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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】電動作業車
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/00 20060101AFI20240607BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240607BHJP
   B62D 21/18 20060101ALI20240607BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B60K1/00
B60K1/04 Z
B62D21/18 C
B62D49/00 B
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021107499
(22)【出願日】2021-06-29
(65)【公開番号】P2023005517
(43)【公開日】2023-01-18
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 大輔
(72)【発明者】
【氏名】今和泉 誠
(72)【発明者】
【氏名】森岡 保光
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 遥己
【審査官】宇佐美 琴
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-024710(JP,A)
【文献】特開2020-104681(JP,A)
【文献】実開昭54-036251(JP,U)
【文献】特開平10-203374(JP,A)
【文献】特開2021-104768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/00- 1/04
B62D 21/18,49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
機体前後方向に延びると共に前記バッテリを支持する第1フレームと、
前記第1フレームの後部に連結されると共に前記モータを支持するモータフレームと、
機体前後方向に延びると共に前記第1フレームよりも後側に位置する第2フレームと、
側面視で前記第1フレームと前記第2フレームとに重複する状態で設けられると共に、前記第1フレームと前記第2フレームとに連結された第3フレームと、を備え
前記第2フレームの前端は、前記第1フレームの後端よりも後側に位置しており、
前記第1フレームの前端は、前記モータの前端よりも前側に位置しており、
前記第2フレームの後端は、前記モータの後端よりも後側に位置している電動作業車。
【請求項2】
前記第3フレームの前端は、前記モータの前端よりも前側に位置しており、
前記第3フレームの後端は、前記モータの後端よりも後側に位置している請求項1に記載の電動作業車。
【請求項3】
前記第2フレームの前端部は、前記モータフレームに連結されている請求項1または2に記載の電動作業車。
【請求項4】
バッテリと、
前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、
前記モータにより駆動される走行装置と、
機体前後方向に延びると共に前記バッテリを支持する第1フレームと、
前記第1フレームの後部に連結されると共に前記モータを支持するモータフレームと、
機体前後方向に延びると共に前記第1フレームよりも後側に位置する第2フレームと、
側面視で前記第1フレームと前記第2フレームとに重複する状態で設けられると共に、前記第1フレームと前記第2フレームとに連結された第3フレームと、を備え、
前記第2フレームの前端部は、前記モータフレームに連結されており、
前記モータフレームの後方に位置すると共に前記モータフレームに連結されたギヤケースを備え、
前記ギヤケースは、前記モータの駆動力により回転する一つまたは複数のギヤを収容しており、
前記第2フレームの前端部は、前記ギヤケースを介して前記モータフレームに連結されている電動作業車。
【請求項5】
前記第2フレームの前端部を前記ギヤケースに締結する第1締結具及び第2締結具を備え、
前記第1締結具の軸芯方向と、前記第2締結具の軸芯方向と、は互いに異なる請求項に記載の電動作業車。
【請求項6】
機体左右方向に並ぶ二つの前記第1フレームを備え、
左の前記第1フレームの下部と、右の前記第1フレームの下部と、に亘る状態で前記二つの第1フレームに連結された底板部が設けられている請求項1からの何れか一項に記載の電動作業車。
【請求項7】
前記底板部よりも上側であり、且つ、前記二つの第1フレームに挟まれた空間に、前記モータに接続する電気配線の少なくとも一部が位置している請求項に記載の電動作業車。
【請求項8】
前記底板部に点検口が設けられており、
前記点検口を塞ぐと共に着脱可能な蓋部を備える請求項またはに記載の電動作業車。
【請求項9】
オペレータが搭乗可能な運転部を備え、
前記モータフレームは、前記運転部の前下方に位置しており、
前記バッテリは、前記第1フレームの後端部から前部に亘る状態で設けられている請求項1からの何れか一項に記載の電動作業車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリと、バッテリから供給される電力により駆動するモータと、モータにより駆動される走行装置と、を備える電動作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような電動作業車として、例えば、特許文献1に記載のものが既に知られている。この電動作業車(特許文献1では「トラクタ」)は、機体前後方向に延びると共にバッテリ(特許文献1では「走行用バッテリ」)を支持する第1フレーム(特許文献1では「主フレーム」)と、第1フレームの後部に連結されると共にモータを支持するモータフレーム(特許文献1では「後部支持フレーム」)と、機体前後方向に延びると共に第1フレームよりも後側に位置する第2フレームと、を備えている。
【0003】
そして、第2フレームの前端部が、モータフレームに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2021-953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の作業車のようなフレーム構造では、第1フレームとモータフレームとの間の連結部分に、応力が集中しがちである。
【0006】
本発明の目的は、比較的簡素な構成で、第1フレームとモータフレームとの間の連結部分への応力集中を抑制できる電動作業車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、機体前後方向に延びると共に前記バッテリを支持する第1フレームと、前記第1フレームの後部に連結されると共に前記モータを支持するモータフレームと、機体前後方向に延びると共に前記第1フレームよりも後側に位置する第2フレームと、側面視で前記第1フレームと前記第2フレームとに重複する状態で設けられると共に、前記第1フレームと前記第2フレームとに連結された第3フレームと、を備え、前記第2フレームの前端は、前記第1フレームの後端よりも後側に位置しており、前記第1フレームの前端は、前記モータの前端よりも前側に位置しており、前記第2フレームの後端は、前記モータの後端よりも後側に位置していることにある。
【0008】
本構成によれば、第1フレームと第2フレームとが、第3フレームを介して連結される。これにより、第3フレームを備えておらず、且つ、第2フレームの前端部がモータフレームに連結されたフレーム構造を有している場合に比べて、第1フレームとモータフレームとの間の連結部分に応力が集中しにくい。
【0009】
従って、本構成によれば、比較的簡素な構成で、第1フレームとモータフレームとの間の連結部分への応力集中を抑制できる電動作業車を実現できる。
さらに、本発明において、前記第3フレームの前端は、前記モータの前端よりも前側に位置しており、前記第3フレームの後端は、前記モータの後端よりも後側に位置していると好適である。
【0010】
さらに、本発明において、前記第2フレームの前端部は、前記モータフレームに連結されていると好適である。
【0011】
本構成によれば、第1フレームと第2フレームとが、モータフレームを介して連結される。これにより、第1フレームと第3フレームとの連結部分、及び、第2フレームと第3フレームとの連結部分への応力集中を抑制することが可能となる。
【0012】
本発明の別の特徴は、バッテリと、前記バッテリから供給される電力により駆動するモータと、前記モータにより駆動される走行装置と、機体前後方向に延びると共に前記バッテリを支持する第1フレームと、前記第1フレームの後部に連結されると共に前記モータを支持するモータフレームと、機体前後方向に延びると共に前記第1フレームよりも後側に位置する第2フレームと、側面視で前記第1フレームと前記第2フレームとに重複する状態で設けられると共に、前記第1フレームと前記第2フレームとに連結された第3フレームと、を備え、前記第2フレームの前端部は、前記モータフレームに連結されており、前記モータフレームの後方に位置すると共に前記モータフレームに連結されたギヤケースを備え、前記ギヤケースは、前記モータの駆動力により回転する一つまたは複数のギヤを収容しており、前記第2フレームの前端部は、前記ギヤケースを介して前記モータフレームに連結されていることにある
【0013】
本構成によれば、第1フレームと第2フレームとが、第3フレームを介して連結される。これにより、第3フレームを備えておらず、且つ、第2フレームの前端部がモータフレームに連結されたフレーム構造を有している場合に比べて、第1フレームとモータフレームとの間の連結部分に応力が集中しにくい。
従って、本構成によれば、比較的簡素な構成で、第1フレームとモータフレームとの間の連結部分への応力集中を抑制できる電動作業車を実現できる。
また、本構成によれば、第1フレームと第2フレームとが、モータフレームを介して連結される。これにより、第1フレームと第3フレームとの連結部分、及び、第2フレームと第3フレームとの連結部分への応力集中を抑制することが可能となる。
また、一般に、ギヤケースを備える電動作業車において、ギヤケースは比較的高い強度を有している。
【0014】
本構成によれば、第2フレームの前端部は、比較的高い強度を有するギヤケースを介して、モータフレームに連結される。これにより、第2フレームの前端部とモータフレームとの間の連結状態が安定的になりやすい。
【0015】
さらに、本発明において、前記第2フレームの前端部を前記ギヤケースに締結する第1締結具及び第2締結具を備え、前記第1締結具の軸芯方向と、前記第2締結具の軸芯方向と、は互いに異なると好適である。
【0016】
本構成によれば、第2フレームの前端部をギヤケースに締結する複数の締結具の軸芯方向が全て同じである構成に比べて、それぞれの締結具に作用する応力の方向を分散することができるため、第2フレームの前端部とモータフレームとの間の連結状態が安定的になりやすい。
【0017】
さらに、本発明において、機体左右方向に並ぶ二つの前記第1フレームを備え、左の前記第1フレームの下部と、右の前記第1フレームの下部と、に亘る状態で前記二つの第1フレームに連結された底板部が設けられていると好適である。
【0018】
本構成によれば、底板部が設けられていない場合に比べて、二つの第1フレームを含むフレーム構造が強固になりやすい。従って、強固なフレーム構造を有する電動作業車を実現できる。
【0019】
さらに、本発明において、前記底板部よりも上側であり、且つ、前記二つの第1フレームに挟まれた空間に、前記モータに接続する電気配線の少なくとも一部が位置していると好適である。
【0020】
本構成によれば、電気配線が、二つの第1フレーム及び底板部によって保護される。従って、電気配線を保護するために専用の部材を設ける必要がない。これにより、製造コストが低くなりやすい。
【0021】
さらに、本発明において、前記底板部に点検口が設けられており、前記点検口を塞ぐと共に着脱可能な蓋部を備えると好適である。
【0022】
本構成によれば、底板部よりも上側であり、且つ、二つの第1フレームに挟まれた空間に、作業者は、点検口を介して容易にアクセスすることができる。これにより、当該空間の点検や清掃等の作業を容易に行うことが可能となる。
【0023】
さらに、本発明において、オペレータが搭乗可能な運転部を備え、前記モータフレームは、前記運転部の前下方に位置しており、前記バッテリは、前記第1フレームの後端部から前部に亘る状態で設けられていると好適である。
【0024】
本構成によれば、バッテリの前後方向の長さが比較的長くなる。これにより、バッテリのサイズが比較的大きくなる。従って、バッテリの容量が比較的大きい電動作業車を実現しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】トラクタの右側面図である。
図2】第1フレーム等の構成を示す一部破断右側面図である。
図3】第1フレーム等の構成を示す右側面図である。
図4】第3フレーム等の構成を示す平面図である。
図5】第3フレーム等の構成を示す底面図である。
図6】底板部等の構成を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明を実施するための形態について、図面に基づき説明する。尚、以下の説明においては、図1から図5に示す矢印Fの方向を「前」、矢印Bの方向を「後」として、図4から図6に示す矢印Lの方向を「左」、矢印Rの方向を「右」とする。また、図1から図3図6に示す矢印Uの方向を「上」、矢印Dの方向を「下」とする。
【0027】
〔トラクタの全体構成〕
図1に示すように、トラクタA(本発明に係る「電動作業車」に相当)は、左右の前車輪10(本発明に係る「走行装置」に相当)、左右の後車輪11(本発明に係る「走行装置」に相当)、カバー部材12を備えている。
【0028】
また、トラクタAは、機体フレーム2及び運転部3を備えている。
【0029】
機体フレーム2は、左右の前車輪10及び左右の後車輪11に支持されている。
【0030】
カバー部材12は、機体前部に配置されている。そして、運転部3は、カバー部材12の後方に設けられている。
【0031】
運転部3は、保護フレーム30、運転座席31、ステアリングホイール32を有している。オペレータは、運転座席31に着座可能である。これにより、オペレータは、運転部3に搭乗可能である。ステアリングホイール32の操作によって、左右の前車輪10は操向操作される。オペレータは、運転部3において、各種の運転操作を行うことができる。
【0032】
即ち、トラクタAは、オペレータが搭乗可能な運転部3を備えている。
【0033】
また、トラクタAは、走行用バッテリ4(本発明に係る「バッテリ」に相当)、モータM、伝動装置T、前伝動機構FTを備えている。
【0034】
カバー部材12は、機体左右方向に沿う開閉軸芯Q(図2参照)周りに揺動可能に構成されている。これにより、カバー部材12は、開閉可能に構成されている。そして、カバー部材12が閉状態であるとき、走行用バッテリ4は、カバー部材12に覆われている。そして、走行用バッテリ4は、モータMへ電力を供給する。
【0035】
モータMは、走行用バッテリ4の下方に配置されている。そして、モータMは、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動する。モータMの駆動力は、伝動装置Tへ伝達される。
【0036】
伝動装置Tは、走行用バッテリ4よりも後側であり、且つ、モータMの後方に配置されている。また、前伝動機構FTは、伝動装置Tから前側に延びている。そして、伝動装置Tは、モータMから受け取った駆動力を変速し、左右の後車輪11に伝達する。また、駆動力は、伝動装置Tから、前伝動機構FTを介して、左右の前車輪10にも伝達される。これにより、左右の前車輪10及び左右の後車輪11は駆動される。
【0037】
即ち、トラクタAは、走行用バッテリ4と、走行用バッテリ4から供給される電力により駆動するモータMと、を備えている。また、トラクタAは、モータMにより駆動される左右の前車輪10及び左右の後車輪11を備えている。
【0038】
図1に示すように、トラクタAの後部に、リンク機構LNが設けられている。リンク機構LNに、例えば耕耘装置等の作業装置(図示せず)を連結することができる。
【0039】
伝動装置Tは、モータMから受け取った駆動力の一部を作業装置に伝達可能に構成されている。これにより、作業装置が駆動される。
【0040】
以上の構成により、トラクタAは、左右の前車輪10及び左右の後車輪11によって走行しながら、作業装置によって作業を行うことができる。
【0041】
また、図1に示すように、トラクタAは、油圧ポンプ60を備えている。油圧ポンプ60は、機体右側部に設けられている。油圧ポンプ60は、モータMからの駆動力により駆動する。そして、油圧ポンプ60は、機体の各部へ作動油を供給する。
【0042】
〔第1フレームについて〕
図2から図4に示すように、機体フレーム2は、前後方向に延びる二つの第1フレーム21を有している。二つの第1フレーム21は、機体左右方向に並んでいる。
【0043】
このように、トラクタAは、機体左右方向に並ぶ二つの第1フレーム21を備えている。
【0044】
図2に示すように、トラクタAは、リザーブタンク5、インバータ14、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19を備えている。カバー部材12が閉状態であるとき、リザーブタンク5、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19は、カバー部材12に覆われている。
【0045】
インバータ14は、走行用バッテリ4の下方に配置されている。インバータ14は、走行用バッテリ4からの直流電力を交流電力に変換してモータMへ供給する。
【0046】
リザーブタンク5は、冷却水を貯留することができる。
【0047】
ラジエータ15及びウォータポンプ(図示せず)は、トラクタAにおける冷却水経路に含まれている。ウォータポンプが冷却水を圧送することにより、冷却水が、この冷却水経路を循環する。そして、冷却水は、ラジエータ15を通過することにより冷却される。
【0048】
補機用バッテリ18は、各種補機に電力を供給する。また、走行用バッテリ4から、電圧コンバータ19へ電力が送られる。そして、電圧コンバータ19は、走行用バッテリ4からの電力を降圧して補機用バッテリ18へ供給する。
【0049】
図2に示すように、走行用バッテリ4及びインバータ14は、二つの第1フレーム21により支持されている。
【0050】
詳述すると、図2から図5に示すように、各第1フレーム21に、インバータ支持部42が支持されている。インバータ支持部42は、水平姿勢の板状の部材である。二つのインバータ支持部42に、インバータ14が載置されている。
【0051】
また、図2に示すように、第1支持部43a及び第2支持部43bが、インバータ支持部42に支持されている。第3支持部43cが、第1フレーム21に支持されている。そして、第1支持部43a、第2支持部43b、第3支持部43cに支持された状態で、バッテリ支持部44が設けられている。バッテリ支持部44は、水平姿勢の板状の部材である。また、バッテリ支持部44は、走行用バッテリ4の左右端に亘る状態で設けられている。バッテリ支持部44に、走行用バッテリ4が載置されている。
【0052】
このように、トラクタAは、機体前後方向に延びると共に走行用バッテリ4を支持する第1フレーム21を備えている。
【0053】
図2に示すように、走行用バッテリ4は、第1フレーム21の後端部から前部に亘る状態で設けられている。
【0054】
また、リザーブタンク5、ラジエータ15、補機用バッテリ18、電圧コンバータ19も、二つの第1フレーム21により支持されている。
【0055】
〔モータフレームについて〕
図2から図4に示すように、機体フレーム2は、モータフレーム40を有している。モータフレーム40は、板状の部材である。モータフレーム40は、第1フレーム21の延びる方向に対して垂直に配置されている。モータフレーム40は、各第1フレーム21の後端部に、溶接により連結されている。モータフレーム40は、運転部3の前下方に位置している。
【0056】
モータフレーム40は、モータMの後端部に接している。モータMは、モータフレーム40に前側から取り付けられている。即ち、モータフレーム40は、モータMの後部を支持している。
【0057】
このように、トラクタAは、第1フレーム21の後部に連結されると共にモータMを支持するモータフレーム40を備えている。
【0058】
油圧ポンプ60は、モータフレーム40に前側から取り付けられている。これにより、油圧ポンプ60は、モータフレーム40に支持されている。
【0059】
また、モータフレーム40の後方に、ギヤケース41が設けられている。ギヤケース41は、モータフレーム40に、ボルトにより連結されている。図4に示すように、ギヤケース41は、モータMの駆動力により回転する一つまたは複数のギヤ63を収容している。本実施形態においては、五つのギヤ63が設けられている。モータMの出力軸であるモータ出力軸61から、五つのギヤ63を介して、油圧ポンプ60の入力軸であるポンプ入力軸62に駆動力が伝達される。
【0060】
このように、トラクタAは、モータフレーム40の後方に位置すると共にモータフレーム40に連結されたギヤケース41を備えている。
【0061】
〔第2フレーム及び第4フレームについて〕
図2から図4に示すように、機体フレーム2は、第2フレーム22、及び、二つの第4フレーム24を有している。第2フレーム22及び第4フレーム24は、何れも、機体前後方向に延びている。第2フレーム22及び第4フレーム24は、何れも、第1フレーム21よりも後側に位置している。
【0062】
このように、トラクタAは、機体前後方向に延びると共に第1フレーム21よりも後側に位置する第2フレーム22を備えている。
【0063】
第2フレーム22は、左右の縦板部22a、天板部22b、横板部22cを有している。天板部22bは、左の縦板部22aの上端部と右の縦板部22aの上端部とに亘って設けられている。横板部22cは、左の縦板部22aの上下方向中間部と、右の縦板部22aの上下方向中間部と、に亘って設けられている。モータ出力軸61は、左右の縦板部22a、天板部22b、横板部22cにより囲まれた空間を通過している。
【0064】
図4に示すように、左右の縦板部22aの前端部は、それぞれ、第1締結具b1によってギヤケース41に締結されている。また、天板部22bの前端部は、第2締結具b2によってギヤケース41に締結されている。
【0065】
第1締結具b1の軸芯方向は、機体左右方向である。第2締結具b2の軸芯方向は、機体前後方向である。即ち、第1締結具b1の軸芯方向と、第2締結具b2の軸芯方向と、は互いに異なる。
【0066】
このように、トラクタAは、第2フレーム22の前端部をギヤケース41に締結する第1締結具b1及び第2締結具b2を備えている。尚、本実施形態において、第1締結具b1及び第2締結具b2は、何れも、ボルトである。
【0067】
以上で説明した構成により、第2フレーム22の前端部は、ギヤケース41を介してモータフレーム40に連結されている。即ち、第2フレーム22の前端部は、モータフレーム40に連結されている。
【0068】
図4及び図5に示すように、二つの第4フレーム24は、機体左右方向に並んでいる。各第4フレーム24は、板状の部材であり、縦板部22aに対向する姿勢で設けられている。第2フレーム22は、二つの第4フレーム24の間に挟まれた状態で設けられている。また、図4に示すように、平面視において、伝動装置Tの前部は、二つの第4フレーム24の間に挟まれている。
【0069】
左の第4フレーム24は、左の縦板部22aに、ボルトにより連結されている。右の第4フレーム24は、右の縦板部22aに、ボルトにより連結されている。
【0070】
〔第3フレームについて〕
図2から図4に示すように、機体フレーム2は、二つの第3フレーム23を有している。二つの第3フレーム23は、機体左右方向に並んでいる。各第3フレーム23は、地面に対して垂直姿勢の板状の部材であり、機体前後方向に延びている。
【0071】
左の第3フレーム23は、左の第1フレーム21、左の縦板部22a、左の第4フレーム24よりも機体左側に位置している。左の第3フレーム23は、左の第1フレーム21、左の縦板部22a、左の第4フレーム24に対向する姿勢で設けられている。
【0072】
右の第3フレーム23は、右の第1フレーム21、右の縦板部22a、右の第4フレーム24よりも機体右側に位置している。右の第3フレーム23は、右の第1フレーム21、右の縦板部22a、右の第4フレーム24に対向する姿勢で設けられている。
【0073】
図2に示すように、各第3フレーム23は、側面視で第1フレーム21と縦板部22aと第4フレーム24とに重複する状態で設けられている。そして、左の第3フレーム23は、左の第1フレーム21、左の縦板部22a、左の第4フレーム24に、ボルトにより連結されている。右の第3フレーム23は、右の第1フレーム21、右の縦板部22a、右の第4フレーム24に、ボルトにより連結されている。
【0074】
このように、トラクタAは、側面視で第1フレーム21と第2フレーム22とに重複する状態で設けられると共に、第1フレーム21と第2フレーム22とに連結された第3フレーム23を備えている。
【0075】
〔底板部について〕
図4から図6に示すように、機体フレーム2は、底板部25を有している。底板部25は、水平姿勢の板状の部材である。底板部25は、左の第1フレーム21の下部と、右の第1フレーム21の下部と、に亘る状態で二つの第1フレーム21に連結されている。
【0076】
このように、トラクタAには、左の第1フレーム21の下部と、右の第1フレーム21の下部と、に亘る状態で二つの第1フレーム21に連結された底板部25が設けられている。
【0077】
図4及び図6に示すように、モータMに、複数の電気配線27が接続されている。インバータ14からの交流電力は、電気配線27を介してモータMへ供給される。そして、底板部25よりも上側であり、且つ、二つの第1フレーム21に挟まれた空間に、モータMに接続する電気配線27の少なくとも一部が位置している。尚、電気配線27の全体が当該空間に位置していても良いし、電気配線27の一部のみが当該空間に位置していても良い。
【0078】
図4から図6に示すように、底板部25に点検口25aが設けられている。点検口25aには、蓋部26が、ボルト及びナットにより、着脱可能な状態で取り付けられている。蓋部26は、点検口25aを塞ぐ状態で設けられている。
【0079】
このように、トラクタAは、点検口25aを塞ぐと共に着脱可能な蓋部26を備えている。
【0080】
以上で説明した構成によれば、第1フレーム21と第2フレーム22とが、第3フレーム23を介して連結される。これにより、第3フレーム23を備えておらず、且つ、第2フレーム22の前端部がモータフレーム40に連結されたフレーム構造を有している場合に比べて、第1フレーム21とモータフレーム40との間の連結部分に応力が集中しにくい。
【0081】
従って、以上で説明した構成によれば、比較的簡素な構成で、第1フレーム21とモータフレーム40との間の連結部分への応力集中を抑制できるトラクタAを実現できる。
【0082】
〔その他の実施形態〕
(1)トラクタAは、エンジンを備え、ハイブリッド式に構成されていても良い。
【0083】
(2)第2フレーム22は、モータフレーム40を介することなく、第1フレーム21に直接的に連結されていても良い。
【0084】
(3)第2フレーム22は、ギヤケース41を介することなく、モータフレーム40に直接的に連結されていても良い。
【0085】
(4)第2フレーム22の前端部をギヤケース41に締結する全ての締結具の軸芯方向が同一であっても良い。
【0086】
(5)第1フレーム21の設けられる個数は、一つのみでも良いし、三つ以上でも良い。
【0087】
(6)底板部25よりも上側であり、且つ、二つの第1フレーム21に挟まれた空間の外部に、電気配線27の全体が位置していても良い。
【0088】
(7)点検口25aに蓋部26が取り付けられていなくても良い。
【0089】
(8)第1フレーム21に対する走行用バッテリ4のサイズは、上記実施形態よりも大きくても良いし、小さくても良い。
【0090】
(9)ギヤケース41により収容されるギヤ63の個数は、四つ以下であっても良いし、六つ以上であっても良い。
【0091】
(10)一部または全ての部材の配置が、左右方向に反転していても良い。
【0092】
尚、上述の実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
本発明は、トラクタだけではなく、コンバイン、田植機、建設作業機等の種々の電動作業車に利用可能である。
【符号の説明】
【0094】
3 運転部
4 走行用バッテリ(バッテリ)
10 前車輪(走行装置)
11 後車輪(走行装置)
21 第1フレーム
22 第2フレーム
23 第3フレーム
25 底板部
25a 点検口
26 蓋部
27 電気配線
40 モータフレーム
41 ギヤケース
63 ギヤ
A トラクタ(電動作業車)
M モータ
b1 第1締結具
b2 第2締結具
図1
図2
図3
図4
図5
図6