(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】情報処理装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 16/20 20190101AFI20240607BHJP
【FI】
G06F16/20
(21)【出願番号】P 2021509415
(86)(22)【出願日】2020-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2020012833
(87)【国際公開番号】W WO2020196447
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】P 2019061622
(32)【優先日】2019-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 俊治
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 明子
(72)【発明者】
【氏名】岡村 祐介
(72)【発明者】
【氏名】巾嶋 良幸
【審査官】齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-121836(JP,A)
【文献】特開2003-162212(JP,A)
【文献】特開2002-252686(JP,A)
【文献】特開2005-326907(JP,A)
【文献】特開2019-060870(JP,A)
【文献】特開2013-211722(JP,A)
【文献】特開2006-317254(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0131689(US,A1)
【文献】坂内 祐一、外3名,感性語を媒介にした香りコミュニケーションモデル,情報処理学会論文誌,日本,社団法人情報処理学会,2006年12月15日,第47巻,第12号,p.3414-3422
【文献】佐保田 恵、外2名,アロマテラピーのためのエッセンシャルオイル・データベースを対象とした香りと心理的効果の関連性計量機構,第4回データ工学と情報マネジメントに関するフォーラム論文集 (第10回日本データベース学会年次大会),日本,電子情報通信学会データ工学研究専門委員会 日本デー,2012年07月13日,p.1-8,Internet<URL:http://db-event.jpn.org/deim2012/proceedings/final-pdf/e3-4.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 16/00-16/958
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザが用いた表現の出現履歴に基づいて、出現頻度が閾値を超える
新たな表現を
、物体の識別情報及び当該物体の香り又は味の表現として登録済の表現が記録されたデータベースに追加する新たな表現候補として抽出する抽出部と、
前記抽出され
た表現
候補を、
指定された物体の香り又は
味を意味する表現候補として複数のユーザに提示する提示部と、
前記香り又は
味を意味する表現として
前記提示された新たな表現候補が選択された頻度が決められた条件を満たす場合には、
当該新たな表現候補を、当該
香り又は当該
味と関連する表現と
して前記データベースに登録する登録部と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記抽出部は、ユーザの属性ごとに前記
新たな表現
候補を抽出する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記抽出部は、或る属性に属するユーザが用いた出現頻度が第1の閾値を超える表現であって、且つ、当該或る属性以外の属性に属するユーザが用いた出現頻度が第2の閾値未満である表現を
、前記新たな表現候補として抽出する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記抽出部は、出現頻度を抽出するときの期間として、ユーザの属性に応じた期間を用いて前記抽出を行う
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、出現頻度を抽出するときに用いる前記閾値として、ユーザの属性に応じた閾値を用いて前記抽出を行う
ことを特徴とする請求項2~4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記提示部は、前記抽出部によって
前記新たな表現が抽出されたときの前記属性に属するユーザに対して、
当該抽出され
た表現を
前記表現候補として提示する
ことを特徴とする請求項2~5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記提示部は、前記抽出部によって
前記新たな表現が抽出されたときの前記属性に類似する属性に属するユーザに対して、
当該抽出され
た表現を
前記表現候補として提示する
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記提示部は、抽出された前記表現を提示するときの提示期間又は提示頻度として、提示対象となるユーザの属性ごとに異なる提示期間又は提示頻度を用いる
ことを特徴とする請求項2~7のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記提示部は、前記データベースから、前記指定された物体に対して登録済の表現及び前記抽出された新たな表現を、当該指定された物体の香り又は味を意味する表現候補として複数のユーザに提示する
請求項1~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
コンピュータに、
複数のユーザが用いた表現の出現履歴に基づいて、出現頻度が閾値を超える
新たな表現を
、物体の識別情報及び当該物体の香り又は味の表現として登録済の表現が記録されたデータベースに追加する新たな表現候補として抽出する抽出部と、
前記抽出され
た表現
候補を、
指定された物体の香り又は
味を意味する表現候補として複数のユーザに提示する提示部と、
前記香り又は
味を意味する表現として
前記提示された新たな表現候補が選択された頻度が決められた条件を満たす場合には、
当該新たな表現候補を、当該
香り又は当該
味と関連する表現と
して前記データベースに登録する登録部と
を実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物体の香り又は味を表現するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
香りは人間の感情や行動、記憶を司る大脳辺縁系に働きかけることで様々な効用を人間に与えることが知られている。例えば特許文献1には、香りを嗅いだ被験者に対し、その香りを嗅いだことによって想起された心的事象について質問を提示し、その回答を数値として取得することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、香りを表す表現はおおよそ決まっており、また、その表現が変更されることも少ない。これは、物体の香りに限らず、物体の味についても同様である。
【0005】
そこで、本発明は、嗅覚又は味覚の表現として多数のユーザによって支持され得る表現を新たに見つけられる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、複数のユーザが用いた表現の出現履歴に基づいて、出現頻度が閾値を超える表現を抽出する抽出部と、抽出された前記表現を、嗅覚又は味覚を意味する表現候補として複数のユーザに提示する提示部と、提示された表現が嗅覚又は味覚を意味する表現として選択された頻度が決められた条件を満たす場合には、当該嗅覚又は当該味覚と当該表現とを関連付けて登録する登録部とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
【0007】
前記抽出部は、ユーザの属性ごとに前記表現を抽出するようにしてもよい。
【0008】
前記抽出部は、或る属性に属するユーザが用いた出現頻度が第1の閾値を超える表現であって、且つ、当該或る属性以外の属性に属するユーザが用いた出現頻度が第2の閾値未満である表現を抽出するようにしてもよい。
【0009】
前記抽出部は、出現頻度を抽出するときの期間として、ユーザの属性に応じた期間を用いて前記抽出を行うようにしてもよい。
【0010】
前記抽出部は、出現頻度を抽出するときに用いる前記閾値として、ユーザの属性に応じた閾値を用いて前記抽出を行うようにしてもよい。
【0011】
前記提示部は、前記抽出部によって表現が抽出されたときの前記属性に属するユーザに対して、抽出された当該表現を提示するようにしてもよい。
【0012】
前記提示部は、前記抽出部によって表現が抽出されたときの前記属性に類似する属性に属するユーザに対して、抽出された当該表現を提示するようにしてもよい。
【0013】
前記提示部は、抽出された前記表現を提示するときの提示期間又は提示頻度として、提示対象となるユーザの属性ごとに異なる提示期間又は提示頻度を用いるようにしてもよい。
【0014】
また、本発明は、コンピュータに、複数のユーザが用いた表現の出現履歴に基づいて、出現頻度が閾値を超える表現を抽出する抽出部と、抽出された前記表現を、嗅覚又は味覚を意味する表現候補として複数のユーザに提示する提示部と、提示された表現が嗅覚又は味覚を意味する表現として選択された頻度が決められた条件を満たす場合には、当該嗅覚又は当該味覚と当該表現とを関連付けて登録する登録部とを実現させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、嗅覚又は味覚の表現として多数のユーザによって支持され得る表現を新たに見つけることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理システムの全体構成を例示するブロック図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】情報処理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】情報処理装置が記憶する出現表現データベースの一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置が記憶する頻出表現データベースの一例を示す図である。
【
図6】情報処理装置が記憶する登録表現データベースの一例を示す図である。
【
図7】情報処理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[構成]
まず、本発明の一実施形態に係る情報処理システム1の全体構成について説明する。情報処理システム1は、物体の香りとして多数のユーザによって支持され得る表現であって、且つ、物体の香りを意味するものとしては今までに慣用されていないような新しい表現を見つけるためのシステムである。
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、複数のSNS(Social Networking Service)サーバ装置20と、複数の入
力装置30とを備えている。情報処理装置10、SNSサーバ装置20及び入力装置30は、有線又は無線の通信回線を含むネットワーク40によって通信可能に接続されている。
【0018】
情報処理装置10は、本発明に係る情報処理装置の一例であり、情報処理システム1において中枢的な制御を司る装置である。SNSサーバ装置20は、主としてユーザ同士のコミュニケーションを支援するために、多数のユーザからの投稿やコメント等の情報を蓄積し、ネットワーク40に通信接続する装置に対して公開する装置である。SNSサーバ装置20によって公開される情報には、例えば世の中で頻出している表現や、流行している表現、或いは希少な表現など、様々な表現が含まれている。入力装置30は、例えば香水やアロマオイル、ハーブといった物体の香りをユーザが体験するためのショールームやアンテナショップ等に設けられており、香りを体験したユーザがその香りに合った表現を選択するための装置として機能する。
【0019】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を例示する図である。情報処理装置10は、CPU101(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、補助記憶装置104及び通信IF(Interface)105を有するコンピュータである。CPU101は、各種の演算を行うプロセッサである。ROM102は、例えば情報処理装置10の起動に用いられるプログラム及びデータを記憶した不揮発性メモリである。RAM103は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する揮発性メモリである。補助記憶装置104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置であり、情報処理装置10において用いられるプログラム及びデータを記憶する。CPU101はこのプログラムを実行することにより、後述する機能を実現し、また、後述する動作を実行する。通信IF105は、所定の通信規格に従って通信を行うためのインターフェースである。この通信規格は、有線通信の規格であってもよいし、無線通信の規格であってもよい。なお、情報処理装置10は、
図2に例示した構成以外に、例えば液晶ディスプレイ等の表示装置やキーボード等の操作装置などの、他の構成を含んでいてもよい。
【0020】
図3は、情報処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理装置10は、取得部11、抽出部12、提示部13及び登録部14という機能を実現する。
【0021】
取得部11は、複数のユーザが用いた表現の出現履歴をSNSサーバ装置20からネットワーク40経由で取得する。このとき、取得部11は、その表現を用いたユーザのユーザ属性(例えば年齢・性別・地域・職業・趣味等)を併せて取得できる場合は、表現の出現履歴とともにそのユーザ属性も取得する。SNSサーバ装置20はユーザによって入力されたユーザ属性を記憶している場合があるので、このユーザ属性が公開されている場合には、取得部11はSNSサーバ装置20からユーザ属性を取得する。補助記憶装置104には、取得部11により取得された出現履歴を含む出現履歴データベース(以下、データベースをDBという)が記憶される。
図4に示すように、この出現履歴DBには、SNSサーバ装置20において出現した表現(以下、出現表現という)の出現履歴が含まれており、さらに、その出現履歴に基づいて算出された出現頻度が含まれている。出現履歴及び出現頻度は、出現表現を用いたユーザのユーザ属性ごとに分類されている。なお、ユーザ属性が不明の出現履歴及び出現頻度は、ユーザ属性不明という属性カテゴリに分類される。
図4の例では、「元気」「エモい」「パーティ」「オリンピック」「意識高い」「エコロジー」といった各表現の出現履歴及び出現頻度がユーザ属性ごとに分類されている。
【0022】
抽出部12は、取得部11により取得された出現履歴に基づいて、ユーザ属性ごとにその出現頻度が閾値を超える出現表現を抽出する。抽出部12により抽出された出現表現を、頻出表現という。補助記憶装置104には、抽出部12により抽出された頻出表現を含む頻出抽出DBが記憶される。
図5に示すように、頻出表現DBにおいては、出現頻度が或る期間に或る閾値をはじめて超えた頻出表現がユーザ属性ごとに記録される。
図5の例では、ユーザ属性ID「G001」が割り当てられたユーザ属性に属するユーザ群については「エモい」・・・というような頻出表現が抽出され、ユーザ属性ID「G002」が割り当てられたユーザ属性に属するユーザ群については「意識高い」・・・というような頻出表現が抽出され、ユーザ属性ID「G003」が割り当てられたユーザ属性に属するユーザ群については「エコロジー」・・・というような頻出表現が抽出されている。
【0023】
提示部13は、抽出部12により抽出された頻出表現を、香りを意味する表現候補として、入力装置30を利用するユーザに対して提示する。入力装置30を利用する個々のユーザは、前述したSNSサーバ装置20を利用する個々のユーザとは必ずしも一致しなくてもよい。入力装置30を利用するユーザが、例えば香水やアロマオイル或いはハーブといった、香りを発する物体(以下、サンプルという)の香りを嗅ぐ場合に、提示部13は、抽出部12により抽出された頻出表現を、香りを意味する表現候補として、入力装置30に表示する等の方法で提示する。このとき、提示部13は、頻出表現を抽出したときの分類に用いたユーザ属性と、香りの表現候補としてユーザに提示するときのそのユーザのユーザ属性とを、同一とする。提示部13は、例えば、20代女性というユーザ属性に属するユーザ群について抽出した「エモい」という頻出表現は、同じく20代女性というユーザ属性に属するユーザ群に対して香りを意味する表現候補として提示する。ユーザは、入力装置30において表現候補として提示された頻出表現から、自身が嗅いだ香りに合った表現と思うものを、入力装置30を操作して選択する。
【0024】
登録部14は、入力装置30を利用するユーザに対して提示された頻出表現が、香りを意味する表現としてそのユーザにより選択された頻度が決められた条件を満たす場合には、その香りとその頻出表現とを関連付けて登録する。入力装置30を利用するユーザに提示された頻出表現が、香りを意味する表現として選択された頻度が決められた条件を満たす場合とは、要するに、提示された頻出表現が或る香りを意味する表現として一定数のユーザ群から肯定的評価を得たということである。補助記憶装置104には、登録部14により登録された情報を含む登録表現DBが記憶される。
図6に示すように、登録表現DBにおいては、各々の香りの識別子に相当するサンプルIDと、そのサンプルIDに対応するサンプルの香りに関して選択された頻度が閾値以上の頻出表現が対応付けられている。登録DBに登録された頻出表現を、登録表現という。
図6の例では、サンプルID「ID001」のサンプルについては、登録表現として、「魅惑的…」等の複数のものが登録されており、サンプルID「ID002」のサンプルについては、登録表現として、「すっきり…」等の複数のものが登録されている。なお、この登録表現DBにおいては、従前から香りを意味するものとして慣用されている一般的な表現も、登録表現として予め登録されている。つまり、登録表現DBにおいては、従前から香りを意味するものとして慣用されている一般的な表現に加え、新たに香りを意味するものとして登録部14により登録された表現が追加されるようになっている。
【0025】
[動作]
次に、
図7のフローチャートに沿って、本実施形態の動作を説明する。まず、情報処理装置10の取得部11は、SNSサーバ装置20から多数の表現の出現履歴と、その出現表現を用いたユーザのユーザ属性を併せて取得し、表現とその出現履歴をユーザ属性別に出現表現DB(
図4)に登録する(ステップS11)。
【0026】
次に、取得部11は、取得した出現履歴に基づいてユーザ属性別に出現頻度を算出し、ユーザ属性別に出現表現DB(
図4)に登録する(ステップS12)。
【0027】
次に、情報処理装置10の抽出部12は、出現表現DBの出現頻度に基づいて、ユーザ属性ごとにその出現頻度が閾値を超える頻出表現を抽出し、頻出表現DB(
図5)に登録する(ステップS13)。出現頻度が閾値を超えるとは、例えば過去1ヶ月間において出現回数が或る閾値をはじめて超えるような場合である。具体的には、
図7に示すように、時間T1から時間T2までの期間T2-T1(例えば1か月)において、単位期間(例えば1日)あたりの出現回数が閾値Thをはじめて超えた出現回数カーブR1に対応する表現が抽出される。これに対し、時間T1以前から単位期間あたりの出現回数が閾値Thを超えたことがある出現回数カーブR2に対応する表現や、期間T2-T1において単位期間あたりの出現回数が閾値Thを超えたことがない出現回数カーブR3に対応する表現は抽出されないことになる。ユーザにより好んで用いられる表現の傾向は、そのユーザ属性ごとに異なると考えられる。よって、この抽出処理により、ユーザ属性ごとに流行り始めた頻出表現が抽出されることになる。
【0028】
ところで、様々な香りを試してみたいと考えるユーザは入力装置30の設置場所に赴き、その旨をその設置場所のオペレータに伝える。ユーザ又はオペレータは入力装置30を操作して、ユーザが希望するサンプルのサンプルIDを指定するとともに、そのユーザのユーザ属性を入力する。情報処理装置10の提示部13は、入力装置30から上記サンプルID及びユーザ属性を取得し、登録表現DBにおいて、取得したサンプルIDに対応する登録表現群と、頻出表現DBにおいて、取得したユーザ属性に対応する頻出表現群とを検索し、検索の結果得られた登録表現群及び頻出表現群を、香りを意味する表現候補として入力装置30に送信し、ユーザに提示する(ステップS14)。つまり、ここでは、或るサンプルの香りの表現として既に登録されている登録表現群と、まだサンプルの香りとしては登録されていないがそのユーザと同じユーザ属性のユーザ群において流行り始めている頻出表現群とが、香りを意味する表現候補としてそのユーザに提示されることになる。つまり、提示部13は、抽出部12によって表現が抽出されたときのユーザ属性に属するユーザに対して、抽出部12により抽出された表現を提示することになる。
【0029】
ユーザは、入力装置30において表現候補として提示された登録表現群及び頻出表現群から、自身が嗅いだ香りに合った表現と思うものを、入力装置30を操作して選択する。情報処理装置10の登録部14は、入力装置30からこの選択結果を取得し、ユーザが嗅いだサンプルのサンプルIDと、選択された表現(登録表現又は頻出表現)と、そのユーザのユーザ属性とを対応付けて選択履歴として蓄積する(ステップS15)。
【0030】
登録部14は、入力装置30を利用するユーザに対して提示した登録表現群及び頻出表現群のうち、特に頻出表現がサンプルの香りを意味する表現として選択された頻度が決められた条件を満たす場合には、そのサンプルのサンプルIDとその頻出表現とそのユーザのユーザ属性とを関連付けて、登録表現として登録表現DBに登録する(ステップS16)。頻出表現がサンプルの香りを意味する表現として選択された頻度が決められた条件を満たす場合とは、例えば或るユーザ属性のユーザ群によって或るサンプルについて過去1ヶ月間に選択された回数が閾値を超えるような場合である。例えば、
図5の「エモい」という頻出表現がユーザ属性ID「G001」のユーザ属性のユーザ群によってサンプルID「S001」のサンプルに対して過去1ヶ月間に選択された回数が閾値を超えた場合には、
図6のサンプルID「S001」のサンプル及びユーザ属性ID「G001」のユーザ属性に対応する登録表現として、新たに登録されることになる。
【0031】
このように、世の中で頻出している表現が香りの表現としても適していると一定数のユーザにより評価されたことをもって、登録表現DBに登録されることになる。このようにして登録された登録表現DBの内容は、例えば香りに関する情報として世の中に公表されてもよいし、また、香水やアロマオイル等の商品を製造する者が新しい香りを製造するときやマーケティングを行うときの参考情報として用いられてもよい。
【0032】
以上説明した実施形態によれば、嗅覚の表現として多数のユーザによって支持され得る新しい表現を見つけることが可能となる。
【0033】
[変形例]
本発明は、上述した実施形態に限定されない。上述した実施形態を以下のように変形してもよい。また、以下の2つ以上の変形例を組み合わせて実施してもよい。
【0034】
[変形例1]
本発明は、嗅覚を対象としたものに限らず、味覚を対象としたもの(例えばワイン、日本酒、スパイス、調味料等)にも適用可能である。つまり、実施形態における「香り」を「味」に置き換えて本発明を実施してもよい。
【0035】
[変形例2]
抽出部12は、或る属性に属するユーザが用いた出現頻度が第1の閾値を超える出現表現であって、且つ、当該或る属性以外の属性に属するユーザが用いた出現頻度が第2の閾
値未満である出現表現を抽出するようにしてもよい。これにより、或る属性(例えば10代女性)に属するユーザ群によって頻繁に用いられる表現であって、その属性以外の属性(例えば10代女性以外の属性)に属するユーザ群によっては頻繁に用いられない出現表現、つまり、或る特定の属性のユーザ群においてのみ流行っている頻出表現を抽出することができる。なお、第1の閾値と第2の閾値はどちらが大きくてもよい。
【0036】
[変形例3]
抽出部12は、頻出表現を抽出するときの期間として、ユーザ属性に応じた期間を用いて抽出を行ってもよい。具体的には、
図7に例示した期間T2-T1を、10代女性における当該期間<40代女性における当該期間、というように、流行の表現に敏感だと考えられる10代女性については上記期間を短くしてもよい。
【0037】
[変形例4]
抽出部12は、頻出頻度を抽出するときに用いる閾値として、ユーザ属性に応じた閾値を用いて抽出を行ってもよい。具体的には、
図7に例示した閾値Thを、10代女性における当該閾値Th>40代女性における当該閾値Th、というように、流行の表現に敏感だと考えられる10代女性については上記閾値を大きくしてもよい。
【0038】
[変形例5]
実施形態において、提示部13は、抽出部12によって頻出表現が抽出されたときのユーザ属性と同じユーザ属性に属するユーザに対して、抽出された頻出表現を提示していた(例えば前者が20代女性なら、後者も20代女性)。頻出表現の提示方法はこれに限定されず、提示部13は、抽出部12によって頻出表現が抽出されたときのユーザ属性と類似するユーザ属性に属するユーザに対して、抽出された頻出表現を提示してもよい(前者が20代女性なら、後者は10代女性又は30代女性)。どのユーザ属性とどのユーザ属性とが類似しているかは予め決めていてもよいし、同一の頻出表現が抽出される割合に応じて決めてもよい。例えば或る頻出表現が抽出される割合が閾値以上のユーザ属性が複数ある場合には、それらのユーザ属性は類似すると判断すればよい。
【0039】
[変形例6]
提示部13がユーザに対して頻出表現を提示する提示期間や提示する提示頻度は、ユーザ属性ごとに異なっていてもよい。例えば流行の表現に敏感だと考えられる10代女性に対しては、提示期間が短く又は提示頻度が多いといった具合である。つまり、提示部13は、抽出された頻出表現を提示するときの提示期間又は提示頻度として、提示対象となるユーザの属性ごとに異なる提示期間又は提示頻度を用いるようにしてもよい。
【0040】
[変形例7]
実施形態で例示した頻出表現の抽出条件や登録表現の登録条件は、実施形態の例示に限定されない。要するに、頻出表現の抽出条件は、ユーザが用いる表現として用いられる頻度が多いことに相当する条件であればよい。また、登録表現の登録条件は、ユーザに提示された頻出表現が或る香りを意味する表現として一定の肯定的評価を得たことに相当する条件であればよい。
【0041】
[変形例8]
本発明は、情報処理装置10において行われる処理のステップを備える情報処理方法として提供されてもよい。また、本発明は、情報処理装置10において実行されるプログラムとして提供されてもよい。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等のネットワークを介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されたりすることが可能である。
【0042】
以上、本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【符号の説明】
【0043】
1…情報処理システム、10…情報処理装置、20…SNSサーバS装置、30…入力装置、40…ネットワーク、101…CPU、102…ROM、103…RAM、104…補助記憶装置、105…通信IF、11…取得部、12…抽出部、13…提示部、14…登録部。