(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】原子力プラント用のフィルタ及び燃料集合体
(51)【国際特許分類】
G21F 9/06 20060101AFI20240607BHJP
B01D 43/00 20060101ALI20240607BHJP
G21C 3/30 20060101ALI20240607BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
G21F9/06 521A
B01D43/00 A
G21C3/30 130
G21F9/06 521E
B01D35/02 Z
(21)【出願番号】P 2021553387
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(86)【国際出願番号】 EP2020056488
(87)【国際公開番号】W WO2020182873
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2022-12-26
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504446548
【氏名又は名称】ウェスティングハウス エレクトリック スウェーデン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(72)【発明者】
【氏名】ベルグマン ウッフェ
(72)【発明者】
【氏名】アミン ホシアール
【審査官】中尾 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-120994(JP,A)
【文献】特開2001-116872(JP,A)
【文献】特開2002-323585(JP,A)
【文献】特表2014-519032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0310034(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 9/06
B01D 43/00
G21C 3/30
B01D 35/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原子力プラントの冷却液から粒子を分離するためのフィルタ(1)であって、前記フィルタ(1)は、内面、入口端(4)及び出口端(5)を備える少なくとも1つの通路(3)を含み、前記少なくとも1つの通路(3)は、前記入口端(4)から前記出口端(5)への主な流れ方向(MFD)の前記冷却液の貫通流を可能にするように配置されており、
前記少なくとも1つの通路(3)の前記内面が、前記冷却液の前記主な流れ方向(MFD)に対向する少なくとも1つの表面セクション(6)を備え、かつ、前記粒子を捕獲するように配置された複数の表面部分(7)を
、貫通孔を設けることなく形成する構造化表面を有することを特徴とするフィルタ(1)。
【請求項2】
前記複数の表面部分(7)が、前記主な流れ方向(MFD)に連続的に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のフィルタ(1)。
【請求項3】
前記複数の表面部分(7)が横列状に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフィルタ(1)。
【請求項4】
前記複数の表面部分(7)のうちの少なくとも1つが、前記主な流れ方向(MFD)に対して前方の点(P)に向かって互いに接近するように配置された2つの表面サブ部分(7a)を含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項5】
前記2つの表面サブ部分(7a)が、前記前方の点(P)で互いに出会うことを特徴とする請求項4に記載のフィルタ(1)。
【請求項6】
前記構造化表面が、前記複数の表面部分(7)の少なくとも一部を形成する複数の凹部(11)を含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項7】
前記複数の凹部(11)が、複数の細長い溝を含むことを特徴とする請求項6に記載のフィルタ(1)。
【請求項8】
前記複数の凹部(11)が、複数のスポット状の凹部(11’)を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のフィルタ(1)。
【請求項9】
前記構造化表面が、前記複数の表面部分(7)の少なくとも一部を形成する複数の突出部(12)を含むことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項10】
前記複数の突出部(12)が、複数の細長い隆起部を含むことを特徴とする請求項9に記載のフィルタ(1)。
【請求項11】
前記複数の細長い隆起部の少なくとも一部が、前記隆起部の上に追加の細長い溝(11”)を含むことを特徴とする請求項10に記載のフィルタ(1)。
【請求項12】
前記複数の突出部(12)が複数のスポット状の突出部(12’)を含むことを特徴とする請求項9から請求項11のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項13】
前記複数の凹部(11)の少なくとも1つの後には、前記主な流れ方向(MFD)において、前記複数の突出部(12)の少なくとも1つが続いていることを特徴とする、請求項6から請求項8のいずれかを引用する請求項9から請求項12のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項14】
前記構造化表面が、塑性加工、溶融、ブラスト加工、又は付加製造のうちの少なくとも1つによって達成されることを特徴とする請求項1から請求項13のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項15】
前記少なくとも1つの通路(3)が、前記少なくとも1つの通路(3)の広がりに沿って少なくとも1つの湾曲部(10)を含むことを特徴とする請求項1から請求項14のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの湾曲部(10)において、前記少なくとも1つの通路(3)の前記内面が、実質的に前記主な流れ方向(MFD)に対向する前記少なくとも1つの表面セクション(6)を含むことを特徴とする請求項15に記載のフィルタ(1)。
【請求項17】
前記少なくとも1つの通路(3)を形成する多数の相互接続されたプレート(2)を含むことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載のフィルタ(1)。
【請求項18】
原子力プラント用燃料集合体(13)であって、前記燃料集合体(13)は、底部(14)と、頂部(15)と、前記燃料集合体(13)の前記底部(14)部分と頂部(15)部分との間に互いに空間(17)を空けて、互いに隣り合って配置された複数の燃料棒(16)とを含み、前記底部(14)が、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載のフィルタ(1)を含むことを特徴とする燃料集合体(13)。
【請求項19】
前記フィルタ(1)及び前記底部(14)が、冷却液を前記空間(17)に導くように配置されていることを特徴とする請求項18に記載の燃料集合体(13)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載の原子力プラントの冷却液から粒子を分離するためのフィルタに関する。本発明は、請求項18のプリアンブルに記載の原子力プラント用燃料集合体にも関する。
【背景技術】
【0002】
例えばBWR、PWR又はVVER等の原子力プラント(原子力発電所)では、冷却水によって輸送される可能性のあるデブリ及び他の粒子が、燃料棒のクラッドに欠陥をもたらす可能性があるため、冷却水等の冷却液を濾過することが重要である。燃料棒のクラッドに欠陥があると、核燃料、すなわちウランが冷却水に漏れる可能性がある。欠陥が大きくなると、原子炉の運転を中断して、故障した燃料を交換する必要がある。このような交換作業には時間と費用がかかる。デブリ及び他の粒子は、原子力プラントの他の部品、例えばポンプ、にも欠陥を引き起こす可能性がある。デブリは金属片やワイヤで構成されている場合があり、これらは、例えば、プラントの部品の様々な修理で形成される。また、デブリは外部からプラントに到達することもある。
【0003】
原子力プラント用のデブリフィルタを開発する努力がなされており、米国特許第7149272B2号明細書、欧州特許第1356474B1号明細書、米国特許第5030412A号明細書、独国実用新案第29615575U1号明細書がそのようなフィルタの先行技術開示の例である。
【0004】
米国特許第7149272B2号明細書は、波状の機械的障害物の原理で動作するデブリフィルタを開示する。このフィルタは、図に示される波状のプレートに型押しされたプレートのスタックを含む。
【0005】
欧州特許第1356474B1号明細書には、原子炉用のフィルタが記載されており、このフィルタは、冷却液のための複数の別個の流路を形成する波状のシートを含む。この波状のシートは、冷却液中の粒子を捕捉できるように互いに隣り合って配置されている。
【0006】
米国特許第5030412A号明細書及び独国実用新案第29615575U1号明細書も、原子炉の冷却液中のデブリを分離するために使用することが意図されたフィルタを記載する。これらのフィルタは、多数の平行かつ湾曲したプレートを含む。
【0007】
米国特許第4684495号明細書は、プレートによって形成されたフィルタであって、このプレートを貫通する孔を有するばね状のフィンガーを含むフィルタを記載する。ばね状のフィンガーは、プレートの材料から打ち抜かれている。
【0008】
これらの先行技術のデブリフィルタは良好な性能を有しているが、本発明は、原子力プラント用の公知のデブリフィルタ、特に薄いフレキシブルな金属ワイヤを捕獲するための公知のデブリフィルタと比較して、デブリ及び粒子の捕捉効率に関して改善することを目的としている。
【0009】
それゆえ、先行技術のフィルタに比べて捕捉効率が向上した改良型フィルタを提供すること、及びこの改良型フィルタを備える燃料集合体を提供することが望ましい。以下に記載する本発明は、この要望に応えるものである。本発明は、デブリフィルタの製造方法にも言及することもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】米国特許第7149272B2号明細書
【文献】欧州特許第1356474B1号明細書
【文献】米国特許第5030412A号明細書
【文献】独国実用新案第29615575U1号明細書
【文献】米国特許第4684495号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、原子力プラント内を流れる冷却液中の粒子の捕捉効率が向上した原子力プラント用の改良型フィルタを提供することである。また、本発明の目的は、捕捉効率が向上したフィルタを含む改良型燃料集合体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述の目的は、請求項1で規定されたフィルタによって、また請求項18で規定された燃料集合体によって達成される。
【0013】
従って、上述の目的は、原子力プラントの冷却液から粒子を分離するためのフィルタであって、当該フィルタは、内面、入口端及び出口端を備える少なくとも1つの通路を含み、この少なくとも1つの通路は、入口端から出口端への主な流れ方向の冷却液の貫通流を可能にするように配置されているフィルタによって達成される。上記少なくとも1つの通路の各々は、冷却液のための流路を形成し、フィルタの使用中に冷却液が上記通路に沿って入口端から出口端まで流れることを可能にする。このように、この少なくとも1つの通路に起因して、冷却液は制御された方法でフィルタを介して搬送されることが可能である。さらに、上記少なくとも1つの通路の各々は、冷却媒体が主な流れ方向、すなわち各通路の入口端から出口端までフィルタを通って流れる冷却媒体の主流の方向に、通路を流れることを可能にするように配置されている。従って、主な流れ方向は、入口端から出口端まで延びる線に沿ったベクトルとして定義されてもよく、この線は通路に沿っている。これにより、主な流れの方向は、通路の異なる形状に対しても、簡単かつ正確な方法で定義されてもよい。
【0014】
上記少なくとも1つの通路の内面は、冷却液の主な流れ方向に対向して粒子を捕獲するように配置されている複数の表面部分を形成する構造化表面を有する少なくとも1つの表面セクションを含む。
【0015】
上記表面セクションには孔がない。そのため、表面セクションに貫通孔を設けることなく、上記構造化表面が実現されている。
【0016】
上記少なくとも1つの表面セクションは、上記少なくとも1つの通路の内面の一部又は一部分として画定されてもよい。従って、少なくとも1つの通路の内面は、構造化表面を有する1つ又は複数の表面セクションを含み、この表面セクションは、上記複数の表面部分によって形成される粗面化された表面であってもよい。従って、各表面セクションは、表面セクションに目的を持って配置された凹凸を含んでいてもよい。これにより、上記少なくとも1つの通路のそれぞれの内面は、構造化表面を有する表面セクションと、凹凸が設けられていない他のセクションとを含む。構造化されたセクションは、構造化されていない、すなわち凹凸が設けられていない通路の内面の他のセクションと比較して、冷却液中を流れる粒子に対する摩擦特性が向上していることを特徴とする。
【0017】
さらに、構造化表面を有する上記表面セクションの各々は、冷却液の主な流れ方向に対向して粒子を捕獲する(受け止める)ように配置されている複数の表面部分を形成する。
【0018】
すべての表面は、2つの延在方向を含む。上記複数の表面部分は、主な流れ方向に対向するように配置されており、これは、上記構造化表面の複数の表面部分が主な流れ方向に対して角度を持っているということを意味する。この複数の表面部分は、各表面部分の延在方向が主な流れの方向に対して角度を持つ、例えば直角であるように、主な流れの方向に対して横方向に延びていてもよい。これにより、冷却液中を流れる粒子は、構造化表面の上記複数の表面部分によって効果的に止められ、捕獲される可能性がある。
【0019】
その結果、上記複数の表面部分は、冷却液中を流れる粒子のためのハードルを形成し、その複数の表面部分で粒子が止められ、固定され、それによってフィルタによって捕獲され、濾別される可能性がある。
【0020】
これにより、冷却液中の粒子の捕捉効率が向上した原子力プラント用の改良型フィルタが提供され、これにより、上述の目的が達成される。
【0021】
一実施形態によれば、上記複数の表面部分は、主な流れ方向に連続的に(縦列状に、主な流れ方向に並んで)配置されている。換言すれば、基準となる表面部分に対して、別の表面部分又は複数の他の表面部分が、主な流れ方向において上記基準となる表面部分の上流及び/又は下流に配置されるように、上記複数の表面部分が配置されてもよい。これにより、複数の表面部分が連続的に配置され、冷却液中の粒子が複数の表面部分で止まる可能性があるため、粒子を捕獲する確率が高くなり、改良型フィルタが達成される。
【0022】
一実施形態によれば、上記複数の表面部分は横列状に配置されている。横列とは、複数の表面部分が配置されてもよい1つ又は複数の線を意味する。各線は、主な流れの方向に対して、角度をつけて、例えば横方向に配置されてもよい。従って、1つの線に沿って1つ又は複数の表面部分が配置されてもよい。これにより、通路の内面のより大きな面積に上記複数の表面部分が設けられて粒子を止める確率が高まるため、捕捉効率が向上したさらに改良されたフィルタが提供される。
【0023】
一実施形態によれば、上記複数の表面部分のうちの少なくとも1つは、主な流れ方向に対して前方の点に向かって互いに接近するように配置された2つの表面サブ部分を含む。これらの表面サブ部分は、上記主な流れ方向に対向するように配置されている。さらに、表面サブ部分は、主な流れ方向に沿って表面サブ部分間の距離が減少するように配置されている。各サブ部分は、外縁部と内縁部とを含んでもよく、この外縁部は、主な流れ方向に対して表面サブ部分の中間点よりも上流側に配置され、上記内縁部は、主な流れ方向に対して表面サブ部分の中間点よりも下流側に配置されていてもよい。従って、2つの表面サブ部分の外縁部の間の距離は、2つの表面サブ部分の内縁部の間の距離よりも大きい。2つの表面サブ部分の内縁部の間の距離は、ゼロであってもよく、内縁部は、上記前方の点で互いに出会うことができる。代替案として、2つの表面サブ部分の内縁部の間の距離は、ゼロよりも大きく、かつフィルタによって捕獲されることが意図される粒子のサイズよりも小さくてもよい。上記表面サブ部分は、2つの表面サブ部分の外縁部の間に開口部を形成するように配置されており、この開口部は、冷却液中の粒子を捕獲する機能を有している。これにより、粒子は、それらの表面サブ部分の外縁部で表面サブ部分によって捕捉されてもよく、さらに、表面サブ部分の内縁部に向かって、及び粒子が止まる前方の点に向かって誘導されてもよい。
【0024】
2つの表面サブ部分の内縁部の間の距離がゼロよりも大きく、フィルタによって捕獲されることが意図される粒子のサイズよりも小さい代替の実施形態によれば、2つの表面サブ部分の内縁部の間に追加の開口部が形成されている。2つの表面サブ部分の内縁部の間の追加の開口部に起因して、冷却液中の粒子が効果的に捕獲され、フィルタの使用中に冷却液がこの追加の開口部を通過することができる。これにより、捕捉効率及び流動抵抗への影響に関して改善されたフィルタが提供される。
【0025】
一実施形態によれば、2つの表面サブ部分は、前方の点で互いに出会ってもよい。上記複数の表面部分のうちの上記少なくとも1つは、上記少なくとも2つの表面サブ部分を形成するために折り曲げられていてもよい。この複数の表面部分のうちの少なくとも1つは、上記表面サブ部分が円形の形状を有する部分を含んでもよいように、滑らかに折り曲げられていてもよい。代替案として、上記複数の表面部分のうちの少なくとも1つは、上記前方の点で鋭い縁部が形成されるように折り曲げられていてもよい。これにより、粒子は、例えば、その前方の点で、上記表面サブ部分によって効果的に捕捉され、止められる。その結果、異なるサイズの粒子に対する捕捉効率が向上した改良型のフィルタが提供される。
【0026】
一実施形態によれば、上記構造化表面、すなわち粗面化された表面は、上記複数の表面部分の少なくとも一部を形成する複数の凹部を含む。従って、上記複数の表面部分は、上記通路の内面の表面セクションに複数の凹部又は窪みを配置することによって、簡単な方法で実現されてもよい。これにより、粗面化された表面を実現することができる。
【0027】
一実施形態によれば、上記複数の凹部は複数の細長い溝を含む。細長い溝は、主な流れの方向に対して横方向の拡張部分を有するスロット又はスリットを意味する。これに関して、上記主な流れ方向に対して横方向の各溝の広がりは、溝の深さよりも大きくてもよい。これにより、冷却液中の粒子は、主な流れ方向に対して横方向の上記複数の溝の広がりに沿って、効果的に捕獲される可能性がある。
【0028】
一実施形態によれば、上記複数の凹部は、複数のスポット状の凹部を含む。このスポット状の凹部は、凹部の深さが、主な流れ方向に対して横方向の凹部の広がりと同等又はそれ以上であってもよいことを意味する。従って、上記複数の凹部は、表面セクションに点状に配置されてもよく、これにより、上記複数の凹部を作り出してフィルタを製造するプロセスにおけるエネルギー及び材料の消費が低減される可能性がある。
【0029】
一実施形態によれば、上記構造化表面、すなわち粗面化された表面は、上記複数の表面部分の少なくとも一部を形成する複数の突出部を含む。従って、上記複数の表面部分は、複数の突出部、すなわち、表面セクションの表面から延びる複数のユニットを配置することによって、簡単な方法で実現されてもよい。これにより、粗面化された表面を実現することができる。
【0030】
上記複数の突出部は、冷却液中を流れる粒子の効率的なトラップを構成する可能性がある。これにより、この突出部に起因して、冷却液中の粒子が効率的に止められる可能性がある。
【0031】
一実施形態によれば、上記複数の突出部は複数の細長い隆起部を含む。この複数の細長い隆起部は、上記主な流れの方向に対して横方向の方向に広がっている。主な流れ方向に対して横方向の各隆起部の広がりは、隆起部の高さよりも大きくてもよい。これにより、冷却液中の粒子は、主な流れ方向に対して横方向の隆起部の広がりに沿って効果的に捕獲される可能性がある。
【0032】
一実施形態によれば、上記複数の細長い隆起部の少なくとも一部は、その隆起部の上に追加の細長い溝を含む。これにより、隆起部の上部に追加の細長い溝があると、冷却液中の粒子が捕獲される確率が高くなるため、捕獲効率が向上したさらに改良されたフィルタが提供される。
【0033】
一実施形態によれば、上記複数の突出部は複数のスポット状の突出部を含む。スポット状の突出部は、突出部の高さが、上記主な流れ方向に対して横方向の突出部の広がりと同等又はそれ以上であってもよいことを意味する。従って、この複数の突出部は、表面セクションにおいて点状に配置されてもよく、これにより、複数の突出部を作り出してフィルタを製造するプロセスにおけるエネルギー及び材料の消費が低減される可能性がある。
【0034】
一実施形態によれば、上記複数の凹部の少なくとも1つの後には、上記主な流れ方向において、複数の突出部の少なくとも1つが続いている。主な流れ方向に対して少なくとも1つの突出部が少なくとも1つの凹部に続いている状態、すなわち、少なくとも1つの凹部の下流側に少なくとも1つの突出部が配置されている状態では、凹部と突出部との両方によって表面部分が形成されていてもよい。突出部は、主な流れ方向において凹部の直後に配置されてもよく、すなわち、凹部は主な流れ方向において突出部に移行して(連続して)もよい。このように、表面部分は、一部が凹部によって、一部が突出部によって形成されていてもよい。これにより、表面部分のサイズは、表面部分が凹部のみ又は突出部のみによって形成されている場合よりも大きくなってもよい。その結果、改良型フィルタが提供される。
【0035】
一実施形態によれば、上記構造化表面は、塑性加工、溶融、ブラスト加工、又は付加製造のうちの少なくとも1つによって達成される。塑性加工は、例えば、エンボス加工、ピニング加工、ピンチ加工、研磨加工又は圧印加工(コイニング)を含んでもよい。溶融は、例えば、レーザー加工、電子ビーム、プラズマを含んでもよい。付加製造は、例えば、表面コーティング又は3Dプリンティングを含んでもよい。これらのプロセスは、構造化表面を作り出すために、別々に使用されてもよいし、互いに組み合わせて使用されてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、上記少なくとも1つの通路は、この少なくとも1つの通路の広がり(延長線)に沿って少なくとも1つの湾曲部を含む。換言すれば、この少なくとも1つの通路は、少なくとも1つの通路の広がりに沿って少なくとも1つの屈曲を含む。この少なくとも1つの湾曲部により、冷却液は、冷却液中の粒子が波のような形状の経路をたどるようにフィルタを流れる。これにより、冷却液中の粒子、特に金属ワイヤ等の細長い粒子が、上記少なくとも1つの湾曲部で効率的に捕獲される可能性がある。
【0037】
このようなフィルタは比較的薄いシートで製造されてもよく、そのようなフィルタは、通路内に部品や接続部材等が必要ないため、比較的低い流動抵抗を有する。通路、すなわちシートの少なくとも1つの湾曲部に起因して、分離された通路のうちの上記少なくとも1つは、冷却液中の粒子を効率的に捕獲することができる。特に、冷却液の流れに含まれる細長い粒子が、湾曲したシートによってフィルタ装置に捕獲される可能性がある。さらに、シートの少なくとも1つの湾曲部により、フィルタの強度が向上するため、自己支持性となる可能性があり、シートの周囲に延びるフレームがなくても、燃料集合体等に自立して装着されてもよい。
【0038】
一実施形態によれば、上記少なくとも1つの湾曲部において、上記少なくとも1つの通路の内面は、実質的に上記主な流れ方向に対向する少なくとも1つの表面セクションを含む。この少なくとも1つの湾曲部の各湾曲部は、各湾曲部で少なくとも1つの通路の内面が、主な流れ方向に実質的に対向する複数の部分と、実質的に主な流れ方向に沿って方向付けられた複数の部分とを含むように配置されている。主な流れ方向に対向する複数の部分では、冷却液の流れが、主な流れ方向に対向する上記部分に起因するいくらかの抵抗力を受ける。その結果、冷却液中の粒子も、冷却液の通過中に抵抗力を受ける。それゆえ、冷却液中の粒子が当該フィルタの上記少なくとも1つの表面セクションによって捕獲される確率を高めるために、上記少なくとも1つの表面セクションを、実質的に主な流れに対向する上記部分に配置することが有利である。これにより、改良されたフィルタが提供される。
【0039】
一実施形態によれば、当該フィルタは、上記少なくとも1つの通路を形成する多数の相互接続されたプレートを含む。これにより、少なくとも1つの通路を含むフィルタは、多数のプレート又はシートを相互に接続することにより、簡単な方法で製造されてもよい。
【0040】
最初に述べた目的は、原子力プラント用燃料集合体であって、この燃料集合体が、底部と、頂部と、燃料集合体の底部と頂部との間に互いに空間を空けて、互いに隣り合って配置された複数の燃料棒とを含む燃料集合体によっても達成される。底部は、上述の実施形態のいずれか1つに係るフィルタを含む。これにより、改良された燃料集合体が提供され、これにより、上述の目的が達成される。
【0041】
一実施形態によれば、フィルタ及び底部は、冷却液を上記空間に導くように配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
以下では、本発明の好ましい実施形態を、添付の図面を参照して説明する。
【0043】
【
図1】
図1は、複数の表面部分を形成する構造化表面を有する少なくとも1つの表面セクションを含む通路を有する模式的フィルタの切断図である。
【
図2a】
図2aは、一実施形態に係る
図1における表面セクションの構造化表面を示す。
【
図2b】
図2bは、一実施形態に係る
図1における表面セクションの構造化表面を示す。
【
図2c】
図2cは、一実施形態に係る
図1における表面セクションの構造化表面を示す。
【
図2d】
図2dは、一実施形態に係る
図1における表面セクションの構造化表面を示す。
【
図3a】
図3aは、一実施形態に係る複数の凹部によって形成された
図1における複数の表面部分を説明する側面図である。
【
図3b】
図3bは、一実施形態に係る複数の突出部によって形成された
図1における複数の表面部分を説明する側面図である。
【
図3c】
図3cは、一実施形態に係る複数の突出部によって形成された
図1における複数の表面部分を説明する側面図である。
【
図4a】
図4aは、一実施形態に係る上から見た複数のスポット状の凹部を含む
図1における構造化表面を示す。
【
図4b】
図4bは、一実施形態に係る上から見た複数のスポット状の突出部を含む
図1における構造化表面を示す。
【
図5a】
図5aは、一実施形態に従って形成された
図1における複数の表面部分を説明する側面図である。
【
図5b】
図5bは、一実施形態に係る凹部に続く突出部によって形成された
図1における複数の表面部分を説明する側面図である。
【
図6】
図6は、一実施形態に係るフィルタを含むBWR型原子炉用の模式的燃料集合体の切断図である。
【
図7】
図7は、一実施形態に係るフィルタを含むPWR型原子炉用の模式的燃料集合体の切断図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、原子力プラントの冷却液から粒子を分離するためのフィルタ1を模式的に示す。一実施形態によれば、フィルタ1は、相互に接続された多数のプレート2を含んでいてもよく、これらのプレート2は、2つの隣接するプレート2の間に作り出された少なくとも1つの通路3を形成している。簡単にするために、
図1では、2つのプレート2及び1つの通路3のみが示されている。しかしながら、フィルタ1は、複数の相互接続されたプレート2を含んでもよい。通路3は、プレート2によって互いに分離され、互いに隣り合って配置されている。プレート2は、金属材料の薄いシートとして製造されてもよく、例えば溶接によって相互に接続されてもよい。プレート2には、他の適切な材料、例えばセラミック材料も使用してよい。
【0045】
フィルタ1は、側壁(
図1には示されていない)を含み、この側壁は、少なくとも1つの通路3の側面において、少なくとも1つの通路を区切っている。これにより、冷却液は、上記プレート2及び上記側壁によって作り出された流路に起因して、制御された方法で通路3を通って輸送されてもよい。
【0046】
図1に示すように、プレート2は、隣接する2つのプレート2の間に距離dを置いて、互いに平行に配置されている。この距離dは、すべてのプレート2の間で等しくてもよいし、距離dは、プレート2の間で異なっていてもよい。このように、プレート2間の距離dは変わってもよく、フィルタ1の製造ステップで決定されてもよい。その結果、通路3のサイズ、すなわち高さ又は幅は、プレート2の間の距離dを調整することによって、異なるニーズに適合するようにされてもよい。
【0047】
代替案として、少なくとも1つの通路3は、フィルタを形成するために相互に接続された管状ユニットによって形成されてもよい。管状ユニットは、例えば、溶接によって互いに接続された金属パイプであってもよい。この管状ユニットは、冷却液が1つ又は複数のレベルに配置された通路を流れることができるために、管状ユニットがフィルタを形成する相互接続された管状ユニットの1つ又は複数のレベルを作るように配置されてもよい。
【0048】
少なくとも1つの通路3のそれぞれは、プレート2の表面及び側壁の表面によって画定される内面を含み、これらの表面は互いに対向して(向き合って)おり、通路3を形成している。さらに、少なくとも1つの通路3のそれぞれは、入口端4及び出口端5を含み、少なくとも1つの通路3は、入口端4から出口端5への主な流れ方向(主流動方向)MFDでの冷却液の貫通流を可能にするように配置されている。さらに、少なくとも1つの通路3の内面は、冷却液の主な流れ方向MFDに対して横方向に延びて粒子を捕獲するように配置されている複数の表面部分7を形成する構造化表面を有する少なくとも1つの表面セクション6を含む。簡単にするために、表面セクション6の2つの表面部分7に印が付けられている。表面部分7は、例えば、主な流れ方向MFDに対して垂直に配置されていてもよいし、又は主な流れ方向MFDに対して0度又は180度とは異なる角度で配置されていてもよい。
【0049】
上述したように、
図1は、フィルタ1の模式図であり、
図1のプレート2は、プレートの形態及び少なくとも1つの表面セクション6をよりよく説明するために、互いに分離されている。プレート2は、互いに接近して配置されていてもよく、すなわち、距離dがより短くてもよく、プレート2が互いに追従していてもよい。
【0050】
上記少なくとも1つの通路を側面で区切る上述の側壁(
図1には示されていない)は、少なくとも1つの表面セクション6の複数の表面部分7によって捕捉され又は止められることが意図される粒子が、主な流れ方向MFDに対して側面上を又は横方向に、複数の表面部分7に沿って移動することを防止する機能も有する。これにより、粒子は、側壁によって部分的に止められることが可能になる。従って、この側壁に起因して、粒子が表面セクション7を滑ったり通過したりすることが防止されてもよい。
【0051】
少なくとも1つの表面セクション6は、表面セクション6の幅がプレート2の幅と同等又はそれ未満になるように、プレート2の表面の一部を覆っていてもよい。このように、少なくとも1つの表面セクション6は、主な流れ方向MFDに対して横方向に側壁の間に延在し、プレート2の幅と同等又はそれ未満の幅を有していてもよい。
【0052】
少なくとも1つの通路3は、少なくとも1つの通路3の広がりに沿って少なくとも1つの湾曲部10を含んでいてもよい。従って、少なくとも1つの通路3は、主な流れ方向MFDにおいて、少なくとも1つの通路3の広がりに沿って屈曲していてもよい。
【0053】
通路3の少なくとも1つの湾曲部10は、通路3を形成するプレート2のうちの少なくとも1つによって作り出され、そのプレート2は湾曲している、すなわち、主な流れ方向MFDにおけるプレート2の広がりに沿って屈曲している。いくつかの実施形態によれば、通路3は波状に形成されていてもよく、これは、通路3を形成する2つのプレート2が、各プレート2の波状を作り出す湾曲部で滑らかに屈曲していることを意味する。
【0054】
湾曲部10、さらにはプレート2の画定された波型形状に起因して、冷却液中を搬送された細長い粒子が、湾曲部10によってフィルタ1に捕獲される可能性がある。何らかの理由で、主な流れ方向MFDと実質的に平行に延びる広がりを持って搬送される粒子は、プレート2の湾曲部10及び波型形状によってフィルタ1によって捕獲される。プレート2の湾曲部10と波型形状は、フィルタ1の強度を向上させるのにも貢献する可能性があり、その結果、フィルタ1は自己支持性となる可能性があり、例えば、プレート2の周囲に延びるフレームなしで燃料集合体に装着されてもよい。
【0055】
図1に見られるように、少なくとも1つの表面セクション6は、少なくとも1つの湾曲部10における少なくとも1つの通路3の内面によって含まれ、少なくとも1つの表面セクション6が実質的に主な流れ方向MFDに対向するようになっている。少なくとも1つの表面セクション6は、湾曲部10の第1の部分10’における通路3の内面に配置されてもよく、湾曲部10の第1の部分10’の表面は、主な流れ方向MFDに対向する。他方、主な流れ方向MFDに対して、湾曲部10の第1部分10’とは反対側に配置された湾曲部10の第2部分10”の表面は、主な流れ方向MFDから逸れた方向を向いている(背を向けている)。
【0056】
主な流れ方向に対向する第1の部分10’では、冷却液の流れが湾曲部10の表面によるいくらかの抵抗力を受け、この湾曲部10は、冷却液を湾曲部10で通路3の表面に沿って流れの方向を強制的に変えることになる。その結果、冷却液中の粒子も、冷却液の通過中に抵抗力を受ける。それゆえ、冷却液中の粒子がフィルタ1の少なくとも1つの表面セクション6によって捕獲される確率を高めるために、少なくとも1つの表面セクション6を実質的に主な流れに対向する上記部分に配置することが有利である。
【0057】
このように、表面セクション6は、湾曲部10のうち主な流れ方向MFDに対向する部分に配置されている。少なくとも1つの表面セクション6は、少なくとも1つの通路3の内面の他の位置に配置されていてもよい。
【0058】
図1では、粒子9がフィルタ1によって捕獲されて、より詳細には、粒子9が少なくとも1つの表面セクション6の構造化表面の複数の表面部分7の1つによって捕獲されて、粒子9の例が表面セクション6の位置に示されている。これにより、複数の表面部分7に起因して、フィルタ1を流れる冷却液中の粒子は、複数の表面部分7の1つによって止められることにより、効率的に捕獲される可能性がある。
【0059】
図2aは、
図1の表面セクション6を示しており、表面セクション6は、主な流れ方向MFDに連続的に配置された複数の表面部分7を含む。
図2aに示されるように、複数の表面部分7の少なくともいくつかは、第1の線aに沿って配置されてもよく、この第1の線aは、主な流れ方向MFDに平行であってもよい。さらに、複数の表面部分7の少なくともいくつかは、上記第1の線aからずれて(オフセットして)配置されていてもよい。従って、基準表面部分7’に対して、第1の表面部分7”が、主な流れ方向MFDに対して、基準表面部分7’の上流側に配置され、第2の表面部分7’”が、基準表面部分7’の下流側に配置されてもよく、上記第1の線a1に沿って、又は上記第1の線aからずれて配置されてもよい。
【0060】
図2aは、少なくとも1つの第2の線a1に沿って横列状に配置された複数の表面部分7も示しており、複数の表面部分7は、少なくとも1つの第2の線a1の同じものに沿って分離したユニットとして配置されている。換言すれば、少なくとも1つの第2の線a1に沿って隣接する2つの表面部分7の間には隙間がある。
【0061】
図2bは、
図1の表面セクション6を示しており、表面セクション6は、複数の表面部分7が分離した複数の単位として図示された
図2aに示された実施形態とは異なり、均一な単位として横列状に配置された表面部分7を含む。従って、表面部分7は、少なくとも1つの第3の線a2に沿って配置されていてもよい。第3の線a2は、互いに平行であってもよく、主な流れ方向MFDに対して横方向に配置されてもよい。
【0062】
いくつかの実施形態によれば、複数の表面部分7は、分離されたユニットとしても、均一なユニットとしても配置されてもよく、少なくとも1つの表面セクション6に含まれてもよい。
【0063】
図2cは、
図1の表面セクション6の別の実施形態を示しており、表面セクション6は、複数の表面部分7のそれぞれが、主な流れ方向MFDに関して前方の点Pに向かって互いに接近するように配置された2つの表面サブ部分7aを含む複数の表面部分7を含む。
図2cに示されているように、表面サブ部分7aは、主な流れ方向MFDに対向するように配置されている。さらに、表面サブ部分7aは、表面サブ部分7a間の距離pが主な流れ方向MFDに沿って減少するように配置されている。各サブ部分7aは、外縁部8a及び内縁部8bを含んでいてもよく、外縁部8aは主な流れ方向に対して表面サブ部分7aの図示しない中間点よりも上流側に配置され、内縁部は下流側に配置されている。従って、2つの表面サブ部分7aの外縁部8a間の距離pは、2つの表面サブ部分7aの内縁8b間の距離sよりも大きい。2つの表面サブ部分7aの内縁部8bの間の距離sは、ゼロであってもよく、
図2dに示されるように、内縁部8bは、上記前方の点Pで互いに出会うことができる。代替案として、2つの表面サブ部分7aの内縁部8bの間の距離sは、ゼロよりも大きくてもよく、同時に、フィルタによって捕獲されることが意図される粒子9のサイズ、例えば厚さtよりも小さくてもよい。
【0064】
これにより、捕捉効率及びフィルタの使用中の流動抵抗への影響に関して改善されたフィルタが提供される。
【0065】
図2dは、
図1の表面セクション6の他の実施形態を示しており、表面セクション6は、前方の点Pで互いに出会う2つの表面サブ部分7aをそれぞれ有する複数の表面部分7を含む。
図2dに示されているように、複数の表面部分7のうちの少なくとも1つは、少なくとも2つの表面サブ部分7aを形成するために曲げられてもよい。複数の表面部分7のうちの上記少なくとも1つは、表面サブ部分7aが円形の形態を有する部分を含んでもよいように、滑らかに折り曲げられてもよい。複数の表面部分7は、隣り合う2つの表面部分7が、例えば、各表面サブ部分7aの外縁部8aにおいて、互いに少なくとも1つの共通の接触点を有するように、横列をなして隣り合って配置されていてもよい。これにより、粒子が複数の表面部分7で止められる可能性があるため、冷却液中の粒子9を捕獲する確率が高くなる。
【0066】
図2dに示すように、粒子9が表面サブ部分7aに捕捉されて停止した位置、例えば前方の点Pにある状態が図示されている。
【0067】
図3aは、複数の凹部11によって形成された
図1又は
図2a~
図2dの複数の表面部分7を説明する側面図である。このように、表面セクション6の構造化表面は、複数の表面部分7の少なくとも一部を形成する複数の凹部11を含んでいてもよい。構造化表面の複数の凹部11は、例えば10~500μmであってもよい深さiを有していてもよい。従って、構造化表面は、マイクロメートル単位で測定されてもよい深さiを有する複数の凹部11によって形成される微細構造化表面であることができる。深さiは、プレート2の表面と、プレート2の表面からより大きな距離にある凹部11の点との間で測定される。
図3aに示されるように、複数の表面部分7、すなわち、主な流れ方向MFDに対向する複数の凹部11によって形成された複数の表面部分は、同じく凹部11によって形成され、主な流れ方向に対して表面部分7よりも上流側に配置された二次的な表面部分7bと比較して、主な流れ方向MFDに対してより大きな傾斜を持って配置されてもよい。これにより、冷却液中を流れる粒子は、複数の表面部分7のいずれかによって効率的に捕獲される可能性がある。
【0068】
上記複数の凹部は、例えば、
図2a又は
図2bに示すように配置された細長い溝を含んでもよい。
【0069】
図3bは、複数の突出部12によって形成された
図1又は
図2a~
図2dの複数の表面部分7を説明する側面図である。このように、表面セクション6の構造化表面は、複数の表面部分7の少なくとも一部を形成する複数の突出部12を含んでもよい。構造化表面の複数の突出部12は、プレート2の表面からプレート2の当該表面からより大きな距離にある突出部の点まで測定された高さ又は長さhを有していてもよい。高さhは、例えば、10~500μmであってもよい。従って、構造化表面は、マイクロメートルで測定されてもよい高さhを有する複数の突出部12によって形成された微細構造化表面であることができる。
図3aに示された実施形態に係るのと同様に、複数の表面部分7、すなわち、主な流れ方向MFDに対向する複数の突出部12によって形成された複数の表面部分は、同じく突出部12によって形成され、主な流れ方向MFDに対して表面部分7よりも下流側に配置された二次表面部分7bと比較して、主な流れ方向MFDに対してより大きな傾斜を持って配置されてもよい。
【0070】
さらに、複数の表面部分7のうちの少なくとも一部は、表面部分7とプレート2の表面との間に第1の角度αを有して配置されており、プレート2のこの表面は主な流れ方向MFDに平行であり、第1の角度αは、90度と等しくてもよいし、90度よりも大きい鈍角又はやや鈍角であってもよい。複数の突出部12は、例えば、
図2a又は
図2bに示すように配置された細長い隆起部を含んでもよい。
【0071】
図3cは、一実施形態に係る複数の突出部12によって形成された
図1又は
図2a~
図2dの複数の表面部分7を説明する側面図である。このように、表面セクション6の構造化表面は、複数の表面部分7の少なくとも一部を形成する複数の突出部12を含んでもよい。
図3bに図示されているのと同様に、
図3cの複数の突出部12は、プレート2の表面からプレート2の当該表面からより大きな距離にある突出部の点まで測定された高さ又は長さを有していてもよい。この高さは、例えば、10μm~500μmであってもよい。さらに、複数の表面部分7、すなわち、複数の突出部12によって形成され、主な流れ方向MFDに対向する複数の表面部分は、同じく突出部12によって形成され、主な流れ方向MFDに対して表面部分7よりも下流側に配置された二次表面部分7bと比較して、主な流れ方向MFDに対してより大きな傾きを持って配置されてもよい。
【0072】
複数の表面部分7のうちの少なくとも一部は、表面部分7とプレート2の表面との間に第2の角度βを有して配置されており、プレート2のこの表面は主な流れ方向MFDに平行であり、第2の角度βは90度と等しくてもよいし、第2の角度βは鋭角であってもよい、すなわち第2の角度βは90度よりも小さくてもよい。複数の突出部12は、例えば、
図2a又は
図2bに示すように配置された細長い隆起部を含んでもよい。複数の突出部12は、3Dプリンティング技術を用いて製造されてもよい。
【0073】
図4aは、複数のスポット状の凹部11’を含む
図1の構造化表面6を示す。このように、上記複数の凹部は複数のスポット状の凹部11’を含んでもよく、表面セクション7は複数のスポット状の凹部11’によって形成されていてもよい。
【0074】
図4aに示されるように、複数のスポット状の凹部11’によって形成された各二次表面部分7bは、スポット状の凹部11’への滑らかな入口を形成する。これにより、粒子は、スポット状の凹部11’に導かれてもよく、その後、複数のスポット状の凹部11’によって形成された表面セクション7によって止められてもよい。二次表面部分7bは、
図3a又は
図5bに示されるように配置されてもよい。
【0075】
図4bは、複数のスポット状の突出部12’を含む
図1の構造化表面を示す。このように、上記複数の突出部は、複数のスポット状の突出部12’を含んでもよく、表面セクション7は、複数のスポット状の突出部12’によって形成されていてもよい。突出部12’は、
図3b、
図3c又は
図5aに示されるように配置されてもよい。
【0076】
図5aは、複数の細長い隆起部12”として形成された
図1の複数の表面部分7を説明する側面図であり、複数の細長い隆起部12”の各々は、例えば
図2a又は
図2bに示されるように配置された、隆起部12”の上にある追加の細長い溝11”を含む。
【0077】
図5bは、複数の凹部11に続く複数の突出部12によって形成された
図1の複数の表面部分7を示す側面図である。このように、複数の表面部分7は、複数の凹部11の少なくとも1つの後には、例えば
図2a又は
図2bに示すように配置された、主な流れ方向MFDにおいて、複数の突出部12の少なくとも1つが続いているように形成されてもよい。
【0078】
上記構造化表面は、エンボス加工、レーザー加工、ブラスト加工、3Dプリンティングのうちの少なくとも1つによって達成されてもよい。
【0079】
図6は、フィルタ1を含むBWR型原子炉用の模式的な燃料集合体13の切断図である。燃料集合体1は、底部14と、頂部15と、燃料集合体13の底部14部分と頂部15部分との間に互いに空間17を空けて、互いに隣り合って配置された複数の燃料棒16とを含む。底部14は、上記の一実施形態に係るフィルタ1を含む。
【0080】
代替案として、底部14及びフィルタ1は、冷却液を空間17に導くように配置されている。
【0081】
図7は、上記の実施形態に係るフィルタ1を含むPWR型原子炉用の模式的な燃料集合体18の切断図である。
図7中の参照符号は、
図6と同一又は類似の要素を示している。
【0082】
本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲において自由に変更されてもよい。