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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】スポーツ用手袋
(51)【国際特許分類】
   A63B 71/14 20060101AFI20240607BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20240607BHJP
   A41D 19/015 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
A63B71/14 F
A41D19/00 M
A41D19/015 210Z
A41D19/015 410
A41D19/015 510A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022159725
(22)【出願日】2022-10-03
(65)【公開番号】P2024053436
(43)【公開日】2024-04-15
【審査請求日】2023-07-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000005935
【氏名又は名称】美津濃株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮腰 晃輔
(72)【発明者】
【氏名】長尾 裕史
(72)【発明者】
【氏名】二宮 徳数
【審査官】遠藤 孝徳
(56)【参考文献】
【文献】特許第3919433(JP,B2)
【文献】中国実用新案第205695885(CN,U)
【文献】実開平4-104882(JP,U)
【文献】特許第3926731(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2007/0150998(US,A1)
【文献】特許第4252964(JP,B2)
【文献】実公平2-26522(JP,Y2)
【文献】登録実用新案第3209002(JP,U)
【文献】特開平6-121859(JP,A)
【文献】特許第6345017(JP,B2)
【文献】特許第4510055(JP,B2)
【文献】特開平9-182825(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 71/00 - 71/16
A41D 19/00 - 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
装着者の手の人指し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能な人指し指部、中指部、薬指部および小指部と、
前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部に接続されており、かつ前記装着者の手甲を覆う手甲部と、
可撓性を有する第1抵抗部とを備え、
前記装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指をそれぞれ曲げたときに、前記小指および前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさが前記中指および前記人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなるように、前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに前記第1抵抗部が配置された、スポーツ用手袋。
【請求項2】
可撓性を有する第2抵抗部を更に備え、
前記手甲部および前記中指部、および前記人指し指部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに前記第2抵抗部が配置され、
前記装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指をそれぞれ曲げたときに、前記第1抵抗部によって前記小指および前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさが、前記第2抵抗部によって前記中指および前記人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなる、請求項1に記載のスポーツ用手袋。
【請求項3】
前記第1抵抗部は、
前記装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指を曲げたときに、前記小指に加えられる曲げ抵抗の大きさが前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさ以上になるように、前記手甲部または前記小指部の少なくともいずれかに配置された小指抵抗部を含む、請求項2に記載のスポーツ用手袋。
【請求項4】
前記第1抵抗部は、
前記手甲部または前記薬指部の少なくともいずれかに配置された薬指抵抗部を更に含み、
前記装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指を曲げたときに、前記小指抵抗部によって前記小指に加えられる曲げ抵抗の大きさが、前記薬指抵抗部によって前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさ以上になる、請求項3に記載のスポーツ用手袋。
【請求項5】
前記小指抵抗部および前記薬指抵抗部は一体となって前記手甲部で連なっている、請求項4に記載のスポーツ用手袋。
【請求項6】
前記第1抵抗部および前記第2抵抗部は、前記手甲部で互いに分離して配置されている、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【請求項7】
前記第1抵抗部の剛性は、前記第2抵抗部の剛性より大きい、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【請求項8】
前記第1抵抗部の形状は、前記第2抵抗部の断面二次モーメントより大きい断面二次モーメントを有する形状である、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【請求項9】
前記第1抵抗部の材料のヤング率は、前記第2抵抗部の材料のヤング率より大きい、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【請求項10】
前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部は、第1関節部を含み、
前記第1関節部は、
前記小指の中手指節間関節を覆う第1中手指節間関節部と、
前記薬指の中手指節間関節を覆う第2中手指節間関節部と、
前記小指の近位指節間関節を覆う第1近位指節間関節部と、
前記小指の遠位指節間関節を覆う第1遠位指節間関節部と、
前記薬指の近位指節間関節を覆う第2近位指節間関節部と、
前記薬指の遠位指節間関節を覆う第2遠位指節間関節部とから構成され、
前記第1抵抗部は、前記第1中手指節間関節部、前記第1近位指節間関節部、前記第1
遠位指節間関節部、前記第2中手指節間関節部、前記第2近位指節間関節部、および前記
第2遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を
跨ぐように配置され、
前記手甲部および前記中指部は、第2関節部を含み、
前記第2関節部は、
前記中指の中手指節間関節を覆う第3中手指節間関節部と、
前記中指の近位指節間関節を覆う第3近位指節間関節部と、
前記中指の遠位指節間関節を覆う第3遠位指節間関節部とから構成され、
前記第2抵抗部は、前記第3中手指節間関節部、前記第3近位指節間関節部、および前記第3遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置され、
前記第1抵抗部が跨ぐ前記第1関節部における前記関節部の数は、前記第2抵抗部が跨
ぐ前記第2関節部における前記関節部の数より多い、請求項2から請求項5のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、スポーツ用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、球状体や棒状体などを把持する競技で用いられるスポーツ用手袋では、装着者の手に対するフィット感を向上させるとともに把持状態を良好にするために、伸縮性に優れた素材を配するなどの工夫が成されている。(例えば、特開2002-65928号公報参照)。特開2002-65928号公報では、小指部、薬指部および中指部の少なくとも1つに配置された帯を有するスポーツ用手袋が開示されている。
【0003】
特開2002-65928号公報では、このような帯を設けることにより、対象物を把持したときに、当該帯により小指、薬指および中指の少なくとも1つの指を締め付けたような状態になるため、親指や人指し指よりも、小指、薬指および中指でしっかりと対象物を把持することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-65928号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したスポーツ用手袋では、対象物の把持状態に関して改善の余地があった。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、この発明の目的は、装着者が対象物を把持したときに良好な把持状態を実現できるスポーツ用手袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に従ったスポーツ用手袋は、人指し指部、中指部、薬指部および小指部と、手甲部と、第1抵抗部とを備える。人指し指部、中指部、薬指部および小指部は、装着者の手の人指し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能である。手甲部は、人指し指部、中指部、薬指部および小指部に接続されている。手甲部は、装着者の手甲を覆う。第1抵抗部は可撓性を有する。第1抵抗部は、装着者が人指し指部、中指部、薬指部および小指部にそれぞれを受け入れられた人指し指、中指、薬指および小指をそれぞれ曲げたときに、小指または薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさが中指または人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなるように、手甲部、薬指部、および小指部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに配置される。
【0008】
上記によれば、装着者が対象物を把持したときに良好な把持状態を実現できるスポーツ用手袋を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態に係るスポーツ用手袋の平面図である。
図2】実施の形態に係るスポーツ用手袋を装着してバットを握った状態を概略的に示す側面図である。
図3】装着者の左手を手甲側から見た場合の左手の外観および骨格を概略的に示す模式図である。
図4】成人男性における指の指力を示すグラフである。
図5図1の線分V-Vにおける第1抵抗部の断面図である。
図6図1の線分VI-VIにおける第2抵抗部の断面図である。
図7】成人男性によるバットのスイングスピードを示すグラフである。
図8】成人男性によるバットのスイングの初動時におけるバットの加速力を示すグラフである。
図9】成人男性によるバットのスイングスピードを示すグラフである。
図10】成人男性によるバットのスイングの初動時におけるバットの加速力を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0011】
(実施の形態)
<スポーツ用手袋の構成>
図1は、実施の形態に係るスポーツ用手袋1の平面図である。図2は、実施の形態に係るスポーツ用手袋1を装着してバット200を握った状態を概略的に示す小指側からみた側面図である。図3は、装着者の左手101を手甲側から見た場合の左手101の外観および骨格を概略的に示す模式図である。
【0012】
図1および図2に示されたスポーツ用手袋1は、たとえば野球用の手袋1であり、バッティング時に装着される。図1に示されたスポーツ用手袋1は、装着者の一方の手を受け入れ可能に構成されている。当該手袋1を手に嵌めた装着者は、この一方の手で、例えばバット200のグリップの根元側を把持する。
【0013】
図1に示されたスポーツ用手袋1は、左手101に装着される左手用のスポーツ用手袋1である。なお、本実施の形態におけるスポーツ用手袋1は、右手に装着される右手用のスポーツ用手袋1であってもよい。右手用のスポーツ用手袋1は、左手用のスポーツ用手袋1とは鏡面対称となるように構成されている。また、上述した左手用のスポーツ用手袋1および右手用のスポーツ手袋の組は、装着者の両手に装着されてもよい。
【0014】
図1に示されるように、スポーツ用手袋1は、指部3と、手甲部60aと、手掌部60bと、ベルト80と、抵抗部7とを主に備える。抵抗部7は、第1抵抗部70aと、第2抵抗部70bと含む。当該手袋1が装着者の手に嵌められた時、手甲部60aは装着者の手甲101Aを覆う。当該手袋1が装着者の手に嵌められた時、手掌部60bは装着者の掌を覆う。つまり、当該手袋1が装着者の手に嵌められた時、装着者の手を挟むように手甲部60aおよび手掌部60bは配置される。手甲部60aおよび手掌部60bは、指部3に接続されている。手甲部60aおよび手掌部60bは、指部3と接続された側とは反対側において手首部に接続されている。手首の端部は装着者の手をスポーツ用手袋1の内部に入れるための開口部となっている。ベルト80は手首部上に配置されている。指部3、手甲部60a、手掌部60b、手首部およびベルト80の材料は、たとえば天然皮革であってもよい。
【0015】
指部3は、親指部50と、人指し指部40と、中指部30と、薬指部20と、小指部10とを含んでいる。つまり、手甲部60aおよび手掌部60bは、親指部50、人指し指部40、中指部30、薬指部20、および小指部10に接続されている。親指部50、人指し指部40、中指部30、薬指部20、および小指部10は、装着者の手の親指101B5、人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ受け入れ可能である。親指部50、人指し指部40、中指部30、薬指部20、および小指部10は互いに独立している。
【0016】
図1および図3を参照して、当該手袋1と装着者の左手101の骨との位置関係について説明する。図3には、装着者の左手101を手甲101A側から見た場合の左手101の外観および骨格が示されている。
【0017】
図3に示されるように、人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2、小指101B1のそれぞれにおいては、指先側から順に末節骨111、中節骨112、基節骨113、中手骨114が配列されている。末節骨111と中節骨112とは互いに遠位指節間関節121を介して接続されている。中節骨112と基節骨113とは近位指節間関節122を介して接続されている。基節骨113と中手骨114とは中手指節間関節123を介して接続されている。親指101B5においては、指先側から順に末節骨111、基節骨113、中手骨114が配列されている。親指101B5においては、末節骨111と基節骨113とは第1指節間関節124を介して接続されており、基節骨113と中手骨114とは中手指節間関節123を介して接続されている。
【0018】
手甲部60a、薬指部20、および小指部10は、第1関節部4を含む。第1関節部4は、第1中手指節間関節部11aと、第2中手指節間関節部21aと、第1近位指節間関節部11bと、第1遠位指節間関節部11cと、第2近位指節間関節部21bと、第2遠位指節間関節部21cとから構成される。第1中手指節間関節部11aは、当該手袋1を装着した装着者の手の小指101B1の中手指節間関節123を覆う。第2中手指節間関節部21aは、当該手袋1を装着した装着者の手の薬指101B2の中手指節間関節123を覆う。第1近位指節間関節部11bは、当該手袋1を装着した装着者の手の小指101B1の近位指節間関節122を覆う。第1遠位指節間関節部11cは、当該手袋1を装着した装着者の手の小指101B1の遠位指節間関節121を覆う。第2近位指節間関節部21bは、当該手袋1を装着した装着者の手の薬指101B2の近位指節間関節122を覆う。第2遠位指節間関節部21cは、当該手袋1を装着した装着者の手の薬指101B2の遠位指節間関節121を覆う。
【0019】
手甲部60a、人指し指部40、および中指部30は、第2関節部5を含む。第2関節部5は、第3中手指節間関節部31aと、第4中手指節間関節部41aと、第3近位指節間関節部31bと、第3遠位指節間関節部31cと、第4近位指節間関節部41bと、第4遠位指節間関節部41cとから構成される。第3中手指節間関節部31aは、当該手袋1を装着した装着者の手の中指101B3の中手指節間関節123を覆う。第4中手指節間関節部41aは、当該手袋1を装着した装着者の手の人指し指101B4の中手指節間関節123を覆う。第3近位指節間関節部31bは、当該手袋1を装着した装着者の手の中指101B3の近位指節間関節122を覆う。第3遠位指節間関節部31cは、当該手袋1を装着した装着者の手の中指101B3の遠位指節間関節121を覆う。第4近位指節間関節部41bは、当該手袋1を装着した装着者の手の人指し指101B4の近位指節間関節122を覆う。第4遠位指節間関節部41cは、当該手袋1を装着した装着者の手の人指し指101B4の遠位指節間関節121を覆う。
【0020】
つまり、第1近位指節間関節部11bおよび第1遠位指節間関節部11cは小指部10の表面S上に配置される。第2近位指節間関節部21bおよび第2遠位指節間関節部21cは薬指部20の表面S上に配置される。第3近位指節間関節部31bおよび第3遠位指節間関節部31cは中指部30の表面S上に配置される。第4近位指節間関節部41bおよび第4遠位指節間関節部41cは人指し指部40の表面S上に配置される。第1中手指節間関節部11a、第2中手指節間関節部21a、第3中手指節間関節部31a、および第4中手指節間関節部41aは手甲部60aの表面S上に配置される。このように構成された手袋1を手に嵌めることで、図2に示されるように装着者は当該手袋1を装着した手で対象物を握る。
【0021】
図1および図2に示されるように、抵抗部7は、手甲部60aおよび指部3の表面S上に配置される。具体的には、抵抗部7は、装着者の手の関節を覆う第1関節部4および第2関節部5上に配置される。抵抗部7は可撓性を有する。このような抵抗部7を設けることで、装着者が当該手袋1を嵌めた手で対象物を握った時、当該手袋1を嵌めた手における各指に曲げ抵抗Rが加えられる。
【0022】
曲げ抵抗Rは、装着者が人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ曲げたときに、抵抗部7に発生する曲げモーメントMに相当する。図2に示されるように、スポーツ用手袋1を装着してバット200を握った状態を小指101B1側からみた側面視において、装着者が当該手袋1を嵌めた手でバット200を握ることで、抵抗部7にひずみdが生じる。抵抗部7は可撓性を有するため、抵抗部7にひずみdが生じると、曲げモーメントMが発生する。抵抗部7に発生する曲げモーメントMは、抵抗部7のヤング率Eと断面係数Zとひずみ量とを乗算して算出される。または、曲げモーメントMは、抵抗部7の剛性EIと曲率1/r(図2に示される曲率半径rの逆数)とを乗算して算出してもよい。曲率半径rは、装着者の指が曲げられたときの抵抗部に生じるひずみdの曲率中心から、中心軸Aまでの距離である。中心軸Aは、抵抗部7の高さの半分の位置を通る線である。つまり、抵抗部7に曲げモーメントMが発生するように、装着者は力をかけて指を曲げる。なお、中手指節間関節123、近位指節間関節122、遠位指節間関節121を覆う抵抗部7に生じるひずみ量d1、d2、d3は、それぞれ装着者の指が伸びた状態から指を曲げた状態に変わった時における抵抗部7の長さの変化量に相当する。そのため、ひずみ量d1、d2、d3は、当該抵抗部7にマーキングを施し、マーキングの変位量をメジャー等の測定器を用いて計測することで決定できる。また、曲率半径は、指を曲げたときの、曲率中心と中心軸Aの距離であって、当該距離を測定器を用いて計測することで決定できる。
【0023】
第1抵抗部70aは、手甲部60a、薬指部20、および小指部10の表面S上に配置されている。第2抵抗部70bは、手甲部60a、中指部30、および人指し指部40の表面S上に配置される。第1抵抗部70aは、小指抵抗部71と、薬指抵抗部72とを含む。第2抵抗部70bは、中指抵抗部73と、人指し指抵抗部74とを含む。小指抵抗部71は、手甲部60aおよび小指部10の表面S上に配置される。薬指抵抗部72は、手甲部60aおよび薬指部20の表面S上に配置される。中指抵抗部73は、手甲部60aおよび中指部30の表面S上に配置される。人指し指抵抗部74は、手甲部60aおよび人指し指部40の表面S上に配置される。小指抵抗部71および薬指抵抗部72は一体となって手甲部60aで連なっていてもよく、互いに分離して配置されてもよい。中指抵抗部73および人指し指抵抗部74は一体となって手甲部60aで連なっていてもよく、互いに分離して配置されてもよい。このような抵抗部7を設けることで、手掌部60bで弛みや皺が発生するのを抑制することもできる。
【0024】
ここで、本実施の形態に係るスポーツ用手袋1の特徴は、装着者が当該手袋1を装着した手で対象物を握った時に、当該手袋1を装着した手における小指101B1および薬指101B2に加えられる負荷が、当該手袋1を装着した手における人指し指101B4および中指101B3に加えられる負荷よりも大きくなるように抵抗部7が構成された点である。
【0025】
一般的に対象物を把持する際に、指で発生させる力(以下、指力と呼ぶ)が大きい人指し指101B4で締め付けるように対象物を把持する傾向がある。しかし、対象物に対する操作性に優れた、良好な把持状態を実現するには、指力が小さい指で対象物を意識的に把持することが有効であることを発明者は見出した。人指し指101B4の指力に対して中指101B3、薬指101B2、小指101B1の指力は小さい。一方、中指101B3、薬指101B2、小指101B1に負荷が加わると、それらの指に意識を向けることができ、結果的にこれらの指により対象物を確実に把持できる。そのため、手袋1を嵌めた手で対象物を把持する際に、中指101B3、薬指101B2、小指101B1の少なくともひとつの指に加えられる曲げ抵抗Rが、人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rより大きくなるように抵抗部7が設けられることで、対象物に対する良好な把持状態を実現できる。
【0026】
図4は、10人の成人男性における計測対象の指の指力を5回計測したときにおける、各指の指力の平均値および標準偏差を示すグラフである。なお、図4に示された各指の指力は、酒井医療株式会社製油圧ピンチゲージを用いて測定した。図4において、縦軸は各指にそれぞれ対応した指力(単位:kgf)を示す。グラフの上限は、平均値に標準偏差を加算した値に対応する。グラフの下限は、平均値に標準偏差を減算した値に対応する。計測対象の指は、人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2、小指101B1である。図4から分かるように、指力の平均値は、人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2、小指101B1の順で大きい。そのため、対象物の良好な把持状態を実現するためには、指力の相対的に小さい指に対してより意識を向けさせるために、小指101B1、薬指101B2、中指101B3、人指し指101B4の順に加わる負荷が大きいように抵抗部7を配置することが好ましいと考えられる。
【0027】
一方、中指101B3の指力の平均値と人指し指101B4における指力の平均値と差は1kgf未満である。特に、標準偏差を考慮すると、中指101B3の指力の平均値に標準偏差を加算した値は、人指し指101B4の指力の平均値に標準偏差を減算した値よりも大きいことがわかる。つまり、中指101B3の指力が人指し指101B4の指力より大きい場合が一定数あると考えられる。ただし、中指101B3の指力の平均値に標準偏差を減算した値は、薬指101B2の指力の平均値に標準偏差を加算した値よりも大きい。また、薬指101B2の指力の平均値に標準偏差を減算した値は、小指101B1の指力の平均値に標準偏差を加算した値よりも大きい。このことから、対象物の良好な把持状態を実現するためには、薬指101B2および小指101B1に対して意識を向けることで、これらの指により対象物を意識的に把持することがより好ましいと考えられる。そのため、対象物の良好な把持状態を実現するためには、薬指101B2および小指101B1に加わる負荷が人指し指101B4および中指101B3に加わる負荷よりも大きくなるように、抵抗部7を配置することが好ましい。
【0028】
図1を参照して、抵抗部7の配置箇所について説明する。図1に示されるように、小指抵抗部71は、第1中手指節間関節部11a、第1近位指節間関節部11b、および第1遠位指節間関節部11cのそれぞれを跨ぐように、手甲部60aおよび小指部10の表面S上に配置されている。小指抵抗部71は、第1中手指節間関節部11a上から第1近位指節間関節部11b上を介して第1遠位指節間関節部11c上にまで延びている。薬指抵抗部72は、第2中手指節間関節部21a、第2近位指節間関節部21b、および第2遠位指節間関節部21cのそれぞれを跨ぐように、手甲部60aおよび薬指部20の表面S上に配置されている。薬指抵抗部72は、第2中手指節間関節部21a上から第2近位指節間関節部21b上を介して第2遠位指節間関節部21c上にまで延びている。一方、中指抵抗部73は、第3中手指節間関節部31aと第3近位指節間関節部31bとの間に配置されている。中指抵抗部73は第3中手指節間関節部31aおよび第3近位指節間関節部31bを跨いでいない。人指し指抵抗部74は、第4中手指節間関節部41aの近傍に配置されている。人指し指抵抗部74は第4中手指節間関節部41aを跨いでいない。
【0029】
このようにすれば、第1抵抗部70aが跨ぐ第1関節部4における関節部の数は、第2抵抗部70bが跨ぐ第2関節部5における関節部の数より多くなる。図2に示されるように、抵抗部7が跨ぐ関節部の数は、装着者が指を曲げた際に、当該抵抗部7にひずみdが発生する数に相当する。つまり、抵抗部7が跨ぐ関節部の数が多ければ、抵抗部7の曲げ抵抗Rが増加する。そのため、第1抵抗部70aが跨ぐ第1関節部4における関節部の数が、第2抵抗部70bが跨ぐ第2関節部5における関節部の数より多ければ、装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ曲げたときに、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0030】
スポーツ用手袋1においては、装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれ受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ曲げたときに、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなるように、抵抗部7が配置されていればよい。そのため、当該手袋1は第2抵抗部70bを備えていなくてもよい。このようにすれば、装着者が、人指し指部40、中指部30にそれぞれ受け入れられた人指し指101B4、中指101B3をそれぞれ曲げたとしても、中指101B3または人指し指101B4に抵抗部から加えられる曲げ抵抗Rがないため、中指101B3または人指し指101B4に負荷が加わらない。その結果、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0031】
図4に示されるグラフから、装着者が指を曲げたときに、薬指101B2、小指101B1、の順に加わる負荷が大きくなるように抵抗部7を配置すれば、装着者が対象物を把持する場合に良好な把持状態を実現できると考えられる。たとえば、小指抵抗部71が跨ぐ第1関節部4における関節部の数が、薬指抵抗部72が跨ぐ第1関節部4における関節部の数より多くてもよい。具体的には、小指抵抗部71は、第1中手指節間関節部11a、第1近位指節間関節部11b、および第1遠位指節間関節部11cのそれぞれを跨ぐように、手甲部60aおよび小指部10の表面S上に配置されてもよい。薬指抵抗部72は、第2中手指節間関節部21a、第2近位指節間関節部21bのそれぞれを跨ぐように、手甲部60aおよび薬指部20の表面S上に配置されていてもよい。このようにすれば、小指抵抗部71が跨ぐ第1関節部4における関節部の数は3となる。薬指抵抗部72が跨ぐ第1関節部4における関節部の数は2となる。つまり、小指抵抗部71が跨ぐ第1関節部4における関節部の数が、薬指抵抗部72が跨ぐ第1関節部4における関節部の数より多くなる。その結果、薬指101B2に加えられる負荷(曲げ抵抗R)より小指101B1に加えられる負荷(曲げ抵抗R)を大きくできるので、対象物に対する良好な把持状態を実現できる。
【0032】
スポーツ用手袋1においては、装着者が指を曲げたときに、小指101B1に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなるように、抵抗部7が配置されていればよい。そのため、当該手袋1は薬指抵抗部72を備えていなくてもよい。このようにすれば、装着者が指を曲げた場合に、薬指101B2に薬指抵抗部72から加えられる曲げ抵抗Rがないため、薬指101B2に負荷が加わらない。その結果、小指101B1に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0033】
図4に示されるグラフから、装着者が指を曲げたときに、人指し指101B4、中指101B3、の順に加わる負荷が大きくなるように抵抗部7を配置すれば、装着者が対象物を把持する場合に良好な把持状態を実現できると考えられる。たとえば、中指抵抗部73が跨ぐ第2関節部5における関節部の数が、人指し指抵抗部74が跨ぐ第2関節部5における関節部の数より多くてもよい。具体的には、中指抵抗部73は、第3中手指節間関節部31aおよび第3近位指節間関節部31bのそれぞれを跨ぐように、手甲部60aおよび中指部30の表面S上に配置されてもよい。人指し指抵抗部74は、第4中手指節間関節部41aのみを跨ぐように、手甲部60aの表面S上に配置されていてもよい。このようにすれば、中指抵抗部73が跨ぐ第2関節部5における関節部の数は2となる。人指し指抵抗部74が跨ぐ第2関節部5における関節部の数は1となる。つまり、中指抵抗部73が跨ぐ第2関節部5における関節部の数が、人指し指抵抗部74が跨ぐ第2関節部5における関節部の数より多くなる。その結果、対象物に対する良好な把持状態を実現できる。
【0034】
スポーツ用手袋1において、装着者が指を曲げたときに、中指101B3に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなるように、抵抗部7が配置されていればよい。そのため、当該手袋1は人指し指抵抗部74を備えていなくてもよい。このようにすれば、装着者が、指を曲げた場合に、人指し指101B4に人指し指抵抗部74から加えられる曲げ抵抗Rがないため、人指し指101B4に負荷が加わらない。その結果、中指101B3に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0035】
特に、装着者が指を曲げたときに、小指101B1、薬指101B2、中指101B3、人指し指101B4の順に加わる負荷が小さくなるように抵抗部7を配置することが最も好ましいと考えられる。そのため、小指抵抗部71、薬指抵抗部72、中指抵抗部73、人指し指抵抗部74の順に、それぞれが関節部を跨ぐ数が少なくなってもよい。
【0036】
なお、それぞれの抵抗部7が跨ぐ関節部の数の大小関係が、それぞれの抵抗部7における曲げ抵抗Rの大小関係と一致すればよい。そのため、第1抵抗部70aは、第1中手指節間関節部11a、第1近位指節間関節部11b、第1遠位指節間関節部11c、第2中手指節間関節部21a、第2近位指節間関節部21b、および第2遠位指節間関節部21cからなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を跨ぐように配置されればよい。第2抵抗部70bは、第3中手指節間関節部31a、第3近位指節間関節部31b、第3遠位指節間関節部31c、第4中手指節間関節部41a、第4近位指節間関節部41b、および第4遠位指節間関節部41cからなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置されればよい。
【0037】
第1抵抗部70aの剛性EIは、第2抵抗部70bの剛性EIより大きくてもよい。装着者が指を曲げたときに、抵抗部7に生じる曲げモーメントMは曲率と剛性EIとを乗算した値に相当する。たとえば、第1抵抗部70aの剛性EIが第2抵抗部70bの剛性EIより大きければ、装着者が指を曲げたときに、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0038】
また、剛性EIは、任意の断面における断面形状から決定される当該断面における断面二次モーメントIと、材料の物性値であるヤング率Eとの乗算した値である。抵抗部7における曲げ抵抗Rを調整するときに、抵抗部7が跨ぐ関節部の数だけでなく、抵抗部7の形状および材料を変更してもよい。
【0039】
図5は、図1の線分V-Vにおける第1抵抗部70aの断面図である。図6は、図1の線分VI-VIにおける第2抵抗部70bの断面図である。図5および図6に示されるように、抵抗部7の断面形状は、第1部分75と第2部分76とから構成される。第1部分75は、指部3の表面Sに接している。第1部分75は、指部3の表面Sに接続された面に対して反対の位置に接続部78を有する。第1部分75は、接続部78を介して第2部分76と接続されている。第2部分76は、頂部77を有する。頂部77は、接続部78に対して反対の位置にある。第1部分75の断面形状は四角形状である。第2部分76の断面形状は台形状である。
【0040】
図5に示されるように、第1抵抗部70aにおいて、Y方向における指部3の表面Sから頂部77までの距離は、たとえば4mmである。一方、図6に示されるように、第2抵抗部70bにおいて、Y方向における指部3の表面Sから頂部77までの距離は、たとえば2mmである。つまり、第1抵抗部70aにおける指部3の表面Sから頂部77までの距離が、第2抵抗部70bにおける指部3の表面Sから頂部77までの距離よりも長い。そのため、図5に示される断面における第1抵抗部70aの断面係数Zおよび断面二次モーメントIのそれぞれが、図6に示される断面における第2抵抗部70bの断面係数Zおよび断面二次モーメントIよりも大きい。このようにすれば、第1抵抗部70aの曲げ抵抗Rは、第2抵抗部70bの曲げ抵抗Rより大きくなる。
【0041】
図5に示された第1抵抗部70aの断面形状および図6に示された第2抵抗部70bの断面形状は任意の形状であってもよい。たとえば、図5に示されるX方向における第1抵抗部70aの幅が、図6に示されるX方向における第2抵抗部70bの幅よりも大きくてもよい。なお、それぞれの抵抗部7の断面係数Zおよび断面二次モーメントIの大小関係が、それぞれの抵抗部7における曲げ抵抗Rの大小関係と一致すればよい。小指抵抗部71、薬指抵抗部72、中指抵抗部73、人指し指抵抗部74のそれぞれにおける断面形状を適宜変更してもよい。
【0042】
本実施の形態における抵抗部7の材料はたとえばシリコン樹脂である。抵抗部7は可撓性を有すればよいので、抵抗部7の材料は、たとえば天然皮革、合成皮革、人工皮革、ニット素材、ウレタン、シリコンラバー、ゴムなどでもよい。第1抵抗部70aおよび第2抵抗部70bの材料は同じ材料でもよく、それぞれ異なる材料でもよい。装着者が指を曲げた時に抵抗部7に発生する曲げモーメントMは、抵抗部7の材料のヤング率Eにも依存する。そのため、第1抵抗部70aの材料および第2抵抗部70bの材料がそれぞれ異なる場合、たとえば第1抵抗部70aの材料は天然皮革で、第2抵抗部70bの材料はニット素材でもよい。天然皮革のヤング率Eは、ニット素材のヤング率Eより大きい。このようにすれば、第1抵抗部70aの剛性EIは、第2抵抗部70bの剛性EIより大きくなる。
【0043】
第1抵抗部70aの剛性EIは、第2抵抗部70bの剛性EIより大きくなればよいので、第1抵抗部70aの剛性EIが、第2抵抗部70bの剛性EIより大きくなるように、小指抵抗部71、薬指抵抗部72、中指抵抗部73、人指し指抵抗部74のそれぞれの材料を適宜変更してもよい。なお、ヤング率Eは、対象となる材料の引張試験を実施することで計測できる。
【0044】
<作用効果>
本開示に従ったスポーツ用手袋1は、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10と、手甲部60aと、第1抵抗部70aとを備える。人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10は、装着者の手の人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ受け入れ可能である。手甲部60aは、人指し指部40、前記中指部30、前記薬指部20および前記小指部10に接続されている。手甲部60aは、装着者の手甲101Aを覆う。第1抵抗部70aは可撓性を有する。第1抵抗部70aは、装着者が人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ曲げたときに、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなるように、手甲部60a、薬指部20、および小指部10からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに配置される。
【0045】
このようにすれば、装着者が指を曲げたときに、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。その結果、装着者は指力が弱い小指101B1および薬指101B2で意識的に対象物を把持することができるため、対象物に対する良好な把持状態を実現できる。たとえば、把持する対象物が野球用バット200である場合、バット200の把持状態が良好であり操作性が改善されることから、装着者はバット200のスイングスピードを向上させることができる。また、当該抵抗部7を設けることで、手掌部60bでの弛みや皺の発生を抑制することもできる。
【0046】
上記スポーツ用手袋1において、第2抵抗部70bを更に備える。第2抵抗部70bは可撓性を有する。手甲部60a、中指部30、および人指し指部40からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに第2抵抗部70bが配置される。装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1をそれぞれ曲げたときに、第1抵抗部70aによって小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、第2抵抗部70bによって中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。このようにすれば、第2抵抗部70bがあることで、人指し指101B4および中指101B3に加えられる曲げ抵抗Rの大きさを個別に調整することができる。
【0047】
上記スポーツ用手袋1において、第1抵抗部70aは小指抵抗部71を含む。小指抵抗部71は、装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1を曲げたときに、小指101B1に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさ以上になるように、手甲部60aまたは小指部10の少なくともいずれかに配置される。このようにすれば、装着者が指を曲げたときに、小指101B1に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0048】
上記スポーツ用手袋1において、第1抵抗部70aは薬指抵抗部72を更に含む。薬指抵抗部72は、手甲部60aまたは薬指部20の少なくともいずれかに配置される。装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1を曲げたときに、小指抵抗部71によって小指101B1に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、薬指抵抗部72によって薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさ以上になる。このようにすれば、薬指抵抗部72があることで、薬指101B2および小指101B1に加えられる曲げ抵抗Rの大きさを個別に調整することができる。
【0049】
上記スポーツ用手袋1において、第2抵抗部70bは中指抵抗部73を含む。中指抵抗部73は、装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1を曲げたときに、中指101B3に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなるように、手甲部60aまたは中指部30の少なくともいずれかに配置される。このようにすれば、装着者が指を曲げたときに、中指101B3に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0050】
上記スポーツ用手袋1において、第2抵抗部70bは人指し指抵抗部74を更に含む。人指し指抵抗部74は、手甲部60aまたは人指し指部40の少なくともいずれかに配置される。装着者が、人指し指部40、中指部30、薬指部20および小指部10にそれぞれを受け入れられた人指し指101B4、中指101B3、薬指101B2および小指101B1を曲げたときに、中指抵抗部73によって中指101B3に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、人指し指抵抗部74によって人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。このようにすれば、人指し指抵抗部74があることで、中指101B3および人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさを個別に調整することができる。
【0051】
上記スポーツ用手袋1において、手甲部60a、薬指部20、および小指部10は、第1関節部4を含む。第1関節部4は、第1中手指節間関節部11aと、第2中手指節間関節部21aと、第1近位指節間関節部11bと、第1遠位指節間関節部11cと、第2近位指節間関節部21bと、第2遠位指節間関節部21cとから構成される。第1中手指節間関節部11aは、装着者の手の小指101B1の中手指節間関節123を覆う。第2中手指節間関節部21aは、装着者の手の薬指101B2の中手指節間関節123を覆う。第1近位指節間関節部11bは、装着者の手の小指101B1の近位指節間関節122を覆う。第1遠位指節間関節部11cは、装着者の手の小指101B1の遠位指節間関節121を覆う。第2近位指節間関節部21bは、装着者の手の薬指101B2の近位指節間関節122を覆う。第2遠位指節間関節部21cは、装着者の手の薬指101B2の遠位指節間関節121を覆う。第1抵抗部70aは、第1中手指節間関節部11a、第1近位指節間関節部11b、第1遠位指節間関節部11c、第2中手指節間関節部21a、第2近位指節間関節部21b、および第2遠位指節間関節部21cからなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を跨ぐように配置される。手甲部60a、人指し指部40、および中指部30は、第2関節部5を含む。第2関節部5は、第3中手指節間関節部31aと、第4中手指節間関節部41aと、第3近位指節間関節部31bと、第3遠位指節間関節部31cと、第4近位指節間関節部41bと、第4遠位指節間関節部41cとから構成される。第3中手指節間関節部31aは、装着者の手の中指101B3の中手指節間関節123を覆う。第4中手指節間関節部41a、装着者の手の人指し指101B4の中手指節間関節123を覆う。第3近位指節間関節部31bは、装着者の手の中指101B3の近位指節間関節122を覆う。第3遠位指節間関節部31cは、装着者の手の中指101B3の遠位指節間関節121を覆う。第4近位指節間関節部41bは、装着者の手の人指し指101B4の近位指節間関節122を覆う。第4遠位指節間関節部41cは、装着者の手の人指し指101B4の遠位指節間関節121を覆う。第2抵抗部70bは、第3中手指節間関節部31a、第3近位指節間関節部31b、第3遠位指節間関節部31c、第4中手指節間関節部41a、第4近位指節間関節部41b、および第4遠位指節間関節部41cからなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置される。第1抵抗部70aが跨ぐ第1関節部4における関節部の数は、第2抵抗部70bが跨ぐ第2関節部5における関節部の数より多い。
【0052】
このようにすれば、第1抵抗部70aによって小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、第2抵抗部70bによって中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0053】
上記スポーツ用手袋1において、第1抵抗部70aの剛性EIは、第2抵抗部70bの剛性EIより大きい。このようにすれば、第1抵抗部70aによって小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、第2抵抗部70bによって中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0054】
上記スポーツ用手袋1において、第1抵抗部70aの形状は、第2抵抗部70bの断面二次モーメントIより大きい断面二次モーメントIを有する形状である。このようにすれば、第1抵抗部70aによって小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、第2抵抗部70bによって中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0055】
上記スポーツ用手袋1において、第1抵抗部70aの材料のヤング率Eは、第2抵抗部70bのヤング率Eより大きい。このようにすれば、第1抵抗部70aによって小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが、第2抵抗部70bによって中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなる。
【0056】
上記のような本実施の形態に係るスポーツ用手袋1の有効性を確認するため、以下のようなスイングテストを実施した。
【0057】
図7は、成人男性によるバット200のスイングスピードを示すグラフである。図7において、縦軸はバット200のスイングスピード(単位:km/h)を示す。図8は、成人男性によるバット200のスイングの初動時におけるバット200の加速力を示すグラフである。図8において、縦軸はバット200の加速力(単位:G)を示す。単位Gは、重力加速度を示す。case1は、成人男性が、人指し指101B4および中指101B3のみでバット200を把持した時における計測結果である。case2は、成人男性が、薬指101B2および小指101B1のみでバット200を把持した時における計測結果である。なお、上述した図7および図8に示されたデータはBlast社製BlastBaseballを用いて測定した。
【0058】
図7から分かるように、case2におけるスイングスピードはcase1におけるスイングスピードより大きい。図8から分かるようにcase2におけるバット200の加速力はcase1におけるバット200の加速力より大きい。このことから、スイングの初動時におけるバット200の加速力が大きくなることで、バット200のスイングスピードを高めることができると考えられる。つまり、人指し指101B4および中指101B3のみでバット200を把持した時よりも薬指101B2および小指101B1のみでバット200を把持した時の方がスイングスピードが向上している。このことから、薬指101B2および小指101B1でバット200を確実に把持することがスイングスピードの向上に大きく寄与すると考えられる。
【0059】
図9は、成人男性によるバット200のスイングスピードを示すグラフである。図9において、縦軸はバット200のスイングスピードを示す。図10は、成人男性によるバット200のスイングの初動時におけるバット200の加速力を示すグラフである。図10において、縦軸はバット200の加速力を示す。図9および図10の横軸において、「従来品」は、人指し指部40、中指部30、薬指部20、小指部10におけるそれぞれの曲げ抵抗Rが互いに等しい手袋を装着してバットをスイングした場合を示す。「実施例」は、図1に示された手袋1であって、中指部30、薬指部20、小指部10におけるそれぞれの曲げ抵抗Rが、人指し指部40における曲げ抵抗Rより大きい手袋1である。なお、図9および図10に示されたデータの測定方法は、図7および図8に示されたデータの測定方法と同様である。
【0060】
図9から分かるように、実施例の手袋1を装着した成人男性によるスイングスピードは、従来品の手袋1を装着した成人男性によるスイングスピードより大きい。図10から分かるように実施例の手袋1を装着した成人男性によるバット200の加速力は、従来品の手袋1を装着した成人男性によるバット200の加速力より大きい。このように、図9および図10において、図7および図8で見られるような傾向が確認できた。つまり、小指101B1または薬指101B2に加えられる曲げ抵抗Rの大きさが中指101B3または人指し指101B4に加えられる曲げ抵抗Rの大きさよりも大きくなるように抵抗部7が配置された実施例の手袋1における有効性が確認された。
【0061】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つ以上を組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均衡の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0062】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
装着者の手の人指し指、中指、薬指および小指をそれぞれ受け入れ可能な人指し指部、中指部、薬指部および小指部と、
前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部に接続されており、かつ前記装着者の手甲を覆う手甲部と、
可撓性を有する第1抵抗部とを備え、
装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指をそれぞれ曲げたときに、前記小指または前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさが前記中指または前記人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなるように、前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに前記第1抵抗部が配置された、スポーツ用手袋。
(付記2)
可撓性を有する第2抵抗部を更に備え、
前記手甲部、前記中指部、および前記人指し指部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつに前記第2抵抗部が配置され、
装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指をそれぞれ曲げたときに、前記第1抵抗部によって前記小指または前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさが、前記第2抵抗部によって前記中指または前記人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなる、付記1に記載のスポーツ用手袋。
(付記3)
前記第1抵抗部は、
装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指を曲げたときに、前記小指に加えられる曲げ抵抗の大きさが前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさ以上になるように、前記手甲部または前記小指部の少なくともいずれかに配置された小指抵抗部を含む、付記2に記載のスポーツ用手袋。
(付記4)
前記第1抵抗部は、
前記手甲部または前記薬指部の少なくともいずれかに配置された薬指抵抗部を更に含み、
装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指を曲げたときに、前記小指抵抗部によって前記小指に加えられる曲げ抵抗の大きさが、前記薬指抵抗部によって前記薬指に加えられる曲げ抵抗の大きさ以上になる、付記3に記載のスポーツ用手袋。
(付記5)
前記第2抵抗部は、
装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指を曲げたときに、前記中指に加えられる曲げ抵抗の大きさが前記人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなるように、前記手甲部または前記中指部の少なくともいずれかに配置された中指抵抗部を含む、付記2に記載のスポーツ用手袋。
(付記6)
前記第2抵抗部は、
前記手甲部または前記人指し指部の少なくともいずれかに配置された人指し指抵抗部を更に含み、
装着者が、前記人指し指部、前記中指部、前記薬指部および前記小指部にそれぞれを受け入れられた前記人指し指、前記中指、前記薬指および前記小指を曲げたときに、前記中指抵抗部によって前記中指に加えられる曲げ抵抗の大きさが、前記人指し指抵抗部によって前記人指し指に加えられる曲げ抵抗の大きさよりも大きくなる、付記5記載のスポーツ用手袋。
【0063】
(付記7)
前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部は、第1関節部を含み、
前記第1関節部は、
装着者の手の小指の中手指節間関節を覆う第1中手指節間関節部と、
装着者の手の薬指の中手指節間関節を覆う第2中手指節間関節部と、
装着者の手の小指の近位指節間関節を覆う第1近位指節間関節部と、
装着者の手の小指の遠位指節間関節を覆う第1遠位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の近位指節間関節を覆う第2近位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の遠位指節間関節を覆う第2遠位指節間関節部とから構成され、
前記第1抵抗部は、前記第1中手指節間関節部、前記第1近位指節間関節部、前記第1遠位指節間関節部、前記第2中手指節間関節部、前記第2近位指節間関節部、および前記第2遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を跨ぐように配置され、
前記手甲部、前記人指し指部、および前記中指部は、第2関節部を含み、
前記第2関節部は、
装着者の手の中指の中手指節間関節を覆う第3中手指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の中手指節間関節を覆う第4中手指節間関節部と、
装着者の手の中指の近位指節間関節を覆う第3近位指節間関節部と、
装着者の手の中指の遠位指節間関節を覆う第3遠位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の近位指節間関節を覆う第4近位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の遠位指節間関節を覆う第4遠位指節間関節部とから構成され、
前記第2抵抗部は、前記第3中手指節間関節部、前記第3近位指節間関節部、前記第3遠位指節間関節部、前記第4中手指節間関節部、前記第4近位指節間関節部、および前記第4遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置され、
前記第1抵抗部が跨ぐ前記第1関節部における前記関節部の数は、前記第2抵抗部が跨ぐ前記第2関節部における前記関節部の数より多い、付記2から付記6のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【0064】
(付記8)
前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部は、第1関節部を含み、
前記第1関節部は、
装着者の手の小指の中手指節間関節を覆う第1中手指節間関節部と、
装着者の手の薬指の中手指節間関節を覆う第2中手指節間関節部と、
装着者の手の小指の近位指節間関節を覆う第1近位指節間関節部と、
装着者の手の小指の遠位指節間関節を覆う第1遠位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の近位指節間関節を覆う第2近位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の遠位指節間関節を覆う第2遠位指節間関節部とから構成され、
前記第1抵抗部は、前記第1中手指節間関節部、前記第1近位指節間関節部、前記第1遠位指節間関節部、前記第2中手指節間関節部、前記第2近位指節間関節部、および前記第2遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を跨ぐように配置され、
前記手甲部、前記人指し指部、および前記中指部は、第2関節部を含み、
前記第2関節部は、
装着者の手の中指の中手指節間関節を覆う第3中手指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の中手指節間関節を覆う第4中手指節間関節部と、
装着者の手の中指の近位指節間関節を覆う第3近位指節間関節部と、
装着者の手の中指の遠位指節間関節を覆う第3遠位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の近位指節間関節を覆う第4近位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の遠位指節間関節を覆う第4遠位指節間関節部とから構成され、
前記第2抵抗部は、前記第3中手指節間関節部、前記第3近位指節間関節部、前記第3遠位指節間関節部、前記第4中手指節間関節部、前記第4近位指節間関節部、および前記第4遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置され、
前記第1抵抗部の剛性は、前記第2抵抗部の剛性より大きい、付記2から付記6のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【0065】
(付記9)
前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部は、第1関節部を含み、
前記第1関節部は、
装着者の手の小指の中手指節間関節を覆う第1中手指節間関節部と、
装着者の手の薬指の中手指節間関節を覆う第2中手指節間関節部と、
装着者の手の小指の近位指節間関節を覆う第1近位指節間関節部と、
装着者の手の小指の遠位指節間関節を覆う第1遠位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の近位指節間関節を覆う第2近位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の遠位指節間関節を覆う第2遠位指節間関節部とから構成され、
前記第1抵抗部は、前記第1中手指節間関節部、前記第1近位指節間関節部、前記第1遠位指節間関節部、前記第2中手指節間関節部、前記第2近位指節間関節部、および前記第2遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を跨ぐように配置され、
前記手甲部、前記人指し指部、および前記中指部は、第2関節部を含み、
前記第2関節部は、
装着者の手の中指の中手指節間関節を覆う第3中手指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の中手指節間関節を覆う第4中手指節間関節部と、
装着者の手の中指の近位指節間関節を覆う第3近位指節間関節部と、
装着者の手の中指の遠位指節間関節を覆う第3遠位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の近位指節間関節を覆う第4近位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の遠位指節間関節を覆う第4遠位指節間関節部とから構成され、
前記第2抵抗部は、前記第3中手指節間関節部、前記第3近位指節間関節部、前記第3遠位指節間関節部、前記第4中手指節間関節部、前記第4近位指節間関節部、および前記第4遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置され、
前記第1抵抗部の形状は、前記第2抵抗部の断面二次モーメントより大きい断面二次モーメントを有する形状である、付記2から付記6のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【0066】
(付記10)
前記手甲部、前記薬指部、および前記小指部は、第1関節部を含み、
前記第1関節部は、
装着者の手の小指の中手指節間関節を覆う第1中手指節間関節部と、
装着者の手の薬指の中手指節間関節を覆う第2中手指節間関節部と、
装着者の手の小指の近位指節間関節を覆う第1近位指節間関節部と、
装着者の手の小指の遠位指節間関節を覆う第1遠位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の近位指節間関節を覆う第2近位指節間関節部と、
装着者の手の薬指の遠位指節間関節を覆う第2遠位指節間関節部とから構成され、
前記第1抵抗部は、前記第1中手指節間関節部、前記第1近位指節間関節部、前記第1遠位指節間関節部、前記第2中手指節間関節部、前記第2近位指節間関節部、および前記第2遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上を跨ぐように配置され、
前記手甲部、前記人指し指部、および前記中指部は、第2関節部を含み
前記第2関節部は、
装着者の手の中指の中手指節間関節を覆う第3中手指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の中手指節間関節を覆う第4中手指節間関節部と、
装着者の手の中指の近位指節間関節を覆う第3近位指節間関節部と、
装着者の手の中指の遠位指節間関節を覆う第3遠位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の近位指節間関節を覆う第4近位指節間関節部と、
装着者の手の人指し指の遠位指節間関節を覆う第4遠位指節間関節部とから構成され、
前記第2抵抗部は、前記第3中手指節間関節部、前記第3近位指節間関節部、前記第3遠位指節間関節部、前記第4中手指節間関節部、前記第4近位指節間関節部、および前記第4遠位指節間関節部からなる群から選択される少なくともいずれかひとつの関節部上に配置され、
前記第1抵抗部の材料のヤング率は、前記第2抵抗部のヤング率より大きい、付記2から付記6のいずれか1項に記載のスポーツ用手袋。
【符号の説明】
【0067】
1 手袋、3 指部、4 第1関節部、5 第2関節部、7 抵抗部、10 小指部、11a 第1中手指節間関節部、11b 第1近位指節間関節部、11c 第1遠位指節間関節部、20 薬指部、21a 第2中手指節間関節部、21b 第2近位指節間関節部、21c 第2遠位指節間関節部、30 中指部、31a 第3中手指節間関節部、31b 第3近位指節間関節部、31c 第3遠位指節間関節部、40 人指し指部、41a 第4中手指節間関節部、41b 第4近位指節間関節部、41c 位指節間関節部、50 親指部、60a 手甲部、60b 手掌部、70a 第1抵抗部、70b 第2抵抗部、71 小指抵抗部、72 薬指抵抗部、73 中指抵抗部、74 人指し指抵抗部、75 第1部分、76 第2部分、77 頂部、78 接続部、80 ベルト、101 左手、101A 手甲、101B5 親指、101B4 人指し指、101B3 中指、101B2 薬指、101B1 小指、111 末節骨、112 中節骨、113 基節骨、114 中手骨、121 遠位指節間関節、122 近位指節間関節、123 中手指節間関節、124 第1指節間関節、200 バット、E ヤング率、EI 剛性、M 曲げモーメント、G 単位、I 断面二次モーメント、R 曲げ抵抗、S 表面、Z 断面係数、d ひずみ、d1,d2,d3 ひずみ量、r 曲率半径。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10