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特許7499766細胞内作用性毒素、細胞内のウイルス及び細菌に対する保護活性を示す新たなジヒドロキナゾリノン
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  • 特許-細胞内作用性毒素、細胞内のウイルス及び細菌に対する保護活性を示す新たなジヒドロキナゾリノン 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】細胞内作用性毒素、細胞内のウイルス及び細菌に対する保護活性を示す新たなジヒドロキナゾリノン
(51)【国際特許分類】
   C07D 417/14 20060101AFI20240607BHJP
   A61K 47/60 20170101ALI20240607BHJP
   A61K 31/517 20060101ALI20240607BHJP
   A61K 31/77 20060101ALI20240607BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20240607BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240607BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240607BHJP
   A61P 31/22 20060101ALI20240607BHJP
   A61K 47/59 20170101ALI20240607BHJP
【FI】
C07D417/14 CSP
A61K47/60
A61K31/517
A61K31/77
A61P31/04
A61P31/12
A61P31/16
A61P31/22
A61K47/59
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2021529488
(86)(22)【出願日】2019-11-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-28
(86)【国際出願番号】 EP2019082976
(87)【国際公開番号】W WO2020109510
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-07
(31)【優先権主張番号】1872016
(32)【優先日】2018-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】506423291
【氏名又は名称】コミサリア ア レネルジィ アトミーク エ オ ゼネ ルジイ アルテアナティーフ
【氏名又は名称原語表記】COMMISSARIAT A L’ENERGIE ATOMIQUE ET AUX ENERGIES ALTERNATIVES
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】サントラ ジャン-クリストフ
(72)【発明者】
【氏名】バルビエ ジュリアン
(72)【発明者】
【氏名】ジレ ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】プリュヴォ アラン
(72)【発明者】
【氏名】クエエール オドレイ
(72)【発明者】
【氏名】テプシ リヴィア
(72)【発明者】
【氏名】ヴァンク ロバン
【審査官】高森 ひとみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0291568(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0250788(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0166517(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0171387(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0179164(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0311815(US,A1)
【文献】国際公開第2018/017853(WO,A1)
【文献】Bouley, Renee; et.al.,Structure-Activity Relationship for the 4(3H)-Quinazolinone Antibacterials,Journal of Medicinal Chemistry,2016年,Vol.59, No.10,pp.5011-5021,DOI: 10.1021/acs.jmedchem.6b00372
【文献】Alafeefy, Ahmed M.; et.al,Synthesis of some new substituted iodoquinazoline derivatives and their antimicrobial screening,Journal of Saudi Chemical Society ,2011年,Vol.15, No.4,pp.319-325,DOI:10.1016/j.jscs.2011.07.005
【文献】Tiwari, Ravi; et.al.,Evaluation of antibacterial activity of novel quinazoline derivatives,Asian Journal of Chemistry,2010年,Vol.22, No.8,pp.5981-5986
【文献】Noel, Romain; et.al.,N-Methyldihydroquinazolinone Derivatives of Retro-2 with Enhanced Efficacy against Shiga Toxin,Journal of Medicinal Chemistry,2013年,Vol.56, No.8,pp.3404-3413,DOI:10.1021/jm4002346
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】
(式中、
pは、1、2又は3に等しく、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、O-C ~C アルキル基、-NO又は-NHを表し、
及びRは、互いに独立して、水素原子、-OH、-OR、-NH、-NHR、-SO-NH ら選択される基を表し、ただし、R及びRの少なくとも一方は水素原子ではなく、
及び 、互いに独立して、式(II)-L-(X)-(PEG)-(Y)-Zの基を表し、式中、
i及びjは、互いに独立して、0又は1を表し、
Lは、-C(=O)-又は-C(=O)-(CH-C(=O)-を表し、ここで、kは、1、2又は3であり、
X及びYは、互いに独立して、ポリ(乳酸)又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)を表し、
PEGは、ポリ(エチレングリコール)を表し、
Zは、水素原子、C~Cアルキル、-OH、O-C~Cアルキル、又は-L-Rから選択される基を表し、ここで、Lは、上に定義される通りであり、Rは、上に定義される前記-L-(X)-(PEG)-(Y)-基に、そのR基又はR基を介して連結された式(I)の残基であり、前記R基又はR基は、-OH又は-NH ある)の化合物、並びに立体異性体、立体異性体の混合物、又はそれらの薬学的に許容可能な塩。
【請求項2】
のO-C ~C アルキル基がメトキシ基を表す、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項3】
kが2である、請求項1又は2に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項4】
が水素原子を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項5】
が水素原子を表す、請求項1~4のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項6】
pが1に等しい、請求項1~のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項7】
がハロゲン原子を表す、請求項1~のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項8】
がフッ素原子を表す、請求項1~7のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項9】
下記式(Ia):
【化2】
の化合物である、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項10】
【化3】
及び
から選択される、請求項1に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項11】
RがPLGA 1036 -PEG 1450 -PLGA 1036 を表す、請求項10に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項12】
逆行輸送を使用する細胞内作用性毒素によって、又は逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用して細胞に感染するウイルス若しくは細菌によって、又は細胞内寄生体によって誘発される障害の予防及び/又は治療に使用される、請求項1~11のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項13】
逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用してエンドサイトーシスによって細胞に侵入するウイルス若しくは細菌によって誘発される障害の予防及び/又は治療に使用される、請求項12に記載の一般式(I)の化合物。
【請求項14】
前記細胞内作用性毒素が、リシン、シゲラ・ディセンテリアエ(Stx)及び大腸菌(Stx1及びStx2)によって産生される志賀毒素及び志賀毒素様毒素(Stxs)、コレラ毒素(コレラの原因となるビブリオ・コレラエ由来のCtx)、百日咳菌毒素(百日咳のボルデテラ・パーツシスの作用物質)、スブチラーゼ細胞毒素及び易熱性エンテロトキシン(大腸菌)から選択されることを特徴とする、請求項12又は13に記載の使用のための化合物。
【請求項15】
前記ウイルスが、ポックスウイルス、サイトメガロウイルス、アデノ随伴ウイルス、ポリオーマウイルス、パピローマウイルス、フィロウイルス、エンテロウイルス、ヘルペスウイルス、アレナウイルス属のウイルス、インフルエンザウイルス、ニューモウイルスである、請求項12~14のいずれか一項に記載の使用のための化合物。
【請求項16】
前記ポックスウイルスが、天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、ワクシニアウイルス及びレポリポックスウイルスから選択される、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項17】
前記レポリポックスウイルスが、粘液腫症ウイルスである、請求項16に記載の使用のための化合物。
【請求項18】
前記アデノ随伴ウイルスが、血清型2である、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項19】
前記ポリオーマウイルスが、ポリオーマウイルスJC及びポリオーマウイルスBKから選択される、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項20】
前記フィロウイルスが、エボラウイルス及びマールブルグウイルスから選択される、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項21】
前記エンテロウイルスが、エンテロウイルス71である、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項22】
前記ヘルペスウイルスが、単純ヘルペスウイルス2型である、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項23】
前記アレナウイルス属のウイルスが、リンパ球性脈絡髄膜炎ウイルスである、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項24】
前記インフルエンザウイルスが、インフルエンザウイルスAである、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項25】
前記ニューモウイルスが、呼吸器合胞体ウイルスである、請求項15に記載の使用のための化合物。
【請求項26】
有効成分として少なくとも1つの請求項1~11のいずれか一項に記載の一般式(I)の化合物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物又は薬剤。
【請求項27】
空中、経口、非経口又は局所の経路による投与に適合される、請求項26に記載の医薬組成物又は薬剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、逆行輸送を使用して細胞を毒する(intoxicate)、リシン、志賀毒素及びコレラ毒素等の細胞内作用性毒素、又は逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用して細胞に感染するウイルス若しくは細菌(エンドサイトーシスによって細胞に侵入するウイルス又は細菌を含む)、又は細胞内寄生体の毒作用の阻害物質としての2,3-ジヒドロキナゾリン-4(1H)-オンの新たな化合物群及びそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
逆行輸送を使用する細胞内作用性毒素は、重大な公衆衛生上のリスクとなり、その中には毎年世界中での100万人超の死亡に関連するものもある。これらの毒素は、特に、リシン(植物のリシヌス・コムニス(Ricinus communis:トウゴマ)の種子で産生される)、シゲラ・ディセンテリアエ(Shigella dysenteriae:志賀赤痢菌)(Stx)及び大腸菌(E. coli)(Stx1及びStx2)によって産生される志賀毒素及び志賀毒素様毒素(Stxs)、コレラ毒素(コレラの原因となるビブリオ・コレラエ(Vibrio cholerae:コレラ菌)由来のCtx)、百日咳毒素(百日咳のボルデテラ・パーツシス(Bordetella pertussis:百日咳菌)の作用物質)、スブチラーゼ細胞毒素及び易熱性エンテロトキシン(大腸菌)を含む。
【0003】
リシンは、ジスルフィド架橋によって接続された2つのポリペプチド鎖で構成される66kDaの糖タンパク質である(図1A)。B鎖(RTB、262残基レクチン)により、毒素が細胞膜の糖脂質及び糖タンパク質に結合し、細胞への侵入を確実にする(図1A)。A鎖(RTA、267アミノ酸)は、リシンのN-グリコシダーゼ酵素機能を保証し、標的細胞の28S RNAからの4324アデニンの除去を触媒し、タンパク質の合成を停止させる。
【0004】
志賀毒素は、シゲラ・ディセンテリアエによって産生される志賀毒素(Stx)と、大腸菌の腸管出血性株によって産生される志賀毒素様毒素1(Stx1)及び志賀毒素様毒素2(Stx2)とを含む。Stx及びStx1の毒素は99%同一であるが、Stx1及びStx2は、それらのアミノ酸配列の同一性を56%しか共有しない。毒素のAサブユニット(StxA)は、リシンと同じ酵素活性を持ち、同様に28S RNAを標的とする(図1B)。五量体であるBサブユニット(StxB)は、グロボトリアオシルセラミドGb3との相互作用を介して毒素を細胞に結合させることで、その内部移行及び細胞内経路を確保する。
【0005】
リシンは、膜受容体に結合した後、複数のエンドサイトーシス経路を介してこれらの細胞に内部移行し、トランスゴルジ網(trans-golgiate network)に到達して、そこで逆行輸送によって小胞体(ER)に送達される(非特許文献1)。志賀毒素は、独自のエンドサイトーシス経路によって内部移行し、ゴルジ装置に到達して、次いで小胞体にも到達する(同書)。
【0006】
その後、毒素は部分的に展開され、鎖/サブユニットAが細胞質ゾルに移動する(非特許文献2)。したがって、これらの毒素の作用の最終段階は細胞の細胞質で起こり、毒素はリボソームに非常に効率的に結合し、リボソームのサブユニット60Sの28S RNAのアデニン4324を切断する。この28S RNAの脱プリン化により、タンパク質合成が停止し、細胞死につながる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【文献】Johannes, L. et al., Cell 2008, 135, 1175-87
【文献】Lord, J.M. et al., Biochemical Society Transactions 2003, 31, 1260
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの毒素によってもたらされる脅威に対抗するために、幾つかのタイプの抗毒素、すなわち中和抗体、酵素活性の阻害物質(小分子、基質アナログ)、可溶性受容体模倣物、及び毒素によって標的とされる細胞に作用する化学化合物が開発された。
【0009】
近年、細胞内作用性毒素の細胞内経路を遮断する新たな分子の探索が加速している。これらの分子は逆行経路を使用する種々の毒素から細胞を効果的に保護することができるため、かかる分子の主な利点はそれらの広域スペクトル活性である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
逆行輸送を遮断する化合物に関する研究、特に上に言及される研究のものよりも有利な化合物に関する研究に関連して、本出願人は、予想外にも、既に説明されている分子の中で最も活性であるRetro-2.1よりも優れた生物学的活性を示し、したがって、哺乳動物の真核細胞に感染するために逆行輸送を使用する、少なくとも1種の細胞内作用性毒素による中毒の予防及び/又は治療のみならず、逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用して細胞に感染するウイルス若しくは細菌、特にエンドサイトーシスによって細胞に侵入するウイルス若しくは細菌、又は細胞内寄生体による感染の予防及び/又は治療にも非常に興味深い、オルト位又はメタ位に特異的に置換されたフェニルを持つ、2,3-ジヒドロキナゾリン-4(1H)-オンに由来する新たな化合物群を特定した。
【0011】
したがって、本発明は、一般式(I):
【化1】
(式中、
pは、1、2又は3に等しく、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~3のアルコキシラジカル、特にメトキシ基、-NO又は-NHを表し、
及びRは、互いに独立して、H、-OH、-OR、-NH、-NHR、-SO-NH、-SO-NH-Rから選択される基を表し、ただし、R及びRの少なくとも一方はHではなく、
、R及びRは、互いに独立して、式(II)-L-(X)-(PEG)-(Y)-Zの基を表し、式中、
i及びjは、互いに独立して0又は1を表し、
Lは、-C(=O)-又は-C(=O)-(CH-C(=O)-を表し、ここで、kは、1、2又は3、特に2に等しく、
X及びYは、互いに独立して、ポリ(乳酸)又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)を表し、
PEGは、ポリ(エチレングリコール)を表し、
Zは、H、C~Cアルキル、-OH、O-C~Cアルキル、又は-L-Rから選択される基を表し、ここで、Lは、上に定義される通りであり、Rは、上に定義される上記-L-(X)-(PEG)-(Y)-基に、そのR基又はR基を介して連結された式(I)の残基であり、上記R基又はR基は-OH、-NH又は-SO-NHである)の化合物、並びに立体異性体、立体異性体の混合物、又はそれらの薬学的に許容可能な塩に関する。
【0012】
本発明はまた、一般式(I):
【化2】
(式中、
pは、1、2又は3に等しく、
は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数1~3のアルコキシラジカル、特にメトキシ基を表し、
及びRは、互いに独立して、H、-OH、-NH、-SO-NHから選択される基を表し、ただし、R及びRの少なくとも一方はHではない)の化合物、並びに立体異性体、立体異性体の混合物、又はそれらの薬学的に許容可能な塩に関する。
【0013】
或る実施の形態によれば、Rは、-OH、-NH、-SO-NHから選択される基を表し、Rは、H、-OH、-NH、-SO-NHから選択される基を表す。
【0014】
或る実施の形態によれば、Rは水素原子を表す。本発明による一般式(I)の化合物は、下記式:
【化3】
のものである。
【0015】
或る実施の形態によれば、Rは水素原子を表す。また、本発明による一般式(I)の化合物は、下記式:
【化4】
のものである。
【0016】
或る実施の形態によれば、R及びRは、互いに独立して、-OH、-NH、-SO-NHから選択される基を表し、特にR及びRは-OHを表す。
【0017】
或る実施の形態によれば、pは1に等しい。
【0018】
或る実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、下記式:
【化5】
のものであり、R、R及びRは上に定義される通りであり、R及びRは、特に、互いに独立して、-OH、-NH、-SO-NHから選択される基を表し、R及びRは、例えば-OHを表す。
【0019】
特定の実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、下記式:
【化6】
のものである。
【0020】
特定の実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、下記式:
【化7】
のものである。
【0021】
或る実施の形態によれば、Rはハロゲン原子、特にフッ素原子を表す。
【0022】
特定の実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、下記式(Ia):
【化8】
のものである。
【0023】
或る実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、下記式(Ib):
【化9】
のものである。
【0024】
或る実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、
【化10】
から選択される。
【0025】
或る実施の形態によれば、本発明は、R及びRが、互いに独立して、H、-OH、-OR、-NH、-NHR、-SO-NH、-SO-NH-Rから選択される基を表し、ただし、R及びRの少なくとも一方、特にRは、-OR、-NHR及び-SO-NH-Rから選択される基を表し、R、R及びRは、上に定義される通りである、一般式(I)の化合物に関する。
【0026】
式(II)-L-(X)-(PEG)-(Y)-Zの基に関して、R又はRが-NHR又は-SO-NH-R表す場合、Lは特に-C(=O)-を表し、R又はRが-ORを表す場合、Lは特に-C(=O)-(CH-C(=O)-を表す。
【0027】
或る実施の形態によれば、式(II)-L-(X)-(PEG)-(Y)-Zの基は、-L-PEG、-L-PEG-PLA、及び-L-PLGA-PEG-PLGAから選択され、Lは、R若しくはRが-NHR若しくは-SO-NH-Rを表す場合、特に-C(=O)-を表し、又はR若しくはRが-ORを表す場合、特に-C(=O)-(CH-C(=O)-を表す。
【0028】
或る実施の形態によれば、式(II)-L-(X)-(PEG)-(Y)-Zの基は、特にR又はRが-NHR又は-SO-NH-Rを表す場合、-C(=O)-(CH-CH-O)-CH、及び特にR又はRが-ORを表す場合、-C(=O)-(CH-C(=O)-(O-CH-CH-OCHから選択され、mは1~500、例えば4~500に含まれ、mは特に30~60に含まれ、より詳しくは45である。
【0029】
或る実施の形態によれば、一般式(I)の化合物は、下記式(III):
【化11】
のものであり、式(III)で言及される基は、上に定義される通りである。
【0030】
或る実施の形態によれば、本発明による一般式(I)の化合物は、
【化12】
及び(化合物2)-PLGA1036-PEG1450-PLGA1036-(化合物2)又は(化合物2)-C(=O)-(CH-C(=O)-PLGA1036-PEG1450-PLGA1036-C(=O)-(CH-C(=O)-(化合物2)
から選択され、特に下記式:
【化13】
のものである。
【0031】
別の態様によれば、本発明は、有効成分として上に定義される少なくとも1つの一般式(I)の化合物と、薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物又は薬剤であって、特に、空中(aerial)、経口、非経口又は局所の経路による投与に好適である、医薬組成物又は薬剤に関する。
【0032】
また、一般式(I)の化合物の上に言及される実施の形態はいずれも、本明細書において、単独で又は組み合わせて適用されることに留意されたい。
【0033】
別の態様によれば、本発明は、逆行輸送を使用する細胞内作用性毒素によって、又は逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用して細胞に感染するウイルス若しくは細菌、特にエンドサイトーシスによって細胞に侵入するウイルス若しくは細菌によって、又は細胞内寄生体によって誘発される障害の予防及び/又は治療に使用される、上に定義される一般式(I)の化合物に関する。
【0034】
また、一般式(I)の化合物の上に言及される実施の形態はいずれも、本発明において、単独で又は組み合わせて適用されることに留意されたい。
【0035】
或る実施の形態によれば、本発明は、逆行輸送を使用する細胞内作用性毒素によって誘発される障害の予防及び/又は治療に使用される、上に定義される一般式(I)の化合物に関する。
【0036】
特定の実施の形態によれば、逆行輸送を使用する上記細胞内作用性毒素は、リシン、シゲラ・ディセンテリアエ(Stx)及び大腸菌(例えば、Melton-Celsa, Microbiol Spectr. 2014; 2(2))によって記載される、Stx1及びStx2、Stx、Stx1a、Stx2a、Stx2c、Stx2d、Stx2e)によって産生される志賀毒素及び志賀毒素様毒素(Stxs)、コレラ毒素(コレラの原因となるビブリオ・コレラエ由来のCtx)、百日咳毒素(百日咳のボルデテラ・パーツシスの作用物質)、スブチラーゼ細胞毒素及び易熱性エンテロトキシン(大腸菌)から選択される。
【0037】
或る実施の形態によれば、本発明は、逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用して細胞に感染するウイルス若しくは細菌、特にエンドサイトーシスによって細胞に侵入するウイルス若しくは細菌、又は細胞内寄生体によって誘発される障害の予防及び/又は治療に使用される、上に定義される一般式(I)の化合物に関する。
【0038】
特定の実施の形態によれば、ウイルスは、ポックスウイルス、特に天然痘ウイルス及びワクシニアウイルス、サイトメガロウイルス、アデノウイルス、特にアデノ随伴ウイルス、特に血清型2、ポリオーマウイルス、特にJCポリオーマウイルス及びBKポリオーマウイルス、パピローマウイルス、フィロウイルス、特にエボラウイルス及びマールブルグウイルス、エンテロウイルス、特にエンテロウイルス71、ヘルペスウイルス、特に単純ヘルペスウイルス2型、アレナウイルス属のウイルス、特にリンパ球性脈絡髄膜炎のウイルス、インフルエンザウイルス、特にインフルエンザウイルスAである。
【0039】
特定の実施の形態によれば、ウイルスは、ポックスウイルス、特に天然痘ウイルス、サル痘ウイルス、ワクシニアウイルス及びレポリポックスウイルス、特に粘液腫症ウイルス(myxomatosis virus)、サイトメガロウイルス、アデノ随伴ウイルス、特に血清型2、ポリオーマウイルス、特にJCポリオーマウイルス及びBKポリオーマウイルス、パピローマウイルス、フィロウイルス、特にエボラウイルス及びマールブルグウイルス、エンテロウイルス、特にエンテロウイルス71、ヘルペスウイルス、特に単純ヘルペスウイルス2型、アレナウイルス属のウイルス、特にリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス、インフルエンザウイルス、特にインフルエンザウイルスA、ニューモウイルス、特に呼吸器合胞体ウイルスである。
【0040】
特定の実施の形態によれば、細菌は、クラミジア目、特にクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)、クラミドフィラ・ニューモニエ(Chlamydophila pneumoniae)、クラミドフィラ・プシッタシ(Chlamydophila psyttaci)等のクラミジア属、又はシムカニア・ネゲベンシス等のシムカニア属の細菌である。
【0041】
特定の実施の形態によれば、細胞内寄生体によって誘発される障害は、リーシュマニア症、特にリーシュマニア属のトリパノソーマ、特にリーシュマニア・インファンタム(Leishmania infantum)、リーシュマニア・ドノバニ(Leishmania donovani)又はリーシュマニア・インファンタム/ドノバニハイブリッドによって誘発されるリーシュマニア症である。
【0042】
本発明はまた、逆行輸送を使用する細胞内作用性毒素によって誘発される障害を予防及び/又は治療する方法に関し、有効量の少なくとも1つの上に定義される一般式(I)の化合物を投与することを含む。
【0043】
また、一般式(I)の化合物に対して上に言及される実施の形態はいずれも、本明細書において、単独で又は組み合わせて適用されることに留意されたい。
【0044】
合成
本発明の化合物は、以下に記載されるものを含むがこれらに限定されない、当業者によく知られている方法によって、又は有機合成の当業者に知られている標準的な手法を適用することによるかかる方法の変法によって調製され得る。適切な変更及び置換は、当業者によく知られており、容易に明らかであり、又は科学文献から容易に利用可能である。特に、かかる方法はR.C. Larock, Comprehensive Organic Transformations, Wiley-VCH Publishers, 1999において見出すことができる。
【0045】
本発明に関連して開示される全てのプロセスは、ミリグラム、グラム、マルチグラム、キログラム、マルチキログラム、又は商業的工業尺度を含む任意の尺度で実施されることが企図される。
【0046】
本発明の化合物は、非対照置換された炭素原子を含むことができ、光学活性体又はラセミ体で単離され得ることに留意すべきである。したがって、具体的な立体化学又は異性体の形態が特に示されない限り、構造の全てのキラル体、ジアステレオマー体、ラセミ体、異性体が企図される。かかる光学活性体を調製し、単離することはよく知られている。例えば、立体異性体の混合物は、限定されるものではないが、ラセミ体の分割、従来のクロマトグラフィー(逆相及びキラル)、優先的塩形成、再結晶等を含む標準的な手法によって、又はキラル原料からのキラル合成によって、又は標的キラル中心の意図的な合成によって分離され得る。
【0047】
本発明の化合物を、様々な合成経路により製造することができる。
【0048】
以下に説明する反応では、反応性官能基、例えばヒドロキシ基、アミノ基、又はチオ基が最終生成物に存在する場合、それらが二次的な望ましくない反応に関与しないよう、これらを保護する必要がある場合がある。従来の保護基を、慣例に従って使用することができ、例えば、T.W. Greene and P. G. M. Wuts in Protective Groups in Organic Chemistry, 3rd ed., John Wiley and Sons, 1999;J. F. W. McOmie in Protective Groups in Organic Chemistry, Plenum Press, 1973を参照されたい。
【0049】
反応性化合物及び出発化合物は市販されているか、又は当業者によく知られた手法によって容易に合成される。特に明記しない限り、全ての置換基は上に定義される通りである。
【0050】
一般式(I)の化合物を、下記反応に従って得ることができる。
【化14】
【0051】
この反応は、特に有機溶媒中で行うことができる。
【0052】
或る実施の形態によれば、3つの出発化合物は、有機溶媒、特に酢酸中で混合される。
【0053】
或る実施の形態によれば、有機溶媒は、特に還流又はマイクロ波照射下で、例えば100℃~180℃、特に110℃~140℃、より詳しくは120℃~130℃の間の温度に加熱される。
【0054】
加熱時間は、10分~6時間、例えば30分~5時間、特に1時間~4時間、より詳しくは2時間~3時間である。
【0055】
及びpは、上に定義される通りである。
【0056】
’及びR’は、それぞれ基R及びRに対応するか、又はアドホック保護基に対応する。
【0057】
或る実施の形態によれば、R’及びR’は、互いに独立して、H、-OH、-NO、-SO-NHから選択される基を表し、ただし、R及びRの少なくとも一方はHではない。
【0058】
特定の実施の形態によれば、R’及び/又はR’が-NOを表す場合には、R’及び/又はR’は、特に当業者によく知られている手法の1つ、例えば、酢酸と接触した亜鉛の作用によって、R及び/又はR=-NHへと変換される。
【0059】
定義
この明細書で使用される場合、「約」という用語は、特定の値の±10%の値の範囲を指す。例えば、「約120mg」という用語は、120mg±10%の値、すなわち108mg~132mgの値を含む。
【0060】
この明細書で使用される場合、パーセンテージは、特に明記しない限り、製剤の総重量の重量パーセントを指す。
【0061】
本明細書で使用される場合、「x~y」又は「xからyまで」又は「xとyの間」の形式の値の範囲は、境界値x及びy、並びにこれらの境界値の間の整数を含む。例えば、「1~5」又は「1から5」又は「1と5の間」は、1、2、3、4、及び5の整数を指す。好ましい実施の形態は、値の範囲内の個々の各整数、及びそれらの整数の任意のサブコンビネーションを含む。例えば、「1~5」の好ましい値は、整数1、2、3、4、5、1~2、1~3、1~4、1~5、2~3、2~4、2~5等を含み得る。
【0062】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な塩」という用語は、合理的な医学的判断の範囲内において、妥当なベネフィット/リスク比にみあった、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又はその他の問題のある合併症を伴わない、ヒト及び動物の組織との接触に適した塩を指す。
【0063】
一般式(I)の化合物の薬学的に許容可能な塩は、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩又は重硫酸塩、リン酸塩又はリン酸水素塩、酢酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、メタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、及びパラトルエンスルホン酸塩を意味する。
【0064】
ハロゲン原子は、元素周期表の第VII族の化学元素、特にフッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味する。
【0065】
炭素数1~3又は4のアルキルラジカルという用語は、直鎖又は分岐状の炭化水素(hydrogencarbon)ラジカルを指し、例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル又はtert-ブチルが挙げられる。
【0066】
「PEG」又は「ポリ(エチレングリコール)」又は「ポリエチレングリコール」とは、特に-(CH-CH-O)-基を意味し、任意にH、C~Cアルキル又は-(-O-CH-CH-基から選択される基を終端とし、任意にH、-OH及びO-C~Cアルキルから選択される基を終端とし、mは1~500、特に4~500から選択され、30~60を含む。
【0067】
PEGの平均モル質量は、特に、名称の後の「PEG」という用語の後に、例えば、PEG-1450(1450g・mol-1)と示すことができる。
【0068】
「PLA」又は「ポリ(乳酸)」又は「ポリ乳酸」とは、特に-(C(=O)-CH(CH)-O)-基を意味し、任意にH、C~Cアルキル又は-(-O-CH(CH)-(C(=O))-基から選択される基を終端とし、任意に-OH及びO-C~Cアルキルから選択される基を終端とし、pは1~2000、特に5~500、特に10~50から選択される。
【0069】
PLAの平均モル質量は、特に、名称の後の「PLA」という用語の後に、例えば、PLA-1036(1036g・mol-1)と示すことができる。
【0070】
「PLGA」又は「PLG」とは、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)、特に、任意にH、C~Cアルキルから選択される基を終端とする-((C(=O)-CH(CH)-O)-(C(=O)-CH-O)-基、又は任意に-OH及びO-C~Cアルキルから選択される基を終端とする-((O-CH-C(=O))-(O-CH(CH)-C(=O))-基を意味し、p、q及びrは、PLGAポリマーがランダム(statistical)又はブロック、特にランダムであるようなものであり、特に、例えば名称の後の「PLGA」という用語の後に示されるPLGAの平均モル質量は、200g・mol-1~4000g・mol-1、特に800g・mol-1~1200g・mol-1であるようなものである。p、q及びrは、特にPLGA中の乳酸のモルパーセントが約20%であるようなものである。特に、p、q及びrは、PLGAが12個の乳酸単位及び3個のグリコール酸単位からなるようなものである。
【図面の簡単な説明】
【0071】
図1】リシン(A、結晶構造データベースでの名称はpdb 2AAIである)及びStx2(B、pdb 1R4P)の結晶構造を示す図である。
図2】実験部で実施した細胞アッセイの模式図である。
図3】実施例の第II部で実施されたIC50の計算方法を示す図であり、毒性曲線は、阻害物質の不在下(対照)、次いで種々の濃度の阻害物質の存在下で実施される。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0072】
I.本発明による化合物の合成
合成に使用される全ての化学物質及び溶媒は反応性グレードのものであり、更に精製することなく使用した。CHClを使用前に水素化カルシウムで蒸留した。ガラス器具を真空下で火炎乾燥し、窒素下で室温まで冷却した。全ての反応を乾燥窒素下で行い、TLCによってモニターした。
【0073】
特に、精製を、UV-vis検出器及びRediSepカラムを備えたCombiFlash(登録商標)で行った。試料をセライト又はシリカに吸着させ、固体を満たしたカートリッジに充填した。特に、酢酸エチル/シクロヘキサン又はメタノール/ジクロロメタンの勾配を使用した。特に254nmでの検出に基づいて画分を収集した。
【0074】
HPLC-MSによる分析及び精製を、Watersシステム(バイナリ勾配モジュール2525、インラインデガッサー、サンプルマネージャー2767、フォトダイオードアレイ検出器2996)を溶媒勾配用のバイナリシステムと共に使用して行った。具体的には、溶離液は、(99.9%水/0.1%HCOOH)及び(99.9%MeCN/0.1%HCOOH)又は(99.9%水/0.1%HCOOH)及び(99.9%MeOH/0.1%HCOOH)の勾配であった。各化合物を、HO/MeCN又はHO/MeOH95:5で平衡化した100mm×4.6mm(5mm)Zorbax SB-C18カラムに沈着させた。
【0075】
このシステムを、例えば、ZQ2000四重極型分析装置を備えたWaters Micromass ZQシステムにつないだ。イオン化をエレクトロスプレーによって行い、他のパラメータは次の通りであった:ソース温度120℃、コーン電圧20V、及び毎分0.3mLの流量での連続試料注入。m/z100~2000の範囲で陽及び陰イオンモードで質量スペクトルを記録し、Mass Lynx 4.0ソフトウェアで処理した。
【0076】
赤外線スペクトルを、特にUATR Two(Perkin Elmer)、Diamond/ZnSe(1回の反射)を装備したSpectrum Twoで記録した。
【0077】
NMR分析を、特にBruker Avance 400 Ultrashield分光計で実施した。1H-NMR及び13Cスペクトルを、室温でそれぞれ400MHz及び100MHzで記録し、試料をおよそ5mMの濃度でDMSO-d6又はCDClに溶解した。DMSOシングレットシグナルを2.50ppmに設定した。化学シフトはppmで、結合定数はHzで与えられる。スペクトルデータは、関連する構造と一致する。
【0078】
化合物1の調製
ニトロ前駆物質1’の合成
【化15】
【0079】
【表1】
【0080】
混合物をマイクロ波照射下、120℃で3時間撹拌した。残留物をEtOAcに溶解し、NaHCOの飽和溶液(3回)、ブライン(2回)及び水(1回)で連続して洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物を、シクロヘキサン/EtOAc:9/1→1/1の混合物で溶出するクロマトグラフィー(固体析出)により精製した(収率:62%)。
【0081】
化合物1の合成
【化16】
【0082】
【表2】
【0083】
混合物を光から保護しながら室温で一晩撹拌した。
【0084】
得られた残留物を、シクロヘキサン/EtOAc:95/5→0/1の混合物で溶出するクロマトグラフィー(固体析出)により精製し、次いで最少量のEtOAcに溶解して、ペンタンを加えて再沈殿させた(収率:63%)。
【0085】
1H NMR (CDCl3): 2.69 (s, 3H); 2.91 (s, 3H); 4 (s ブロード, 2H); 5.76 (s, 1H); 6.54 (dd, 1H, J: 4, J: 8.9); 6.60 (td, 1H, J: 1.3, J: 7.8); 6.66 (d, 1H, J: 3.7); 6.75 (dd, 1H, J: 1.2, J: 8); 6.84 (dd, 1H, J: 1.4, J: 7.9); 7-7.1 (m, 3H); 7.1 (dd, 1H, J: 3.1, J: 8.7); 7.72 (dd, 1H, J: 3, J: 8.6).
13C NMR (CDCl3): 19.1; 36; 76.2; 111.9; 114.4 (d, J: 7.1), 115.5 (d, J: 24); 116.7; 118.8 (d, J: 7.4); 118.9; 121.3 (d, J: 23.1); 122.7; 125.2; 128.3; 129.2; 129.5; 137.8; 138.6; 142; 143.1; 148.7; 156.6 (d, J: 239); 161; 166.4.
LC/MS:保持時間:3.23分。
M+H.:451.4。
【0086】
化合物2の調製
【化17】
【0087】
【表3】
【0088】
混合物を130℃で2時間撹拌した。残留物をEtOAcに溶解し、NaHCOの飽和溶液(3回)、ブライン(2回)及び水(1回)で連続して洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残留物をシクロヘキサン/EtOAc:95/5→1/1の混合物で溶出するクロマトグラフィー(固体析出)により精製し、次いで最小量のEtOAcに溶解して、ペンタンを加えて再沈殿させた(収率:25%)。
【0089】
1H NMR (DMSO-d6): 2.62 (s, 3H); 2.9 (s, 3H); 6.16 (s, 1H); 6.75 (td, 1H, J: 1.3, J: 7.7); 6.79 (dd, 1H, J: 4, J: 9); 6.93-7.01 (m, 3H); 7.15 (td, 1H, J: 1.7, J: 7.5); 7.28 (d, 1H, J: 3.6); 7.35 (td, 1H, J: 3.2, J: 8.8); 7.58 (dd, 1H, J: 3.1, J: 8.8); 7.71 (s, 1H).
13C NMR (DMSO-d6): 18.5; 35.5; 75.3; 112.7; 113.7 (d, J: 23.6); 115 (d, J: 7); 116.7; 117.8 (d, J: 7); 118.8; 121.1 (d, J: 23.1); 122.6; 126.2; 128.3; 128.7; 129.9; 137.6; 139; 143.3; 147.8; 152.6; 155.3 (d, J: 235); 159.5; 165.9
IR:1646;1496;1450;1163;806;740
LC/MS:保持時間:3.24分。
M+H.:452.4。
【0090】
化合物3の調製
【化18】
【0091】
【表4】
【0092】
混合物を130℃で2時間撹拌した。残留物をEtOAcに溶解し、有機相を飽和NaHCO溶液及び蒸留水で連続して洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた褐色固体を少量の熱EtOAcで洗浄し、黄色粉末(17%)を得た。
【0093】
1H NMR (DMSO-d6): 2.62 (s, 3H); 2.95 (s, 3H); 6.43 (s, 1H); 6.7-6.78 (m, 3H); 6.81 (dd, 1H, J: 4.2, J: 9); 6.97 (d, 1H, J: 3.7); 7.20 (t, 1H, J: 8); 7.33 (d, 1H, J: 3.6); 7.36 (dd, 1H, J: 3, J: 8.8); 7.61 (dd, 1H, J: 3, J: 8.8); 7.71 (s, 1H).
13C NMR (DMSO-d6): 18.5; 35.4; 76; 112.8; 113.7; 113.7 (d, J: 23); 114; 115.4 (d, J: 7); 116.8; 118 (d, J: 7); 121.3 (d, J: 23); 122.9; 128.2; 129.5; 137.7; 138.7; 140.8; 143.2; 147.7; 155.5 (d, J: 235); 157.6; 159.8; 166.
IR:3161(ブロード);1612;1499;1452;1187;1156;795;766;730。
LC/MS:保持時間:3.16分。
M+H.:452.3。
【0094】
下記式の化合物7は、化合物2又は化合物3と同様に調製される:
【化19】
【0095】
化合物4の調製
ニトロ前駆物質4’の合成
【化20】
【0096】
【表5】
【0097】
混合物をマイクロ波照射下、120℃で3時間撹拌した。残留物をEtOAcに溶解し、NaHCOの飽和溶液(3回)、ブライン(2回)及び水(1回)で連続して洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物を、シクロヘキサン/EtOAc:9/1→1/1の混合物で溶出するクロマトグラフィー(固体析出)により精製した(収率:49%)。
【0098】
化合物4の合成
【化21】
【0099】
【表6】
【0100】
混合物を光から保護しながら室温で一晩撹拌した。
【0101】
得られた残留物を、シクロヘキサン/EtOAc:95/5→0/1の混合物で溶出するクロマトグラフィー(固体析出)により精製し、次いで最少量のEtOAcに溶解して、ペンタンを加えて再沈殿させた(収率:81%)。
【0102】
1H NMR (DMSO-d6): 2.62 (s, 3H); 2.90 (s, 3H); 5.04 (s, 2H); 5.97 (s, 1H); 6.48 (td, 1H, J: 1.2, J: 7.3); 6.68 (dd, 1H, J: 1.2, J: 7.7); 6.77 (d, 1H, J: 8.2); 6; 6.87 (dd, 1H, J: 1, J: 8); 6.9-6.96 (m, 2H); 7.03 (td, 1H, J: 1.3, J: 8.4); 7.3 (d, 1H, J: 3.6); 7.48 (td, 1H, J: 1.5, J: 8.6); 7.72 (s, 1H); 7.88 (dd, 1H, J: 1.5, J: 7.7).
13C NMR (DMSO-d6): 18.5; 34.9; 74.5; 112.7; 113; 115.9; 116.1; 117; 118.3; 122.6; 124.2; 128.1; 128.4; 128.7; 129.4; 134.2; 137.6; 138.7; 143.8; 143.8; 146.7; 147.8; 160.9; 165.9
LC/MS:保持時間:3.18分。
M+H.:433.4。
【0103】
化合物5の調製
【化22】
【0104】
【表7】
【0105】
混合物をマイクロ波照射下、120℃で2時間撹拌した。残留物をジクロロメタンに溶解し、飽和NaHCO溶液(3回)、ブライン(2回)及び水(1回)で連続して洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残留物をシクロヘキサン/EtOAc:9/1→0/1の混合物で溶出するクロマトグラフィー(固体析出)により精製し、次いでジクロロメタン中で再結晶させた(収率:13%)。
【0106】
1H NMR (DMSO-d6): 2.63 (s, 3H); 2.85 (s, 3H); 6.18 (s, 1H); 6.85 (dd, 1H, J: 4.2, J: 9.1)]; 6.89 (dd, 1H, J: 1.3, J: 7.4); 6.91 (d, 1H, J: 3.6); 7.32 (d, 1H, J: 7.6); 7.39 (td, 1H, J: 3.2, J: 8.7); 7.47 (s, 2H); 7.57-7.59 (m, 3H); 7.78 (s, 1H); 8.02 (dd, 1H, J: 1.9, J: 7.5).
13C NMR (DMSO-d6): 18.5; 35.24; 76.7; 113.09; 113.7 (J: 23.6) 114.9 (J: 7); 116.6 (J: 7); 121.6 (J: 22.9); 122.6; 128.3; 128.84; 129.4; 132.1; 132.5; 136.1; 137.6; 138; 141.2; 143.3; 147.7; 155.1 (J: 235); 160.4; 166.
IR:3175;1653;1496;1474;1450;1357;1342;1160;821;810;710。
LC/MS:保持時間:3.20分。
M+H.:515.4。
【0107】
化合物6の調製(発明外)
【化23】
【0108】
【表8】
【0109】
混合物をマイクロ波照射下、130℃で2時間撹拌した。残留物を酢酸エチルに溶解し、有機相をNaHCOの飽和溶液及び蒸留水で連続して洗浄した。有機相をMgSOで乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。得られた褐色固体を少量の熱EtOAcで洗浄し、黄色粉末(73%)を得た。
【0110】
1H NMR (DMSO-d6): 2.60 (s, 3H); 2.89 (s, 3H); 6.32 (s, 1H); 6.74-6.77 (m, 3H); 6.92 (ワイド s, 1H); 7.06 (d, 2H, J: 8.1); 7.3-7.35 (m, 2H); 7.57 (d, 1H, J: 6.6); 7.72 (s, 1H); 9.59 (s, 1H).
13C NMR (DMSO-d6): 18.5; 35.3; 76.4; 112.8; 113.7 (J: 24); 115.2 (J: 7); 115.4; 117.9 (J: 7); 121.2 (J: 23); 122.8; 128; 128.4; 131; 137.7; 138.5; 143.3; 147.7; 155.5 (J: 235); 156.3; 159.9; 166.
IR:3216(ブロード);1630;1513;1498;1267;1163;888;811;737;711。
LC/MS:保持時間:3.33分。
M+H.:452.4。
【0111】
II.志賀毒素に対する本発明の化合物の保護活性を評価するための測定
プロトコル及びIC50の計算
化合物を、志賀毒素(Stx-1及び/又はStx-2)に対するA549細胞(ヒト肺上皮細胞)又はHeLa細胞(ヒト子宮癌細胞)のいずれかで試験した。ヒト細胞を、ペニシリン100U/mL及びストレプトマイシン100μg/mLを含むDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地)中、150cm培養フラスコで、5%COを含む雰囲気中37℃で増殖させる。細胞を、96 Cytostar-T固体シンチレーションボトムウェルのプレートに1ウェルあたり50000細胞の密度で播種する(図2)。細胞(完全なDMEM中100μL:DMEM+10%ウシ胎児血清、SVF)を、阻害物質とプレインキュベートするか(50μL;種々の濃度、3時間プレインキュベート)、又は阻害物質を含まずにプレインキュベートする。次いで、毒素を添加した完全培地(50μL、変動する濃度範囲)を各ウェルに加える。20時間のインキュベーション後、培地(200μL)を除去し、10%SVF及び14C-ロイシン(GE)0.5μCi/mLを含むロイシン不含DMEM培地(Eurobio)と交換する。37℃で7時間インキュベートした後、Wallac 1450 Microbeta triluxシンチレーションカウンター(PE)でプレートを読み取ることにより、細胞による放射能の取り込みを求める。
【0112】
これらの毒素はタンパク質合成を遮断するため、影響を受けた細胞は放射性標識ロイシンを取り込むことができなくなる。対照的に、阻害物質で処理された細胞は依然としてタンパク質を合成し、したがって放射性標識アミノ酸を取り込む。細胞が放射性元素をウェルの底近くに十分に濃縮すると、プレートに含まれるシンチラント(scintillant)が励起され、シンチレーションカウンターによって検出される光子放出がもたらされる(1分あたりのカウント数cpmで測定)。このデータを、その後、細胞によるタンパク質合成のパーセンテージとして表す。このように細胞毒性曲線を、阻害物質なし(白丸)又は阻害物質の存在下(黒丸)でプロットすることができる(図2)。非線形回帰によるデータの分析により、EC50、すなわち生存細胞の50%に相当する放射性ロイシンの50%の取り込みが観察される有効濃度を推定することができる。EC50値が高いほど、同じ細胞毒性を発生させるにはより高い濃度の毒素が必要となるため、細胞保護が大きくなる。したがって、EC50の比Rを計算することにより、阻害物質の有効性を求めることができる(図2)。値が大きいほど(1超)、細胞保護が大きくなる。
【0113】
漸増濃度の阻害物質の不在下、そしてその後存在下で、6つの細胞毒性曲線が得られる。阻害物質の各濃度(C)について、一連のRの最大値に対応するRmaxを用いてPrismソフトウェアによって計算されたRの値から保護のパーセンテージを求める。
%保護=[(R-1)/(Rmax-1)]×100
【0114】
次いで、IC50を、Prismソフトウェアを使用して、非線形回帰により、対応する細胞保護のパーセンテージが各化合物濃度に対してプロットされたグラフから計算する(図3を参照されたい)。
【0115】
IC50は、その阻害力の50%を与える化合物の濃度に対応する。この濃度が低いほど、阻害物質はより強力になる。
【0116】
結果
【0117】
【表9】
【0118】
化合物Retro-2.1は下記式:
【化24】
を有する。
【0119】
結論
これらの結果は、試験した化合物がいずれも、化合物Retro-2.1(ジヒドロキナゾリノンが非置換フェニルを保有する、本発明外の対照)、及び化合物6(ジヒドロキナゾリノンが、ヒドロキシル基によりパラ位で置換されたフェニルを有する本発明外)よりも志賀毒素の細胞効果のより強力な阻害物質であることを示す。
【0120】
III.リシンに対する本発明の化合物の保護活性を評価するための測定
本発明の化合物のプロトコル及びIC50の計算は、リシンを毒素として、段落IIに示したものと同様である。
【0121】
IV.逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用するウイルス、特にエンドサイトーシスによって細胞に侵入するウイルスに対する本発明の化合物の保護活性を評価するための測定
以下に示す細胞を、10%のウシ胎児血清を添加したMEM培地中で96ウェルのプレートに50%の密度で播種し、37℃、5%COでインキュベートした。細胞を一晩放置した。試験化合物を、DMSOにそれぞれ20mMで溶解した。翌日、血清を含むMEMで各化合物を100倍に希釈し、段階希釈し(5濃度まで)、各ウェルの細胞培地に等量加えた。1時間のプレインキュベーション後、以下に示す感染多重度(MOI)でウイルスを加えた。使用されるウイルスは、特に緑色蛍光タンパク質をコードする組換えウイルスを含む(Towner et al. 2005. Virology 332:20-7又はNEOVIRTECHが供給するANCHORウイルス)。これらのウイルスは複製することができ、動物では通常の病態形成を呈する。次いで、細胞を10%ホルマリンで以下に示す時間、固定した。標準的な方法を使用して、細胞核をDAPIで染色した。次いで、落射蛍光顕微鏡を使用して各ウェルを撮影することにより、感染を分析した。Cell Profilerソフトウェアを使用して、DAPI染色細胞及び緑色蛍光細胞をそれぞれ数えることにより、総細胞数及び感染細胞数を数えた。感染細胞の割合を、緑色蛍光細胞の数を細胞の総数で割ることによって計算した。Combenefitソフトウェア(Di Veroli et al. Bioinformatics 2016, 32(18), 2866-8)を使用して細胞数の関数としてIC50の評価を行った。
【0122】
感染及び固定の条件:
MOI 1のhCMV-ANCHORをMRC5細胞に感染;6日で固定;
MOI 0.1のVACV-ANCHORをHeLa細胞に感染;48時間で固定;
MOI 0.05の粘液腫ウイルス(Myxomavirus)T1-ANCHORをRK13細胞に感染;6日で固定;
MOI 0.2のRSVをHep2細胞に感染;72時間で固定。
【0123】
毒性
100μM~0.2μMの本発明の化合物濃度を試験した(2回)。上に記載される細胞を、本発明の化合物の添加後72時間で固定した。ウェルごとに数えた細胞数を、DMSOのみで処理された対応するウェルで数えた細胞数に対して正規化する。上に言及されるCombenefitソフトウェアを使用して、細胞数の関数としてCC50の評価を行った。
【0124】
結果
得られた結果を下記表に報告する。
【0125】
【表10】
【0126】
V.逆行輸送及び/又はシンタキシン5依存性輸送を使用する細菌、特にエンドサイトーシスによって細胞に侵入する細菌に対する本発明の化合物の保護活性を評価するための測定
HeLa229細胞を、細菌を細胞に添加するまで、25.50μM及び75μMの濃度で評価する本発明の化合物で30分間前処理した。
【0127】
一次感染を示す細胞を、感染後24時間(hpi)で溶解する。
【0128】
上記化合物で処理した細胞も感染後48時間で溶解し、得られた溶解物を使用して新たなHeLa229細胞に感染させ、これを感染後24時間で溶解し、免疫ブロットによって一次感染試料と共に分析する。アドホック抗体を使用して細菌の増殖を検出し、アクチンを対照として使用する。
【0129】
VI.本発明によるプロドラッグの合成
本発明によるプロドラッグを以下のように合成した:
【化25】
【0130】
このようにして得られた化合物は、優れた水溶性を有する(700mg/mL超、ミニポンプ、点滴、静脈内注射で投与可能)。血漿アミダーゼ及び/又はエステラーゼによるそれらの切断は迅速である(例えば、37℃のマウス血漿中で2.6時間のt1/2)。
【0131】
熱ゲル化ポリマーの形態の他のプロドラッグを、以下のように取得した:
【化26】
【0132】
あるいは、以下の通りである:
(化合物2)-PLGA1036-PEG1450-PLGA1036-(化合物2)(Mn=4393g/mol)、又は、
(化合物2)-C(=O)-(CH-C(=O)-PLGA1036-PEG1450-PLGA1036-C(=O)-(CH-C(=O)-(化合物2)、特に下記式:
【化27】
のものは、水溶性で熱ゲル化特性を持つ。
【0133】
PLGA1036-PEG1450-PLGA1036は、例えば以下の通りに取得される:
【化28】
【0134】
ポリ(エチレングリコール)1450(3.00g-2.07mmol)をシュレンク管に入れ、油浴中で100℃に加熱する。シュレンク管を撹拌しながら2時間真空下に置く。グリコリド(0.6g-5.13mmol)及びD,L-ラクチド(2.64g-18.3mmol)をシュレンク管に加え、固体が完全に溶融するまで混合物を130℃に加熱した。Sn(Oct)(1滴)を加える。混合物を窒素下で撹拌しながら130℃で20時間加熱する。混合物を室温にし、20mLのアセトンに溶解した。この溶液を、撹拌しながら4℃の蒸留水に1滴ずつ加える。ポリマーが完全に可溶化するまで混合物を4℃で撹拌し、次いでこの混合物を80℃に加熱した。ポリマーをデカンテーションにより回収する。この順序を繰り返した後、固体をジクロロメタンに溶解する。有機相をMgSOで乾燥し、濾過し、蒸発させて半透明のガムを得て、これを40℃で15時間、真空乾燥させた。
【0135】
精製された生成物:3.8g(49%)。
モル質量(PLA)=1707g/mol;モル質量(PGA)=365g/mol、化合物PLGA1036-PEG1450-PLGA1036に対応(Mn=3522g/mol;LA/GA=3.8)。
図1
図2
図3