(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】半導体構造の製造方法及び半導体構造
(51)【国際特許分類】
H01L 21/76 20060101AFI20240607BHJP
【FI】
H01L21/76 L
H01L21/76 Z
(21)【出願番号】P 2022549085
(86)(22)【出願日】2021-06-15
(86)【国際出願番号】 CN2021100167
(87)【国際公開番号】W WO2022057338
(87)【国際公開日】2022-03-24
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】202010984302.2
(32)【優先日】2020-09-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】チャオ メンチュー
【審査官】宇多川 勉
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-259775(JP,A)
【文献】米国特許第07947551(US,B1)
【文献】特開2013-045946(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第110880472(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造の製造方法であって、
分離トレンチが形成される基板を提供することと、
前記分離トレンチ内に、前記分離トレンチの内表面を覆うシリコンリッチ分離層を形成することと、
前記分離トレンチ内に分離酸化層を形成することと、を含み、
前記分離酸化層は、前記分離トレンチを充填し、
前記分離トレンチ内に分離酸化層を形成することは、
前記分離トレンチ内に第1分離酸化層を形成することであって、前記第1分離酸化層の少なくとも一部は、前記シリコンリッチ分離層が酸化された後に形成されることと、
前記分離トレンチ内に、前記第1分離酸化層を覆う第2分離酸化層を形成することであって、前記第1分離酸化層及び前記第2分離酸化層は、前記分離酸化層として使用することと、を含み、
前記分離トレンチ内に前記第1分離酸化層を形成した後、前記シリコンリッチ分離層はすべて酸化されて、第1酸化層を形成し、
前記第1分離酸化層を形成することは、
前記分離トレンチ内に、前記シリコンリッチ分離層を覆う第2酸化層を形成し、前記第2酸化層を形成した後、前記シリコンリッチ分離層の一部は酸化されて、前記第1酸化層を形成することと、
その場での水蒸気生成プロセス(ISSG:in-situ steam generation)によって前記シリコンリッチ分離層を酸化させ、前記ISSGが完了した後、前記シリコンリッチ分離層の少なくとも一部は酸化されて、前記第1酸化層を形成することと、
前記分離トレンチ内に、前記第2酸化層を覆う第3酸化層を形成することと、を含み、
前記第3酸化層を形成した後、前記シリコンリッチ分離層はすべて酸化されて、前記第1酸化層を形成し、前記第1酸化層、前記第2酸化層、及び前記第3酸化層は、前記第1分離酸化層として使用する、半導体構造の製造方法。
【請求項2】
前記分離トレンチは、第1分離トレンチ及び第2分離トレンチを含み、前記第1分離トレンチの幅は、前記第2分離トレンチの幅より大きく、
前記第1酸化層、前記第2酸化層、前記第3酸化層、及び前記第2分離酸化層は、第1分離トレンチ酸化層として前記第1分離トレンチを充填し、前記第1酸化層、前記第2酸化層、及び前記第3酸化層は、第2分離トレンチ酸化層として前記第2分離トレンチを充填する、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項3】
前記第2酸化層及び前記第3酸化層は、いずれも原子層堆積プロセスによって形成される、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項4】
前記第2分離酸化層は、スピンオン誘電体層プロセスによって形成される、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項5】
前記分離酸化層は、二酸化ケイ素層である、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項6】
前記シリコンリッチ分離層は、多結晶シリコン層である、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項7】
前記分離トレンチの側壁を覆う前記シリコンリッチ分離層の場合、前記分離トレンチの底部から前記分離トレンチの頂部まで、前記シリコンリッチ分離層の厚さは同じである、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項8】
前記分離トレンチの側壁を覆う前記シリコンリッチ分離層の場合、前記分離トレンチの底部から前記分離トレンチの頂部まで、前記シリコンリッチ分離層の厚さは徐々に増加する、
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項9】
前記シリコンリッチ分離層は、低ステップカバレッジのファーネスチューブプロセスによって形成される、
請求項8に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項10】
前記シリコンリッチ分離層を形成することは、
前記分離トレンチの表面に種結晶を形成するために、C
6H
17NSiをファーネスチューブに通すことと、
前記分離トレンチの内面に前記シリコンリッチ分離層を形成するために、Si
2H
4をファーネスチューブに通すことと、を含む、
請求項9に記載の半導体構造の製造方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本願は、2020年09月18日に中国特許局に提出された、出願番号が202010984302.2であり、発明の名称が「半導体構造の製造方法及び半導体構造」である中国特許出願の優先権を主張し、その内容の全てが引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体の技術分野、特に、半導体構造の製造方法及び半導体構造に関する。
【背景技術】
【0003】
既存の浅いトレンチ分離技術(STI:shallow trench isolation)では、浅いトレンチは分離効果が低く、アクティブ領域のサイズが小さいと機器の接続が制限され、関連技術のプロセスでは、深いトレンチを実現することは困難であり、アクティブ領域のサイズもそれに応じて増加する。したがって、先行技術におけるトレンチ構造が半導体構造の性能要件を満たすことは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、半導体構造の性能を改善するための半導体構造の製造方法及び半導体構造を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1態様によれば、半導体構造の製造方法を提供し、前記方法は、
分離トレンチが形成される基板を提供することと、
分離トレンチ内に、分離トレンチの内面を覆うシリコンリッチ分離層を形成することと、
分離トレンチ内に分離酸化層を形成することと、を含み、
ここで、分離酸化層は、分離トレンチを充填する。
【0006】
本発明の一実施例において、分離トレンチ内に分離酸化層を形成することは、
分離トレンチ内に第1分離酸化層を形成することであって、第1分離酸化層の少なくとも一部は、シリコンリッチ分離層が酸化された後に形成されることと、
分離トレンチ内に、第1分離酸化層を覆う第2分離酸化層を形成することであって、第1分離酸化層及び第2分離酸化層は、分離酸化層として使用することと、を含む。
【0007】
本発明の一実施例において、分離トレンチ内に第1分離酸化層を形成した後、シリコンリッチ分離層はすべて酸化されて、第1酸化層を形成する。
【0008】
本発明の一実施例において、第1分離酸化層を形成することは、
分離トレンチ内に、シリコンリッチ分離層を覆う第2酸化層を形成することであって、第2酸化層を形成した後、シリコンリッチ分離層の一部は酸化されて、第1酸化層を形成することと、
その場での水蒸気生成プロセス(ISSG:in-situ steam generation)によってシリコンリッチ分離層を酸化させることであって、ISSGが完了した後、シリコンリッチ分離層の少なくとも一部は酸化されて、第1酸化層を形成することと、
分離トレンチ内に、第2酸化層を覆う第3酸化層を形成することと、を含み、
ここで、第3酸化層を形成した後、シリコンリッチ分離層はすべて酸化されて、第1酸化層を形成し、第1酸化層、第2酸化層、及び第3酸化層は、第1分離酸化層して使用する。
【0009】
本発明の一実施例において、分離トレンチは、第1分離トレンチ及び第2分離トレンチを含み、第1分離トレンチの幅は、第2分離トレンチの幅より大きく、
ここで、第1酸化層、第2酸化層、第3酸化層、及び第2分離酸化層は、第1分離トレンチ酸化層として第1分離トレンチを充填し、第1酸化層、第2酸化層、及び第3酸化層は、第2分離トレンチ酸化層として第2分離トレンチを充填する。
【0010】
本発明の一実施例において、第2酸化層及び第3酸化層は、いずれも原子層堆積プロセスによって形成される。
【0011】
本発明の一実施例において、第2分離酸化層は、スピンオン誘電体層プロセスによって形成される。
【0012】
本発明の一実施例において、シリコンリッチ分離層は、多結晶シリコン層である。
【0013】
本発明の一実施例において、分離トレンチの側壁を覆うシリコンリッチ分離層の場合、分離トレンチの底部から分離トレンチの頂部まで、シリコンリッチ分離層の厚さは同じである。
【0014】
本発明の一実施例において、分離トレンチの側壁を覆うシリコンリッチ分離層の場合、分離トレンチの底部から分離トレンチの頂部まで、シリコンリッチ分離層の厚さは徐々に増加する。
【0015】
本発明の一実施例において、シリコンリッチ分離層は、低ステップカバレッジのファーネスチューブプロセスによって形成される。
【0016】
本発明の第2態様によれば、半導体構造を提供し、前記半導体構造は、
分離トレンチ及び複数のアクティブ領域が形成される基板であって、分離トレンチは、複数のアクティブ領域の間に配置される、基板と、
分離トレンチ内に配置される分離酸化層であって、分離酸化層は、第1分離酸化層及び第2分離酸化層を含み、第1分離酸化層は、分離トレンチの内面を覆う、分離酸化層と、を含み、
ここで、第1分離酸化層の少なくとも一部は、分離トレンチの内面を覆うシリコンリッチ分離層が酸化された後に形成される。
【0017】
本発明の一実施例において、分離トレンチは、第1分離トレンチ及び第2分離トレンチを含み、第1分離トレンチの幅は、第2分離トレンチの幅より大きく、
ここで、第1分離トレンチには、第1分離酸化層及び第2分離酸化層が充填され、第2分離トレンチはすべて、第1分離酸化層で充填される。
【0018】
本発明の半導体構造の製造方法において、まず、分離トレンチ内にシリコンリッチ分離層を形成し、次に、分離酸化層を形成し、シリコンリッチ分離層は、分離酸化層を形成する過程での基板の酸化を防ぐことができ、即ち、最終的に形成された分離酸化層は、アクティブ領域のサイズを確保するために、アクティブ領域が配置されている領域を占有しない。さらに、シリコンリッチ分離層の分離の役割により、プロセスで許可された条件下で、分離トレンチの深さを増加して、分離効果を高め、それにより、半導体構造の性能を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法のフローチャートである。
【
図2】一例示的な実施形態による半導体構造の平面図である。
【
図3】
図2のA-Aにおける断面構造の概略図である。
【
図4】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって分離トレンチを形成する構造の概略図である。
【
図5】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によってシリコンリッチ分離層を形成する構造の概略図である。
【
図6】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって第2酸化層を形成する構造の概略図である。
【
図7】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法におけるその場での水蒸気生成プロセス(ISSG)を経過した構造の概略図である。
【
図8】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって第3酸化層を形成する構造の概略図である。
【
図9】一例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって第2分離酸化層を形成する構造の概略図である。
【
図10】別の例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によってシリコンリッチ分離層を形成する構造の概略図である。
【
図11】別の例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって第2酸化層を形成する構造の概略図である。
【
図12】別の例示的な実施形態による半導体構造の製造方法におけるその場での水蒸気生成プロセス(ISSG)を経過した構造の概略図である。
【
図13】別の例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって第3酸化層を形成する構造の概略図である。
【
図14】別の例示的な実施形態による半導体構造の製造方法によって第2分離酸化層を形成する構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の様々な目的、特徴及び利点は、図面と併せて本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明を検討することからより明らかになる。図面は、本発明の単なる例示的な例示であり、必ずしも特定の縮尺通りに描くものではない。図面において、同じ参照番号は同じまたは同様の部品を指す。
【0021】
本発明の特徴及び利点を具体化する例示的な実施例については、以下で詳細に説明する。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、異なる実施形態において様々な変化を有することができ、また、説明及び図面は、本発明を限定するためではなく、本質的に例示を目的とするものであることを理解されたい。
【0022】
以下では、図面を参照しながら、本発明の様々な例示的な実施形態を説明し、それらの図面は、本明細書の一部を形成し、本発明の様々な態様が実施され得る様々な例示的な構造、システム及びステップを例として示す。部品、構造、例示的な装置、システム及びステップの他の特定の技術案を使用することができ、本発明の範囲から逸脱することなく、構造的及び機能的な変更を行うことができることを理解されたい。さらに、本明細書では、「…の上」、「…の間」、「…内」などの用語を使用して、本発明の様々な例示的な特徴及び要素を説明することができるが、これらの用語は、便宜上、例えば、図面の例の指示に従ってのみ使用される。本明細書のいかなる内容でも、構造の特定の三次元配向が本発明の範囲内に入る必要があると解釈されるべきではない。
【0023】
本発明の一実施例は、半導体構造の製造方法を提供し、
図1を参照すると、半導体構造の製造方法は、以下のステップを含む。
【0024】
ステップS101において、基板10を提供し、基板10上には、分離トレンチ11が形成される。
【0025】
ステップS103において、分離トレンチ11内にシリコンリッチ分離層20を形成し、シリコンリッチ分離層20は、分離トレンチ11の内面を覆う。
【0026】
ステップS105において、分離トレンチ11内に分離酸化層30を形成する。
【0027】
ここで、分離酸化層30は、分離トレンチ11を充填する。
【0028】
本発明の半導体構造の製造方法において、まず、分離トレンチ11内にシリコンリッチ分離層20を形成し、次に、分離酸化層30を形成することにより、シリコンリッチ分離層20は、分離酸化層30を形成する過程での基板10の酸化を防ぐことができ、即ち、最終的に形成された分離酸化層30は、アクティブ領域12のサイズを確保するために、アクティブ領域12が配置されている領域を占有しない。また、シリコンリッチ分離層20の分離により、プロセスで許可された条件下で分離トレンチ11の深さを増加して、分離効果を高め、それにより、半導体構造の性能を改善することができる。
【0029】
エッチング工程の制限により、基板10上の分離トレンチ11のサイズには限界値を有し、即ち、最小サイズが制限され、分離トレンチ11のサイズを最小サイズにエッチングする場合、関連技術の形成プロセスに従って分離酸化層30を形成すると、基板10は、分離酸化層30を形成する過程で酸化されるため、アクティブ領域12が配置された領域を占有するという問題が発生する。したがって、関連技術では、エッチングアスペクト比を調整することによって分離トレンチ11が深くなることを実現することは困難であり、アクティブ領域12のサイズも大きくなることに留意されたい。
【0030】
本発明の半導体構造の製造方法は、最小サイズの分離トレンチ11を使用することができ、まず、分離トレンチ11の内に、その内面を覆うシリコンリッチ分離層20を形成し、次に、分離酸化層30を形成し、その形成過程において、酸化現象が発生したとしても、それはシリコンリッチ分離層20の酸化であり、基板10の酸化は発生しない。
【0031】
分離酸化層30の形成中に、シリコンリッチ分離層20は酸化され、即ち、分離酸化層30は、シリコンリッチ分離層20が酸化された後に形成される薄膜を含むことに留意されたい。本実施例では、分離トレンチ11内にシリコンリッチ分離層20を形成した後、シリコンリッチ分離層20はすべて酸化されて、分離酸化層30の一部を形成する。
【0032】
分離酸化層30の形成プロセスは、原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)プロセス、ラジカル酸化(ISSG:In-Situ Steam Generation)プロセス、スピンオン誘電体層(SOD:spin on dielectric)プロセスなどを含み得る。
【0033】
一実施例では、基板10は、シリコン含有材料で形成されることができる。基板10は、任意の適切な材料で形成されることができ、例えば、シリコン、単結晶シリコン、多結晶シリコン、アモルファスシリコン、シリコンゲルマニウム、単結晶シリコンゲルマニウム、多結晶シリコンゲルマニウム、及び炭素ドープシリコンのうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
基板10上に分離トレンチ11をエッチングした後、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)プロセスを採用することにより、分離トレンチ11内にシリコンリッチ分離層20を形成することができることに留意されたい。一実施例では、分離トレンチ11内に分離酸化層30を形成することは、分離トレンチ11内に第1分離酸化層31を形成することであって、第1分離酸化層31の少なくとも一部は、シリコンリッチ分離層20が酸化された後に形成されることと、分離トレンチ11内に第2分離酸化層32を形成することであって、第2分離酸化層32は、第1分離酸化層31を覆い、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32は、分離酸化層30として使用することと、を含む。
【0035】
具体的には、第1分離酸化層31を形成する過程において、原子層堆積プロセス、ISSGなどのプロセスを採用して、シリコンリッチ分離層20が酸化されるようにし、それにより、第1分離酸化層31を形成する。即ち、基板10の酸化を防ぐことに基づいて、シリコンリッチ分離層20を、分離酸化層30の一部として最終的に形成できるようにして、分離酸化層30が十分な分離能力を有することを保証する。また、第1分離酸化層31を形成した後、第1分離酸化層31上に第2分離酸化層32を覆い、第2分離酸化層32が分離トレンチ11の残りの空間を充填するようにする。
【0036】
一実施例では、分離トレンチ11内に第1分離酸化層31を形成した後、シリコンリッチ分離層20はすべて酸化されて、第1酸化層33に形成され、即ち、第1分離酸化層31は、シリコンリッチ分離層20が酸化された後に形成される薄膜の少なくとも一部を含み、すべて酸化されたシリコンリッチ分離層20によって形成された第1酸化層33は、十分な分離能力を有することを保証することができる。
【0037】
具体的には、第1分離酸化層31を形成する過程において、シリコンリッチ分離層20はすべて酸化され、例えば、原子層堆積プロセス、ISSGを採用して第1分離酸化層31を形成する過程において、シリコンリッチ分離層20は徐々に酸化され、最終的にはすべて、第1分離酸化層31を形成する。
【0038】
一実施例では、第1分離酸化層31を形成することは、分離トレンチ11内に第2酸化層34を形成することであって、第2酸化層34は、シリコンリッチ分離層20を覆い、第2酸化層34を形成した後、シリコンリッチ分離層20の一部は酸化されて、第1酸化層33を形成することと、ISSGによって、シリコンリッチ分離層20を酸化させることであって、ISSGが完了した後、シリコンリッチ分離層20の少なくとも一部は酸化されて、第1酸化層33を形成することと、分離トレンチ11内に第3分離酸化層35を形成することと、を含み、第3酸化層35は、第2酸化層34を覆い、ここで、第3分離酸化層35を形成した後、シリコンリッチ分離層20はすべて酸化されて、第1酸化層33を形成する。第1酸化層33、第2酸化層34及び第3酸化層35は、第1分離酸化層31として使用する。
【0039】
具体的には、第1分離酸化層31の形成過程は、主に3つのステップを含み、即ち、まず、シリコンリッチ分離層20の内面上に第2酸化層34を形成し、この過程はまた、シリコンリッチ分離層20の一部を酸化させる可能性があり、ISSGによって、シリコンリッチ分離層20を処理する。この場合、シリコンリッチ分離層20は、少なくとも部分的に酸化されて第1酸化層33を形成する。最後に、第2酸化層34の表面に、第3酸化層35が形成され、シリコンリッチ分離層20は、完全に酸化されて第1酸化層33を形成する。第1酸化層33、第2酸化層34、及び第3酸化層35は、第1分離酸化層31を形成する。
【0040】
一実施例では、第2酸化層34及び第3酸化層35は、いずれも原子層堆積プロセスによって形成され、即ち、原子層堆積プロセスによってシリコンリッチ分離層20の表面に第2酸化層34を形成し、ISSGを採用してシリコンリッチ分離層20を酸化させて第1酸化層33を形成した後、原子層堆積プロセスによって第2酸化層34の表面に第3酸化層35を形成する。
【0041】
一実施例では、第2分離酸化層32は、スピンオン誘電体層プロセスによって形成され、即ち、第1分離酸化層31を形成した後、スピンオン誘電体層プロセスによって分離トレンチ11内に第2分離酸化層32を形成し、この場合、分離トレンチ11の空き領域は、完全に充填され、且つ第2分離酸化層32は、基板10の上面に配置された第1分離酸化層31を覆う。
【0042】
原子層堆積プロセスによってシリコンリッチ分離層20の内面及び基板10の上面に第2酸化層34を形成し、詳細については、
図6及び
図11を参照でき、原子層プロセスによって形成された薄膜の均一性は特に良好であり、即ち、第2酸化層34の均一性は要件を満たすことを保証できることに留意されたい。ISSGを採用してシリコンリッチ分離層20を酸化させて、第2酸化層34の内側に第1酸化層33を形成し、詳細については、
図7及び
図12を参照でき、ISSGは、H
2/O
2によってアニールすることにより、シリコンリッチ分離層20の大部分が酸化され、また、第2酸化層34の密度を増加し、分離酸化層の効果を保証することができる。原子層堆積プロセスによって第2酸化層34の内面及び基板10の上面に配置された第2酸化層34上に第3酸化層35を形成し、詳細については、
図8及び
図13を参照でき、原子層プロセスによって形成された第3酸化層35の均一性は要件を満たす。最後に、スピンオン誘電体層プロセスによって第3酸化層35の内面及び基板10の上面に配置された第3酸化層35上に第2分離酸化層32を形成し、詳細については、
図9及び
図14を参照でき、スピンオン誘電体層プロセスを採用することにより、分離トレンチ11がすべて充填されることを保証し、その後、アニーリングプロセスを追加して、酸化シリコンの形成を保証する。
【0043】
一実施例では、
図2及び
図3に示されるように、基板10上には、複数のアクティブ領域12が形成され、分離トレンチ11は、複数のアクティブ領域12の間に配置され、分離トレンチ11は、第1分離トレンチ111及び第2分離トレンチ112を含み、第1分離トレンチ111の幅は、第2分離トレンチ112の幅より大きく、且つ第1分離トレンチ111の深さは、第2分離トレンチ112の深さより大きく、即ち、第1分離トレンチ111内の充填量は、第2分離トレンチ112内の充填量より多い。
【0044】
一実施例では、第1酸化層33、第2酸化層34、第3酸化層35、及び第2分離酸化層32は、第1分離トレンチ酸化層として第1分離トレンチ111を充填する。第1分離トレンチ111の幅が大きいので、第1酸化層33、第2酸化層34及び第3酸化層35の形成が完了した後、いくつかの領域は未充填のままであり、したがって、スピンオン誘電体層プロセスによって第2分離酸化層32を形成して充填する必要がある。
【0045】
一実施例では、第1酸化層33、第2酸化層34及び第3酸化層35は、第2分離トレンチ酸化層として第2分離トレンチ112を充填する。第2分離トレンチ112の幅が小さいので、第1酸化層33、第2酸化層34及び第3酸化層35の形成が完了した後、第2分離トレンチ112を完全に充填することができる。もちろん、第1分離酸化層31を形成した後、第2分離トレンチ112には、未充填の領域が存在し、この領域は、第2分離酸化層32によって充填されることを排除しない。
【0046】
一実施例では、分離酸化層30は、二酸化ケイ素層である。
【0047】
一実施例では、シリコンリッチ分離層20は、多結晶シリコン層であり、後続のプロセスによって酸化されて二酸化ケイ素層を形成する。
【0048】
一実施例では、シリコンリッチ分離層20は、ファーネスチューブプロセスによって形成される。
【0049】
一実施例では、シリコンリッチ分離層20を形成することは、C6H17NSiをファーネスチューブに通して、分離トレンチ11の表面に種結晶を形成することと、Si2H4をファーネスチューブに通して、分離トレンチ11の内面にシリコンリッチ分離層20を形成することと、を含む。
【0050】
具体的には、C6H17NSiをファーネスチューブに通し、反応時間を8min~12minに、温度を400℃~440℃に制御し、それにより、基板10の表面に種結晶を急速に成長させる。本実施例では、反応時間は、10minに、温度は、420℃に制御される。次に、Si2H4を通し、反応時間を8min~12minに、温度を400℃~440℃に制御して、シリコンリッチ分離層20を形成し、本実施例では、反応時間を10minに制御し、温度を420℃に制御する。
【0051】
一実施例では、分離トレンチ11の側壁を覆うシリコンリッチ分離層20の厚さは、分離トレンチ11の底部から分離トレンチ11の頂部まで同じであり、即ち、基板10の表面に均一の厚さのシリコンリッチ分離層20を形成する。
【0052】
分離トレンチ11の下端に配置されたシリコンリッチ分離層20の厚さはまた、分離トレンチ11の側壁を覆うシリコンリッチ分離層20の厚さに等しくてもよいことに留意されたい。
【0053】
具体的には、本実施例における半導体構造の製造方法は、以下を含む。
【0054】
図4に示されるように、基板10上に分離トレンチ11をエッチングし、分離トレンチ11は、第1分離トレンチ111及び第2分離トレンチ112を含み、第1分離トレンチ111の深さ及び幅は、いずれも第2分離トレンチ112の深さ及び幅より大きく、ここで、第1分離トレンチ111の深さは、260nm~300nmであり得、第2分離トレンチ112の深さは、225nm~265nmであり得る。
【0055】
図4に基づき、化学気相成長プロセスを採用して、分離トレンチ11内にシリコンリッチ分離層20を形成し、
図5に示されるように、ここで、シリコンリッチ分離層20の厚さは均一であり、シリコンリッチ分離層20の厚さは、2.3nm~3.1nmであり得る。
【0056】
図5に基づき、原子層堆積プロセスを採用して、シリコンリッチ分離層20の内面及び基板10の上面に第2酸化層34を形成し、
図6に示されるように、この過程では、シリコンリッチ分離層20の一部が酸化される(この過程において、シリコンリッチ分離層20の酸化される部分が少ないことを考慮して、シリコンリッチ分離層20の酸化された部分は
図6に示していない)。
【0057】
図6に基づき、ISSGを採用してシリコンリッチ分離層20を酸化させて、第1酸化層33を形成し、
図7に示されるように、シリコンリッチ分離層20の少なくとも一部が酸化されて第1酸化層33を形成する(
図7の実施例において、シリコンリッチ分離層20は、ISSGによって完全に酸化される)。
【0058】
図7に基づき、原子層堆積プロセスを採用して、第3酸化層35を形成し、
図8に示されるように、ISSGの後に、酸化されていないシリコンリッチ分離層20が存在する場合、この過程ですべて酸化され、第1酸化層33、第2酸化層34及び第3酸化層35は、第1分離酸化層31として使用する。
【0059】
図8に基づき、スピンオンプロセスを採用して第2分離酸化層32を形成し、
図9に示されるように、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32は、分離酸化層30として分離トレンチ11を充填し、即ち、最終的に
図2及び
図3に示される半導体構造を形成する(分離酸化層30はすべて、酸化シリコンなど、同じ材料である)。
【0060】
第1分離酸化層31を形成した後、第2分離トレンチ112は完全に充填されることに留意されたい。第2分離酸化層32は、第1分離トレンチ111を充填し、基板10の上面に配置された第1分離酸化層31の一部を覆うように機能される。
【0061】
一実施例では、分離トレンチ11の側壁を覆うシリコンリッチ分離層20の厚さは、分離トレンチ11の底部から分離トレンチ11の頂部に向かって徐々に増加し、即ち、基板10の表面に厚さ勾配を有するシリコンリッチ分離層20を形成する。
【0062】
一実施例では、シリコンリッチ分離層20は、低ステップカバレッジのファーネスチューブプロセスによって形成され、それにより、基板10の表面に厚さ勾配を有するシリコンリッチ分離層20を形成することができる。
【0063】
分離トレンチ11の上部に配置されたシリコンリッチ分離層20の厚さは最大であり、分離トレンチ11の下部に配置されたシリコンリッチ分離層20の厚さは最小であり、製造プロセスの制限により、分離トレンチ11の上部のシリコンリッチ分離層20は、後続のプロセスにおいて速く酸化されるので、この構造により、基板10を酸化させる問題なしに、シリコンリッチ分離層20の同期酸化を保証できることに留意されたい。
【0064】
具体的には、本実施例における半導体構造の製造方法は、以下を含む。
【0065】
基板10上に分離トレンチ11をエッチングし、この分離トレンチ11の具体的な構造及びサイズは、
図4に示される構造を参照でき、ここでは繰り返して説明しない。
【0066】
図4に基づき、化学気相成長プロセスを採用して、分離トレンチ11内にシリコンリッチ分離層20を形成し、
図10に示されるように、ここで、シリコンリッチ分離層20の厚さは、勾配構造に属し、シリコンリッチ分離層20の厚さは、2.3nm~3.1nmであり得、本実施例では、分離トレンチ11の上部に配置されたシリコンリッチ分離層20の厚さは、2.8nm~3.1nmであり得、分離トレンチ11の中部に配置されたシリコンリッチ分離層20の厚さは、2.6nm~2.9nmであり得、分離トレンチ11の下部に配置されたシリコンリッチ分離層20の厚さは、2.3nm~2.7nmであり得る。
【0067】
図10に基づき、原子層堆積プロセスを採用して、シリコンリッチ分離層20の内面及び基板10の上面に第2酸化層34を形成し、
図11に示されるように、この過程では、シリコンリッチ分離層20の一部は酸化される(この過程において、シリコンリッチ分離層20の酸化される部分が少ないことを考慮して、シリコンリッチ分離層20の酸化された部分は
図11に示していない)。
【0068】
図11に基づき、ISSGを採用してシリコンリッチ分離層20を酸化させて、第1酸化層33を形成し、
図12に示されるように、シリコンリッチ分離層20の少なくとも一部は酸化されて第1酸化層33を形成する(
図12の実施例において、シリコンリッチ分離層20は、ISSGによって完全に酸化される)。
【0069】
図12に基づき、原子層堆積プロセスを採用して第3酸化層35を形成し、
図13に示されるように、第1酸化層を形成した後に、酸化されていないシリコンリッチ分離層20が存在する場合、この過程ですべて酸化され、第1酸化層33、第2酸化層34及び第3酸化層35は、第1分離酸化層31として使用する。
【0070】
図13に基づき、スピンオンプロセスを採用して第2分離酸化層32を形成し、
図14に示されるように、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32は、分離酸化層30として分離トレンチ11を充填し、即ち、最終的に
図2及び
図3に示される半導体構造を形成する(分離酸化層30はすべて、酸化シリコンなど、同じ材料である)。
【0071】
第1分離酸化層31を形成した後、第2分離トレンチ112は完全に充填されることに留意されたい。第2分離酸化層32は、第1分離トレンチ111を充填し、基板10の上面に配置された第1分離酸化層31の一部を覆うように機能される。
【0072】
いくつかの実施例では、ISSGによってシリコンリッチ分離層20を酸化させる場合、シリコンリッチ分離層20の一部が酸化されない可能性があり、後続の原子層堆積プロセスによって第3酸化層35を形成する場合、酸化されていないシリコンリッチ分離層20は、完全に酸化されて第1酸化層33を形成する。
【0073】
図9及び
図14の半導体構造において、分離トレンチ11内に充填された第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32は、同じ材料であり、即ち、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32は、分離酸化層30を形成し、即ち、分離酸化層30は、酸化シリコンであり得、詳細は
図2及び
図3に示される通りであることに留意されたい。
図4~
図14は、半導体構造の製造プロセスの説明に焦点を当てており、半導体構造の最終的な形態を表すものではない。
【0074】
本発明の半導体構造の製造方法において、二酸化ケイ素を充填する前に分離トレンチ内に多結晶シリコンを充填することにより、後続のラジカル酸化によってアクティブ領域を酸化させるシリコンが生成されることを防ぎ、これにより、アクティブ領域の長さと幅が増加する一方、分離トレンチの深さも効果的に増加し、取得された半導体構造は、ある程度分離効果を改善させるだけでなく、アクティブ領域の面積も増加することもできる。
【0075】
本発明の一実施例は、半導体構造を更に提供し、
図2、
図3、
図9、及び
図14を参照すると、前記半導体構造は、基板10であって、基板10上には、分離トレンチ11及び複数のアクティブ領域12が形成され、分離トレンチ11は、複数のアクティブ領域12の間に配置される、基板10と、分離酸化層30であって、分離酸化層30は、分離トレンチ11内に配置され、分離酸化層30は、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32を含み、第1分離酸化層31は、分離トレンチ11の内面を覆う、分離酸化層30と、を含み、ここで、第1分離酸化層31の少なくとも一部は、分離トレンチ11の内面を覆うシリコンリッチ分離層20が酸化された後に形成される。
【0076】
本発明の実施例による半導体構造の分離酸化層30は、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32によって形成され、且つ第1分離酸化層31の少なくとも一部は、分離トレンチ11の内面を覆うシリコンリッチ分離層20が酸化された後に形成され、即ち、半導体構造の分離トレンチ11内の分離酸化層30は、アクティブ領域12のサイズを確保するために、アクティブ領域12が配置されている領域を占有しない。また、シリコンリッチ分離層20の分離により、プロセスで許可された条件下で分離トレンチ11の深さを増加して、分離効果を高め、それにより、半導体構造の性能を改善することができる。
【0077】
一実施例では、シリコンリッチ分離層20は、多結晶シリコンであり得、分離酸化層30は、二酸化ケイ素であり得る。
【0078】
一実施例では、
図4に示されるように、分離トレンチ11は、第1分離トレンチ111及び第2分離トレンチ112を含み、第1分離トレンチ111の幅は、第2分離トレンチ112の幅より大きく、ここで、第1分離トレンチ111には、第1分離酸化層31及び第2分離酸化層32が充填され、第2分離トレンチ112はすべて、第1分離酸化層31で充填され、詳細は
図8、
図9、
図13、及び
図14を参照できる。
【0079】
一実施例では、半導体構造は、上記の半導体構造の製造方法により形成される。
【0080】
当業者は、明細書を考慮し、本明細書に開示された発明を実施した後、本発明の他の実施形態を容易に想到し得る。本発明は、本発明のあらゆる変形、応用又は適応性変化を網羅することを意図し、これらの変形、応用又は適応性変化は、本発明の普通の原理に準拠し、本発明によって開示されない本技術分野における周知知識又は従来の技術的手段を含む。明細書と実施例は、例示としてのみ考慮され、本発明の真の範囲及び思想は添付の特許請求の範囲によって示される。
【0081】
本発明は、前述に既に説明し、図面に示した正確な構造に限定されるものではなく、その範囲から逸脱することなく様々な修正及び変更を行うことができることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ制限される。
【符号の説明】
【0082】
10、基板
11、分離トレンチ
111、第1分離トレンチ
112、第2分離トレンチ
12、アクティブ領域
20、シリコンリッチ分離層
30、分離酸化層
31、第1分離酸化層
32、第2分離酸化層
33、第1酸化層
34、第2酸化層
35、第3酸化層