(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】発電モジュール
(51)【国際特許分類】
H02S 10/12 20140101AFI20240607BHJP
H02S 30/10 20140101ALI20240607BHJP
H02S 40/10 20140101ALI20240607BHJP
F03D 1/06 20060101ALI20240607BHJP
F03D 9/25 20160101ALI20240607BHJP
【FI】
H02S10/12
H02S30/10
H02S40/10
F03D1/06 A
F03D9/25
(21)【出願番号】P 2021576756
(86)(22)【出願日】2019-10-21
(86)【国際出願番号】 FR2019052492
(87)【国際公開番号】W WO2020260775
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-10-18
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】519416314
【氏名又は名称】ア・セ・ペ・ヴェ
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】サッシ アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】サッシ ジョスリーヌ
【審査官】原 俊文
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-102104(JP,A)
【文献】特開2005-036779(JP,A)
【文献】中国実用新案第208918362(CN,U)
【文献】中国特許出願公開第108390633(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0221203(US,A1)
【文献】特開2003-065211(JP,A)
【文献】特開2009-257015(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105863963(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103856151(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第109495056(CN,A)
【文献】中国実用新案第207990839(CN,U)
【文献】中国実用新案第205390611(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/02-31/078
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
F03D 1/00-80/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブレード先端部(E11)を形成するブレード(E1)を有する少なくとも1つの風力タービン(E)と、
可撓性の光電パネル(F)で覆われた波型の剛性構造物(S)を含む少なくとも1つの太陽光発電パネル(P)と、を備え、
前記風力タービン(E)は、可撓性の光電パネル(F)の上方に配置され
、鳥類を防除し、可撓性の光電パネル(F)を清浄化
し、
前記太陽光発電パネル(P)は、低凹ゾーン(Z1)および当該低凹ゾーン(Z1)を挟んだ2つの高凸ゾーン(Z2)を形成し、
前記風力タービン(E)は、前記低凹ゾーン(Z1)に配置され、
前記低凹ゾーン(Z1)の底部上面の位置をP1、前記高凸ゾーン(Z2)の頂部の位置をP2、回転する前記風力タービン(E)のブレード先端部(E11)の回転域の最下位置をP3とした場合、前記風力タービン(E)の回転中に前記ブレード先端部(E11)が前記光電パネル(F)に接触せず、かつ、前記位置P1~P3は、前記位置P3が前記位置P1よりも高く、前記位置P2よりも低いという位置関係を有する
ことを特徴とする発電モジュール。
【請求項2】
前記太陽光発電パネル(P)は、可撓性の光電パネル(F)で覆われた波型の剛性構造物(S)を含む波型の基本要素(Pi)の組み立て体からなる
ことを特徴とする請求項
1に記載の発電モジュール。
【請求項3】
前記組み立て体を構成する波型の基本要素(Pi)どうしは、同一形状であり、組み立て可能である
ことを特徴とする請求項
2に記載の発電モジュール。
【請求項4】
波型の基本要素(Pi)はそれぞれ分割円筒または平行直線を接合してなる
ことを特徴とする請求項
2または
3に記載の発電モジュール。
【請求項5】
前記風力タービン(E)は、前記波型の基本要素(Pi)を支持する横木を備える支
柱上に取り付けられている
ことを特徴とする請求項
2から
4のいずれか一項に記載の発電モジュール。
【請求項6】
前記波型の基本要素(Pi)どうしは、低接続点においては横木(T)で固定され、高接続点においてはボールトの形態で接合されている
ことを特徴とする請求項
5に記載の発電モジュール。
【請求項7】
前記可撓性の光電パネル(F)を洗浄するためのスプリンクラー(W)が前記支
柱に取り付けられている
ことを特徴とする請求項
5に記載の発電モジュール。
【請求項8】
前記可撓性の光電パネル(F)および前記少なくとも1つの風力タービン(E)からの電力の少なくとも一部を貯蔵するための蓄電ユニット(B)を含む
ことを特徴とする請求項1から
7のいずれか一項に記載の発電モジュール。
【請求項9】
電力グリッドに接続されており、
前記少なくとも1つの風力タービン(E)は、風が無い場合に、蓄電ユニット(B)または電力グリッドから電力の供給を受けて、連続的に回転する
ことを特徴とする請求項
8に記載の発電モジュール。
【請求項10】
充電式電気自動車(V)を充電するための少なくとも1つの充電端子(C)を備え、
前記充電端子(C)は、前記太陽光発電パネル(P)の下方に設置される
ことを特徴とする請求項1から
9のいずれか
一項に記載の発電モジュール。
【請求項11】
充電式電気自動車(V)を充電するための少なくとも1つの充電端子(C)を備え、
前記充電端子(C)は、前記太陽光発電パネル(P)の下方に設置され、
前記支
柱に前記充電端子(C)が取り付けられている
ことを特徴とする請求項
5に記載の発電モジュール。
【請求項12】
前記支
柱が着脱可能に取り付けられる少なくとも1つの台座(A)を備える
ことを特徴とする請求項
5、6、7および11のいずれか一項に記載の発電モジュール。
【請求項13】
前記剛性構造物(S)および前記支
柱は、軽量かつリサイクル可能な複合材料から作製されている
ことを特徴とする請求項
5、6、7、11および12のいずれか一項に記載の発電モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも2つの異なるエネルギー源、特に、風力及び太陽光を組み合わせた発電モジュールに関する。このため、本発明に係る発電モジュールは、光電センサーと1つまたは複数の風力タービンとを兼ね備える。
【背景技術】
【0002】
公知の平板かつ剛性の太陽光発電パネルは、例えば、太陽光発電所のように、太陽光発電パネル用に設けられた屋根や建造物に取り付けられる。
【0003】
また、公知の風力タービンは、例えば、大型の支柱に取り付けられ、広々とした郊外に設置されたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的に、太陽光発電パネルや風力タービンは都市部には設置されない。また、これらは、個人規模(家屋)や産業規模(太陽光発電所または風力発電所)で設置される一方、これらの中間の規模のものはあまり注目されてこず、ほぼ又はまったく存在していない。
【0006】
本発明は、特に、中間規模での実施に関し、より具体的には、都市環境または農村に適している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、本発明は、波型の太陽光発電パネルと風力タービンと特に有利な位置関係で組み合わせるものであり、風力タービンを、太陽光発電パネルの近傍で、かつ上方に配置する。言い換えると、風力タービンは、太陽光発電パネルに向かって上方から張り出している。このような位置関係には、いくつかの利点がある。まず第1に、風力タービンで鳥類を追い払えば、鳥類の糞で太陽光発電パネルが汚されないようにできる。また、鳥類が発電モジュールの上や内部に営巣しないように、風力タービンで追い払うこともできる。これは特に、ハトが大きな群を作って住み着いているような都市部に当て嵌まる。第2に、風力タービンが起こす風で太陽光発電パネルを恒久的に清掃することができるので、太陽光発電パネル上にほこりや落ち葉(或いは他の細かい粒子)が降り積もるのを防ぐことができる。第3に、太陽光発電パネルを水洗いした場合や、太陽光発電パネルに雨水が降り注いだ場合に、風力タービンで水を吹き飛ばせば、それらをきれいにするのに役立つ。風力タービンのブレード先端部は、光電パネルから1m以内を通過してもよく、または50cm以内であってもよく、有利には20cm以内であり、更には10cm以内であってもよい。
【0008】
このように、本発明に係る発電モジュールは、ブレード先端部を形成するブレードを有する少なくとも1つの風力タービンと、可撓性の光電パネルで覆われた波型の剛性構造物を含む少なくとも1つの太陽光発電パネルと、を備え、風力タービンは可撓性の光電パネルの上方に配置され、ブレード先端部が可撓性の光電パネルの近傍を通過して、鳥類を防除し、可撓性の光起電性パネルを清浄化する。
【0009】
特に有利な特性によれば、光電面は、低凹ゾーンおよび高凸ゾーンを形成し、風力タービンは、低凹ゾーンのレベルに配置される。したがって、光電面は、風力タービンのブレード先端部の軌跡を、ある角度、例えば約30°から90°にわたって追従する。
【0010】
実用的な実施形態では、光電面が、可撓性の光電パネルで覆われた波型の剛性構造物を含む波型の基本要素の組み立て体からなる。有利には、波型の基本要素どうしは、同一形状であり、組み立てることができる。好ましくは、波型の基本要素はそれぞれ、分割円筒または平行直線を接合したものである。したがって、インターロッキングタイルを用いた屋根カバーのように、同一の基本要素を組み立てるだけで、光電パネルを望むだけ構築することができる。これらの基本要素の寸法は、1辺が約1mから2m、すなわち面積が約1から4m2であってもよい。その目的は、基本要素を一人で取り扱って、設置することができるようにすることである。その重量は5kgから15kgを超えてはならない。
【0011】
本発明の別の態様によれば、風力タービンは、波型の基本要素を支持する横木を有する支柱上に取り付けてもよい。実際には、各発電モジュールは、通常、複数の支柱を備えており、複数の風力タービンと、1つまたは2つの光電面とが支柱の横木上に配設される。したがって、支柱は、風力タービンが取り付けられる基本支持要素と、波型の基本要素からなる光電パネルと、を備える。有利には、波型の基本要素は、低い接続点で横木に固定され、高い接続点でアーチ形に接合されている。有利には、支柱にスプリンクラーを設けて、光電パネルを洗浄する。洗浄後、光電パネルを乾かすために風力タービンが役に立つ。
【0012】
発電モジュールは、可撓性の光電パネルからの電力と、少なくとも1つの風力タービンからの電力と、を蓄えるための蓄電ユニットを備えてもよい。有利には、発電モジュールを電力グリッドに接続する。この場合には、少なくとも一つの風力タービンが、風が無くても、蓄電ユニットまたは電力グリッドから電流の供給を受けることができるので、恒常的に回転し続ける。これによって、防鳥機能および清掃機能を永続させることができる。
【0013】
都市部向けには、発電モジュールはまた、再充電可能な電気自動車を充電するための充電端子を少なくとも1つ備えてもよく、充電端子は、光電パネルの下の支柱に有利に取り付けられる。
【0014】
農村により適した持ち運び型では、発電モジュールに、支柱を着脱可能な固定基部を少なくとも1つ設けてもよい。有利には、剛性構造物および支柱は軽量および/またはリサイクル可能な複合材料からなる。したがって、農業従事者は、1または複数の発電モジュールを借りるか購入するかして、休耕地に好きなように設置することができる。持ち運び型の発電モジュールは小型かつ軽量なので容易に移設することができる。風力タービンおよび基本要素は、支柱から取り外して、取り扱いを容易にすることができ、あるいは逆に、それらの風力タービンおよび剛性構造物を有する支柱は一体で取り扱えば、吊り上げ装置が不要になる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の範囲は、風力タービンが、(主に市街地のハトや郊外のムクドリに対して)「案山子」の役割を果たすとともに、集塵装置や乾燥装置としても機能して、光電パネルを保護し、清潔さを維持することにある。可撓性の光電パネルやフィルムを波型の剛性構造物に取り付ければ、太陽および/または風力タービンに関して最適化された所望の輪郭形状を得ることができる。1つ(または複数)の中央支持支柱を用いて風力タービン、スプリンクラーおよび充電端子を支持する点が特に有利な特徴である。
【0016】
以下、非限定的な例として、本発明の2つの実施形態を示す添付図面を参照して、本発明をより完全に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】電気自動車の充電スタンドの形態の発電モジュールの斜視図である。
【
図2】
図1の充電ステーションの概略正面および断面図である。
【
図3】特に農村で使用するための、持ち運び型発電モジュールの概略正面および断面図である。
【
図4】本発明の波型の基本要素の概略斜視図である。
【
図5】
図4の波型の基本要素を実装した本発明の発電モジュールを示す平面図である。
【
図6】変形例に係る発電モジュールの概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
まず、
図1を参照して、本発明の発電モジュールを詳細に説明する。この発電モジュールは電気自動車用の充電ステーションの形態をとっているので、都市部(大都市、大規模、中規模および小規模市街地、村落)での利用に適している。
図1に示すように、電気自動車の充電ステーションは、5基の風力タービンEと、2面の太陽光発電パネルPとを備えている。この充電ステーションは、都市部と郊外とのどちらに設置しても、特に、他の地域から隔絶した地域の問題に対処して、電気自動車を満遍なく割り振ることができる。風力タービンEは支柱Mの頂部に設置されており、支柱Mは地面に固定されている。また、これらの支柱Mは、2面の太陽光発電パネルPの支持体としての役割も果たす。支柱Mは、更に充電端子Cの支持体にもなっており、充電端子Cは地面または地面に近い高さに設置されている。したがって、電気自動車Vの利用者は、充電端子Cのひとつで車のバッテリーを充電することができる。舗装道路沿いに発電モジュールを設置すれば、キックボード、自転車、電動スクーターおよびホバーボードの充電にも利用することができる。
【0019】
風力タービンEは、それぞれ3つのブレードE1を備えており、これらのブレードE1は風を受けて回転するためのものである。風力タービンEは、それぞれ風向に合わせて、支柱M上で旋回することができる。風力タービンEは、平均的な大きさであり、有利には、極めて静かである。ブレードE1の長さは、有利には、0.5mを超えない。
【0020】
図1において、風力タービンEは、太陽光発電パネルPから1m乃至2m上方に配置されていることに留意されたい。ブレードE1の先端部E11は、太陽光発電パネルPから20cm以内を通過してもよい。このようにすれば、風力タービンEのブレードE1が回転することによって、太陽光発電パネルPの上面を掃引する気流が発生する。この気流によって、太陽光発電パネルPに堆積した物体(落ち葉や塵)を太陽光発電パネルPの表面から除去することができる。また、風力タービンEは、太陽光発電パネルPに滞留する恐れのある雨水や洗浄水を排水する。他方、風力タービンEは、太陽光発電パネルPに鳥類を近付けない「案山子」の役割も果たす。このように、風力タービンEは、単に太陽光発電パネルPの上方近くに配置するだけで、太陽光発電パネルPの保護、清掃および乾燥の3つの機能を兼ね備える。
【0021】
ここで、充電ステーションは、
図1に示すように、2つの太陽光発電パネルPを備えている。太陽光発電パネルPは成形されており、特に、起伏を有している。太陽光発電パネルPはそれぞれ支持構造物Sを含み、支持構造物Sは剛性で起伏を有する。支持構造物Sは、例えば、極めて軽量な複合材料を用いて作成してもよい。
【0022】
支持構造物Sの起伏はランダムではなく、分割円筒または平行直線を接合してなることに留意されたい。
【0023】
光電センサーは、その輪郭形状に応じて支持構造物S上に配置される。有利には、光電センサーは、半可撓性または可撓性の薄い光電フィルムまたは光電パネルの形態をとっており、支持構造物Sの輪郭形状にぴったりと適合する。光電フィルムは、ASCA(登録商標)の商標でARMOR社が販売しているようなポリマーベースの有機タイプであってもよい。半可撓性の光電パネルは、SunPower(登録商標)社が販売しているものでもよい。光電フィルムまたは光電パネルFは、支持構造物Sの上面を覆うが、下面ならびに側縁も覆ってもよい。実際、この光電フィルムまたは光電パネルFは特に光の感度が高く、光は支持構造物Sの下面にも到達する。このため、光電フィルムまたは光電パネルFで全面を被覆した支持構造物Sからなる太陽光発電パネルPを設計してもよい。光電フィルムの色を設置場所に応じて選択することもできる。例えば、田舎では緑色にしたり、都市部には緑以外の色にしたりし、また荒れ地や砂漠では砂の色に合わせてもよい。
【0024】
図2は、
図1の充電ステーションを別の角度から見た図であって、一部に断面が示されている。太陽光発電パネルPは、支柱Mに固定された水平な横木Tによって支持される。太陽光発電パネルPは、任意の適切な技術的手段を用いて水平な横木Tに固定すればよい。また、太陽光発電パネルPは、低凹ゾーンZ1と高凸ゾーンZ2とを交互に、かつ、連続して形成するように波打っていることにも留意されたい。太陽光発電パネルPは、風力タービンEのブレードE1の先端部E11が実質的に一定の間隔で低凹ゾーンに追従するように、低凹ゾーンZ1で水平な横木T上に取り付けられる。また、低凹ゾーンZ1は、ブレードE1の先端部E11の軌道を、例えば約30°から90°までの大きさの角度範囲に亘って追跡してもよい。このようにすれば、太陽光発電パネルPのブレードE1の先端部E11をできるだけ近づけて、保護機能および清掃機能の一層の向上を図ることができる。
【0025】
図1及び
図2の充電ステーションは、もちろん、発電した電力を国内の電力グリッドに供給するために必要な設備を完備している。特に、この装置は、1つ以上のインバーターを含んでもよい。ステーションは更に蓄電ユニットBを備えてもよい。蓄電ユニットBは、蓄電池または乾電池の形態であってもよい。このようにすれば、発電した電力の一部を蓄電することができる。特に、充電端子およびモーターに電力を供給すれば、風力タービンEを旋回させることができる。蓄電ユニットBは、
図2に示すように、例えば、支柱Mの上端近くに設置された、スプリンクラーまたはクリーニングノズルWを制御してもよい。したがって、太陽光発電パネルPは、スプリンクラーWを用いて自動的に清掃した後、風力タービンEを用いて乾燥してもよい。このようにして、完全に自動化された充電ステーションは、電力の意味でも、太陽光発電パネルPの清掃手段の意味でも、完全に自律的な充電ステーションが得られた。もちろん、充電端子Cは、主電源から給電を受けてもよく、風力タービンEおよび太陽光発電パネルPからの電力が十分でない場合は特にそうである。
【0026】
本発明に係る風力タービンは、発電だけでなく、鳥類を防除したり、光電パネルを清浄にしたりするためにも使用される。このため、風力タービンは恒常的に、または少なくとも大部分の期間、回転するのが有利である。このために、十分な風が得られない場合には、蓄電ユニットBまたは電力グリッドから、風力タービンに電力を供給することが賢明である。蓄電ユニットBが、風力タービンE(及び太陽光発電パネルP)によって充電されることを考えると、風力タービンは自家給電型であるといえる。
【0027】
図3に示すように、本発明の別の発電モジュールは、小型の太陽光発電および風力発電プラントの形態をとっていると見做すことができ容易に移動させることができる。それは農村だけでなく、庭園、私設公園などにも容易に設置することができる。
【0028】
第1の実施の形態との主な相違は、風力タービンEおよび太陽光発電パネルPを支持する支柱M´が地面に固定されておらず、地面に置かれた固定用の台座Aに着脱可能に取り付けられている点である。ここで、支柱M´は充電端子Cが取り付けられていないので、太陽光発電パネルPをもう少し地面の近くに配置することができる。この小型太陽光発電兼風力発電プラントは、支柱M´が移動可能な台座Aに着脱可能に取り付けらので、容易に移動させることができるという利点がある。したがって、農業従事者などのユーザーは、休耕地で好きなように小型発電プラントを移動させることができる。太陽光発電パネルPは、水平な横木Tから取り外せてもよいし、取り外せなくてもよい。風力タービンEは、支柱M´から取り外せても、取り外せなくてもよい。このように、ユーザーは発電モジュールを分解し、台座Aを移動させた後、再度、発電モジュールを組み立てることができる。変形例では、発電モジュールは、組み立てられた状態のまま、一体として移動してもよい。発電モジュールが軽量だからと言って建機を用いる言い訳にはならない。
【0029】
具体的には、太陽光発電パネルPはそれぞれ長さ20mで、幅が1mから2mであってもよい。剛性構造物Sが波型になっているいるので、太陽光発電パネルP毎の有効長さは約25mである。発電モジュール毎に利用可能な光電パネルの面積は約50m2から100m2である。太陽光発電パネルP毎の重量は約50kgであってもよい。
【0030】
太陽光発電パネルPはそれぞれ、光電フィルムまたは光電パネルFで覆われた一体型の支持構造物Sを用いて、一体で設計することができる。変形例として、太陽光発電パネルPは、
図4に示すように、例えば1m×2mのように小型で波型の基本要素Piの集合体であってもよい。波型の基本要素Piはすべて、同一形状であるのが好ましく、組み立て可能であれば尚好適である。基本要素Piの波型形状はまた分割円筒または平行直線を接合したものである。波型の基本要素Piは、太陽光発電パネルPと同様に、どれも光電フィルムまたは光電パネルFで被覆された波型の剛性構造物Sを含む。
【0031】
基本要素Piの組み立ては、単純なインターロックによって行われ、目的の寸法の太陽光発電パネルPが形成される。このため、各基本要素Piは、2つの対向する直線エッジにおいて、波型の剛性構造物SにサネS1と溝S2が設けられている。
図5に示すように、基本要素Piどうしは、低接続点および高接続点において端嵌め接ぎによって接合される。低接続点は横木Tに配置されており、例えばネジ止めによって、基本要素Piを固定することができることに留意されたい。高接続点は支持されないが、自立したボールトが形成される。
【0032】
タイルの代わりに、基本要素Piを用いて屋根の覆いにすることができる。
【0033】
この軽量なモジュール構成という技術思想にあっては、支柱M、M´は、例えば1mから2mまでの、短い支柱をインターロックによって継いだものであってもよい。
図6に示すように、本発明の発電モジュールはまた、太陽光発電パネルPの下面が光電フィルムまたは光電パネルFで覆われており、太陽光発電パネルPの下方に配置した反射板Rを用いて、太陽光発電パネルPの下面に向かって光を反射してもよい。反射板Rは、支柱Mに取り付けた第2の横木T1を用いて支持してもよい。反射板Rにはガラスや金属などの光を反射することができる任意の材料を用いることができる。したがって、太陽光発電パネルPの効率を最適化することができる。
【0034】
発電モジュールの設置場所によっては、防風壁を設置することによって、発電モジュールの耐風性を抑える場合がある。
【0035】
本発明によれば、都市環境や農村に、中規模の発電モジュールを設置して、利用することができるようになる。風力タービンと波型の光電パネルの組み合わせ相乗効果によって、光電パネルを最大限に保護するとともに、保守を簡便化することができる。さらに、さまざまな要素が小型軽量化されており、組み立てと設置が極めて簡便なので、専門的なスキルを有していない作業者であっても、一人で発電モジュールを設置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本開示に係る発電モジュールは、風力発電および太陽光発電を組み合わせた発電モジュールとして有用である。
【符号の説明】
【0037】
C………充電端子
E………風力タービン
E1……ブレード
E11…ブレード先端部
F………光電フィルム
M………支柱
P………光電パネル
S………剛性構造物
V………電気自動車