(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】ガス検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/416 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
G01N27/416 331
G01N27/416 311G
(21)【出願番号】P 2021104803
(22)【出願日】2021-06-24
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】弁理士法人あいち国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原田 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】下川 弘宣
(72)【発明者】
【氏名】河野 翔太
【審査官】黒田 浩一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/163103(WO,A1)
【文献】特開2016-061669(JP,A)
【文献】特開2007-051924(JP,A)
【文献】特開2022-089378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/26-27/49
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡散抵抗部(251)を介して排ガス(G)が導入されるガス室(25)と、
大気(A)が導入される1つ又は複数の大気ダクト(26,260)と、
固体電解質体(21)に設けられて前記ガス室に収容されたポンプ電極(22)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第1基準電極(24A)を有するポンプセル(12)と、
前記ポンプ電極と前記第1基準電極との間に、前記第1基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第1電圧印加部(51)と、
前記第1基準電極から前記ポンプ電極に流れる電流をプラス電流とし、前記ポンプ電極から前記第1基準電極に流れる電流をマイナス電流として検出する第1電流検出部(52)と、
前記固体電解質体と同一又は別の固体電解質体(210)に設けられて、前記ガス室における、前記ポンプ電極よりも前記排ガスの流れの下流側の位置に収容されたセンサ電極(23)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第2基準電極(24B)を有するセンサセル(13)と、
前記センサ電極と前記第2基準電極との間に、前記第2基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第2電圧印加部(53)と、
前記第2基準電極から前記センサ電極に流れる電流をプラス電流として検出する第2電流検出部(54)と、
前記第1電流検出部による電流及び前記第2電流検出部による電流に基づいて、前記排ガスにNOx又はアンモニアのいずれが含まれているかを判定する判定部(55)と、を備え、
前記判定部は、
前記第1電流検出部が電流を検出しない場合又はプラス電流を検出する場合であって、前記第2電流検出部がプラス電流を検出する場合には、前記排ガスにNOxが含まれると判定し、
前記第1電流検出部がマイナス電流を検出する場合であって、前記第2電流検出部がプラス電流を検出する場合には、前記排ガスにアンモニアが含まれると判定するよう構成されている、ガス検出装置(1)。
【請求項2】
前記判定部は、前記第1電流検出部がマイナス電流を検出する場合であって、前記第2電流検出部がプラス電流を検出しない場合には、前記排ガスにアンモニア以外の未燃ガスが含まれると判定するよう構成されている、請求項1に記載のガス検出装置。
【請求項3】
前記判定部が前記排ガスにNOxが含まれると判定したときには、前記第2電流検出部によるプラス電流に基づいて、前記排ガスに含まれるNOxの濃度を定量的に検出するNOx検出部(56)と、
前記判定部が前記排ガスにアンモニアが含まれると判定したときには、前記第1電流検出部によるマイナス電流及び前記第2電流検出部によるプラス電流の少なくとも一方に基づいて、前記排ガスに含まれるアンモニアの濃度を定量的に検出するアンモニア検出部(57)と、をさらに備える請求項1又は2に記載のガス検出装置。
【請求項4】
前記アンモニア検出部は、
前記第1電流検出部のマイナス電流がマイナス側に大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する第1算出処理と、
前記第1電圧印加部による直流電圧を変化させたときの前記第1電流検出部のマイナス電流の第1変化量を検出し、前記第1変化量が大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する第2算出処理と、
前記第2電流検出部のプラス電流がプラス側に大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する第3算出処理と、
前記第2電圧印加部による直流電圧を変化させたときの前記第2電流検出部のプラス電流の第2変化量を検出し、前記第2変化量が大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する第4算出処理と、
のうちの少なくとも1つに基づいて、アンモニアの濃度を定量的に検出するよう構成されている、請求項3に記載のガス検出装置。
【請求項5】
拡散抵抗部(251)を介して排ガス(G)が導入されるガス室(25)と、
大気(A)が導入される1つ又は複数の大気ダクト(26,260)と、
固体電解質体(21)に設けられて前記ガス室に収容されたポンプ電極(22)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第1基準電極(24A)を有するポンプセル(12)と、
前記ポンプ電極と前記第1基準電極との間に、前記第1基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第1電圧印加部(51)と、
前記第1基準電極から前記ポンプ電極に流れる電流をプラス電流とし、前記ポンプ電極から前記第1基準電極に流れる電流をマイナス電流として検出する第1電流検出部(52)と、
前記固体電解質体と同一又は別の固体電解質体(210)に設けられて、前記ガス室における、前記ポンプ電極よりも前記排ガスの流れの下流側の位置に収容されたセンサ電極(23)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第2基準電極(24B)を有するセンサセル(13)と、
前記センサ電極と前記第2基準電極との間に、前記第2基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第2電圧印加部(53)と、
前記第2基準電極から前記センサ電極に流れる電流をプラス電流として検出する第2電流検出部(54)と、
前記第1電流検出部がマイナス電流を検出していることを条件として、前記第1電圧印加部による直流電圧を変化させたときの前記第1電流検出部のマイナス電流の変化量を検出する変化量検出部(58)と、
前記変化量が規定変化量以上である場合には、前記排ガスにアンモニアが含まれると判定し、一方、前記変化量が規定変化量未満である場合には、前記排ガスにアンモニア以外の未燃ガスが含まれると判定する判定部(55)と、を備えるガス検出装置(1)。
【請求項6】
前記第2電流検出部がプラス電流を検出していることを条件として、前記変化量が大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出して、アンモニアの濃度を定量的に検出するアンモニア検出部をさらに備える、請求項5に記載のガス検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ガス検出装置は、内燃機関の排気管を流れる排ガスを検出対象ガスとし、検出対象ガスに含まれる酸素、特定ガス等の濃度、検出対象ガスの成分に基づく空燃比の検出などを行うために用いられる。ガス検出装置には、例えば、空燃比を検出する用途、NOx(窒素酸化物)を検出する用途、アンモニアを検出する用途等のうちの複数の用途を有するものがある。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されたガスセンサにおいては、限界電流式のセンサ素子によって、特定ガス濃度としてのNOx濃度又はアンモニア濃度を検出することが記載されている。このセンサ素子は、固体電解質層を有する積層体に、酸素濃度を調整するための調整用ポンプ電極と、NOx濃度又はアンモニア濃度を検出するための測定電極及び基準電極とを設けることによって構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のガスセンサにおいては、NOxだけでなく、アンモニアも検出できるようにするために、調整用ポンプ電極の貴金属成分であるPt及びAuの含有比率を調整している。しかし、特許文献1のガスセンサにおいては、測定電極及び基準電極によって、NOxを検出しているのか、又はアンモニアの分解によって生じたNOxを検出しているのかを判別することが難しい。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたもので、排ガスに、複数種類のガスのいずれが含まれるかを検知することができるガス検出装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、
拡散抵抗部(251)を介して排ガス(G)が導入されるガス室(25)と、
大気(A)が導入される1つ又は複数の大気ダクト(26,260)と、
固体電解質体(21)に設けられて前記ガス室に収容されたポンプ電極(22)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第1基準電極(24A)を有するポンプセル(12)と、
前記ポンプ電極と前記第1基準電極との間に、前記第1基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第1電圧印加部(51)と、
前記第1基準電極から前記ポンプ電極に流れる電流をプラス電流とし、前記ポンプ電極から前記第1基準電極に流れる電流をマイナス電流として検出する第1電流検出部(52)と、
前記固体電解質体と同一又は別の固体電解質体(210)に設けられて、前記ガス室における、前記ポンプ電極よりも前記排ガスの流れの下流側の位置に収容されたセンサ電極(23)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第2基準電極(24B)を有するセンサセル(13)と、
前記センサ電極と前記第2基準電極との間に、前記第2基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第2電圧印加部(53)と、
前記第2基準電極から前記センサ電極に流れる電流をプラス電流として検出する第2電流検出部(54)と、
前記第1電流検出部による電流及び前記第2電流検出部による電流に基づいて、前記排ガスにNOx又はアンモニアのいずれが含まれているかを判定する判定部(55)と、を備え、
前記判定部は、
前記第1電流検出部が電流を検出しない場合又はプラス電流を検出する場合であって、前記第2電流検出部がプラス電流を検出する場合には、前記排ガスにNOxが含まれると判定し、
前記第1電流検出部がマイナス電流を検出する場合であって、前記第2電流検出部がプラス電流を検出する場合には、前記排ガスにアンモニアが含まれると判定するよう構成されている、ガス検出装置(1)にある。
【0008】
本発明の他の態様は、
拡散抵抗部(251)を介して排ガス(G)が導入されるガス室(25)と、
大気(A)が導入される1つ又は複数の大気ダクト(26,260)と、
固体電解質体(21)に設けられて前記ガス室に収容されたポンプ電極(22)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第1基準電極(24A)を有するポンプセル(12)と、
前記ポンプ電極と前記第1基準電極との間に、前記第1基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第1電圧印加部(51)と、
前記第1基準電極から前記ポンプ電極に流れる電流をプラス電流とし、前記ポンプ電極から前記第1基準電極に流れる電流をマイナス電流として検出する第1電流検出部(52)と、
前記固体電解質体と同一又は別の固体電解質体(210)に設けられて、前記ガス室における、前記ポンプ電極よりも前記排ガスの流れの下流側の位置に収容されたセンサ電極(23)、及び前記固体電解質体に設けられて前記大気ダクトに収容された第2基準電極(24B)を有するセンサセル(13)と、
前記センサ電極と前記第2基準電極との間に、前記第2基準電極の側が高電位側となるよう直流電圧を印加する第2電圧印加部(53)と、
前記第2基準電極から前記センサ電極に流れる電流をプラス電流として検出する第2電流検出部(54)と、
前記第1電流検出部がマイナス電流を検出していることを条件として、前記第1電圧印加部による直流電圧を変化させたときの前記第1電流検出部のマイナス電流の変化量を検出する変化量検出部(58)と、
前記変化量が規定変化量以上である場合には、前記排ガスにアンモニアが含まれると判定し、一方、前記変化量が規定変化量未満である場合には、前記排ガスにアンモニア以外の未燃ガスが含まれると判定する判定部(55)と、を備えるガス検出装置(1)にある。
【発明の効果】
【0009】
(一態様のガス検出装置)
前記一態様のガス検出装置においては、ポンプセル及びセンサセルのそれぞれに流れる電流の向きを検出して、排ガスにNOx(窒素酸化物)又はアンモニアのいずれが含まれているかを判定する。より具体的には、判定部は、第1電流検出部が電流を検出しない場合又はプラス電流を検出する場合であって、第2電流検出部がプラス電流を検出する場合には、排ガスにNOxが含まれると判定する。そして、第2電流検出部におけるプラス電流が大きくなるほど、NOxの濃度が高いと検知することが可能になる。
【0010】
一方、判定部は、第1電流検出部がマイナス電流を検出する場合であって、第2電流検出部がプラス電流を検出する場合には、排ガスにアンモニアが含まれると判定する。そして、第2電流検出部におけるプラス電流が大きくなるほど、アンモニアの濃度が高いと検知することが可能になる。
【0011】
それ故、前記一態様のガス検出装置によれば、排ガスに、NOx又はアンモニアとしての、複数種類のガスのいずれが含まれるかを検知することができる。
【0012】
(他の態様のガス検出装置)
前記他の態様のガス検出装置においては、排ガスにアンモニアが含まれるか、アンモニア以外の未燃ガスが含まれるかを判定する。発明者らの研究により、排ガスにアンモニアが含まれる場合には、排ガスにアンモニア以外の未燃ガスが含まれる場合に比べて、第1電流検出部がマイナス電流を検出していることを条件として、第1電圧印加部による直流電圧を変化させたときの第1電流検出部のマイナス電流の変化量が大きくなることが分かった。
【0013】
そこで、前記他の態様のガス検出装置においては、判定部によって、第1電流検出部のマイナス電流の変化量が規定変化量以上であるか否かを判定して、排ガスにアンモニア又はアンモニア以外の未燃ガスのいずれが含まれているかを判定する。
【0014】
それ故、前記他の態様のガス検出装置によれば、排ガスに、アンモニア又はアンモニア以外の未燃ガスとしての、複数種類のガスのいずれが含まれるかを検知することができる。
【0015】
なお、本発明の一態様において示す各構成要素のカッコ書きの符号は、実施形態における図中の符号との対応関係を示すが、各構成要素を実施形態の内容のみに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、実施形態1にかかる、ガス検出装置を、ガスセンサのセンサ素子の断面を用いて示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態1にかかる、
図1のII-II断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態1にかかる、
図1のIII-III断面図である。
【
図4】
図4は、実施形態1にかかる、第1電流検出部及び第2電流検出部における電流と、判定部による判定との関係を示す説明図である。
【
図5】
図5は、実施形態1にかかる、内燃機関に適用されたガス検出装置を示す説明図である。
【
図6】
図6は、実施形態1にかかる、第1電圧印加部によるポンプセルへの印加電圧と、第1電流検出部によるポンプセルの電流との関係を、種々の未燃ガスについて示すグラフである。
【
図7】
図7は、実施形態1にかかる、第2電圧印加部によるセンサセルへの印加電圧と、第2電流検出部によるセンサセルの電流との関係を、NOxの濃度が変化した場合について示すグラフである。
【
図8】
図8は、実施形態1にかかる、第1電圧印加部によるポンプセルへの印加電圧と、第1電流検出部によるポンプセルの電流との関係を、アンモニアの濃度が変化した場合について示すグラフである。
【
図9】
図9は、実施形態1にかかる、アンモニアの濃度と第1電流検出部によるポンプセルの電流との関係を示すグラフである。
【
図10】
図10は、実施形態1にかかる、第2電圧印加部によるセンサセルへの印加電圧と、第2電流検出部によるセンサセルの電流との関係を、アンモニアの濃度が変化した場合について示すグラフである。
【
図11】
図11は、実施形態1にかかる、アンモニアの濃度と第2電流検出部によるセンサセルの電流との関係を示すグラフである。
【
図12】
図12は、実施形態1にかかる、ガス検出装置によるNOx及びアンモニアの濃度の検出方法の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態2にかかる、アンモニア、プロパン、水素又はNOxである供給ガスの濃度と、ポンプセルにおける、電圧に対する電流の変化量との関係を示すグラフである。
【
図14】
図14は、実施形態3にかかる、ガス検出装置を、ガスセンサのセンサ素子の断面を用いて示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
前述したガス検出装置にかかる好ましい実施形態について、図面を参照して説明する。
<実施形態1>
本形態のガス検出装置1は、
図1~
図3に示すように、ガス室25、大気ダクト26、ポンプセル12、第1電圧印加部(ポンプ電圧印加部)51、第1電流検出部(ポンプ電流検出部)52、センサセル13、第2電圧印加部(センサ電圧印加部)53、第2電流検出部(センサ電流検出部)54及び判定部55を備える。ガス室25は、拡散抵抗部251を介して排ガスGが導入される部位である。大気ダクト26は、大気Aが導入される部位である。
【0018】
図1に示すように、ポンプセル12は、固体電解質体21に設けられてガス室25に収容されたポンプ電極22と、固体電解質体21に設けられて大気ダクト26に収容された第1基準電極24Aとを有する。第1電圧印加部51は、ポンプ電極22と第1基準電極24Aとの間に、第1基準電極24Aの側が高電位側となるよう直流電圧を印加するよう構成されている。第1電流検出部52は、第1基準電極24Aからポンプ電極22に流れる電流をプラス電流とし、ポンプ電極22から第1基準電極24Aに流れる電流をマイナス電流として検出するよう構成されている。
【0019】
図1に示すように、センサセル13は、固体電解質体21に設けられて、ガス室25における、ポンプ電極22よりも排ガスGの流れの下流側の位置に収容されたセンサ電極23と、固体電解質体21に設けられて大気ダクト26に収容された第2基準電極24Bとを有する。第2電圧印加部53は、センサ電極23と第2基準電極24Bとの間に、第2基準電極24Bの側が高電位側となるよう直流電圧を印加するよう構成されている。第2電流検出部54は、第2基準電極24Bからセンサ電極23に流れる電流をプラス電流として検出するよう構成されている。
【0020】
判定部55は、第1電流検出部52による電流及び第2電流検出部54による電流に基づいて、排ガスGにNOx(窒素酸化物)又はアンモニアのいずれが含まれているかを判定するよう構成されている。
図4に示すように、判定部55は、第1電流検出部52が電流を検出しない場合又はプラス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54がプラス電流を検出する場合には、排ガスGにNOxが含まれると判定するよう構成されている。また、判定部55は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54がプラス電流を検出する場合には、排ガスGにアンモニアが含まれると判定するよう構成されている。
【0021】
以下に、本形態のガス検出装置1について詳説する。
(ガス検出装置1)
図1に示すように、本形態のガス検出装置1は、NOx(NO、NO
2、N
2O等の窒素酸化物)の検出に用いられる限界電流式のものである。本形態のガス検出装置1によって検出するガスは、NOxガス(単にNOxという。)及びアンモニアガス(NH
3)(単にアンモニアという。)である。換言すれば、本形態のガス検出装置1は、限界電流式のNOxセンサによって、排ガスGに含まれるNOx及びアンモニアの濃度を検出する。
【0022】
(内燃機関7)
図5に示すように、ガス検出装置1は、センサ素子2を有するガスセンサ10を備えており、ガスセンサ10は、車両の内燃機関(エンジン)7の排気管71に配置されて使用される。ガスセンサ10は、NOxセンサとして機能するものである。ガス検出装置1に供給される排ガスGは、内燃機関7から排気管71へ排気されるものである。そして、ガスセンサ10は、排気管71内に配置された三元触媒72A,72Bの排ガスGの流れの下流側の位置に配置されている。本形態の内燃機関7は、車両に搭載されたものである。
【0023】
本形態の排気管71においては、上流側の空燃比センサ11A及び上流側の三元触媒72Aと、下流側の空燃比センサ11B及び下流側の三元触媒72Bとが、上流側と下流側とに並んで2段階に配置されている。NOxセンサとしてのガスセンサ10は、下流側の三元触媒72Bの下流側に配置されている。三元触媒72A,72Bは、排ガスGに含まれる一酸化炭素(CO)、炭化水素(HC)、NOx等を浄化するためのものである。
【0024】
本形態の内燃機関7は、ガソリンエンジンを構成するものである。内燃機関7は、ディーゼルエンジンを構成するものとしてもよい。この場合には、排気管71には、NOxを還元するための触媒と、触媒へアンモニアを含む還元剤を供給する還元剤供給装置とが配置されていてもよい。この場合には、ガスセンサ10は、NOxを還元するための触媒の下流側に配置される。
【0025】
(ガスセンサ10)
図示は省略するが、ガスセンサ10は、センサ素子2を、ハウジングによって保持するとともに、ハウジングにセンサ素子2を保護する先端側カバー、及びセンサ素子2に繋がる配線部を保護する基端側カバー等を設けて構成されている。ガス検出装置1におけるガス室25、大気ダクト26、ポンプセル12及びセンサセル13は、センサ素子2に形成されている。ポンプセル12及びセンサセル13は、センサ素子2の長手方向Xの先端側X1の部位に形成されており、センサ素子2の先端側X1の部位は、ハウジングから突出した状態で、先端側カバーによって覆われている。
【0026】
(センサ素子2)
図1~
図3に示すように、センサ素子2は、ポンプ電極22、センサ電極23、第1基準電極24A及び第2基準電極24Bが設けられた固体電解質体21と、固体電解質体21の第1表面201に積層され、ガス室25及び拡散抵抗部251が設けられた第1絶縁体31と、固体電解質体21の第2表面202に積層され、大気ダクト26及び発熱体41が設けられた第2絶縁体32とを有する。センサ素子2は、長尺形状に形成されている。センサ素子2の先端側X1の部位は、多孔質の保護層27によって覆われている。センサ素子2の先端側X1の部位は、先端側カバー内に収容された状態で、排気管71内に配置される。
【0027】
ガスセンサ10及びセンサ素子2において、センサ素子2が長尺形状に延びる方向を長手方向Xという。また、センサ素子2において、長手方向Xに直交して固体電解質体21と各絶縁体31,32とが積層された方向を積層方向Dといい、長手方向X及び積層方向Dの両方に直交する方向を幅方向Wという。
【0028】
(固体電解質体21)
図1~
図3に示すように、固体電解質体21は、板状に形成されており、所定の温度において酸素イオン(酸化物イオン、O
2-)を伝導させる性質を有するジルコニア材料を用いて構成されている。ジルコニア材料は、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)を主成分とする種々の材料によって構成される。ジルコニア材料には、イットリア(酸化イットリウム)等の希土類金属元素もしくはアルカリ土類金属元素によってジルコニアの一部を置換させた安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアが用いられる。
【0029】
ポンプ電極22は、ガス室25内に収容される状態で、固体電解質体21の第1表面201に設けられている。ポンプ電極22は、酸素に対する触媒活性を有する貴金属、及び固体電解質体21と焼結する際の共材となるジルコニア材料を含有している。ポンプ電極22を構成する貴金属には、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、金(Au)等が用いられる。
【0030】
本形態のポンプ電極22の貴金属は、白金を0.1~5質量%含有するとともに残部が金からなる白金-金合金によって構成される。白金への金の添加によって、白金によって酸素及びアンモニアを分解する触媒活性が抑制され、ポンプ電極22にアンモニアを含む排ガスGが供給されるときに、ポンプセル12に流れる電流が一定値になりにくくすることができる。
【0031】
センサ電極23は、ガス室25内に収容される状態で、固体電解質体21の第1表面201における、ポンプ電極22の長手方向Xの基端側X2に隣接して設けられている。センサ電極23は、ガス室25内のポンプ電極22に対する、排ガスGの流れの下流側に配置されている。センサ電極23は、NOx及び酸素に対する触媒活性を有する貴金属、及び固体電解質体21と焼結する際の共材となるジルコニア材料を含有している。センサ電極23を構成する貴金属には、白金-ロジウム(Rh)合金等が用いられる。
【0032】
本形態の第1基準電極24A及び第2基準電極24Bは、固体電解質体21の第2表面202に1つの基準電極として、ポンプ電極22及びセンサ電極23に対して共通して設けられている。基準電極24A,24Bは、大気ダクト26内に収容される状態で、固体電解質体21の第2表面202における、ポンプ電極22及びセンサ電極23に固体電解質体21を介して対向する位置に設けられている。基準電極24A,24Bは、ポンプ電極22及びセンサ電極23に対して個別に設けてもよい。基準電極24A,24Bは、酸素に対する触媒活性を有する貴金属、及び固体電解質体21と焼結する際の共材となるジルコニア材料を含有している。基準電極24A,24Bを構成する貴金属には、白金、パラジウム、金等が用いられる。
【0033】
本形態のセンサセル13は、ポンプセル12が形成された固体電解質体21の、長手方向Xの基端側X2に形成されている。これ以外にも、センサセル13は、ポンプセル12が形成された固体電解質体21とは別の固体電解質体に形成されていてもよい。
【0034】
(各絶縁体31,32)
図1~
図3に示すように、第1絶縁体31は、アルミナ等の絶縁性の緻密なセラミックス材料によって構成されている。ガス室25は、第1絶縁体31に形成された切欠き部の一部が、拡散抵抗部251を構成する多孔質体によって閉塞された状態で形成されている。ガス室25は、固体電解質体21、第1絶縁体31及び拡散抵抗部251によって囲まれている。拡散抵抗部251は、アルミナ等の多孔質のセラミックス材料によって構成されている。拡散抵抗部251は、センサ素子2の長手方向Xの先端側X1の部分に設けられており、ガス室25内に導入される排ガスGの流速を制限するものである。拡散抵抗部251は、ポンプ電極22の幅方向Wの両側に位置する側部に形成してもよい。また、拡散抵抗部251は、第1絶縁体31に設けられたピンホールによって形成してもよい。
【0035】
第2絶縁体32は、アルミナ等の絶縁性の緻密なセラミックス材料によって構成されている。第2絶縁体32には、切欠き部によって、大気Aが導入される大気ダクト26が形成されている。本形態のセンサ素子2においては、1つの大気ダクト26が形成されており、第1基準電極24A及び第2基準電極24Bは、同じ大気ダクト26内に配置されている。大気ダクト26は、基準電極24A,24Bが配置された位置から、センサ素子2の長手方向Xの基端側X2の位置まで形成されている。第2絶縁体32には、通電によって発熱する発熱体41が埋設されている。
【0036】
(発熱体41)
図1~
図3に示すように、センサ素子2においては、ポンプセル12及びセンサセル13を加熱するための発熱体41が設けられている。発熱体41は、発熱部411と、発熱部411に繋がる発熱体リード部412とによって形成されている。発熱部411は、ポンプ電極22、センサ電極23及び基準電極24A,24Bに積層方向Dにおいて対向する位置に配置されている。
【0037】
発熱部411は、直線部分及び曲線部分によって蛇行する導体によって形成されている。本形態の発熱部411の直線部分及び発熱体リード部412は、長手方向Xに平行な導体によって形成されている。発熱部411の単位長さ当たりの抵抗値は、発熱体リード部412の単位長さ当たりの抵抗値よりも大きい。発熱体41は、導電性を有する金属材料を含有している。一対の発熱体リード部412に電圧が印加されると、発熱部411がジュール熱によって発熱する。
【0038】
(センサ制御ユニット5)
図1及び
図5に示すように、本形態の第1電圧印加部51、第1電流検出部52、第2電圧印加部53、第2電流検出部54及び判定部55は、ガスセンサ10に電気接続されたセンサ制御ユニット5に形成されている。センサ制御ユニット5は、コンピュータ、制御回路等によって構成されている。センサ制御ユニット5は、車両の内燃機関7のエンジン制御ユニット50に電気接続されており、エンジン制御ユニット50の指令を受けて動作可能である。
【0039】
(第1電圧印加部51及び第1電流検出部52)
図1に示すように、第1電圧印加部51は、ポンプ電極22と第1基準電極24Aとの間に、第1基準電極24Aの側が高電位側(プラス側)となるよう直流電圧を印加するよう構成されている。第1電圧印加部51による直流電圧は、ポンプセル12が限界電流特性を示す電圧値として印加される。限界電流特性は、次のようにして得られる。すなわち、ポンプ電極22と第1基準電極24Aとの間に直流電圧が印加されるとともに、ガス室25内のポンプ電極22に酸素が供給されるときには、拡散抵抗部251によってガス室25への酸素又は未燃ガスの流入量が制限される。そのため、印加電圧が高くなっても、ポンプ電極22と第1基準電極24Aとの間に流れる電流が一定値に制限される特性が、限界電流特性として得られる。
【0040】
第1電圧印加部51によるポンプセル12への直流電圧は、例えば、0.25~0.6[V]の範囲内の電圧値とすればよい。第1電圧印加部51による直流電圧を0.25~0.6[V]の範囲外にすると、排ガスGに含まれる酸素以外の共存ガスが分解されることによるイオン電流がポンプセル12に流れるおそれがある。ポンプセル12の動作によって、酸素又は未燃ガスがセンサ電極23に到達しないようにされる。
【0041】
内燃機関7における燃焼状態が理論空燃比よりも燃料リーン側のリーン状態にあるときには、ガス室25内に導入される排ガスGに酸素が含まれる。リーン状態においては、ポンプセル12による酸素ポンピングが行われ、第1電圧印加部51による直流電圧の印加によって、ガス室25内における酸素は、ポンプ電極22においてイオン化して、固体電解質体21を通過して第1基準電極24Aへ排出される。また、リーン状態においては、排ガスGに内燃機関7の未燃ガスがほとんど含まれていない。そして、第1電流検出部52によって、第1基準電極24Aからポンプ電極22へ流れる電流がプラス電流として検出される。
【0042】
内燃機関7における燃焼状態が理論空燃比よりも燃料リッチ側のリッチ状態にあるときには、ガス室25内に導入される排ガスGに未燃ガスが含まれる。リッチ状態においては、ポンプセル12において電流の逆流が生じ、第1電圧印加部51による直流電圧の印加に拘わらず、ガス室25内における未燃ガスを燃焼させるために、大気ダクト26内の大気Aに含まれる酸素は、第1基準電極24Aにおいてイオン化して、固体電解質体21を通過してポンプ電極22へ供給される。また、リッチ状態においては、排ガスGに酸素がほとんど含まれていない。そして、第1電流検出部52によって、ポンプ電極22から第1基準電極24Aへ流れる電流がマイナス電流として検出される。
【0043】
内燃機関7における燃焼状態が理論空燃比としてのストイキ状態にあるときには、ガス室25内に導入される排ガスGに含まれる酸素及び未燃ガスは少ない。そのため、第1電流検出部52によるポンプセル12の電流は、ほとんど検出されない。
【0044】
(第2電圧印加部53及び第2電流検出部54)
図1に示すように、第2電圧印加部53は、センサ電極23と第2基準電極24Bとの間に、第2基準電極24Bの側が高電位側(プラス側)となるよう直流電圧を印加するよう構成されている。第2電圧印加部53による直流電圧は、センサセル13が限界電流特性を示す電圧値として印加される。
【0045】
第2電圧印加部53によるセンサセル13への直流電圧は、例えば、0.25~0.6[V]の範囲内の電圧値とすればよい。第2電圧印加部53による直流電圧を0.25~0.6[V]の範囲外にすると、排ガスGに含まれるNOx以外の共存ガスが分解されることによるイオン電流がセンサセル13に流れるおそれがある。
【0046】
内燃機関7における燃焼状態がリーン状態にあるときには、ガス室25内に導入される排ガスGにNOxが含まれる。また、リーン状態においては、第1電圧印加部51の動作によってガス室25内の酸素が排出されている。そして、ガス室25内のNOxがポンプ電極22においては分解されずに、センサ電極23に到達するときには、第2電圧印加部53による直流電圧の印加によって、ガス室25内におけるNOxは、センサ電極23において窒素と酸素に分解される。この酸素は、イオン化して固体電解質体21を通過して第2基準電極24Bへ排出される。こうして、リーン状態においては、第2電流検出部54によって、第2基準電極24Bからセンサ電極23へ流れる電流がプラス電流として検出される。
【0047】
内燃機関7における燃焼状態がリッチ状態にあるときに、ガス室25内に導入される排ガスGに、未燃ガスとしてのアンモニアが含まれるときには、アンモニアの少なくとも一部が、センサ電極23に到達するまでに、酸化されてNOxに変換される。このとき、第2電圧印加部53による直流電圧の印加によって、ガス室25内におけるNOxは、センサ電極23において窒素と酸素に分解される。この酸素は、イオン化して固体電解質体21を通過して第2基準電極24Bへ排出される。こうして、リッチ状態においても、第2電流検出部54によって、第2基準電極24Bからセンサ電極23へ流れる電流がプラス電流として検出される。
【0048】
内燃機関7における燃焼状態がリッチ状態にあるときに、ガス室25内に導入される排ガスGに、未燃ガスとしての水素、炭化水素(プロパン等)が含まれるときには、ポンプセル12においてこれらの未燃ガスが燃焼されることにより、第2電流検出部54によるセンサセル13の電流は、ほとんど検出されない。また、内燃機関7における燃焼状態が理論空燃比としてのストイキ状態にあるときにも、第2電流検出部54による電流は、ほとんど検出されない。
【0049】
ガス室25内に流入するアンモニアは、種々の要因によって酸化され、NOxに変換される。例えば、アンモニアは、ガス室25内のポンプ電極22等において電気化学的に酸化され、NOxに変換される。また、アンモニアが保護層27及び拡散抵抗部251を介してガス室25内に導入されるときには、排ガスGに含まれる酸素、並びに保護層27及び拡散抵抗部251の熱等が利用されて、アンモニアがNOxに酸化される。この酸化反応は、4NH3+5O2→4NO+6H2O、又は4NH3+7O2→4NO2+6H2Oの反応式によって表される。
【0050】
拡散抵抗部251、又はガス室25内のいずれかの部位には、アンモニアを分解して酸化するためのアンモニア酸化触媒が配置されていてもよい。このアンモニア酸化触媒には、例えば、NiO(酸化ニッケル)等が用いられる。
【0051】
(判定部55)
図4に示すように、判定部55は、排ガスGにNOxが含まれるか、排ガスGにアンモニアが含まれるか、排ガスGにアンモニア以外の未燃ガスが含まれるか、又は排ガスGにNOx及び未燃ガスが含まれないかの4つの状態を判定することが可能である。判定部55は、第1電流検出部52による電流の正負の向き、及び第2電流検出部54による電流の正負の向きを監視することによって、排ガスGにNOx、アンモニア、又はアンモニア以外の未燃ガスのいずれが含まれるかを判定する。
【0052】
センサセル13の第2電流検出部54においては、プラス電流が検出される一方、マイナス電流が検出されることはほとんどない。排ガスGに、アンモニア以外の未燃ガスが含まれる場合には、ポンプセル12及び第1電圧印加部51の動作によって、アンモニア以外の未燃ガスが分解されるためである。また、排ガスGに、アンモニアが含まれる場合には、NOxに変換されるためである。
【0053】
一方、ポンプセル12の第1電流検出部52においては、プラス電流が検出される場合と、マイナス電流が検出される場合がある。また、第1電流検出部52及び第2電流検出部54においては、ほとんど電流を検出しない場合(
図4においては、電流がゼロの場合で示す。)もある。
【0054】
判定部55は、第1電流検出部52が電流をほとんど検出しない場合又はプラス電流を検出する場合に、第2電流検出部54がプラス電流を検出する場合には、排ガスGにNOxが含まれると判定する。なお、排ガスGにNOxが含まれる場合のほとんどは、排ガスGに酸素も含まれる場合であると考えられ、第1電流検出部52がプラス電流を検出すると考えられる。
【0055】
また、判定部55は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54がプラス電流を検出する場合には、排ガスGにアンモニアが含まれると判定する。また、判定部55は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54がプラス電流を検出しない場合(第2電流検出部54が電流を検出しない場合)には、排ガスGにアンモニア以外の未燃ガスが含まれると判定する。さらに、判定部55は、第1電流検出部52がプラス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54が電流を検出しない場合には、排ガスGにNOxも未燃ガスも含まれないと判定する。
【0056】
図6には、ガス室25に未燃ガスを含む排ガスGが導入される場合において、第1電圧印加部51によるポンプセル12への直流電圧を変化させたときに、第1電流検出部52によって検出されるポンプセル12のマイナス電流の変化について示す。
図6においては、ガスセンサ10によって、アンモニア(NH
3)、プロパン(C
3H
8)又は水素(H
2)を500ppm含む試験ガスの検出を行った場合について示す。試験ガスの残部は窒素とした。
【0057】
図6に示すように、ガスセンサ10にアンモニアを含む試験ガスが供給される場合には、第1電圧印加部51による直流電圧が高くなるほど、第1電流検出部52によるマイナス電流がゼロ側に近づく(マイナス電流のマイナス量が小さくなる)関係が得られる。換言すれば、第1電流検出部52によってアンモニアのマイナス電流が検出される場合には、完全な限界電流特性が得られず、直流電圧とマイナス電流とが比例的に変化する関係が得られる。この理由は、例えば、ポンプ電極22上において、アンモニアの電気化学的な酸化が円滑に進行しないためであると考える。また、例えば、ポンプ電極22が白金及び金を含有する場合には、金によって、白金によるポンプ電極22の触媒活性が抑制されるとともに、アンモニアの電気化学的な酸化も抑制されるためであると考える。
【0058】
一方、ガスセンサ10にプロパン又は水素を含む試験ガスが供給される場合には、第1電圧印加部51によるポンプセル12への直流電圧の変化に拘わらず、第1電流検出部52によるマイナス電流が変化しない限界電流特性に近い関係が得られる。アンモニアの場合の関係、及びプロパン又は水素の場合の関係に基づき、第1電圧印加部51によって所定の直流電圧がポンプセル12に印加される範囲において、第1電流検出部52によって検出されるマイナス電流が比例的に変化する関係が得られる場合には、排ガスGにアンモニアが含まれると判定することができる。
【0059】
そして、判定部55は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出する場合であって、第1電圧印加部51によって値が異なる複数の直流電圧を印加したときに、第1電流検出部52によるマイナス電流が変化する場合には、排ガスGにアンモニアが含まれると判定してもよい。また、判定部55は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出する場合であって、第1電圧印加部51によって値が異なる複数の直流電圧を印加したときに、第1電流検出部52によるマイナス電流がほとんど変化しない場合には、排ガスGにアンモニア以外の未燃ガスが含まれると判定してもよい。
【0060】
なお、
図6においては、ガスセンサ10によって、酸素(O
2)を含む試験ガスの検出を行った場合についても示す。この場合には、第1電圧印加部51によるポンプセル12への直流電圧の変化に拘わらず、第1電流検出部52によるマイナス電流が変化しない限界電流特性の関係が得られる。
【0061】
(NOx検出部56及びアンモニア検出部57)
図1に示すように、本形態のガス検出装置1は、NOx検出部56及びアンモニア検出部57を備える。NOx検出部56及びアンモニア検出部57は、センサ制御ユニット5に形成されている。NOx検出部56は、判定部55が排ガスGにNOxが含まれると判定したときに、第2電流検出部54によるプラス電流の大きさに基づいて、排ガスGに含まれるNOxの濃度を定量的に検出するよう構成されている。アンモニア検出部57は、判定部55が排ガスGにアンモニアが含まれると判定したときに、第1電流検出部52によるマイナス電流及び第2電流検出部54によるプラス電流の少なくとも一方に基づいて、排ガスGに含まれるアンモニアの濃度を定量的に検出するよう構成されている。
【0062】
図7には、排ガスGにNOxが含まれると判定されるときに、排ガスGに含まれるNOxの濃度が高くなるほど、センサセル13に流れる電流としての第2電流検出部54によるプラス電流がプラス側に大きくなる関係を示す。この関係は、比例関係又は比例関係に近い関係にあると考える。また、この第2電流検出部54によるプラス電流とNOxの濃度との関係は、試作時等に実験を行い、センサ制御ユニット5において、関係マップとして記憶しておけばよい。NOx検出部56は、この関係マップを用いて、排ガスGにおけるNOxの濃度を求めるよう構成すればよい。
【0063】
アンモニア検出部57は、第1電流検出部52のマイナス電流の大きさに基づく第1算出処理、第1電流検出部52のマイナス電流の変化に基づく第2算出処理、第2電流検出部54のプラス電流の大きさに基づく第3算出処理、及び第2電流検出部54のプラス電流の変化に基づく第4算出処理のうちの少なくとも1つに基づいて、アンモニアの濃度を定量的に検出するよう構成されている。
【0064】
第1算出処理は、第1電圧印加部51によってポンプセル12に直流電圧が印加されるときに、第1電流検出部52のマイナス電流がマイナス側に大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する処理である。第2算出処理は、第1電圧印加部51による直流電圧を変化させたときの第1電流検出部52のマイナス電流の第1変化量を検出し、第1変化量が大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する処理である。マイナス電流の第1変化量は、第1電圧印加部51による直流電圧を、限界電流特性を有する電圧の範囲内において複数の電圧値に変化させたときの電流値の差として求められる。
【0065】
第3算出処理は、第2電流検出部54のプラス電流がプラス側に大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する処理である。第4算出処理は、第2電圧印加部53による直流電圧を変化させたときの第2電流検出部54のプラス電流の第2変化量を検出し、第2変化量が大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出する処理である。プラス電流の第2変化量は、第2電圧印加部53による直流電圧を、限界電流特性を有する電圧の範囲内において複数の電圧値に変化させたときの電流値の差として求められる。
【0066】
図8には、ガス室25にアンモニアを含む試験ガスが導入される場合において、第1電圧印加部51によるポンプセル12への直流電圧を変化させたときに、第1電流検出部52によって検出されるポンプセル12のマイナス電流の変化について示す。
図8においては、アンモニアの濃度を0ppm、100ppm、200ppm及び500ppmに変化させたときのマイナス電流の変化を検出している。試験ガスの残部は窒素とした。
【0067】
図8に示すように、排ガスGにアンモニアが含まれると判定されるときにおいて、排ガスGにおけるアンモニアの濃度が高くなるほど、第1電流検出部52によるマイナス電流がマイナス側に大きくなる。この性質を利用して、第1算出処理によるアンモニアの濃度が算出される。また、排ガスGにおけるアンモニアの濃度が高くなるほど、第1電圧印加部51による直流電圧が変化したときの、第1電流検出部52によるマイナス電流の変化量ΔIも大きくなる。この性質を利用して、第2算出処理によるアンモニアの濃度が算出される。マイナス電流の変化量ΔIは、傾斜角の大きさによって示される。
【0068】
図9には、排ガスGに酸素が含まれない場合において、排ガスGに含まれるアンモニアの濃度が高くなるほど、ポンプセル12に流れる電流としての第1電流検出部52によるマイナス電流がマイナス側に大きくなる関係を示す。この関係は、比例関係又は比例関係に近い関係にあると考える。
図9においては、第1電圧印加部51によってポンプセル12に0.4Vを印加する場合について示す。また、この第1算出処理としての第1電流検出部52によるマイナス電流とアンモニアの濃度との関係は、試作時等に実験を行い、センサ制御ユニット5において、関係マップとして記憶しておけばよい。
【0069】
また、第2算出処理としての、第1電圧印加部51による直流電圧に対する第1電流検出部52によるマイナス電流の変化量ΔIの関係は、第1電流検出部52によるマイナス電流の変化量ΔIとアンモニアの濃度との関係として、試作時等に実験を行い、センサ制御ユニット5において、関係マップとして記憶しておけばよい。この第1電流検出部52によるマイナス電流の変化量ΔIとアンモニアの濃度との関係も、比例関係又は比例関係に近い関係にあると考える。
【0070】
図10には、ガス室25にアンモニアを含む排ガスGが導入される場合において、第2電圧印加部53による直流電圧を変化させたときに、センサセル13の第2電流検出部54によって検出されるプラス電流の変化について示す。この場合には、第1電圧印加部51によるポンプセル12への直流電圧の印加により、拡散抵抗部251及びガス室25を通過するアンモニアがNOxに変換され、センサセル13において、NOxによるプラス電流が検出される。
図10においては、アンモニアの濃度を0ppm、100ppm、200ppm及び500ppmに変化させたときのマイナス電流の変化を検出している。排ガスGの残部は窒素とした。
【0071】
図10に示すように、排ガスGにアンモニアが含まれると判定されるときにおいて、排ガスGにおけるアンモニアの濃度が高くなるほど、第2電流検出部54によるプラス電流がプラス側に大きくなる。この性質を利用して、第3算出処理によるアンモニアの濃度が算出される。また、排ガスGにおけるアンモニアの濃度が高くなるほど、第2電圧印加部53による直流電圧が変化したときの、第2電流検出部54によるプラス電流の変化量ΔIも大きくなる。この性質を利用して、第4算出処理によるアンモニアの濃度が算出される。
【0072】
図11には、排ガスGに酸素が含まれない場合において、排ガスGに含まれるアンモニアの濃度が高くなるほど、センサセル13に流れる電流としての第2電流検出部54によるプラス電流がプラス側に大きくなる関係を示す。この関係は、比例関係又は比例関係に近い関係にあると考える。
図11においては、第2電圧印加部53によってセンサセル13に0.4Vを印加する場合について示す。また、この第3算出処理としての第2電流検出部54によるプラス電流とアンモニアの濃度との関係は、試作時等に実験を行い、センサ制御ユニット5において、関係マップとして記憶しておけばよい。
【0073】
また、第4算出処理としての、第2電圧印加部53による直流電圧に対する第2電流検出部54によるプラス電流の変化量ΔIの関係は、第2電流検出部54によるプラス電流の変化量ΔIとアンモニアの濃度との関係として、試作時等に実験を行い、センサ制御ユニット5において、関係マップとして記憶しておけばよい。この第2電流検出部54によるプラス電流の変化量ΔIとアンモニアの濃度との関係も、比例関係又は比例関係に近い関係にあると考える。
【0074】
(ガス検出装置1によるガス濃度の検出方法)
次に、ガス検出装置1によってNOx及びアンモニアの濃度を検出する方法の一例について、
図12のフローチャートを参照して説明する。
車両の内燃機関7が起動されるとともにガス検出装置1が起動された後には、ポンプセル12及び第1電圧印加部51によってガス室25内の酸素が大気ダクト26に除去され、第2電圧印加部53によってセンサセル13に直流電圧が印加される(ステップS101)。次いで、第1電流検出部52によってポンプセル12を流れる電流が検出されるとともに、第2電流検出部54によってセンサセル13を流れる電流が検出される(ステップS102)。
【0075】
次いで、判定部55によって、第1電流検出部52によって検出された電流が、ゼロ又はプラス側にあるか否かが判定される(ステップS103)。第1電流検出部52による電流がゼロ又はプラス電流である場合には、判定部55によって、第2電流検出部54によって検出された電流が、ゼロ又はプラス側にあるか否かが判定される(ステップS104)。
【0076】
第2電流検出部54による電流がゼロ又はプラス電流である場合には、判定部55によって、排ガスGにNOxが含まれると判定される(ステップS105)。そして、NOx検出部56によって、第2電流検出部54によるプラス電流に基づいてNOxの濃度が算出される(ステップS106)。具体的には、第2電流検出部54によるプラス電流の値が関係マップに照合され、関係マップによってNOxの濃度が求められる。
【0077】
ステップS104において、第2電流検出部54による電流がゼロ又はプラス電流でない場合(ほとんどゼロである場合)には、判定部55によって、排ガスGにNOxが含まれないと判定される(ステップS107)。また、この場合には、排ガスGに未燃ガスも含まれないと判定される。
【0078】
ステップS103において、第1電流検出部52による電流がゼロ又はプラス電流でない場合(マイナス電流である場合)には、判定部55によって、第2電流検出部54によって検出された電流がプラス側にあるか否かが判定される(ステップS108)。第2電流検出部54による電流がプラス電流である場合には、判定部55によって、排ガスGにアンモニアが含まれると判定される(ステップS109)。そして、アンモニア検出部57によって、第2電流検出部54によるプラス電流に基づいてアンモニアの濃度が算出される(ステップS110)。具体的には、第2電流検出部54によるプラス電流の値が関係マップに照合され、関係マップによってアンモニアの濃度が求められる。
【0079】
ステップS108において、第2電流検出部54による電流がプラス電流でない場合(ほとんどゼロである場合)には、判定部55によって、排ガスGにアンモニア以外の未燃成分が含まれると判定される(ステップS111)。
【0080】
ステップS106、S107、S110、S111が行われた後には、ガス濃度の検出制御を終了する信号があるまでは(ステップS112)、ステップS102~S112が繰り返し行われる。
【0081】
なお、ステップS110におけるアンモニアの濃度の算出は、前述した第1~第4算出処理のうちのいずれか、又は2つ以上の組み合わせに基づいて行ってもよい。
【0082】
(作用効果)
本形態のガス検出装置1においては、ポンプセル12及びセンサセル13のそれぞれに流れる電流の向きを検出して、排ガスGにNOx(窒素酸化物)又はアンモニアのいずれが含まれているかを判定する。より具体的には、判定部55は、第1電流検出部52が電流を検出しない場合又はプラス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54がプラス電流を検出する場合には、排ガスGにNOxが含まれると判定する。そして、NOx検出部56は、第2電流検出部54におけるプラス電流に基づいて、NOxの濃度を定量的に求めることができる。
【0083】
一方、判定部55は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出する場合であって、第2電流検出部54がプラス電流を検出する場合には、排ガスGにアンモニアが含まれると判定する。そして、第1電流検出部52におけるマイナス電流又は第2電流検出部54におけるプラス電流による第1~第4算出処理のうちの少なくともいずれかに基づいて、アンモニアの濃度を定量的に求めることができる。
【0084】
それ故、本形態のガス検出装置1によれば、ポンプセル12及びセンサセル13を用いることによって、NOx及びアンモニアの両方の検出を行うことができる。
【0085】
<実施形態2>
本形態は、
図1に示すように、ガス検出装置1が変化量検出部58を備え、判定部55の構成が実施形態1の場合と異なる場合について示す。本形態のガス検出装置1は、排ガスGにアンモニアが含まれるか、アンモニア以外の未燃ガスが含まれるかの判定を行うよう構成されている。変化量検出部58は、センサ制御ユニット5に形成されている。変化量検出部58は、第1電流検出部52がマイナス電流を検出していることを条件として、第1電圧印加部51による直流電圧を変化させたときの第1電流検出部52のマイナス電流の変化量を検出するよう構成されている。第1電流検出部52がマイナス電流を検出している条件は、第1電流検出部52が、ゼロよりも僅かにマイナス側の規定電流を検出している場合とすればよい。
【0086】
変化量検出部58は、マイナス電流の変化量を、第1電圧印加部51によって値が異なる複数の直流電圧をポンプセル12に印加したときの、第1電流検出部52によるマイナス電流の値の差として検出すればよい。本形態の判定部55は、マイナス電流の変化量が規定変化量以上である場合には、排ガスGにアンモニアが含まれると判定し、一方、マイナス電流の変化量が規定変化量未満である場合には、排ガスGにアンモニア以外の未燃ガスが含まれると判定するよう構成されている。
【0087】
図13に示すように、第1電圧印加部51による直流電圧Vを変化させたときの第1電流検出部52のマイナス電流Iの変化量(電圧に対する電流の変化量)ΔIは、ΔI=I/Vによって示される。
図13には、アンモニア(NH
3)、水素(H
2)、プロパン(C
3H
8)及びNOxのガスセンサ10への供給ガスの濃度が変化したときのマイナス電流Iの変化量ΔIについて示す。供給ガスにおける残部は窒素とする。
【0088】
図6に示すように、第1電圧印加部51による直流電圧Vを所定の第1電圧V
1にしたときの第1電流検出部52によるマイナス電流をI
1、第1電圧印加部51による直流電圧Vを所定の第2電圧V
2にしたときの第2電流検出部54によるマイナス電流をI
2としたとき、マイナス電流Iの変化量ΔIは、ΔI=|I
1-I
2|/|V
1-V
2|によって示される。マイナス電流の差I
1-I
2及び直流電圧の差V
1-V
2は絶対値とすればよい。
【0089】
図13に示すように、排ガスGにアンモニア(NH
3)が含まれる場合には、第1電圧印加部51による直流電圧Vに対する第1電流検出部52によるマイナス電流Iの変化量ΔIが相対的に大きくなる。一方、排ガスGにアンモニア以外の水素(H
2)、プロパン(C
3H
8)等の未燃ガスが含まれる場合には、マイナス電流Iの変化量ΔIが相対的に小さくなる。そのため、アンモニアについての変化量ΔIとアンモニア以外の未燃ガスの変化量ΔIとの間に、判定のための閾値としての規定変化量ΔIrを設定することにより、排ガスGにアンモニアが含まれるか、アンモニア以外の未燃ガスが含まれるかの判定を行うことができる。
【0090】
マイナス電流Iの変化量ΔIは、ポンプセル12における限界電流特性の電流のフラット性がどれだけ得られるかを示すものと言ってもよい。排ガスGにNOxが含まれる場合にも、限界電流特性を示す電圧の範囲において、電流には僅かな傾斜による変化が生じる。
【0091】
本形態のガス検出装置1は、アンモニア検出部57をさらに備える。アンモニア検出部57は、センサ制御ユニット5に形成されている。アンモニア検出部57は、第2電流検出部54がプラス電流を検出していることを条件として、第1電流検出部52によるマイナス電流の変化量ΔIが大きいほどアンモニアの濃度が高いと算出して、アンモニアの濃度を定量的に検出するよう構成されている。
【0092】
発明者らの研究により、排ガスGにアンモニアが含まれる場合には、排ガスGにアンモニア以外の未燃ガスが含まれる場合に比べて、第1電流検出部52がマイナス電流を検出していることを条件として、第1電圧印加部51による直流電圧を変化させたときの第1電流検出部52のマイナス電流の変化量ΔIが大きくなることが分かった。そこで、本形態のガス検出装置1においては、判定部55によって、第1電流検出部52のマイナス電流の変化量ΔIが規定変化量ΔIr以上であるか否かを判定して、排ガスGにアンモニア又はアンモニア以外の未燃ガスのいずれが含まれているかを判定する。
【0093】
それ故、本形態のガス検出装置1によれば、排ガスGに、アンモニア又はアンモニア以外の未燃ガスとしての、複数種類のガスのいずれが含まれるかを検知することができる。
【0094】
本形態のガス検出装置1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1の構成要素と同様である。
【0095】
<実施形態3>
本形態は、固体電解質体21,210及び大気ダクト26,260のそれぞれが2つずつ設けられたセンサ素子2について示す。本形態のセンサセル13は、ポンプセル12が形成された第1の固体電解質体21とは別の第2の固体電解質体210に形成されている。ポンプ電極22及び第1基準電極24Aは第1の固体電解質体21に形成されている一方、センサ電極23及び第2基準電極24Bは、第2の固体電解質体210に対してガス室25を介して対向する第2の固体電解質体210に形成されている。
【0096】
また、本形態のセンサ素子2においては、第2絶縁体32に形成された第1の大気ダクト26の他に、第1絶縁体31に形成された第2の大気ダクト260もある。そして、第1基準電極24Aは、第1の大気ダクト26内に配置されており、第2基準電極24Bは、第2の大気ダクト260内に配置されている。
【0097】
本形態においては、ポンプセル12及びセンサセル13に対して別々に大気ダクト26,260が形成されていることにより、NOx及びアンモニアの検出に、より柔軟に対応することができる。
【0098】
本形態のガス検出装置1における、その他の構成、作用効果等については、実施形態1,2の構成、作用効果等と同様である。また、本形態においても、実施形態1,2に示した符号と同一の符号が示す構成要素は、実施形態1,2の構成要素と同様である。
【0099】
本発明は、各実施形態のみに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲においてさらに異なる実施形態を構成することが可能である。また、本発明は、様々な変形例、均等範囲内の変形例等を含む。さらに、本発明から想定される様々な構成要素の組み合わせ、形態等も本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0100】
1 ガス検出装置
12 ポンプセル
13 センサセル
21 固体電解質体
51 第1電圧印加部
52 第1電流検出部
53 第2電圧印加部
54 第2電流検出部
55 判定部