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  • 特許-窓の製造方法 図1
  • 特許-窓の製造方法 図2
  • 特許-窓の製造方法 図3
  • 特許-窓の製造方法 図4
  • 特許-窓の製造方法 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】窓の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E06B 1/56 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
E06B1/56 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021069404
(22)【出願日】2021-04-16
(65)【公開番号】P2022164118
(43)【公開日】2022-10-27
【審査請求日】2023-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136331
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 陽一
(72)【発明者】
【氏名】松浦 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】西野 智
(72)【発明者】
【氏名】新口 貴之
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-307633(JP,A)
【文献】特開平8-42253(JP,A)
【文献】実開昭58-121972(JP,U)
【文献】実開平4-43689(JP,U)
【文献】特開平8-13921(JP,A)
【文献】実開平1-129388(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-1/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サッシ枠の左右の縦枠の外周側面の上部にのみ位置調整部品を取付け、サッシ枠を躯体開口部に室外側から嵌め、サッシ枠の上枠側が躯体開口部に位置決めされ、サッシ枠の下枠を左右方向に位置調整してサッシ枠の対角寸法が略同じになるように調整することを特徴とする窓の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、窓の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
窓は、躯体開口部にサッシ枠を取付けて形成される。その際に、サッシ枠を適正な位置に迅速に取付けできるようにしたいという要望があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上に述べた実情に鑑み、サッシ枠を躯体開口部に取付ける際に、サッシ枠を適正な位置に迅速に取付けることのできる窓の製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題を達成するために請求項1記載の発明による窓の製造方法は、サッシ枠の左右の縦枠の外周側面の上部にのみ位置調整部品を取付け、サッシ枠を躯体開口部に室外側から嵌め、サッシ枠の上枠側が躯体開口部に位置決めされ、サッシ枠の下枠を左右方向に位置調整してサッシ枠の対角寸法が略同じになるように調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
請求項1記載の発明による窓の製造方法は、サッシ枠の左右の縦枠の外周側面の上部にのみ位置調整部品を取付け、サッシ枠を躯体開口部に室外側から嵌め、サッシ枠の上枠側が躯体開口部に位置決めされ、サッシ枠の下枠を左右方向に位置調整してサッシ枠の対角寸法が略同じになるように調整することで、サッシ枠を適正な位置に歪み(面内方向の平行四辺形状の歪み)のない状態で迅速に取付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明による窓の一実施形態を示す横断面図である。
図2】(a)は同窓の位置調整部品の周辺を拡大して示す平面図であり、(b)は同側面図である。
図3】(a)は位置調整部品を取り付けたサッシ枠を躯体開口部に室外側から嵌め込むときの状態を示す横断面図であり、(b)は同サッシ枠を躯体開口部に嵌め込んだ状態を示す横断面図である。
図4】サッシ枠を躯体開口部に取付ける際の手順を順に示す図である。
図5】サッシ枠の変形状態を示す参考図であって、(a)はサッシ枠が平行四辺形状に歪んだ状態、(b)はサッシ枠がねじれ・倒れた状態、(c)はサッシ枠が室外側に反った状態、(d)はサッシ枠が室内側に反った状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1~4は、本発明に係る窓の一実施形態を示している。本窓は、木造住宅の引違い窓に適用したものであって、図1に示すように、躯体開口部4に取付けられるサッシ枠1と、サッシ枠1内に引違い状に開閉自在に設けた外障子5a及び内障子5bと、外障子5aよりも室外側に上下枠6,7に沿って摺動可能に設けた網戸8を備えている。
【0008】
サッシ枠1は、図1,4に示すように、アルミ形材よりなる上枠6と下枠7と左右の縦枠2,2を四周枠組みして構成してある。サッシ枠1は、いわゆる半外付けの枠となっており、室内外方向の中間位置に躯体9への固定用のフィン10が外周側に突出して設けてある。サッシ枠1は、上下寸法及び左右寸法が、躯体開口部4の上下寸法及び左右寸法より小さくなっており、サッシ枠1を躯体開口部4に嵌め込むと、左右の縦枠2,2と躯体開口部4の側縁4aとの間、上枠6と躯体開口部4の上縁4bとの間に隙間Sができるようになっている(図4(b),(c)参照)。
【0009】
サッシ枠1は、図2図4(a)に示すように、左右の縦枠2,2の上部の外周側面において、フィン10よりも室内側の位置に位置調整部品3が取付けてある。位置調整部品3は、硬質樹脂で形成されており、図2に示すように、縦枠2の外周側面に当接する長方形の板状のベース部11と、ベース部11の室内側の縁部より連続して室外側に向けてのびる半円弧状に湾曲した躯体側弾性変形部12と、躯体側弾性変形部12の室外側端部と連続して室内側に屈曲して形成された枠側弾性変形部13とを有している。枠側弾性変形部13は、先端部が縦枠2の外周側面に当接し、縦枠2の外周側面と枠側弾性変形部13との間には縦枠2の外周側面の段差14を避ける退避空間15が形成されている。
この位置調整部品3は、縦枠2の外周側面の室内側端部に形成された鉤型の突条16と、その室外側に離間して形成された突条17間にベース部11を係合するとともに、縦枠2と上枠6を連結しているねじの頭18をベース部11に形成された孔19に係止することで、縦枠2に取付けてある。
【0010】
次に、本窓の施工手順を説明する。まず、予め枠組みされたサッシ枠1の左右の縦枠2,2の上部の外周側面に位置調整部品3を取付け、図4(a)に示すように、そのサッシ枠1を躯体開口部4に室外側から嵌め込む。すると、図3に示すように、位置調整部品3の躯体側弾性変形部12が躯体開口部4の側縁4aに押されて内外周方向に潰れるような形で弾性変形し、枠側弾性変形部13が縦枠2の外周側面に押されて根元から外周側に曲がるような形で弾性変形する。このように左右の縦枠2,2上端部に取付けた位置調整部品3が弾性変形することで、左右の縦枠2,2と躯体開口部4の側縁4aとの間の隙間Sが同じになるため、サッシ枠1の上枠6側が躯体開口部4の左右方向の中央に位置決めされる。
その後、図4(b)に示すように、サッシ枠1の下枠7を左右方向に位置調整してサッシ枠の対角寸法A,B(図5(a)参照)が略同じ(A-B≦±2mm)になるようにする。これにより、図4(c)に示すように、サッシ枠1が躯体開口部4の左右方向の中央位置に歪み(面内方向の平行四辺形状の歪み)のない状態で配置されることとなる。
次に、サッシ枠1にねじれC・倒れD(図5(b)参照)がないか確認し、ねじれC・倒れDが2mm以上ある場合には、下枠7を見込方向に位置調整することで、ねじれC・倒れDを2mm以下とする。下枠7の見込方向の位置調整は、サッシ枠1のフィン10と躯体9との間に外周側から木片等のカイモノ(図示省略)を差し入れて行う。なお、サッシ枠1のねじれ・倒れの状態によっては、上枠6を見込方向に位置調整することもできる(例えば、上枠6側が室内側にたおれていた場合など)。
次に、サッシ枠1の室外反りE・室内反りF(図5(c),(d)参照)が1mm以下であることを確認しながら、図4(d)に示すように、サッシ枠1の外周と躯体開口部4との隙間に室内側から木片などのカイモノ20を嵌め込み、サッシ枠1を躯体開口部4に固定する。なお、サッシ枠1の室外反りE・室内反りFの矯正は、サッシ枠1のねじれC・倒れDの矯正を行う前、又はサッシ枠1のねじれC・倒れDの矯正と同時に行うこともできる。
その後、サッシ枠1のフィン10を室外側からスクリューねじで躯体9に固定する。また、サッシ枠1をカイモノ20を入れた位置で内周側からスクリューねじで躯体9に固定する。
その後、通常のサッシの場合と同様に、躯体9の室外側面のサッシ枠1のまわりに透湿防水シートを貼った上、室外側に外壁材21を施工し、外壁材21とサッシ枠1の間をシール材22でシールする(図1参照)。
その後、サッシ枠1に外障子5aと内障子5bと網戸8を建て込む。
【0011】
以上に述べたように本窓の製造方法は、サッシ枠1の左右の縦枠2,2の外周側面の上部にのみ位置調整部品3,3を取付け、サッシ枠1を躯体開口部4に室外側から嵌め、サッシ枠1の上枠6側が躯体開口部4に位置決めされ、サッシ枠1の下枠7を左右方向に位置調整してサッシ枠1の対角寸法A,Bが略同じになるように調整することで、サッシ枠1を適正な位置に歪み(面内方向の平行四辺形状の歪み)のない状態で迅速に取付けできる。すなわち、位置調整部品3,3が無い場合には、サッシ枠1を躯体開口部4に嵌め込んだ後、上枠6側と下枠7側の両方を左右方向に位置調整する必要があるが、本方法によれば、サッシ枠1を躯体開口部4に嵌め込んだ時点で上枠6側が躯体開口部4の中央に位置決めされ、下枠7側のみを左右方向に位置調整してサッシ枠1の対角寸法出しができるので、作業時間を大幅に短縮できる。また、位置調整部品3,3を縦枠2,2の外周側面の上部にのみ取付けることで、仮に躯体開口部4に歪みがあったとしても、下枠7側を左右方向に位置調整してサッシ枠1を歪みのない状態にできる。
さらに本窓の製造方法は、サッシ枠1の下枠7を見込方向に位置調整することで、サッシ枠1のねじれ・倒れがないように調整することができるので、サッシ枠1をねじれ・倒れがない状態で施工するのが容易である。
位置調整部品3は、躯体開口部4の側縁4aに当接して内外周方向に弾性変形する躯体側弾性変形部12と、縦枠2の外周側面に当接して内外周方向に弾性変形する枠側弾性変形部13とが連続して設けてあるので、躯体側弾性変形部12と枠側弾性変形部13の2箇所で弾性変形するため、高いバネ性を維持しながら内外周方向に大きくスムーズに弾性変形させられ、強く押圧されても破損しにくい。
また、位置調整部品3は、縦枠2の外周側面の突起又は段差14を避ける退避空間15を有しているので、縦枠2の外周側面に突起や段差14があっても、それにより弾性変形が妨げられることがない。
【0012】
本発明は以上に述べた実施形態に限定されない。枠の形状、材質は、適宜変更することができる。位置調整部品の形状、材質は、適宜変更することができ、例えば、金属の板バネで形成したものでもよい。位置調整部品は、左右の縦枠のうちの少なくとも一方の位置調整部品が弾性変形自在なものであればよい。本発明は、引違い窓に限らず、あらゆる窓種に適用することができる。サッシ枠の対角寸法A,Bの差の許容寸法2mm、サッシ枠のねじれC・倒れDの許容寸法2mm、サッシ枠の室外反りE・室内反りFの許容寸法1mmは例示であり、これらの数値に限定されない。
【符号の説明】
【0013】
1 サッシ枠
2 縦枠
3 位置調整部品
4 躯体開口部
図1
図2
図3
図4
図5