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特許7499800注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置
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  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図1
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図1A
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図2
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図3
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図4
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図5
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図6
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図7
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図8
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図9
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図10
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図11
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図12
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図13
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図14
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図15
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図16
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図17
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図18
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図19
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図20
  • 特許-注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置 図21
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための、一体型伸縮式バイアルアダプタを備えた液体移動装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/20 20060101AFI20240607BHJP
   A61M 5/162 20060101ALI20240607BHJP
   A61M 39/10 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
A61M5/162
A61M39/10
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022034036
(22)【出願日】2022-03-07
(62)【分割の表示】P 2019524269の分割
【原出願日】2017-11-30
(65)【公開番号】P2022081582
(43)【公開日】2022-05-31
【審査請求日】2022-03-07
(31)【優先権主張番号】249408
(32)【優先日】2016-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】506361719
【氏名又は名称】ウエスト・ファーマ.サービシーズ・イスラエル,リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】レブ,アミール
(72)【発明者】
【氏名】デネンバーグ,イゴール
(72)【発明者】
【氏名】ダビデ,ウリ
【審査官】上石 大
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3205560(JP,U)
【文献】特表平11-512309(JP,A)
【文献】特表2016-515439(JP,A)
【文献】特表2003-513709(JP,A)
【文献】特許第7038117(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2015/0112297(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 5/162
A61M 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容するバイアル管と無穿孔の注射バイアルストッパによって塞がれたバイアル頂部により画定された開口とを備える注射バイアルに解放可能に接続するように構成された液体移動装置であって、
前記液体移動装置が、長手方向のバイアルアダプタ中心線を有する一体型伸縮式バイアルアダプタを備え、
前記一体型伸縮式バイアルアダプタは、
前記長手方向のバイアルアダプタ中心線を横切る環状内側バイアルアダプタ本体壁部とバイアル頂部スリーブリムで終わっている長手方向に延びるバイアル頂部スリーブとを備えた、内側バイアルアダプタ本体と、
前記長手方向のバイアルアダプタ中心線を横切る外側バイアルアダプタ本体壁部と、長手方向に延びる裾部とを備え、前記内側バイアルアダプタ本体を内部に伸縮式に受ける、外側バイアルアダプタ本体と、
を含み、
前記一体型伸縮式バイアルアダプタは、前記外側バイアルアダプタ本体壁部と前記バイアル頂部スリーブリムとの間の距離が初期距離である圧縮前状態から、前記外側バイアルアダプタ本体壁部と前記バイアル頂部スリーブリムとの間の距離が前記初期距離より小さい最終距離である圧縮状態へと移行するように構成されており、
前記外側バイアルアダプタ本体は、前記バイアル管に収容される薬剤との流体連通を可能にするため前記注射バイアルストッパを穿孔させるように構成された穿孔カニューレと、前記一体型伸縮式バイアルアダプタを前記圧縮前状態から前記圧縮状態に圧縮することを防止するための安全装置機構と、前記一体型伸縮式バイアルアダプタを前記圧縮状態で不可逆的にクランプするためのクランプ装置とを備える、液体移動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記安全装置機構が、ひねって解除する安全装置機構によって構成され、前記ひねって解除する安全装置機構は、
前記外側バイアルアダプタ本体における対称な位置にある1対のL字形状のトラックであって、それぞれの前記L字形状のトラックが、主トラック区間と、副トラック区間と、前記長手方向に延びる裾部に隣り合う開始トラック端部と、前記外側バイアルアダプタ本体壁部に隣り合う終了トラック端部とを有する、前記L字形状のトラックと、
前記圧縮前状態の前記開始トラック端部から前記圧縮状態の前記終了トラック端部まで、前記対称な位置にある1対のL字形状のトラックに沿って進む、前記内側バイアルアダプタ本体における対称な位置にある1対の半径方向外向きの突出部と、を含む、装置。
【請求項3】
請求項2に記載の装置であって、それぞれの前記終了トラック端部が、前記バイアルアダプタを不可逆的に前記圧縮状態でクランプするための一方通行装置を含む、装置。
【請求項4】
請求項2に記載の装置であって、前記内側バイアルアダプタ本体が、半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみを有し、前記外側バイアルアダプタ本体が、前記初期の圧縮前状態では前記半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみに直交する、対称な位置にある1対の滑り防止表面を有する、装置。
【請求項5】
請求項1に記載の装置であって、
前記安全装置機構が、引いて解除する安全装置機構を備え、前記長手方向のバイアルアダプタ中心線と同方向に、前記外側バイアルアダプタ本体に対して前記内側バイアルアダプタ本体を延出させることにより前記安全装置機構が解除され、前記圧縮前状態から前記圧縮状態への前記一体型伸縮式バイアルアダプタの前記圧縮が可能になる、装置。
【請求項6】
請求項1に記載の装置であって、前記安全装置機構が、前記圧縮前状態において前記外側バイアルアダプタ本体を通って横方向に延在する安全装置を含み、それによって前記圧縮前状態から前記圧縮状態への前記一体型伸縮式バイアルアダプタの前記圧縮が防止される、装置。
【請求項7】
請求項1に記載の装置であって、
前記バイアル頂部スリーブが、バイアル頂部スリーブ主囲繞部と、前記バイアル頂部スリーブ主囲繞部に対して枢動可能な、対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材とを含み、したがって、それぞれの前記バイアル頂部保持部材が、バイアル頂部保持部材近位部分およびバイアル頂部保持部材遠位部分を有し、
それぞれの前記バイアル頂部保持部材遠位部分が、前記バイアル頂部スリーブリムのほうに、前記バイアル頂部の下にスナップフィットする、半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部を有し、
前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材近位部分が、前記バイアル頂部スリーブ主囲繞部に対して枢動可能であり、したがって、前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材近位部分に圧縮を加えることにより、前記対称な位置にある1対の半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部が、径方向外側に移動し、前記内側バイアルアダプタ本体から前記無穿孔の注射バイアルが解放される、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置であって、前記長手方向に延びる裾部が、前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材へのアクセス手段を提供するための、対称な位置にある1対の貫通アパーチャを含む、装置。
【請求項9】
請求項7に記載の装置であって、前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材が、前記環状内側バイアルアダプタ本体壁部を軸に枢動する、装置。
【請求項10】
請求項1に記載の液体移動装置と、
無穿孔の注射バイアルを前記内側バイアルアダプタ本体から解放するように構成されたバイアル解放ツールと、
を含む、キット。
【請求項11】
請求項10に記載のキットであって、
前記バイアル解放ツールは対向する1対の掴み具を備え、それぞれの掴み具は内向き突出部を備える、キット。
【請求項12】
請求項11に記載のキットであって、
前記バイアル解放ツールは、前記内向き突出部が前記バイアル頂部スリーブの対称な位置にある一対のバイアル頂部保持突出部を径方向に押すとき、前記無穿孔の注射バイアルを前記内側バイアルアダプタ本体から解放するように構成されている、キット。
【請求項13】
請求項1に記載の液体移動装置であって、
前記一体型伸縮式バイアルアダプタは、前記外側バイアルアダプタ本体に対する前記内側バイアルアダプタ本体の前記長手方向のバイアルアダプタ中心線の回りの回転に応答して前記圧縮前状態から前記圧縮状態へ移行するように構成されている、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液体移動装置であって、
前記外側バイアルアダプタ本体に対する前記内側バイアルアダプタ本体の最初の回転は前記一体型伸縮式バイアルアダプタを前記圧縮前状態から中間段階変位状態へと変位させ、前記外側バイアルアダプタ本体に対する前記内側バイアルアダプタ本体の引き続く回転は前記体型伸縮式バイアルアダプタを前記中間段階変位状態から前記圧縮状態へと変位させる、装置。
【請求項15】
請求項2に記載の液体移動装置であって、
それぞれの主トラック区間は前記長手方向のバイアルアダプタ中心線と同方向であり、それぞれの副トラック区間は前記長手方向のバイアルアダプタ中心線を横切る、装置。
【請求項16】
請求項6に記載の液体移動装置であって、
前記安全装置の前記外側バイアルアダプタ本体からの取り外しは、前記一体型圧縮式バイアルアダプタを前記圧縮前状態から前記圧縮状態へと圧縮させることを可能にする、装置。
【請求項17】
請求項7に記載の液体移動装置であって、
対称の位置にある一対の前記バイアル頂部保持部材近位部分への圧縮は、ハサミのような圧縮を加えるための一対の対向する内向きの突出部を備えたバイアル解放ツールによって適用される、装置。
【請求項18】
請求項1に記載の液体移動装置であって、
IVポートに封止式に挿入するための液体移動装置のIVスパイクと、前記一体型伸縮式バイアルアダプタを備えたバイアルアダプタポートと、代替IVポートとを有する、三つ叉に分かれたコネクタ本体をさらに含む、装置。
【請求項19】
請求項18に記載の液体移動装置であって、
前記液体移動装置のIVスパイクは、前記バイアルアダプタポート及び前記代替IVポートと途切れることなく直接流体連通し、これによって薬用注入液の初期の形成を可能にし、引き続く該薬用注入液の投与を可能にする、装置。
【請求項20】
請求項1に記載の液体移動装置であって、
前記圧縮前状態では、前記穿孔カニューレの遠位先端が前記無穿孔の注射バイアルストッパの上に重なり、前記圧縮状態では、前記穿孔カニューレの遠位先端が前記注射バイアルストッパを穿孔する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に医療装置に関し、詳細には、注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための液体移動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
Liquid Transfer Devices for Use with Infusion Liquid Containersと題し、WIPO国際公開第WO2015/019343号の下で公開された、本明細書と同一所有者のWIPO国際出願第PCT/IL2014/050680号には、患者に投与するための薬用注入液を備えた注入液容器を準備するのに役立つ、注入液容器および個別注射バイアルと共に使用するための液体移動装置が開示されている。注入液容器は、注入液バッグ、注入液ボトルなどの形をとることができる。注入液容器は注入液を収容し、静脈内(IV)ポートまたは投与ポートを有する。WO2015/019343の図4および図5には、これ以降WO2015/019343の液体移動装置と呼ばれる液体移動装置が示されており、WO2015/019343の図6には別の液体移動装置が示されており、WO2015/019343の図7にはさらに別の液体移動装置が示されている。
【0003】
WO2015/019343の液体移動装置は、IVポートに封止式に挿入するためのIVスパイクと、個別注射バイアルにスナップフィットさせて伸縮式にマウントされ、それによって個別注射バイアルと流体連通する一体型バイアルアダプタを備えたバイアルアダプタポートと、ツイスト・オフ式代替IVポートとを有する、三つ叉に分かれたコネクタ本体を含む。ツイスト・オフ式代替IVポートは隔壁を含み、この隔壁は、初めは封止されており、その後、注入セットのIVスパイクの挿入時に穿孔される。二叉に分かれた本体は、IVスパイク用、バイアルアダプタポート用、およびツイスト・オフ式代替IVポート用の3つの内部空洞を有する。3つの内部空洞は、3方向に途切れることなく直接流体連結しており、したがって、薬用注入液を備えた注入液容器の準備は、以下のステップを含む:
ステップ1 個別注射バイアルに液体移動装置のバイアルアダプタをスナップフィットさせて伸縮式にマウントするステップ。
【0004】
ステップ2 液体移動装置のIVスパイクを注入液容器のIVポートに挿入して、注入液容器と個別注射バイアルの間に直接的な流路を確立するステップ。
ステップ3 注入液容器から個別注射バイアルへと、液体内容物を繰り返し行き来させて移動させ、それによって注射バイアルの薬剤を混合し、または復元して、注入液容器内に薬用注入液を形成するステップ。
【0005】
ステップ4 液体移動装置の代替IVポートを開き、注入セットのIVスパイクをその中に挿入して、注入液容器から患者へと重力で薬用注入液を流す準備が整った注入セットと注入液容器との間に、直接的な流路を確立するステップ。
【0006】
いくつかの医療機関では、投与直前にステップ1~ステップ4を患者の横で素早く連続して実施するが、手に手袋をはめた医療提供者が、液体移動装置および個別注射バイアルの取扱いを器用にこなさなければならない。他の医療機関では、こうしたベッドサイドでの調製は不便で問題が多いと考えられており、ステップ1~ステップ3を予め実施し、ステップ4のみを投与直前に患者の横で実施することが好まれる。しかし、このように薬用注入液を早くに調製すると、薬用注入液に悪影響をもたらす可能性のある、調製と投与の間の遅れが本質的に生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
薬用注入液の投与を容易にする必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述のWO2015/019343の液体移動装置に類似した液体移動装置を対象とする。本発明の液体移動装置は、以下のように前者とは異なる:第1に、液体移動装置は一体型伸縮式バイアルアダプタを含み、この一体型伸縮式バイアルアダプタは、個別注射バイアルにスナップフィットして伸縮式にマウントされるが、その注射バイアルストッパが後の圧縮まで無穿孔のままであり続けるという意味において、個別注射バイアルを完全な状態に保つ。第2に、一体型伸縮式バイアルアダプタは、圧縮前状態から圧縮状態へのその注意深い圧縮を防止するための、安全装置機構を含む。安全装置機構は、その解除のために、ユーザによる解除動作を必要とする。ユーザによる解除動作には、とりわけ、ひねる動作、引く動作、安全装置の取外しなどが含まれ得る。そして第3に、一体型伸縮式バイアルアダプタは、一体型伸縮式バイアルアダプタを不可逆的にその圧縮状態でクランプするためのクランプ装置を含む。本発明の液体移動装置は、ツイスト・オフ式代替IVポートに限定されず、たとえば、注入セットのIVスパイクを中に挿入するために、脆い構成要素を折って代替IVポートを開くことが必要とされる代替IVポートが、同様に装着されてもよい。
【0009】
液体移動装置を用いると、好ましくは、スナップフィットさせて伸縮式にマウントした後、ユーザが圧縮してその注射バイアルストッパを穿孔する前に、無穿孔の完全なままの個別注射バイアルを一体型伸縮式バイアルアダプタから容易に取り外すことが可能になる。こうした取外しにより、薬用注入液を早くに調製し、その後、その薬用注入液を患者に投与する必要がなくなったと決定された場合に普通なら生じ得る、注射バイアルの損失を防止することができる。こうした取外しは、好ましくはハサミのような圧縮によって実現される。ハサミのような圧縮は、対向する1対の内向き突出部を有する、完全なままの個別注射バイアル解放ツールによって行われる。完全なままの個別注射バイアル解放ツールは、ハサミ状ハンドツールとして構成されてもよく、ユーザが操作する電気機械的機器として構成されてもよい。手動での取外しとは対照的に、無穿孔の完全なままの個別注射バイアルを取り外すために、完全なままの個別注射バイアル解放ツールを使用することにより、承認を受けた医療提供者のみがそれを取り外すことが可能になる。
【0010】
本発明を理解し、それが実際にどのように実施され得るのかを確認するために、次に、
単なる非限定的な例として、添付図面を参照して好ましい実施形態を説明する。各図面中、同様の部分には同様の番号を付けている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】注入液バッグ、WO2015/019343の液体移動装置、個別注射バイアル、および注入セットを含む、従来の投与セットの絵画的な図である。
図1A図1の断面線1A~1Aに沿った、個別注射バイアルの長手方向断面図である。
図2図2Aは、WO2015/019343の液体移動装置の平面図である。図2Bは、図2Aの断面線2B~2Bに沿った、WO2015/019343の液体移動装置の長手方向断面図である。
図3】個別注射バイアルにマウントするための、ひねって解除する安全装置機構を有する一体型伸縮式バイアルアダプタを含む、圧縮前状態の液体移動装置、および無穿孔の完全なままの個別注射バイアルを液体移動装置から解放するためのハサミ状ハンドツールの正面斜視図である。
図4図3の液体移動装置の正面図である。
図5図3の液体移動装置の右側面図である。
図6図3の液体移動装置の左側面図である。
図7図3のバイアルアダプタの分解斜視図である。
図8図3の断面線8~8に沿った、図3の液体移動装置の長手方向断面図である。
図9】個別注射バイアルにマウントされた、初期の圧縮前状態の図3の液体移動装置の正面図である。
図10図9の断面線10~10に沿った、個別注射バイアルにマウントされた図3の液体移動装置の長手方向断面図である。
図11】無穿孔の完全なままの個別注射バイアルを図3の液体移動装置から解放するための、圧縮前状態でのハサミ状ハンドツールの使用法を示す左側面図である。
図12図11の断面線12~12に沿った、図3の液体移動装置の長手方向断面図である。
図13】個別注射バイアルにマウントされた、中間段階変位状態の図3の液体移動装置の正面図である。
図14図13の断面線14~14に沿った、個別注射バイアルにマウントされた図3の液体移動装置の長手方向断面図である。
図15】個別注射バイアルと流体連通するように個別注射バイアルにマウントされた、圧縮状態の図3の液体移動装置の正面図である。
図16図15の断面線16~16に沿った、個別注射バイアルにマウントされた図3の液体移動装置の長手方向断面図である。
図17】引いて解除する安全装置機構を有する、圧縮前状態の液体移動装置の正面斜視図である。
図18】中間段階変位状態の、図17の液体移動装置の長手方向断面図である。
図19】圧縮状態の、図17の液体移動装置の長手方向断面図である。
図20】安全装置を備えた安全装置機構を有する、圧縮前状態の液体移動装置の正面斜視図である。
図21】その安全装置を取り除いた後の、圧縮状態の図20の液体移動装置の正面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1には、注入液容器20と、初めは無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30と、注入セット50と、WO2015/019343の液体移動装置60とを含む投与セット10が示してある。注入液容器20は、IVポートまたは投与ポート21、および注射ポート22を有し、また注入液23を収容した静脈内(IV)バッグによって構成される。
IVポート21は、投与の目的でIVスパイクを挿入するための、ツイスト・オフ式キャップ24によって封止されている。注射ポート22は、シリンジの内容物をIVバッグ20へとニードル挿入するための封止シーリングプラグ27を備えた、注射ポート先端26を末端とする。
【0013】
図1Aには、個別注射バイアル30が長手方向の注射バイアル中心線31を有し、端部が閉じたバイアル管32、頂部開口34を有する管状のバイアル頂部33、およびバイアル管32とバイアル頂部33の間のバイアル狭窄部36を含むことが示してある。注射バイアル30は、頂部開口34を気密封止するための注射バイアルストッパ37を含む。バイアル頂部33は、バンド38によって覆われている。注射バイアル30は、注入液23に添加して薬用注入液を形成するための薬剤39を収容する。薬剤39は、固体形態でも、粉末形態でも、液体形態でもよい。注射バイアル30は、薬用注入液を形成するために注射バイアル30を利用する前に滅菌される、最上部注射バイアル表面41を有する。注射バイアル30は、再び取り付けることができない形で使用直前に取り除かれて最上部注射バイアル表面41を露出させる、フリップ・オフ式不正開封防止キャップ42を含む。不正開封防止キャップ42は1回限りの使用を意図しており、したがって取り除いた後に再び取り付けることはできない。
【0014】
注入セット50はIVスパイク51を含み、追加的に、第1の管路52、クランプ53、ドリップチャンバ54、第2の管路56、ローラークランプ57、およびオスのルアーコネクタ58を含む。
【0015】
図1図2Aおよび図2Bには、WO2015/019343の液体移動装置60が、長手方向のコネクタ本体中心線62を有する三つ叉に分かれたY字形状のコネクタ本体61と、IVポート21へと封止式に挿入するためのIVスパイク63と、バイアルアダプタポート64と、ツイスト・オフ式代替IVポート66とを含むことが示してある。IVスパイク63は、IVスパイク先端63Aを有する。バイアルアダプタポート64は、長手方向のコネクタ本体中心線62と交差するバイアルアダプタ中心線68を有する、一体型バイアルアダプタ67を有する。バイアルアダプタ67は、穿孔カニューレ先端71を備えた穿孔カニューレ69を有する。コネクタ本体61は、IVスパイク63を末端とする内部空洞72と、穿孔カニューレ69と流体連通した内部空洞73と、代替IVポート66を末端とする内部空洞74とを有する。3つの内部空洞72、73および74は、3方向に途切れることなく直接流体連結している。代替IVポート66は、適した可撓性プラスチック材料、たとえばPVCなどから形成されて、IVスパイク51を封止式に受ける。代替IVポート66は、IVスパイク51の挿入に際して穿孔されるものである、隔壁76を含む。代替IVポート66は、近位部分66Aおよび遠位部分66Bを含む。使用に際して、遠位部分66Bをねじり折って近位部分66Aから外し、それにより、注入セットのIVスパイク51で穿孔するために隔壁76を露出させる。液体移動装置60は、IVスパイクカバー77を含んでIVスパイク63を保護してもよい。
【0016】
図3図16には、WO2015/109343の液体移動装置60と構造および動作が同様の、液体移動装置100Aが示してある。図3には、無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30を解放するための、ハサミ状ハンドツール200も示してある。ハサミ状ハンドツール200は、内向き突出部203をそれぞれ末端とする対向する1対の掴み具202を備えた、ハサミ状本体201を含む。対向する1対の掴み具202は、互いに向かって手動で容易に押し進められ、それにより、本明細書において図11および図12を参照して以下に記載するように、ハサミのような圧縮を加えて、無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30を解放することができる。
【0017】
液体移動装置100Aは、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aを有し、2パー
ツ構造、すなわち内側バイアルアダプタ本体102および外側バイアルアダプタ本体103を有する一体型伸縮式バイアルアダプタ101を含むという点において、液体移動装置60とは異なる。一体型伸縮式バイアルアダプタ101は、ユーザが不注意で圧縮前状態から圧縮状態へと圧縮することを防止するための、ひねって解除する安全装置機構104と、一体型伸縮式バイアルアダプタ101を不可逆的にその圧縮状態でクランプするためのクランプ装置106とを含む。追加的に、一体型伸縮式バイアルアダプタ101は、逆さまになったT字形状の封止部材107を含む。
【0018】
内側バイアルアダプタ本体102は、最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部108と、最下部のバイアル頂部スリーブリム109Aを備えた下方懸架バイアル頂部スリーブ109とを含む、逆さまになったカップの形状を有する。内側バイアルアダプタ本体102は、内側バイアルアダプタ本体102をバイアル頂部33に伸縮式にスナップフィットさせた際にバイアル頂部33をぴったりと受けるための、バイアル頂部空洞111の境界を定める。最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部108は、個別注射バイアル30に伸縮式にスナップフィットさせた際に最上部注射バイアル表面41の上に重なる、最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部中心貫通アパーチャ108Aを、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aに沿って有する。
【0019】
バイアル頂部スリーブ109は、長手方向に向いた隣り合う第1の対のスリット113Aと長手方向に向いた隣り合う第2の対のスリット113Bとを備えたバイアル頂部スリーブ主囲繞部112を含み、それに対応して、対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材114Aおよび114Bを形成する。対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材114は、バイアル頂部スリーブ主囲繞部112に対して枢動可能であり、したがって、各バイアル頂部保持部材114は、バイアル頂部保持部材近位部分116と、バイアル頂部保持部材遠位部分117とを有する。最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部108は、好ましくは、対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材114の内側に、対称な位置にある1対の切欠き118を有し、それにより、対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材114は、最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ壁部108を軸に枢動する。
【0020】
それぞれのバイアル頂部保持部材遠位部分117には、初めは無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30に内側バイアルアダプタ本体102を伸縮式にスナップフィットさせた際にバイアル頂部33の下にスナップフィットする、半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部119が、最下部のバイアル頂部スリーブリム109Aのほうにそれぞれ設けられている。長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aに向かって、バイアル頂部保持部材近位部分116に対してハサミのような圧縮を加えると、バイアル頂部保持部材114Aおよび114Bがバイアル頂部スリーブ主囲繞部112に対して枢動し、それにより、半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部117が長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aから遠ざかる。
【0021】
最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部108は、対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材114Aおよび114Bに直交する、対称な位置にある1対の直立ウイング121Aおよび121Bを有する。対称な位置にある1対の直立ウイング121は、ひねって解除する安全装置機構104とクランプ装置106の両方の構成要素をなす、半径方向外向きの突出部122をそれぞれ有する。バイアル頂部スリーブ109は、辺縁のバイアル頂部スリーブ表面109Bを有し、これは、液体移動装置100Aを作動させるための、1とラベル表示した円形矢印で示された第1のユーザステップと、2とラベル表示した垂直矢印で示された第2のユーザステップとを表示する、対称な位置にある1対のユーザ表示を有する。バイアル頂部スリーブ109は、最下部の下方懸架バイアル頂部スリーブリム109Aのほうに、半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみ10
9Cを有する。
【0022】
外側バイアルアダプタ本体103は、最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123と、最下部の裾部リム124Aを備えた下方懸架裾部124とを含む、逆さまになったカップの形状を有する。最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123は、バイアルアダプタポート64と一体化してマウントされる。外側バイアルアダプタ本体103は、一体型伸縮式バイアルアダプタ101を圧縮前状態から圧縮状態へと圧縮した際に内側バイアルアダプタ本体102をぴったりと伸縮式に受けるための、内側バイアルアダプタ本体空洞126の境界を定める。
【0023】
最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123は、近位穿孔カニューレ開口127Aおよび遠位穿孔カニューレ先端127Bを備えた、下方懸架穿孔カニューレ127を含む。近位穿孔カニューレ開口127Aは、バイアルアダプタポート64と流体連通しており、遠位穿孔カニューレ先端127Bは、液体移動装置100Aの圧縮状態において、注射バイアルストッパ37を穿孔する。
【0024】
下方懸架裾部124は、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aと同方向の、対称な位置にある1対のL字形状のトラック128を有し、これら1対のL字形状のトラック128は、ひねって解除する安全解除機構104とクランプ装置106の両方の構成要素をなす。下方懸架裾部124は、対称な位置にある1対の滑り防止表面129を含み、これら1対の滑り防止表面129は、対称な位置にある1対のL字形状のトラック128に概ね直交し、かつ液体移動装置101Aの初期の圧縮前状態では、半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみ109Cに概ね直交する。下方懸架裾部124は、個別注射バイアル30の解放中に使用するための、対称な位置にある1対の個別注射バイアル解放貫通アパーチャ131も有する。個別注射バイアル解放アパーチャ131は滑り防止表面129の下に設けられ、無穿孔の完全なままの注射バイアル30を解放するにはハサミ状ハンドツール200でハサミのような圧縮を加えることが必要になり、手動ではハサミのような圧縮を加えることができなくするように設計される。
【0025】
それぞれのL字形状のトラック128は、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aと同方向の主トラック区間132と、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aを横切る副トラック区間133と、その主区間132とその副区間133の間の連結部134とを含む。それぞれのL字形状のトラック128は、最下部の裾部リム124Aに隣り合う開始トラック端部128Aと、最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123に隣り合う終了トラック端部128Bとを有する。各副トラック区間133は、液体移動装置100Aの不可逆的な変位を可能にする、一方通行装置136を有する。それぞれの終了トラック端部128Bは、クランプ装置106の構成要素をなす一方通行装置137を有する。
【0026】
封止部材107は、穿孔カニューレ127にマウントするための封止部材管138と、液体移動装置100Aの初期の圧縮前状態において最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部中心貫通アパーチャ108Aの中に設けられる、平坦な封止部材基部139とを有する。平坦な封止部材基部139の中心部分は、遠位穿孔カニューレ先端127Bの無菌性を保つための封止部材隔壁141として機能する。平坦な封止部材基部139は、液体移動装置100Aを注射バイアル30に伸縮式にマウントした際に最上部注射バイアル表面41の上に設けられる封止材である。封止部材隔壁141は、液体移動装置100Aの圧縮状態において、遠位穿孔カニューレ先端127Bによって穿孔されるものである。
【0027】
次に、図9図16を参照して、液体移動装置100Aの使用法を説明する。
図9および図10には、個別注射バイアル30にマウントされた、初期の圧縮前状態の液体移動装置100Aが示してある。バイアル頂部空洞111は、バイアル頂部33をぴったりと受ける。半径方向外向きの突出部122は、開始トラック端部128Aに配置される。不正開封防止キャップ42を取り除いた後、封止部材基部139が、最上部注射バイアル表面41に封止式に配置される。バイアル頂部保持部材近位部分116は、個別注射バイアル解放アパーチャ131に配置される。一体型伸縮式バイアルアダプタ101は、最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123と最下部のバイアル頂部スリーブリム109Aとの間の、圧縮前高さH1を有する。
【0028】
薬剤を投与せず、無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30を再使用することが決定された場合、医療提供者は、図11および図12に示す以下のステップを踏む:医療提供者は、ハサミ状ハンドツール200を一体型伸縮式バイアルアダプタ101に位置合わせして、対称な位置にある1対の個別注射バイアル解放アパーチャ131に、対向する1対の内向き突出部203を挿入する。医療提供者は、バイアル頂部保持部材近位部分116にハサミのような圧縮を加えて、矢印Aで示すように、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aに向かってバイアル頂部保持部材近位部分116を押し進める。対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材114は、バイアル頂部スリーブ主囲繞部112に対して枢動し、それにより、矢印Bで示すように、対称な位置にある1対の半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部119を、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aから遠ざけて、無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30を解放する。医療提供者は、後で使用するために、矢印Cで示すように、内側バイアルアダプタ本体102から無穿孔の完全なままの個別注射バイアル30を引き抜き、液体移動装置100Aを処分する。個別注射バイアル30は、そのフリップ・オフ式不正開封防止キャップ42が取り外されており、再取付け不能であるが、依然として完全なままであると考えられる。個別注射バイアル30は、そのバイアル管32との流体連通を確立するためにその注射バイアルストッパ37が穿孔されていないという意味において、完全なままである。
【0029】
図13および図14には、医療提供者が、対称な位置にある1対の滑り防止表面129を片方の手で保持し、半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみ109Cに回転力を加えて、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aを中心に、内側バイアルアダプタ本体102を外側バイアルアダプタ本体103に対して中間段階変位状態まで回転させた後の、液体移動装置100Aが示してある。半径方向外向きの突出部122は、副トラック区間133に沿って、それらの各連結部134に到達するまで進む。一方通行装置136により、液体移動装置100Aが中間段階変位状態からその初期の圧縮前状態へと戻ることが防止され、それにより、個別注射バイアル30を解放することが不可能になる。バイアル頂部保持部材近位部分116は、個別注射バイアル解放アパーチャ131から離れるように回転し、それにより、ハサミ状のハンドツール200を使用して液体移動装置100Aから完全なままの個別注射バイアル30を解放することが不可能になる。
【0030】
図15および図16には、外側バイアルアダプタ本体103を内側バイアルアダプタ本体102に伸縮式にマウントし、それにより、外側バイアルアダプタ本体103が内側バイアルアダプタ本体102を内部にぴったりと受けた際の、最終圧縮状態の液体移動装置100Aが示してある。半径方向外向きの突出部122は、終了トラック端部128Bの一方通行装置137を通過するまで主トラック区間132に沿って進み、それにより、一体型伸縮式バイアルアダプタ101は不可逆的にその圧縮状態でクランプされる。遠位穿孔カニューレ先端127Bは、封止部材隔壁141を穿孔し、その後注射バイアルストッパ37を穿孔して、薬用注入液を調製するために、穿孔カニューレ127とバイアル管32の間に流体連通を確立する。一体型伸縮式バイアルアダプタ101は、最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123と最下部のバイアル頂部スリーブリム109Aとの間の圧縮高さH2を有し、H1>H2である。
【0031】
図17図19には、液体移動装置100Aと同様の構造をもつ液体移動装置100Bが示してあり、したがって同様の部分には同様の番号が付けられている。後者の100Bは、ひねって解除する安全装置機構104とは対照的に、引いて解除する安全装置機構151を含むという点において、前者の100Aとは異なる。図17には、圧縮前高さH1を有する、その圧縮前状態の液体移動装置100Bが示してある。図18には、最初に、長手方向のバイアルアダプタ中心線101Aと同方向に、外側バイアルアダプタ本体103から内側バイアルアダプタ本体102を延出させた後の、最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部123と最下部のバイアル頂部スリーブリム109Aとの間の変位後のバイアルアダプタ高さH3を有し、H3>H1である、その中間段階変位状態の液体移動装置100Bが示してある。図19には、外側バイアルアダプタ本体103が内側バイアルアダプタ本体102を内部にぴったりと伸縮式に受けた後の、圧縮高さH2を有し、H1>H2である、その圧縮状態の液体移動装置100Bが示してある。
【0032】
図20および図21には、液体移動装置100Aと同様の構造をもつ液体移動装置100Cが示してあり、したがって同様の部分には同様の番号が付けられている。後者の100Cは、以下のように、いくつかの点で前者の100Aとは異なる:後者の100Cは、ひねって解除する安全装置機構104とは対照的に、安全装置162を有する安全装置機構161を含む。後者の100Cは、脆い部材163を有する代替IVポートを含み、この脆い部材163は、折り取られて内部にIVスパイク51を挿入することを可能にする。後者の100Cは、クランプ装置の構成要素をなす、対称な位置にある1対のクランプ部材164を含んで、一体型伸縮式バイアルアダプタ101を不可逆的に最終圧縮状態でクランプする。
【0033】
図20には、外側バイアルアダプタ本体103を通って横方向に延在し、液体移動装置100Cがその圧縮前状態からその圧縮状態へと手動で圧縮されることを防止する安全装置162が示してある。一体型伸縮式バイアルアダプタ101は、圧縮前高さH1を有する。図21には、外側バイアルアダプタ本体103から安全装置162が取り除かれ、それにより、外側バイアルアダプタ本体103が内側バイアルアダプタ本体102を内部にぴったりと伸縮式に受けることが可能になった後の、その圧縮状態の液体移動装置100Cが示してある。一体型伸縮式バイアルアダプタ101は圧縮高さH2を有し、H1>H2である。
【0034】
本発明の特定の実施形態を図示および説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限り、種々の他の変更および修正を加えてもよいことは、当業者には明らかであろう。本発明の形態は、以下を含んでいる。
[形態1]
注入液を収容し、前記注入液を投与するための静脈内(IV)ポートを有する注入液容器と、薬剤を収容する、端部が閉じたバイアル管、無穿孔の注射バイアルストッパによって塞がれた頂部開口を有する管状のバイアル頂部、および最上部の注射バイアル表面を有する、初めは無穿孔の完全なままの個別注射バイアルと、IVポートに封止式に挿入するためのIVスパイク、および患者への投与のためのコネクタを含む注入セットと共に使用するための、液体移動装置であって、
前記液体移動装置が、前記注入液容器のIVポートに封止式に挿入するためのIVスパイクと、前記個別注射バイアルに伸縮式にスナップフィットさせてマウントするための一体型伸縮式バイアルアダプタを備えたバイアルアダプタポートと、前記注入セットのIVスパイクを封止式に受ける代替IVポートとを有する、三つ叉に分かれたコネクタ本体を備え、
前記IVスパイク、前記バイアルアダプタポート、および前記代替IVポートが、3方向に途切れることなく直接流体連通しており、それにより、最初に前記注入液容器内で薬用注入液を形成し、その後、前記薬用注入液を患者に投与することが可能になり、
前記一体型伸縮式バイアルアダプタが、長手方向のバイアルアダプタ中心線を有し、
i)最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部と、最下部のバイアル頂部スリーブリムを備えた下方懸架バイアル頂部スリーブとを備えた、逆さまになったカップ形状を有する内側バイアルアダプタ本体であって、
前記内側バイアルアダプタ本体が、前記内側バイアルアダプタ本体を前記バイアル頂部に伸縮式にマウントした際に前記バイアル頂部をぴったりと受けるためのバイアル頂部空洞の境界を定める、内側バイアルアダプタ本体、
ii)最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部と、下方懸架裾部とを備えた、逆さまになったカップ形状を有する外側バイアルアダプタ本体であって、
前記外側バイアルアダプタ本体が、圧縮前高さH1を有する初期の圧縮前状態から圧縮高さH2を有する最終圧縮状態へと前記一体型伸縮式バイアルアダプタを圧縮した際に前記内側バイアルアダプタ本体を内部にぴったりと伸縮式に受けるための内側バイアルアダプタ本体空洞の境界を定め、H1>H2である、外側バイアルアダプタ本体、
前記バイアルアダプタポートに流体連通した近位穿孔カニューレ開口と、前記バイアル管と流体連通するように前記注射バイアルストッパを穿孔するための遠位穿孔カニューレ先端とを備える、下向きの穿孔カニューレ、
iii)ユーザが不注意で前記圧縮前状態から前記圧縮状態へと前記バイアルアダプタを圧縮することを防止するための安全装置機構、ならびに
iv)前記バイアルアダプタを不可逆的に前記最終圧縮状態でクランプするためのクランプ装置を備え、
前記バイアルアダプタは、前記圧縮前状態では、前記遠位穿孔カニューレ先端が前記無穿孔の注射バイアルストッパの上に重なり、圧縮状態では、前記遠位穿孔カニューレ先端が前記バイアル管と流体連通するように前記注射バイアルストッパを穿孔するように構成される、液体移動装置。
[形態2]
前記安全装置機構が、ひねって解除する安全装置機構によって構成され、前記ひねって解除する安全装置機構は、
対称な位置にある1対のL字形状のトラックを有する前記外側バイアルアダプタ本体であって、
それぞれの前記L字形状のトラックが、前記長手方向のバイアルアダプタ中心線と同方向の主トラック区間と、前記長手方向のバイアルアダプタ中心線を横切る副トラック区間と、前記最下部の下方懸架裾部リムに隣り合う開始トラック端部と、前記最上部の横向き外側バイアルアダプタ本体壁部に隣り合う終了トラック端部とを有し、
それぞれの前記副トラック区間が、前記一体型伸縮式バイアルアダプタを中間段階変位
状態に不可逆的に変位させるための一方通行装置を含む、前記外側バイアルアダプタ本体、
前記圧縮前状態の前記開始トラック端部から前記圧縮状態の前記終了トラック端部まで、前記対称な位置にある1対のL字形状のトラックに沿って進む、対称な位置にある1対の半径方向外向きの突出部を有する、前記内側バイアルアダプタ本体、を含み、
前記ひねって解除する安全装置機構では、前記長手方向のバイアルアダプタ中心線を中心に、前記外側バイアルアダプタ本体に対して前記内側バイアルアダプタ本体を最初は手動で回転させて、初期の圧縮前状態から前記中間段階変位状態へと前記バイアルアダプタを変位させることが必要とされ、それにより、前記圧縮前状態から前記圧縮状態への前記バイアルアダプタの前記圧縮が可能になる、形態1に記載の装置。
[形態3]
それぞれの前記終了トラック端部が、前記バイアルアダプタを不可逆的に前記最終圧縮状態でクランプするための一方通行装置を含む、形態2に記載の装置。
[形態4]
前記内側バイアルアダプタ本体が、前記最下部の下方懸架バイアル頂部スリーブリムのほうに、半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみを有し、前記外側バイアルアダプタ本体が、前記初期の圧縮前状態では前記半径方向外向きの対称な位置にある1対のつまみに直交する、対称な位置にある1対の滑り防止表面を有して、前記外側バイアルアダプタ本体に対する前記内側バイアルアダプタ本体の前記手動回転を助ける、形態2に記載の装置。
[形態5]
前記安全装置機構が、引いて解除する安全装置機構によって構成され、前記引いて解除する安全装置機構では、最初に、前記長手方向のバイアルアダプタ中心線と同方向に、前記外側バイアルアダプタ本体に対して前記内側バイアルアダプタ本体を手動で中間段階変位状態まで延出させて前記安全装置機構を解除することが必要とされ、それにより、前記圧縮前状態から前記圧縮状態への前記バイアルアダプタの前記圧縮が可能になる、形態1に記載の装置。
[形態6]
前記安全装置機構が、前記圧縮前状態において前記外側バイアルアダプタ本体を通って横方向に延在する安全装置を含み、それによって前記圧縮前状態から前記圧縮状態への前記一体型伸縮式バイアルアダプタの前記圧縮が防止され、したがって、前記外側バイアルアダプタ本体から前記安全装置を手動で引き抜くことにより、前記圧縮前状態から前記圧縮状態への前記一体型伸縮式バイアルアダプタの前記圧縮が可能になる、形態1に記載の装置。
[形態7]
ハサミのような圧縮を加えて前記一体型伸縮式バイアルアダプタから無穿孔の完全なままの個別注射バイアルを解放するための、対向する1対の内向き突出部を備える、完全なままの個別注射バイアル解放ツール、と共に使用され、
前記バイアル頂部スリーブが、バイアル頂部スリーブ主囲繞部と、前記バイアル頂部スリーブ主囲繞部に対して枢動可能な、対称な位置にある1対の注射バイアル保持部材とを含み、したがって、それぞれの前記バイアル頂部保持部材が、バイアル頂部保持部材近位部分およびバイアル頂部保持部材遠位部分を有し、
それぞれの前記バイアル頂部保持部材遠位部分が、前記最下部のバイアル頂部スリーブリムのほうに、前記初めは無穿孔の完全なままの個別注射バイアルに前記内側バイアルアダプタ本体を伸縮式にスナップフィットさせた際に前記バイアル頂部の下にスナップフィットする、半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部を有し、
前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材近位部分が、前記バイアル頂部スリーブ主囲繞部に対して枢動可能であり、したがって、前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材近位部分に前記ハサミのような圧縮を加えることにより、前記対称な位置にある1対の半径方向内向きのバイアル頂部保持突出部が、前記長手方向のバイアルアダ
プタ中心線から遠ざかり、前記内側バイアルアダプタ本体から前記無穿孔の完全なままの個別注射バイアルが解放される、形態1から6のいずれか一項に記載の装置。
[形態8]
前記下方懸架裾部が、前記対向する1対の内向き突出部を備えた前記完全なままの個別注射バイアル解放ツールにアクセス手段を提供して、前記バイアルアダプタの前記圧縮前状態において前記ハサミのような圧縮を印加するための、対称な位置にある1対の個別注射バイアル解放貫通アパーチャを含む、形態7に記載の装置。
[形態9]
前記ハサミのような圧縮の前記印加に際して、前記対称な位置にある1対のバイアル頂部保持部材が、前記最上部の横向き環状内側バイアルアダプタ本体壁部を軸に枢動する、形態7に記載の装置。
[形態10]
前記対向する1対の内向き突出部を備えた、対向する1対の掴み具を有するハサミ状ハンドツールとして構成される、形態7から9のいずれか一項に記載の液体移動装置と共に使用するための前記対向する1対の内向き突出部を備えた前記完全なままの個別注射バイアル解放ツール。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21