の上面に引掛けた状態とし、この状態において幕板13をビスb3により幕板固定具4に固定する。
【0028】
以上の取付方法により、端部固定具2、小口側固定具3、幕板固定具4、幕板13を取付けることができる。
【0029】
本実施形態の簡易構造物1は、前述したように端部固定具2、小口側固定具3、幕板固定具4、幕板13の取付けを容易、且つ迅速に行うことができる。
したがって、全体として施工性が向上した簡易構造物1を提供できる。
【0030】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
また、前述の各実施形態は、その目的および構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0031】
1:簡易構造物
2:端部固定具
3:小口側固定具
4:幕板固定具
10:束柱
11:大引
12:デッキ材
13:幕板
20:ベース板
21:係止部
22:当接部
23:固定部
24:上側係合部
25:下側係合部
100:束石
110:小口
111:下面
120:突出片
121:デッキ面
122:デッキ材固定具
130:位置決め突起
210:嵌合凹部
220:当接面部
221:付勢部
230:タッピングホール
30:上側係合部
31:下側係合部
40:上側被係合部
41:下側被係合部
42:ねじ止め部
b:ビス
b1:ビス
b2:ビス
b3:ビス
g:地面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9