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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-06
(45)【発行日】2024-06-14
(54)【発明の名称】エアロゾルアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/20 20060101AFI20240607BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20240607BHJP
【FI】
B65D83/20
B05B9/04
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2022576377
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2020038394
(87)【国際公開番号】W WO2021257079
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2022-12-19
(31)【優先権主張番号】16/904,892
(32)【優先日】2020-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520085316
【氏名又は名称】ダブリュディー-フォーティー マニュファクチュアリング カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】フロイデンベルク,ジョン ダブリュ.
(72)【発明者】
【氏名】ペシュケ,ジョセフ ジー.
(72)【発明者】
【氏名】ミエジヴァ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】スターズマン,マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッドソン,ライアン ポール
(72)【発明者】
【氏名】ハウェル,クリストファー マイケル
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開平09-301461(JP,A)
【文献】特表2008-521715(JP,A)
【文献】実開平02-137952(JP,U)
【文献】実開平02-037771(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2002/0108972(US,A1)
【文献】米国特許第03540624(US,A)
【文献】欧州特許出願公開第00693438(EP,A1)
【文献】特開2010-110747(JP,A)
【文献】特開2010-042860(JP,A)
【文献】特開2004-329977(JP,A)
【文献】米国特許第03651993(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/20
B65D 83/22
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧流体の容器とともに使用するためのエアロゾルアクチュエータであり、前記容器は、前記容器の内容物を放出するために押し下げ可能なバルブステムを伴ったバルブを有するタイプである、エアロゾルアクチュエータであって、
前記バルブステムの上方で前記容器に配置されるように適合されているシュラウドと、
前記シュラウドの中に配置されている作動部材であり、前記バルブステムを受け入れるように適合された入口端を有するステム孔ポケットを含む作動部材とを備え、
前記作動部材は、前記バルブステムが押し下げられない第1位置と、前記バルブステムが押し下げられて前記容器の前記内容物を放出する第2位置との間で、前記シュラウドに対して移動可能であり、
前記作動部材は、
出口ポートを有するノズルと、
前記バルブステムと前記ノズルとを接続するチャンネルとを含み、
前記ステム孔ポケットは、内面と、前記ステム孔ポケットの前記入口端に隣接する前記内面から延びる複数のリブであり、前記バルブステムの前記ステム孔ポケットへの進入を容易にする複数のリブとを含む、エアロゾルアクチュエータ。
【請求項2】
前記リブは、傾斜面を有する、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項3】
前記リブは、前記ステム孔ポケットの前記内面の周りに円周方向に配置されている、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項4】
少なくとも5つの前記リブが設けられている、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項5】
前記リブは、前記バルブステムを前記ステム孔ポケットに送り込むように機能する、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項6】
前記リブは、圧縮性又は弾性材料から形成されている、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項7】
前記リブは、前記バルブステムに係合する、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項8】
さらに、前記シュラウドから前記作動部材に向かって延びるタブを備えている、請求項1記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項9】
前記タブは、前記シュラウドの中の前記作動部材を安定化するように機能する、請求項8記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項10】
エアロゾルアクチュエータが前記容器に位置するときに、前記タブは、前記バルブステムを受け入れるように前記ステム孔ポケットを正確に位置決めするために、前記シュラウドの中に前記作動部材を位置決めするように機能する、請求項8記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項11】
記タブは、前記ステム孔ポケットを前記バルブステムと揃えるように前記作動部材を位置決めする、請求項記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項12】
前記タブは、エアロゾルアクチュエータと前記容器との組み立て中に前記バルブステムを受け入れる位置に前記作動部材を維持する、請求項記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項13】
前記作動部材は、前記作動部材が押し下げられたときに、前記タブを前記作動部材の移動経路の外へ回転させるように構成されている、請求項記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項14】
前記作動部材は、前記作動部材がユーザによって初めて押し下げられたときに、前記タブを前記作動部材の移動経路の外へ回転させるように構成されている、請求項記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項15】
前記作動部材は、下方に延びる部分を含み、下方に延びる前記部分は、前記作動部材が押し下げられたときに、前記タブに係合するように構成されている、請求項記載のエアロゾルアクチュエータ。
【請求項16】
前記部分は、傾斜面を含む、請求項15記載のエアロゾルアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バネ荷重式バルブステムを有するタイプの加圧エアロゾル容器のアクチュエータに関する。特に、必要なシールが形成されるように、孔ポケットとバルブステムとの間の揃えることを維持する内部リブを含む独特のステム孔の構成のために、「ゆらぎのある」作動部材を高速製造で容器に取り付けることを可能にする作動部材に関し;バルブステムが孔ポケットに挿入される際に作動部材を安定化するタブに関し;また、外部の頂部荷重の力による作動部材の偶発的な押し下げを排除する拡張壁を有するシュラウドに関する。
【背景技術】
【0002】
押し下げ可能なバネ荷重式バルブステムを有する、加圧流体容器用のアクチュエータは当該技術分野において周知である。アクチュエータは、垂直に延びるバルブステムの上方で、容器の頂部に取り付けられるように構成されている。アクチュエータは、バルブステムと揃い、バルブステムと係合する作動部材を含む。作動部材は、容器の頂部と係合するように構成されたシュラウドの中に移動可能に取り付けられている。作動部材に外部の下向きの力が加えられると、部材は容器に向かって移動し、バルブステムを押し下げて容器の内容物を放出する。作動部材は、バルブステムに接続されたノズルを含み、容器から出る流体を導く。
【0003】
アクチュエータが手動又は低速の製造ラインによって加圧容器に取り付けられる場合に、バルブステムが作動部材の底部のステム孔ポケットに着座できるように、アクチュエータを容器と正確に揃えることは、比較的容易である。しかしながら、毎分300個の製造ラインのような高速製造ラインでは、孔ポケットが孔ポケット内のバルブステムからスペースをおくように構成されていない限り、バルブステムが作動部材ポケット内に受け入れられるので、作動部材の適切な揃えと、安定化とに関して問題が生じる。これにより、作動部材とバルブステムとの間のシールが、ユーザが作動部材を押すまでは必要とされず、作動部材ポケットは、作動部材とバルブステムとを常に接続し、バルブステムと分離してシールを破壊しないように構成されている。そうでなければ、実際には、容器に対してアクチュエータを高速に組み立てることは困難であることが判明している。
【0004】
この問題を克服するために、様々な構成が考えられてきた。浮動ポケットは、ステムの製造高さのため、また、シールパラメータを超える成形及び組み立ての許容誤差のために不成功であった。さらに長くした孔ポケットは、再係合中に一貫性のない放出を提供するものであった。高いシールと、低減された垂直半径方向シール深さとを有する中距離の孔ポケットは、部分的に成功であったが、バルブステムと係合する前の作動部材は、一貫した位置合わせを提供するには、過度に「ゆらぎのある」ものであった。
【0005】
バルブステムが孔ポケット内で移動して、バルブステムを係合解除しまた再係合することを可能にする「スライドシール」を形成することによって、これらの問題は本発明において克服される。これは、孔ポケット入口の近くで、内部の「リブ」を使用して可能である。リブは、半径方向シール領域の直下のステムに係合し、ステムがポケット内に貼り付くような過度の抵抗なしに、ステムのポケット内への進入を容易にする。
【0006】
リブは、ステムがポケットにはいるときにステムによって少しだけ「つぶされる」ことが可能な、ある程度弾力性又は圧縮性のある材料から形成されている。また、ポケット入口に近接するリブの表面の部分は、ステムをポケットに送り込むのに必要な角度のリードを提供するように傾斜し、製造装置が毎分ターゲット300個で動作できるように、機械位置決め公差内で機能する高速適用を可能にする。
【0007】
また、一層高い内部シールを有するリブ構成は、ポケットをステムに「ハンマーで打ち込む」必要性を排除し、容器の内容物の偶発的な放出を防止し、一層高い適用実行速度を可能にする。
【0008】
リブは、ステム孔ポケットの内面から突出し、ポケットの中心軸にほぼ平行な方向に延びる。ポケット内に円周方向に配置された少なくとも5つのリブが、ポケット内のステムの一貫した自己センタリングを確実にするために、好ましい。
【0009】
内部リブを備えた孔ポケットは、主に、アクチュエータの他の構成要素が作動部材を安定化するように機能する場合に、使用することが意図されている。これにより、孔ポケットとバルブステムとの間のシール及び再シールが、ゆらぎなしに生じることができる。このような状況では、アクチュエータの構成要素を設けて、アクチュエータが高速製造中に容器に取り付けられる前に、作動部材を安定化することができる。
【0010】
アクチュエータが取り付けられているときに、シュラウドの中の作動部材を適切に安定化するためには、作動部材のステム孔ポケットを、一貫してバルブステムの上方に配置し、バルブステムに取り付ける必要がある。これを達成するために、本発明は、バルブステムがポケットに受け入れられるように作動部材がシュラウドに対して常に正しい位置にあることを確実にするために、安定化タブを採用する。
【0011】
安定化タブは、シュラウドの一部として成形され、シュラウド壁から作動部材のステム孔ポケットに向かって延び、製造中にステム孔ポケットを位置決めする。作動速度が毎分300個までのアクチュエータの効果的かつ一貫した適用に必要な範囲内に、ステム孔ポケットを保持することを確実にするために、安定化タブは、必要な力で作動部材を安定に保持する。
【0012】
安定化タブは、アクチュエータが最初に使用されるまで、アクチュエータの所定の位置に留まる。作動部材がユーザによって初めて押し下げられるときに、タブに係合し、タブを作動部材の経路の外へ回転させる部分を、作動部材は有する。バルブを押しながら、タブを動かすのに必要な力は、バルブを開く力と合成した場合でさえも、人体計測的な力の範囲内で十分に作動する。この押し下げ力は、エアロゾル製品を出すための通常の消費者の使用であると考えられる。
【0013】
このタイプのアクチュエータが遭遇する別の問題は、種々のタイプの外力が作動部材に頂部荷重圧力を生じさせるために、出荷及び保管中に容器の内容物が偶発的に放出されることに関する。本発明では、追加のパッケージ材料を使用せず、また使用中の作動部材へのアクセスを制限せずに、エアロゾル容器の頂部に積み重ねられた他のエアロゾル容器のような平坦な物体による押し下げから、作動部材を保護するための構造が提供される。
【0014】
作動部材は、シュラウド壁の高さを延ばすことによって保護される。その中には、作動部材が位置する。シュラウド壁の頂部は、作動部材の平面よりもわずかに高い平面内に位置する。
【0015】
拡張シュラウドは、頂部荷重圧力をシュラウドに接触させることを可能にし、シュラウド壁を通して下方へバルブカップと容器とに、力を伝達することを可能にする。これにより、アクチュエータは、追加の内部パッケージングなしで、出荷及び保管中に偶発的に放出されることを防止する。作動部材への容易なアクセスは、消費者の使用を容易にするために維持される。
【発明の概要】
【0016】
出現する可能性があるこの目的、またその他の目的のために、本発明は、加圧流体の容器とともに使用するためのエアロゾルアクチュエータであり、容器は、容器の内容物を放出するために押し下げ可能なバルブステムを伴ったバルブを有するタイプである、エアロゾルアクチュエータに関する。バルブステムの上方で容器に配置されるように適合されているシュラウドを備え;シュラウドは、作動部材が配置されるスペースを画定する壁を有し;バルブステムを受け入れるように適合されたステム孔ポケットを含む作動部材を備え;作動部材は、バルブステムが押し下げられない第1位置と、バルブステムが押し下げられて容器の内容物を放出する第2位置との間で、シュラウドに対して移動可能であり;作動部材は、出口ポートを有するノズルと;バルブステムとノズルとを接続するチャンネルとを含み;ステム孔ポケットは、軸と、内面と、ステム孔ポケットの内面から軸の方向に延びる複数のリブであり、バルブステムのステム孔ポケットへの進入を容易にする複数のリブとを含む。
【0017】
リブは、ステム孔ポケットの内面の周りに円周方向に配置されている。
【0018】
少なくとも5つのリブが設けられている。リブは、半径方向シール領域からスペースをおいた位置で、又は半径方向シール領域の直下の位置で、ステムに係合する。
【0019】
リブは、圧縮性材料から形成されている。
【0020】
リブは、ステム孔ポケットの入口に近接して傾斜面を有する。
【0021】
エアロゾルアクチュエータはさらに、シュラウドから作動部材に向かって延びるタブを備えている。エアロゾルアクチュエータが容器に位置するときに、タブは、バルブステムを受け入れるようにステム孔ポケットを正確に位置決めするために、作動部材を位置決め及び安定化するように機能する。
【0022】
本発明の別の態様によれば、加圧流体の容器とともに使用するためのエアロゾルアクチュエータであり、容器は、容器の内容物を放出するために押し下げ可能なバルブステムを伴ったバルブを有するタイプである、エアロゾルアクチュエータが提供される。バルブステムの上方で容器に配置されるように適合されているシュラウドを備え;シュラウドは、作動部材が配置されるスペースを画定する壁を有し;バルブステムが押し下げられない第1位置と、バルブステムが押し下げられて容器の内容物を放出する第2位置との間を移動するために、シュラウドに取り付けられている作動部材を備え;作動部材は、出口ポートを有するノズルと;バルブステムとノズルとを接続するチャンネルと;シュラウドから作動部材に向かって延び、作動部材をシュラウドに対して位置決めするタブとを含む。
【0023】
作動部材は、ステム孔ポケットを含み、タブは、ステム孔ポケットをバルブステムと揃えるように作動部材を位置決めし、アクチュエータ及び容器の組み立て中に作動部材を安定化する。
【0024】
これに加えて、エアロゾルアクチュエータは、部分を含み、部分は、作動部材が押し下げられたときに、タブに係合し、タブを作動部材の移動経路の外へ回転させるように構成されている。
【0025】
タブは、リビングヒンジによってシュラウドに接続されている。作動部材の部分は、リビングヒンジに近接した位置でタブに接触するエッジを有する。
【0026】
本発明の別の態様によれば、加圧流体の容器とともに使用するためのエアロゾルアクチュエータであり、容器は、容器の内容物を放出するために押し下げ可能なバルブステムを伴ったバルブを有するタイプである、エアロゾルアクチュエータが提供される。バルブステムの上方で容器に配置されるように適合され、スペースを画定する壁であり頂部エッジを有する壁を含むシュラウドを備え;作動部材はバルブステムと揃えられ;表面を有する作動部材であり、バルブステムが押し下げられない第1位置と、作動部材の表面に加えられた力が容器の内容物を放出するためにバルブステムを押し下げる第2位置との間で、シュラウドに対して移動するために、シュラウドに取り付けられている作動部材を備え;作動部材は、出口ポートを有するノズルと;バルブステムとノズルとを接続するチャンネルとを含み;作動部材の表面の平面は、頂部荷重による作動部材の偶発的な押し下げから保護するために、シュラウドの壁の頂部エッジの下方に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
以下の説明に出現する可能性があるこの目的、またその他の目的のために、本発明は、以下の明細書に詳細に記載され、添付の図面とともに添付の請求項に列挙されている加圧流体容器用のエアロゾルアクチュエータに関する。ここで、同様の数字は、同様の部分を指す。
【0028】
図1】加圧容器に取り付けられて現れている、本発明のエアロゾルアクチュエータの斜視図である。
図2】アクチュエータの前部の立面図である。
図3】アクチュエータの後部の立面図である。
図4】アクチュエータの頂部の平面図である。
図5】アクチュエータの底部の平面図である。
図6】容器の頂部と、バルブステムと、ステム孔ポケットとの拡大断面図である。
図7】ステム孔ポケットの拡大図である。
図8】アクチュエータの断面図である。
図9】タブが接続されているシュラウドの部分の断面図であり、作動部材の初期の押し下げの前後のタブの位置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1ないし4は、本発明のエアロゾルアクチュエータの外部を示す。図1に、概括的にAと示された加圧流体容器上に現れた状態の、アクチュエータを示す。従来のように、バネ荷重式バルブステムが容器の頂部の中心から突出し(これらの図では見えない)、これは、押し下げられた場合に、容器内の加圧流体を放出する。
【0030】
アクチュエータは、3つの基本の部分から形成されている。即ち、バルブステムの上方で容器Aの頂部に取り付けられるように適合されている、概括的にBと示されたシュラウド(覆い,shroud)と;バルブステムを押し下げるためにシュラウドB内に移動可能に取り付けられている、概括的にCと示された作動部材と;バルブステムからノズルの出口ポートに延びる流体チャンネル(これらの図では見えない)を含む、概括的にDと示されたノズルとから形成されている。ノズルDは、作動部材Cに移動可能に取り付けられ、垂直位置と水平位置との間で回転させることができ、異なるスプレーパターンを与える。
【0031】
シュラウドBは、全体的に「U」形状の壁を含み、これは、中に作動部材Cを受け入れる開口を画定する。シュラウド壁の底部は、容器Aの頂部と係合してアクチュエータを容器に取り付けるように構成されている。
【0032】
作動部材Cの頂部は、表面10を有するボタンを含む。表面10は、容器内の加圧流体を放出するためにバルブステムを押し下げるように作動部材を移動させる、外部からの下向きの力を加えるように、ユーザの指が位置決めされることが可能である領域を規定する。表面10には、ユーザの指のための滑り止め表面を提供するために、スペースをおいた平行な突起を設けてよい。
【0033】
図8に最もよく見られるように、作動部材は、バルブステムをノズルに接続する内部チャンネル12を有する。チャンネル12は、バルブステムと揃った垂直部分12aと、ノズルに通じる水平部分12bとを有する。バルブステムが押し下げられると、容器の内容物がチャンネル部分12aに放出される。放出された流体は、チャンネル部分12aから、チャンネル部分12b(水平部分12b)を通してノズルに伝導される。
【0034】
ノズルの細長い部分14と、部分14から延びるストロー16とが垂直位置にある図1に示す位置と、ノズルの細長い部分14とストロー16とが水平位置にある位置(図示せず)との間で、シュラウドの壁の間に、ノズルDは回転可能に取り付けられている。
【0035】
ノズルDは、2つのスプレー出口ポート18及び20を有する。図1に示す位置では、出口ポート18は、ノズルの本体を通してチャンネル部分12bの端部に接続され、容器から放出された流体の広角スプレーパターンを与える。ノズルが、ノズル部分14が水平である位置に回転されると、チャンネル部分12bの端部は、放出された流体をストロー16にポート20を通して導く開口22に、揃えられる。流体は、濃縮スプレーパターンでストローから出る。
【0036】
次に、図5ないし図8を参照すると、チャンネル部分12aの入口端にはステム孔ポケット24が設けられている。ポケット24は、図6に示すように、アクチュエータが容器に取り付けられた場合に、バルブステム28の端部を受け入れるようになっている。
【0037】
ポケット24の入口端には、複数のリブ26が設けられ、複数のリブ26は、孔の内面から突出し、孔の内面に沿って孔の軸線に実質的に平行な方向に延びる(即ち、軸線に沿って細長く延びる)。リブは、弾性材料又は圧縮性材料から形成され、図6に最もよく示されるようにテーパ状の外縁27(傾斜面)を有する。リブは、アクチュエータが容器に取り付けられているときにポケットをバルブステムと揃えることによって、バルブステム28の端部をポケットの中へガイドする。この構成は、シールが達成される前に、アクチュエータをバルブステムと位置合わせする又は揃えることを可能にする。従って、他の場合には不可能であるよりも高い速度で、アクチュエータを容器に取り付けることができるように、バルブを押し下げたり、作動させたりする必要がない。
【0038】
リブ26は、ステム孔ポケットの内面の周りに円周方向に配置されている。リブは、孔開口に向かって延びるので、外へ広がり、テーパ状の外縁27は図7に最もよく見られるようにスペースがおかれるようになっている。この構成は、バルブステムをポケットに送り込み(funnel,案内して通し)、アクチュエータが容器に取り付けられているときに作動部材とバルブステムとの間に存在する可能性がある揃え不良(misalignment)を補正する。好ましくは、リブは、半径方向シール領域の直下の位置で半径方向シール領域からスペースをおいた点でステムに係合するように構成される。
【0039】
リブの数は、異なってよい。図は5本のリブがあるポケットを示す。しかしながら、異なる数のリブが使用されてよい。
【0040】
次に、図5及び図9を参照すると、アクチュエータが容器に取り付けられるときに、作動部材がバルブステムをステム孔ポケットに受け入れる正しい位置にあるように、作動部材を安定化するために、タブ30が設けられている。これにより、本発明のアクチュエータが高速で容器に取り付けられる能力を、さらに向上させる。
【0041】
タブ30は、シュラウド壁から作動部材に向かって延びる。タブは、アクチュエータが容器に取り付けられているときに作動部材が固定されている作動位置と、作動部材がシュラウドの中で自由に移動することをタブが可能にする受動位置との間で移動可能である。
【0042】
タブ30の一端は、「リビングヒンジ(一体丁番,living hinge)」によってシュラウドに接続され、これにより、タブをその作動位置からその受動位置まで回転させることを可能にする。アクチュエータが容器に取り付けられた後、ユーザによる作動部材の初期の押し下げの際に、タブの回転が生じる。その作動位置では、タブは、作動部材の移動経路にあり、作動部材がシュラウドに対して移動するのを防止する。受動位置では、タブは、作動部材の移動経路の外側に位置し、作動部材の移動に対して、もはや制限又は干渉を行わない。
【0043】
図9に最もよく示されているように、シュラウドBは、シュラウドの後部から短距離離れた位置で、シュラウドの内面から垂直に下方に延びる内部分32を有する。図5は、作動位置でのタブを示している。タブ30は、部分32の底端から延びている。
【0044】
作動部材は、その後部から下方に延びる部分34を有する。部分34の端部は、傾斜面を有する。その作動位置では、タブ30が部分34の下方に位置する。アクチュエータが容器に取り付けられているときに、ステム孔ポケットがバルブステムを受け入れるために作動部材を正しい位置に維持する。
【0045】
製品は、タブが作動位置にある状態で出荷される。タブは、作動部材がユーザによって初めて押されるまで、その位置に留まる。図9に示されるように、作動部材の初期の押し下げは、作動部材の部分34を下方に移動させる。作動部材の押し下げがもはやタブによって抑止されないように、作動部材の移動経路の外へタブ30をその作動位置からその受動位置に回転させる。タブ30は、アクチュエータの動作を妨げることなく、製品の寿命を通して受動位置に留まる。
【0046】
ステム孔ポケットのリブと、安定化タブとは、それぞれ、本発明のアクチュエータを高速で容器に取り付ける能力に寄与する。タブは、シュラウドの中の作動部材の位置を安定化する。リブは、バルブステムをステム孔ポケットの入口に送り込み、バルブステムとポケットの入口との間の揃え不良を補正する。
【0047】
エアロゾルアクチュエータを伴った容器のパッケージング及び取扱い中に、外部からの下向きの力に起因する頂部荷重は、容器の内容物を偶発的に放出するのに十分に作動部材を押し下げることになり、これは望ましくない事象である。これは、例えば、製品の間にパッケージ材料が存在しない状態で、製品がカートン内で、1つを別の製品の上にして積み重ねられている場合に起こる可能性がある。
【0048】
頂部荷重からのこのような偶発的な排出を回避するために、本発明は、シュラウドの頂部エッジ36が作動部材のボタン表面10の平面よりも上方に延びるように構成される。これは、図2及び図3に最もよく示されている。シュラウド壁の延長された頂部36は、平坦な物体からの頂部荷重がアクチュエータに外力を加えることを防止する。拡張したシュラウド壁は、頂部荷重を容器に伝達する。この構造は、ユーザによるボタン表面10へのアクセスを制限せず、また追加のパッケージ材料を必要とせずに、その機能を達成する。
【0049】
本発明は、作動部材の位置を安定化し、作動部材のステム孔ポケットとバルブステムとの間の揃え不良を補正することにより、高速製造においてエアロゾル容器に取り付けることができるエアロゾルアクチュエータに関することが理解される。さらに、シュラウド壁は、作動部材へのアクセスを制限せず、又は追加のパッケージ材料を必要とせずに、頂部荷重に起因する容器の内容物の偶発的な放出を回避するように拡張される。
【0050】
本発明の単一の好ましい実施形態のみを例示のために開示するが、多くの修正及び変形が可能であることは明らかである。これは、後述の請求項によって定義されるように、本発明の範囲内に含まれる全ての修正及び変形をカバーすることを意図している。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9